生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_植物の水ストレス評価装置及び評価方法
出願番号:2010289282
年次:2012
IPC分類:G01N 33/48,A01G 7/00,G01N 33/483,G01N 3/10


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仙波 浩雅 安西 昭裕 JP 2012137354 公開特許公報(A) 20120719 2010289282 20101227 植物の水ストレス評価装置及び評価方法 愛媛県 592134583 相原 正 100121773 仙波 浩雅 安西 昭裕 G01N 33/48 20060101AFI20120622BHJP A01G 7/00 20060101ALI20120622BHJP G01N 33/483 20060101ALI20120622BHJP G01N 3/10 20060101ALI20120622BHJP JPG01N33/48 NA01G7/00 603G01N33/483 AG01N3/10 5 1 OL 13 2G045 2G061 2G045AA31 2G045BB20 2G045FA02 2G045GC05 2G045JA02 2G061CA11 2G061CB02 2G061EA04 本発明は、植物の水ストレスの程度を予測して評価するための水ストレス評価装置に関する。 例えばトマトのような農作物は、給水量を極限状態にして栽培すると糖度の高い品質のトマト果実が栽培できることが既知の事実となっている。しかしながら、給水を行わない状態が続くと、植物は水ストレス障害を起こし、枯死に至る。 また、枯死に至らないにしても、トマトの生産量や糖度品質は、給水タイミングや給水量にも依存するために、適切な給水が行われない場合には、極端に収穫量が少なくなったり、栽培時期毎に糖度の異なるトマトが生産されたりすることがあり、これが農業経営を不安定にする要因にもなっている。 このため、従来から植物の水ストレスを適切に評価して、適切な給水を行うことで、高糖度と収穫量の確保をバランス良く達成しようとする試みがなされている。水ストレスを評価する方法としては、葉に圧力をかけて植物の水ストレスの指標である水ポテンシャルを直接測定するプレッシャーチャンバー法が広く知られており、例えば、下記特許文献1に開示されている。 しかし、プレッシャーチャンバー法では、植物の葉を取って測定する必要があり、継続的に水ストレスを評価する場合には不向きである。また、測定の度に葉を取る必要があるため、自動で水ストレスを評価することも困難である。 これに対して、下記特許文献2には、デジタルカメラで撮影して植物の葉の投影面積を測定することで、葉の萎れ具合を定量的に求め、水ストレスを判定する方法が開示されている。また、下記非特許文献1には、水ポテンシャルと茎の径の変化に高い相関があることから、レーザ等を用いた測長センサを測定対象の茎周辺に設置し、茎の径の変化量を直接的に測定することで、水ポテンシャルを予測する方法が開示されている。特開2009−109363号公報特開2007−306846号公報大石直記:トマトの養液栽培における水分ストレスに応じた給液制御システムの開発(1)―茎径変化による水分ストレスの被破壊評価―.生物環境調節, 40(1),81-89(2002) 上記特許文献2に開示された方法では、非接触で簡単に水ストレスの程度を捉えることができるが、水ストレスと葉の萎れ具合との相関がそれほど高くないため、細かな水ストレスの評価は困難である。また、最初に最も葉が広がった状態を撮影するために、不必要とも言える給液を行う必要があり、手間もかかる。 また、上記非特許文献1に開示された方法では、基本的に2点の距離を測定するために、植物の生長に伴って直径の測定位置がずれて不明確となり、測定値の信頼性が欠如することが考えられる。また、測定2点間以外の部位(例えば測定2点間を結ぶ直線の直交方向)にのみ寸法変化があった場合は、これを測定できないおそれがある。また、測長センサは一般的に高価であり、装置コストが高くなってしまう。 本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、安価で簡易な構成により植物の水ストレスを適切に評価することができる水ストレス評価装置を提供することを目的とする。 上記課題を解決するために、本発明に係る水ストレス評価装置は、植物の水ストレスを評価する水ストレス評価装置において、植物の茎に巻き付けられる弾性体と、この弾性体に固定されたひずみゲージとを有するひずみ測定センサを備えることを特徴とする。 また、本発明に係る水ストレス評価方法は、植物の水ストレスを評価する水ストレス評価装置において、植物の茎に巻き付けられる弾性体と、この弾性体に固定されたひずみゲージとを有するひずみ測定センサを備えることを特徴とする。 本発明に係る水ストレス評価装置及び水ストレス評価方法によれば、安価で簡易な構成により植物の水ストレスを適切に評価することができる。図1は、本実施形態に係る水ストレス評価装置の構成を概略的に示す模式図である。図2は、本実施形態に係るひずみ測定センサの初期テンションとひずみ感度との関係を示す図である。図3は、本実施形態に係るひずみ感度測定装置の構成を概略的に示す模式図である。図4は、本実施形態に係るひずみ測定センサの伸縮の様子を示す図である。図5は、本実施形態に係るひずみ測定センサの測定値と葉の水ポテンシャルとの相関を示す図である。図6は、本実施形態に係るひずみ測定センサの測定値と葉の水ポテンシャルとの相関を示す図である。図7は、本実施形態に係るひずみ測定センサの測定値と葉の水ポテンシャルとの相関を示す図である。図8は、本実施形態に係るひずみ測定センサの測定値と茎の径との関係を示す図である。図9は、本実施形態に係るひずみ測定センサの測定値と茎の径との関係を示す図である。図10は、変形例1に係るひずみ測定センサの温度変化による測定ひずみ値への影響を定量的に示す図である。図11は、変形例1に係る温度補正後の測定ひずみ値と葉の水ポテンシャルとの相関を示す図である。図12は、変形例1に係る温度補正後の測定ひずみ値と葉の水ポテンシャルとの相関を示す図である。図13は、変形例1に係る温度補正後の測定ひずみ値と葉の水ポテンシャルとの相関を示す図である。図14は、変形例3に係る植物工場の構成を概略的に示す模式図である。 以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る植物の水ストレス評価装置及び評価方法について説明する。図1は、本実施形態に係る水ストレス評価装置の構成を示す模式図である。 本実施形態に係る水ストレス評価装置10は、植物(トマト)の茎の周囲長の変化を、弾性体(帯状ゴム12)を介してひずみゲージ15により測定することで、植物の水ストレスを評価することを特徴とし、本実施形態では、ビニールハウス内で栽培されるトマトの茎を被測定物とする場合について説明する。 図1に示すように、本実施形態に係る水ストレス評価装置10は、トマト1の茎5の周方向に巻かれたひずみ測定センサ11、ひずみ測定センサ11の出力信号に基づいてひずみの量を示すひずみ値[με(strain)]を計測・記録するデータロガー25、データロガー25に接続されたPC30を備えている。 