タイトル: | 特許公報(B2)_油中油型化粧料 |
出願番号: | 2010516766 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | A61K 8/31,A61K 8/891,A61K 8/73,A61K 8/25,A61K 8/06,A61Q 1/04 |
冨田 希子 宮原 令二 鹿子木 宏之 JP 4766720 特許公報(B2) 20110624 2010516766 20090612 油中油型化粧料 株式会社 資生堂 000001959 内田 直人 100149294 奥原 康司 100137512 冨田 希子 宮原 令二 鹿子木 宏之 JP 2008153819 20080612 20110907 A61K 8/31 20060101AFI20110818BHJP A61K 8/891 20060101ALI20110818BHJP A61K 8/73 20060101ALI20110818BHJP A61K 8/25 20060101ALI20110818BHJP A61K 8/06 20060101ALI20110818BHJP A61Q 1/04 20060101ALI20110818BHJP JPA61K8/31A61K8/891A61K8/73A61K8/25A61K8/06A61Q1/04 A61K 8/00- 8/99 A61Q 1/00-90/00 特開2007−277189(JP,A) 特開2007−238578(JP,A) 特開平11−255616(JP,A) 特開2005−350439(JP,A) 特開平09−235210(JP,A) 特開2003−212724(JP,A) 5 JP2009002667 20090612 WO2009150852 20091217 16 20110128 川島 明子 本発明は油中油型化粧料に関し、より詳しくは、耐移り性に優れ、しかもうるおいやつやを失わずに安定性も良好な油中油型化粧料に関するものである。 従来の口紅組成物は、口紅を口唇に塗布した後、該口紅がカップなど口唇に接触する部位に転写されてしまう2次付着性が問題となっていた。これに対し、2次付着を起こしにくい、いわゆる2次付着レス効果をもつ口紅組成物が開発されている。 例えば、特許文献1では、揮発性炭化水素系溶媒、揮発性炭化水素系溶媒に溶解または分散可能な非揮発性シリコーン化合物、及び揮発性溶媒に溶解し、非揮発性シリコーン化合物と非融和性の非揮発性炭化水素系油を含有し、該非揮発性炭化水素系油が、ある溶解パラメーターを有する耐移り性化粧品組成物が開示されている。 しかしながらこの耐移り性化粧品組成物は、安定性の点で改善の余地があり、ワックス量が多いためリキッド状の使用感が得られず、またつやも不十分である。 特許文献2には、非融和性であるペルフルオロポリエーテル型の非揮発性油と揮発性油を含有する耐移り性を有する口紅組成物が記載されている。この特許文献2では支持体への適用中に油分が分離し、第一組成物の上に油分が移動するようになっている。 しかしながら、第一組成物は、かなりのワックスを配合しており、固形状となるため、つややうるおい感が充分に得られない。また、この系では非融和性の油相を良好に分散させることが難しく、発汗などの安定性の問題を生じる。 特許文献3には、揮発性油分と組み合わせてシリコーン界面活性剤を配合し、顔料を良好に分散させた耐移り性を有するステック化粧品が開示されている。 しかしながら、このステック化粧品は揮発性油分の組成物における割合が大きいためマットな仕上がりとなり、唇に乾燥感を生じやすいという欠点がある。 特許文献4には、揮発性油分とシリコーン樹脂を配合した一相型の口紅用組成物が開示されている。 しかしながら、この口紅用組成物は、耐移り性は改善されるものの、揮発性油が蒸発した後に時間が経つと乾燥感が生じやすく、また樹脂の皮膜が唇上に残り、皮膜感や突っ張り感を生じると共に、得られた付着物はマットであるという欠点がある。 特許文献5には、シリコーン系皮膜剤と揮発性シリコーン系油分と非揮発性シリコーン系液状油分と乳化剤とを含む連続相油分と、エステル油分と色材とを含む分散相油分とからなり、分散相油分/(分散相油分+連続相油分)の配合量比が0.05〜0.5である油中油型乳化組成物が記載されている。 