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タイトル:特許公報(B2)_新規なベンゾチオフェンオキシド誘導体またはその塩
出願番号:2010514481
年次:2014
IPC分類:C07D 409/12,A61K 31/397,A61P 25/00,A61P 25/02,A61P 43/00


特許情報キャッシュ

中村 哲朗 加藤 寛 JP 5552424 特許公報(B2) 20140530 2010514481 20090526 新規なベンゾチオフェンオキシド誘導体またはその塩 富山化学工業株式会社 000003698 特許業務法人浅村特許事務所 110000855 中村 哲朗 加藤 寛 JP 2008139007 20080528 20140716 C07D 409/12 20060101AFI20140626BHJP A61K 31/397 20060101ALI20140626BHJP A61P 25/00 20060101ALI20140626BHJP A61P 25/02 20060101ALI20140626BHJP A61P 43/00 20060101ALI20140626BHJP JPC07D409/12A61K31/397A61P25/00A61P25/02A61P43/00 107 C07D 409/00−409/14 A61K 31/00− 31/80 A61P 25/00− 25/36 A61P 43/00 CAplus/REGISTRY(STN) 国際公開第2008/016107(WO,A1) 国際公開第2007/125913(WO,A1) C. G. WERMUTH 編, 長瀬博 監訳,最新 創薬化学 下巻,株式会社テクノミック,1999年 9月25日,第307-310頁,III.還元的な生体内活性化 2 JP2009059576 20090526 WO2009145171 20091203 11 20120423 堀 洋樹 本発明は、中枢および末梢神経の疾病の治療薬のプロドラッグとして有用なベンゾチオフェンオキシド誘導体またはその塩に関する。 治療薬の研究において、インビトロモデルを利用した方法から多くの薬物が見出された。しかし、いくつかの薬物は、生物学的利用率が低く、治療上の有用性が制限される。これらの問題を回避するために、化合物を化学的に修飾してプロドラッグとする手法が知られている。 1−(3−(2−(1−ベンゾチオフェン−5−イル)エトキシ)プロピル)−3−アゼチジノールに代表されるベンゾチオフェン誘導体は、神経保護作用、神経再生促進作用および神経突起伸展作用を有し、中枢および末梢神経の疾病の治療薬として有用な化合物である(特許文献1)。しかし、本願記載のベンゾチオフェンオキシド誘導体は、これまで全く知られていない。国際公開第03/035647号パンフレット 神経保護作用、神経再生促進作用および神経突起伸展作用を有し、中枢および末梢神経の疾病の治療薬として有用な化合物が強く望まれている。 このような状況下において、本発明者らは、以下の一般式[1]「式中、R1およびR2は、同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル、アリール、アルアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、アルケニルオキシ、アミノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、カルバモイルもしくは複素環式基、保護されていてもよいアミノ、ヒドロキシルもしくはカルボキシル基、ニトロ基およびオキソ基から選ばれる一つ以上の基を;R3は、置換されていてもよいアルキルアミノ基、保護されていてもよいアミノまたはヒドロキシル基を;mおよびnは、同一または異なって、1〜6の整数をそれぞれ示す。」のベンゾチオフェンオキシド誘導体またはその塩が、生体内で一般式[2]「式中、R1、R2、R3、mおよびnは、前記と同様の意味を有する。」のベンゾチオフェン誘導体またはその塩に変換され、ベンゾチオフェン誘導体またはその塩のプロドラッグとして有用であることを見出した。 さらに、ベンゾチオフェンオキシド誘導体またはその塩を投与することによって、ベンゾチオフェン誘導体またはその塩の血中濃度が急激に上昇せず、かつ、ベンゾチオフェン誘導体またはその塩の血中濃度が長期間にわたって高濃度で維持されることを見出し、本発明を完成した。 一般式[1]のベンゾチオフェンオキシド誘導体またはその塩は、ベンゾチオフェン誘導体またはその塩のプロドラッグとして有用である。さらに、一般式[1]のベンゾチオフェンオキシド誘導体またはその塩は、ベンゾチオフェン誘導体またはその塩の持続性製剤の原薬として有用である。