ひずみ測定センサ11は、両端部をクリップ18で固定されて茎5に巻き付けられる弾性体である帯状ゴム12、帯状ゴム12の表面側に接着剤により固定されたひずみゲージ15を備えている。 帯状ゴム12は、幅がひずみゲージ15を表面に貼付することができる程度、長さが茎5の周囲の長さよりも若干長い程度の形状とすれば良い。また、帯状ゴム12の厚みは、茎5の周囲長の変化によるひずみが表面側に適度に表れる程度の厚みが望ましく、例えば、0.5〜2mm程度であれば良い。ここで、本実施形態では、茎5の直径が約10mmの箇所に帯状ゴム12を巻き付けており、帯状ゴム12は、幅4mm、長さ20m、厚み1mmである。 また、帯状ゴム12にひずみゲージ15が貼付されたひずみ測定センサ11は、帯状ゴム12が変形していない元の形状から引き伸ばされて、テンションをかけた状態で茎5の周囲に巻き付けられる。このように初期テンションをかけておけば、水分が不足して茎が縮んだ場合のひずみを正しく測定することができる。 具体的には、ひずみゲージ15を貼付しただけの変形していない時のひずみ値よりも5,000με程度大きなひずみ値となる初期テンションでひずみ測定センサ11を取り付けるのが望ましい。ここで、初期テンションを5,000μεとした理由について、図2を参照しながら説明する。 図2は、ひずみ測定センサ11の初期テンションとひずみ感度の関係を示す図であり、横軸がひずみ測定センサ11の初期テンション[με]、縦軸がひずみ感度[με/με]を示している。ここで、ひずみ感度とは、帯状ゴム12を介したひずみゲージ15の間接的な測定によるひずみと、茎5の実際の周方向のひずみとの相関を示す指標であり、ひずみ感度が高ければ、間接的な測定でも茎5のひずみを適切に測定できること意味する。 なお、本実施形態では、図3に示したひずみ感度測定装置50によりひずみ感度を測定しており、被試験片(ここでは、金属リング54)の周方向ひずみと、被試験片54に巻き付けられたひずみ測定センサ11のひずみゲージ15による測定値(ひずみ値)との比をひずみ感度としている。なお、金属リング54の周方向ひずみは、予め金属リング54の表面(側面)に直接ひずみゲージ15を貼り付けて直接測定したひずみ値を採用している。 図3に示すように、ひずみ感度測定装置50は、1°のテーパが付いた逆円錐台形状のステンレス棒53、直径15mmで厚さ2mmの円筒形状の金属(銅合金製)リング54、リング保持具55、金属リング54に巻き付けられたひずみ測定センサ11、データロガー25を備えている。なお、ひずみ感度測定装置50において、上記水ストレス評価装置10と同じ部材には同じ番号を付して、詳細な説明を省略する。 ステンレス棒53は、リング保持具55に保持された金属リング54の中に挿入されており、ステンレス棒53の側面には1°のテーパが付いているため、ステンレス棒54を下方に準静的に押し込むと、金属リング54の内面が外側に向けて押圧され、金属リング54の表面にひずみが発生すると共に、ステンレス棒54を上方に抜く際にはこの押圧が無くなるため逆のひずみが発生する。 そして、このステンレス棒54を挿したり抜いたりする際のひずみ感度が高ければ、ひずみ測定センサ11の測定値が金属リング54の実際のひずみ値に近づくことになる。図2によれば、初期テンションが5,000μεあたりにおいて、ひずみ感度が0.10と最も高くなっており、金属リング54の実際のひずみの約10分の1の量のひずみを帯状ゴム12に貼付したひずみゲージ15で測定できることが分かる。 よって、本実施形態では、ひずみ測定センサ11を取り付ける際の初期テンションを5,000μεとしている。もちろん、図2を参照すれば、初期テンションが5,000με以外であっても十分なひずみ感度を得ることができるのは明らかであり、本実施形態に係る条件下では、初期テンションが3,000〜9,000μεであれば、十分なμε感度を得ることができる。 続いて、ひずみ感度について、図4を参照しながら、理論的に考察してみる。図4は、本実施形態に係るひずみ測定センサの伸縮の様子を示す図であり、図4(a)は、ひずみ測定センサ11がまだ取り付けられておらず、ひずみゲージ15が貼付された帯状ゴム12が伸びていない状態の図、図4(b)は、ひずみ測定センサ11が茎5に取り付けられ、帯状ゴム12が伸びた状態の図、図4(c)は、茎5が水分不足により細くなり、帯状ゴム12が図4(b)の状態より縮んだ状態の図、図4(d)は、茎5が生長して太くなり、帯状ゴム12が図4(b)の状態より伸びた状態の図、図4(e)は、ひずみ測定センサ11をバネに例えた場合の模式図を示している。 ひずみ測定センサ11自体をバネと捉えると、その構造は、ひずみゲージ15が装着されている部分(B部分)では、帯状ゴム12によるバネと、ひずみゲージ15を構成する樹脂フィルムによるバネとが並列になり、これと、帯状ゴム12のみのA部分の帯状ゴム12によるバネとが直列に接続される構造となる。 帯状ゴム12のヤング率をEr、断面積をAr、ひずみゲージ15のベースフィルムのヤング率をEf、断面積をAfとすると、A部分(帯状ゴム12のみ)の伸びに対するB部分(ひずみゲージ15の樹脂フィルム+帯状ゴム12)の伸びの比Hは、H=ArEr/(ArEr+AfEf)となる。 したがって、ひずみゲージ15で測定されるひずみ値は、帯状ゴム12の幅や長さには依存せず、帯状ゴム12及びひずみゲージ15の樹脂フィルムの柔らかさと断面積に依存することになる。本実施形態では、帯状ゴム12はクロロプレンゴム、ひずみゲージ15のベースフィルムはポリイミドであり、材料物性値と断面積を上式に代入すると、0.1よりもやや小さな値となる。この値は、上述したひずみ感度とほぼ同じ値であり、理論的にも帯状ゴム12を介在させることで、被測定物に生じるひずみの約10分の1のひずみ値がひずみゲージ15の測定値となることが分かり、上式をセンサ設計上、有効に用いることができる。 続いて、このような初期テンションをかけた帯状ゴム12の取り付けにあたっては、茎5に巻かれて重ね合わされた帯状ゴム12の両端部をダブルクリップ(ターンクリップ)18により挟むことで固定・設置している。 もちろん、帯状ゴム12の設置にあたっては、所定のテンションをかけた状態で帯状ゴム12を茎5の周りに巻き付けて固定・設置できる固定具であれば、ダブルクリップ18以外の固定具を適宜用いることができる。また、帯状ゴム12を茎5の周囲長よりも短い環形状とし、固定具を使わないで茎5周りに取り付けるようにしても良い。帯状ゴム12を巻き付ける箇所は、近接する二つの葉柄の中間辺りに位置する主茎の部分が望ましい。 また、本実施形態では、帯状ゴム12として、耐候性に優れるクロロプレンゴム(商品名:ネオプレンゴム(登録商標))のシートを用いているが、シリコンゴムやブチルゴム等の他のゴム素材のシートや、均一な伸びが得られるスポンジシートのような素材等、茎5の径の変化に応じて伸び縮みする他の弾性材料を適宜用いることができる。なお、帯状ゴム12として使用する弾性体としては、ヤング率(縦弾性係数)が数MPaオーダーのものを用いるのが望ましい。 ひずみゲージ15としては、共和電業社製の大ひずみゲージ(KFEM)を使用し、ひずみゲージ15は、帯状ゴム12の延在方向(周方向)のひずみを測定すべく、ゲージの延在方向が帯状ゴム12の延在方向と平行になるように、帯状ゴム12の表面に接着剤により接着固定されている。この接着剤としては、接着力の経時変化が小さく、長期間安定した接着強度を維持できる接着剤を使用するのが望ましい。 