しかしながら、この油中油型乳化組成物は色材が分散相に存在するため色むらが生じやすく、更には、この系では経時安定性を保つことが困難な場合がある。 特許文献6には、口紅を塗布した後に、さらに特定のジメチルポリシロキサンと無水ケイ酸を含むリップコートを塗布することで、色移りを防止する技術が記載されている。 しかしながら、通常の口紅を塗布した後に、さらに別のリップコートを塗布する2品使用は煩雑であり、携帯性にも劣る点で課題があった。特開2001−199846号公報国際公開96/40044号公報国際公開97/16157号公報特開平9−48709号公報特開2000−53530号公報特開平8−26936号公報 そこで本発明は、耐移り性を有しながら塗布後のつやが向上し、安定性にも優れた油中油型化粧料を提供することを目的とする。 本発明者らは鋭意研究の結果、互いに相溶しにくい非揮発性炭化水素系油分と非揮発性シリコーン系油分を含有し、デキストリン脂肪酸エステルを配合することで安定な油中油型組成物が得られ、塗布後の耐移り性を維持したまま、塗布時ののびが良好な油中油型化粧料が得られることを見出した。 すなわち本発明は、 (a)非揮発性炭化水素系油分 5〜80質量%と、 (b)非揮発性シリコーン系油分 1〜70質量%と、 (c)デキストリン脂肪酸エステル 0.1〜10質量%と、 を含有することを特徴とする油中油型化粧料である。 本発明においては、(a)非揮発性炭化水素系油分と(b)非揮発性シリコーン系油分は、その配合比(質量比)が、(a)/{(a)+(b)}=0.4〜0.8であることが好ましい。 本発明においては、さらに、半固形油を1〜30質量%含むことが好ましい 本発明の油中油型化粧料は、塗布後の耐移り性に優れ、つやがあり、塗布時ののびが良好で、安定性にも優れたものである。 以下に、本発明の最良の実施形態について説明する。 本発明においては、互いに相溶しにくい非揮発性炭化水素系油分と非揮発性シリコーン系油分を含有し、デキストリン脂肪酸エステルを配合することで、安定な油中油型組成物とすることができる。本発明の油中油型化粧料においては、ポリブテンのような非揮発性炭化水素系油分は連続相油分、メチルフェニルポリシロキサンのような非揮発性シリコーン系油分は分散相油分となり、色材は表面の濡れの関係から連続相油分に分散する。本発明の油中油型化粧料においては、使用前の容器内ではシリコーン油分と炭化水素系油分は分離することもなく安定な油中油型の状態を保っている。そして、塗布後には非揮発性シリコーン油が表層にしみ出して分離し、それが非揮発性炭化水素系油分の付着層を覆うため、耐移り性を有し、かつ良好なつやを与える。この非揮発性シリコーン油の分離は、塗布時に唇をこすり合わせて圧力を加えることでさらに促進される。更に両方に相溶するイソドデカンのような揮発性炭化水素を配合することで、塗布後の耐移り性、安定性を維持したまま、塗布時ののびを良くすることができる。 また本発明においては、シリコーン樹脂や、多量のワックスや、揮発性油分を配合する必要がないため、液状グロスのようなつややかな質感とうるおい感を実現することができる。とりわけ、本発明を口紅として用いた場合は、口紅とリップコートのような2品使いにする手間がなく、1品で落ちにくく、つやを付与し、カップなどにつきにくい効果を発揮する((a)非揮発性炭化水素系油分) 本発明で用いられる(a)非揮発性炭化水素系油分としては、例えば水添ポリイソブテン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、流動パラフィン、スクワラン、水添ポリデセン、ワセリン等が挙げられる。このうち特にポリブテンが好ましく、さらには分子量1000〜2650のポリブテンが好ましい。 (a)非揮発性炭化水素系油分の配合量は、5〜80質量%であり、好ましくは10〜70質量%であり、より好ましくは20〜60質量%である。非揮発性炭化水素系油分の配合量が少なすぎると、しっとりさに欠ける。非揮発性炭化水素系油分の配合量が多すぎると、のびが重くなり、べたつきが増し、耐移り性も悪くなり、発色も悪くなる傾向がある。((b)非揮発性シリコーン系油分) (b)非揮発性シリコーン系油分としては炭化水素系油分と相溶しにくいものであればよく、同時に配合される炭化水素系油分の種類によって油中油型となるように適宜選択される。