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タイトル:公開特許公報(A)_赤血球形成を増強するためのHIFα安定剤の使用
出願番号:2010258409
年次:2011
IPC分類:A61K 45/00,A61P 7/06,A61P 43/00,A61K 31/472,A61K 31/17,C07D 217/26


特許情報キャッシュ

クラウス,スティーヴン,ジェイ モリノー,クリストファー,ジェイ ネフ,トーマス,ビー ゲンツラー−プカール,フォルクマール ランセトモ,パロボク,イングリッド シーリー,トッド,ダブリュー スティーヴンソン,ロバート,シー JP 2011057697 公開特許公報(A) 20110324 2010258409 20101118 赤血球形成を増強するためのHIFα安定剤の使用 ファイブロジェン,インコーポレイテッド 505445027 酒井 一 100081514 蔵合 正博 100082692 クラウス,スティーヴン,ジェイ モリノー,クリストファー,ジェイ ネフ,トーマス,ビー ゲンツラー−プカール,フォルクマール ランセトモ,パロボク,イングリッド シーリー,トッド,ダブリュー スティーヴンソン,ロバート,シー US 60/476,704 20030606 US 60/566,488 20040429 US 60/566,237 20040429 US 60/569,797 20040510 US 10/861,590 20040603 A61K 45/00 20060101AFI20110301BHJP A61P 7/06 20060101ALI20110301BHJP A61P 43/00 20060101ALI20110301BHJP A61K 31/472 20060101ALI20110301BHJP A61K 31/17 20060101ALI20110301BHJP C07D 217/26 20060101ALN20110301BHJP JPA61K45/00A61P7/06A61P43/00 111A61K31/472A61K31/17C07D217/26 22 2006515201 20040604 OL 93 4C034 4C084 4C086 4C206 4C034AN01 4C084AA17 4C084NA14 4C084ZA55 4C086AA01 4C086AA02 4C086BC30 4C086MA01 4C086MA04 4C086NA14 4C086ZA55 4C206AA01 4C206AA02 4C206HA29 4C206MA01 4C206MA04 4C206NA14 4C206ZA55 本願は、2003年6月6日出願の米国仮特許出願第60/476,704号、2004年4月29日出願の米国仮特許出願第60/566,488号、2004年4月29日出願の米国仮特許出願第60/566,237号、及び2004年5月10日出願の米国仮特許出願第60/569,797号の利益を主張するものであり、これらの仮特許出願各々の内容全てを本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。 本発明は、赤血球形成や鉄代謝を調節或いは増強するための方法及び化合物、更には、慢性疾患に伴う貧血や鉄欠乏症を治療或いは予防するための方法及び化合物に関する。 一般に貧血とは、血中酸素濃度の低下を招くヘモグロビンや赤血球のいずれの異常をも意味する。貧血は、例えば、慢性感染症や腫瘍性障害、慢性炎症性障害(間接的炎症性骨髄抑制(consequent inflammatory suppression of marrow)に関連する障害等)等の慢性疾患に伴って発症することもある。慢性疾患に伴う貧血は、医学における最も一般的な症候群の一種である。 慢性疾患に伴う貧血(ACD)は鉄欠乏症に関連することが多い。ACDは、鉄利用能が不十分なために発症することもあり(例えば、鉄欠乏性貧血)、或いは、体内総鉄量が十分であってもヘモグロビン産生に必要な分が足りない場合(例えば、機能性鉄欠乏症)にも発症し得る。鉄は、骨髄の赤血球形成前駆細胞における赤血球ヘモグロビンの産生に必要である。 慢性疾患に伴う貧血の患者には、多くの生理的不全(physiologic deficiencies)が見られるが、その例としては、エリスロポエチン(EPO)産生の低下や、骨髄のEPO応答性の低下、鉄代謝の低下(腸からの鉄吸収の低下や、鉄の経腸細胞輸送の低下、ヘフェスチンやセルロプラスミンによる鉄の3価状態(ferric state)への酸化の減少、トランスフェリンやトランスフェリンレセプターによる鉄の結合や摂取の低下、ヘム合成等の鉄利用が生じる骨髄への鉄輸送の低下等)が挙げられる。このような生理的不全は、個別に或いは一緒になって無効な赤血球形成や赤血球形成の障害を引き起こし、その結果、ヘモグロビン産生の低下や酸素運搬の低下に関連する小球性貧血や低色素性赤血球が生じ得る。 慢性疾患に伴う貧血は、例えば、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)やインターロイキン−1β(IL−1β)、IL−6、インターフェロン−γ(IFN−γ)等の炎症性サイトカインの産生増加に関連する(ミーンズ(Means)(1995年)Stem cells 13:32-37及びミーンズ(Means)(1999年)Int J Hematol 70:7-12)。数種類のin vitro及びin vivo動物モデル系において、炎症性サイトカインはEPO産生やEPO応答性、鉄代謝の協調的調節(coordinate regulation)を仲介する能力に対し悪影響を及ぼした(ルードマン(Roodman)ら(1989年)Adv Exp Med Biol 271:185-196;フックス(Fuchs)ら(1991年)Eur J Hematol 46:65-70;ジェルクマン(Jelkmann)ら(1994年)Ann NY Acad Sci 718:300-311;ヴァンヌッキ(Vannucchi)ら(1994年)Br J Hematol 87:18-23;及びオルデンバーグ(Oldenburg)ら(2001年)Aliment Pharmacol Ther 15:429-438)。TNF−αに継続的に曝露したマウスにおいては、エリスロポエチンを投与しても貧血を改善できなかった(クリボン(Clibon)ら(1990年)Exp Hematol 18:438-441)。TNF−αやIL−1β、INF−γ等の炎症性サイトカインのレベルの上昇によって、慢性疾患に伴う貧血の患者に見られるEPO産生やEPO抵抗性の不全が引き起こされる(ジェルクマン(Jelkmann)ら(1991年)Ann NY Acad Sci 718:300-311及びマクドーゴール(Macdougall)及びクーパー(Cooper)(2002年)Neprol Dial Transplant 17(11):39-43)。従って、炎症性サイトカインや炎症関連サイトカイン等の様々なサイトカインは、慢性疾患に伴う貧血発症の多くの局面、例えば、赤血球前駆体の阻害やEPO産生の阻害、赤血球形成のための鉄放出や鉄利用能の低下等に関与する。 よって、当該技術分野においては、慢性疾患に伴う貧血を治療或いは予防する方法が必要である。また、当該技術分野においては、組換えEPOの現在の使用における不全を克服して慢性疾患に伴う貧血を治療する方法が必要である。特に、慢性疾患に伴う貧血に関連するEPO産生の抑制やEPO応答性の低下を克服するのに有効な方法及び化合物、鉄代謝の調節を高め、鉄代謝や鉄利用の変化や異常に関する不全を克服するのに有効な方法及び化合物、更には、EPOの産生やEPOの応答性及びシグナル伝達、鉄利用能、鉄利用、鉄摂取、鉄輸送、鉄処理等に関連する代謝経路を改善することによって完全な(total or complete)赤血球形成を増強するのに有効な方法及び化合物が必要である。また、当該技術分野においては、慢性疾患に伴う貧血を有する被験体(subjects)におけるサイトカイン誘導作用の影響を克服或いは改善する方法が必要である。 鉄欠乏症は、世界中で最も一般的な栄養欠乏症の一種であり、世界的規模で貧血の主要原因である。鉄バランスは、赤血球形成の速度(rate)及び鉄貯蔵のサイズによって基本的に調節される。鉄欠乏症は貧血を伴っても伴わなくても生じ得るが、認知発達の障害と関連付けられている。 鉄欠乏症は、鉄の供給(レベル或いは貯蔵)の低下、或いは体内での鉄利用能や鉄利用の低下として定義される。鉄欠乏症は、栄養欠乏(例えば、食事中の鉄不足);外科手術(胃切除後)や疾患(クローン病)等に起因する鉄の吸収不良;傷害や外傷、月経、献血、瀉血(様々な処置や外科手術等に起因)による慢性或いは急性失血に起因する鉄供給の減少や鉄損失の増加;或いは、幼児期や青年期の急速な成長、妊娠、エリスロポエチン療法等に起因する鉄需要の増加によって生じ得る。 鉄欠乏症は、機能性鉄欠乏症、例えば、被験体の貯蔵鉄に接近し利用する能力の低下によって特徴付けされる鉄欠乏症でもあり得る。赤血球を正常にヘモグロビン化(hemoglobinization)させるのに十分な速度で鉄を利用できないため、網状赤血球や赤血球の細胞内ヘモグロビン含量が低下する。機能性鉄欠乏症は、見かけ上鉄貯蔵が正常であるか増加していても鉄利用能が低下(例えば、低レベルのトランスフェリン飽和率によって測定される)している健常な個体によく見られる。この種の鉄欠乏症は急性炎症或いは慢性炎症に関連することが多い。 鉄欠乏症はいずれの種類であっても鉄欠乏性或いは鉄制限性(iron-restricted)赤血球形成を引き起こし得るが、その際、赤血球数は減少し、循環赤血球は正常よりも小さく(小球性)、また、ヘモグロビンが十分にないため、それ自体色が薄くなる(低色素性)。 鉄欠乏症(例えば、機能性鉄欠乏症)の被験体においては、ヘモグロビン合成の低下、トランスフェリン飽和率(%)の低下、及びヘモグロビンやヘマトクリットのレベルが低下が生じて、鉄欠乏性貧血が発症し得る。鉄欠乏性貧血は世界中で最も一般的な貧血である。鉄はヘモグロビンの必須成分であり、鉄が無いと、骨髄はヘモグロビンを効果的に産生することができない。鉄欠乏性貧血は鉄供給が減少或いは低下した被験体において発症することもあり、或いは、機能性鉄欠乏症(即ち、鉄は貯蔵されているがヘモグロビン産生等に利用できない)の被験体において発症することもある。 上述に鑑み、当該技術分野においては、鉄代謝に関連する障害を治療或いは予防する方法が必要であり、鉄代謝を増強する方法が必要である。また、機能性鉄欠乏症等の鉄欠乏症を治療或いは予防する方法が必要であり、小赤血球症や鉄欠乏性貧血等の関連する病態を治療或いは予防する方法が必要である。 本発明は、完全且つ効果的な赤血球形成をもたらす代謝経路及び生理的経路を増強する(enhancing)ための方法及び化合物、特に、慢性疾患に伴う貧血を治療するための方法及び化合物を提供する。また、EPO産生やEPO応答性に対する炎症性サイトカインの抑制/阻害作用を克服するための方法及び化合物も提供する。更に本発明は、鉄代謝を増強するための方法及び化合物、また、鉄欠乏症(機能性鉄欠乏症等)や鉄欠乏性貧血、小赤血球症、鉄欠乏性赤血球形成等の鉄代謝の低下に関連する病態を治療或いは予防するための方法及び化合物を提供する。 本発明は、被験体において赤血球形成の増強或いは完全な赤血球形成を誘導するための方法及び化合物に関する。特に、本発明の方法は、被験体においてHIFαを安定化させることによって赤血球形成の増強或いは完全な赤血球形成を誘導することを含む。HIFプロリルヒドロキシラーゼを阻害することによって赤血球形成の増強を誘導する方法を具体的に意図する。特定の実施形態においては、本発明の方法は、本発明の化合物を被験体に投与することを含む。様々な実施形態において、前記被験体は細胞、組織、器官、器官系、或いは生体全体であり得る。 様々な実施形態において、前記被験体は細胞、組織、器官、器官系或いは生体全体である。或る実施形態においては該生体は哺乳動物であり、好ましくはヒトである。 一様相においては、本発明の方法によって、造血幹細胞(HSC)やCFU−GEMM(コロニー形成単位顆粒球/赤血球/単球/巨核球)細胞等の造血前駆細胞からの赤血球の分化に必要な因子の産生が増加する。赤血球形成を刺激する因子としてはエリスロポエチンが挙げられるが、これに限定されない。他の様相においては、本発明の方法によって、鉄摂取、鉄輸送及び鉄利用に必要な因子の産生が増加する。このような因子としては、赤血球アミノレブリン酸シンターゼやトランスフェリン、トランスフェリンレセプター、セルロプラスミン等が挙げられるが、これらに限定されない。更に他の様相においては、本発明の方法によって、赤血球の分化に必要な因子が増加し、更に鉄摂取、鉄輸送及び鉄利用に必要な因子が増加する。 他の実施形態においては、本発明の方法によってエリスロポエチンに対する造血前駆体の応答性が増強する。上述のように、このような前駆体としてはHSCやCFU−GEMM等が挙げられる。このような前駆細胞の応答性の増強については、例えば、エリスロポエチンレセプターの発現、エリスロポエチンシグナル伝達に関与する細胞内因子の発現、及びエリスロポエチンと該レセプターとの相互作用を促進する分泌因子の発現を変化させることによって行うことができる。 他の様相においては、本発明の方法を用いて、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)やインターロイキン−1β(IL−1β)等の炎症性サイトカインによって誘導される赤血球形成の阻害を克服することができる。特定の様相においては、本発明の方法を用いて、体外投与エリスロポエチンによる処理に反応しない(refractive to)貧血を治療することができる。このような貧血は、例えば、慢性炎症や自己免疫障害(慢性細菌性心内膜炎や骨髄炎、関節リウマチ、リウマチ熱、クローン病、潰瘍性大腸炎等が挙げられるが、これらに限定されない)によって生じ得る。 ある実施形態においては、本発明の方法を用いて慢性疾患に伴う貧血を治療することができる。慢性疾患に伴う貧血の患者において赤血球形成の増強或いは完全な赤血球形成を誘導するための方法を具体的に提供する。特定の実施形態においては、本発明の方法によって、新しい赤血球の産生に利用できる鉄の量が増加する。 他の様相において、本発明は骨髄のEPO応答性を増強するための方法を提供する。 EPOのTNFα抑制を阻害するための方法を具体的に提供すると共に、EPOのIL−1β抑制を阻害するための方法を具体的に提供する。 本発明は、慢性疾患に伴う貧血を治療/予防するための方法に関し、更には、鉄処理を調節し、鉄及び/又は鉄処理の欠乏に関連する病態を治療/予防するための方法に関する。 一様相において、本発明は、被験体における慢性疾患に伴う貧血を治療するための方法であって、低酸素誘導因子(HIF)のαサブユニットを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して前記被験体における慢性疾患に伴う貧血を治療することを含む方法を提供する。また、慢性疾患に伴う貧血の被験体において特定の生理的効果を得るための方法も提供し、特に、慢性疾患に伴う貧血の被験体において網状赤血球を増加させるための方法や、平均赤血球容積(mean corpuscular cell volume)を増加させるための方法、平均赤血球ヘモグロビンを増加させるための方法、ヘマトクリットを増加させるための方法、ヘモグロビンを増加させるための方法、赤血球数を増加させるための方法等を提供するものであり、これらの方法の各々は、低酸素誘導因子(HIF)のαサブユニットを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して所望の生理的効果を得ることを含む。様々な様相において、慢性疾患に伴う貧血は、例えば、炎症や自己免疫疾患、鉄欠乏症、小赤血球症、悪性腫瘍等に関連する。 様々な実施形態において、被験体は細胞、組織或いは器官である。他の実施形態において、被験体は動物であり、好ましくは哺乳動物であり、最も好ましくはヒトである。被験体が細胞の場合、本発明は、細胞が単離細胞(原核細胞或いは真核細胞)であり得ることを具体的に意図する。被験体が組織の場合、本発明は、内因性組織とin vitro組織の両方(例えば、培養で成長した組織)を具体的に意図する。好ましい実施形態において、被験体は動物であり、特に、ラット、ウサギ、ウシ、ヒツジ、ブタ、マウス、ウマ及び霊長類種を含む哺乳類種の動物である。最も好ましい実施形態において、被験体はヒトである。 HIFαの安定化は、当業者が利用可能で知っている方法のいずれによっても行うことができ、HIFαと相互作用或いは結合したり、HIFαを修飾する剤のいずれか、或いはHIFαと相互作用する因子(例えば、HIFαが基質となる酵素)を用いることができる。ある様相において、本発明は、構造的に安定なHIFα変異体(例えば、安定なHIFムテイン等)或いはこのような変異体をコードするポリヌクレオチドを提供することを意図する。他の様相において、本発明は、HIFαの安定化がHIFαを安定化させる剤の投与を含むことを意図する。この剤は、ポリヌクレオチド(例えば、アンチセンス配列)やポリペプチド、抗体、他のタンパク質、炭水化物、脂肪、脂質、有機及び無機物質(例えば、小分子等)から構成することができる。好ましい実施形態において、本発明は、例えば、被験体におけるHIFαの安定化をHIFα安定化剤(ここでは、該剤はHIFαを安定化させる小分子化合物等の化合物である)を前記被験体に投与することによって行うことを意図する。 様々な様相において、HIFαはHIF1α、HIF2α或いはHIF3αである。好ましい様相においては、HIFαの安定化には、HIFヒドロキシラーゼ活性を阻害する化合物の有効量を被験体に投与することが含まれる。ある様相において、HIFヒドロキシラーゼは、EGLN1、EGLN2及びEGLN3から成る群から選択される。 一実施形態において、本発明は、被験体において平均赤血球容積を増加させるための方法であって、低酸素誘導因子(HIF)のαサブユニットを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与することを含む方法を提供する。更なる実施形態において、本発明は、被験体において平均赤血球ヘモグロビン濃度を上昇させるための方法であって、低酸素誘導因子(HIF)のαサブユニットを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与することを含む方法を提供する。他の実施形態において、本発明は、被験体における小赤血球症を抑制するための方法であって、低酸素誘導因子(HIF)のαサブユニットを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与することを含む方法を包含する。 本発明は更に、小球性貧血を治療或いは予防するための方法であって、低酸素誘導因子(HIF)のαサブユニットを安定化させる化合物の有効量を被験体に投与することを含む方法を提供する。 一様相において、本発明は、被験体における鉄欠乏症に関連する病態を治療或いは予防するための方法であって、低酸素誘導因子(HIF)のαサブユニットを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与することを含む方法に関する。特定の様相において、本発明は、被験体において鉄処理を改善するための方法であって、低酸素誘導因子(HIF)のαサブユニットを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与することを含む方法を提供する。また、被験体における鉄利用能の低下に関連する病態を治療或いは予防するための方法であって、低酸素誘導因子(HIF)のαサブユニットを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与することを含む方法も提供する。 他の実施形態において、本発明は、被験体におけるサイトカイン誘導作用を克服するための方法に関する。特に一様相において、本発明は、被験体におけるEPO産生のサイトカイン抑制を克服するための方法であって、低酸素誘導因子(HIF)のαサブユニットを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与することを含む方法を提供する。本発明は更に、被験体における鉄利用能のサイトカイン抑制を克服するための方法であって、低酸素誘導因子(HIF)のαサブユニットを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与することを含む方法を提供する。他の様相において、本発明は、被験体におけるサイトカイン関連貧血を治療或いは予防するための方法であって、低酸素誘導因子(HIF)のαサブユニットを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与することを含む方法を包含する。また、被験体においてサイトカインの存在下でEPO産生を増加させるための方法であって、低酸素誘導因子(HIF)のαサブユニットを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与することを含む方法も提供する。具体的な実施形態において、前記サイトカインは、TNF−α及びIL−1βから成る群から選択される。 一様相において、本発明は、被験体におけるサイトカイン誘導によるVCAM発現を抑制するための方法であって、低酸素誘導因子(HIF)のαサブユニットを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与することを含む方法を提供する。具体的な様相において、前記サイトカインはTNF−α或いはIL−1βである。一様相において、該方法は、前記被験体の内皮細胞におけるサイトカイン誘導によるVCAM発現の抑制に適用される。他の様相において、前記被験体は、炎症性疾患、自己免疫疾患、及び慢性疾患に伴う貧血から成る群から選択される病態を有する。 他の様相において、本発明は、被験体におけるサイトカイン誘導によるE−セレクチン発現を抑制するための方法であって、低酸素誘導因子のαサブユニットを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与することを含む方法を提供する。具体的な様相において、前記サイトカインはTNF−α或いはIL−1βである。一様相において、該方法は、前記被験体の内皮細胞におけるサイトカイン誘導によるE−セレクチン発現の抑制に適用される。他の様相において、前記被験体は、炎症性疾患、自己免疫疾患、及び慢性疾患に伴う貧血から成る群から選択される病態を有する。 本発明は、鉄処理や鉄代謝を調節/増強する様々な方法を提供する。一様相において、本発明は、被験体において鉄輸送、鉄摂取、鉄利用、及び鉄吸収を増加させるための方法を提供するものであり、これらの方法の各々は、低酸素誘導因子(HIF)のαサブユニットを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与することを含む。特定の実施形態において、本発明は、被験体においてトランスフェリン発現、トランスフェリンレセプター発現、IRP−2発現、フェリチン発現、セルロプラスミン発現、NRAMP2発現、スプラウチン(sproutin)発現、及びALAS−2発現を増加させるための方法を提供するものであり、これらの方法の各々は、低酸素誘導因子(HIF)のαサブユニットを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与することを含む。他の実施形態において、本発明は、ヘプシジンの発現を抑制するための方法であって、低酸素誘導因子(HIF)のαサブユニットを安定化させる化合物の有効量を被験体に投与することを含む方法を提供する。また、低酸素誘導因子(HIF)のαサブユニットを安定化させる化合物の有効量を被験体に投与することによって前記被験体においてヘム合成を増加させるための方法も提供する。 ある様相において、本発明は、被験体において血清鉄を増加させるための方法、トランスフェリン飽和度を上昇させるための方法、可溶性トランスフェリンレセプター濃度を上昇させるための方法、及び血清フェリチン濃度を上昇させるための方法を意図しており、これらの方法は、低酸素誘導因子(HIF)のαサブユニットを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与することを含む。更なる様相において、本発明は、被験体において骨髄への鉄輸送を増加させるための方法であって、低酸素誘導因子(HIF)のαサブユニットを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与することを含む方法を提供する。 一様相において、本発明の方法は、本明細書に記載の障害や病態のいずれかを有する被験体(好ましくはヒト被験者)の治療、或いは該被験体のための薬剤の製造に適用される。当然のことながら、臨床症状に関連する各種パラメータは年齢や性別等によって変わる。一様相において、被験体は血清フェリチン濃度が正常範囲を下回る(例えば、50〜200μg/Lを下回る)。よって、血清フェリチン濃度が200ng/mL、150ng/mL、100ng/mL、75ng/mL、或いは50ng/mLを下回る被験体は、本発明の方法による治療や本発明によって提供される薬剤の使用に対して好適な被験体となるであろう。或いは、総鉄結合能(TIBC)が正常範囲未満(例えば、TIBCが300〜360μg/dL未満)である被験体を好適な被験体と同定することもできるであろう。 他の実施形態において、被験体は血清鉄濃度が正常範囲を下回る(例えば、血清鉄濃度が50〜150μg/dLを下回る)。好適な被験体を同定するための他の適切なパラメータとしては、トランスフェリン飽和度測定値が30〜50%を下回ることや、骨髄鉄芽球測定値が40〜60%を下回ること、ヘモグロビン濃度が約10〜11g/dLを下回ることが挙げられる。上述のパラメータのいずれも、例えば、標準的な血液学的検査や血液化学分析、完全血球算定(CBC)解析と同様に測定され、通常、数種の血液パラメータの測定値として示され、また、例えば、赤血球数や白血球数、血小板数、赤血球指数(red cell indices)等を測定する自動化機器による血液解析によって得られる。測定は、血液学的及び/又は生化学的血液分析の標準的な測定手段(例えば、CELL DYN 4000アナライザー(アボットラボラトリーズ、イリノイ州アボットパーク)やコールターGenSアナライザー(ベックマン・コールター社、カリフォルニア州フラートン)、バイエルADVIA 120アナライザー(バイエルヘルスケアAG、ドイツ、レヴァークーゼン)等の自動化システム)のいずれによっても行うことができる。 一様相において、本発明は、被験体における鉄欠乏症を治療或いは予防するための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して前記被験体における鉄欠乏症を治療或いは予防することを含む方法を包含する。更なる様相においては、前記鉄欠乏症は機能性鉄欠乏症であるか、貧血に関連するか、炎症、感染症、免疫不全障害及び腫瘍性障害から成る群から選択される障害に関連するか、或いは、慢性疾患に伴う貧血、鉄欠乏性貧血(IDA)及び小球性貧血から成る群から選択される障害に関連する。 本発明における被験体は、鉄欠乏症を示すか或いは鉄欠乏症発症の危険性を示す臨床的に認められた標準測定値のいずれかを有する被験体であり得る。例えば、ある実施形態において、被験体は血清フェリチン濃度が低い(<20ng/mL)か、或いはトランスフェリン飽和率(%)が低下している(例えば、成体において16%未満)。血清フェリチン濃度については、50ng/mL、40ng/mL、30ng/mL、或いは20ng/mLを下回る値を具体的に意図する。被験体が機能性鉄欠乏症を有しているか或いはその危険性がある場合、血清フェリチン濃度が正常範囲を超えて上昇する(例えば、200ng/mL以上)こともあり得ることについては知られている。鉄欠乏症は、鉄制限性(iron-restricted)/鉄欠乏性赤血球形成(通常、トランスフェリン飽和率(%)が15〜20%を下回った場合に見られるヘモグロビン合成の低下)の開始によって見ることができる。このような鉄パラメータの測定は、上述の標準的なCBC或いは生化学的分析のいずれかを用いて、及び/又はより具体的に鉄分析を対象とした自動化装置、例えば、Unimate 5 Ironキット及びUnimate 7 UIBCキット(ロシュ、スイス)を用いて行うことができる。 鉄欠乏性貧血を有しているか或いはその危険性がある被験体、例えば、トランスフェリン飽和率(%)が10〜15%或いは10%を下回る被験体が、本発明の治療方法或いは予防方法によって利益を得ることのできる被験体となり得る。 一様相において、鉄欠乏症を有しているか或いはその危険性がある被験体は、機能性鉄欠乏症を有しているか或いはその危険性がある。網状赤血球ヘモグロビン含量が28ピコグラム/細胞未満であれば、このような病態を示し得る。他の様相において、機能性鉄欠乏症を有しているか或いはその危険性がある被験体は、低色素性赤血球が5%を超える。 ある実施形態において、被験体は、慢性疾患に伴う貧血を有しているか或いはその危険性があるものである。このような被験体は軽度或いは中程度の貧血を示し、例えば、ヘモグロビン濃度が約10〜13g/dL、より詳細には10〜11g/dLである。他の実施形態においては、より重度な貧血が示され、ヘモグロビン濃度が10g/dLを下回り、例えば、ヘモグロビン濃度が5g/dLを下回ることや3g/dLを下回ることがある。ある実施形態において、慢性疾患に伴う貧血を有しているか或いはその危険性がある被験体は、鉄分布に異常が見られる。このような異常の場合、例えば、血清鉄濃度が約60μg/dLを下回るか、或いは血清フェリチン濃度が正常範囲を超える(例えば、200ng/mL、300ng/mL或いは400ng/mLを超える)。 ある様相において、被験体は小球性貧血を有しているか或いはその危険性があり得る。このような被験体の場合、例えば、完全血球算定解析の一部として測定される平均赤血球容積が80フェムトリットル未満を示すことがある。他の様相において、被験体の平均赤血球容積は正常値(90±8フェムトリットル)未満である。様々な様相においては、被験体の平均赤血球ヘモグロビン量(mean cell hemoglobin count)が低下している(例えば、平均赤血球ヘモグロビン量が30±3ピコグラムヘモグロビン/細胞未満)か、或いは平均赤血球ヘモグロビン濃度が低下している(例えば、平均赤血球ヘモグロビン濃度が33±2%未満)。 また、被験体における機能性鉄欠乏症を治療或いは予防するための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して機能性鉄欠乏症を治療或いは予防することを含む方法も提供する。 一実施形態において、本発明は、被験体において鉄代謝或いは鉄代謝プロセスを調節或いは増強するための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与し、前記被験体において鉄代謝或いは鉄代謝プロセスを調節或いは増強することを含む方法を提供する。他の実施形態において、本発明は、鉄摂取、鉄吸収、鉄輸送、鉄貯蔵、鉄処理、鉄動員及び鉄利用から成る群から選択される鉄代謝プロセスを調節或いは増強するための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を被験体に投与し、前記被験体において前記鉄代謝プロセスを調節或いは増強することを含む方法を提供する。 また、被験体において鉄吸収を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与し、前記被験体において鉄吸収を増加させることを含む方法も本発明で提供する。ある様相において、前記鉄吸収は腸内で生じるか、食事に含まれる鉄の吸収であるか、或いは十二指腸細胞内で生じる。 また、本発明では次の方法、即ち、被験体において鉄輸送を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与し、前記被験体において鉄吸収を増加させることを含む方法;被験体において鉄貯蔵を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与し、前記被験体において鉄貯蔵を増加させることを含む方法;被験体において鉄摂取を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与し、前記被験体において鉄摂取を増加させることを含む方法;被験体において鉄処理を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与し、前記被験体において鉄処理を増加させることを含む方法;被験体において鉄動員を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与し、前記被験体において鉄動員を増加させることを含む方法;及び被験体において鉄利用を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与し、前記被験体において鉄利用を増加させることを含む方法も意図する。 一実施形態において、本発明は、被験体において赤血球形成のための鉄利用能を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与し、前記被験体において赤血球形成のための鉄利用能を増加させることを含む方法を意図する。様々な実施形態において、赤血球形成のための鉄利用能の増加は、ヘム合成のための鉄利用能の増加、ヘモグロビン産生のための鉄利用能の増加、或いは赤血球産生のための鉄利用能の増加である。 本発明は更に、被験体における鉄調節因子(iron regulatory factors)の発現を調節するための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体における鉄代謝因子(iron metabolic factors)の発現を調節することを含む方法を提供する。 ある鉄調節因子の発現を増加させるための様々な方法が本発明に包含され、例えば、被験体におけるトランスフェリンレセプターの発現を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体におけるトランスフェリンレセプターの発現を増加させることを含む方法;被験体におけるトランスフェリンの発現を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体におけるトランスフェリンの発現を増加させることを含む方法;被験体におけるセルロプラスミンの発現を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体におけるセルロプラスミンの発現を増加させることを含む方法;被験体におけるNRAMP2(slc11a2)の発現を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体におけるNRAMP2の発現を増加させることを含む方法;被験体における十二指腸シトクロムbレダクターゼ1の発現を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体における十二指腸シトクロムbレダクターゼ1の発現を増加させることを含む方法;及び被験体における5−アミノレブリン酸シンターゼの発現を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体における5−アミノレブリン酸シンターゼの発現を増加させることを含む方法が挙げられる。 一実施形態において、本発明は、被験体において血清鉄を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体において血清鉄を増加させることを含む方法を提供する。ある実施形態において、前記被験体はヒトであり、血清鉄濃度は50〜150μg/dLの値まで上昇する。 他の様相において、本発明は、被験体において総鉄結合能(TIBC)を増加させるための方法を提供する。該方法は、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体においてTIBCを増加させることを含む。好ましい様相において、前記被験体はヒトであり、総鉄結合能は300〜360μg/dLの値まで増加する。 被験体において血清フェリチン濃度を調節するための方法及び化合物を提供する。ある実施形態において、前記被験体はヒトであり、血清フェリチン濃度は15μg/Lを超えて上昇する。更なる実施形態において、前記被験体はヒト成人男性であり、血清フェリチン濃度は約100μg/Lの値まで上昇する。他の実施形態において、前記被験体はヒト成人女性であり、血清フェリチン濃度は約30μg/Lの値まで上昇する。 一様相において、本発明は、被験体においてトランスフェリン飽和度を上昇させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体においてトランスフェリン飽和度を上昇させることを含む方法を包含する。一様相において、前記トランスフェリン飽和度は、10%、15%、20%、30%、40%及び50%から成る群から選択されるレベルを超えて上昇する。本発明は、被験体においてトランスフェリン飽和率を上昇させるための様々な方法を包含する。一実施形態において、前記被験体はヒトであり、トランスフェリン飽和率は18%を超える値まで上昇する。他の実施形態において、トランスフェリン飽和率は25〜50%の値まで上昇する。