茎5の径が変化して茎5の周囲長が変化すると、茎5の周囲に圧着して巻き付けられている帯状ゴム12が変形し、ひずみが発生する。このひずみの大きさをひずみ測定センサ11によって測定することで、間接的に茎5の周囲長の変化を検知することが可能となる。 データロガー25は、リード線20を介してひずみゲージ15の出力信号を受信し、この出力信号に基づいてひずみ値を計測して、内部のメモリに記録する。データロガー25に接続されたPC30は、データロガー25に記録されているひずみ値を取り込むことが可能であり、測定されたひずみ値に対して、後述する温度補正処理等を施すことができ、温度補正手段として機能する。 以上、水ストレス評価装置10の構成について説明したが、このような構成によれば、ひずみゲージ15により、帯状ゴム12の延在方向のひずみを計測することで、間接的に茎5の周囲長の変化を測定することができる。水が不足して植物に水ストレスがかかると茎が細くなるため、茎5の周囲長の変化を測定することで、植物にかかっている水ストレスの大きさを評価することができる。 続いて、水ストレス評価装置10を用いた測定結果により、水ストレスを適切に評価できることを、図5乃至図7を参照しながら説明する。図5、図6及び図7は、ひずみ測定センサによる測定値と葉の水ポテンシャルとの相関を示す図である。ここで、本実験では、ひずみゲージ15として、上述した大ひずみゲージだけでなく、共和電業社製のプラスチック用ひずみゲージ(KFP)を用いた計測も行った。 図5及び図6がプラスチック用ひずみゲージによる測定結果であり、図7が大ひずみゲージによる測定結果を示している。また、図5が通常よりも給水量を少なくして栽培されているトマトに関する図、図6及び図7が通常の給水量により栽培されているトマトに関する図である。 図5乃至図7では、水ストレス評価装置10により間接的に測定した茎5のひずみ値[με]を横軸に、この測定と一緒に採取した葉6のプレッシャーチャンバー法により測定した水ポテンシャル[MPa]を縦軸にしてプロットしている。 本実験によれば、図5に示す給水小区における両者の決定係数は0.5535、図6に示す通常給水区における両者の決定係数は0.6605、図7に示す通常給水区における両者の決定係数は0.3592と、ある程度高い値になっており、この結果は、水ストレス評価装置10により、植物の水ストレスの度合いを適切に評価できることを示唆している。 次に、水ストレス評価装置10による測定値と茎5の径変化との関係を、図8及び図9を参照しながら説明する。図8は横軸を時間、縦軸をトマト1の茎径[mm]及びひずみ測定センサ11の測定値[με]として、両者の関係を示す図であり、図9は、横軸を茎径[mm]、縦軸をひずみ測定センサ11の測定値[με]とし、さらに、測定開始日からの経過日数をパラメータとして、両者の関係を示す図である。 この実験では、茎径が8mm弱に育ったものを使用し、茎径は、第一葉柄よりやや下の主径の適当な位置で差動トランスを利用した変位センサによる接触法により測定した。水ストレス評価装置10のひずみ測定センサ11は、上記変位センサに近い場所の主径に5,000μεの初期テンションをかけた状態で設置した。また、ひずみ測定センサ11を巻き付けた最初のひずみ値をゼロとし、それ以降の変化量を測定した。両者とも5分ごとに測定を行い、5日間の変遷を測定した。 また、被測定物であるトマト1は、研究室内で栽培しているものであり、メタルハライドランプにより光を照射する時間を制御するようにした。具体的には、午前6時〜午後6時にライトをつけて光を照射し、午後6時〜午前6時はライトを消すように制御した。また、毎日午前9時25分に約200mlの養液を自動的に給液するようにした。 図8に示すように、間接的に茎5のひずみを測定するひずみ測定センサ11の測定値が茎5の径と高い相関があることが分かる。このことも、水ストレス評価装置10の測定により、植物の水ストレスの度合いを適切に評価できることを示唆している。 また、トマト1に光が当たり始める午前6時以降、茎径が減少し続け、それは給液が開始されるまで続く。これは、茎5内の水分が光合成に使用されて減少するためである。そして、午前9時25分の給液により、茎径が増加し始め、ほぼ元の太さまで回復している。 図9において、菱形でプロットした線が2日目の結果、四角でプロットしたのが3日目の結果、三角でプロットしたのが4日目の結果、丸でプロットしたのが5日目の結果である。なお、測定1日目については、茎径の変化が十分に大きくないことから割愛した。 同図に示すように、2日目以降の茎径が減少する過程においては、茎径変化に対する測定ひずみ値変化が曲線を描いているのがわかる。一方、給液後の茎径増加過程においては、茎径が減少する過程でたどった行程と同じ逆向きの行程をとらない(ヒステリシスを描く)ことがわかる。 これは、急激に径が増加することが原因で起こるミスマッチであり、茎5に張りついた帯状ゴム12が均一に伸びるのに時間がかかるためであると思われる。しかしながら、1時間程度で茎径と茎ひずみ茎径の関係は、元の状態に戻ることが確認されているため、茎径の変化が減少する過程を評価することに対しては特に問題はない。 以上、本実施形態について詳細に説明したが、本実施形態によれば、安価な帯状ゴム12とひずみゲージ15からなる簡易な構成により植物の水ストレスを適切に評価することができる。また、本実施形態では、茎5の周囲に直接ひずみ測定センサ11を巻き付けており、茎が生長した場合にセンサも一緒に移動するため、測定位置がずれることなく、正確な測定を継続させることができる。 また、本実施形態では、茎5の周囲に巻き付けた帯状ゴム12のひずみを測定、すなわち茎5の周方向のひずみ積分値を測定しており、茎5周りの一部のみが収縮した場合でも検知することが可能であり、水ストレスを適切に評価することが可能である。 また、市販されるひずみゲージの多くは、2%(20,000με)までのひずみを測定できるものであり、植物の水ストレスによる茎径変化は2%を超えることがあり得る。したがって、一般的なひずみゲージでは、茎5の周方向ひずみを直接測定できなくなるおそれがある。これに対して、本実施形態では、帯状ゴム12を介して間接的に茎5の周方向のひずみを測定することで、直接茎5のひずみを直接測定する場合と比較して、測定されるひずみ値が10分の1程度の値となっており、安価な一般的なひずみゲージで十分に計測可能である。 また、本実施形態に係るひずみ測定センサ11は、容易に脱着可能であり、繰り返し使用したり、ひずみ値が大きくなった場合にはいったん取り外して帯状ゴム12の初期テンションを再調整したりすることができ、非常に経済的である。 続いて、本実施形態の変形例1について、図10乃至図13を参照しながら説明する。ひずみ測定センサ11は、温度変化によっても測定値に変化が生じてしまう。よって、本変形例1では、温度変化によりひずみ測定への悪影響を取り除くように構成したことを特徴としている。なお、この温度補正は、データロガー25から測定ひずみ値を取り込んだPC30において行われる。 図10は、変形例1に係るひずみ測定センサの温度変化による測定ひずみ値への影響(ここでは、熱出力とする)を定量的に示す図であり、横軸がひずみ測定ゲージの初期テンション[με]、縦軸が熱出力を示している。図11乃至図13は、変形例1に係る温度補正後の測定ひずみ値と水ポテンシャルとの相関を示す図である。ここで、本変形例1においても、ひずみゲージ15として、大ひずみゲージだけでなく、共和電業社製のプラスチック用ひずみゲージ(KFP)を用いた計測も行った。 