化合物A・マレイン酸塩および化合物Aオキシド・マレイン酸塩投与後の化合物Aの血漿中濃度の図である。化合物A・マレイン酸塩および化合物Aオキシド・マレイン酸塩投与後の化合物Aの脳内濃度の図である。 以下に本発明について詳細に説明する。 本明細書において、特に断らない限り、各用語は、次の意味を有する。 化合物Aとは、「1−(3−(2−(1−ベンゾチオフェン−5−イル)エトキシ)プロピル)アゼチジン−3−オール」を意味する。 化合物Aオキシドとは、「1−(3−(2−(1−ベンゾチオフェン−5−イル)エトキシ)プロピル)アゼチジン−3−オール S−オキシド」を意味する。 ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を;アルキル基とは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルおよびオクチルなどの直鎖状または分岐鎖状のC1−12アルキル基を;低級アルキル基とは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチルおよびヘキシルなどの直鎖状または分岐鎖状のC1−6アルキル基を;アルケニル基とは、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニルおよびオクテニルなどのC2−12アルケニル基を;低級アルケニル基とは、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニルおよびヘキセニルなどのC2−6アルケニル基を;アシルアルキル基とは、たとえば、アセチルメチル、ベンゾイルメチル、p−ニトロベンゾイルメチル、p−ブロモベンゾイルメチル、p−メトキシベンゾイルメチルおよび1−ベンゾイルエチルなどの基を;アシルオキシアルキル基とは、たとえば、アセトキシメチル、プロピオニルオキシメチルおよびピバロイルオキシメチルなどの基を;アリールチオアルキル基とは、たとえば、フェニルスルフェニルメチルおよび2−(p−ニトロフェニルスルフェニル)エチルなどの基を;アリールスルホニルアルキル基とは、たとえば、p−トルエンスルホニルエチルなどの基を;含窒素複素環式アルキル基とは、たとえば、フタルイミドメチルおよびスクシンイミドメチルなどの基を;シクロアルキル基とは、たとえば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルなどのC3−8シクロアルキル基を;アルキルチオアルキル基とは、たとえば、メチルチオメチル、エチルチオメチルおよびプロピルチオメチルなどのC1−6アルキルチオC1−6アルキル基を;アルコキシアルキル基とは、たとえば、メトキシメチルおよび1−エトキシエチルなどのC1−6アルキルオキシC1−6アルキル基を;アルアルキルオキシアルキル基とは、たとえば、ベンジルオキシメチルおよびフェネチルオキシメチルなどのアルC1−6アルキルオキシC1−6アルキル基を意味する。 アルコキシ基とは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシおよびオクチルオキシなどの直鎖状または分岐鎖状のC1−12アルキルオキシ基を;低級アルコキシ基とは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシおよびヘキシルオキシなどの直鎖状または分岐鎖状のC1−6アルキルオキシ基を;アルケニルオキシ基とは、ビニルオキシ、プロペニルオキシ、ブテニルオキシ、ペンテニルオキシ、ヘキセニルオキシ、ヘプテニルオキシおよびオクテニルオキシなどのC2−12アルケニルオキシ基を意味する。 アルキルチオ基とは、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、tert−ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオ、ヘプチルチオおよびオクチルチオなどのC1−12アルキルチオ基を;低級アルキルチオ基とは、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、tert−ブチルチオ、ペンチルチオおよびヘキシルチオなどのC1−6アルキルチオ基を意味する。 アリール基とは、フェニル、ナフチル、インダニルおよびインデニル基を;アリールオキシ基とは、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、インダニルオキシおよびインデニルオキシ基を;アルアルキル基とは、ベンジル、ジフェニルメチル、トリチルおよびフェネチルなどのアルC1−6アルキル基を;アリールチオ基とは、フェニルチオ、ナフチルチオ、インダニルチオおよびインデニルチオ基を意味する。 