トランスフェリン飽和率(Percent transferrin)は通常、次の式:(血清鉄)(100)/(TIBC)を用いて算出する。 また、被験体において可溶性トランスフェリンレセプター濃度を上昇させる方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体において可溶性トランスフェリンレセプター濃度を上昇させることを含む方法も提供する。本発明は更に、例えば、血清トランスフェリンレセプター濃度によって測定される総赤血球骨髄質量(total erythroid marrow mass)を増加させるための方法を提供する。一様相において、前記被験体はヒトであり、イムノアッセイによって測定される血清トランスフェリンレセプター濃度は4〜9μg/Lまで上昇する。 被験体におけるヘプシジンの発現を抑制する方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体におけるヘプシジンの発現を抑制することを含む方法を提供する。 一実施形態において、本発明は、被験体における鉄欠乏症に関連する障害を治療或いは予防するための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体における鉄欠乏症に関連する障害を治療或いは予防することを含む方法を提供する。一実施形態において、前記鉄欠乏症は機能性鉄欠乏症である。様々な実施形態において、前記障害は、炎症、感染症、免疫不全障害及び腫瘍性障害から成る群から選択されるか、或いは、慢性疾患に伴う貧血、鉄欠乏性貧血及び小球性貧血から成る群から選択される。 本発明は、鉄欠乏症を有しているか或いはその危険性がある被験体において赤血球形成を増強するための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体において赤血球形成を増強することを含む方法を提供する。ある様相においては、前記鉄欠乏症が機能性鉄欠乏症であることを意図する。 本発明は更に、機能性鉄欠乏症を有しているか或いはその危険性がある被験体において赤血球形成を増強するための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体において赤血球形成を増強することを含む方法を提供する。様々な様相において、慢性疾患は、炎症、感染症、免疫不全障害及び腫瘍性障害から成る群から選択される。 慢性疾患に伴う貧血を有しているか或いはその危険性がある被験体において赤血球形成を増強するための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体において赤血球形成を増強することを含む方法を更に提供する。 一実施形態において、本発明は、EPO療法に反応しない被験体において赤血球形成を増強するための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体において赤血球形成を増強することを含む方法を包含する。 また、被験体における慢性疾患に伴う貧血を治療或いは予防するための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体における慢性疾患に伴う貧血を治療或いは予防することを含む方法も提供する。ある様相においては、慢性疾患に伴う貧血が、炎症、感染症、免疫不全障害及び腫瘍性障害から成る群から選択される病態に関連することを意図する。 本発明は次の方法、即ち、慢性疾患を有する被験体において網状赤血球を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体において網状赤血球を増加させることを含む方法;慢性疾患を有する被験体においてヘマトクリットを増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体においてヘマトクリットを増加させることを含む方法;慢性疾患を有する被験体においてヘモグロビンを増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体においてヘモグロビンを増加させることを含む方法;慢性疾患を有する被験体において赤血球数を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体において赤血球数を増加させることを含む方法;慢性疾患を有する被験体において平均赤血球容積を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体において平均赤血球容積を増加させることを含む方法;慢性疾患を有する被験体において平均赤血球ヘモグロビンを増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体において平均赤血球ヘモグロビンを増加させることを含む方法;慢性疾患を有する被験体において血清鉄を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体において血清鉄を増加させることを含む方法;及び慢性疾患を有する被験体においてトランスフェリン飽和度を上昇させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体においてトランスフェリン飽和度を上昇させることを含む方法を具体的に意図する。これらの内のいずれの一方法においても、前記慢性疾患はある実施形態において、炎症、感染症、免疫不全障害及び腫瘍性障害から成る群から選択されるか、或いは、慢性疾患に伴う貧血、鉄欠乏性貧血、鉄欠乏症、機能性鉄欠乏症及び小球性貧血から成る群から選択される。 更に次の方法、即ち、鉄欠乏症を有する被験体において網状赤血球を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体において網状赤血球を増加させることを含む方法;鉄欠乏症を有する被験体においてヘマトクリットを増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体においてヘマトクリットを増加させることを含む方法;鉄欠乏症を有する被験体においてヘモグロビンを増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体においてヘモグロビンを増加させることを含む方法;鉄欠乏症を有する被験体において赤血球数を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体において赤血球数を増加させることを含む方法;鉄欠乏症を有する被験体において平均赤血球容積を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体において平均赤血球容積を増加させることを含む方法;鉄欠乏症を有する被験体において平均赤血球ヘモグロビンを増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体において平均赤血球ヘモグロビンを増加させることを含む方法;鉄欠乏症を有する被験体において血清鉄を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体において血清鉄を増加させることを含む方法;及び鉄欠乏症を有する被験体においてトランスフェリン飽和度を上昇させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体においてトランスフェリン飽和度を上昇させることを含む方法も提供する。これらの内のいずれの一方法においても、前記鉄欠乏症はある実施形態において機能性鉄欠乏症である。 更に次の方法、即ち、機能性鉄欠乏症を有する被験体において網状赤血球を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体において網状赤血球を増加させることを含む方法;機能性鉄欠乏症を有する被験体においてヘマトクリットを増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体においてヘマトクリットを増加させることを含む方法;機能性鉄欠乏症を有する被験体においてヘモグロビンを増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体においてヘモグロビンを増加させることを含む方法;機能性鉄欠乏症を有する被験体において赤血球数を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体において赤血球数を増加させることを含む方法;機能性鉄欠乏症を有する被験体において平均赤血球容積を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体において平均赤血球容積を増加させることを含む方法;機能性鉄欠乏症を有する被験体において平均赤血球ヘモグロビンを増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体において平均赤血球ヘモグロビンを増加させることを含む方法;機能性鉄欠乏症を有する被験体において血清鉄を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体において血清鉄を増加させることを含む方法;及び機能性鉄欠乏症を有する被験体においてトランスフェリン飽和度を上昇させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体においてトランスフェリン飽和度を上昇させることを含む方法も意図する。 一様相において、本発明は、被験体におけるサイトカイン誘導による赤血球形成の低下の影響を克服或いは改善するための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体におけるサイトカイン誘導による赤血球形成の低下の影響を克服或いは改善することを含む方法を包含する。様々な様相において、サイトカイン誘導による赤血球形成の低下は、EPO産生の抑制或いは鉄代謝の低下である。上述の方法のいずれにおいても、サイトカインは炎症性サイトカインである。更なる実施形態においては、サイトカインはTNF−α、IL−1β及びIFN−γから成る群から選択される。 また、サイトカイン誘導によるVCAM−1発現及び/又はE−セレクチン発現を抑制するための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量をそれを必要とする被験体に投与して、サイトカイン誘導によるVCAM−1発現及び/又はE−セレクチン発現を抑制することを含む方法も提供する。 上述の方法のいずれにおいても、サイトカインは炎症性サイトカインである。更なる実施形態においては、サイトカインはTNF−α、IL−1β及びIFN−γから成る群から選択される。 被験体におけるサイトカイン活性に関連する障害を治療或いは予防するための方法であって、該障害が鉄欠乏症、機能性鉄欠乏症、鉄欠乏性貧血、慢性疾患に伴う貧血及び小球性貧血から成る群から選択される方法において、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、サイトカイン活性に関連する障害を治療或いは予防することを含む方法を本発明で提供する。上述の方法のいずれにおいても、サイトカインは炎症性サイトカインである。更なる実施形態においては、サイトカインはTNF−α、IL−1β及びIFN−γから成る群から選択される。 また、被験体におけるサイトカイン活性に関連する障害を治療或いは予防するための方法であって、該障害が炎症、感染症、免疫不全症及び腫瘍性障害から成る群から選択される病態に関連する該方法において、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、サイトカイン活性に関連する障害を治療或いは予防することを含む方法も提供する。上述の方法のいずれにおいても、サイトカインは炎症性サイトカインである。更なる実施形態においては、サイトカインはTNF−α、IL−1β及びIFN−γから成る群から選択される。 一様相において、本発明は、被験体においてサイトカインの存在下でEPO産生を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体においてEPO産生を増加させることを含む方法を包含する。また、被験体における小赤血球症を治療或いは予防するための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、被験体における小赤血球症を治療或いは予防することを含む方法も本発明で提供する。更なる様相において、小赤血球症は、慢性疾患、慢性疾患に伴う貧血、鉄欠乏症、機能性鉄欠乏症、及び鉄欠乏性貧血から成る群から選択される障害に関連する。上述の方法のいずれにおいても、サイトカインは炎症性サイトカインである。更なる実施形態においては、サイトカインはTNF−α、IL−1β及びIFN−γから成る群から選択される。 本発明の治療方法或いは予防方法のいずれにおいても、本発明の化合物の投与を併用療法(他の治療剤、例えば、EPOや鉄、ビタミン類(Bビタミン類等)等の投与を更に含む)の一部として行うことができることを意図する。 HIFαを安定化させる化合物と他の補助剤(supplement)の少なくとも一種とを含むキットを本発明で提供する。一様相において、前記補助剤はエリスロポエチン、鉄及びBビタミン類から成る群から選択されるが、これは本発明で提供される、HIFαを安定化させる化合物と、エリスロポエチン、鉄及びBビタミン類から成る群から選択される少なくとも一種の補助剤とを含む医薬組成物の場合と同様である。 本発明は、サイトカイン濃度の上昇に関連する慢性疾患に伴う貧血を治療或いは予防するための化合物及び方法を提供する。特に、本発明は、サイトカイン濃度が上昇している被験体におけるサイトカイン誘導作用の影響、例えば、EPO産生のサイトカイン抑制やサイトカイン誘導による各種細胞接着因子の発現等を克服或いは改善するのに用いるための方法及び化合物を提供する。 一実施形態において、本発明は、EPO産生のサイトカイン抑制を克服するための方法及び化合物を提供する。このような方法及び化合物は、EPO産生のTNFα及び/又はIL−1β抑制を克服するのに有用であるが、これは例えば、培養Hep3B細胞におけるEPO産生のTNFα及び/又はIL−1β抑制を克服する能力によって評価する。 一実施形態において、本発明は、サイトカイン誘導による各種細胞接着因子の発現増加を抑制するための方法及び化合物を提供する。本発明の方法及び化合物を用いて、TNFα、IL−1β及びIFN−γ誘導による内皮細胞接着因子(例えば、VCAM−1やE−セレクチン)の発現増加を克服することができるが、これは例えば、内皮細胞(HUVEC等)におけるVCAM−1やE−セレクチンの発現レベルの低下によって評価する。 本発明は、被験体における鉄欠乏症を治療或いは予防するための方法及び化合物を提供する。特に、本発明の方法及び化合物を用いて、鉄代謝を増強することができるか、或いは、鉄代謝の低下、例えば、鉄摂取や鉄貯蔵、鉄処理、鉄輸送、鉄動員、鉄利用の低下等に関連する疾患や障害を治療或いは予防することができる。 一様相においては、本発明の方法及び化合物によって、鉄代謝(例えば、輸送や利用、貯蔵等)に関与する因子の発現が調節される。例えば、本発明の方法及び化合物によってトランスフェリンレセプターの発現が増加するが、これは例えば、肝細胞(例えば、Hep3BやHepG2)、腎細胞(例えば、HK−2)或いはリンパ球(例えば、THP−1)におけるトランスフェリンレセプター発現の増加や、ヒト被験者における可溶性トランスフェリンレセプター濃度の上昇によって評価する。本発明の方法及び化合物によってセルロプラスミン遺伝子の発現が増加するが、これは例えば、マウス腎細胞やHep3B細胞における遺伝子発現の増加によって評価する。一様相において、本発明は、ヘプシジン遺伝子の発現を抑制する方法及び化合物を提供するが、この発現抑制は例えば、マウス肝臓におけるヘプシジン遺伝子の発現の抑制によって評価する。更なる様相においては、本発明の方法及び化合物を用いて、NRAMP2や十二指腸シトクロムbレダクターゼ1等の因子の発現を増加するが、これは例えば、マウス腸における遺伝子発現の増加によって評価する。本発明の方法及び化合物によって、ヘム合成経路の最初の酵素であり、ヘム合成の律速酵素である5−アミノレブリン酸シンターゼの発現が増加するが、これは例えば、マウス腸における遺伝子発現の増加によって評価する。 本発明の方法及び化合物を用いて鉄代謝を増強することができる。特に、本発明の方法及び化合物による鉄代謝の増強は、例えば、血清鉄濃度の上昇や、トランスフェリン飽和率の上昇、鉄代謝が低下したラットモデルにおける小赤血球症の抑制によって評価する。 本発明は、赤血球形成の増強を誘導するための方法及び化合物を提供する。特に、本発明の方法及び化合物による赤血球形成の増強は、例えば、ヒト被験者や赤血球形成の低下したラットモデルにおける網状赤血球数の増加やヘマトクリットの増加、赤血球数の増加によって評価するか、或いは、例えば、赤血球形成の低下したラットモデルにおけるヘモグロビン濃度の上昇によって評価する。 本発明の方法及び化合物による小赤血球症の抑制は、例えば、赤血球形成の低下したラットモデルにおける平均赤血球ヘモグロビン濃度の上昇や平均赤血球容積の増加によって評価する。 本発明の方法は、HIFαを安定化させる化合物の有効量を被験体に投与することを含む。この安定化は、例えば、HIFヒドロキシラーゼ活性の阻害によって行うことができる。本発明の好ましい化合物としては、HIFプロリルヒドロキシラーゼ活性を阻害する化合物が挙げられる。この阻害は、例えば、直接的であっても間接的であってもよく、競合的であっても非競合的であってもよい。様々な実施形態において、本発明の化合物は、2−オキソグルタレート模倣物(mimetics)、鉄キレート剤及びプロリン類似物から成る群から選択される。一様相において、2−オキソグルタレート模倣物は、式I、式Ia或いは式Ibの複素環カルボニルグリシンである。他の様相において、鉄キレート剤は式IIIのヒドロキサム酸である。特定の実施形態においては、本明細書に例示のように、本発明の化合物は化合物Dである。 本発明の典型的な化合物としては、[(1−クロロ−4−ヒドロキシ−イソキノリン−3−カルボニル)−アミノ]酢酸(化合物A)や[(4−ヒドロキシ−7−フェノキシ−イソキノリン−3−カルボニル)−アミノ]酢酸(化合物B)、[(4−ヒドロキシ−7−フェニルスルファニル−イソキノリン−3−カルボニル)−アミノ]酢酸(化合物C)、3−{[4−(3,3−ジベンジル−ウレイド)−ベンゼンスルホニル]−[2−(4−メトキシ−フェニル)−エチル]−アミノ}−N−ヒドロキシ−プロピオンアミド(化合物D)が挙げられる。本発明に係る他の化合物及び本発明の他の化合物を同定するための方法については、後に提供する。図1Aは、本発明の方法及び化合物によりEPO産生に対するTNF−αの抑制作用が克服されることを示すデータを示す。図1Bは、本発明の方法及び化合物によりEPO産生に対するTNF−αの抑制作用が克服されることを示すデータを示す。図2Aは、本発明の方法及び化合物によりTNF−αで前処理した細胞においてEPO産生に対するTNF−αの抑制作用が克服されることを示すデータを示す。図2Bは、本発明の方法及び化合物によりTNF−αで前処理した細胞においてEPO産生に対するTNF−αの抑制作用が克服されることを示すデータを示す。図3Aは、本発明の方法及び化合物によりEPO産生に対するIL−βの抑制作用が克服されることを示すデータを示す。図3Bは、本発明の方法及び化合物によりEPO産生に対するIL−βの抑制作用が克服されることを示すデータを示す。図4Aは、本発明の方法及び化合物によりIL−1βで前処理した細胞においてEPO産生に対するIL−1βの抑制作用が克服されることを示すデータを示す。図4Bは、本発明の方法及び化合物によりIL−1βで前処理した細胞においてEPO産生に対するIL−1βの抑制作用が克服されることを示すデータを示す。図5は、本発明の方法及び化合物によりTNF−αに関連するVCAM−1発現が抑制されることを示すデータを示す。図6Aは、本発明の化合物でマウスを処理後のトランスフェリンレセプター及び鉄輸送体の発現の増加を示すデータを示す。図6Bは、本発明の化合物でマウスを処理後の腸内鉄輸送タンパク質の発現の増加を示すデータを示す。図6Cは、本発明の化合物でマウスを処理後の5−アミノレブリン酸シンターゼの発現の増加を示すデータを示す。図7は、本発明の方法及び化合物により慢性疾患に伴う貧血の動物モデルにおいて網状赤血球数が増加したことを示すデータを示す。図8は、本発明の方法及び化合物により慢性疾患に伴う貧血の動物モデルにおいてヘマトクリットが増加したことを示すデータを示す。図9は、本発明の方法及び化合物により慢性疾患に伴う貧血の動物モデルにおいてヘモグロビンレベルが上昇したことを示すデータを示す。図10は、本発明の方法及び化合物により慢性疾患に伴う貧血の動物モデルにおいて赤血球数が増加したことを示すデータを示す。図11は、本発明の方法及び化合物により慢性疾患に伴う貧血の動物モデルにおいて小赤血球症が抑制されたことを示すデータを示す。図12は、本発明の方法及び化合物により慢性疾患に伴う貧血の動物モデルにおいて平均赤血球ヘモグロビンが増加し、血色素減少が改善されたことを示すデータを示す。図13は、本発明の方法及び化合物により正常動物と慢性疾患に伴う貧血の動物モデルにおいてヘマトクリットが増加したことを示すデータを示す。図14は、本発明の方法及び化合物により正常動物と慢性疾患に伴う貧血の動物モデルにおいてヘモグロビンレベルが上昇したことを示すデータを示す。図15は、本発明の方法及び化合物により正常動物と慢性疾患に伴う貧血の動物モデルにおいて赤血球数が増加したことを示すデータを示す。図16は、本発明の方法及び化合物により正常動物と慢性疾患に伴う貧血の動物モデルにおいて平均赤血球容積が改善されたことを示すデータを示す。図17は、本発明の方法及び化合物により正常動物と慢性疾患に伴う貧血の動物モデルにおいて平均赤血球ヘモグロビンレベルが改善されたことを示すデータを示す。図18Aは、本発明の方法及び化合物により正常動物と慢性疾患に伴う貧血の動物モデルにおいて血清鉄濃度が上昇したことを示すデータを示す。図8Bは、本発明の方法及び化合物により正常動物と慢性疾患に伴う貧血の動物モデルにおいてトランスフェリン飽和度が上昇したことを示すデータを示す。図19は、本発明の方法及び化合物により正常動物と慢性疾患に伴う貧血の動物モデルにおいてNRAMP2(slc112a)及びスプラウチン(CYBRD1、十二指腸シトクロムbレダクターゼ1)の遺伝子発現が増加したことを示すデータを示す。図20は、健常ヒト被験者に本発明の化合物を投与した後の網状赤血球の増加を示すデータを示す。図21は、本発明の化合物を投与した健常ヒト被験者における赤血球数の増加を示すデータを示す。図22は、健常ヒト被験者に本発明の化合物を投与した後の可溶性トランスフェリンレセプターレベルの上昇を示すデータを示す。図23は、本発明の化合物を投与した健常ヒト被験者における血清フェリチン濃度の低下を示すデータを示す。図24Aは、本発明の方法及び化合物によりTNF−αに関連するVCAM−1及びE−セレクチンの発現が抑制されたことを示すデータを示す。図24Bは、本発明の方法及び化合物によりTNF−αに関連するVCAM−1及びE−セレクチンの発現が抑制されたことを示すデータを示す。図25は、本発明の方法及び化合物によりTNF−α及びIL−1βに関連するVCAM−1の発現が抑制されたことを示すデータを示す。図26は、本発明の方法及び化合物によりTNF−α、IL−1β及びIFN−γに関連するE−セレクチンの発現が抑制されたことを示すデータを示す。図27Aは、本発明の方法及び化合物とIL−6とにより肝細胞におけるEPOレベルが相乗的に上昇したことを示すデータを示す。図27Bは、本発明の方法及び化合物とIL−6とにより肝細胞におけるEPOレベルが相乗的に上昇したことを示すデータを示す。 本発明の組成物及び方法の説明を行う前に、本発明が、記載された特定の手順やプロトコル、細胞株、アッセイ、試薬に限定されないことは、これらを変更し得ることを考慮すれば理解されるであろう。また、本明細書で用いる用語が本発明の特定の実施形態を記載するためのものであって、決して添付クレームに記載された本発明の範囲を限定するためのものでないことも理解されるであろう。 本明細書及び添付クレーム中で用いられる、単数形を表わす「a」、「an」及び「the」は、文脈で明確に指示されない限り、複数物への言及をも含むと理解されたい。よって、例えば「断片」とあった場合、複数の断片をも含み、「化合物」とは一以上の化合物、及び本明細書に記載され当業者に知られたそれらの等価物(equivalents)を意味する等である。 特に断りのない限り、本明細書に用いられる全ての技術用語及び科学用語が持つ意味は、本発明の属する技術分野の当業者によって通常理解されるものと同じである。本明細書に記載のものと同様或いは等価な方法や材料のいずれも本発明の実施や試験に用いることができるが、ここに記載した方法や装置、材料は好ましいものである。本明細書に引用した全ての刊行物は、本発明に関連して用いられるであろう、該刊行物に記載の手順や試薬、ツールを説明し開示するために、その全内容を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。本明細書の如何なる内容も、本発明が先行発明による開示を先行する資格がないという自認として解釈されるべきではない。 本発明の実施に当たり、特に断りのない限り、当業者の範囲内で、化学、生化学、分子生物学、細胞生物学、遺伝学、免疫学及び薬理学に関する従来法を用いる。このような技法については、各種文献にて十分に説明されている。例えば、ゲナロ(Gennaro),A.R.編(1990年)Remington's Pharmaceutical Sciences、第18版、Mack Publishing社;ハードマン(Hardman),J.G、リンバード(Limbird),L.E.及びギルマン(Gilman),A.G.編(2001年)The Pharmacological Basis of Therapeutics、第10版、McGraw-Hill社;コロウィック(Colowick),S.ら編、Methods In Enzymology、Academic Press社;ウィア(Weir),D.M.及びブラックウェル(Blackwell),C.C.編(1986年)Handbook of Experimental Immunology、Vol.I-IV、Blackwell Scientific Publications;マニアティス(Maniatis),T.ら編(1989年)Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、Vol.I-III、Cold Spring Harbor Laboratory Press;アウスベル(Ausubel),F.M.ら編(1999年)Short Protocols in Molecular Biology、第4版、John Wiley & Sons;レアム(Ream)ら編(1998年)Molecular Biology Techniques: An Intensive Laboratory Course、Academic Press;ニュートン(Newton),C.R.及びグラハム(Graham),A.編(1997年)PCR(Introduction to Biotechniques Series)、第2版、Springer Verlag参照のこと。定義 「慢性疾患に伴う貧血」とは、例えば、感染症や炎症、腫瘍性障害等の拡大によって発症するいずれの貧血をも意味する。こうして発症する貧血は、赤血球寿命の短縮や、新しい赤血球の形成に利用可能な鉄の量の低下をもたらすマクロファージにおける鉄の封鎖(sequestration)によって特徴付けられることが多い。慢性疾患に伴う貧血に関連する病態としては、慢性細菌性心内膜炎や骨髄炎、リウマチ熱、潰瘍性大腸炎、腫瘍性障害が挙げられるが、これらに限定されない。更なる病態としては、感染症や炎症、腫瘍に関連する他の疾患や障害が挙げられ、例えば、炎症性感染症(例えば、肺膿瘍や結核、骨髄炎等)や、炎症性非感染性障害(例えば、関節リウマチや全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythrematosus)、クローン病、肝炎、炎症性大腸炎等)、各種癌、腫瘍及び悪性腫瘍(例えば、癌腫や肉腫、リンパ腫等)が挙げられる。 「障害」、「疾患」及び「病態」は包括的に用いられ、正常から逸脱したいずれの状態をも意味する。 「エリスロポエチン」とは、いずれの組換えエリスロポエチン或いは天然エリスロポエチンをも意味し、例えば、ヒトエリスロポエチン(GenBank受託番号AAA52400;リン(Lin)ら(1985年)Proc Natl Acad Sci USA 82:7580-7584)や、EPOETINヒト組換えエリスロポエチン(アムジェン社、カリフォルニア州サウザンドオークス)、ARANESPヒト組換えエリスロポエチン(アムジェン)、PROCRITヒト組換えエリスロポエチン(オーソ・バイオテック・プロダクツ(Ortho Biotech Products),L.P.、ニュージャージー州ラリタン)等が挙げられる。 「HIFα」とは、低酸素誘導因子タンパク質のαサブユニットを意味する。HIFαは、いずれのヒトタンパク質や他の哺乳類タンパク質であってもよく、或いはその断片であってもよいが、例えば、ヒトHIF−1α(GenBank受託番号Q16665)、ヒトHIF−2α(GenBank受託番号AAB41495)及びヒトHIF−3α(GenBank受託番号AAD22668);マウスHIF−1α(GenBank受託番号Q61221)、マウスHIF−2α(GenBank受託番号BAA20130及びAAB41496)及びマウスHIF−3α(GenBank受託番号AAC72734);ラットHIF−1α(GenBank受託番号CAA70701)、ラットHIF−2α(GenBank受託番号CAB96612)及びラットHIF−3α(GenBank受託番号CAB96611);及びウシHIF−1α(GenBank受託番号BAA78675)が挙げられる。HIFαはいずれの非哺乳類タンパク質であってもよく、或いはその断片であってもよいが、例えば、アフリカツメガエルHIF−1α(GenBank受託番号CAB96628)や、キイロショウジョウバエHIF−1α(GenBank受託番号JC4851)、ニワトリHIF−1α(GenBank受託番号BAA34234)等が挙げられる。また、HIFα遺伝子配列は、通常のクローニング技法、例えば、上述のHIFα遺伝子配列の全て或いは一部をプローブとして用い、他種においてHIFα遺伝子の配列を回収し決定することによっても得ることができる。 HIFαの断片としては、ヒトHIF−1αのアミノ酸401〜603(ファン(Huang)ら、上述)、アミノ酸531〜575(ジャン(Jiang)ら(1997年)J Biol Chem 272:19253-19260)、アミノ酸556〜575(タニモトら、上述)、アミノ酸557〜571(スリニヴァス(Srinivas)ら(1999年)Biochem Biophys Res Commun 260:557-561)及びアミノ酸556〜575(イヴァン(Ivan)及びカエリン(Kaelin)(2001年)Science 292:464-468)によって規定される領域が挙げられる。また、HIFαの断片としては、例えば、HIFα天然配列のL397TLLAP及びL559EMLAPで出現するモチーフLXXLAPの少なくとも一回の出現を含むいずれの断片も挙げられる。更に、HIFαの断片としては、HIFαの少なくとも一種の機能的或いは構造的特性を保持するいずれの断片も挙げられる。 「HIFプロリルヒドロキシラーゼ」及び「HIF PH」とは、HIFタンパク質のプロリン残基をヒドロキシル化することが可能ないずれの酵素をも意味する。好ましくは、HIF PHによってヒドロキシル化されるプロリン残基としては、例えば、ヒトHIF−1α天然配列のL397TLLAP及びL559EMLAPで出現するモチーフLXXLAP内で見出されるプロリンが挙げられる。HIF PHとしては、テイラー(Taylor)(2001年、Gene 275:125-132)によって記載され、アラヴィンド(Aravind)及びクーニン(Koonin)(2001年、Genome Biol 2:RESEARCH0007)、エプスタイン(Epstein)ら(2001年、Cell 107:43-54)及びブルイック(Bruick)及びマックナイト(McKnight)(2001年、Science 294:1337-1340)によって特徴付けられたEgl−Nine(EGLN)遺伝子ファミリーのメンバーが挙げられる。HIFプロリルヒドロキシラーゼ酵素の例としては、ヒトSM−20(EGLN1)(GenBank受託番号AAG33965;デュプイ(Dupuy)ら(2000年)Genomics 69:348-54)、ヒトEGLN2アイソフォーム1(GenBank受託番号CAC42510;テイラー(Taylor)、上述)、ヒトEGLN2アイソフォーム2(GenBank受託番号NP 060025)及びヒトEGLN3(GenBank受託番号CAC42511;テイラー(Taylor)、上述);マウスEGLN1(GenBank受託番号CAC42515)、マウスEGLN2(GenBank受託番号CAC42511)及びマウスEGLN3(SM−20)(GenBank受託番号CAC42517);及びラットSM−20(GenBank受託番号AAA19321)が挙げられる。更に、HIF PHとしては、エレガンス線虫EGL−9(GenBank受託番号AAD56365)やキイロショウジョウバエCG1114遺伝子産物(GenBank受託番号AAF52050)を挙げることができる。また、HIFプロリルヒドロキシラーゼとしては、少なくとも一種の構造的或いは機能的特性を保持する上述の全長タンパク質のいずれの断片も挙げられる。 本明細書に記載の「プロリルヒドロキシラーゼ阻害剤」或いは「PHI」とは、アミノ残基をヒドロキシル化する酵素の活性を抑制或いは調節するいずれの化合物をも意味する。プロリン残基がヒドロキシル化される酵素活性が好ましいが、他のアミノ酸(例えば、アルギニンが挙げられるが、これに限定されない)のヒドロキシル化も意図する。本発明の方法に用いることができる化合物としては、例えば、鉄キレート剤や2−オキソグルタレート模倣物、修飾アミノ酸(例えば、プロリン)類似物が挙げられる。 特定の実施形態において、本発明は、2−オキソグルタレートの構造模倣物(structural mimetics)の使用を提供する。このような化合物は、標的の2−オキソグルタレートジオキシゲナーゼ酵素ファミリーメンバーを2−オキソグルタレートと競合的に阻害する一方、鉄とは非競合的に阻害することができる(マジャマー(Majamaa)ら(1984年)Eur J Biochem 138:239-245;及びマジャマー(Majamaa)ら(1985年)Biochem J 229:127-133)。本発明での使用を具体的に意図するPHIは、例えば、マジャマー(Majamaa)ら、上述;キヴィリッコ(Kivirikko)及びミリハージュ(Myllyharju)(1998年)Matrix Biol 16:357-368;ビッケル(Bickel)ら(1998年)Hepatology 28:404-411:フリードマン(Friedman)ら(2000年)Proc Natl Acad Sci USA 97:4736-4741;フランクリン(Franklin)(1991年)Biochem Soc Trans 19):812 815;フランクリン(Franklin)ら(2001年)Biochem J 353:333-338;及び国際公開WO03/053977号及びWO03/049686号に記載されているが、これら各文献の内容全てを本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。[(1−クロロ−4−ヒドロキシ−イソキノリン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸(化合物A)や[(4−ヒドロキシ−7−フェノキシ−イソキノリン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸(化合物B)、[(4−ヒドロキシ−7−フェニルスルファニル−イソキノリン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸(化合物C)、3−{[4−(3,3−ジベンジル−ウレイド)−ベンジルスルホニル]−[2−(4−メトキシ−フェニル)−エチル]−アミノ}−N−ヒドロキシ−プロピオンアミド(化合物D)等の典型的なPHIを本例で用いて、本明細書に記載の本発明の方法について説明する。発明 本発明は、被験体において赤血球形成の増強或いは完全な赤血球形成を誘導するための方法及び化合物に関する。特に、本発明の方法は、被験体においてHIFαを安定化させることによって赤血球形成の増強或いは完全な赤血球形成を誘導することを含む。HIFプロリルヒドロキシラーゼを阻害することによって赤血球形成の増強を誘導する方法を具体的に意図する。具体的な実施形態において、本発明の方法は、本発明の化合物を被験体に投与することを含む。様々な実施形態において、前記被験体は細胞、組織、器官、器官系、或いは生体全体であり得る。 慢性疾患に伴う貧血は、入院患者において最も一般的な貧血の形態である。