図11及び図12がプラスチック用ひずみゲージによる測定結果であり、図13が大ひずみゲージによる測定結果を示している。また、図11が給水小区のトマトに関する図、図12及び図13が通常給水区のトマトに関する図である。 図10の実験では、銅合金製円柱にひずみ測定センサ11を取り付けた物を、50℃に温めた熱容量の十分なお湯の中に入れ、氷を少量ずつ加えながらかき混ぜてゆっくりと10℃まで水の温度を下げたときの、帯状ゴム12の温度と測定ひずみ値の測定結果から導き出される熱出力(με/℃:1℃変化した場合に変化するひずみ値)を求めている。 また、本実験では、ひずみ測定センサ11を銅合金製円柱に巻き付ける際の初期テンションを順次変更しながら熱出力を測定した。なお、温度変化に対する測定ひずみ値の変化は全ての実験において線形で表された。図10では、横軸が初期テンション[με]、縦軸が熱出力[με/℃]を示している。 同図に示すように、ひずみ測定センサ11の初期テンションと熱出力とは線形関係にあることが分かる。また、初期テンションは、ひずみ測定センサ11の取り付け時に測定可能である。したがって、本変形例1では、上述した図5乃至図7に示した測定ひずみ値に対して、初期テンションに相当する熱出力に基づいて温度補正を行うことで、温度変化によるひずみ測定値への影響を除外するようにしている。 図11乃至図13に示すように、本変形例1による温度補正を行うと、図5乃至図7に示した測定値をそのままプロットした場合と比べて、補正ひずみ値と葉の水ポテンシャルとの相関が高くなっている。具体的には、図11に示す給水小区では、決定係数が補正前の0.5535から0.6688に、図12に示す通常給水区でも、決定係数が補正前の0.6605から0.8180に、図13に示す通常給水区でも、決定係数が補正前の0.3592から0.7445と高くなっており、本変形例1による温度補正を行うことで、水ストレス評価装置10の測定により、植物の水ストレスの度合いをより適切に評価することができることが分かり、特に、大ひずみゲージを用いる場合には、温度補正による効果が多大である。 続いて、本実施形態の変形例2について、説明する。上記変形例1では、補正式を用いた計算により温度補正を行ったが、本変形例2では、温度補正手段としての温度補正用のひずみ測定センサを、測定条件が同じとなるようにひずみ測定センサ11の側に設置し、この温度補正用ひずみ測定センサの出力値を用いて温度補正することを特徴としている。 ひずみ測定センサ11の側に設置される補正用ひずみ測定センサは、温度が変化しても茎5と比較してほとんど径が変化しない円柱体(例えば、金属製)に、ひずみ測定センサ11と同じ初期テンションで取り付けられる。そうすると、補正用ひずみ測定センサの測定値は、温度や湿度等の環境変化にのみ起因して変化したひずみ値を表すことになる。 そして、ひずみ測定センサ11の測定ひずみ値から、補正用ひずみ測定センサの環境変化分のひずみ値を引き算することで、温度変化だけでなく、湿度変化等を含む環境変化によるひずみ値の変化分を取り除く外乱補正を行うことができる。加えて、本変形例1では、温度補正のための複雑な計算器等が必要無く、低コストでリアルタイムに外乱補正(温度補正を含む)を行うことが可能である。 続いて、本実施形態の変形例3について、図14を参照しながら説明する。本変形例3では、水ストレス評価装置10を用いて自動的に給液制御を行う植物工場を構成した。図14は、変形例3に係る植物工場の構成を概略的に示す模式図である。 同図に示すように、本変形例3に係る植物工場は、ビニールハウスの中でトマト1を栽培するための工場であり、水ストレス評価装置10を構成するひずみ測定センサ11、リード線20、データロガー25及びPC30に加えて、給液管60、バルブ61、制御用DIOボード65を備えている。 本植物工場においては、ひずみ測定センサ11の測定値に基づき、糖度が高いトマトを収穫でき、且つ、所望の収穫量を確保できるように、バルブ61の開閉が制御される。本変形例3によれば、ひずみ測定センサ11のひずみ測定値からトマト1の適切な水ストレスを評価することができ、この評価に基づき給液のタイミング及び量を自動的に制御することで、生産量の制御や、糖度等の果実品質の安定を実現することができる。 なお、以上、変形例を含めて本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施形態は上述した形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、植物としてトマトを対象にしたが、ぶどうなどの他の植物も適宜対象とすることができる。また、植物には木が含まれ、本明細書において茎には木の幹が含まれる。 なお、上述したように、ひずみ測定センサは、温度や湿度等の影響を受けやすいため、本発明の測定対象となる植物は、土耕栽培や家庭菜園等の露地栽培ではない、外と仕切られ、外部からの雨等の水の浸入がない栽培地(ガラスハウス、パイプハウス等)で栽培されている植物であることが望ましいが、露地栽培においても使用することはできる。 また、上記実施形態では、茎に巻き付ける弾性体として帯状ゴムを例に挙げて説明したが、茎の周方向のひずみを間接的に測定できる弾性体であれば、適宜他の形状や材料の物を用いることができる。 また、上記実施形態においては、ゴムシートに大ひずみゲージを接着した場合について述べているが、これに代えて、接着可能な特定材料専用のひずみゲージを使用してもよい。また、ゴムシートの留め具として、市販されているダブルクリップを用いた場合について述べているが、これに代えて、他の道具を用いて留めてもよい。 5 茎 10 水ストレス評価装置 11 ひずみ測定センサ 12 帯状ゴム 15 ひずみゲージ 18 クリップ 20 リード線 25 データロガー 30 PC 植物の水ストレスを評価する水ストレス評価装置において、 植物の茎に巻き付けられる弾性体と、この弾性体に固定されたひずみゲージとを有するひずみ測定センサを備えることを特徴とする水ストレス評価装置。 前記ひずみ測定センサは、引き伸ばした状態で茎に巻き付けられることを特徴とする請求項1記載の水ストレス評価装置。 前記ひずみゲージは、前記弾性体の前記茎周り方向のひずみを測定するように、前記弾性体に固定されていることを特徴とする請求項1又は2記載の水ストレス評価装置。 前記ひずみ測定センサの出力に対して、少なくとも温度補正処理を行う外乱補正手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3何れか1項に記載の水ストレス評価装置。 植物の水ストレスを評価する水ストレス評価方法において、 ひずみゲージが固定された弾性体を植物の茎に巻き付けて、前記ひずみゲージにより前記弾性体を介して茎の周方向のひずみを間接的に測定することで、植物の水ストレスを評価することを特徴とする水ストレス評価方法。 【課題】安価で簡易な構成により植物の水ストレスを適切に評価することができる水ストレス評価装置を提供する。 【解決手段】本実施形態に係る水ストレス評価装置10は、植物1の茎5に巻き付けられる弾性体12と、この弾性体12に固定されたひずみゲージ15とを有するひずみ測定センサ11と、ひずみ測定センサ11の出力信号に基づいてひずみの量を示すひずみ値[με]を計測・記録するデータロガー25と、データロガー25に接続されたPC30とを備え、弾性体12を介して茎5の周方向ひずみを間接的に測定することで、植物1の水ストレスを評価する。【選択図】図1