かかる非揮発性シリコーン系油分としては、例えばメチルフェニルポリシロキサン、ジメチコン、フッ素変性アルキルシリコーンなどが挙げられる。このうち特にメチルフェニルポリシロキサンが好ましく、さらには粘度が300〜500csのメチルフェニルポリシロキサンが好ましい。 (b)非揮発性シリコーン系油分の配合量は、1〜70質量%であり、好ましくは5〜60質量%であり、より好ましくは10〜50質量%である。非揮発性シリコーン系油分の配合量が少なすぎると、耐移り性が悪くなる傾向となる。非揮発性シリコーン系油分の配合量が多すぎると、つやは増すが、経時で剥がれやすくなる。 本発明において、(a)非揮発性炭化水素系油分と(b)非揮発性シリコーン系油分は、その配合比(質量比)が、(a)/{(a)+(b)}=0.4〜0.8であることが好ましい。{(a)+(b)}成分に対して(a)成分が多すぎるとのびが重くなり、べたつきが増し、耐移り性が悪くなり、発色も悪くなる。(a)成分が少なすぎると、(a)+(b)中の(b)の割合が増すことで、つやは増すが、しっとりさに欠ける傾向となる。((c)デキストリン脂肪酸エステル) (c)デキストリン脂肪酸エステルは、デキストリンと高級脂肪酸のエステルで、高級脂肪酸が炭素数C12〜C22のから選択されるものである。高級脂肪酸として、炭素数C12〜C22の脂肪酸を含んでいれば、炭素数C6〜10の脂肪酸を一部に含んでいてもよい。かかるデキストリン脂肪酸エステルとしては、例えばパルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリンが挙げられ、市販品としては、商品名レオパール(Rheopearl)KL、レオパールKL2、レオパールTT、レオパールTT2、レオパールMKL2等(いずれも千葉製粉社製)などを用いることができる。 (c)デキストリン脂肪酸エステルの配合量は、0.1〜10質量%であり、好ましくは0.5〜8質量%であり、より好ましくは1〜5質量%である。デキストリン脂肪酸エステルの配合量が少なすぎると、安定性が悪くなる。デキストリン脂肪酸エステルの配合量が多すぎると、べたつくようになる。 本発明においては、(d)揮発性炭化水素をさらに配合することにより、塗布時ののびに優れたものとなる。 (d)揮発性炭化水素は(a)非揮発性炭化水素系油分および(b)非揮発性シリコーン系油分のいずれにも可溶のものが好ましく、例えば、8〜16の炭素原子を有する揮発性油及びそれらの混合物を挙げることができる。特に、これらの揮発性炭化水素は、分枝状のC8−C16アルカン類、分枝状のC8−C16エステル類及びそれらの混合物から選択される。かかる揮発性炭化水素として好ましくは、特に石油から得られるC8−C16イソパラフィンが挙げられ、市販品としては、「アイソパー(Isopar)」(イソパラフィン系溶剤、エクソン社製)や「パーメチル(Permethyl)99A、パーメチル(Permethyl)101A、」(EC Eldorchemie社製 日本光研工業社が販売)がある。特に、イソドデカン又はイソヘキサデカン、ネオペンタン酸イソヘキシル及びそれらの混合物が好ましく、さらに好ましくは、イソドデカンである。 (d)揮発性炭化水素を配合することにより、塗布時ののびに優れたものとなる。(d)揮発性炭化水素を配合する時の好ましい配合量は、0.1〜50質量%であり、好ましくは1〜30質量%である。 本発明においては、(e)無水ケイ酸をさらに配合することにより、塗布時のつやが良くなる。 (e)無水ケイ酸としては、平均一次粒子径が、1〜50nmの超微粒子無水ケイ酸が好ましく、例えばアエロジル200、300、R972、R974、RY200等(日本アエロジル社製)が挙げられる。本発明に用いる無水ケイ酸は、親水性のものでもシリル化などの疎水化処理したものでもよい。 (e)無水ケイ酸を配合する時の好ましい配合量は、10質量%以下であり、好ましくは0.1〜5質量%である。 本発明においては、上記必須成分以外に色材が配合される。色材は口紅に通常用いられる色材であれば良く、粉末状でもレーキ状(油を練り込んだ状態)でもよい。無機顔料であっても、有機顔料であっても、パール剤であっても、シリコーン系油分に比較して、炭化水素系油分のほうに濡れやすく、最終的には顔料は自発的に連続層である炭化水素系油分に移行する。色材の配合量としては、0.01〜30質量%、好ましくは、0.1〜20質量%である。 本発明においては、さらに、(f)半固形油またはマイクロクリスタリンワックスを含むことが好ましい。半固形油やマイクロクリスタリンワックスを配合すると、口紅を塗布した後のべたつきが少なく、化粧持ちにも優れる。 (f)半固形油とは、具体的には、25℃における硬度が0.1〜10Nである半固形状のものを指す。この硬度の測定には、レオテック社製レオメーターで、感圧軸5φ、針入速度2cm/min、針入度3mmで測定した値を用いた。したがって、ポリブテンなどの高粘度液状油や、硬化ヒマシ油、硬質ラノリンのような室温で硬い油剤は含まれない。 半固形油の融点としては、30〜52℃であることが好ましい。融点の測定法は、化粧品原料基準記載の第3法によるものである。すなわち、まず試料をよくかき混ぜながら徐々に90〜92℃まで加熱して融解し、加熱を止め、試料を融点より8〜10℃高い温度まで放冷する。ついで、温度計(日本工業規格B7410に規定するペトロラタム融点用温度計)を5℃に冷却した後、ろ紙で水分をふきとって水銀球の半分を試料中に差し込み、直ちに抜きとり、垂直に保って放冷し、付着した試料が混濁してきたとき、16℃以下の温度の水中に5分間浸す。次に、試験管(25×100mm)に温度計を挿入し、温度計の下端と試験管の底との間部15mmになるようにコルクを用いて温度計を固定する。この試験管を、約16℃の水を入れた500mLのビーカー中に試験管の底とビーカーの底との距離を15mmになるように固定し、浴の温度が30℃になるまでは1分間に2℃上がるように加熱する。ついで、1分間に1℃上がるように加熱を続け、温度計から試料の1滴が離れたときの温度を測定する。この試験を3回行い、測定値の差が1℃未満のときはその平均値をとり、1℃以上のときは、5回測定してその平均値をとり、融点とする。 半固形油としては、通常化粧品に使用されるワセリン、ラノリン、シア脂,部分水添ヤシ油など植物脂、部分水添ホホバ油の他、ダイマージリノール酸エステルであって、アルコール残基が、フィトステリル基および、炭素数が16〜22の直鎖高級アルコール残基を含むダイマージリノール酸・フィトステロール・高級アルコールエステルが挙げられる。ダイマージリノール酸エステルとしては、ダイマージリノール酸(フィトステリル/ベヘニル)(商品名:Plandool-PB)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/ベヘニル/ステアリル/セチル/イソステアリル)(商品名:Plandool-H、Plandool-S)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル(フィトステリル/ベヘニル/イソステアリル)(商品名:Plandool-G)などが挙げられる。また、テトラ(ベヘン酸/安息香酸エチルヘキサン酸)ペンタエリスリット、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、マカデミアナッツ油ポリグリセリル6エステルズベヘネートなどを用いることもできる。さらに、下記市販品が使用してもよい。「コスモール168EV/M/AR」(以上日清オイリオ社製)、「YOFCO−MAS」、「SOFTISAN649」(サソール社製)、「エルデュウPS−304」(味の素社製)。 このうち、ワセリン、テトラ(ベヘン酸/安息香酸エチルヘキサン酸)ペンタエリスリットがべたつきのなさと、化粧持ちの点で特に好ましい。半固形油の配合量は、好ましくは3〜30質量%、さらに好ましくは6〜20質量%である。 マイクロクリスタリンワックスの配合量としては、好ましくは0.5〜6質量%、さらに好ましくは、1〜4質量%である。 本発明の油中油型化粧料には、上記必須成分の他、通常の油性化粧料に用いられる油剤、ワックス、粉体、顔料、染料、高分子化合物、保湿剤、香料、界面活性剤、酸化防止剤、防腐剤、美容成分等を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。保湿剤としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、1,3ブチレングリコール等の多価アルコール系保湿剤が挙げられる。 