慢性疾患に伴う貧血は、炎症性障害や悪性障害(例えば、炎症性感染症(例えば、肺膿瘍や結核、骨髄炎等)や炎症性非感染性障害(例えば、関節リウマチや全身性エリテマトーデス、クローン病、肝炎、炎症性大腸炎等)、各種癌、腫瘍及び悪性腫瘍(例えば、癌腫や肉腫、リンパ腫等)、慢性細菌性心内膜炎、骨髄炎、リウマチ熱、潰瘍性大腸炎、腫瘍性障害等)を有する患者において生じる。 一様相において、本発明は、赤血球形成の増強或いは完全な赤血球形成を誘導して慢性疾患に伴う貧血を治療するための方法を提供する。慢性疾患に伴う貧血は、例えば、関節リウマチやリウマチ熱、炎症性大腸炎、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス、血管炎、腫瘍性障害等の多くの慢性障害に関連すると共に、慢性感染症や慢性炎症にも関連する。赤血球形成の低下や無効な赤血球形成は、慢性疾患に伴う貧血を有する患者においては一般的な病状である。赤血球形成の低下や無効な赤血球形成は、赤血球形成経路における各種代謝異常、例えば、EPO産生の抑制や、骨髄におけるEPO応答性の低下、鉄処理に関する異常(例えば、異常な或いは無効な鉄摂取や鉄動員、鉄貯蔵、鉄吸収)等に起因し得る。 慢性疾患に伴う貧血に関連する障害の生理的特徴としては、炎症性サイトカインの産生の増加が挙げられ(ミーンズ(Means)(1995年)Stem Cells 13:32-37及びミーンズ(Means)(1999年)Int J Hematol 70:7-12)、炎症性サイトカインとしては、例えば、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)やインターロイキン−1β(IL−1β)、インターフェロン−γ(IFN−γ)が挙げられるが、これらは、EPO産生やEPO応答性、鉄代謝の協調的調節を仲介する能力に対し悪影響を及ぼす(例えば、ルードマン(Roodman)ら(1989年)Adv Exp Med Biol 271:185-196;フックス(Fuchs)ら(1991年)Eur J Hematol 46:65-70;ジェルクマン(Jelkmann)ら(1991年)Ann NY Acad Sci 718:300-311;ヴァンヌッキ(Vannucchi)ら(1994年)Br J Hematol 87:18-23;及びオルデンバーグ(Oldenburg)ら(2001年)Aliment Pharmacol Ther 15:429-438参照)。本発明は、EPO産生やEPOシグナル伝達、鉄利用に関する代謝経路及び生理的経路を改善して、完全な赤血球形成或いは赤血球形成の増強と共に、慢性疾患に伴う貧血の抑制或いは改善をもたらすための方法を提供する。 本発明は、慢性疾患に伴う貧血に対する既存の療法(例えば、組換えEPOの投与等)に勝る利益を提供する。EPO産生の低下は、赤血球形成低下の一局面に過ぎず、組換えEPOの投与が、慢性疾患に伴う貧血の患者に見られる赤血球形成の低下に関連する他の不全(deficiencies)には対応しないことが認められている(例えば、クリボン(Clibon)ら(1990年)Exp Hematol 18:438-441、及びマクドーゴール(Macdougall)及びクーパー(Cooper)(2002年)Neprol Dial Transplant 17(11):39-43参照)。このような不全としては、例えば、骨髄のEPO応答性の低下や、完全な(complete or total)赤血球形成を引き起こす多くの鉄代謝面(腸からの鉄吸収や、鉄の経腸細胞輸送、ヘフェスチンやセルロプラスミンによる鉄の3価状態(ferric state)への酸化、トランスフェリンやトランスフェリンレセプターによる鉄の結合や摂取、ヘム合成等の鉄利用が生じる骨髄への鉄輸送等)の低下が挙げられる。上述の理由から、多くの患者は組換えEPOの投与に対して反応せず、組換えEPOの用量を増加しても、組換えEPO投与に対する応答は小さいか全くない。 慢性疾患に伴う貧血における炎症性サイトカインの蔓延(prevalence)によって、例えば、適切なヘム合成に鉄を必要とする新生赤血球前駆体に容易に接近できない細胞区画内のマクロファージで主に血清鉄濃度が低下し、鉄貯蔵が増加する。本発明は、完全な(complete and total)赤血球形成を引き起こす代謝経路を増強するための方法を提供する。一実施形態において、上述の治療剤(the therapeutic)は、その効果を更に高める補助剤(例えば、鉄やBビタミン類)と併用投与する。 慢性疾患に伴う貧血はフェリチン濃度の上昇に関連する。フェリチン濃度が高くても、慢性疾患に伴う貧血を有する被験体は鉄を効果的に利用することができない。フェリチン濃度が高い場合には、骨髄への鉄の再循環が低下し鉄貯蔵が増加していることを示し、即ち、慢性疾患に伴う貧血や尿毒性慢性腎疾患患者によく見られる擬似炎症状態に関連することの多い機能性鉄欠乏症を示す。本発明の方法及び化合物は、フェリチン濃度を低下させることによって貯蔵鉄を減少させ、トランスフェリンやトランスフェリンレセプターによる鉄の再循環を高める。血清フェリチン濃度が低下すれば、鉄利用が高まると共に骨髄への鉄の再循環が高まって、ヘム産生や赤血球形成のための鉄利用能が増加することを示すことになる。 低酸素症に対するゲノム応答としては、急性及び慢性酸素欠乏作用を改善するための細胞生理機能や遺伝子発現の変化が挙げられる。低酸素誘導因子(HIF)は、酸素によって制御される(oxygen-regulated)αサブユニット(HIFα)と構成的に発現されるβサブユニット(HIFβ)とから成る転写因子である。HIFαは、正常酸素圧(normoxic)環境下では、HIF特異的プロリンヒドロキシラーゼ(HIF−PH)による特定のプロリン残基のヒドロキシル化に起因して不安定化する。しかし、酸素が限界になると(例えば、低酸素環境下では)、HIF−PHはHIFαをヒドロキシル化できないため、このサブユニットは分解劣化せず(not degraded)、活性HIF複合体を形成し、核へ転位し、遺伝子転写を活性化する。 ある様相において、本発明は、低酸素症を薬学的に模倣する(pharmaceutically mimicking)ことによって慢性疾患に伴う貧血を治療する方法を提供する。ある様相において、本発明の方法は、炎症性サイトカインの抑制作用に抵抗する形でEPO産生を増強する。EPO産生は通常、低酸素によって誘導されるが、その発現や分泌は、慢性疾患患者によく見られる炎症性サイトカイン(TNF−αやIL−1β、IFN−γ等)の存在下では抑制されたままである(例えば、ミーンズ(Means)(1995年)Stem Cells 13:32-37;ミーンズ(Means)(1999年)Int J Hematol 70:7-12;ルードマン(Roodman)ら(1989年)Adv Exp Med Biol 271:185-196;フックス(Fuchs)ら(1991年)Eur J Hematol 46:65-70;ジェルクマン(Jelkmann)ら(1991年)Ann NY Acad Sci 718:300-311;及びヴァンヌッキ(Vannucchi)ら(1994年)Br J Hematol 87:18-23参照)。プロリルヒドロキシラーゼ阻害剤は、EPO産生に対する炎症性サイトカインの抑制作用を少なくとも一部克服するが、これは、Hep3B細胞がEPOを炎症性サイトカインの存在下で見られるレベルを超えて分泌できることから明らかである(例えば、図1A、1B、2A、2B、3A、3B、4A及び4B参照)。また、鉄キレート剤やデスフェリオキサミン等の剤も、エリスロポエチン抵抗性貧血(例えば、慢性疾患に伴う貧血)の検討において多少の効果を示した(例えば、サルヴァラニ(Salvarani)ら(1996年)Rheumatol Int 16:45-48及びゴッホ(Goch)ら(1995年)Eur J Hematol 55:73-77参照)。 他の様相において、本発明は、炎症性サイトカインの存在下でのEPOレセプターによるシグナル伝達を改善するための方法を提供する。慢性疾患患者における炎症性サイトカインの蔓延(prevalence)によって、EPOシグナル伝達の効率が低下するが、これは、多くの患者が赤血球形成の増強に伴って組換えEPOに応答できなくなることから明らかである。これは、EPO生物活性に対する感受性の低下と共に、骨髄の構造及び/又は微小環境における不全によって生じると思われる(例えば、クリボン(Clibon)ら(1990年)Exp Hematol 18:438-441、及びマクドーゴール(Macdougall)及びクーパー(Cooper)(2002年)Neprol Dial Transplant 17(11):39-43参照)。ある実施形態において、本発明は、EPOレセプターによるシグナル伝達に対する適切な細胞の感受性を回復させることによって完全な赤血球形成を誘導するための方法を提供する。 鉄欠乏症は、世界中で最も一般的な栄養欠乏症の一種であり、世界的規模で貧血の主要原因である。鉄バランスは、赤血球形成の速度(rate)及び鉄貯蔵のサイズによって基本的に調節される。鉄欠乏症は貧血を伴っても伴わなくても生じ得るが、認知発達の障害と関連付けられている。 鉄欠乏症は、鉄の供給(レベル或いは貯蔵)の低下、或いは体内での鉄利用能や鉄利用の低下として定義される。鉄欠乏症は、栄養欠乏(例えば、食事中の鉄不足);外科手術(胃切除後)や疾患(クローン病)等に起因する鉄の吸収不良;傷害や外傷、月経、献血、瀉血(様々な処置や外科手術等に起因)による慢性或いは急性失血に起因する鉄供給の減少や鉄損失の増加;或いは、幼児期や青年期の急速な成長、妊娠、エリスロポエチン療法等に起因する鉄需要の増加によって生じ得る。 鉄欠乏症は、機能性鉄欠乏症、例えば、被験体の貯蔵鉄に接近し利用する能力の低下によって特徴付けされる鉄欠乏症でもあり得る。赤血球を正常にヘモグロビン化させるのに十分な速度(rate)で鉄を利用できないため、網状赤血球や赤血球の細胞内ヘモグロビン含量が低下する。機能性鉄欠乏症は、見かけ上鉄貯蔵が正常であるか増加していても鉄利用能が低下(例えば、低レベルのトランスフェリン飽和率によって評価される)している健常な個体によく見られる。この種の鉄欠乏症は急性炎症或いは慢性炎症に関連することが多い。 鉄欠乏症はいずれの種類であっても鉄欠乏性或いは鉄制限性(iron-restricted)赤血球形成を引き起こし得るが、その際、赤血球数は減少し、循環赤血球は正常よりも小さく(小球性)、また、ヘモグロビンが十分にないため、それ自体色が薄くなる(低色素性)。 鉄欠乏症(例えば、機能性鉄欠乏症)の被験体においては、ヘモグロビン合成の低下、トランスフェリン飽和率(%)の低下、及びヘモグロビンやヘマトクリットのレベルが低下が生じて、鉄欠乏性貧血が発症し得る。鉄欠乏性貧血は世界中で最も一般的な貧血である。鉄はヘモグロビンの必須成分であり、鉄が無いと、骨髄はヘモグロビンを効果的に産生することができない。鉄欠乏性貧血は鉄供給が減少或いは低下した被験体において発症することもあり、或いは、機能性鉄欠乏症(即ち、鉄は貯蔵されているがヘモグロビン産生等に利用できない)の被験体において発症することもある。 一般に、鉄代謝は、細胞、組織、器官、器官系或いは生体全体が特定の鉄代謝プロセスを変更(例えば、増加や減少)することによって鉄ホメオスタシスを維持する各種プロセスを包含する。鉄代謝或いは鉄代謝プロセスは、鉄処理や鉄輸送、鉄摂取、鉄利用、鉄貯蔵、鉄動員、鉄吸収等に関与するプロセスを包含する。鉄代謝及び鉄処理の具体的な様相としては、鉄の細胞膜の透過や細胞による鉄の保持或いは分泌を促進する酵素及び鉄輸送体の発現;血中の鉄輸送に関与するタンパク質の発現の変化;トランスフェリン及びトランスフェリンレセプターの発現の変化;鉄吸収に関与するタンパク質の発現及び/又は活性の変化;鉄関連転写及び翻訳調節タンパク質の発現及び活性の変化;及び体液や培養液(例えば、間質液(即ち、細胞外液)や細胞内液、血液、骨髄等)内での鉄分布の変化が挙げられる。 ある様相において、本発明は、鉄摂取、鉄輸送、鉄処理及び鉄利用を改善するための方法を提供する。慢性疾患に伴う貧血は、ヘム合成やヘモグロビン形成に悪影響を及ぼして、赤血球形成を低下させる鉄利用の不全に関連する(例えば、オルデンバーグ(Oldenburg)ら(2001年)Aliment Pharmacol Ther 15:429-438参照)。慢性疾患患者における血清鉄濃度の低下や鉄動員の低下、それに伴う鉄貯蔵の増加は、長期の炎症状態下でのマクロファージの微生物防御機構に関連することがある(フックス(Fuchs)ら(1991年)Eur J Hematol 46:65-70参照)。ある様相において、本発明は、HIFαを安定化させることによって効果的な鉄代謝を増加させるための方法を提供する。 数多くのタンパク質が鉄代謝を仲介するが、例えば、赤血球5−アミノレブリン酸シンターゼ(ALAS)(ヘム合成における最初の段階且つ律速段階)(ボトムレイ(Bottomley)及びミュラー−エバーハード(Muller-Eberhard)(1988年)Semin Hematol 25:282-302、及びイン(Yin)ら(1998年)Blood, Cells, Molecules, and Diseases 24(3):41-533)やトランスフェリン、トランスフェリンレセプター、鉄輸送体(鉄輸送に関与)、セルロプラスミン等のタンパク質が挙げられる。トランスフェリンやトランスフェリンレセプターの発現の増加によって、赤血球前駆体による鉄摂取が刺激され、マクロファージによる骨髄への鉄輸送及び鉄摂取が促進される(ゴスワミ(Goswami)ら(2002年)Biochem Cell Biol 80:679-689)。セルロプラスミンによって2価鉄の3価鉄への酸化が増加してトランスフェリンへの結合が生じる(ゴスワミ(Goswami)ら(2002年)Biochem Cell Biol 80:679-689)。ある様相において、本発明の方法は、赤血球5−アミノレブリン酸シンターゼやトランスフェリン、トランスフェリンレセプター、NRAMP2、スプラウチン(十二指腸シトクロムbレダクターゼ1)、セルロプラスミン等の鉄代謝に関与するタンパク質の発現或いは活性を増加させることによって鉄代謝を増加させる。他の様相において、本発明の方法は、ヘプシジンの発現或いは活性を抑制し、フェリチンの発現を調節することによって鉄代謝を増加させる。 一実施形態において、本発明は、鉄代謝や鉄処理(鉄摂取や鉄貯蔵、鉄輸送、鉄吸収等)に関与する産物を産生する遺伝子の発現を増加させるための方法及び化合物を提供する。このような遺伝子としては、トランスフェリンレセプターやセルロプラスミン、NRAMP2、5−アミノレブリン酸シンターゼ、スプラウチン(CYBRD1)等が挙げられるが、これらに限定されない。鉄代謝や鉄処理に関与する遺伝子の治療的アップレギュレーションによって鉄利用能が効果的に増加して、慢性疾患に伴う貧血や鉄欠乏性貧血、機能性鉄欠乏症等の患者において有益な効果をもたらすであろう。他の実施形態において、本発明は、鉄調節に関連するタンパク質であるヘプシジンの発現を抑制するための方法及び化合物を提供する。 適切な鉄代謝の調節については、フェリチン(鉄貯蔵)やミトコンドリアアコニターゼ(エネルギー代謝)、赤血球アミノレブリン酸シンターゼ、トランスフェリンレセプター等をコードするmRNAの5’−及び/又は3’−UTRで見出される鉄応答性要素(IRE)に結合する鉄応答要素結合タンパク質(iron response-element binding proteins)(IRP)によって部分的に行われる。フェリチン転写等において生じる5’−IREへのIRP結合によってmRNAの翻訳が阻害され、トランスフェリン転写等において生じる3’−IREへのIRP結合によってmRNAが劣化から守られる。IRP−2は細胞内で構成的に形成されるが、鉄が豊富な条件下では劣化して不活性化する。しかし、IRP−2は、鉄枯渇及び/又は低酸素条件下では安定化する(ハンソン(Hanson)ら(1999年)J Biol Chem 274:5047-5052)。IRP−2は長期の鉄貯蔵に関与するフェリチンの発現を抑制し、トランスフェリンやトランスフェリンレセプターの発現を増加させるため、IRP−2によって鉄摂取や鉄輸送、鉄利用が促進されて、赤血球形成が増強される(クラウスナー(Klausner)ら(1993年)Cell 72:19-28)。最近では、IREの説明が、赤血球形成にも必要な他の遺伝子、例えば、5−アミノレブリン酸シンターゼやNRAMP2鉄輸送体(Slc11a2、DCT1、DMT1、mk(マウスの小球性貧血遺伝子座)としても知られている)、食源から十二指腸への鉄吸収を仲介する鉄輸送体等においてなされている(ハイレ(Haile)(1999年)Am J Med Sci 318:230-240、及びグンシン(Gunshin)ら(2001年)FEBS Lett 509:309-316)。 本発明の方法は、低酸素状態を模倣することによって、HIFαに加えてIRP−2を潜在的に安定化し、内因性EPOの産生と機能性赤血球(functional erythrocytes)産生における鉄摂取や鉄輸送、鉄利用の増強とに関する相乗効果をもたらす。 成人において、食事に含まれる鉄の吸収は男性の場合、平均で約6%、妊娠していない女性の場合、平均で13%である。NRAMP2(DMT1、DCT1、slc11a2としても知られる)は、非トランスフェリン結合鉄の膜透過輸送に関与する、遍在的に発現される2価金属輸送体である。NRAMP2は、消化管から十二指腸細胞への鉄輸送及び赤芽球エンドソームから細胞質への鉄輸送に関連する鉄輸送タンパク質である。食事由来鉄(dietary iron)の欠乏に陥っている動物においては、近位十二指腸の円柱吸収上皮における腸細胞の先端極内でNRAMP2(slc11a2)の発現が劇的に増加した(例えば、キャノン−エルゴー(Canonne-Hergaux)ら(1999年)Blood 93:4406-4417参照)。遺伝的げっ歯類モデルにおいては、この遺伝子と鉄欠乏症関連貧血とが結び付けられている(例えば、変異NRAMP2遺伝子を有する低色素及び小球性貧血マウス(mkマウス))。MKマウスは鉄吸収や赤血球鉄利用において著しい不全を示す。 ある様相において、本発明の方法及び化合物は、食事に含まれる鉄の吸収を増加させる上で有用である。本発明は、鉄の輸送、吸収に関連する遺伝子の発現を増加させるための方法及び化合物を提供する。特に、本発明の化合物は、腸内のNRAMP2の発現の増加に効果的であった。NRAMP2(slc11a2)の発現が増加すれば、例えば、食事に含まれる鉄の腸からの吸収を増加させる上で望ましいであろう。 更に、本発明は、本発明の化合物で処理した動物の腸内でスプラウチン遺伝子の発現が増加することを示すデータを提供する。Dcytb及びCybrd1(CYBRD1、十二指腸シトクロムbレダクターゼ1)としても知られるスプラウチン腸内鉄レダクターゼは、3価鉄レダクターゼ(ferric reductase)であり、細胞外3価鉄から鉄吸収に関連する2価鉄への還元を触媒する。鉄欠乏動物において、スプラウチンは十二指腸絨毛の先端領域でNRAMP2と共発現する(例えば、マッキー(McKie)ら(2001年)Science 291:1755-1759)。 本発明の方法及び化合物は、セルロプラスミン遺伝子の発現を増加させる上で有用である。フェロキシダーゼ−1としても知られるセルロプラスミンは、貯蔵部位から放出される還元鉄(フェリチン等)を酸化型へと変化させる。酸化された鉄は、その血漿輸送タンパク質であるトランスフェリンに結合することができる。セルロプラスミン欠乏は肝臓や他の組織への鉄の蓄積に関連する。セルロプラスミンによって肝臓からの鉄の流出が促進され、鉄欠乏細胞への鉄の流入が促進される証拠が示されている(例えば、トラン(Tran)ら(2002年)J Nutr 132:351-356参照)。 本発明の化合物によって、マウス肝臓におけるヘプシジンmRNAの発現が抑制された。炎症によってIL−6の産生が引き起こされ、それが肝細胞に作用してヘプシジン産生を誘導する。ヘプシジンはマクロファージの鉄放出と腸内鉄吸収を阻害し、鉄利用能を低下させて、例えば、低鉄血症を引き起こす。ヘプシジン発現の抑制は、細網内皮細胞からの鉄放出の増加及び腸内鉄吸収の増加に関連する。従って、本発明の方法及び化合物は、ヘプシジン発現を抑制し、腸内鉄吸収を増加させ、低鉄血症を抑制する上で有用である。 C型肝炎ウイルス(HCV)感染に関連する貧血を治療するための方法を具体的に意図する。HCV感染に対する現在の療法としては、インターフェロン−αとリバビロンの併用が挙げられる。この併用療法はヘモグロビン濃度の低下及び貧血を伴う。一様相においては、HCV感染に関連する貧血を治療するための方法及び化合物を提供する。他の様相においては、HCV感染のインターフェロン−α療法に伴う貧血を治療するための方法及び化合物を提供する。他の様相において、本発明は、HCV感染のリバビリン療法に伴う貧血を治療する上で有用な化合物及び方法を提供する。 また、造血幹細胞(HSC)やCFU−GEMM(コロニー形成単位顆粒球/赤血球/単球/巨核球)細胞等の造血前駆細胞からの赤血球の分化に必要な因子の産生を増加させるための方法も意図する。赤血球形成を刺激する因子としてはエリスロポエチンが挙げられるが、これに限定されない。他の様相においては、本発明の方法によって、鉄摂取や鉄輸送、鉄利用に必要な因子の産生が増加する。このような因子としては、赤血球アミノレブリン酸シンターゼやトランスフェリン、トランスフェリンレセプター、セルロプラスミン、フェリチン等が挙げられるが、これらに限定されない。更に他の様相においては、本発明の方法によって、赤血球の分化に必要な因子が増加し、更に鉄摂取や鉄輸送、鉄利用に必要な因子が増加する。 また、エリスロポエチンに対する造血前駆体の応答性を増強するための方法も意図する。上述のように、このような前駆体としてはHSCやCFU−GEMM等が挙げられる。このような前駆細胞の応答性の増強については、例えば、エリスロポエチンレセプターの発現、エリスロポエチンシグナル伝達に関与する細胞内因子の発現、及びエリスロポエチンと該レセプターとの相互作用を促進する分泌因子の発現を変化させることによって行うことができる。本発明は、EPOレセプター発現の増加等によって骨髄のEPO応答性を増強するための方法を提供する。方法 本発明においては様々な方法を提供する。一様相において、本発明の方法は、HIFαを安定化させる剤を被験体に投与することを含む。 HIFαの安定化は、当業者が利用可能で知っている方法のいずれによっても行うことができ、HIFαと相互作用或いは結合したり、HIFαを修飾する剤のいずれか、或いはHIFαと相互作用する因子(例えば、HIFαが基質となる酵素)を用いることができる。ある様相において、本発明は、構造的に安定なHIFα変異体(例えば、安定なHIFムテイン等)或いはこのような変異体をコードするポリヌクレオチドを提供することを意図する(例えば、米国特許第6,562,799号及び6,124,131号;及び米国特許第6,432,927号参照)。他の様相において、本発明は、HIFαの安定化がHIFαを安定化させる剤の投与を含むことを意図する。この剤は、ポリヌクレオチド(例えば、アンチセンス配列)(例えば、国際公開WO03/045440号参照)やポリペプチド、抗体、他のタンパク質、炭水化物、脂肪、脂質、有機及び無機物質(例えば、小分子等)から構成することができる。好ましい実施形態において、本発明は、例えば、被験体におけるHIFαの安定化をHIFα安定化剤(ここでは、該剤はHIFαを安定化させる小分子化合物等の化合物である)を前記被験体に投与することによって行うことを意図する。 他の実施形態において、本発明の方法は、2−オキソグルタレートジオキシゲナーゼファミリーから選択される少なくとも一種の酵素の活性を阻害することによってHIFαを安定化させることを含む。好ましい実施形態において、該酵素はHIFヒドロキシラーゼ酵素、例えば、EGLN−1やEGLN−2、EGLN−3等である(例えば、テイラー(Taylor)(2001年)Gene 275:125-132;エプスタイン(Epstein)ら(2001年)Cell 107:43-54;及びブルイック(Bruick)及びマックナイト(McKnight)(2001年)Science 294:1337-1340参照)。しかし、該酵素が2−オキソグルタレートジオキシゲナーゼ酵素ファミリーから選択される酵素のいずれかであることを具体的に意図しており、このような酵素としては、例えば、プロコラーゲンリシルヒドロキシラーゼやプロコラーゲンプロリル3−ヒドロキシラーゼ、プロコラーゲンプロリル4−ヒドロキシラーゼα(I)及びα(II)、チミン7−ヒドロキシラーゼ、アスパルチル(アスパラギニル)β−ヒドロキシラーゼ、ε−N−トリメチルリシンヒドロキシラーゼ、γ−ブチロベタインヒドロキシラーゼ等が挙げられる(例えば、マジャマー(Majamaa)ら(1985年)Biochem J 229:127-133;ミリハージュ(Myllyharju)及びキヴィリッコ(Kivirikko)(1997年)EMBO J 16:1173-1180;ソーンバーグ(Thornburg)ら(1993年)32:14023-14033;及びジア(Jia)ら(1994年)Proc Natl Acad Sci USA 91:7227-7231参照)。 ある実施形態において、本発明の方法は、HIFαを安定化させる剤の有効量を被験体に投与することによって慢性疾患に伴う貧血を治療すること或いは鉄代謝を調節することを含む。好ましい実施形態において、該剤は本発明の化合物である。一様相において、本発明の化合物は、HIFαのある残基(例えば、プロリン残基やアスパラギン残基等)のヒドロキシル化を阻害することによってHIFαを安定化させる。好ましい実施形態において、該残基はプロリン残基である。具体的な実施形態において、該残基は、HIF−1αのP564残基か他のHIFαアイソフォームの相同プロリン、或いはHIF−1αのP402残基か他のHIFαアイソフォームの相同プロリン等であり得る。他の実施形態において、本発明の方法は、HIFαアスパラギン残基(例えば、HIF−1αのN803残基や他のHIFαアイソフォームの相同アスパラギン残基)のヒドロキシル化を阻害することを包含し得る。化合物 好ましい方法において、本発明の方法は、HIFαを安定化させる化合物の有効量を被験体に投与することを含む。典型的な化合物については、例えば、国際公開WO03/049686号及び国際公開WO03/053997号に開示されているが、これらの内容全てを本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。具体的には、本発明の化合物としては次のものが挙げられる。 ある実施形態において、本発明の化合物はHIFヒドロキシラーゼ活性を阻害する化合物である。様々な実施形態において、該活性はHIFプロリルヒドロキシラーゼ(例えば、EGLN1やEGLN2、EGLN3等)に起因する。他の実施形態において、該活性はHIFアスパラギニルヒドロキシラーゼ(例えば、FIHが挙げられるが、これに限定されない)に起因する。本発明の好ましい化合物はHIFプロリルヒドロキシラーゼ活性を阻害する化合物である。この阻害は、例えば、直接的であっても間接的であってもよく、競合的であっても非競合的であってもよい。 一様相において、本発明の化合物は、2−オキソグルタレートジオキシゲナーゼ酵素の活性を阻害するか或いは調節する化合物のいずれかである。2−オキソグルタレートジオキシゲナーゼ酵素としては、ヒドロキシラーゼ酵素が挙げられるが、これに限定されない。ヒドロキシラーゼ酵素は標的基質残基をヒドロキシル化するが、該酵素としては、例えば、プロリル、リシル、アスパラギニル(アスパラギル、アスパルチル)ヒドロキシラーゼ等が挙げられる。ヒドロキシラーゼは標的基質によって表されることもあり(例えば、HIFヒドロキシラーゼやプロコラーゲンヒドロキシラーゼ等)、及び/又は標的基質内の標的残基によって表されることもあり(例えば、プロリルヒドロキシラーゼやリシルヒドロキシラーゼ等)、或いはその両方で表されることもある(例えば、HIFプロリルヒドロキシラーゼやプロコラーゲンプロリルヒドロキシラーゼ等)。代表的な2−オキソグルタレートジオキシゲナーゼ酵素としては、HIFプロピルヒドロキシラーゼ(例えば、EGLN1やEGLN2、EGLN3)やHIFアスパラギニルヒドロキシラーゼ(例えば、HIF阻害因子(FIH))等のHIFヒドロキシラーゼ;プロコラーゲンリシルヒドロキシラーゼやプロコラーゲンプロピルヒドロキシラーゼ(例えば、プロコラーゲンプロピル3−ヒドロキシラーゼやプロコラーゲンプロピル4−ヒドロキシラーゼα(I)及びα(II))等のプロコラーゲンヒドロキシラーゼ;チミン7−ヒドロキシラーゼ;アスパルチル(アスパラギニル)β−ヒドロキシラーゼ;ε−N−トリメチルリシンヒドロキシラーゼ;γ−ブチロベタインヒドロキシラーゼ等が挙げられるが、これらに限定されない。酵素活性としては、2−オキソグルタレートジオキシゲナーゼのいずれかに関連するいずれの活性をも挙げることができるが、基質内のアミノ酸残基のヒドロキシル化を具体的に意図する。基質内のプロリン及び/又はアスパラギン残基のヒドロキシル化を具体的に包含するが、他のアミノ酸のヒドロキシル化も意図する。 一様相において、一以上の2−オキソグルタレートジオキシゲナーゼ酵素に対して阻害活性を示す本発明の化合物は、他の一以上の2−オキソグルタレートジオキシゲナーゼ酵素に対しても阻害活性を示し得る(例えば、HIFヒドロキシラーゼの活性を阻害する化合物は、更にコラーゲンプロリルヒドロキシラーゼの活性を阻害することができ、HIFプロリルヒドロキシラーゼの活性を阻害する化合物は、更にHIFアスパラギニルヒドロキシラーゼの活性を阻害することができる等)。 HIFαはプロリンのヒドロキシル化(即ち、酸素とFe2+を必要とする反応)によって修飾されるため、本発明は一様相において、HIFαのヒドロキシル化に関与する酵素が2−オキソグルタレートジオキシゲナーゼファミリーのメンバーであることを意図する。このような酵素としては、プロコラーゲンリシルヒドロキシラーゼやプロコラーゲンプロリル3−ヒドロキシラーゼ、プロコラーゲンプロリル4−ヒドロキシラーゼα(I)及びα(II)、チミン7−ヒドロキシラーゼ、アスパルチル(アスパラギニル)β−ヒドロキシラーゼ、ε−N−トリメチルリシンヒドロキシラーゼ、γ−ブチロベタインヒドロキシラーゼ等が挙げられるが、これらに限定されない。このような酵素はそのヒドロキシラーゼ活性のために酸素、Fe2+、2−オキソグルタレート及びアスコルビン酸を必要とする(例えば、マジャマー(Majamaa)ら(1985年)Biochem J 229:127-133;ミリハージュ(Myllyharju)及びキヴィリッコ(Kivirikko)(1997年)EMBO J 16:1173-1180;ソーンバーグ(Thornburg)ら(1993年)32:14023-14033;及びジア(Jia)ら(1994年)Proc Natl Acad Sci USA 91:7227-7231参照)。 一様相において、本発明の化合物はHIFαを安定化させる化合物である。好ましくは、本発明の化合物はHIFヒドロキシラーゼ活性の阻害によってHIFαを安定化させる。よって、本発明の化合物が先に同定されたヒドロキシラーゼ活性モジュレーターから選択されることを具体的に意図する。例えば、プロリル4−ヒドロキシラーゼの小分子阻害剤が同定されている(例えば、マジャマー(Majamaa)ら(1984年)Eur J Biochem 138:239-245;マジャマー(Majamaa)ら(1985年)Biochem J 229:127-133;キヴィリッコ(Kivirikko)及びミリハージュ(Myllyharju)(1998年)Matrix Biol 16:357-368;ビッケル(Bickel)ら(1998年)Hepatology 28:404-411;フリードマン(Friedman)ら(2000年)Proc Natl Acad Sci USA 97:4736-4741;及びフランクリン(Franklin)ら(2001年)Biochem J 353:333-338参照、これらの内容全てを本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する)。本発明は、本発明で提供する方法におけるこれらの化合物の使用を意図する。 ある様相においては、本発明の化合物として、例えば、2−オキソグルタレートの構造模倣物(structural mimetics)が挙げられる。このような化合物は、標的の2−オキソグルタレートジオキシゲナーゼ酵素ファミリーメンバーを2−オキソグルタレートと競合的に阻害し、鉄とは非競合的に阻害することができる(マジャマー(Majamaa)ら(1984年)Eur J Biochem 138:239-245;及びマジャマー(Majamaa)ら、Biochem J 229:127-133)。 ある実施形態において、本発明の方法に用いる化合物は式(I)の化合物から選択される。 式(I)中、Aは1,2−アリーリデン、1,3−アリーリデン、1,4−アリーリデン、或いは(C1−C4)−アルキレンであって、これらは1個或いは2個のハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−ヒドロキシアルキル、(C1−C6)−アルコキシ、−O−[CH2]x−CfH(2f+1-g)Halg、(C1−C6)−フルオロアルコキシ、(C1−C8)−フルオロアルケニルオキシ、(C1−C8)−フルオロアルキニルオキシ、−OCF2Cl、−O−CF2−CHFClで任意に置換されていてもよく、(C1−C6)−アルキルメルカプト、(C1−C6)−アルキルスルフィニル、(C1−C6)−アルキルスルホニル、(C1−C6)−アルキルカルボニル、(C1−C6)−アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−(C1−C4)−アルキルカルバモイル、N,N−ジ−(C1−C4)−アルキルカルバモイル、(C1−C6)−アルキルカルボニルオキシ、(C3−C8)−シクロアルキル、フェニル、ベンジル、フェノキシ、ベンジルオキシ、アニリノ、N−メチルアニリノ、フェニルメルカプト、フェニルスルホニル、フェニルスルフィニル、スルファモイル、N−(C1−C4)−アルキルスルファモイル、N,N−ジ−(C1−C4)−アルキルスルファモイルで任意に置換されていてもよく、或いは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルコキシ、−O−[CH2]x−CfH(2f+1-g)Halg、−OCF2Cl、−O−CF2−CHFCl、(C1−C6)−アルキルメルカプト、(C1−C6)−アルキルスルフィニル、(C1−C6)−アルキルスルホニル、(C1−C6)−アルキルカルボニル、(C1−C6)−アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−(C1−C4)−アルキルカルバモイル、N,N−ジ−(C1−C4)−アルキルカルバモイル、(C1−C6)−アルキルカルボニルオキシ、(C3−C8)−シクロアルキル、スルファモイル、N−(C1−C4)−アルキルスルファモイル、N,N−ジ−(C1−C4)−アルキルスルファモイルから選択される1〜5個の同一或いは異なる置換基をアリール部分に有する置換(C6−C12)−アリールオキシ、(C7−C11)−アラルキルオキシ、(C6−C12)−アリール、(C7−C11)−アラルキル基で任意に置換されていてもよく;又は式(I)中、Aは−CR5R6であり、R5及びR6は各々独立して、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、アリール、或いはα−アミノ酸のα炭素原子の置換基(該アミノ酸は天然L−アミノ酸或いはそのD異性体)から選択される。 