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特許公報(B2)_植物の水ストレス評価装置及び評価方法

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_植物の水ストレス評価装置及び評価方法
出願番号:2010289282
年次:2015
IPC分類:G01N 33/48,A01G 7/00,G01N 33/483,G01N 3/10


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仙波 浩雅 安西 昭裕 JP 5717026 特許公報(B2) 20150327 2010289282 20101227 植物の水ストレス評価装置及び評価方法 愛媛県 592134583 相原 正 100121773 仙波 浩雅 安西 昭裕 20150513 G01N 33/48 20060101AFI20150423BHJP A01G 7/00 20060101ALI20150423BHJP G01N 33/483 20060101ALI20150423BHJP G01N 3/10 20060101ALI20150423BHJP JPG01N33/48 NA01G7/00 603G01N33/483 AG01N3/10 G01N 33/48 A01G 7/00 G01N 3/10 G01N 33/483 特開平08−172912(JP,A) 特開平05−026607(JP,A) 特開平07−289082(JP,A) 3 2012137354 20120719 13 20131224 赤坂 祐樹 本発明は、植物の水ストレスの程度を予測して評価するための水ストレス評価装置に関する。 例えばトマトのような農作物は、給水量を極限状態にして栽培すると糖度の高い品質のトマト果実が栽培できることが既知の事実となっている。しかしながら、給水を行わない状態が続くと、植物は水ストレス障害を起こし、枯死に至る。 また、枯死に至らないにしても、トマトの生産量や糖度品質は、給水タイミングや給水量にも依存するために、適切な給水が行われない場合には、極端に収穫量が少なくなったり、栽培時期毎に糖度の異なるトマトが生産されたりすることがあり、これが農業経営を不安定にする要因にもなっている。 このため、従来から植物の水ストレスを適切に評価して、適切な給水を行うことで、高糖度と収穫量の確保をバランス良く達成しようとする試みがなされている。水ストレスを評価する方法としては、葉に圧力をかけて植物の水ストレスの指標である水ポテンシャルを直接測定するプレッシャーチャンバー法が広く知られており、例えば、下記特許文献1に開示されている。 しかし、プレッシャーチャンバー法では、植物の葉を取って測定する必要があり、継続的に水ストレスを評価する場合には不向きである。また、測定の度に葉を取る必要があるため、自動で水ストレスを評価することも困難である。 これに対して、下記特許文献2には、デジタルカメラで撮影して植物の葉の投影面積を測定することで、葉の萎れ具合を定量的に求め、水ストレスを判定する方法が開示されている。また、下記非特許文献1には、水ポテンシャルと茎の径の変化に高い相関があることから、レーザ等を用いた測長センサを測定対象の茎周辺に設置し、茎の径の変化量を直接的に測定することで、水ポテンシャルを予測する方法が開示されている。特開2009−109363号公報特開2007−306846号公報大石直記:トマトの養液栽培における水分ストレスに応じた給液制御システムの開発(1)―茎径変化による水分ストレスの被破壊評価―.生物環境調節, 40(1),81-89(2002) 上記特許文献2に開示された方法では、非接触で簡単に水ストレスの程度を捉えることができるが、水ストレスと葉の萎れ具合との相関がそれほど高くないため、細かな水ストレスの評価は困難である。また、最初に最も葉が広がった状態を撮影するために、不必要とも言える給液を行う必要があり、手間もかかる。 また、上記非特許文献1に開示された方法では、基本的に2点の距離を測定するために、植物の生長に伴って直径の測定位置がずれて不明確となり、測定値の信頼性が欠如することが考えられる。また、測定2点間以外の部位(例えば測定2点間を結ぶ直線の直交方向)にのみ寸法変化があった場合は、これを測定できないおそれがある。また、測長センサは一般的に高価であり、装置コストが高くなってしまう。 本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、安価で簡易な構成により植物の水ストレスを適切に評価することができる水ストレス評価装置を提供することを目的とする。 上記課題を解決するために、本発明に係る水ストレス評価装置は、植物の水ストレスを評価する水ストレス評価装置において、植物の茎の周方向に巻き付けられる帯状ゴムシートと、この帯状ゴムシートを介して前記茎の周囲長の変化を間接的に検知するように前記帯状ゴムシートに固定されたひずみゲージと、を有するひずみ測定センサを備えることを特徴とする。 また、本発明に係る水ストレス評価方法は、植物の水ストレスを評価する水ストレス評価方法において、ひずみゲージが固定された帯状ゴムシートを植物の茎の周方向に巻き付けて、前記ひずみゲージにより前記帯状ゴムシートを介して前記茎の周囲長の変化を間接的に検知することで、植物の水ストレスを評価することを特徴とする。 本発明に係る水ストレス評価装置及び水ストレス評価方法によれば、安価で簡易な構成により植物の水ストレスを適切に評価することができる。図1は、本実施形態に係る水ストレス評価装置の構成を概略的に示す模式図である。図2は、本実施形態に係るひずみ測定センサの初期テンションとひずみ感度との関係を示す図である。図3は、本実施形態に係るひずみ感度測定装置の構成を概略的に示す模式図である。図4は、本実施形態に係るひずみ測定センサの伸縮の様子を示す図である。図5は、本実施形態に係るひずみ測定センサの測定値と葉の水ポテンシャルとの相関を示す図である。図6は、本実施形態に係るひずみ測定センサの測定値と葉の水ポテンシャルとの相関を示す図である。図7は、本実施形態に係るひずみ測定センサの測定値と葉の水ポテンシャルとの相関を示す図である。図8は、本実施形態に係るひずみ測定センサの測定値と茎の径との関係を示す図である。図9は、本実施形態に係るひずみ測定センサの測定値と茎の径との関係を示す図である。図10は、変形例1に係るひずみ測定センサの温度変化による測定ひずみ値への影響を定量的に示す図である。図11は、変形例1に係る温度補正後の測定ひずみ値と葉の水ポテンシャルとの相関を示す図である。図12は、変形例1に係る温度補正後の測定ひずみ値と葉の水ポテンシャルとの相関を示す図である。図13は、変形例1に係る温度補正後の測定ひずみ値と葉の水ポテンシャルとの相関を示す図である。図14は、変形例3に係る植物工場の構成を概略的に示す模式図である。 以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る植物の水ストレス評価装置及び評価方法について説明する。図1は、本実施形態に係る水ストレス評価装置の構成を示す模式図である。 