ワックスについては、配合することができるが、多量配合はつやを損なうため、配合してもその配合量は5質量%以下であることが望ましい。 また、皮膜剤については、多量配合はごわつき感を生じさせるため、配合しないか、あるいは配合しても5質量%以下であることが望ましい。 本発明の油中油型化粧料は、口紅、リップグロス、下地用のリップベース、口紅オーバーコート、リップクリームなどに応用することができる。特に、色材を配合した口紅に用いた場合には、口紅としての発色効果と耐移り性、リップグロスのようなつやを併せ持つことができるので好適である。 本発明について以下に実施例を挙げてさらに詳述するが、本発明はこれによりなんら限定されるものではない。配合量は特記しない限り質量%で示す。 実施例の説明に先立ち本発明で用いた効果試験方法について説明する。(1)使用性の評価試験 10名の専門パネルによる実使用性試験を行った。使用性項目は、塗布時ののび、つや、しっとり感、ごわつき感のなさおよび耐移り性であり、それぞれの評価項目について、下記の評価点基準に基づいて5段階官能評価(スコア)した。そのスコア平均値により、下記評価基準で判定した。また、実施例9〜20では、塗布してから2時間後に、べたつきのなさ、化粧持ち評価した。塗布時ののび、つや、しっとり感、ごわつき感のなさおよび耐移り性の評価は、塗布時または塗布直後の評価であるのに対し、べたつきのなさ、化粧持ちについては、塗布後2時間におけるべたつき、化粧効果の持続性を評価したものである。塗布方法は、本発明の化粧料を唇に塗布した後、唇の上下をこすり合わせ5秒ほど圧力を加える方法にて行った。耐移り性の評価はカップへの移りのなさを評価し、化粧持ちの評価は、2時間後において、口紅の塗布状態が保持されているか、つや、発色、仕上がりの美しさなどを目視により判定した。(スコア) 5点:非常に優れている。 4点:優れている。 3点:普通。 2点:劣る。 1点:非常に劣る。(評価基準) ◎:評価値(平均値)4.0以上5.0点以下 ○:評価値(平均値)3.0以上4.0点未満 △:評価値(平均値)2.0以上3.0点未満 ×:評価値(平均値)1.0以上2.0点未満(2)分離安定性の評価試験 使用容器内での分離安定性について、以下の方法で評価した。(評価方法) 表記載の処方を常法により調製し、塗布具付ボトル容器に入れ、1日2回使用し、1週間連用した後に評価した。(評価基準) ◎:分離が全くなく、均一であった。 ○:分離が一部認められるが、使用上問題のないレベルであった。 △:分離が認められ、色むらが生じていた。 ×:完全に分離していた。実施例1〜8、比較例1〜10 次の表1〜3に示す処方でグロス口紅を調製し、使用性(塗布時ののび、つや、しっとり感、ごわつき感のなさおよび耐移り性)および分離安定性について、上記した基準で評価した。その結果を併せて表1〜3に示す。※1:トリメチルシロキシケイ酸(信越化学工業社製)※2:デカメチルシクロペンタシロキサン(信越化学工業社製)※3:KF54(信越化学工業社製)※4:KF6017(信越化学工業社製) 実施例1〜3は、のび、つや、およびしっとり感があって、ごわつきがなく、耐移り性に優れ、分離安定性に優れたものであった。一方、比較例1,2は従来の皮膜剤を配合した化粧料であり、つやがなく、ごわつきがあり、使用感が劣っていた。 比較例3〜10は、デキストリン脂肪酸エステルを配合しておらず、種々のワックスやシリコーン系活性剤を組み合わせても分離安定性が劣っていた。一方、実施例4〜8は、デキストリン脂肪酸エステルを配合することにより、エステル系油分、ワックスを配合しても安定性を保持することができた。実施例9〜20 次の表4に示す処方でグロス口紅を調製し、塗布後2時間のべたつき、化粧持ちを上記した基準で評価した。結果を併せて表4及び表5に示す。 表4及び表5の結果より、半固形油またはマイクロクリスタリンを配合することで、べたつきのなさや化粧持ちがより優れていた。また、中でもワセリン、テトラ(ベヘン酸/安息香酸エチルヘキサン酸)ペンタエリスリットが特に高い効果を発揮した。また、半固形油の配合量としては、特に6〜20質量%で優れた効果を発揮した。 以下に、本発明の油中油型化粧料の処方例を挙げる。本発明はこの処方例によって何ら限定されるものではなく、特許請求の範囲によって特定されるものであることはいうまでもない。