Bは、−CO2H、−NH2、−NHSO2CF3、テトラゾリル、イミダゾリル、3−ヒドロキシイソキサゾリル、−CONHCOR'''、−CONHSOR'''、CONHSO2R'''であり、R'''はアリール、ヘテロアリール、(C3−C7)−シクロアルキル、或いは(C1−C4)−アルキルであって、これらは(C6−C12)−アリール、ヘテロアリール、OH、SH、(C1−C4)−アルキル、(C1−C4)−アルコキシ、(C1−C4)−チオアルキル、(C1−C4)−スルフィニル、(C1−C4)−スルホニル、CF3、Cl、Br、F、I、NO2、−COOH、(C2−C5)−アルコキシカルボニル、NH2、モノ−(C1−C4−アルキル)−アミノ、ジ−(C1−C4−アルキル)−アミノ、或いは(C1−C4)−パーフルオロアルキルによって任意に一置換されていてもよく;又は式(I)中、BはCO2−Gカルボキシル基であり、GはアルコールG−OHを構成する基であって、Gは、(C1−C20)−アルキル基、(C3−C8)シクロアルキル基、(C2−C20)−アルケニル基、(C3−C8)−シクロアルケニル基、レチニル基、(C2−C20)−アルキニル基、(C4−C20)−アルケニニル(alkenynyl)基(ここで、該アルケニル、該シクロアルケニル、該アルキニル、及び該アルケニニル(alkenynyl)基は1以上の多重結合を含む)、(C6−C16)−炭素環アリール基、(C7−C16)−炭素環アラルキル基、ヘテロアリール基、或いはヘテロアラルキル基(ここで、ヘテロアリール基或いはヘテロアラルキル基のヘテロアリール部分は5個或いは6個の環原子を含む)から選択され、Gで表される基(radicals defined for G)は、1以上のヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、ニトロ、カルボキシル、(C1−C12)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキル、(C5−C8)−シクロアルケニル、(C6−C12)−アリール、(C7−C16)−アラルキル、(C2−C12)−アルケニル、(C2−C12)−アルキニル、(C1−C12)−アルコキシ、(C1−C12)− アルコキシ−(C1−C12)−アルキル、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシ、(C6−C12)−アリールオキシ、(C7−C16)−アラルキルオキシ、(C1−C8)−ヒドロキシアルキル、−O−[CH2]x−CfH(2f+l-g)−Fg、−OCF2Cl、−OCF2−CHFCl、(C1−C12)−アルキルカルボニル、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニル、(C6−C12)−アリールカルボニル、(C7−C16)−アラルキルカルボニル、シンナモイル、(C2−C12)−アルケニルカルボニル、(C2−C12)−アルキニルカルボニル、(C1−C12)−アルコキシカルボニル、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシカルボニル、(C6−C12)−アリールオキシカルボニル、(C7−C16)−アラルコキシカルボニル、(C3−C8)−シクロアルコキシカルボニル、(C2−C12)−アルケニルオキシカルボニル、(C2−C12)−アルキニルオキシカルボニル、アシルオキシ、(C1−C12)−アルコキシカルボニルオキシ、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシカルボニルオキシ、(C6−C12)−アリールオキシカルボニルオキシ、(C7−C16)アラルキルオキシカルボニルオキシ、(C3−C8)−シクロアルコキシカルボニルオキシ、(C2−C12)−アルケニルオキシカルボニルオキシ、(C2−C12)−アルキニルオキシカルボニルオキシ、カルバモイル、N−(C1−C12)−アルキルカルバモイル、N,N−ジ(C1−C12)−アルキルカルバモイル、N−(C3−C8)−シクロアルキル−カルバモイル、N−(C6−C16)−アリールカルバモイル、N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C6−C16)−アリールカルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイル、N−((C1−C10)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)アルキル)−カルバモイル、N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C1−C10)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C6−C16)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、カルバモイルオキシ、N−(C1−C12)−アルキルカルバモイルオキシ、N,N−ジ−(C1−C12)−アルキルカルバモイルオキシ、N−(C3−C8)−シクロアルキルカルバモイルオキシ、N−(C6−C12)−アリールカルバモイルオキシ、N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C6−C12)−アリールカルバモイルオキシ、N(C1−C10)−アルキル−N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイルオキシ、N−((C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C1−C10)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、アミノ、(C1−C12)−アルキルアミノ、ジ−(C1−C12)−アルキルアミノ、(C3−C8)−シクロアルキルアミノ、(C2−C12)−アルケニルアミノ、(C2−C12)−アルキニルアミノ、N−(C6−C12)−アリールアミノ、N−(C−C11)−アラルキルアミノ、N−アルキル−アラルキルアミノ、N−アルキル−アリールアミノ、(C1−C12)−アルコキシアミノ、(C1−C12)−アルコキシ−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C1−C12)−アルキルカルボニルアミノ、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニルアミノ、(C6−C12)アリールカルボニルアミノ、(C7−C16)−アラルキルカルボニルアミノ、(C1−C12)−アルキルカルボニル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C6−C12)−アリールカルボニル−N−(C1−C10)アルキルアミノ、(C7−C11)−アラルキルカルボニル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C1−C12)−アルキルカルボニルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニルアミノ−(C1−C8)アルキル、(C6−C12)−アリールカルボニルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C7−C12)−アラルキルカルボニルアミノ(C1−C8)−アルキル、アミノ−(C1−C10)−アルキル、N−(C1−C10)アルキルアミノ−(C1−C10)−アルキル、N,N,−ジ−(C1−C10)−アルキルアミノ−(C1−C10)−アルキル、(C3−C8)シクロアルキルアミノ−(C1−C10)−アルキル、(C1−C12)−アルキルメルカプト、(C1−C12)−アルキルスルフィニル、(C1−C12)−アルキルスルホニル、(C6−C16)−アリールメルカプト、(C6−C16)−アリールスルフィニル、(C6−C12)−アリールスルホニル、(C7−C16)−アラルキルメルカプト、(C7−C16)−アラルキルスルフィニル、(C7−C16)−アラルキルスルホニル、スルファモイル、N−(C1−C10)−アルキルスルファモイル、N,N−ジ(C1−C10)−アルキルスルファモイル、(C3−C8)−シクロアルキルスルファモイル、N−(C6−C12)−アルキルスルファモイル、N−(C7−C16)−アラルキルスルファモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C6−C12)−アリールスルファモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C7−C16)−アラルキルスルファモイル、(C1−C10)−アルキルスルホンアミド、N−((C1−C10)−アルキル)−(C1−C10)−アルキルスルホンアミド、(C7−C16)−アラルキルスルホンアミド、或いはN−((C1−C10)−アルキル−(C7−C16)−アラルキルスルホンアミドで置換されており、アリール基或いはアリール部分を含む基は、アリール上で、1〜5個の同一或いは異なるヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、ニトロ、カルボキシル、(C1−C12)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキル、(C6−C12)−アリール、(C7−C16)−アラルキル、(C1−C12)−アルコキシ、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)アルキル、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)アルコキシ、(C6−C12)−アリールオキシ、(C7−C16)−アラルキルオキシ、(C1−C8)−ヒドロキシアルキル、(C1−C12)−アルキルカルボニル、(C3−C8)−シクロアルキル−カルボニル、(C6−C12)−アリールカルボニル、(C7−C16)アラルキルカルボニル、(C1−C12)−アルコキシカルボニル、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシカルボニル、(C6−C12)−アリールオキシカルボニル、(C7−C16)−アラルコキシカルボニル、(C3−C8)−シクロアルコキシカルボニル、(C2−C12)−アルケニルオキシカルボニル、(C2−C12)−アルキニルオキシカルボニル、(C1−C12)−アルキルカルボニルオキシ、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニルオキシ、(C6−C12)−アリールカルボニルオキシ、(C7−C16)−アラルキルカルボニルオキシ、シンナモイルオキシ、(C2−C12)−アルケニルカルボニルオキシ、(C2−C12)−アルキニルカルボニルオキシ、(C1−C12)−アルコキシカルボニルオキシ、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシカルボニルオキシ、(C6−C12)−アリールオキシカルボニルオキシ、(C7−C16)−アラルキルオキシカルボニルオキシ、(C3−C8)−シクロアルコキシカルボニルオキシ、(C2−C12)−アルケニルオキシカルボニルオキシ、(C2−C12)−アルキニルオキシカルボニルオキシ、カルバモイル、N−(C1−C12)−アルキルカルバモイル、N,N−ジ−(C1−C12)−アルキルカルバモイル、N−(C3−C8)−シクロアルキルカルバモイル、N−(C6−C12)−アリールカルバモイル、N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C6−C12)−アリールカルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイル、N−((C1−C10)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C1−C10)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、カルバモイルオキシ、N−(C1−C12)−アルキルカルバモイルオキシ、N,N−ジ−(C1−C12)−アルキルカルバモイルオキシ、N−(C3−C8)−シクロアルキルカルバモイルオキシ、N−(C6−C12)−アリールカルバモイルオキシ、N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C6−C12)−アリールカルバモイルオキシ、N(C1−C10)−アルキル−N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイルオキシ、N−((C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C1−C10)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、アミノ、(C1−C12)−アルキルアミノ、ジ−(C1−C12)−アルキルアミノ、(C3−C8)−シクロアルキルアミノ、(C3−C12)−アルケニルアミノ、(C3−C12)−アルキニルアミノ、N−(C6−C12)−アリールアミノ、N−(C7−C11)−アラルキルアミノ、N−アルキルアラルキルアミノ、N−アルキル−アリールアミノ、(C1−C12)−アルコキシアミノ、(C1−C12)−アルコキシ−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C1−C12)−アルキルカルボニルアミノ、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニルアミノ、(C6−C12)−アリールカルボニルアミノ、(C7−C16)−アルキルカルボニルアミノ、(C1−C12)−アルキルカルボニル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C6−C12)−アリールカルボニル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C7−C11)−アラルキルカルボニル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C1−C12)−アルキルカルボニルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アリールカルボニルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C7−C16)−アラルキルカルボニルアミノ−(C1−C8)−アルキル、アミノ−(C1−C10)−アルキル、N−(C1−C10)−アルキルアミノ−(C1−C10)アルキル、N,N−ジ−(C1−C10)−アルキルアミノ−(C1−C10)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキルアミノ−(C1−C10)−アルキル、(C1−C12)−アルキルメルカプト、(C1−C12)−アルキルスルフィニル、(C1−C12)−アルキルスルホニル、(C6−C12)−アリールメルカプト、(C6−C12)−アリールスルフィニル、(C6−C12)−アリールスルホニル、(C7−C16)−アラルキルメルカプト、(C7−C16)−アラルキルスルフィニル、或いは(C7−C16)−アラルキルスルホニルで置換されていてもよく; XはO或いはSであり; QはO、S、NR’、或いは結合であり; 式(I)中、Qが結合の場合、R4はハロゲン、ニトリル、或いはトリフルオロメチルであり; 又は式(I)中、QがO、S、或いはNR’の場合、R4は水素、(C1−C10)−アルキル基、(C2−C10)−アルケニル基、(C2−C10)−アルキニル基(ここで、アルケニル基或いはアルキニル基は1個或いは2個のC−C多重結合を含む);式−[CH2]x−CfH(2f+1-g)−Fgの非置換フルオロアルキル基、(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキル基、(C1−C6)−アルコキシ−(C1−C4)−アルコキシ−(C1−C4)−アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、(C7−C11)−アラルキル基、或いは式Zで表される基であり、(式Z中、Eはヘテロアリール基、(C3−C8)−シクロアルキル基、或いは式Fで表されるフェニル基であり、 vは0〜6、 wは0或いは1、 tは0〜3、 R7、R8、R9、R10及びR11は同一であるか或いは異なっていて、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、(C1−C6)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキル、(C1−C6)−アルコキシ、−O−[CH2]x−CfH(2f+1-g)−Fg、−OCF2−Cl、−O−CF2−CHFCl、(C1−C6)−アルキルメルカプト、(C1−C6)−ヒドロキシアルキル、(C1−C6)−アルコキシ−(C1−C6)−アルコキシ、(C1−C6)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルキルスルフィニル、(C1−C6)−アルキルスルホニル、(C1−C6)−アルキルカルボニル、(C1−C8)−アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−(C1−C8)−アルキルカルバモイル、N,N−ジ−(C1−C8)−アルキルカルバモイル、或いは(C7−C11)−アラルキルカルバモイルであって、これらは、フッ素、塩素、臭素、トリフルオロメチル、(C1−C6)−アルコキシ、N−(C3−C8)−シクロアルキルカルバモイル、N−(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキルカルバモイル、(C1−C6)−アルキルカルボニルオキシ、フェニル、ベンジル、フェノキシ、ベンジルオキシ、NRYRZ(Ry及びRZは独立して、水素、(C1−C12)−アルキル、(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C7−C12)−アラルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C8)−アルキル、(C3−C10)−シクロアルキル、(C3−C12)−アルケニル、(C3−C12)−アルキニル、(C6−C12)−アリール、(C7−C11)−アラルキル、(C1−C12)−アルコキシ、(C7−C12)アラルコキシ、(C1−C12)−アルキルカルボニル、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニル、(C6−C12)アリールカルボニル、(C7−C16)−アラルキルカルボニルから選択されるか、或いは、更にRy及びRZは共に−[CH2]hを形成し、CH2基はO、S、N−(C1−C4)−アルキルカルボニルイミノ、或いはN−(C1−C4)−アルコキシカルボニルイミノで置換されていてもよい)、フェニルメルカプト、フェニルスルホニル、フェニルスルフィニル、スルファモイル、N−(C1−C8)−アルキルスルファモイル、或いはN,N−ジ−(C1−C8)−アルキルスルファモイルによって任意に置換されていてもよく;又はR7及びR8、R8及びR9、R9及びR10、或いはR10及びR11は共に、−[CH2]N−或いは−CH=CH−CH=CH−から選択される鎖を形成し(前者の鎖のCH2基は、O、S、SO、SO2或いはNRYで任意に置換され、nは3、4或いは5である);一方、Eがヘテロアリール基の場合、該基はR7〜R11で表される置換基から選択される1〜3個の置換基を有することができ、或いは、Eがシクロアルキル基の場合、該基はR7〜R11で表される置換基から選択される1個の置換基を有することができる); 式(I)中、QがNR’の場合、R4は或いはR”であり、R’及びR”は同一であるか或いは異なっていて、水素、(C6−C12)−アリール、(C7−C11)−アラルキル、(C1−C8)−アルキル、(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C7−C12)−アラルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C8)−アルキル、(C1−C10)−アルキルカルボニル、任意に置換された(C7−C16)−アラルキルカルボニル、或いは任意に置換された(C6−C12)−アリールカルボニルであり;又はR’及びR”は共に−[CH2]hを形成する(CH2基はO、S、N−アシルイミノ、或いはN−(C1−C10)−アルコキシカルボニルイミノで置換されていてもよく、hは3〜7である)。 YはN或いはCR3であり; R1、R2及びR3は同一であるか或いは異なっていて、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、ニトロ、カルボキシル、(C1−C20)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキル、(C3−C8)シクロアルキル−(C1−C12)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルコキシ、(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C12)−アルコキシ、(C3−C8)−シクロアルキルオキシ−(C1−C12)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキルオキシ−(C1−C12)−アルコキシ、(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C8)−アルキル−(C1−C6)−アルコキシ、(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキルオキシ−(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルコキシ−(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C8)−アルコキシ、(C6−C12)−アリール、(C7−C16)−アラルキル、(C7−C16)−アラルケニル、(C7−C16)−アラルキニル、(C2−C20)−アルケニル、(C2−C20)−アルキニル、(C1−C20)−アルコキシ、(C2−C20)−アルケニルオキシ、(C2−C20)−アルキニルオキシ、レチニルオキシ、(C1−C20)−アルコキシ−(C1−C12)−アルキル、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシ、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アリールオキシ、(C7−C16)−アラルキルオキシ、(C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C6)−アルコキシ、(C7−C16)−アラルコキシ−(C1−C6)−アルコキシ、(C1−C16)−ヒドロキシアルキル、(C6−C16)−アリールオキシ−(C1−C8)−アルキル、(C7−C16)−アラルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキル、(C7−C12)−アラルキルオキシ−(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキル、(C2−C20)−アルケニルオキシ−(C1−C6)−アルキル、(C2−C20)−アルキニルオキシ−(C1−C6)−アルキル、レチニルオキシ−(C1−C6)−アルキル、−O−[CH2]xCfH(2f+1-g)Fg、−OCF2Cl、−OCF2−CHFCl、(C1−C20)−アルキルカルボニル、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニル、(C6−C12)−アリールカルボニル、(C7−C16)−アラルキルカルボニル、シンナモイル、(C2−C20)−アルケニルカルボニル、(C2−C20)−アルキニルカルボニル、(C1−C20)−アルコキシカルボニル、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシカルボニル、(C6−C12)−アリールオキシカルボニル、(C7−C16)−アラルコキシカルボニル、(C3−C8)−シクロアルコキシカルボニル、(C2−C20)−アルケニルオキシカルボニル、レチニルオキシカルボニル、(C2−C20)−アルキニルオキシカルボニル、(C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C7−C16)−アラルコキシ−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C3−C8)−シクロアルコキシ−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C1−C12)−アルキルカルボニルオキシ、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニルオキシ、(C6−C12)−アリールカルボニルオキシ、(C7−C16)−アラルキルカルボニルオキシ、シンナモイルオキシ、(C2−C12)−アルケニルカルボニルオキシ、(C2−C12)−アルキニルカルボニルオキシ、(C1−C12)−アルコキシカルボニルオキシ、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシカルボニルオキシ、(C6−C12)−アリールオキシカルボニルオキシ、(C7−C16)−アラルキルオキシカルボニルオキシ、(C3−C8)−シクロアルコキシカルボニルオキシ、(C2−C12)−アルケニルオキシカルボニルオキシ、(C2−C12)−アルキニルオキシカルボニルオキシ、カルバモイル、N−(C1−C12)−アルキルカルバモイル、N,N−ジ−(C1−C12)−アルキルカルバモイル、N−(C3−C8)−シクロアルキルカルバモイル、N,N−ジシクロ−(C3−C8)−アルキルカルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C3−C8)−シクロアルキルカルバモイル、N−((C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C6)−アルキル)−カルバモイル、N−(C1−C6)−アルキル−N−((C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C6)−アルキル)−カルバモイル、N−(+)−デヒドロアビエチルカルバモイル、N−(C1−C6)−アルキル−N−(+)−デヒドロアビエチルカルバモイル、N−(C6−C12)−アリールカルバモイル、N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C6−C16)−アリールカルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイル、N−((C1−C18)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−((C6−C16)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C1−C10)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、CON(CH2)h(CH2基はO、S、N−(C1−C8)−アルキルイミノ、N−(C3−C8)−シクロアルキルイミノ、N−(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキルイミノ、N−(C6−C12)−アリールイミノ、N−(C7−C16)−アラルキルイミノ、N−(C1−C4)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキルイミノで置換されていてもよく、hは3〜7である)、式Rで表されるカルバモイル基 (式R中、RX及びRVは各々独立して、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、アリール、或いはL−及びD−アミノ酸が属するα−アミノ酸のα−炭素の置換基から選択され、sは1〜5であり、TはOH、或いはNR*R**であり、R*、R**及びR***は同一であるか或いは異なっていて、水素、(C6−C12)−アリール、(C7−C11)−アラルキル、(C1−C8)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキル、(+)−デヒドロアビエチル、(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C7−C12)−アラルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C8)−アルキル、(C1−C10)−アルカノイル、任意に置換された(C7−C16)−アラルカノイル、任意に置換された(C6−C12)−アロイルから選択されるか、又はR*及びR**は共に−[CH2]hを形成する(CH2基はO、S、SO、SO2、N−アシルアミノ、N−(C1−C10)−アルコキシカルボニルイミノ、N−(C1−C8)−アルキルイミノ、N−(C3−C8)−シクロアルキルイミノ、N−(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキルイミノ、N−(C6−C12)−アリールイミノ、N−(C7−C16)−アラルキルイミノ、N−(C1−C4)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキルイミノで置換されていてもよく、hは3〜7である))、カルバモイルオキシ、N−(C1−C12)−アルキルカルバモイルオキシ、N,N−ジ−(C1−C12)−アルキルカルバモイルオキシ、N−(C3−C8)−シクロアルキルカルバモイルオキシ、N−(C6−C12)−アリールカルバモイルオキシ、N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C6−C12)−アリールカルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイルオキシ、N−((C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C1−C10)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシアミノ、(C1−C12)−アルキルアミノ、ジ−(C1−C12)−アルキルアミノ、(C3−C8)−シクロアルキルアミノ、(C3−C12)−アルケニルアミノ、(C3−C12)−アルキニルアミノ、N−(C6−C12)−アリールアミノ、N−(C7−C11)−アラルキルアミノ、N−アルキル−アラルキルアミノ、N−アルキル−アリールアミノ、(C1−C12)−アルコキシアミノ、(C1−C12)−アルコキシ−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C1−C12)−アルカノイルアミノ、(C3−C8)−シクロアルカノイルアミノ、(C6−C12)−アロイルアミノ、(C7−C16)−アラルカノイルアミノ、(C1−C12)−アルカノイル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C3−C8)−シクロアルカノイル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C6−C12)−アロイル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C7−C11)−アラルカノイル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C1−C12)−アルカノイルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルカノイルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アロイルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C7−C16)−アラルカノイルアミノ−(C1−C8)−アルキル、アミノ−(C1−C10)−アルキル、N−(C1−C10)−アルキルアミノ−(C1−C10)−アルキル、N,N−ジ(C1−C10)−アルキルアミノ−(C1−C10)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキルアミノ(C1−C10)−アルキル、(C1−C20)−アルキルメルカプト、(C1−C20)−アルキルスルフィニル、(C1−C20)−アルキルスルホニル、(C6−C12)−アリールメルカプト、(C6−C12)−アリールスルフィニル、(C6−C12)−アリールスルホニル、(C7−C16)−アラルキルメルカプト、(C7−C16)−アラルキルスルフィニル、(C7−C16)−アラルキルスルホニル、(C1−C12)−アルキルメルカプト−(C1−C6)−アルキル、(C1−C12)−アルキルスルフィニル−(C1−C6)−アルキル、(C1−C12)−アルキルスルホニル−(C1−C6)−アルキル、(C6−C12)−アリールメルカプト−(C1−C6)−アルキル、(C6−C12)−アリールスルフィニル−(C1−C6)−アルキル、(C6−C12)−アリールスルホニル−(C1−C6)−アルキル、(C7−C16)−アラルキルメルカプト−(C1−C6)−アルキル、(C7−C16)−アラルキルスルフィニル−(C1−C6)−アルキル、(C7−C16)−アラルキルスルホニル−(C1−C6)−アルキル、スルファモイル、N−(C1−C10)−アルキルスルファモイル、N,N−ジ−(C1−C10)−アルキルスルファモイル、(C3−C8)−シクロアルキルスルファモイル、N−(C6−C12)−アリールスルファモイル、N−(C7−C16)−アラルキルスルファモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C6−C12)−アリールスルファモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C7−C16)−アラルキルスルファモイル、(C1−C10)−アルキルスルホンアミド、N−((C1−C10)−アルキル)−(C1−C10)−アルキルスルホンアミド、(C7−C16)−アラルキルスルホンアミド、及びN−((C1−C10)−アルキル−(C7−C16)−アラルキルスルホンアミドであり、ここで、アリール基は、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、ニトロ、カルボキシル、(C2−C16)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキル、(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C12)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルコキシ、(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C12)−アルコキシ、(C3−C8)−シクロアルキルオキシ−(C1−C12)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキルオキシ−(C1−C12)−アルコキシ、(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C8)−アルキル−(C1−C6)−アルコキシ、(C3−C8)−シクロアルキル(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキルオキシ−(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルコキシ−(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C8)−アルコキシ、(C6−C12)−アリール、(C7−C16)−アラルキル、(C2−C16)−アルケニル、(C2−C12)−アルキニル、(C1−C16)−アルコキシ、(C1−C16)−アルケニルオキシ、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルキル、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシ、(C1−C12)−アルコキシ(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アリールオキシ、(C7−C16)−アラルキルオキシ、(C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C6)−アルコキシ、(C7−C16)−アラルコキシ−(C1−C6)−アルコキシ、(C1−C8)−ヒドロキシアルキル、(C6−C16)−アリールオキシ−(C1−C8)−アルキル、(C7−C16)−アラルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキル、(C7−C12)−アラルキルオキシ−(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキル、−O−[CH2]xCfH(2f+1-g)Fg、−OCF2Cl、−OCF2−CHFCl、(C1−C12)−アルキルカルボニル、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニル、(C6−C12)−アリールカルボニル、(C7−C16)−アラルキルカルボニル、(C1−C12)−アルコキシカルボニル、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシカルボニル、(C6−C12)−アリールオキシカルボニル、(C7−C16)−アラルコキシカルボニル、(C3−C8)−シクロアルコキシカルボニル、(C2−C12)−アルケニルオキシカルボニル、(C2−C12)−アルキニルオキシカルボニル、(C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C7−C16)−アラルコキシ−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C3−C8)−シクロアルコキシ−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C1−C12)−アルキルカルボニルオキシ、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニルオキシ、(C6−C12)−アリールカルボニルオキシ、(C7−C16)−アラルキルカルボニルオキシ、シンナモイルオキシ、(C2−C12)−アルケニルカルボニルオキシ、(C2−C12)−アルキニルカルボニルオキシ、(C1−C12)−アルコキシカルボニルオキシ、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシカルボニルオキシ、(C6−C12)−アリールオキシカルボニルオキシ、(C7−C16)−アラルキルオキシカルボニルオキシ、(C3−C8)−シクロアルコキシカルボニルオキシ、(C2−C12)−アルケニルオキシカルボニルオキシ、(C2−C12)−アルキニルオキシカルボニルオキシ、カルバモイル、N−(C1−C12)−アルキルカルバモイル、N,N−ジ(C1−C12)−アルキルカルバモイル、N−(C3−C8)−シクロアルキルカルバモイル、N,N−ジシクロ−(C3−C8)−アルキルカルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C3−C8)−シクロアルキルカルバモイル、N−((C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C6)−アルキル)カルバモイル、N−(C1−C6)−アルキル−N−((C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C6)−アルキル)カルバモイル、N−(+)−デヒドロアビエチルカルバモイル、N−(C1−C6)−アルキル−N−(+)−デヒドロアビエチルカルバモイル、N−(C6−C12)−アリールカルバモイル、N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C6−C16)−アリールカルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイル、N−((C1−C16)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)カルバモイル、N−((C6−C16)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)カルバモイル、N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C1−C10)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、CON(CH2)h(CH2基は、O、S、N−(C1−C8)−アルキルイミノ、N−(C3−C8)−シクロアルキルイミノ、N−(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキルイミノ、N−(C6−C12)−アリールイミノ、N−(C7−C16)−アラルキルイミノ、N−(C1−C4)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキルイミノで置換されていてもよく、hは3〜7である)、カルバモイルオキシ、N−(C1−C12)−アルキルカルバモイルオキシ、N,N−ジ−(C1−C12)−アルキルカルバモイルオキシ、N−(C3−C8)−シクロアルキルカルバモイルオキシ、N−(C6−C16)−アリールカルバモイルオキシ、N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C6−C12)−アリールカルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイルオキシ、N−((C1−C10)−アルキル)カルバモイルオキシ、N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)カルバモイルオキシ、N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C1−C10)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)カルバモイルオキシ、アミノ、(C1−C12)−アルキルアミノ、ジ−(C1−C12)−アルキルアミノ、(C3−C8)−シクロアルキルアミノ、(C3−C12)−アルケニルアミノ、(C3−C12)−アルキニルアミノ、N−(C6−C12)−アリールアミノ、N−(C7−C11)−アラルキルアミノ、N−アルキル−アラルキルアミノ、N−アルキル−アリールアミノ、(C1−C12)−アルコキシアミノ、(C1−C12)−アルコキシ−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C1−C12)−アルカノイルアミノ、(C3−C8)−シクロアルカノイルアミノ、(C6−C12)−アロイルアミノ、(C7−C16)−アラルカノイルアミノ、(C1−C12)−アルカノイル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C3−C8)−シクロアルカノイル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C6−C12)−アロイル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C7−C11)−アラルカノイル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C1−C12)−アルカノイルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルカノイルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アロイルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C7−C16)−アラルカノイルアミノ−(C1−C8)−アルキル、アミノ−(C1−C10)−アルキル、N−(C1−C10)−アルキルアミノ−(C1−C10)−アルキル、N,N−ジ−(C1−C10)−アルキルアミノ−(C1−C10)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキルアミノ−(C1−C10)−アルキル、(C1−C12)−アルキルメルカプト、(C1−C12)−アルキルスルフィニル、(C1−C12)−アルキルスルホニル、(C6−C16)−アリールメルカプト、(C6−C16)−アリールスルフィニル、(C6−C16)−アリールスルホニル、(C7−C16)−アラルキルメルカプト、(C7−C16)−アラルキルスルフィニル、或いは(C7−C16)−アラルキルスルホニルから選択される1〜5個の置換基で置換されていてもよく;又はR1とR2或いはR2とR3で鎖[CH2]Oを形成しており、この鎖は飽和かC=C二重結合によって不飽和であって、1個或いは2個のCH2基が任意にO、S、SO、SO2或いはNR’で置換されており、R’は水素、(C6−C12)−アリール、(C1−C8)−アルキル、(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C7−C12)−アラルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C8)−アルキル、(C1−C10)−アルカノイル、任意に置換された(C7−C16)−アラルカノイル、或いは任意に置換された(C6−C12)−アロイルであり;oは3、4或いは5であり; 又は式(I)中、基R1とR2或いは基R2とR3は、それらを有するピリジン或いはピリダジンと共に、5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリン環、5,6,7,8−テトラヒドロキノリン環、或いは5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン環を形成しており; 又は式(I)中、R1とR2或いはR2とR3は炭素環式或いは複素環式5或いは6員芳香環を形成しており; 又は式(I)中、R1とR2或いはR2とR3は、それらを有するピリジン或いはピリダジンと共に、チエノピリジン、フラノピリジン、ピリドピリジン、ピリミジノピリジン、イミダゾピリジン、チアゾロピリジン、オキサゾロピリジン、キノリン、イソキノリン及びシンノリンから選択される任意に置換された複素環系を形成しており(ここでキノリン、イソキノリン或いはシンノリンは好ましくは式Ia、Ib及びIcを満たしており: 各々互いに独立している置換基R12〜R23はR1、R2及びR3と同じ意味を有しており); 又は式(I)中、基R1とR2は、それらを有するピリジンと共に、式Idの化合物を形成し: (式Id中、VはS、O或いはNRkであって、Rkは、水素、(C1−C6)−アルキル、アリール、或いはベンジルから選択され、アリール基は任意に上述の1〜5個の置換基で置換されていてもよく、各々互いに独立しているR24、R25、R26及びR27はR1、R2及びR3と同じ意味を有している); fは1〜8であり; gは0或いは1〜(2f+1)であり; xは0〜3であり; hは3〜7であり; 該化合物は、その生理的に活性な塩やそれらに由来するプロドラッグを包含する。式(I)の典型的な化合物については、欧州特許EP0650960号及びEP0650961号に記載されている。EP0650960号及びEP0650961号に記載の全ての化合物、特に、各化合物クレームに記載の化合物及び各実施例の最終産物を、本願の一部を構成するものとしてここに援用する。式(I)の典型的な化合物としては、[(3−ヒドロキシ−ピリジン−2−カルボニル)−アミノ]−酢酸や[(3−メトキシ−ピリジン−2−カルボニル)−アミノ]−酢酸が挙げられるが、これらに限定されない。 更に、式(I)の典型的な化合物については、米国特許第5,658,933号にも記載されている。米国特許第5,658,933号に記載の全ての化合物、特に、各化合物クレームに記載の化合物及び各実施例の最終産物を、本願の一部を構成するものとしてここに援用する。式(I)の典型的な化合物としては、3−メトキシピリジン−2−カルボン酸N−(((ヘキサデシルオキシ)−カルボニル)−メチル)−アミド塩酸塩や、3−メトキシピリジン−2−カルボン酸N−(((1−オクチルオキシ)−カルボニル)−メチル)−アミド、3−メトキシピリジン−2−カルボン酸N−(((ヘキシルオキシ)−カルボニル)−メチル)−アミド、3−メトキシピリジン−2−カルボン酸N−(((ブチルオキシ)−カルボニル)−メチル)−アミド、3−メトキシピリジン−2−カルボン酸N−(((2−ノニルオキシ)−カルボニル)−メチル)−アミドラセミ酸塩、3−メトキシピリジン−2−カルボン酸N−(((ヘプチルオキシ)−カルボニル)−メチル)−アミド、3−ベンジルオキシピリジン−2−カルボン酸N−(((オクチルオキシ)−カルボニル)−メチル)−アミド、3−ベンジルオキシピリジン−2−カルボン酸N−(((ブチルオキシ)−カルボニル)−メチル)−アミド、5−(((3−(1−ブチルオキシ)−プロピル)−アミノ)−カルボニル)−3−メトキシピリジン−2−カルボン酸N−((ベンジルオキシカルボニル)−メチル)−アミド、5−(((3−(1−ブチルオキシ)−プロピル)−アミノ)−カルボニル)−3−メトキシピリジン−2−カルボン酸N−(((1−ブチルオキシ)−カルボニル)−メチル)−アミド、5−(((3−ラウリルオキシ)−プロピル)アミノ)−カルボニル)−3−メトキシピリジン−2−カルボン酸N−(((ベンジルオキシ)−カルボニル)−メチル)−アミドが挙げられるが、これらに限定されない。 式(I)の更なる化合物としては、米国特許第5,620,995号に記載の置換複素環カルボキシアミド類や、米国特許第6,020,350号に記載の3−ヒドロキシピリジン−2−カルボキサミドエステル類、米国特許第5,607,954号に記載のスルホンアミドカルボニルピリジン−2−カルボキサミド類、米国特許第5,610,172号及び第5,620,996号に記載のスルホンアミドカルボニル−ピリジン−2−カルボキサミド類及びスルホンアミドカルボニル−ピリジン−2−カルボキサミドエステル類が挙げられる。これらの特許に記載の全ての化合物、特に、各化合物クレームに記載の化合物及び各実施例の最終産物を、本願の一部を構成するものとしてここに援用する。 式(Ia)の典型的な化合物については、米国特許第5,719,164号及び第5,726,305号に記載されている。これらの特許に記載の全ての化合物、特に、各化合物クレームに記載の化合物及び各実施例の最終産物を、本願の一部を構成するものとしてここに援用する。式(Ia)の典型的な化合物としては、N−((3−ヒドロキシ−6−イソプロポキシ−キノリン−2−カルボニル)−アミノ)−酢酸や、N−((6−(1−ブチルオキシ)−3−ヒドロキシキノリン−2−イル)−カルボニル)−グリシン、[(3−ヒドロキシ−6−トリフルオロメトキシ−キノリン−2−カルボニル)−アミノ]−酢酸、N−((6−クロロ−3−ヒドロキシキノリン−2−イル)−カルボニル)−グリシン、N−((7−クロロ−3−ヒドロキシキノリン−2−イル)−カルボニル)−グリシン、[(6−クロロ−3−ヒドロキシ−キノリン−2−カルボニル)−アミノ]−酢酸が挙げられるが、これらに限定されない。 式(Ib)の典型的な化合物については、米国特許第6,093,730号に記載されている。米国特許第6,093,730号に記載の全ての化合物、特に、各化合物クレームに記載の化合物及び各実施例の最終産物を、本願の一部を構成するものとしてここに援用する。式(Ib)の典型的な化合物としては、N−((1−クロロ−4−ヒドロキシ−7−(2−プロピルオキシ)イソキノリン−3−イル)−カルボニル)−グリシンや、N−((1−クロロ−4−ヒドロキシ−6−(2−プロピルオキシ)イソキノリン−3−イル)−カルボニル)−グリシン、N−((1−クロロ−4−ヒドロキシ−イソキノリン−3−カルボニル)−アミノ)−酢酸(化合物A)、N−((1−クロロ−4−ヒドロキシ−7−メトキシイソキノリン−3−イル)−カルボニル)−グリシン、N−((1−クロロ−4−ヒドロキシ−6−メトキシイソキノリン−3−イル)−カルボニル)−グリシン、N−((7−ブチルオキシ)−1−クロロ−4−ヒドロキシイソキノリン−3−イル)−カルボニル)−グリシン、N−((6−ベンジルオキシ−1−クロロ−4−ヒドロキシ−イソキノリン−3−カルボニル)−アミノ)−酢酸、((7−ベンジルオキシ−1−クロロ−4−ヒドロキシ−イソキノリン−3−カルボニル)−アミノ)−酢酸メチルエステル、N−((7−ベンジルオキシ−1−クロロ−4−ヒドロキシ−イソキノリン−3−カルボニル)−アミノ)−酢酸、N−((8−クロロ−4−ヒドロキシイソキノリン−3−イル)−カルボニル)−グリシン、N−((7−ブトキシ−4−ヒドロキシ−イソキノリン−3−カルボニル)−アミノ)−酢酸が挙げられるが、これらに限定されない。 更に、式(I)に関連する化合物であって本発明の方法に用いることもできるものとしては、6−シクロへキシル−1−ヒドロキシ−4−メチル−1H−ピリジン−2−オンや、7−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−5−フェニルスルファニルメチル−キノリン−8−オール、4−ニトロ−キノリン−8−オール、5−ブトキシメチル−キノリン−8−オール、[(4−ヒドロキシ−7−フェノキシ−イソキノリン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸(化合物B)、[(4−ヒドロキシ−7−フェニルスルファニル−イソキノリン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸(化合物C)が挙げられるが、これらに限定されない。更に、本発明は、例えば、位置A及びBが共にヘキサン酸やシアノメチル、2−アミノエチル、安息香酸、1H−ベンゾイミダゾール−2−イルメチル等であってもよい他の典型的な化合物を提供する。 他の実施形態において、本発明の方法に用いる化合物は、式(III)の化合物:或いはその薬学的に許容し得る塩から選択されるが、式(III)中、 aは1〜4の整数であり; bは0〜4の整数であり; cは0〜4の整数であり; Zは、(C3−C10)シクロアルキル、一以上のY1で独立的に置換された(C3−C10)シクロアルキル、3〜10員ヘテロシクロアルキル、一以上のY1で独立的に置換された3〜10員へテロシクロアルキル、(C5−C20)アリール、一以上のY1で独立的に置換された(C5−C20)アリール、5〜20員ヘテロアリール、及び一以上のY1で独立的に置換された5〜20員へテロアリールから成る群から選択され; Ar1は、(C5−C20)アリール、一以上のY2で独立的に置換された(C5−C20)アリール、5〜20員ヘテロアリール、及び一以上のY2で独立的に置換された5〜20員へテロアリールから成る群から選択され;各Y1は独立して、親油性官能基、(C5−C20)アリール、(C6−C26)アルカリール、5〜20員ヘテロアリール、及び6〜26員アルク−ヘテロアリールから成る群から選択され; 各Y2は独立して、−R’、−OR’、−OR”、−SR’、−SR”、−NR’R’、−NO2、−CN、−ハロゲン、−トリハロメチル、トリハロメトキシ、−C(O)R’、−C(O)OR’、−C(O)NR’R’、−C(O)NR’OR’、−C(NR’R’)=NOR’、−NR’−C(O)R’、−SO2R’、−SO2R”、−NR’−SO2−R’、−NR’−C(O)−NR’R’、テトラゾール−5−イル、−NR’−C(O)−OR’、−C(NR’R’)=NR’、−S(O)−R’、−S(O)−R”、及び−NR’−C(S)−NR’R’から成る群から選択され; 各R’は独立して、−H、(C1−C8)アルキル、(C2−C8)アルケニル及び(C2−C8)アルキニルから成る群から選択され;各R”は独立して、(C5−C20)アリール、及び一以上の−OR’、−SR’、−NR’R’、−NO2、−CN、ハロゲン或いはトリハロメチル基で独立的に置換された(C5−C20)アリールから成る群から選択され;又は式(III)中、cは0であり、Ar1はN’置換尿素−アリールであり、化合物は式(IIIa)の構造式:を有するか、或いはその薬学的に許容し得る塩であって、式(IIIa)中、 a,b及びZは上述の通りであり; R35及びR36は各々独立して、水素、(C1−C8)アルキル、(C2−C8)アルケニル、(C2−C8)アルキニル、(C3−C10)シクロアルキル、(C5−C20)アリール、(C5−C20)置換アリール、(C6−C26)アルカリール、(C6−C26)置換アルカリール、5〜20員ヘテロアリール、5〜20員置換ヘテロアリール、6〜26員アルク−ヘテロアリール、及び6〜26員置換アルク−ヘテロアリールから成る群から選択され; R37は独立して、水素、(C1−C8)アルキル、(C2−C8)アルケニル及び(C2−C8)アルキニルから成る群から選択される。 式(III)の典型的な化合物については、国際公開WO00/50390号に記載されている。WO00/50390号に記載の全ての化合物、特に、各化合物クレームに記載の化合物及び各実施例の最終産物を、本願の一部を構成するものとしてここに援用する。式(III)の典型的な化合物としては、3−{[4−(3,3−ジベンジル−ウレイド)−ベンゼンスルホニル]−[2−(4−メトキシ-フェニル)−エチル]−アミノ}−N−ヒドロキシ−プロピオンアミド(化合物D)や、3−{{4−[3−(4−クロロ−フェニル)−ウレイド]−ベンゼンスルホニル}−[2−(4−メトキシ−フェニル)−エチル]−アミノ}−N−ヒドロキシ−プロピオンアミド、3−{{4−[3−(1,2−ジフェニル−エチル)−ウレイド]−ベンゼンスルホニル}−[2−(4−メトキシ−フェニル)−エチル]−アミノ}−N−ヒドロキシ−プロピオンアミドが挙げられる。 また、本発明の化合物を同定するための方法も提供する。ある様相において、本発明の化合物はHIFαを安定化させる化合物である。化合物がHIFαを安定化或いは活性化する能力については、例えば、試料中のHIFαの直接的な測定、HIFαの間接的測定(例えば、フォン・ヒッペル・リンドウタンパク質(例えば、国際公開WO00/69908号参照)に関連するHIFαの低下の測定)、或いはHIF応答性標的遺伝子或いはレポーター構築物(例えば、米国特許第5,942,434号参照)の活性化によって評価することができる。上述の化合物の非存在下及び存在下で、HIF及び/又はHIF応答性標的タンパク質のレベルを測定し比較することによって、HIFαを安定化させ、及び/又はHIFを活性化する化合物が同定されるであろう。 他の様相において、本発明の化合物はHIFヒドロキシラーゼ活性を阻害する化合物である。ヒドロキシラーゼ活性のためのアッセイは当該技術分野においては標準的である。このようなアッセイによって、ヒドロキシラーゼ活性を直接的或いは間接的に測定することができる。例えば、酵素基質(例えば、標的タンパク質、合成ペプチド模倣物、或いはその断片)に存在するヒドロキシル化残基(例えば、プロリンやアスパラギン等)を測定できるアッセイがある(例えば、パルメリニ(Palmerini)ら(1985年)J Chromatogr 339:285-292参照)。ある化合物の存在下でヒドロキシル化残基(例えば、プロリンやアスパラギン)が減少した場合、該化合物はヒドロキシラーゼ活性を阻害する化合物であることを示している。或いは、ヒドロキシル化反応(例えば、2−オキソグルタレートからのサクシネートの形成)による他の産物を測定できるアッセイもある(例えば、クンリッフェ(Cunliffe)ら(1986年)Biochem J 240:617-619参照)。コーレ(Kaule)及びグンズラー(Gunzler)(1990年;Anal Biochem 184:291-297)は、2−オキソグルタレートからのサクシネートの産生を測定する典型的な方法について記載している。 上述したような方法を用いて、HIFヒドロキシラーゼ活性を調節する化合物を同定することができる。標的タンパク質としては、HIFα或いはその断片(例えば、HIF(556−575))を挙げることができる。酵素としては、例えば、いずれかの源から得たHIFプロリルヒドロキシラーゼ(例えば、GenBank受託番号AAG33965等参照)やHIFアスパラギニルヒドロキシラーゼ(例えば、GenBank受託番号AAL27308等参照)を挙げることができる。酵素は、粗細胞ライセートや一部精製体にも存在し得る。例えば、HIFヒドロキシラーゼ活性を測定する方法については、イヴァン(Ivan)ら(2001年、Science 292:464-468;及び、2002年、Proc Natl Acad Sci USA 99:13459-13464)及びハーシラ(Hirsila)ら(2003年、J Biol Chem 278:30772-30780)に記載されており、他の方法は国際公開WO03/049686号に記載されている。上述の化合物の非存在下及び存在下で、酵素活性を測定し比較することによって、HIFαのヒドロキシル化を阻害する化合物が同定されるであろう。 本発明の化合物は、in vitro或いはin vivoで測定され、赤血球形成の増強や鉄代謝の増強、各種病態(例えば、鉄欠乏症(機能性鉄欠乏症等)や、慢性疾患に伴う貧血、鉄欠乏性貧血、小赤血球症或いは小球性貧血、炎症や感染症免疫不全症、腫瘍性障害に関連する病態等)の治療的改善によって示される、測定可能な効果を更にもたらす化合物である。 上述の測定可能な効果は、次のパラメータ、即ち、ヘモグロビンやヘマトクリット、網状赤血球、赤血球数、血漿EPO等の増加、及び観察される症状の緩和(例えば、慢性疲労、蒼白、めまい等の緩和等)によって評価されるか、或いは血清鉄濃度の上昇や、血清フェリチン濃度やトランスフェリン飽和率(%)、総鉄結合能の変化、網状赤血球数やヘモグロビン、ヘマトクリット(例えば、これらは全て標準的な血球算定解析によって測定される)の改善によって評価される鉄代謝改善の内のいずれか1個であり得る。医薬製剤及び投与経路 本発明の組成物は、直接送達してもよく、当該技術分野でよく知られているように賦形剤を含む医薬製剤として送達してもよい。本発明の治療方法は、代謝障害、特に、グルコース調節に関連する障害(例えば、糖尿病や高血糖等)を有しているか或いはその危険性がある被験体に本発明の化合物の有効量を投与することを含み得る。好ましい実施形態において、該被験体は哺乳類被験体であり、最も好ましい実施形態において、該被験体はヒト被験者である。 化合物や薬物の有効量(例えば、用量)は、有効且つ簡便な投与経路や適切な製剤の場合と同様に通常の実験によって容易に決定することができる。当該技術分野では様々な製剤や薬物送達システムが入手可能である(例えば、ゲナロ(Gennaro)編(2000年)Remington's Pharmaceutical Sciences(上述);及びハードマン(Hardman)、リンバード(Limbird)及びギルマン(Gilman)編(2001年)The Pharmacological Basis of Therapeutics(上述)参照)。 好適な投与経路としては、例えば、経口投与や直腸投与、局所投与、経鼻投与、経肺投与、眼内投与(ocular)、腸内投与、非経口投与を挙げることができる。一次的な非経口投与経路としては、静脈内投与や筋肉内投与、皮下投与が挙げられる。二次的な投与経路としては、腹腔内投与や動脈内投与、関節内投与、心臓内投与、嚢内投与、皮内投与、病巣内投与、眼内投与、胸腔内投与、くも膜下投与、子宮内投与、脳室内投与が挙げられる。治療の適応や薬物の物理的、化学的及び生物学的特性によって、製剤の種類や用いる投与経路と共に、局所送達と全身送達のどちらが好ましいかが決まる。 本発明の化合物の医薬剤形は、即時放出、制御放出、持続放出、或いは標的薬物送達システムの形で提供することができる。通常用いる剤形としては、例えば、液剤や懸濁剤、(マイクロ)エマルジョン、軟膏、ゲル、貼付剤、リポソーム、錠剤、糖衣錠、ソフト或いはハードシェルカプセル、座剤、胚珠(ovules)、インプラント、非晶質或いは結晶性散剤、エアロゾル、凍結乾燥製剤が挙げられる。用いる投与経路に応じて、例えば、注射器や針、吸入器、ポンプ、注射ペン(injection pens)、アプリケータ、特別フラスコ等の特別な器具が薬物の適用や投与に必要となる場合がある。医薬剤形は、薬物、賦形剤及び容器/密封系から構成されることが多い。一以上の賦形剤(非活性成分とも称される)を本発明の化合物に添加して、薬物の製造や安定性、投与、安全性を改善、促進することができ、また、このような賦形剤は、所望の薬物放出プロファイルを得る手段を提供することができる。従って、薬物に添加する賦形剤の種類は、例えば、薬物の物理的及び化学的特性や投与経路、製造方法等の様々な因子に依存し得る。薬学的に許容し得る賦形剤は当該技術分野で入手可能であり、その例としては、様々な薬局方に記載されているものが挙げられる(例えば、米国薬局方、日本薬局方、欧州薬局方、英国薬局方、FDAウェブページ(www.fda.gov)、Inactive Ingredient Guide 1996、及びHandbook of Pharmaceutical Additives、編Ash; Synapse Information Resources社、2002年参照)。 本発明の化合物の剤形は、当該技術分野でよく知られた方法、例えば、従来の混合、ふるい分け、溶解、溶融、造粒、糖衣錠形成、打錠、懸濁化、押出し、噴霧乾燥、磨砕化(levigating)、乳化、(ナノ/マイクロ)カプセル化、封入、或いは凍結乾燥プロセス等のいずれによっても製造することができる。上述のように、本発明の組成物には、活性分子の医薬用途製剤への加工を容易にする一以上の生理学的に許容し得る非活性成分を含ませることができる。 適切な製剤は所望の投与経路によって決まる。静脈内投与の場合には、例えば、本発明の組成物を水溶液剤として処方することができ、必要に応じて、生理学的に適合し得るバッファー(例えば、製剤pH調整のためのリン酸やヒスチジン、クエン酸等)や等張化剤(例えば、塩化ナトリウムやデキストロース等)を用いる。経粘膜或いは経鼻投与の場合には、半固体製剤、液体製剤或いは貼付剤が好ましく、浸透促進剤を含ませることができる。このような浸透剤は一般に当該技術分野で知られている。経口投与の場合には、本発明の化合物を液体或いは固体剤形で、即時放出或いは制御/持続放出製剤として処方することができる。被験体による経口摂取のための好適な剤形としては、錠剤や丸剤、糖衣錠、ハード及びソフトシェルカプセル剤、液剤、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁剤、エマルジョンが挙げられる。また、本発明の化合物は、例えば、カカオバターや他のグリセリド等の従来の座剤基剤を含有する座剤や滞留浣腸剤(retention enemas)等の直腸組成物としても処方することができる。 固体経口剤形は、賦形剤を用いて得ることができるが、賦形剤の例としては、フィラーや崩壊剤、結合剤(乾式及び湿式)、溶解抑制剤、潤滑剤、流動促進剤(glidants)、抗付着剤(antiadherants)、カチオン交換樹脂、湿潤剤、酸化防止剤、防腐剤、着色剤、矯味剤を挙げることができる。このような賦形剤は、合成したものであっても天然源のものであってもよい。このような賦形剤の例としては、セルロース誘導体やクエン酸、リン酸二カルシウム、ゼラチン、炭酸マグネシウム、ラウリル硫酸マグネシウム/ナトリウム、マンニトール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、シリケート、二酸化ケイ素、安息香酸ナトリウム、ソルビトール、デンプン、ステアリン酸或いはその塩、糖類(即ち、デキストロースやショ糖、乳糖等)、タルク、トラガカント粘液、植物油(硬化)、ロウが挙げられる。エタノールや水は造粒助剤として用いることができる。ある例においては、例えば、味覚マスキングフィルムや胃酸耐性フィルム、放出抑制フィルムで錠剤をコーティングすることが望ましい。天然ポリマーや合成ポリマーを、着色剤、糖類、及び有機溶媒或いは水と併用して、錠剤をコートし、糖衣錠を得ることが多い。錠剤よりもカプセルの方が好ましい場合には、薬物粉末、懸濁液或いはその溶液を、適合し得るハード或いはソフトシェルカプセルとして送達することができる。 一実施形態において、本発明の化合物は、皮膚貼付剤や半固体或いは液体製剤(例えば、ゲルや(マイクロ)エマルジョン、軟膏、液剤、(ナノ/マイクロ)懸濁剤、発泡剤)等によって局所的に投与することができる。薬物の皮膚及び下層組織への浸透の調節は、例えば、浸透促進剤を用いることや、水や有機溶媒、ロウ、オイル、合成及び天然ポリマー、界面活性剤、乳化剤等の親油性、親水性及び両親媒性賦形剤の適切な選択と組合せ、pH調整、錯化剤の使用によって行うことができる。イオン泳動等の他の技法を用いて、本発明の化合物の皮膚浸透を調節してもよい。例えば、全身曝露を最小限に抑えながら局所送達することが望ましい場合には、経皮投与或いは局所投与が好ましいであろう。 吸入による投与或いは鼻への投与の場合、本発明で用いる化合物は、加圧パックからの液剤や懸濁剤、エマルジョン、半固体エアロゾル、或いは通常高圧ガス(例えば、メタンやエタン由来のハロゲン化炭素や、二酸化炭素、他の好適なガス)を用いたネブライザーの形態で簡便に送達する。局所エアロゾルの場合には、ブタンやイソブタン、ペンタン等の炭化水素が有用である。加圧エアロゾルの場合、適切な用量単位は、バルブを設けて定量を送達することによって定めることができる。吸入器や散布器に用いる、例えば、ゼラチンから成るカプセルやカートリッジを処方することができる。これらは通常、本発明の化合物と好適な粉末基剤(乳糖やデンプン等)との混合粉末を含有する。 注入による非経口投与用に処方された組成物は、通常滅菌し、単位剤形(例えば、アンプルや注射器、注射ペン、複数回投与用容器(通常、防腐剤を含有))で提供することができる。このような組成物は、油性或いは水性媒体中で懸濁液や溶液、エマルジョン等の形態をとることができ、バッファーや等張化剤、増粘剤、界面活性剤、懸濁剤、分散剤、酸化防止剤、生体適合性ポリマー、キレート剤、防腐剤等の処方剤(formulatory agents)を含ませることができる。注入部位に応じて、媒体には水、合成油或いは植物油、及び/又は有機共溶媒を含ませることができる。凍結乾燥製剤或いは濃縮製剤を用いる等の場合においては、投与前に非経口製剤を再構成或いは希釈する。本発明の化合物を制御放出或いは持続放出させるデポー製剤には、ナノ/マイクロ粒子やナノ/マイクロ或いは非微粒化結晶の注入可能な懸濁液を含ませることができる。ポリ乳酸やポリグリコール酸、それらのコポリマー等のポリマーは、当該技術分野でよく知られた他のものに加えて、制御/持続放出マトリックスとして用いることができる。他のデポー送達系は、切開を要するポンプやインプラントの形態で提供することができる。 本発明の分子を静脈内注入するための好適な担体は当該技術分野ではよく知られており、その例としては、イオン化化合物を形成する塩基(例えば、水酸化ナトリウム等)や等張化剤としてのショ糖や塩化ナトリウムを含有する水性溶液が挙げられ、例えば、上述のバッファーはリン酸塩或いはヒスチジンを含有する。ポリエチレングリコール等の共溶媒を添加することもできる。このような水性系は、本発明の化合物の溶解に効果的であり、全身投与の際に毒性が低くなる。溶液系の各成分の比率は、毒性や溶解性を損なうことなく大幅に変えることができる。更に、各成分の種類を変えることができる。例えば、ポリソルベートやポロクサマー等の低毒性界面活性剤を、ポリエチレングリコールや他の共溶媒と同様に用いることができ、ポリビニルピロリドン等の生体適合性ポリマーを添加することができ、そして、デキストロースの代わりに他の糖類やポリオールを用いることができる。 本発明の治療方法に有用な組成物の場合、治療的有効用量は、当該技術分野でよく知られた様々な技法を用いて最初に見積もる。動物実験に用いる初期用量は、細胞培養アッセイで確立された有効濃度に基づくことができる。ヒト被験者に適した用量範囲は、例えば、動物実験や細胞培養アッセイで得たデータを用いて定めることができる。 本発明の化合物や剤、薬物の治療的有効用量或いは治療的有効量とは、被験体における症状の改善や生存期間の延長をもたらす化合物や剤、薬物の量或いは用量を意味する。このような分子の毒性及び治療効果については、細胞培養物や実験動物における標準的な薬学的方法、例えば、LD50(個体群の50%が死に至る用量)及びED50(個体群の50%において治療的に有効な用量)を求めることによって定めることができる。治療作用に対する毒性作用の用量比が治療指数であり、これはLD50/ED50比で表すことができる。高い治療指数を示す剤が好ましい。 有効量或いは治療的有効量とは、研究者、獣医、医師或いは他の臨床医によって求められている組織や系、動物、ヒトの生物学的或いは医学的応答(例えば、グルコース代謝の調節や、上昇した血糖値の低下、グルコース代謝の変化に関連する障害(例えば、糖尿病等)の治療或いは予防)を引き起こす化合物或いは医薬組成物の量である。 用量は、毒性が殆ど或いは全くないED50を含む血中濃度の範囲内であることが好ましい。用量は、用いる剤形及び/又は用いる投与経路に応じてこの範囲内で変わり得る。的確な製剤や投与経路、用量、投与間隔については、被験体の病態の詳細に鑑み、当該技術分野で知られた方法に従って選択すべきである。 投与量及び投与間隔を個々に調整して、所望の効果、例えば、グルコース代謝の調節や血糖値の低下等を達成するのに必要な有効成分の血漿中濃度(即ち、最小有効濃度(MEC))を得ることができる。MECは各化合物によって異なるが、例えば、in vitroデータや動物実験から見積もることができる。MECを達成するのに必要な用量は、個々の特性や投与経路によって決まる。局所投与や選択的摂取の場合には、薬物の有効局所濃度が血漿中濃度と関連しないことがある。 投与する剤や組成物の量は、治療対象被験体の性別、年齢及び重量や、病気(the affliction)の重症度、投与方法、処方する医師の判断等の様々な因子に依存し得る。 必要に応じて、本発明の組成物は、有効成分を含有する一以上の単位剤形を含むパックやディスペンサーデバイスとして提供することができる。このようなパックやデバイスは、例えば、ブリスターパック等の金属箔或いはプラスチック箔、或いはバイアル瓶のようにガラス及びゴム栓を含むことができる。このようなパックやディスペンサーデバイスには投与用説明書を添付することができる。適合し得る薬学的担体で処方した本発明の化合物を含む組成物を調製し、適切な容器に収納することもでき、また、適応病態治療のために標識することもできる。 本発明のこれらの及び他の実施形態は、本明細書の開示内容を鑑みて当業者には容易に想到されるであろう。 本発明は、以下の実施例を参照することにより一層理解が進むであろうが、これら実施例は単に本発明を例示するものに過ぎない。これらの実施例を掲げる目的は、請求に係る発明を例示的に説明するために過ぎない。本発明の範囲は、本発明の個々の様相の説明のみを意図した上述の実施形態によって限定されない。機能的に等価ないずれの方法も本発明の範囲内である。本明細書に記載のもの以外の本発明の様々な変更は、上述の説明及び添付図面から当業者には明らかとなるであろう。このような変更は添付の各請求項の範囲内にあるものとする。 実施例1:EPO産生に対するTNF−αの抑制作用の克服 化合物A或いは化合物Bの非存在下或いは存在下、Hep3B細胞を各種濃度(0、0.4、2、10ng/mL)のTNF−αで3日間処理した。分泌されたEPOのレベルは、市販のELISAキット(R&Dシステム、カタログ番号DEP00)を用いて求めた。化合物の非存在下では、TNF−αでHep3B細胞を処理することによってEPO産生が用量依存的に低下した。各種濃度の化合物A(図1A)或いは化合物B(図1B)でHep3B細胞を処理した場合、TNF−αの非存在下では、EPO産生が用量依存的に増加することが示された。