本実施形態に係る水ストレス評価装置10は、植物(トマト)の茎の周囲長の変化を、弾性体(帯状ゴム12)を介してひずみゲージ15により測定することで、植物の水ストレスを評価することを特徴とし、本実施形態では、ビニールハウス内で栽培されるトマトの茎を被測定物とする場合について説明する。 図1に示すように、本実施形態に係る水ストレス評価装置10は、トマト1の茎5の周方向に巻かれたひずみ測定センサ11、ひずみ測定センサ11の出力信号に基づいてひずみの量を示すひずみ値[με(strain)]を計測・記録するデータロガー25、データロガー25に接続されたPC30を備えている。 ひずみ測定センサ11は、両端部をクリップ18で固定されて茎5に巻き付けられる弾性体である帯状ゴム12、帯状ゴム12の表面側に接着剤により固定されたひずみゲージ15を備えている。 帯状ゴム12は、幅がひずみゲージ15を表面に貼付することができる程度、長さが茎5の周囲の長さよりも若干長い程度の形状とすれば良い。また、帯状ゴム12の厚みは、茎5の周囲長の変化によるひずみが表面側に適度に表れる程度の厚みが望ましく、例えば、0.5〜2mm程度であれば良い。ここで、本実施形態では、茎5の直径が約10mmの箇所に帯状ゴム12を巻き付けており、帯状ゴム12は、幅4mm、長さ20m、厚み1mmである。 また、帯状ゴム12にひずみゲージ15が貼付されたひずみ測定センサ11は、帯状ゴム12が変形していない元の形状から引き伸ばされて、テンションをかけた状態で茎5の周囲に巻き付けられる。このように初期テンションをかけておけば、水分が不足して茎が縮んだ場合のひずみを正しく測定することができる。 具体的には、ひずみゲージ15を貼付しただけの変形していない時のひずみ値よりも5,000με程度大きなひずみ値となる初期テンションでひずみ測定センサ11を取り付けるのが望ましい。ここで、初期テンションを5,000μεとした理由について、図2を参照しながら説明する。 図2は、ひずみ測定センサ11の初期テンションとひずみ感度の関係を示す図であり、横軸がひずみ測定センサ11の初期テンション[με]、縦軸がひずみ感度[με/με]を示している。ここで、ひずみ感度とは、帯状ゴム12を介したひずみゲージ15の間接的な測定によるひずみと、茎5の実際の周方向のひずみとの相関を示す指標であり、ひずみ感度が高ければ、間接的な測定でも茎5のひずみを適切に測定できること意味する。 なお、本実施形態では、図3に示したひずみ感度測定装置50によりひずみ感度を測定しており、被試験片(ここでは、金属リング54)の周方向ひずみと、被試験片54に巻き付けられたひずみ測定センサ11のひずみゲージ15による測定値(ひずみ値)との比をひずみ感度としている。なお、金属リング54の周方向ひずみは、予め金属リング54の表面(側面)に直接ひずみゲージ15を貼り付けて直接測定したひずみ値を採用している。 図3に示すように、ひずみ感度測定装置50は、1°のテーパが付いた逆円錐台形状のステンレス棒53、直径15mmで厚さ2mmの円筒形状の金属(銅合金製)リング54、リング保持具55、金属リング54に巻き付けられたひずみ測定センサ11、データロガー25を備えている。なお、ひずみ感度測定装置50において、上記水ストレス評価装置10と同じ部材には同じ番号を付して、詳細な説明を省略する。 ステンレス棒53は、リング保持具55に保持された金属リング54の中に挿入されており、ステンレス棒53の側面には1°のテーパが付いているため、ステンレス棒54を下方に準静的に押し込むと、金属リング54の内面が外側に向けて押圧され、金属リング54の表面にひずみが発生すると共に、ステンレス棒54を上方に抜く際にはこの押圧が無くなるため逆のひずみが発生する。 そして、このステンレス棒54を挿したり抜いたりする際のひずみ感度が高ければ、ひずみ測定センサ11の測定値が金属リング54の実際のひずみ値に近づくことになる。図2によれば、初期テンションが5,000μεあたりにおいて、ひずみ感度が0.10と最も高くなっており、金属リング54の実際のひずみの約10分の1の量のひずみを帯状ゴム12に貼付したひずみゲージ15で測定できることが分かる。 よって、本実施形態では、ひずみ測定センサ11を取り付ける際の初期テンションを5,000μεとしている。もちろん、図2を参照すれば、初期テンションが5,000με以外であっても十分なひずみ感度を得ることができるのは明らかであり、本実施形態に係る条件下では、初期テンションが3,000〜9,000μεであれば、十分なμε感度を得ることができる。 続いて、ひずみ感度について、図4を参照しながら、理論的に考察してみる。図4は、本実施形態に係るひずみ測定センサの伸縮の様子を示す図であり、図4(a)は、ひずみ測定センサ11がまだ取り付けられておらず、ひずみゲージ15が貼付された帯状ゴム12が伸びていない状態の図、図4(b)は、ひずみ測定センサ11が茎5に取り付けられ、帯状ゴム12が伸びた状態の図、図4(c)は、茎5が水分不足により細くなり、帯状ゴム12が図4(b)の状態より縮んだ状態の図、図4(d)は、茎5が生長して太くなり、帯状ゴム12が図4(b)の状態より伸びた状態の図、図4(e)は、ひずみ測定センサ11をバネに例えた場合の模式図を示している。 ひずみ測定センサ11自体をバネと捉えると、その構造は、ひずみゲージ15が装着されている部分(B部分)では、帯状ゴム12によるバネと、ひずみゲージ15を構成する樹脂フィルムによるバネとが並列になり、これと、帯状ゴム12のみのA部分の帯状ゴム12によるバネとが直列に接続される構造となる。 帯状ゴム12のヤング率をEr、断面積をAr、ひずみゲージ15のベースフィルムのヤング率をEf、断面積をAfとすると、A部分(帯状ゴム12のみ)の伸びに対するB部分(ひずみゲージ15の樹脂フィルム+帯状ゴム12)の伸びの比Hは、H=ArEr/(ArEr+AfEf)となる。 したがって、ひずみゲージ15で測定されるひずみ値は、帯状ゴム12の幅や長さには依存せず、帯状ゴム12及びひずみゲージ15の樹脂フィルムの柔らかさと断面積に依存することになる。本実施形態では、帯状ゴム12はクロロプレンゴム、ひずみゲージ15のベースフィルムはポリイミドであり、材料物性値と断面積を上式に代入すると、0.1よりもやや小さな値となる。この値は、上述したひずみ感度とほぼ同じ値であり、理論的にも帯状ゴム12を介在させることで、被測定物に生じるひずみの約10分の1のひずみ値がひずみゲージ15の測定値となることが分かり、上式をセンサ設計上、有効に用いることができる。 続いて、このような初期テンションをかけた帯状ゴム12の取り付けにあたっては、茎5に巻かれて重ね合わされた帯状ゴム12の両端部をダブルクリップ(ターンクリップ)18により挟むことで固定・設置している。 もちろん、帯状ゴム12の設置にあたっては、所定のテンションをかけた状態で帯状ゴム12を茎5の周りに巻き付けて固定・設置できる固定具であれば、ダブルクリップ18以外の固定具を適宜用いることができる。また、帯状ゴム12を茎5の周囲長よりも短い環形状とし、固定具を使わないで茎5周りに取り付けるようにしても良い。帯状ゴム12を巻き付ける箇所は、近接する二つの葉柄の中間辺りに位置する主茎の部分が望ましい。 また、本実施形態では、帯状ゴム12として、耐候性に優れるクロロプレンゴム(商品名:ネオプレンゴム(登録商標))のシートを用いているが、シリコンゴムやブチルゴム等の他のゴム素材のシートや、均一な伸びが得られるスポンジシートのような素材等、茎5の径の変化に応じて伸び縮みする他の弾性材料を適宜用いることができる。