実施例21:塗布具つきボトル容器に入ったグロス口紅配合成分 質量%<A相>水添ポリイソブテン 40スクワラン 20ワセリン 10赤色酸化鉄 1赤色202号 1雲母チタン 1ジイソステアリン酸ジグリセリル 3シリル化シリカ 1<B相>パルミチン酸デキストリン 3<C相>メチルフェニルポリシロキサン 20製造方法: A相にB相を攪拌分散したのち、加熱溶解する。さらにC相を加え攪拌分散して調製した。実施例22:繰り出し式またはノック式の容器に入ったグロス口紅配合成分 質量%<A相>水添ポリイソブテン 33.9赤色酸化鉄 1赤色202号 1雲母チタン 1トリイソステアリン酸ジグリセリル 3<B相>パルミチン酸デキストリン 0.1<C相>イソドデカン 10<D相>メチルフェニルポリシロキサン 45シリカ 5製造方法: A相〜C相を攪拌分散したのち、加熱溶解する。予め攪拌分散したD相を添加し、攪拌分散して調製した。実施例23:塗布具つきボトル容器に入ったグロス口紅配合成分 質量%<A相>水添ポリイソブテン 20赤色酸化鉄 1雲母チタン 112−ヒドロキシステアリン酸 3シリカ 5アルキル変性シリコーン処理マイカ 10<B相>パルミチン酸デキストリン 10<C相>イソドデカン 20<D相>メチルフェニルポリシロキサン 30製造方法: A相〜C相を攪拌分散したのち、加熱溶解する。さらにD相を加え攪拌分散して調製した。実施例24:塗布具つきボトル容器に入ったグロス口紅配合成分 質量%<A相>水添ポリイソブテン 30ワセリン 1スクワラン 19赤色酸化鉄 1雲母チタン 5無水ケイ酸 2<B相>(パルミチン酸/2-エチルへキサン酸)デキストリン 10(商品名:レオパールTT :千葉製粉株式会社製)<C相>メチルフェニルポリシロキサン 30シリル化シリカ 2製造方法: A相〜C相を攪拌分散したのち、加熱溶解する。さらにD相を加え攪拌分散して調製した。実施例25:中皿に充填された口紅配合成分 質量%<A相>水添ポリイソブテン 30赤色酸化鉄 1雲母チタン 4シリル化シリカ 3アルキル変性シリコーン処理マイカ 10<B相>ミリスチン酸デキストリン 5(商品名:レオパールMKL2)パルミチン酸デキストリン 5<C相>イソドデカン 10<D相>メチルフェニルポリシロキサン 30シリカ 2製造方法:A相〜C相を攪拌分散したのち、加熱溶解する。さらにD相を加え攪拌分散して調整した実施例26 塗布具つきボトル容器に入ったグロス口紅配合成分 質量%<A相>水添ポリイソブテン 30スクワラン 10赤色酸化鉄 2雲母チタン 3シリル化シリカ 3アルキル変性シリコーン処理マイカ 5<B相>パルミチン酸デキストリン 5<C相>イソドデカン 10<D相>フッ素変性メチルフェニルポリシロキサン 30(INCI名:フルオロアルキルジフェニルジメチコン)シリカ 2製造方法:A相〜C相を攪拌分散したのち、加熱溶解する。さらにD相を加え攪拌分散して調整した。実施例27:塗布具つきボトル容器に入ったグロス口紅配合成分 質量%<A相>水添ポリイソブテン 35スクワラン 10赤色酸化鉄 2雲母チタン 3シリル化シリカ 3アルキル変性シリコーン処理マイカ 5<B相>パルミチン酸デキストリン 5<C相>ジメチルポリシロキサン 35(商品名:シリコーンKF-96A-300 :信越化学工業社製)シリカ 2製造方法:A相〜B相を攪拌分散したのち、加熱溶解する。さらにC相を加え攪拌分散して調整した。 実施例21〜27の化粧料は、のび、つや、しっとりさに、耐移り性いずれも優れていた。 (a)非揮発性炭化水素油分 5〜80質量%と、(b)メチルフェニルポリシロキサン 1〜70質量%と、(c)デキストリン脂肪酸エステル 0.1〜10質量%と、を含有し、(a)非揮発性炭化水素油分と(b)メチルフェニルポリシロキサンは、その配合比(質量比)が、(a)/{(a)+(b)}=0.4〜0.8であることを特徴とする油中油型化粧料。 さらに(d)揮発性炭化水素を配合することを特徴とする請求項1に記載の油中油型化粧料。 さらに(e)無水ケイ酸を配合することを特徴とする請求項1又は2に記載の油中油型化粧料。 さらに、(f)半固形油を1〜30質量%含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の油中油型化粧料。 油中油型口紅である、請求項1から4のいずれかに記載の油中油型化粧料。