アシル基とは、ホルミル基、アセチル、イソバレイル、プロピオニルおよびピバロイルなどのC2−12アルカノイル基、ベンジルカルボニルなどのアルアルキルカルボニル基ならびにベンゾイルおよびナフトイルなどのアロイル基を;アルキルオキシカルボニル基とは、たとえば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、1,1−ジメチルプロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニルおよびtert−ペンチルオキシカルボニルなどの直鎖状または分枝鎖状のC1−12アルキルオキシカルボニル基を;アルアルキルオキシカルボニル基とは、たとえば、ベンジルオキシカルボニルおよびフェネチルオキシカルボニル基などのアルC1−6アルキルオキシカルボニル基を;アリールオキシカルボニル基とは、たとえば、フェニルオキシカルボニルなどの基を;複素環オキシカルボニル基とは、たとえば、2−フルフリルオキシカルボニルおよび8−キノリルオキシカルボニルなどの基を意味する。 アルキルスルホニル基とは、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、ブチルスルホニル、イソブチルスルホニル、sec−ブチルスルホニル、tert−ブチルスルホニル、ペンチルスルホニル、ヘキシルスルホニル、ヘプチルスルホニルおよびオクチルスルホニルなどのC1−12アルキルスルホニル基を;低級アルキルスルホニル基とは、たとえば、メチルスルホニル、エチルスルホニルおよびプロピルスルホニルなどのC1−6アルキルスルホニル基を;アリールスルホニル基とは、フェニルスルホニル、p−トルエンスルホニルおよびナフチルスルホニルなどの基を意味する。 アルキルアミノ基とは、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、ブチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジイソプロピルアミノおよびジブチルアミノなどのモノ−またはジ−C1−6アルキルアミノ基を意味する。 複素環式基とは、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ホモピペリジニル、モルホリル、チオモルホリル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリル、キヌクリジニル、イミダゾリニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジル、キノリル、キノリジニル、チアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、ピロリニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、プリニル、フリル、チエニル、ベンゾチエニル、ピラニル、イソベンゾフラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ベンゾフラニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キノキサリル、ジヒドロキノキサリル、2,3−ジヒドロベンゾチエニル、2,3−ジヒドロベンゾピロリル、2,3−4H−1−チアナフチル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾ[b]ジオキサニル、イミダゾ[2,3−a]ピリジル、ベンゾ[b]ピペラジニル、クロメニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ピリダジニル、イソインドリル、イソキノリル、1,3−ベンゾジオキソニルおよび1,4−ベンゾジオキサニルなどの窒素、酸素もしくは硫黄原子から選ばれる少なくとも一つ以上の異項原子を含む5員もしくは6員環、縮合環または架橋環の複素環式基を意味する。 含酸素複素環式基とは、たとえば、2−テトラヒドロピラニルおよび2−テトラヒドロフラニルなどの基を;含硫黄複素環式基とは、たとえば、テトラヒドロチオピラニルなどの基を;置換シリル基とは、たとえば、トリメチルシリル、トリエチルシリルおよびトリブチルシリルなどの基を;アルキルシリルアルキル基とは、たとえば、2−(トリメチルシリル)エチルなどの基を意味する。 アミノ保護基としては、通常のアミノ基の保護基として使用しうるすべての基を含み、たとえば、W.グリーン(W. Greene)ら、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)第3版、第494〜615頁、1999年、ジョン・ウィリイ・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons, INC.)