なお、帯状ゴム12として使用する弾性体としては、ヤング率(縦弾性係数)が数MPaオーダーのものを用いるのが望ましい。 ひずみゲージ15としては、共和電業社製の大ひずみゲージ(KFEM)を使用し、ひずみゲージ15は、帯状ゴム12の延在方向(周方向)のひずみを測定すべく、ゲージの延在方向が帯状ゴム12の延在方向と平行になるように、帯状ゴム12の表面に接着剤により接着固定されている。この接着剤としては、接着力の経時変化が小さく、長期間安定した接着強度を維持できる接着剤を使用するのが望ましい。 茎5の径が変化して茎5の周囲長が変化すると、茎5の周囲に圧着して巻き付けられている帯状ゴム12が変形し、ひずみが発生する。このひずみの大きさをひずみ測定センサ11によって測定することで、間接的に茎5の周囲長の変化を検知することが可能となる。 データロガー25は、リード線20を介してひずみゲージ15の出力信号を受信し、この出力信号に基づいてひずみ値を計測して、内部のメモリに記録する。データロガー25に接続されたPC30は、データロガー25に記録されているひずみ値を取り込むことが可能であり、測定されたひずみ値に対して、後述する温度補正処理等を施すことができ、温度補正手段として機能する。 以上、水ストレス評価装置10の構成について説明したが、このような構成によれば、ひずみゲージ15により、帯状ゴム12の延在方向のひずみを計測することで、間接的に茎5の周囲長の変化を測定することができる。水が不足して植物に水ストレスがかかると茎が細くなるため、茎5の周囲長の変化を測定することで、植物にかかっている水ストレスの大きさを評価することができる。 続いて、水ストレス評価装置10を用いた測定結果により、水ストレスを適切に評価できることを、図5乃至図7を参照しながら説明する。図5、図6及び図7は、ひずみ測定センサによる測定値と葉の水ポテンシャルとの相関を示す図である。ここで、本実験では、ひずみゲージ15として、上述した大ひずみゲージだけでなく、共和電業社製のプラスチック用ひずみゲージ(KFP)を用いた計測も行った。 図5及び図6がプラスチック用ひずみゲージによる測定結果であり、図7が大ひずみゲージによる測定結果を示している。また、図5が通常よりも給水量を少なくして栽培されているトマトに関する図、図6及び図7が通常の給水量により栽培されているトマトに関する図である。 図5乃至図7では、水ストレス評価装置10により間接的に測定した茎5のひずみ値[με]を横軸に、この測定と一緒に採取した葉6のプレッシャーチャンバー法により測定した水ポテンシャル[MPa]を縦軸にしてプロットしている。 本実験によれば、図5に示す給水小区における両者の決定係数は0.5535、図6に示す通常給水区における両者の決定係数は0.6605、図7に示す通常給水区における両者の決定係数は0.3592と、ある程度高い値になっており、この結果は、水ストレス評価装置10により、植物の水ストレスの度合いを適切に評価できることを示唆している。 次に、水ストレス評価装置10による測定値と茎5の径変化との関係を、図8及び図9を参照しながら説明する。図8は横軸を時間、縦軸をトマト1の茎径[mm]及びひずみ測定センサ11の測定値[με]として、両者の関係を示す図であり、図9は、横軸を茎径[mm]、縦軸をひずみ測定センサ11の測定値[με]とし、さらに、測定開始日からの経過日数をパラメータとして、両者の関係を示す図である。 この実験では、茎径が8mm弱に育ったものを使用し、茎径は、第一葉柄よりやや下の主径の適当な位置で差動トランスを利用した変位センサによる接触法により測定した。水ストレス評価装置10のひずみ測定センサ11は、上記変位センサに近い場所の主径に5,000μεの初期テンションをかけた状態で設置した。また、ひずみ測定センサ11を巻き付けた最初のひずみ値をゼロとし、それ以降の変化量を測定した。両者とも5分ごとに測定を行い、5日間の変遷を測定した。 また、被測定物であるトマト1は、研究室内で栽培しているものであり、メタルハライドランプにより光を照射する時間を制御するようにした。具体的には、午前6時〜午後6時にライトをつけて光を照射し、午後6時〜午前6時はライトを消すように制御した。また、毎日午前9時25分に約200mlの養液を自動的に給液するようにした。 図8に示すように、間接的に茎5のひずみを測定するひずみ測定センサ11の測定値が茎5の径と高い相関があることが分かる。このことも、水ストレス評価装置10の測定により、植物の水ストレスの度合いを適切に評価できることを示唆している。 また、トマト1に光が当たり始める午前6時以降、茎径が減少し続け、それは給液が開始されるまで続く。これは、茎5内の水分が光合成に使用されて減少するためである。そして、午前9時25分の給液により、茎径が増加し始め、ほぼ元の太さまで回復している。 図9において、菱形でプロットした線が2日目の結果、四角でプロットしたのが3日目の結果、三角でプロットしたのが4日目の結果、丸でプロットしたのが5日目の結果である。なお、測定1日目については、茎径の変化が十分に大きくないことから割愛した。 同図に示すように、2日目以降の茎径が減少する過程においては、茎径変化に対する測定ひずみ値変化が曲線を描いているのがわかる。一方、給液後の茎径増加過程においては、茎径が減少する過程でたどった行程と同じ逆向きの行程をとらない(ヒステリシスを描く)ことがわかる。 これは、急激に径が増加することが原因で起こるミスマッチであり、茎5に張りついた帯状ゴム12が均一に伸びるのに時間がかかるためであると思われる。しかしながら、1時間程度で茎径と茎ひずみ茎径の関係は、元の状態に戻ることが確認されているため、茎径の変化が減少する過程を評価することに対しては特に問題はない。 以上、本実施形態について詳細に説明したが、本実施形態によれば、安価な帯状ゴム12とひずみゲージ15からなる簡易な構成により植物の水ストレスを適切に評価することができる。また、本実施形態では、茎5の周囲に直接ひずみ測定センサ11を巻き付けており、茎が生長した場合にセンサも一緒に移動するため、測定位置がずれることなく、正確な測定を継続させることができる。 また、本実施形態では、茎5の周囲に巻き付けた帯状ゴム12のひずみを測定、すなわち茎5の周方向のひずみ積分値を測定しており、茎5周りの一部のみが収縮した場合でも検知することが可能であり、水ストレスを適切に評価することが可能である。 また、市販されるひずみゲージの多くは、2%(20,000με)までのひずみを測定できるものであり、植物の水ストレスによる茎径変化は2%を超えることがあり得る。したがって、一般的なひずみゲージでは、茎5の周方向ひずみを直接測定できなくなるおそれがある。これに対して、本実施形態では、帯状ゴム12を介して間接的に茎5の周方向のひずみを測定することで、直接茎5のひずみを直接測定する場合と比較して、測定されるひずみ値が10分の1程度の値となっており、安価な一般的なひずみゲージで十分に計測可能である。 また、本実施形態に係るひずみ測定センサ11は、容易に脱着可能であり、繰り返し使用したり、ひずみ値が大きくなった場合にはいったん取り外して帯状ゴム12の初期テンションを再調整したりすることができ、非常に経済的である。 続いて、本実施形態の変形例1について、図10乃至図13を参照しながら説明する。ひずみ測定センサ11は、温度変化によっても測定値に変化が生じてしまう。