TNF−αの存在下でいずれか一方の化合物を添加することによって、EPO産生に対するTNF−αの阻害作用が大幅に抑制された。EPO産生に対するTNF−αの抑制作用のプロリルヒドロキシラーゼ阻害による克服は、低濃度(例えば、0.4ng/mL)及び高濃度(例えば、10ng/mL)のTNF−αの存在下で見られた。従って、EPO産生に対する炎症性サイトカインTNF−αの阻害作用は、本発明の化合物及び方法を用いたプロリルヒドロキシラーゼ活性の阻害によって克服された。これらの結果から、本発明の化合物及び方法が、炎症性サイトカインTNF−αの存在下でEPO産生を増加させる上で有用であることが示唆された。また、本発明の方法及び化合物はEPO産生を増加する上で有用であるため、被験体における貧血、例えば、急性或いは慢性炎症等のTNF−αに関連する障害を有する被験体における貧血、或いは他の慢性疾患に伴う貧血を治療する上で有用である。 一連の実験を行い、炎症性サイトカインTNF−αに細胞を曝露した後に(即ち、既にTNF−αに曝露した細胞において)EPO産生に対する本発明の化合物の作用について検討した。これらの実験においては、プロリルヒドロキシラーゼ阻害剤の添加前にTNF−αシグナル伝達が開始されたであろう。Hep3B細胞を各種濃度(0、0.4、2、10ng/mL)のTNF−αで2時間処理した後、各種濃度の化合物A或いは化合物Bを得られた培養細胞に添加した。分泌されたEPOのレベルは、化合物添加3日後に上述のように求めた。 図2A及び2Bに示すように、Hep3B細胞をTNF−αで2時間前処理した後のEPO産生に対するTNF−αの抑制作用は、化合物A及び化合物Bによって克服された。このデータから、本発明の化合物及び方法が、TNF−αに曝露した細胞におけるEPO産生を増加させる上で有用であることが示された。また、これらの結果から、本発明の化合物を用いた処理によって、EPO産生を増加させ、EPO産生がTNF−αによって抑制されている被験体における貧血を治療するための有用な手段が得られることも示唆された。 本発明の化合物を添加することによって、EPO産生に対するTNF−αの阻害作用が大幅に抑制された。従って、本発明の化合物及び方法は、TNF−αの増加に関連する貧血(例えば、炎症性障害)を治療或いは予防する上で有用である。 実施例2:EPO産生に対するIL−1βの抑制作用の克服 化合物A或いは化合物Bの非存在下或いは存在下、Hep3B細胞を各種濃度(0、0.4、2、10ng/mL)のIL−1βで3日間処理した。分泌されたEPOのレベルは、市販のELISAキット(R&Dシステム、カタログ番号DEP00)を用いて求めた。化合物の非存在下では、IL−1βでHep3B細胞を処理することによってEPO産生が用量依存的に低下した。各種濃度の化合物A(図3A)或いは化合物B(図3B)でHep3B細胞を処理した場合、IL−1βの非存在下では、EPO産生が用量依存的に増加することが示された。IL−1βの存在下でいずれか一方の化合物を添加することによって、EPO産生に対するIL−1βの阻害作用が大幅に抑制された。EPO産生に対するIL−1βの抑制作用のプロリルヒドロキシラーゼ阻害による克服は、低濃度(例えば、0.4ng/mL)及び高濃度(例えば、10ng/mL)のIL−1βの存在下で見られた。従って、EPO産生に対する炎症性サイトカインIL−1βの阻害作用は、本発明の化合物及び方法を用いたプロリルヒドロキシラーゼ活性の阻害によって克服された。これらの結果から、本発明の化合物及び方法が、炎症性サイトカインIL−1βの存在下でEPO産生を増加させる上で有用であることが示唆された。また、本発明の方法及び化合物はEPO産生を増加する上で有用であるため、被験体における貧血、例えば、急性或いは慢性炎症等のIL−1βに関連する障害を有する被験体における貧血、或いは他の慢性疾患に伴う貧血を治療する上で有用である。 一連の実験を行い、炎症性サイトカインIL−1βに細胞を曝露した後に(即ち、既にIL−1βに曝露した細胞において)EPO産生に対する本発明の化合物の作用について検討した。これらの実験においては、プロリルヒドロキシラーゼ阻害剤の添加前にIL−1βシグナル伝達が開始されたであろう。Hep3B細胞を各種濃度(0、0.4、2、10ng/mL)のIL−1βで2時間処理した後、各種濃度の化合物A或いは化合物Bを得られた培養細胞に添加した。分泌されたEPOのレベルは、化合物添加3日後に上述のように求めた。 図4A及び4Bに示すように、Hep3B細胞をIL−1βで2時間前処理した後のEPO産生に対するIL−1βの抑制作用は、化合物A及び化合物Bによって克服された。このデータから、本発明の化合物及び方法が、IL−1βに曝露した細胞におけるEPO産生を増加させる上で有用であることが示された。また、これらの結果から、本発明の化合物を用いた処理によって、EPO産生を増加させ、EPO産生がIL−1βによって抑制されている被験体における貧血を治療するための有用な手段が得られることも示唆された。 本発明の化合物を添加することによって、EPO産生に対するIL−1βの阻害作用が大幅に抑制された。従って、本発明の化合物及び方法は、IL−1βに関連する貧血(例えば、炎症性障害)を治療或いは予防する上で有用である。 実施例3:TNF−α誘導VCAM−1発現の阻害 リンパ球の内皮細胞接着は、血管細胞接着分子(VCAM)−1の内皮細胞発現によって部分的に生じる。内皮細胞におけるVCAM−1の発現は、TNF−α等の各種炎症性サイトカインによって誘導される。TNF−α誘導によるVCAM−1発現に対するHIFプロリルヒドロキシラーゼ阻害の作用を調べるため、各種濃度の化合物B或いは化合物Cの非存在下或いは存在下、HUVEC(ヒト臍帯静脈内皮細胞)をTNF−αで1日間刺激した。次いで、VCAMの発現を測定した。 図5に示すように、TNF−α(1ng/mL)によって、HUVEC細胞におけるVCAM−1の発現が誘導された。しかし、TNF−α刺激細胞に化合物B或いは化合物Cを添加することによって、TNF−α誘導によるVCAM−1の発現が用量依存的に阻害された。このデータから、本発明の方法及び化合物が、炎症性サイトカインTNF−αに関連するVCAM−1発現を抑制するのに有効であることが示された。更に、この結果から、本発明の化合物及び方法が、各種炎症性疾患や自己免疫疾患(例えば、慢性疾患に伴う貧血)に関連するVCAM−1発現を阻害する上で有用であることが示唆された。 実施例4:IL−1β誘導VCAM−1発現の阻害 内皮細胞におけるVCAM−1の発現は、炎症性サイトカインIL−1βによっても誘導される。IL−1β誘導によるVCAM−1の発現に対するHIFプロリルヒドロキシラーゼ阻害の作用を調べるため、各種濃度の化合物B或いは化合物Cの非存在下或いは存在下、HUVEC(ヒト臍帯静脈内皮細胞)をIL−1βで1日間刺激した。次いで、VCAMの発現を測定した。 IL−1β(1ng/mL)によって、HUVEC細胞におけるVCAM−1の発現が誘導された。しかし、IL−1β刺激細胞に化合物B或いは化合物Cを添加することによって、IL−1β誘導によるVCAM−1の発現が用量依存的に阻害された(データは図示せず)。これらの結果から、本発明の方法及び化合物が、炎症性サイトカインIL−1βに関連するVCAM−1発現を抑制するのに有効であることが示された。更に、この結果から、本発明の化合物及び方法が、各種炎症性疾患や自己免疫疾患(例えば、慢性疾患に伴う貧血)に関連するVCAM−1発現を阻害する上で有用であることが示唆された。 実施例5:TNF−α及びIL−1β誘導による内皮細胞上でのVCAM−1発現の阻害 媒体対照或いは各種濃度(0、20、40、80μM)の化合物B或いは化合物CでHUVECを24時間処理した。細胞を洗浄した後、1ng/mLのTNF−α或いは1ng/mLのIL−1βで4時間刺激した。次いで、VCAM−1の細胞表面発現を細胞ベースELISAによって測定した。 図25に示すように、プロリルヒドロキシラーゼ阻害剤で前処理することによって、炎症性サイトカインTNF−α及びIL−1βによって誘導される細胞表面VCAM−1発現の誘導が抑制された。これらの結果から、本発明の化合物及び方法によってTNF−α及びIL−1βの炎症機能が阻害され、更に、異種細胞白血球接着を仲介するのに重要な細胞表面接着分子の発現が阻害されたことが示された。本発明の化合物を用いた処理による白血球接着の阻害によって、炎症カスケードを抑制して、炎症を抑制し、更にEPO産生を制限し赤血球形成を抑制する炎症作用を抑制するための有効な手段が得られる。 実施例6:TNF−α誘導E−セレクチン発現の阻害 内皮E−セレクチンは、炎症イベントにおける血管内皮細胞への白血球の初期付着を仲介する細胞接着分子のセレクチンファミリーに属する。IL−1、TNF−α及びリポ多糖類は各々、E−セレクチンの発現を誘導する(例えば、ベヴィラックァ(Bevilacqua)ら(1987年)Proc Natl Acad Sci USA 84:9238-9242、及びベヴィラックァ(Bevilacqua)及びファン・ファース(van Furth)(1993年)J Leukoc Biol 54:363-378参照)。TNF−α誘導によるE−セレクチンの発現に対するHIFプロリルヒドロキシラーゼ阻害の作用を調べるため、各種濃度の化合物B或いは化合物Cの非存在下或いは存在下、HUVECを1ng/mLのTNF−αで1日間刺激した。次いで、E−セレクチン及びVCAMの発現を測定した。 図24A及び24Bに示すように、化合物B及び化合物Cによって、HUVECにおけるTNF−α誘導によるVCAM及びE−セレクチンの発現が用量依存的に阻害された。図24A及び24Bのデータは、各種濃度の化合物B(図24A)或いは化合物C(図24B)に応じて見られたVCAM及びE−セレクチンの発現の阻害率で示している。50μMの化合物B或いは化合物Cで処理したHUVECにおいて、VCAM及びE−セレクチンの発現の阻害率が60%を超えた。このデータから、本発明の方法及び化合物が、炎症性サイトカインTNF−αに関連する内皮細胞でのVCAMやE−セレクチンの発現を抑制するのに有効であることが示された。また、この結果から、本発明の化合物及び方法が、各種炎症性障害や自己免疫障害(例えば、慢性疾患に伴う貧血等)に関連するVCAMやE−セレクチンの発現を阻害する上で有用であることが示唆された。更に、本発明の方法及び化合物によって接着分子(VCAMやE−セレクチン等)の内皮細胞発現を阻害することにより、血管炎症における初期イベントを抑制するための手段が得られる。 実施例7:IL−1β誘導E−セレクチン発現の阻害 IL−1β誘導によるE−セレクチンの発現に対するHIFプロリルヒドロキシラーゼ阻害の作用を調べるため、各種濃度の化合物B或いは化合物Cの非存在下或いは存在下、HUVECを1ng/mLのIL−1βで1日間刺激した。次いで、E−セレクチンの発現を測定した。 化合物B及び化合物Cによって、HUVECにおけるIL−1β誘導によるE−セレクチンの発現が用量依存的に阻害された(データは図示せず)。これらの結果から、本発明の方法及び化合物が、炎症性サイトカインIL−1βに関連する内皮細胞でのE−セレクチンの発現を抑制するのに有効であることが示された。また、この結果から、本発明の化合物及び方法が、各種炎症性障害や自己免疫障害(例えば、慢性疾患に伴う貧血等)に関連するE−セレクチンの発現を阻害する上で有用であることが示唆された。更に、本発明の方法及び化合物によって接着分子(VCAMやE−セレクチン等)の内皮細胞発現を阻害することにより、血管炎症における初期イベントを抑制するための手段が得られる。 実施例8:TNF−α、IL−1β及びIFN−γ誘導E−セレクチン発現の阻害 媒体対照或いは各種濃度の化合物B或いは化合物CでHUVECを24時間処理した。細胞を洗浄した後、1ng/mLのTNF−α、1ng/mLのIL−1β、或いはTNF−α、IL−1β及びIFN−γ(各1ng/mL)の組合せを用いて4時間刺激した。E−セレクチンの細胞表面発現を細胞ベースELISAによって測定した。 図26に示すように、化合物B或いは化合物CでHUVECを前処理することによって、炎症性サイトカインTNF−α或いはIL−1βによって誘導される細胞表面E−セレクチン発現の誘導が阻害された。また、いずれか一方の化合物で前処理することによって、E−セレクチン発現を増加させることが知られている三種類の炎症性サイトカイン(TNF−α、IL−1β及びIFN−γ)の存在下でE−セレクチンの発現が抑制された。これらの結果から、本発明の化合物によって、内皮細胞上でのTNF−α、IL−1β及びIFN−γの炎症機能が阻害された(例えば、活性化内皮上での白血球のローリングを仲介する細胞表面接着分子の発現の阻害)ことが示された。E−セレクチンによる活性化内皮への白血球の接着は炎症カスケードの永続における初期段階であるため、E−セレクチン発現の阻害により白血球のローリングを阻害することによって、更にEPO産生を制限し赤血球形成を抑制する炎症カスケードを抑制するための手段が得られる。 実施例9:EPO産生の相乗的増加 各種濃度(3μM、10μM、30μM)の化合物A或いは化合物Bの非存在下或いは存在下、各種濃度(0、0.1、1、10ng/mL)のIL−6でHep3B細胞を1日間或いは3日間処理した。分泌されたEPOのレベルは、市販のELISAキット(R&Dシステム、カタログ番号DEP00)を用いて求めた。化合物の非存在下では、Hep3B細胞をIL−6で処理してもEPO産生に対する作用は最小限であった。図27A及び27Bに示すように、Hep3B細胞をIL−6で処理することによって、EPO発現が未処理細胞の場合に比べてわずかに増加した。具体的には、対照細胞中のEPO濃度は約20mIU/mLで、10ng/mLのIL−6で処理した細胞中のEPO濃度は約50mIU/mLであった。 IL−6の非存在下でHep3B細胞を化合物A或いは化合物Bで処理した場合、EPO濃度が用量依存的に上昇することが示された。しかし、IL−6の存在下でHep3B細胞を化合物A或いは化合物Bで処理した場合、EPO濃度が大幅に上昇することが示された(図27A及び27B参照)。IL−6存在下でのEPO産生に対する化合物処理の作用は相乗的であった。例えば、Hep3B細胞を10ng/mLのIL−6で処理した場合、EPO濃度は約50mIU/mLであった。IL−6の非存在下でHep3B細胞を10mMの化合物A或いは化合物Bで処理した場合、EPO濃度はそれぞれ約60mIU/mL、220mIU/mLとなった。10ng/mLのIL−6の存在下で化合物A及び化合物Bを添加した場合、EPO濃度はそれぞれ約270mIU/mL、400mIU/mL超まで上昇した。従って、本発明の化合物は、肝細胞におけるEPO発現の誘導に対しIL−6と相乗的に作用した。 実施例10:サイトカイン誘導EPOレセプターシグナル伝達抑制の克服 細胞株TF−1(ヒト赤白血病;ATCCカタログ番号CRL−2003)を刺激し、EPO添加に応じて増殖する。各種炎症性サイトカインの存在下では、EPO仲介によるTF−1細胞増殖の増加が抑制される。TF−1細胞増殖に対するプロリルヒドロキシラーゼ阻害の作用を確認するため、プロリルヒドロキシラーゼ阻害剤の非存在下或いは存在下、各種濃度の炎症性サイトカインIL−1β、TNF−α或いはIFN−γでTF−1細胞を処理し、EPO仲介による細胞増殖を次の通りに測定する。96ウェルマイクロタイタープレートで培養した細胞を三連で(triplicate wells)、EPOの非存在下或いは存在下で無血清培地と共に24時間インキュベートする。培養の最後の4時間、1μCiのトリチウムチミジン(3H−TdR;アマシャム)を各ウェルに添加する。EPOレセプターシグナル伝達に対する細胞応答性は細胞増殖を測定することによって求める。細胞増殖は、細胞に取り込まれた3H−TdRの量を定量することによって測定するが、その際、先ず細胞を水で溶解し、次にセルハーベスターのナイロンフィルター上にDNAを捕捉する。 或いは、脾臓内でEPO応答性前駆体の蔓延(prevalence)を引き起こす、フェニルヒドラジン処理動物から得た脾細胞の単細胞浮遊液をEPO応答細胞源として用いる。次いで、EPO仲介による増殖を上述のようにex vivoで評価する。 EPOで処理したTF−1細胞によって細胞増殖が増加するが、これはトリチウムチミジン取りこみの増加によって確認する。炎症性サイトカインIL−1β、TNF−α或いはIFN−γをEPO処理TF−1細胞に添加することによって、EPOに対する応答性が低下し、細胞増殖が抑制される。TF−1細胞におけるEPO仲介細胞増殖に及ぼす炎症性サイトカインの阻害作用に対する本発明化合物の添加による作用について確認する。トリチウムチミジン取りこみの増加によって測定される、EPO及び炎症性サイトカインで処理したTF−1細胞における細胞増殖の増加から、本発明の化合物及び方法によってEPO仲介による細胞増殖増加に対する炎症性サイトカインの抑制作用が克服されることが示される。 実施例11:トランスフェリンレセプター発現の増加 トランスフェリンレセプター発現に対する本発明の化合物の作用を次のように検討した。各種細胞(Hep3B、HepG2、HK−2)を化合物A或いは化合物Bと共に1日間インキュベートした。次いで、得られた細胞に対し、CD71−PE抗体(アンセル、カタログ番号223−050)を用いたFACS解析によってトランスフェリンレセプター発現の解析を行った。結果を下の表1に示す。 上の表1に示すように、本発明の各種化合物を細胞に添加することによって、トランスフェリンレセプターの発現が増加した。本発明のプロリルヒドロキシラーゼ阻害剤を用いたHIFプロリルヒドロキシル化の阻害によって、細胞におけるトランスフェリンレセプターの発現が増加した。本発明のプロリルヒドロキシラーゼ阻害剤を用いたトランスフェリンレセプター発現の増加は、肝細胞(例えば、Hep3BやHepG2)、腎細胞(例えば、HK−2)及びリンパ球(例えば、THP−1)において見られた。従って、本発明の方法及び化合物は、各種細胞におけるトランスフェリンレセプターの発現を増加させる上で有用である。更に、トランスフェリンレセプター発現の増加によって、トランスフェリンレセプター仲介による3価鉄トランスフェリン(ferric transferrin)のエンドサイトーシスが増加して、鉄輸送、鉄利用、鉄貯蔵及び鉄代謝が増加するであろう。従って、本発明の方法及び化合物は、鉄輸送、鉄利用、鉄貯蔵及び鉄代謝を増加させることによって赤血球形成を増強する上で有用である。 実施例12:in vitroでのトランスフェリンレセプター発現及び鉄摂取の増加 細胞における鉄摂取に対する化合物の作用については次のように確認する。主要な単球及びマクロファージ、及び単球細胞株及びマクロファージ細胞株(例えば、THP−1)を各種濃度のプロリルヒドロキシラーゼ阻害剤で1日間、2日間或いは3日間処理する。次いで、細胞に対し、蛍光免疫染色及びフローサイトメトリーを用いて細胞表面トランスフェリンレセプターの存在についての検討を行う。プロリルヒドロキシラーゼ阻害剤の添加によって細胞表面トランスフェリンレセプター発現が増加することを示す結果から、細胞へのトランスフェリン結合、即ち、細胞への鉄結合を増加させる上でプロリルヒドロキシラーゼ阻害が有効であることが示される。プロリルヒドロキシラーゼ阻害剤で処理した細胞による鉄摂取の変化は次のように確認する。59Feの存在下、細胞を化合物で処理する。プロリルヒドロキシラーゼ阻害剤で処理した細胞による鉄摂取の増加は、細胞結合59Feを測定することによって確認する。細胞結合59Feが増加している場合、細胞における鉄摂取の増加を示す。 実施例13:鉄調節タンパク質−2のレベル及び活性の増加 鉄摂取や鉄貯蔵、鉄利用の調節は、鉄代謝に関与する主要なタンパク質(鉄調節タンパク質(IRP)として知られるトランス作用タンパク質等)の発現や活性によって部分的に生じる。IRP−1及びIRP−2は、鉄代謝に関与するタンパク質の各種mRNAにおける特定の鉄応答性要素に結合することによってmRNAの安定性や翻訳を制御し、鉄代謝のほぼ全ての局面に影響を及ぼす。鉄欠乏によってIRP活性が上昇して、トランスフェリンレセプターの発現が増加し、フェリチンの発現が抑制される。また、鉄の存在下ではIRP活性が低下して、トランスフェリンレセプターの発現が抑制され、フェリチンの発現が増加する。 鉄代謝の各種局面に対する本発明の化合物の作用を検討するため、次の実験を行う。マウスHepa−1細胞をプロリルヒドロキシラーゼ阻害剤で最大48時間処理する。次いで、細胞を採取し、細胞ライセートに対して、IRP−2に特異的な抗体を用いた免疫ブロット法(Alpha Diagnostic International社、テキサス州サンアントニオ)によりIRP−2発現の解析を行う。化合物添加後の細胞質IRP−2レベルの上昇を示す結果から、本発明の方法及び化合物がIRPレベル、即ち、鉄代謝を増加させる上で有用であることが示される。 フェリチン及びトランスフェリンの発現の変化によって測定される、IRP−2活性に対する本発明の化合物の作用については、次のように確認する。マウスRAW264.1マクロファージ細胞株をプロリルヒドロキシラーゼ阻害剤で最大48時間処理する。次いで、細胞を採取し、免疫ブロット法(ADI、カタログ番号IRP21−S)によるフェリチン及びトランスフェリンタンパク質の発現の解析を行う。プロリルヒドロキシラーゼ阻害後のフェリチン発現レベルの低下及びトランスフェリン発現レベルの上昇から、本発明の方法及び化合物が、IRP−2の活性を安定化且つ増加させる上で有用であることが示される。IRP−2発現の増加によって、鉄の長期貯蔵に関与するフェリチンの発現が抑制され、トランスフェリン及びトランスフェリンレセプターの発現が増加し、鉄摂取、鉄輸送及び鉄利用が促進され、赤血球形成が増強される。本発明の方法及び化合物は、IRP−2の発現及び活性を増加させることによって、フェリチンの発現及びそれに伴う鉄の長期貯蔵を低下させ、トランスフェリン及びトランスフェリンレセプターの発現を増加させる上で有用である。従って、本発明の方法及び化合物は、鉄摂取、鉄輸送及び鉄利用を増加させる上で有用であり、よって、赤血球形成を増強する上で有用である。 実施例14:鉄利用の増強 ラットに対して媒体対照或いはHIFプロリルヒドロキシラーゼ阻害剤を投与した後、59Fe放射性標識クエン酸第一鉄(アマシャム)を静脈内注入する。血液の連続試料を尾静脈から採取し、総遊離血漿及び赤血球結合放射能をシンチレーションカウンターにて測定し、赤血球ヘム及びヘモグロビン合成への鉄の輸送及び取り込みを検出する。赤血球結合59Feが増加することから、本発明の化合物が、ヘム合成、ヘモグロビン産生及び赤血球形成に必要な鉄利用を増強する上で有用であることが示される。 実施例15:in vitroでの赤血球形成遺伝子発現の増強 Hep3B細胞(ATCC番号HB−8064)を8%ウシ胎児血清含有DMEM中で増殖させた。Hep3B細胞を6ウェル培養皿に播種した(〜500,000細胞/ウェル)。8時間後、培地を0.5%ウシ胎児血清含有DMEMに変え、細胞を更に16時間インキュベートした。化合物B或いは化合物Dを細胞に添加し(最終濃度は25μM)、細胞をいろいろな時間でインキュベートした。対照細胞(非化合物処理、DMSOのみ添加)は0時間、6時間及び48時間に採取した。採取した細胞は細胞生存度(GUAVA)について評価するか、或いはRNA抽出バッファー(RNeasy、キアゲン)に添加し、続くRNA精製のために−20℃で保存した。異なる日に行った複製実験で単離したRNAを用いて複製マイクロアレイを生成した。RNeasyキット(キアゲン)を用いて細胞から全RNAを単離した。 0.3Mの酢酸ナトリウム(pH5.2)、50ng/mLのグリコーゲン、2.5体積のエタノールにRNAを−20℃で1時間沈殿させた。試料を遠沈し、ペレットを冷80%エタノールで洗浄し、乾燥した後、水に再懸濁させた。二本鎖cDNAの合成は、T7−(dT)24第一鎖プライマー(アフィメトリックス社、カリフォルニア州サンタクララ)及びSUPERSCRIPT CHOICEシステム(インビトロジェン)を用い、該メーカーの指示に従って行った。PHASE LOCK GELインサート(ブリンクマン社、ニューヨーク州ウエストベリー)を用い、同体積のフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(25:24:1)で最終cDNAを抽出した。水相を回収し、0.5体積の7.5M 酢酸アンモニウム及び2.5体積のエタノールを用いてcDNAを沈殿させた。或いは、GENECHIP試料浄化モジュール(アフィメトリックス)を用い、該メーカーの指示に従ってcDNAを精製した。 BIOARRAY High Yield RNA転写標識キット(エンゾ・ダイアグノスティックス社、ニューヨーク州ファーミングデール)を用い、該メーカーの指示に従って、in vitro翻訳(IVT)反応にてcDNAからビオチン標識cRNAを合成した。GENECHIP試料浄化モジュール(アフィメトリックス)を用い、該メーカーの指示に従って最終標識産物を精製、断片化した。 ハイブリダイゼーションカクテルの調製は、5μgのプローブを100μLの1×ハイブリダイゼーションバッファー(100mM MES、1M [Na+]、20mM EDTA、0.01% Tween20)、100μg/mLのニシン精子DNA、500μg/mLのアセチル化BSA、0.03nMの対照オリゴB2(アフィメトリックス)及び1×GENECHIP真核ハイブリダイゼーション対照(アフィメトリックス)に導入することによって行った。調製したカクテルを連続して、99℃で5分間、45℃で5分間インキュベートした後、5分間遠沈した。Human Genome U133Aアレイ(アフィメトリックス)を室温に戻した後、回転させながら、1×ハイブリダイゼーションバッファーを用いて45℃で10分間プレハイブリダイズした。次いで、バッファーを80μLのハイブリダイゼーションカクテルに交換し、カウンターバランスをとりながら、アレイを45℃、60rpmで16時間ハイブリダイズした。ハイブリダイゼーション後、アレイを6×SSPE、0.1%Tween20で1回洗浄した後、R−フィコエリスリン接合ストレプトアビジン(モレキュラープローブ、オレゴン州ユージーン)、ヤギ抗ストレプトアビジン抗体(ベクターラボラトリー、カリフォルニア州バーリンゲーム)、及びGENECHIP Fluidics Station400機器(アフィメトリックス)を用い、該メーカーのマイクロ_lvlプロトコル(アフィメトリックス)に従って、洗浄及び染色した。GENEARRAYスキャナー(アフィメトリックス)及びMicroarray Suiteソフトウェア(アフィメトリックス)を用いてアレイを解析した。 Human Genome U133Aアレイ(アフィメトリックス)は、約14,500のよく特徴付けられたヒト遺伝子を含む、Human Unigeneデータベース構築133(米国国立バイオテクノロジー情報センター、メリーランド州ベセスダ)の全ての配列を表す。 キャピラリー電気泳動(アジレントバイオアナライザ)によってRNAの質をモニターした。ハイブリダイゼーションカクテルの調製を上述のように行い(アフィメトリックス)、22,283のプローブセットを含むアフィメトリックスヒトU133Aアレイに該カクテルをハイブリダイズした。アレイ機能はアフィメトリックスMicroarray Suite(MAS)ソフトウェアを用いて解析し、個々のプローブセットにはソフトウェアデフォルトに従って「present」、「marginal」及び「absent」コールを割り当てた。GeneSpringソフトウェア(シリコンジェネティクス)を用いて、統計的分析値及びろ過済プローブセットリスト(filtered probe set lists)を作成した。「発現」プローブセットのカットオフには、アフィメトリックス「P」コールとGenespring固有データエラーモデル由来の絶対発現値との組合せを用いた。データは、対照試料の平均に対して正規化した。 下の表2に示すように、赤血球形成タンパク質をコードする遺伝子の発現(対照を超えたmRNAレベルの増加倍数(fold-increase))は、本発明の化合物で処理したHep3B細胞において増加した(各条件における二種類のセルロプラスミンデータポイントを下の表2に示す)。具体的には、セルロプラスミン及びトランスフェリンレセプター2遺伝子の発現は、本発明の各種化合物で処理したHep3B細胞において増加した。 実施例16:動物投与 以下の実施例で用いた動物としては、シモンセン社(カリフォルニア州ギルロイ)、チャールズリバー(カリフォルニア州ホリスター)或いはハーランから入手したSwiss Webster雄性マウス(30〜32g)、Sprague Dawley雄性ラット(200〜350g)及びLewis雌性ラットが挙げられる。標準的な方法を用いて動物を維持し、動物には食料と水を自由に摂取させた。処理時には、体重の変化及び明らかな毒性や死亡の兆候について動物をモニターした。 化合物の投与は、一般に強制経口投与或いはIV投与によって行った。動物の処理については、各種投与計画を用い、4〜10mL/kg体積の0.1%ポリソルベート80含有或いは非含有(0mg/kg/日)の0.5%カルボキシメチルセルロース(CMC;シグマ−アルドリッチ、ミズーリ州セントルイス)、或いは0.1%ポリソルベート80含有或いは非含有の0.5%CMC中の各種用量の本発明の化合物(例えば、HIFプロリルヒドロキシラーゼ阻害剤)を強制経口投与して行った。処理時には適切な間隔で、例えば、尾静脈(ラット)や腹部静脈或いは心臓穿刺(マウス或いはラット)より血液試料を回収した。一般に、動物はイソフルランで麻酔し、血液試料はMICROTAINER血清セパレータチューブ(ベクトン−ディッキンソン、ニュージャージー州フランクリンレイクス)内に回収した。血清成分の測定の場合、チューブを室温で30分間インキュベートした後、8,000rpm、4℃で10分間遠沈した。次いで、血清画分を処理し、特定の成分(例えば、血清鉄)の存在について解析した(アッセイはQuality Clinical Labs(カリフォルニア州マウンテンビュー)により実施)。ヘマトクリット測定の場合、血液試料をMICROTAINER EDTA-2Kチューブ(ベクトン−ディッキンソン)内に回収し、次いで、EDTA−血液を75mm×内径1.1〜1.2mmのキャピラリーチューブ(Chase Scientific glass社、テネシー州ロックウッド)に約3/4の長さまで吸入し、チューブの一端をCRITOSEALシール剤(シャーウッドメディカルカンパニー)でシールし、チューブをJ-503M MICROHEMATOCRIT遠心分離機(Jorgensen Laboratories社、コロラド州ラヴランド)にて12,000rpmで5分間遠沈した。ヘマトクリットはリーダーカードに対して読み取った。適応があれば、血中ヘモグロビン濃度、網状赤血球数及びヘマトクリットを含む完全血球算定(CBC)解析をQuality Clinical Labs(カリフォルニア州マウンテンビュー)により実施した。 各実験の最後には、例えば、一般的麻酔下での放血、或いはCO2窒息によって動物を安楽死させ、器官及び組織試料を回収した。組織は中性緩衝ホルマリンで固定するか或いは−70℃で冷凍保存した。ゲノム解析用の組織はRNAlater内に入れた。 実施例17:in vivoでの鉄処理タンパク質をコードする遺伝子の発現の増加 Swiss Webster雄性マウスを上述のように、0.5%のCMC(シグマ−アルドリッチ)(0mg/kg)或いは100mg/kgの化合物Aの単回投与によって処理した。投与から4時間、8時間、16時間、24時間、48時間或いは72時間後に、マウスを麻酔して殺し、腎臓、肝臓、脳、肺及び心臓の組織試料を単離し、RNALATER溶液(アンビオン)中に−80℃で保存した。或いは、マウスに4日間連続で0.5%CMC(0mg/kg/日)、0.5%CMC中の化合物A(7.5mg/mL)(30mg/kg/日)或いは0.5%CMC中の化合物A(25mg/mL)(100mg/kg/日)を投与して処理した。最終投与から4時間後、マウスを麻酔して殺し、約150mgの肝臓及び各腎臓を単離し、RNALATER溶液(アンビオン)中に−20℃で保存した。 RNAの単離は次のプロトコルを用いて行った。各器官の切片を角切りにし、875μLのRLTバッファー(RNEASYキット;キアゲン社、カリフォルニア州バレンシア)を添加し、得られた断片をロータ−ステータPOLYTRONホモジナイザー(キネマティカ社、オハイオ州シンシナティ)を用いて約20秒間ホモジナイズした。得られたホモジネートを3分間マイクロ遠沈して不溶性物質をペレット化し、上清を新しいチューブに移し、RNEASYキット(キアゲン)を用い、該メーカーの指示に従ってRNAを単離した。RNAを80μLの水に溶出し、RIBOGREEN試薬(モレキュラープローブ、オレゴン州ユージーン)を用いて定量した。260nm及び280nmにおける吸光度を測定し、RNAの純度及び濃度を求めた。 或いは、組織試料を角切りにし、TRIZOL試薬(インビトロジェンライフテクノロジー、カリフォルニア州カールズバッド)にてロータ−ステータPOLYTRONホモジナイザー(キネマティカ)を用いてホモジナイズした。ホモジネートを室温に戻し、0.2体積のクロロホルムを添加し、試料を激しく混合した。混合物を室温で数分間インキュベートした後、12,000g、4℃で15分間遠沈した。水相を回収し、0.5体積のイソプロパノールを添加した。試料を混合し、室温で10分間インキュベートし、12,000g、4℃で10分間遠沈した。上清を除去し、ペレットを75%EtOHで洗浄し、7,500g、4℃で5分間遠沈した。260nm及び280nmにおける吸光度を測定し、RNAの純度及び濃度を求めた。 0.3Mの酢酸ナトリウム(pH5.2)、50ng/mLのグリコーゲン、2.5体積のエタノールにRNAを−20℃で1時間沈殿させた。試料を遠沈し、ペレットを冷80%エタノールで洗浄し、乾燥した後、水に再懸濁させた。二本鎖cDNAの合成は、T7−(dT)24第一鎖プライマー(アフィメトリックス社、カリフォルニア州サンタクララ)及びSUPERSCRIPT CHOICEシステム(インビトロジェン)を用い、該メーカーの指示に従って行った。PHASE LOCK GELインサート(ブリンクマン社、ニューヨーク州ウエストベリー)を用い、同体積のフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(25:24:1)で最終cDNAを抽出した。水相を回収し、0.5体積の7.5M 酢酸アンモニウム及び2.5体積のエタノールを用いてcDNAを沈殿させた。或いは、GENECHIP試料浄化モジュール(アフィメトリックス)を用い、該メーカーの指示に従ってcDNAを精製した。 BIOARRAY High Yield RNA転写標識キット(エンゾ・ダイアグノスティックス社、ニューヨーク州ファーミングデール)を用い、該メーカーの指示に従って、in vitro翻訳(IVT)反応にてcDNAからビオチン標識cRNAを合成した。GENECHIP試料浄化モジュール(アフィメトリックス)を用い、該メーカーの指示に従って最終標識産物を精製、断片化した。 ハイブリダイゼーションカクテルの調製は、5μgのプローブを100μLの1×ハイブリダイゼーションバッファー(100mM MES、1M [Na+]、20mM EDTA、0.01% Tween20)、100μg/mLのニシン精子DNA、500μg/mLのアセチル化BSA、0.03nMの対照オリゴB2(アフィメトリックス)及び1×GENECHIP真核ハイブリダイゼーション対照(アフィメトリックス)に導入することによって行った。調製したカクテルを連続して、99℃で5分間、45℃で5分間インキュベートした後、5分間遠沈した。Murine Genome MOE430Aplus2アレイ(アフィメトリックス)を室温に戻した後、回転させながら、1×ハイブリダイゼーションバッファーを用いて45℃で10分間プレハイブリダイズした。次いで、バッファーを80μLのハイブリダイゼーションカクテルに交換し、カウンターバランスをとりながら、アレイを45℃、60rpmで16時間ハイブリダイズした。ハイブリダイゼーション後、アレイを6×SSPE、0.1%Tween20で1回洗浄した後、R−フィコエリスリン接合ストレプトアビジン(モレキュラープローブ、オレゴン州ユージーン)、ヤギ抗ストレプトアビジン抗体(ベクターラボラトリー、カリフォルニア州バーリンゲーム)、及びGENECHIP Fluidics Station400機器(アフィメトリックス)を用い、該メーカーのEukGE-WS2v4プロトコル(アフィメトリックス)に従って、洗浄及び染色した。GENEARRAYスキャナー(アフィメトリックス)及びMicroarray Suiteソフトウェア(アフィメトリックス)を用いてアレイを解析した。 Murine Genome MOE430Aplus2アレイ(アフィメトリックス)は、約14,000のよく特徴付けられたマウス遺伝子を含む、Murine UniGeneデータベース構築107(米国国立バイオテクノロジー情報センター、メリーランド州ベセスダ)の全ての配列を表す。 化合物A投与後のマウス腎臓におけるセルロプラスミンmRNAの発現を下の表3に示す。データは、対照未処理マウスで見られたデータの平均値に対して正規化した。 上の表3に示すデータから、本発明の方法及び化合物が、セルロプラスミン遺伝子の発現を増加させる上で有用であることが示された。フェロキシダーゼ−1としても知られるセルロプラスミンは、貯蔵部位から放出される還元鉄(フェリチン等)を酸化型へと変化させる。酸化された鉄は、その血漿輸送タンパク質であるトランスフェリンに結合することができる。セルロプラスミン欠乏は肝臓や他の組織への鉄の蓄積に関連する。