に記載されている基が挙げられる。具体的には、たとえば、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、アルアルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルアルキル基、アルコキシアルキル基、アルアルキルオキシアルキル基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基および置換シリル基などが挙げられる。 ヒドロキシル保護基としては、通常のヒドロキシル基の保護基として使用し得るすべての基を含み、たとえば、W.グリーン(W. Greene)ら、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)第3版、第17〜245頁、1999年、ジョン・ウィリイ・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons, INC.)に記載されている基が挙げられる。具体的には、たとえば、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、アルアルキルオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アルキル基、アルケニル基、アルアルキル基、含酸素複素環式基、含硫黄複素環式基、アルコキシアルキル基、アルアルキルオキシアルキル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基および置換シリル基などが挙げられる。 カルボキシル保護基としては、通常のカルボキシル基の保護基として使用し得るすべての基を含み、たとえば、W.グリーン(W. Greene)ら、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)第3版、第369〜453頁、1999年、ジョン・ウィリイ・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons, INC.)に記載されている基が挙げられる。具体的には、たとえば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルアルキル基、アシルアルキル基、アリールチオアルキル基、アリールスルホニルアルキル基、含酸素複素環式基、アルキルシリルアルキル基、アシルオキシアルキル基、含窒素複素環式アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基、アルアルキルオキシアルキル基、アルキルチオアルキル基および置換シリル基などが挙げられる。 R1およびR2におけるアルキル基、アリール基、アルアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、アミノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルバモイル基および複素環式基ならびにR3におけるアルキルアミノ基の置換基としては、ハロゲン原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、低級アルコキシ基、アリールオキシ基、低級アルキルチオ基、アリールチオ基、低級アルケニル基、低級アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルアミノ基、保護されていてもよいアミノ基、保護されていてもよいヒドロキシル基、保護されていてもよいカルボキシル基、アシル基および複素環式基などから選ばれる基が挙げられる。 一般式[1]の化合物の塩としては、通常知られているアミノ基などの塩基性基またはヒドロキシルもしくはカルボキシル基などの酸性基における塩を挙げることができる。塩基性基における塩としては、たとえば、塩酸、臭化水素酸、硝酸および硫酸などの鉱酸との塩;ギ酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、アスパラギン酸、トリクロロ酢酸およびトリフルオロ酢酸などの有機カルボン酸との塩;ならびにメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メシチレンスルホン酸およびナフタレンスルホン酸などのスルホン酸との塩が挙げられる。 酸性基における塩としては、たとえば、ナトリウムおよびカリウムなどのアルカリ金属との塩;カルシウムおよびマグネシウムなどのアルカリ土類金属との塩;アンモニウム塩;ならびにトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N−ベンジル−β−フェネチルアミン、1−エフェナミンおよびN,N'−ジベンジルエチレンジアミンなどの含窒素有機塩基との塩などが挙げられる。 