よって、本変形例1では、温度変化によりひずみ測定への悪影響を取り除くように構成したことを特徴としている。なお、この温度補正は、データロガー25から測定ひずみ値を取り込んだPC30において行われる。 図10は、変形例1に係るひずみ測定センサの温度変化による測定ひずみ値への影響(ここでは、熱出力とする)を定量的に示す図であり、横軸がひずみ測定ゲージの初期テンション[με]、縦軸が熱出力を示している。図11乃至図13は、変形例1に係る温度補正後の測定ひずみ値と水ポテンシャルとの相関を示す図である。ここで、本変形例1においても、ひずみゲージ15として、大ひずみゲージだけでなく、共和電業社製のプラスチック用ひずみゲージ(KFP)を用いた計測も行った。 図11及び図12がプラスチック用ひずみゲージによる測定結果であり、図13が大ひずみゲージによる測定結果を示している。また、図11が給水小区のトマトに関する図、図12及び図13が通常給水区のトマトに関する図である。 図10の実験では、銅合金製円柱にひずみ測定センサ11を取り付けた物を、50℃に温めた熱容量の十分なお湯の中に入れ、氷を少量ずつ加えながらかき混ぜてゆっくりと10℃まで水の温度を下げたときの、帯状ゴム12の温度と測定ひずみ値の測定結果から導き出される熱出力(με/℃:1℃変化した場合に変化するひずみ値)を求めている。 また、本実験では、ひずみ測定センサ11を銅合金製円柱に巻き付ける際の初期テンションを順次変更しながら熱出力を測定した。なお、温度変化に対する測定ひずみ値の変化は全ての実験において線形で表された。図10では、横軸が初期テンション[με]、縦軸が熱出力[με/℃]を示している。 同図に示すように、ひずみ測定センサ11の初期テンションと熱出力とは線形関係にあることが分かる。また、初期テンションは、ひずみ測定センサ11の取り付け時に測定可能である。したがって、本変形例1では、上述した図5乃至図7に示した測定ひずみ値に対して、初期テンションに相当する熱出力に基づいて温度補正を行うことで、温度変化によるひずみ測定値への影響を除外するようにしている。 図11乃至図13に示すように、本変形例1による温度補正を行うと、図5乃至図7に示した測定値をそのままプロットした場合と比べて、補正ひずみ値と葉の水ポテンシャルとの相関が高くなっている。具体的には、図11に示す給水小区では、決定係数が補正前の0.5535から0.6688に、図12に示す通常給水区でも、決定係数が補正前の0.6605から0.8180に、図13に示す通常給水区でも、決定係数が補正前の0.3592から0.7445と高くなっており、本変形例1による温度補正を行うことで、水ストレス評価装置10の測定により、植物の水ストレスの度合いをより適切に評価することができることが分かり、特に、大ひずみゲージを用いる場合には、温度補正による効果が多大である。 続いて、本実施形態の変形例2について、説明する。上記変形例1では、補正式を用いた計算により温度補正を行ったが、本変形例2では、温度補正手段としての温度補正用のひずみ測定センサを、測定条件が同じとなるようにひずみ測定センサ11の側に設置し、この温度補正用ひずみ測定センサの出力値を用いて温度補正することを特徴としている。 ひずみ測定センサ11の側に設置される補正用ひずみ測定センサは、温度が変化しても茎5と比較してほとんど径が変化しない円柱体(例えば、金属製)に、ひずみ測定センサ11と同じ初期テンションで取り付けられる。そうすると、補正用ひずみ測定センサの測定値は、温度や湿度等の環境変化にのみ起因して変化したひずみ値を表すことになる。 そして、ひずみ測定センサ11の測定ひずみ値から、補正用ひずみ測定センサの環境変化分のひずみ値を引き算することで、温度変化だけでなく、湿度変化等を含む環境変化によるひずみ値の変化分を取り除く外乱補正を行うことができる。加えて、本変形例1では、温度補正のための複雑な計算器等が必要無く、低コストでリアルタイムに外乱補正(温度補正を含む)を行うことが可能である。 続いて、本実施形態の変形例3について、図14を参照しながら説明する。本変形例3では、水ストレス評価装置10を用いて自動的に給液制御を行う植物工場を構成した。図14は、変形例3に係る植物工場の構成を概略的に示す模式図である。 同図に示すように、本変形例3に係る植物工場は、ビニールハウスの中でトマト1を栽培するための工場であり、水ストレス評価装置10を構成するひずみ測定センサ11、リード線20、データロガー25及びPC30に加えて、給液管60、バルブ61、制御用DIOボード65を備えている。 本植物工場においては、ひずみ測定センサ11の測定値に基づき、糖度が高いトマトを収穫でき、且つ、所望の収穫量を確保できるように、バルブ61の開閉が制御される。本変形例3によれば、ひずみ測定センサ11のひずみ測定値からトマト1の適切な水ストレスを評価することができ、この評価に基づき給液のタイミング及び量を自動的に制御することで、生産量の制御や、糖度等の果実品質の安定を実現することができる。 なお、以上、変形例を含めて本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施形態は上述した形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、植物としてトマトを対象にしたが、ぶどうなどの他の植物も適宜対象とすることができる。また、植物には木が含まれ、本明細書において茎には木の幹が含まれる。 なお、上述したように、ひずみ測定センサは、温度や湿度等の影響を受けやすいため、本発明の測定対象となる植物は、土耕栽培や家庭菜園等の露地栽培ではない、外と仕切られ、外部からの雨等の水の浸入がない栽培地(ガラスハウス、パイプハウス等)で栽培されている植物であることが望ましいが、露地栽培においても使用することはできる。 また、上記実施形態では、茎に巻き付ける弾性体として帯状ゴムを例に挙げて説明したが、茎の周方向のひずみを間接的に測定できる弾性体であれば、適宜他の形状や材料の物を用いることができる。 また、上記実施形態においては、ゴムシートに大ひずみゲージを接着した場合について述べているが、これに代えて、接着可能な特定材料専用のひずみゲージを使用してもよい。また、ゴムシートの留め具として、市販されているダブルクリップを用いた場合について述べているが、これに代えて、他の道具を用いて留めてもよい。 5 茎 10 水ストレス評価装置 11 ひずみ測定センサ 12 帯状ゴム 15 ひずみゲージ 18 クリップ 20 リード線 25 データロガー 30 PC 植物の水ストレスを評価する水ストレス評価装置において、 植物の茎の周方向に巻き付けられる帯状ゴムシートと、この帯状ゴムシートを介して前記茎の周囲長の変化を間接的に検知するように前記帯状ゴムシートに固定されたひずみゲージと、を有するひずみ測定センサを備えることを特徴とする水ストレス評価装置。 植物の水ストレスを評価する水ストレス評価方法において、 ひずみゲージが固定された帯状ゴムシートを植物の茎の周方向に巻き付けて、前記ひずみゲージにより前記帯状ゴムシートを介して前記茎の周囲長の変化を間接的に検知することで、植物の水ストレスを評価することを特徴とする水ストレス評価方法。 前記帯状ゴムシートを引き伸ばした状態で前記茎に巻き付けることを特徴とする請求項2記載の水ストレス評価方法。


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