セルロプラスミンによって肝臓からの鉄の流出が促進され、鉄欠乏細胞への鉄の流入が促進される証拠が示されている(例えば、トラン(Tran)ら(2002年)J Nutr 132:351-356参照)。 化合物A投与後のマウス肝臓におけるヘプシジンmRNAの発現を下の表4に示す。データは、対照未処理マウスで見られたデータに対して正規化した。 上の表4に示すように、化合物Aの投与によってマウス肝臓におけるヘプシジンmRNAの発現が抑制された。ヘプシジン発現の抑制は、細網内皮細胞からの鉄放出の増加及び腸内鉄吸収の増加に関連する。従って、本発明の方法及び化合物は、ヘプシジンの発現を抑制し腸内鉄吸収を増加させる上で有用である。 図6Aは、腎臓におけるトランスフェリンレセプターの相対発現レベル(灰色棒)、及び十二指腸鉄輸送体NRAMP2(自然抵抗性関連マクロファージタンパク質2)(Slc11a2(溶質キャリアファミリー11、プロトン結合二価金属イオン輸送体、メンバー2)としても知られ、或いはDCT1(二価カチオン輸送体1)、DMT1(二価金属輸送体1)と称される)の相対発現レベル(黒色棒)を示す。 他の実験においては、60mg/kgの化合物A、化合物B及び化合物CをマウスにIV投与して4時間後に採取した小腸からmRNAを単離した。5処理群のマウス2匹の各々からプローブを調製し、アフィメトリックスマウスMOE430Aplus2マイクロアレイ(マウス1匹/トレイ)にハイブリダイズした。処理マウスと未処理マウスのアレイから得たデータの統計的比較を行った。図6Bは、化合物A、化合物B及び化合物Cで処理したマウスの小腸におけるNRAMP2mRNAの相対発現レベルを示す。発現レベルは、対照、即ち、未処理マウスに対する各発現遺伝子の誘導倍数(fold-induction)として示す。これらの実験の結果から、本発明の方法及び化合物が、腸内でのNRAMP2の発現を増加させる上で有用であることが示された。更に、これらの結果から、本発明の方法及び化合物が、鉄吸収を増加させて、ヘム合成やヘモグロビン合成、赤血球産生、赤血球形成における鉄利用能を増加させる上で有用であることが示唆された。 図6Cは、媒体対照と比較した処理マウスにおける5−アミノレブリン酸シンターゼ(ALAS−2)発現の誘導倍数を示す。このデータから、プロリルヒドロキシラーゼ阻害剤で正常マウスを処理することによって、鉄代謝に関与する遺伝子(腸からの鉄吸収及びトランスフェリンレセプターによる周囲への鉄輸送に関与する遺伝子等)の発現が増加することが示された。このような遺伝子の発現は、投与から16時間後にはベースライン(対照)レベルに戻った。このデータからは、プロリルヒドロキシラーゼ阻害剤処理後の適応組織(indicated tissues)におけるALAS−2(即ち、ヘム合成経路の最初の酵素であり、ヘム合成の律速酵素)の協調的発現も示された。これらの結果を総合すると、本発明の化合物によって、鉄吸収や鉄輸送、ヘム合成を含む赤血球形成の促進に関与するタンパク質をコードする遺伝子の発現の増加が調整されることが分かった。 或いは、フローサイトメトリー解析を用いて、二重免疫染色末梢血単核細胞におけるマクロファージ細胞表面マーカーCD11c及びトランスフェリンレセプターのレベルを測定する。マクロファージ及びトランスフェリンレセプターの発現の増加を検出することによって化合物処理に対する活性が示される。また、血漿を回収し、市販のELISAキット(例えば、KomaBiotech(韓国)参照)を用いてトランスフェリンのレベルについて試験することもできる。 実施例18:in vivoでの赤血球形成の増強 赤血球形成に対する本発明の化合物投与の作用については次のように確認する。正常なマウスを貧血にし、TNF−αの慢性投与(即ち、TNF−αに対するEPO産生及びシグナル伝達の不足による赤血球形成の阻害が知られている投与計画)によって貧血状態を維持する。1〜4週間に亘って貧血を誘導した後、マウスにプロリルヒドロキシラーゼ阻害剤を投与する。BFU−E及びCFU−Eの産生について組織を試験し、組成について血液試料を解析する。有効性が明らかになる。 赤血球形成に対するプロリルヒドロキシラーゼ阻害剤投与の作用を検討する上では他の実験動物モデルが有用である。このモデルにおいては、トランスジェニックマウスが、TNF−αの構成的な過剰発現によって慢性疾患に伴う貧血を発症する。これらのマウスにおいて貧血が発症した後、各種投与戦略を用いてプロリルヒドロキシラーゼ阻害剤を様々な期間で投与した。次いで、組織及び血液試料を回収し解析した。上述のように、骨髄、脾臓及び末梢におけるBFU−E及びCFU−E数の増加、及び/又は血清ヘモグロビン、網状赤血球及びヘマトクリットの増加を示す結果から、トランスジェニックマウスにおけるTNF−α過剰産生に関連する貧血が本発明の方法及び化合物を用いたプロリルヒドロキシラーゼ阻害剤の投与によって治療されることが効果的に示される。 実施例19:血清鉄濃度の上昇 雄性ラット及び雌性ラットを、各種濃度(0、20、60或いは150mg/kg)の化合物Aで週に2回(月曜日と木曜日)、93日間処理した。総血清鉄濃度を求めた。 表5に示すように、化合物Aの投与によって、雄性ラット及び雌性ラットの両方において血清鉄濃度が上昇した(表5中のデータは血清鉄濃度±標準偏差で示す。*は未処理マウスの血清鉄濃度に対する有意差を示す)。これらの結果から、本発明の方法及び化合物が、血清鉄濃度を上昇させる上で有用であり、よって、鉄欠乏症に関連する障害を治療する上で有用であることが示された。 実施例20:慢性疾患に伴う貧血/赤血球形成低下/鉄代謝低下の動物モデルにおける有効性 慢性疾患に伴う貧血(ACD)は、関節炎や腫瘍性疾患、慢性炎症に伴う他の障害等の様々な炎症性病態に関連する。ACDのラットモデルを用い、慢性疾患に伴う貧血の治療に対する本発明の方法及び化合物を用いたHIF安定化の作用について検討した。この動物モデルにおいては、ペプチドグリカン−多糖ポリマーによってラットにACDを誘導する(例えば、サルトル(Sartor)ら(1989年)Infection and Immunity 57:1177-1185参照)。このモデルにおいて、ラットは初期段階で重症急性貧血を発症し、その後の段階で中程度の重症慢性小球性貧血となる。 ACDの動物モデル−実験シリーズ1: 約160gの雌性LewisラットにPG-PS 10S(リーラボラトリー、15μg/gm体重、腹腔内)をチャレンジした。PG-PS 10Sは、化膿連鎖球菌、A群、D58株の細胞壁から単離した精製ペプチドグリカン−多糖ポリマーを含有する。関節炎及び貧血を35日間進行させた。35日目に、全身麻酔(イソフルラン)下で血液試料(約400μL)を尾静脈から採取し、CBC及び網状赤血球を測定した(Quality Clinical Labsにより実施)。スパンヘマトクリットレベルが45%以上のラットは貧血ではないと考え、実験から除外した。 PG-PS注入後35日目に、貧血ラットに媒体のみを投与するか、或いは化合物A(60mg/kg、PO)で処理し、これを2週間(連続2日間/週)行った。自動化完全血球算定(CBC)を35日目(上述参照)、39日目、42日目及び49日目に行い、49日目に血清鉄濃度を測定した。網状赤血球数 図7に示すように、貧血ラットに化合物Aを投与することによって、39日目(即ち、化合物投与開始5日後)に網状赤血球数が増加した。対照(貧血でない)ラット及び貧血(PG-PS処理)ラットのそれぞれにおいて、赤血球中網状赤血球レベルは約2%、4%であった。しかし、化合物処理ラットにおいて、網状赤血球レベルは赤血球数の約10%であった。貧血ラットにおいて、化合物A処理によって網状赤血球数が増加した。従って、化合物AはACDのラット動物モデルにおいて赤血球形成を刺激した。ヘマトクリット 化合物Aで処理した貧血ラットにおいてヘマトクリットレベルは上昇した。貧血ラット(PG-PS処理)におけるヘマトクリットレベル(Quality Clinical LabsにてBaker 9000により測定)は、対照非貧血ラットの41%に対し、35%未満であった(図8参照)。貧血ラットに化合物Aを投与することによって、早くも化合物処理開始5日後にはヘマトクリットレベルが約37%まで上昇した。化合物Aの2回目の投与後、ヘマトクリットレベルは、対照非貧血ラットで見られたヘマトクリットレベルに匹敵する約40%まで上昇した。化合物Aにより、ACDのラットモデルを用いた貧血ラットにおいてヘマトクリットが増加した。従って、本発明の方法及び化合物は、ヘマトクリットを増加させ、慢性疾患に伴う貧血を治療する上で有用である。ヘモグロビン 化合物Aの投与により、貧血ラットにおけるヘモグロビンレベルも上昇した。図9に示すように、35日目には、対照非貧血ラットのヘモグロビンレベルは約15gm/dLであったが、PG-PS処理ラット(即ち、貧血ラット)のヘモグロビンレベルは約13gm/dLであった。図9に示すように、化合物Aにより、貧血ラットのヘモグロビンレベルは、早くも化合物投与5日後(39日目)には上昇した。ヘモグロビンレベルは49日目にも上昇したままで、対照非貧血ラットに匹敵するレベルに到達したが、これは、本発明の化合物によって貧血ラットのヘモグロビンレベルが正常レベルに回復したことを示す。これらの結果から、化合物Aにより、ACDのラットモデルを用いた貧血ラットにおいてヘモグロビンが増加したことが示された。従って、本発明の方法及び化合物は、ヘモグロビンを増加させ、慢性疾患に伴う貧血を治療する上で有用である。赤血球数 化合物Aの投与により、貧血ラットにおいて赤血球数が増加した。図10に示すように、化合物Aで処理した貧血ラットにおいては、未処理貧血ラットに対し、早くも化合物投与開始5日後(即ち、図10の39日目)には赤血球数が増加した。化合物Aにより、ACDのラットモデルを用いた貧血ラットにおいて赤血球数が増加した。従って、本発明の方法及び化合物は、赤血球数を増加させ、慢性疾患に伴う貧血を治療する上で有用である。平均赤血球容積 貧血ラットにおいては、非貧血の対照ラットに対して平均赤血球容積の低下が示された(図11参照)。化合物Aで処理した貧血ラットにおいては、未処理貧血ラットに対し、早くも処理5日後(図11の39日目)には平均赤血球容積の増加が示された。実験継続期間中、化合物処理ラットの平均赤血球容積は未処理貧血ラットに対し増加したままであった。これらの結果から、化合物Aによって、小赤血球症(即ち、小球症(microcythemia)、多くの小赤血球(様々な貧血の形態に関連する異常に小さな赤血球)が存在する症状)のレベルが改善(即ち、抑制)されたことが示された。従って、本発明の方法及び化合物は、慢性疾患に伴う貧血における小赤血球症を改善/抑制する。平均赤血球ヘモグロビン 貧血ラットにおいては、平均赤血球ヘモグロビンレベルの低下も示された。図12に示すように、貧血ラットを化合物Aで処理することによって、平均赤血球ヘモグロビンレベルが未処理貧血ラットで見られるレベルを超えて上昇した。これらの結果から、本発明の方法及び化合物が平均赤血球ヘモグロビンレベルを上昇させる上で有用であることが示された。 ACDの動物モデル−実験シリーズ2: 雌性Lewisラット(約150〜200gm)にPG-PSを注入した(腹腔内)。関節炎及び貧血を28日間進行させた。ラットに対する化合物Aの強制経口投与を6週間に亘り週に2回(月曜日と木曜日)行った(PG-PS注入から28日目、31日目、35日目、38日目、42日目、45日目、49日目、52日目、56日目、59日目、63日目、66日目及び70日目に相当)。 全血を尾静脈経由で回収し、28日目、42日目、56日目及び70日目にCBC解析を行った。更に、血清を70日目に回収し、鉄結合解析を行った。CBC解析及び鉄結合解析はQuality Clinical Labs(カリフォルニア州マウンテンビュー)によって実施した。ヘマトクリット PG-PSチャレンジ28日後、ラットにおいてヘマトクリットレベルが低下した。図13は、PG-PSを注入したラットが貧血であり、そのヘマトクリットが未チャレンジ(即ち、非貧血)ラットのヘマトクリットの85%であったことを示す(図13の0週目は、この実験プロトコルの28日目に相当する)。化合物A(40mg/kg)で処理した未チャレンジ(即ち、非貧血)ラットにおいては、未チャレンジ未処理ラットのヘマトクリットレベルの110%を超えるまでの経時的なヘマトクリットレベルの上昇が見られた。図13に示すように、貧血ラットに化合物Aを投与することによって、ヘマトクリットレベルが上昇した。ヘモグロビン 化合物Aの投与によって、貧血ラット及び非貧血ラットの両方においてヘモグロビンレベルが上昇した。図14に示すように、化合物A(40mg/kg)で処理した非貧血ラットのヘモグロビンレベルは、未処理対照ラットのヘモグロビンレベルの約110%まで上昇した(図14の0週目は、この実験プロトコルの28日目に相当する)。貧血ラットにおいては、化合物Aを週に2回投与(10mg/kg、20 mg/kg或いは40mg/kg)することによってヘモグロビンレベルが上昇した。ヘマトクリットレベルは少なくとも4週間上昇し続けた。赤血球数 貧血ラットにおいては、非貧血ラットに比べて赤血球数が低下した。具体的には、PG-PS注入28日後、貧血ラットの赤血球数は非貧血ラットで見られる赤血球数の90%未満であった。図15に示すように、化合物Aで処理した貧血ラットにおいては、未処理ラットに比べて赤血球数が増加した(図15の0週目は、この実験プロトコルの28日目に相当する)。化合物投与2週間後に赤血球数の増加が見られ、6週間の実験期間に亘って増加し続けた。平均赤血球容積 貧血ラットにおいては、非貧血(未チャレンジ)ラットに比べて平均赤血球容積の低下が示された。図16に示すように、PG-PSで処理したラットにおいて平均赤血球容積が経時的に低下し続けたが、これは、慢性疾患に伴う貧血の作用によって、小球性貧血(赤血球数の低下や赤血球の小型化によって部分的に特徴付けられる)が引き起こされ、鉄貯蔵分が利用不能になることによりヘモグロビンが産生できなくなることを示す(図16の0週目は、この実験プロトコルの28日目に相当する)。化合物Aを貧血ラットに投与することによって、平均赤血球容積の低下が抑制された。従って、本発明の化合物及び方法を用いたプロリルヒドロキシラーゼの阻害は、慢性疾患に伴う貧血や鉄欠乏症に伴う貧血に関連する平均赤血球容積の低下を抑制し、平均赤血球容積を回復させ、平均赤血球容積を維持する等において効果的であった。更に、このデータから、本発明の方法及び化合物がヘモグロビン産生に用いる貯蔵鉄の利用能を増加させる上で有用であることが示された。平均赤血球ヘモグロビン 貧血ラットにおいては、対照ラットに比べて平均赤血球ヘモグロビンレベルが低下したが、これは、慢性疾患に伴う貧血がヘモグロビン産生に影響を及ぼしていることを示す。図17に示すように、化合物Aを投与した貧血ラットにおいては、経時的に平均赤血球ヘモグロビンレベルの低下が抑制されることが示された(図17の0週目は、この実験プロトコルの28日目に相当する)。鉄状態−血清鉄及びトランスフェリン飽和度 慢性疾患に伴う貧血の患者は、血漿鉄濃度及びトランスフェリン飽和度の低下によって臨床的に特徴付けられる。正常動物及び貧血動物の血清鉄及びトランスフェリン飽和度に対する本発明の化合物の作用について確認した。慢性疾患に伴う貧血の動物モデルを用い、上述のようにペプチドグリカン−多糖ポリマーのIP注入によってラットに貧血を誘導した。関節炎及び貧血を28日間進行させた。次いで、ラットを各種濃度の化合物Aで週に2回、6週間処理した。血清鉄レベル及びトランスフェリン飽和度はQuality Clinical Labsによって求めた。 図18Aに示すように、貧血ラット(PG-PS)の血清鉄レベルは非貧血ラット(sham)に比べて低かった。化合物Aの投与によって、貧血(PG-PS)ラット及び非貧血対照(sham)ラットの両方において血清鉄レベルが上昇した。化合物Aで処理したラットにおいては、未処理非貧血ラット及び未処理貧血ラットに比べてトランスフェリン飽和度が上昇した(図18B参照)。これらの結果から、本発明の方法及び化合物が血清鉄レベル及びトランスフェリン飽和率を上昇させる上で有用であることが示された。鉄吸収 化合物Aを貧血ラットに投与(40mg/kg、週に2回)後6週目に、マイクロアレイ解析を行い、腸内での鉄輸送や鉄吸収に関与するタンパク質をコードする遺伝子の発現について検討した。上述の方法を用い、更にRat Genome 230Aアレイ(アフィメトリックス)を用いてマイクロアレイ解析を行った。Rat Genome 230Aアレイは、約4,699のよく特徴付けられたラット遺伝子、約10,467のEST配列、及び約700の非EST配列を含む、Rat Unigeneデータベース構築99(米国国立バイオテクノロジー情報センター、メリーランド州ベセスダ)の全ての配列を表す。 図19に示すように、化合物Aを対照ラットに投与することによって、NRAMP2(灰色の棒(open bars))及びスプラウチン(黒色の棒(solid bars))のmRNAの腸内発現が増加した。未処理貧血ラット(PG-PS)においては、NRAMP2及びスプラウチン両方のmRNA発現レベルは低下した。これらの結果から、慢性疾患に伴う貧血が、鉄吸収に関与するタンパク質の発現低下に関連することが示された。しかし、化合物Aで処理した貧血ラットにおいては、腸内でのNRAMP2及びスプラウチン両方の発現の増加が示された(図19)。これらの結果から、本発明の方法及び化合物が、鉄輸送や鉄吸収に関連する遺伝子の発現を増加させる上で有用であることが示された。更に、これらの結果から、本発明の化合物によって、健常な被験体及び慢性疾患を伴う貧血を有する被験体において鉄吸収や鉄輸送が増加することが示唆された。 実施例21:ヒト被験者における赤血球形成の増強 ヒト被験者における赤血球形成に対するプロリルヒドロキシラーゼ阻害の作用については次のように検討した。健常ヒトボランティアに対し化合物A(20mg/kg)を週に2回或いは3回で4週間経口投与した。化合物投与後、様々な時間で血液を採取し、EPO、ヘモグロビン、ヘマトクリット、赤血球数、可溶性トランスフェリンレセプター、及び血清フェリチン濃度について解析した。網状赤血球数 図20に示すように、化合物Aをヒト被験者に投与すると網状赤血球数がプラセボ対照の網状赤血球数を超えて増加した。網状赤血球数の増加は、化合物を週に2回或いは3回投与した被験者において見られた。網状赤血球レベルは、化合物未処理個体においては赤血球の約1.4%であったのに比べ、化合物処理個体では赤血球の約1.7%を超えて上昇した。化合物Aの投与により、ヒト被験者において網状赤血球数が増加した。従って、本発明の方法及び化合物は赤血球形成を増強し、網状赤血球レベルを上昇させる上で有用である。ヘマトクリット 化合物Aで処理したヒト被験者においてヘマトクリットレベルが上昇した。プラセボ対照被験者のヘマトクリットレベルが約44%であったのに比べ、化合物Aを週に2回、3週間投与したヒト被験者のヘマトクリットレベルは46%を超えた。化合物Aにより、ヒト被験者においてヘマトクリットが増加した。従って、本発明の化合物及び方法は、赤血球形成を増強し、ヘマトクリットを増加させる上で有用である。赤血球数 化合物Aの投与により、ヒト被験者において赤血球数が増加した。図21に示すように、20mg/kgの化合物Aで週に2回或いは週に3回処理したヒト被験者においては、未処理プラセボ対照被験者に比べて赤血球数が増加した。これらのデータから、本発明の方法及び化合物が、赤血球形成を増強し、赤血球数を増加させる上で有用であることが示された。鉄状態−可溶性トランスフェリンレセプター及び血清フェリチン 上に示す結果から、本発明の方法及び化合物が、ヒト被験者において網状赤血球数、赤血球、ヘモグロビン及びヘマトクリットを増加させるのに有効であることが示された。図22に示すように、化合物Aをヒト被験者に投与することによって、可溶性トランスフェリンレセプターレベルが未処理対照被験者で見られるレベルを超えて上昇した。可溶性トランスフェリンレベルの上昇は、週に2回或いは3回処理したヒト被験者において見られた。週に2回及び3回で処理した患者において21日目に見られた最大応答はそれぞれ35%、31%であった。プラセボ患者におけるsTfRの平均血漿濃度は変化しなかった。また、化合物Aで処理したヒト被験者における血清フェリチン濃度は約46%低下したが、これは、この被験者において鉄利用が増加したことを示す(図23参照)。 総合すると、これらのデータから、本発明の化合物及び方法を用いたHIF安定化によって、鉄貯蔵分の動員が増加し、骨髄への鉄輸送が増加し、ヘモグロビン合成、赤血球形成及び赤血球産生への鉄利用が増加したことが示された。 本明細書に示され記載されたもの以外の本発明の様々な変更については、上述の説明から当業者には明らかになるであろう。このような変更は添付クレームの範囲内であるものとする。 本明細書に引用した参考文献は全て、その全内容を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。 被験体において赤血球形成の増強或いは完全な赤血球形成を誘導するための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体において赤血球形成の増強或いは完全な赤血球形成を誘導することを含む方法。 慢性疾患を有しているか或いはその危険性がある被験体において赤血球形成を増強するためのものである、請求項1に記載の方法。 前記慢性疾患は、炎症、感染症、免疫不全障害及び腫瘍性障害から成る群から選択される、請求項2に記載の方法。 慢性疾患に伴う貧血を有しているか或いはその危険性がある被験体において赤血球形成を増強するためのものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。 エリスロポエチン抵抗性を有する被験体において赤血球形成を増強するためのものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。 鉄欠乏症を有しているか或いはその危険性がある被験体において赤血球形成を増強するためのものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。 前記鉄欠乏症は機能性鉄欠乏症である、請求項6に記載の方法。 エリスロポエチン、鉄及びBビタミン類から成る群から選択される少なくとも一種の補助剤を投与することを更に含む、先の請求項のいずれかに記載の方法。 前記被験体において鉄代謝或いは鉄代謝プロセスを調節するか或いは増強する、先の請求項のいずれかに記載の方法。 前記鉄代謝プロセスは、鉄摂取、鉄吸収、鉄輸送、鉄貯蔵、鉄処理、鉄動員及び鉄利用から成る群から選択される、請求項9に記載の方法。 前記被験体において鉄摂取を増加させる、請求項10に記載の方法。 前記被験体において鉄吸収を増加させる、請求項10に記載の方法。 前記鉄吸収は腸内で生じる、請求項12に記載の方法。 前記鉄吸収は食事に含まれる鉄(dietary iron)の吸収である、請求項12に記載の方法。 前記鉄吸収は十二指腸細胞内で生じる、請求項12に記載の方法。 前記被験体において鉄輸送を増加させる、請求項10に記載の方法。 前記被験体において鉄貯蔵を増加させる、請求項10に記載の方法。 前記被験体において鉄処理を増加させる、請求項10に記載の方法。 前記被験体において鉄動員を増加させる、請求項10に記載の方法。 前記被験体において鉄利用を増加させる、請求項10に記載の方法。 前記被験体において赤血球形成のための鉄利用能を増加させる、先の請求項のいずれかに記載の方法。 赤血球形成のための鉄利用能の増加は、ヘム合成のための鉄利用能の増加である、請求項21に記載の方法。 赤血球形成のための鉄利用能の増加は、ヘモグロビン産生のための鉄利用能の増加である、請求項21に記載の方法。 赤血球形成のための鉄利用能の増加は、赤血球産生のための鉄利用能の増加である、請求項21に記載の方法。 前記被験体においてトランスフェリンレセプターの発現を増加させる、先の請求項のいずれかに記載の方法。 前記被験体においてトランスフェリンの発現を増加させる、先の請求項のいずれかに記載の方法。 前記被験体においてセルロプラスミンの発現を増加させる、先の請求項のいずれかに記載の方法。 前記被験体においてNRAMP2(slc11a2)の発現を増加させる、先の請求項のいずれかに記載の方法。 前記被験体において十二指腸シトクロムbレダクターゼ1の発現を増加させる、先の請求項のいずれかに記載の方法。 前記被験体において5−アミノレブリン酸シンターゼの発現を増加させる、先の請求項のいずれかに記載の方法。 前記被験体においてサイトカイン誘導による赤血球形成の低下を克服するか或いは改善する、先の請求項のいずれかに記載の方法。 サイトカイン誘導による赤血球形成の低下はエリスロポエチン産生の抑制である、請求項31に記載の方法。 サイトカイン誘導による赤血球形成の低下は鉄代謝の低下である、請求項31に記載の方法。 前記サイトカインは炎症性サイトカインである、請求項31〜33のいずれかに記載の方法。 前記サイトカインは、TNF−α、IL−1β及びIFN−γから成る群から選択される、請求項34に記載の方法。 被験体における鉄欠乏症を治療或いは予防するための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体における鉄欠乏症を治療或いは予防することを含む方法。 前記鉄欠乏症は貧血を伴う、請求項36に記載の方法。 前記鉄欠乏症は、炎症、感染症、免疫不全障害及び腫瘍性障害から成る群から選択される障害を伴う、請求項36又は請求項37に記載の方法。 前記鉄欠乏症は機能性鉄欠乏症である、請求項36〜38のいずれかに記載の方法。 前記被験体において血清鉄を増加させる、請求項36〜39のいずれかに記載の方法。 前記被験体においてトランスフェリン飽和度を上昇させる、請求項36〜40のいずれかに記載の方法。 前記被験体において可溶性トランスフェリンレセプターレベルを上昇させる、請求項36〜41のいずれかに記載の方法。 前記被験体においてヘプシジンの発現を抑制する、請求項36〜42のいずれかに記載の方法。 前記被験体において網状赤血球を増加させる、請求項36〜43のいずれかに記載の方法。 前記被験体においてヘマトクリットを増加させる、請求項36〜44のいずれかに記載の方法。 前記被験体においてヘモグロビンを増加させる、請求項36〜45のいずれかに記載の方法。 前記被験体において赤血球数を増加させる、請求項36〜46のいずれかに記載の方法。 前記被験体において平均赤血球容積を増加させる、請求項36〜47のいずれかに記載の方法。 前記被験体において平均赤血球ヘモグロビンを増加させる、請求項36〜48のいずれかに記載の方法。 前記被験体において血清鉄を増加させる、請求項36〜49のいずれかに記載の方法。 前記被験体においてトランスフェリン飽和度を上昇させる、請求項36〜50のいずれかに記載の方法。 エリスロポエチン、鉄及びBビタミン類から成る群から選択される少なくとも一種の補助剤の有効量を前記被験体に投与することを更に含む、請求項36〜51のいずれかに記載の方法。 被験体における鉄欠乏症に関連する障害を治療或いは予防するための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体における鉄欠乏症に関連する障害を治療或いは予防することを含む方法。 前記鉄欠乏症は機能性鉄欠乏症である、請求項53に記載の方法。 前記障害は、炎症、感染症、免疫不全障害及び腫瘍性障害から成る群から選択される、請求項53に記載の方法。 前記障害は、慢性疾患に伴う貧血、鉄欠乏性貧血及び小球性貧血から成る群から選択される、請求項53に記載の方法。 被験体におけるサイトカイン活性に関連する障害を治療或いは予防するための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、サイトカイン活性に関連する障害を治療或いは予防することを含む方法。 前記障害は、鉄欠乏症、機能性鉄欠乏症、鉄欠乏性貧血、慢性疾患に伴う貧血、及び小球性貧血から成る群から選択される、請求項57に記載の方法。 前記障害は、炎症、感染症、免疫不全障害及び腫瘍性障害から成る群から選択される病態に関連する、請求項57に記載の方法。 サイトカイン誘導によるVCAM−1発現或いはE−セレクチン発現の増加を克服或いは改善する、請求項57〜59のいずれかに記載の方法。 被験体においてサイトカインの存在下でエリスロポエチン産生を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体においてエリスロポエチン産生を増加させることを含む方法。 被験体における慢性疾患に伴う貧血を治療或いは予防するための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体における慢性疾患に伴う貧血を治療或いは予防することを含む方法。 エリスロポエチン、鉄及びBビタミン類から成る群から選択される少なくとも一種の補助剤の有効量を前記被験体に投与することを更に含む、請求項62に記載の方法。 被験体における小赤血球症を治療或いは予防するための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、被験体における小赤血球症を治療或いは予防することを含む方法。 前記小赤血球症は、慢性疾患、慢性疾患に伴う貧血、鉄欠乏症、機能性鉄欠乏症、及び鉄欠乏性貧血から成る群から選択される障害に関連する、請求項64に記載の方法。 HIFαを安定化させる化合物の使用であって、被験体において赤血球形成の増強或いは完全な赤血球形成を誘導するため、鉄欠乏症に関連する障害の治療或いは予防のため、鉄代謝或いは鉄代謝プロセスを調節或いは増強するため、被験体において鉄吸収を増加させるため、被験体において鉄輸送を増加させるため、被験体において鉄貯蔵を増加させるため、被験体において鉄摂取を増加させるため、被験体において鉄処理を増加させるため、被験体において鉄動員を増加させるため、被験体において鉄利用を増加させるため、被験体において赤血球形成のための鉄利用能を増加させるため、被験体においてトランスフェリンレセプターの発現を増加させるため、被験体においてトランスフェリンの発現を増加させるため、被験体においてセルロプラスミンの発現を増加させるため、被験体においてNRAMP2(slc11a2)の発現を増加させるため、被験体において十二指腸シトクロムbレダクターゼ1の発現を増加させるため、被験体において5−アミノレブリン酸シンターゼの発現を増加させるため、被験体において血清鉄を増加させるため、被験体においてトランスフェリン飽和度を上昇させるため、被験体において可溶性トランスフェリンレセプターレベルを上昇させるため、被験体においてヘプシジンの発現を抑制するため、鉄欠乏症を有しているか或いはその危険性がある被験体において赤血球形成を増強するため、慢性疾患を有しているか或いはその危険性がある被験体において赤血球形成を増強するため、慢性疾患に伴う貧血を有しているか或いはその危険性がある被験体において赤血球形成を増強するため、エリスロポエチン療法に耐性を示す被験体において赤血球形成を増強するため、被験体において網状赤血球を増加させるため、被験体においてヘマトクリットを増加させるため、被験体においてヘモグロビンを増加させるため、被験体において赤血球数を増加させるため、被験体において平均赤血球容積を増加させるため、被験体において平均赤血球ヘモグロビンを増加させるため、被験体において血清鉄を増加させるため、被験体においてトランスフェリン飽和度を上昇させるため、被験体においてサイトカイン誘導による赤血球形成の低下を克服或いは改善するため、被験体においてサイトカイン誘導によるVCAM−1発現の増加を克服或いは改善するため、被験体においてサイトカイン誘導によるE−セレクチン発現の増加を克服或いは改善するため、被験体におけるサイトカイン活性に関連する障害を治療或いは予防するため、被験体においてサイトカインの存在下でエリスロポエチン産生を増加させるため、被験体における小赤血球症を治療或いは予防するため、被験体における鉄欠乏症を治療或いは予防するため、或いは被験体における慢性疾患に伴う貧血を治療或いは予防するための薬剤の製造における該化合物の使用。 鉄欠乏症に関連する障害は、貧血、慢性疾患に伴う貧血、鉄欠乏性貧血、或いは小球性貧血である、請求項66に記載の使用。 鉄欠乏症に関連する障害或いは慢性疾患は、炎症、感染症、免疫不全障害及び腫瘍性障害から成る群から選択されるか、又は、慢性疾患に伴う貧血或いはサイトカイン活性に関連する障害は、炎症、感染症、免疫不全障害及び腫瘍性障害から成る群から選択される病態に関連する、請求項64に記載の使用。 前記鉄欠乏症は機能性鉄欠乏症である、請求項66〜68のいずれかに記載の使用。 前記鉄代謝プロセスは、鉄摂取、鉄吸収、鉄輸送、鉄貯蔵、鉄処理、鉄動員及び鉄利用から成る群から選択される、請求項66に記載の使用。 前記鉄吸収は腸内で生じる、請求項70に記載の使用。 前記鉄吸収は食事に含まれる鉄(dietary iron)の吸収である、請求項70に記載の使用。 前記鉄吸収は十二指腸細胞内で生じる、請求項70に記載の使用。 赤血球形成のための鉄利用能の増加は、ヘム合成のための鉄利用能の増加である、請求項66に記載の使用。 赤血球形成のための鉄利用能の増加は、ヘモグロビン産生のための鉄利用能の増加である、請求項66に記載の使用。 赤血球形成のための鉄利用能の増加は、赤血球産生のための鉄利用能の増加である、請求項66に記載の使用。 前記薬剤は、エリスロポエチン、鉄及びBビタミン類から成る群から選択される少なくとも一種の補助剤を更に含む、請求項66〜76のいずれかに記載の使用。 前記薬剤は、エリスロポエチン、鉄及びBビタミン類から成る群から選択される少なくとも一種の補助剤と同時に適用するか、別々に適用するか、或いは逐次的に適用するためのものである、請求項66〜76のいずれかに記載の使用。 サイトカイン誘導による赤血球形成の低下はエリスロポエチン産生の抑制である、請求項66に記載の使用。 サイトカイン誘導による赤血球形成の低下は鉄代謝の低下である、請求項66に記載の使用。 前記サイトカインは炎症性サイトカインである、請求項66、79及び80のいずれかに記載の使用。 前記サイトカインは、TNF−α、IL−1β及びIFN−γから成る群から選択される、請求項66及び79〜81のいずれかに記載の使用。 サイトカイン活性に関連する障害は、鉄欠乏症、機能性鉄欠乏症、鉄欠乏性貧血、慢性疾患に伴う貧血、及び小球性貧血から成る群から選択される、請求項66に記載の使用。 前記小赤血球症は、慢性疾患、慢性疾患に伴う貧血、鉄欠乏症、機能性鉄欠乏症、及び鉄欠乏性貧血から成る群から選択される障害に関連する、請求項66に記載の使用。 前記治療は、サイトカインレベルが上昇した患者に対して行われる、請求項66〜84のいずれかに記載の使用。 前記サイトカインは炎症性サイトカインである、請求項85に記載の使用。 前記サイトカインは、TNF−α、IL−1β及びIFNγから成る群から選択される、請求項86に記載の使用。 前記治療は、EPO抵抗性を有する患者に対するものである、請求項66〜87のいずれかに記載の使用。 HIFαを安定化させる化合物と、エリスロポエチン、鉄及びBビタミン類から成る群から選択される少なくとも一種の補助剤とを含むキット。 HIFαを安定化させる化合物と、エリスロポエチン、鉄及びBビタミン類から成る群から選択される少なくとも一種の補助剤とを含む医薬組成物。 【課題】赤血球形成や鉄代謝を調節或いは増強するための方法及び化合物、更には、慢性疾患に伴う貧血や鉄欠乏症を治療或いは予防するための方法及び化合物を提供すること。【解決手段】本発明は、被験体において赤血球形成の増強或いは完全な赤血球形成を誘導するための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体において赤血球形成の増強或いは完全な赤血球形成を誘導することを含む方法。【選択図】 なし20101217A16333全文3 被験体における貧血を治療するための薬剤であって、該薬剤はHIFαを安定化させる化合物を含み、該化合物はHIFプロリルヒドロキシラーゼの阻害剤であり且つ2−オキソグルタレートの構造模倣物であり、前記被験体のトランスフェリン飽和率が20%未満、16%未満、15%未満、若しくは10%未満である、貧血を治療するための薬剤。 慢性疾患に伴う貧血を治療するための、請求項1に記載の薬剤。 被験体の血清フェリチン濃度が、200ng/mLを超える、300ng/mLを超える、或いは400ng/mLを超える、請求項1又は2に記載の薬剤。 被験体の血清フェリチン濃度が、200ng/mLを下回る、150ng/mLを下回る、100ng/mLを下回る、或いは50ng/mLを下回る、請求項1又は2に記載の薬剤。 被験体において鉄吸収を増加させるための薬剤であって、該薬剤はHIFαを安定化させる化合物を含み、該化合物はHIFプロリルヒドロキシラーゼの阻害剤であり且つ2−オキソグルタレートの構造模倣物である、鉄吸収を増加させるための薬剤。 前記吸収が腸内で生じる、請求項5に記載の薬剤。 前記吸収が食事に含まれる鉄の吸収である、請求項5又は6に記載の薬剤。 前記鉄吸収は十二指腸細胞内で生じる、請求項5に記載の薬剤。 貧血、慢性疾患に伴う貧血、鉄欠乏症、若しくは機能性鉄欠乏症の治療のための、請求項5〜8のいずれか1項に記載の薬剤。 被験体において血清鉄濃度を上げるための薬剤であって、該薬剤はHIFαを安定化させる化合物を含み、該化合物はHIFプロリルヒドロキシラーゼの阻害剤であり且つ2−オキソグルタレートの構造模倣物である、血清鉄濃度を上げるための薬剤。 貧血、慢性疾患に伴う貧血、鉄欠乏症、若しくは機能性鉄欠乏症の治療のための、請求項10に記載の薬剤。 前記薬剤は、エリスロポエチン、鉄及びBビタミン類から成る群から選択される少なくとも一種の補助剤を更に含む、請求項5〜11のいずれか1項に記載の薬剤。 