上記した塩の中で、好ましい塩としては、薬理学的に許容される塩が挙げられる。 一般式[1]のベンゾチオフェンオキシド誘導体またはその塩において、異性体(たとえば、光学異性体、幾何異性体および互変異性体など)が存在する場合、本発明は、それらすべての異性体を包含し、また、水和物、溶媒和物およびすべての結晶形を包含するものである。 一般式[1]のベンゾチオフェンオキシド誘導体またはその塩として、好ましいものは、以下の化合物が挙げられる。 R1が、水素原子である化合物が好ましい。 R2が、水素原子、ハロゲン原子またはアルコキシ基である化合物が好ましく、水素原子である化合物がさらに好ましい。 R3が、ヒドロキシル基である化合物が好ましい。 mが、2である化合物が好ましい。 nが、2または3である化合物が好ましく、3である化合物がさらに好ましい。 さらに、R1およびR2が、水素原子;R3が、ヒドロキシル基;mが、2;nが、3である化合物が最も好ましい。 次に、本発明のベンゾチオフェンオキシド誘導体の製造法について説明する。一般式[1]のベンゾチオフェンオキシド誘導体は、たとえば、以下の製造法で製造することができる。 一般式[2]のベンゾチオフェン誘導体を酸化することにより、一般式[1]のベンゾチオフェンオキシド誘導体を製造することができる。 一般式[2]のベンゾチオフェン誘導体は、たとえば、特許文献1に記載の方法で製造することができる。 この反応で使用される溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさないものであれば特に限定されないが、たとえば、水;塩化メチレン、クロロホルムおよびジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類;ヘキサン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;ならびにピリジンなどが挙げられ、これらは混合して使用してもよい。 この反応に用いられる酸化剤としては、たとえば、過酸化水素;過酢酸、過安息香酸およびm−クロロ過安息香酸などの過酸類;tert−ブチルペルオキシドなどのペルオキシド類;ならびにメタ過ヨウ素酸ナトリウムなどが挙げられる。酸化剤の使用量は、ベンゾチオフェン誘導体に対して1〜50倍モル、好ましくは、1〜10倍モルであればよい。 この反応は、通常、−50〜100℃、好ましくは、−20〜20℃で、30分間〜48時間実施すればよい。 一般式[1]のベンゾチオフェンオキシド誘導体またはその塩は、生体内でベンゾチオフェン誘導体またはその塩に変換され、ベンゾチオフェン誘導体またはその塩のプロドラッグとして有用である。さらに、本発明の一般式[1]のベンゾチオフェンオキシド誘導体またはその塩を投与することによって、ベンゾチオフェン誘導体またはその塩の血中濃度が急激に上昇せず、かつ、ベンゾチオフェン誘導体またはその塩の血中濃度が長時間にわたって高濃度で維持され、ベンゾチオフェンオキシド誘導体またはその塩は、ベンゾチオフェン誘導体またはその塩の持続性製剤の原薬として有用である。 一般式[1]のベンゾチオフェンオキシド誘導体またはその塩は、賦形剤、結合剤、崩壊剤、崩壊抑制剤、固結・付着防止剤、滑沢剤、吸収・吸着担体、溶剤、増量剤、等張化剤、溶解補助剤、乳化剤、懸濁化剤、増粘剤、被覆剤、吸収促進剤、ゲル化・凝固促進剤、光安定化剤、保存剤、防湿剤、乳化・懸濁・分散安定化剤、着色防止剤、脱酸素・酸化防止剤、矯味・矯臭剤、着色剤、起泡剤、消泡剤、無痛化剤、帯電防止剤、緩衝・pH調節剤などの各種医薬品添加物を配合して、経口剤(錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、丸剤、懸濁剤、乳剤、液剤およびシロップ剤など)および注射剤などの医薬品製剤とすることができる。 上記の各種製剤は、通常の方法により製剤化される。 錠剤、散剤、顆粒剤などの経口用固形製剤は、たとえば、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、無水第二リン酸カルシウム、部分アルファ化デンプン、コーンスターチおよびアルギン酸などの賦形剤;単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、エチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、水およびエタノールなどの結合剤;乾燥デンプン、アルギン酸、寒天末、デンプン、架橋ポリビニルピロリドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウムおよびデンプングリコール酸ナトリウムなどの崩壊剤;ステアリルアルコール、ステアリン酸、カカオバターおよび水素添加油などの崩壊抑制剤;ケイ酸アルミニウム、リン酸水素カルシウム、酸化マグネシウム、タルク、無水ケイ酸などの固結防止・付着防止剤;カルナバロウ、軽質無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、硬化油、硬化植物油誘導体、胡麻油、サラシミツロウ、酸化チタン、乾燥水酸化アルミニウムゲル、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、リン酸水素カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびポリエチレングリコールなどの滑沢剤;第4級アンモニウム塩、ラウリル硫酸ナトリウム、尿素および酵素などの吸収促進剤;デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムおよびコロイド状ケイ酸などの吸収・吸着担体などの固形製剤化用医薬用添加物を用い、常法により、調製すればよい。 錠剤は、必要に応じ、通常の剤皮を施した錠剤、たとえば、糖衣錠、ゼラチン被包錠、胃溶性被覆錠、腸溶性被覆錠および水溶性フィルムコーティング錠とすることができる。 カプセル剤は、上記で例示した各種の医薬品と混合し、硬質ゼラチンカプセルおよび軟質カプセルなどに充填して調製される。 これらの経口用固形製剤は、溶剤、増量剤、等張化剤、溶解補助剤、乳化剤、懸濁化剤、増粘剤などの上記した各種の液体製剤化用添加物を用い、常法により調製し、水性または油性の懸濁液、溶液、シロップおよびエリキシル剤とすることもできる。 注射剤は、たとえば、水、エチルアルコール、マクロゴール、プロピレングリコール、クエン酸、酢酸、リン酸、乳酸、乳酸ナトリウム、硫酸および水酸化ナトリウムなどの希釈剤;クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウムおよびリン酸ナトリウムなどのpH調整剤および緩衝剤;ピロ亜硫酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸、チオグリコール酸およびチオ乳酸などの安定化剤;食塩、ブドウ糖、マンニトールまたはグリセリンなどの等張化剤;カルボキシメチルセルロースナトリウム、プロピレングリコール、安息香酸ナトリウム、安息香酸ベンジル、ウレタン、エタノールアミン、グリセリンなどの溶解補助剤;グルコン酸カルシウム、クロロブタノール、ブドウ糖、ベンジルアルコールなどの無痛化剤;および局所麻酔剤などの液体製剤化用の医薬品添加物を用い、常法により、調製すればよい。 上記製剤の投与方法は、特に限定されないが、製剤の形態、患者の年齢、性別その他の条件および患者の症状の程度などに応じて適宜決定される。 本発明製剤の有効成分の投与量は、用法、患者の年齢、性別、疾患の形態およびその他の条件などに応じて適宜選択されるが、通常成人に対して1日0.1〜1000mgを1回から数回に分割して投与すればよい。 次に、本発明を実施例および試験例で説明するが、本発明はこれらに限定されない。 実施例において略号は、以下の意味を有する。 DMSO-d6:重ジメチルスルホキシド実施例1 化合物Aオキシド・マレイン酸塩の製造 1−(3−(2−(1−ベンゾチオフェン−5−イル)エトキシ)プロピル)アゼチジン−3−オール・マレイン酸塩7.00gの水35mLおよび酢酸エチル35mL混液に氷冷下、5mol/L水酸化ナトリウム水溶液を加え、pH11.7に調整した。有機層を分取し、水および飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物に塩化メチレン25mLを加え、6〜7℃でトリフルオロ酢酸6.62mLを滴下した。ついで、4〜7℃でm−クロロ過安息香酸3.65gを分割添加し、同温度で2時間攪拌した。不溶物を濾去後、残渣を水で洗浄した。濾液および洗液を合わせ、水層を分取した。有機層を水で抽出し、合わせた水層を酢酸エチルで洗浄後、酢酸エチルを加え、炭酸カリウムでpH10.5に調整した。水層を分取し、クロロホルムで抽出後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で16.1gまで濃縮した。 得られた溶液に氷冷下、マレイン酸1.20gのメタノール4.5mL溶液を滴下し、ついで酢酸エチル13.5mLを滴下し、同温度で1時間攪拌した。固形物を濾取し、1−(3−(2−(1−ベンゾチオフェン−5−イル)エトキシ)プロピル)アゼチジン−3−オール S−オキシド・マレイン酸塩3.36gを得た。1H-NMR(DMSO-d6)δ値:1.74-1.63(m,2H),2.91(t,2H,J=6.5Hz),3.11(t,2H,J=7.6Hz),3.42(t,2H,J=5.9Hz),3.63(t,2H,J=6.5Hz),3.82-3.73(m,2H),4.28-4.15(m,2H),4.51-4.41(m,1H),6.03(s,2H),6.14-6.09(m,1H),7.43-7.38(m,1H),7.43(d,1H,J=6.1Hz),7.46(d,1H,J=6.1Hz),7.57-7.53(m,1H),7.90(d,1H,J=7.6Hz)試験例1 化合物A投与液は、化合物A・マレイン酸塩を生理食塩液に溶解し、化合物A・マレイン酸塩濃度を14mg/mLに調整した。化合物Aオキシド投与液は、化合物Aオキシド・マレイン酸塩を生理食塩液に溶解し、化合物Aオキシド・マレイン酸塩濃度を14.54mg/mLに調整した。 各々の投与液を非絶食下、ラット(Crl:CD系雄性ラット、8週齢)に経口投与した。投与量は、化合物A投与群で56mg/kg、化合物Aオキシド投与群で58mg/kgとした。 投与から0.25、0.5、1、2、5、8、10および12時間後、各群についてエーテル軽麻酔下で腹部大動脈より全血をヘパリン加採血した後、放血致死させ、脳を摘出した。 採取した血液を約1600×g、4℃、10分間遠心分離して血漿を得た。得られた血漿100μLに内標準物質25ng/mLを含む蒸留水900μLおよびリン酸25μLを加えて攪拌した後、メタノールおよび蒸留水でコンディショニングした固相抽出プレート(Oasis HLB 10mgまたは30mg、Waters社製)に添加した。蒸留水2mLで固相抽出プレートを洗浄した後、アセトニトリル2mLで溶出した。溶出液を濃縮乾固した後、移動相A液に溶解し、約1600×g、4℃、10分間遠心分離した。得られた上清を液体クロマトグラフ−タンデム質量分析計に付し、各群の血漿中の化合物A濃度を求めた。 摘出した脳を25%アンモニア水/メタノール(1:49)(脳湿重量の10倍容量)でホモジナイズした後、ホモジネート2mLを約1600×g、4℃、10分間遠心分離して上清を分取した。沈渣に25%アンモニア水/メタノール(1:49)2mLを加え、約1600×g、4℃、10分間遠心分離して上清を分取した。これら上清を合わせて濃縮乾固した後、内標準物質25ng/mLを含む蒸留水1mLに溶解した。得られた溶液にリン酸25μLを加えて攪拌した後、上記の血漿と同様の固相抽出操作を行った。得られた溶出液を濃縮乾固した後、移動相A液または50%メタノールに溶解し、約1600×g、4℃、10分間遠心分離操作した。得られた上清を液体クロマトグラフ−タンデム質量分析計に付し、各群の脳内の化合物A濃度を求めた。 結果を図1および図2に示す。 化合物A・マレイン酸塩および化合物Aオキシド・マレイン酸塩投与後の化合物Aの消失半減期(T1/2)および平均滞留時間(MRT)を表1に示す。 化合物A濃度の測定には、以下の機器および条件を使用した。液体クロマトグラフ−タンデム質量分析計 液体クロマトグラフ装置:ACQUITY UPLCシステム(Waters) 質量分析計:API5000(Applied Biosystems/MDS SCIEX) カラム:ACQUITY UPLC BEH C18 1.7μm、内径2.1mm×長さ100mm(Waters) カラム温度:40℃ 移動相 移動相A液:アセトニトリル/0.2mol/Lギ酸緩衝液(pH5.5)/蒸留水(10:5:85(v/v/v)) 移動相B液:アセトニトリル/0.2mol/Lギ酸緩衝液(pH5.5)/蒸留水(90:5:5(v/v/v)) ステップグラジエント条件 0-3分:移動相A液95%、移動相B液5% 3-6分:移動相A液90%、移動相B液10% 6-9分:移動相A液85%、移動相B液15% 9-10分:移動相A液80%、移動相B液20% 10-11分:移動相A液25%、移動相B液75% 流速:0.4mL/分 内標準物質:2−[2−(ジエチルアミノ)エトキシ]−1−(1−ナフチル)エタノール塩酸塩 化合物Aオキシドの投与によって、化合物Aの体内での滞留時間が延長し、血漿中濃度および脳内濃度が長時間にわたって高濃度で維持された。 一般式[1]のベンゾチオフェンオキシド誘導体またはその塩は、ベンゾチオフェン誘導体またはその塩のプロドラッグとして有用である。さらに、一般式[1]のベンゾチオフェンオキシド誘導体またはその塩は、ベンゾチオフェン誘導体またはその塩の持続性製剤の原薬として有用である。 1−(3−(2−(1−ベンゾチオフェン−5−イル)エトキシ)プロピル)アゼチジン−3−オール S−オキシドまたはその塩。 1−(3−(2−(1−ベンゾチオフェン−5−イル)エトキシ)プロピル)アゼチジン−3−オール S−オキシドまたはその塩を含有する医薬組成物。


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