前記薬剤は、エリスロポエチン、鉄及びBビタミン類から成る群から選択される少なくとも一種の補助剤と同時に適用するか、別々に適用するか、或いは逐次的に適用するためのものである、請求項5〜11のいずれか1項に記載の薬剤。 前記治療は、サイトカインレベルが上昇した患者に対して行われる、請求項5〜13のいずれか1項に記載の薬剤。 前記サイトカインは炎症性サイトカインである、請求項14に記載の薬剤。 前記サイトカインは、TNF−α、IL−1β及びIFN−γから成る群から選択される、請求項15に記載の薬剤。 前記治療は、EPO抵抗性を有する患者に対するものである、請求項5〜16のいずれか1項に記載の薬剤。 新しい赤血球の産生に利用できる鉄の量を増加させるための、請求項1〜17のいずれか1項に記載の薬剤。 前記2−オキソグルタレート構造模倣物が、式I、式Ia或いは式Ibの複素環カルボニルグリシンである、請求項1〜18のいずれか1項に記載の薬剤:(式中、Aは1,2−アリーリデン、1,3−アリーリデン、1,4−アリーリデン、或いは(C1−C4)−アルキレンであって、これらは1個或いは2個のハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−ヒドロキシアルキル、(C1−C6)−アルコキシ、−O−[CH2]x−CfH(2f+1-g)Halg、(C1−C6)−フルオロアルコキシ、(C1−C8)−フルオロアルケニルオキシ、(C1−C8)−フルオロアルキニルオキシ、−OCF2Cl、−O−CF2−CHFClで任意に置換されていてもよく、(C1−C6)−アルキルメルカプト、(C1−C6)−アルキルスルフィニル、(C1−C6)−アルキルスルホニル、(C1−C6)−アルキルカルボニル、(C1−C6)−アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−(C1−C4)−アルキルカルバモイル、N,N−ジ−(C1−C4)−アルキルカルバモイル、(C1−C6)−アルキルカルボニルオキシ、(C3−C8)−シクロアルキル、フェニル、ベンジル、フェノキシ、ベンジルオキシ、アニリノ、N−メチルアニリノ、フェニルメルカプト、フェニルスルホニル、フェニルスルフィニル、スルファモイル、N−(C1−C4)−アルキルスルファモイル、N,N−ジ−(C1−C4)−アルキルスルファモイルで任意に置換されていてもよく、或いは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルコキシ、−O−[CH2]x−CfH(2f+1-g)Halg、−OCF2Cl、−O−CF2−CHFCl、(C1−C6)−アルキルメルカプト、(C1−C6)−アルキルスルフィニル、(C1−C6)−アルキルスルホニル、(C1−C6)−アルキルカルボニル、(C1−C6)−アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−(C1−C4)−アルキルカルバモイル、N,N−ジ−(C1−C4)−アルキルカルバモイル、(C1−C6)−アルキルカルボニルオキシ、(C3−C8)−シクロアルキル、スルファモイル、N−(C1−C4)−アルキルスルファモイル、N,N−ジ−(C1−C4)−アルキルスルファモイルから選択される1〜5個の同一或いは異なる置換基をアリール部分に有する置換(C6−C12)−アリールオキシ、(C7−C11)−アラルキルオキシ、(C6−C12)−アリール、(C7−C11)−アラルキル基で任意に置換されていてもよく;又は式中、Aは−CR5R6であり、R5及びR6は各々独立して、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、アリール、或いはα−アミノ酸のα炭素原子の置換基(該アミノ酸は天然L−アミノ酸或いはそのD異性体)から選択される。 Bは、−CO2H、−NH2、−NHSO2CF3、テトラゾリル、イミダゾリル、3−ヒドロキシイソキサゾリル、−CONHCOR'''、−CONHSOR'''、CONHSO2R'''であり、R'''はアリール、ヘテロアリール、(C3−C7)−シクロアルキル、或いは(C1−C4)−アルキルであって、これらは(C6−C12)−アリール、ヘテロアリール、OH、SH、(C1−C4)−アルキル、(C1−C4)−アルコキシ、(C1−C4)−チオアルキル、(C1−C4)−スルフィニル、(C1−C4)−スルホニル、CF3、Cl、Br、F、I、NO2、−COOH、(C2−C5)−アルコキシカルボニル、NH2、モノ−(C1−C4−アルキル)−アミノ、ジ−(C1−C4−アルキル)−アミノ、或いは(C1−C4)−パーフルオロアルキルによって任意に一置換されていてもよく;又は式中、BはCO2−Gカルボキシル基であり、GはアルコールG−OHを構成する基であって、Gは、(C1−C20)−アルキル基、(C3−C8)シクロアルキル基、(C2−C20)−アルケニル基、(C3−C8)−シクロアルケニル基、レチニル基、(C2−C20)−アルキニル基、(C4−C20)−アルケニニル基(ここで、該アルケニル、該シクロアルケニル、該アルキニル、及び該アルケニニル基は1以上の多重結合を含む)、(C6−C16)−炭素環アリール基、(C7−C16)−炭素環アラルキル基、ヘテロアリール基、或いはヘテロアラルキル基(ここで、ヘテロアリール基或いはヘテロアラルキル基のヘテロアリール部分は5個或いは6個の環原子を含む)から選択され、Gで表される基は、1以上のヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、ニトロ、カルボキシル、(C1−C12)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキル、(C5−C8)−シクロアルケニル、(C6−C12)−アリール、(C7−C16)−アラルキル、(C2−C12)−アルケニル、(C2−C12)−アルキニル、(C1−C12)−アルコキシ、(C1−C12)− アルコキシ−(C1−C12)−アルキル、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシ、(C6−C12)−アリールオキシ、(C7−C16)−アラルキルオキシ、(C1−C8)−ヒドロキシアルキル、−O−[CH2]x−CfH(2f+l-g)−Fg、−OCF2Cl、−OCF2−CHFCl、(C1−C12)−アルキルカルボニル、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニル、(C6−C12)−アリールカルボニル、(C7−C16)−アラルキルカルボニル、シンナモイル、(C2−C12)−アルケニルカルボニル、(C2−C12)−アルキニルカルボニル、(C1−C12)−アルコキシカルボニル、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシカルボニル、(C6−C12)−アリールオキシカルボニル、(C7−C16)−アラルコキシカルボニル、(C3−C8)−シクロアルコキシカルボニル、(C2−C12)−アルケニルオキシカルボニル、(C2−C12)−アルキニルオキシカルボニル、アシルオキシ、(C1−C12)−アルコキシカルボニルオキシ、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシカルボニルオキシ、(C6−C12)−アリールオキシカルボニルオキシ、(C7−C16)アラルキルオキシカルボニルオキシ、(C3−C8)−シクロアルコキシカルボニルオキシ、(C2−C12)−アルケニルオキシカルボニルオキシ、(C2−C12)−アルキニルオキシカルボニルオキシ、カルバモイル、N−(C1−C12)−アルキルカルバモイル、N,N−ジ(C1−C12)−アルキルカルバモイル、N−(C3−C8)−シクロアルキル−カルバモイル、N−(C6−C16)−アリールカルバモイル、N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C6−C16)−アリールカルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイル、N−((C1−C10)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)アルキル)−カルバモイル、N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C1−C10)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C6−C16)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、カルバモイルオキシ、N−(C1−C12)−アルキルカルバモイルオキシ、N,N−ジ−(C1−C12)−アルキルカルバモイルオキシ、N−(C3−C8)−シクロアルキルカルバモイルオキシ、N−(C6−C12)−アリールカルバモイルオキシ、N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C6−C12)−アリールカルバモイルオキシ、N(C1−C10)−アルキル−N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイルオキシ、N−((C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C1−C10)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、アミノ、(C1−C12)−アルキルアミノ、ジ−(C1−C12)−アルキルアミノ、(C3−C8)−シクロアルキルアミノ、(C2−C12)−アルケニルアミノ、(C2−C12)−アルキニルアミノ、N−(C6−C12)−アリールアミノ、N−(C−C11)−アラルキルアミノ、N−アルキル−アラルキルアミノ、N−アルキル−アリールアミノ、(C1−C12)−アルコキシアミノ、(C1−C12)−アルコキシ−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C1−C12)−アルキルカルボニルアミノ、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニルアミノ、(C6−C12)アリールカルボニルアミノ、(C7−C16)−アラルキルカルボニルアミノ、(C1−C12)−アルキルカルボニル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C6−C12)−アリールカルボニル−N−(C1−C10)アルキルアミノ、(C7−C11)−アラルキルカルボニル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C1−C12)−アルキルカルボニルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニルアミノ−(C1−C8)アルキル、(C6−C12)−アリールカルボニルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C7−C12)−アラルキルカルボニルアミノ(C1−C8)−アルキル、アミノ−(C1−C10)−アルキル、N−(C1−C10)アルキルアミノ−(C1−C10)−アルキル、N,N,−ジ−(C1−C10)−アルキルアミノ−(C1−C10)−アルキル、(C3−C8)シクロアルキルアミノ−(C1−C10)−アルキル、(C1−C12)−アルキルメルカプト、(C1−C12)−アルキルスルフィニル、(C1−C12)−アルキルスルホニル、(C6−C16)−アリールメルカプト、(C6−C16)−アリールスルフィニル、(C6−C12)−アリールスルホニル、(C7−C16)−アラルキルメルカプト、(C7−C16)−アラルキルスルフィニル、(C7−C16)−アラルキルスルホニル、スルファモイル、N−(C1−C10)−アルキルスルファモイル、N,N−ジ(C1−C10)−アルキルスルファモイル、(C3−C8)−シクロアルキルスルファモイル、N−(C6−C12)−アルキルスルファモイル、N−(C7−C16)−アラルキルスルファモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C6−C12)−アリールスルファモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C7−C16)−アラルキルスルファモイル、(C1−C10)−アルキルスルホンアミド、N−((C1−C10)−アルキル)−(C1−C10)−アルキルスルホンアミド、(C7−C16)−アラルキルスルホンアミド、或いはN−((C1−C10)−アルキル−(C7−C16)−アラルキルスルホンアミドで置換されており、アリール基或いはアリール部分を含む基は、アリール上で、1〜5個の同一或いは異なるヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、ニトロ、カルボキシル、(C1−C12)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキル、(C6−C12)−アリール、(C7−C16)−アラルキル、(C1−C12)−アルコキシ、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)アルキル、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)アルコキシ、(C6−C12)−アリールオキシ、(C7−C16)−アラルキルオキシ、(C1−C8)−ヒドロキシアルキル、(C1−C12)−アルキルカルボニル、(C3−C8)−シクロアルキル−カルボニル、(C6−C12)−アリールカルボニル、(C7−C16)アラルキルカルボニル、(C1−C12)−アルコキシカルボニル、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシカルボニル、(C6−C12)−アリールオキシカルボニル、(C7−C16)−アラルコキシカルボニル、(C3−C8)−シクロアルコキシカルボニル、(C2−C12)−アルケニルオキシカルボニル、(C2−C12)−アルキニルオキシカルボニル、(C1−C12)−アルキルカルボニルオキシ、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニルオキシ、(C6−C12)−アリールカルボニルオキシ、(C7−C16)−アラルキルカルボニルオキシ、シンナモイルオキシ、(C2−C12)−アルケニルカルボニルオキシ、(C2−C12)−アルキニルカルボニルオキシ、(C1−C12)−アルコキシカルボニルオキシ、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシカルボニルオキシ、(C6−C12)−アリールオキシカルボニルオキシ、(C7−C16)−アラルキルオキシカルボニルオキシ、(C3−C8)−シクロアルコキシカルボニルオキシ、(C2−C12)−アルケニルオキシカルボニルオキシ、(C2−C12)−アルキニルオキシカルボニルオキシ、カルバモイル、N−(C1−C12)−アルキルカルバモイル、N,N−ジ−(C1−C12)−アルキルカルバモイル、N−(C3−C8)−シクロアルキルカルバモイル、N−(C6−C12)−アリールカルバモイル、N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C6−C12)−アリールカルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイル、N−((C1−C10)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C1−C10)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、カルバモイルオキシ、N−(C1−C12)−アルキルカルバモイルオキシ、N,N−ジ−(C1−C12)−アルキルカルバモイルオキシ、N−(C3−C8)−シクロアルキルカルバモイルオキシ、N−(C6−C12)−アリールカルバモイルオキシ、N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C6−C12)−アリールカルバモイルオキシ、N(C1−C10)−アルキル−N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイルオキシ、N−((C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C1−C10)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、アミノ、(C1−C12)−アルキルアミノ、ジ−(C1−C12)−アルキルアミノ、(C3−C8)−シクロアルキルアミノ、(C3−C12)−アルケニルアミノ、(C3−C12)−アルキニルアミノ、N−(C6−C12)−アリールアミノ、N−(C7−C11)−アラルキルアミノ、N−アルキルアラルキルアミノ、N−アルキル−アリールアミノ、(C1−C12)−アルコキシアミノ、(C1−C12)−アルコキシ−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C1−C12)−アルキルカルボニルアミノ、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニルアミノ、(C6−C12)−アリールカルボニルアミノ、(C7−C16)−アルキルカルボニルアミノ、(C1−C12)−アルキルカルボニル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C6−C12)−アリールカルボニル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C7−C11)−アラルキルカルボニル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C1−C12)−アルキルカルボニルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アリールカルボニルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C7−C16)−アラルキルカルボニルアミノ−(C1−C8)−アルキル、アミノ−(C1−C10)−アルキル、N−(C1−C10)−アルキルアミノ−(C1−C10)アルキル、N,N−ジ−(C1−C10)−アルキルアミノ−(C1−C10)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキルアミノ−(C1−C10)−アルキル、(C1−C12)−アルキルメルカプト、(C1−C12)−アルキルスルフィニル、(C1−C12)−アルキルスルホニル、(C6−C12)−アリールメルカプト、(C6−C12)−アリールスルフィニル、(C6−C12)−アリールスルホニル、(C7−C16)−アラルキルメルカプト、(C7−C16)−アラルキルスルフィニル、或いは(C7−C16)−アラルキルスルホニルで置換されていてもよく; XはO或いはSであり; QはO、S、NR’、或いは結合であり; 式中、Qが結合の場合、R4はハロゲン、ニトリル、或いはトリフルオロメチルであり; 又は式中、QがO、S、或いはNR’の場合、R4は水素、(C1−C10)−アルキル基、(C2−C10)−アルケニル基、(C2−C10)−アルキニル基(ここで、アルケニル基或いはアルキニル基は1個或いは2個のC−C多重結合を含む);式−[CH2]x−CfH(2f+1-g)−Fgの非置換フルオロアルキル基、(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキル基、(C1−C6)−アルコキシ−(C1−C4)−アルコキシ−(C1−C4)−アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、(C7−C11)−アラルキル基、或いは式Zで表される基であり、(式Z中、Eはヘテロアリール基、(C3−C8)−シクロアルキル基、或いは式Fで表されるフェニル基であり、 vは0〜6、 wは0或いは1、 tは0〜3、 R7、R8、R9、R10及びR11は同一であるか或いは異なっていて、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、(C1−C6)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキル、(C1−C6)−アルコキシ、−O−[CH2]x−CfH(2f+1-g)−Fg、−OCF2−Cl、−O−CF2−CHFCl、(C1−C6)−アルキルメルカプト、(C1−C6)−ヒドロキシアルキル、(C1−C6)−アルコキシ−(C1−C6)−アルコキシ、(C1−C6)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルキルスルフィニル、(C1−C6)−アルキルスルホニル、(C1−C6)−アルキルカルボニル、(C1−C8)−アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−(C1−C8)−アルキルカルバモイル、N,N−ジ−(C1−C8)−アルキルカルバモイル、或いは(C7−C11)−アラルキルカルバモイルであって、これらは、フッ素、塩素、臭素、トリフルオロメチル、(C1−C6)−アルコキシ、N−(C3−C8)−シクロアルキルカルバモイル、N−(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキルカルバモイル、(C1−C6)−アルキルカルボニルオキシ、フェニル、ベンジル、フェノキシ、ベンジルオキシ、NRYRZ(Ry及びRZは独立して、水素、(C1−C12)−アルキル、(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C7−C12)−アラルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C8)−アルキル、(C3−C10)−シクロアルキル、(C3−C12)−アルケニル、(C3−C12)−アルキニル、(C6−C12)−アリール、(C7−C11)−アラルキル、(C1−C12)−アルコキシ、(C7−C12)アラルコキシ、(C1−C12)−アルキルカルボニル、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニル、(C6−C12)アリールカルボニル、(C7−C16)−アラルキルカルボニルから選択されるか、或いは、更にRy及びRZは共に−[CH2]hを形成し、CH2基はO、S、N−(C1−C4)−アルキルカルボニルイミノ、或いはN−(C1−C4)−アルコキシカルボニルイミノで置換されていてもよい)、フェニルメルカプト、フェニルスルホニル、フェニルスルフィニル、スルファモイル、N−(C1−C8)−アルキルスルファモイル、或いはN,N−ジ−(C1−C8)−アルキルスルファモイルによって任意に置換されていてもよく;又はR7及びR8、R8及びR9、R9及びR10、或いはR10及びR11は共に、−[CH2]N−或いは−CH=CH−CH=CH−から選択される鎖を形成し(前者の鎖のCH2基は、O、S、SO、SO2或いはNRYで任意に置換され、nは3、4或いは5である);一方、Eがヘテロアリール基の場合、該基はR7〜R11で表される置換基から選択される1〜3個の置換基を有することができ、或いは、Eがシクロアルキル基の場合、該基はR7〜R11で表される置換基から選択される1個の置換基を有することができる); 式中、QがNR’の場合、R4は或いはR”であり、R’及びR”は同一であるか或いは異なっていて、水素、(C6−C12)−アリール、(C7−C11)−アラルキル、(C1−C8)−アルキル、(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C7−C12)−アラルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C8)−アルキル、(C1−C10)−アルキルカルボニル、任意に置換された(C7−C16)−アラルキルカルボニル、或いは任意に置換された(C6−C12)−アリールカルボニルであり;又はR’及びR”は共に−[CH2]hを形成する(CH2基はO、S、N−アシルイミノ、或いはN−(C1−C10)−アルコキシカルボニルイミノで置換されていてもよく、hは3〜7である)。 YはN或いはCR3であり; R1、R2及びR3は同一であるか或いは異なっていて、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、ニトロ、カルボキシル、(C1−C20)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキル、(C3−C8)シクロアルキル−(C1−C12)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルコキシ、(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C12)−アルコキシ、(C3−C8)−シクロアルキルオキシ−(C1−C12)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキルオキシ−(C1−C12)−アルコキシ、(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C8)−アルキル−(C1−C6)−アルコキシ、(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキルオキシ−(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルコキシ−(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C8)−アルコキシ、(C6−C12)−アリール、(C7−C16)−アラルキル、(C7−C16)−アラルケニル、(C7−C16)−アラルキニル、(C2−C20)−アルケニル、(C2−C20)−アルキニル、(C1−C20)−アルコキシ、(C2−C20)−アルケニルオキシ、(C2−C20)−アルキニルオキシ、レチニルオキシ、(C1−C20)−アルコキシ−(C1−C12)−アルキル、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシ、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アリールオキシ、(C7−C16)−アラルキルオキシ、(C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C6)−アルコキシ、(C7−C16)−アラルコキシ−(C1−C6)−アルコキシ、(C1−C16)−ヒドロキシアルキル、(C6−C16)−アリールオキシ−(C1−C8)−アルキル、(C7−C16)−アラルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキル、(C7−C12)−アラルキルオキシ−(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキル、(C2−C20)−アルケニルオキシ−(C1−C6)−アルキル、(C2−C20)−アルキニルオキシ−(C1−C6)−アルキル、レチニルオキシ−(C1−C6)−アルキル、−O−[CH2]xCfH(2f+1-g)Fg、−OCF2Cl、−OCF2−CHFCl、(C1−C20)−アルキルカルボニル、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニル、(C6−C12)−アリールカルボニル、(C7−C16)−アラルキルカルボニル、シンナモイル、(C2−C20)−アルケニルカルボニル、(C2−C20)−アルキニルカルボニル、(C1−C20)−アルコキシカルボニル、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシカルボニル、(C6−C12)−アリールオキシカルボニル、(C7−C16)−アラルコキシカルボニル、(C3−C8)−シクロアルコキシカルボニル、(C2−C20)−アルケニルオキシカルボニル、レチニルオキシカルボニル、(C2−C20)−アルキニルオキシカルボニル、(C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C7−C16)−アラルコキシ−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C3−C8)−シクロアルコキシ−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C1−C12)−アルキルカルボニルオキシ、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニルオキシ、(C6−C12)−アリールカルボニルオキシ、(C7−C16)−アラルキルカルボニルオキシ、シンナモイルオキシ、(C2−C12)−アルケニルカルボニルオキシ、(C2−C12)−アルキニルカルボニルオキシ、(C1−C12)−アルコキシカルボニルオキシ、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシカルボニルオキシ、(C6−C12)−アリールオキシカルボニルオキシ、(C7−C16)−アラルキルオキシカルボニルオキシ、(C3−C8)−シクロアルコキシカルボニルオキシ、(C2−C12)−アルケニルオキシカルボニルオキシ、(C2−C12)−アルキニルオキシカルボニルオキシ、カルバモイル、N−(C1−C12)−アルキルカルバモイル、N,N−ジ−(C1−C12)−アルキルカルバモイル、N−(C3−C8)−シクロアルキルカルバモイル、N,N−ジシクロ−(C3−C8)−アルキルカルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C3−C8)−シクロアルキルカルバモイル、N−((C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C6)−アルキル)−カルバモイル、N−(C1−C6)−アルキル−N−((C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C6)−アルキル)−カルバモイル、N−(+)−デヒドロアビエチルカルバモイル、N−(C1−C6)−アルキル−N−(+)−デヒドロアビエチルカルバモイル、N−(C6−C12)−アリールカルバモイル、N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C6−C16)−アリールカルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイル、N−((C1−C18)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−((C6−C16)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C1−C10)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、CON(CH2)h(CH2基はO、S、N−(C1−C8)−アルキルイミノ、N−(C3−C8)−シクロアルキルイミノ、N−(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキルイミノ、N−(C6−C12)−アリールイミノ、N−(C7−C16)−アラルキルイミノ、N−(C1−C4)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキルイミノで置換されていてもよく、hは3〜7である)、式Rで表されるカルバモイル基(式R中、RX及びRVは各々独立して、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、アリール、或いはL−及びD−アミノ酸が属するα−アミノ酸のα−炭素の置換基から選択され、sは1〜5であり、TはOH、或いはNR*R**であり、R*、R**及びR***は同一であるか或いは異なっていて、水素、(C6−C12)−アリール、(C7−C11)−アラルキル、(C1−C8)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキル、(+)−デヒドロアビエチル、(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C7−C12)−アラルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C8)−アルキル、(C1−C10)−アルカノイル、任意に置換された(C7−C16)−アラルカノイル、任意に置換された(C6−C12)−アロイルから選択されるか、又はR*及びR**は共に−[CH2]hを形成する(CH2基はO、S、SO、SO2、N−アシルアミノ、N−(C1−C10)−アルコキシカルボニルイミノ、N−(C1−C8)−アルキルイミノ、N−(C3−C8)−シクロアルキルイミノ、N−(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキルイミノ、N−(C6−C12)−アリールイミノ、N−(C7−C16)−アラルキルイミノ、N−(C1−C4)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキルイミノで置換されていてもよく、hは3〜7である))、カルバモイルオキシ、N−(C1−C12)−アルキルカルバモイルオキシ、N,N−ジ−(C1−C12)−アルキルカルバモイルオキシ、N−(C3−C8)−シクロアルキルカルバモイルオキシ、N−(C6−C12)−アリールカルバモイルオキシ、N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C6−C12)−アリールカルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイルオキシ、N−((C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C1−C10)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシアミノ、(C1−C12)−アルキルアミノ、ジ−(C1−C12)−アルキルアミノ、(C3−C8)−シクロアルキルアミノ、(C3−C12)−アルケニルアミノ、(C3−C12)−アルキニルアミノ、N−(C6−C12)−アリールアミノ、N−(C7−C11)−アラルキルアミノ、N−アルキル−アラルキルアミノ、N−アルキル−アリールアミノ、(C1−C12)−アルコキシアミノ、(C1−C12)−アルコキシ−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C1−C12)−アルカノイルアミノ、(C3−C8)−シクロアルカノイルアミノ、(C6−C12)−アロイルアミノ、(C7−C16)−アラルカノイルアミノ、(C1−C12)−アルカノイル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C3−C8)−シクロアルカノイル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C6−C12)−アロイル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C7−C11)−アラルカノイル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C1−C12)−アルカノイルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルカノイルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アロイルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C7−C16)−アラルカノイルアミノ−(C1−C8)−アルキル、アミノ−(C1−C10)−アルキル、N−(C1−C10)−アルキルアミノ−(C1−C10)−アルキル、N,N−ジ(C1−C10)−アルキルアミノ−(C1−C10)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキルアミノ(C1−C10)−アルキル、(C1−C20)−アルキルメルカプト、(C1−C20)−アルキルスルフィニル、(C1−C20)−アルキルスルホニル、(C6−C12)−アリールメルカプト、(C6−C12)−アリールスルフィニル、(C6−C12)−アリールスルホニル、(C7−C16)−アラルキルメルカプト、(C7−C16)−アラルキルスルフィニル、(C7−C16)−アラルキルスルホニル、(C1−C12)−アルキルメルカプト−(C1−C6)−アルキル、(C1−C12)−アルキルスルフィニル−(C1−C6)−アルキル、(C1−C12)−アルキルスルホニル−(C1−C6)−アルキル、(C6−C12)−アリールメルカプト−(C1−C6)−アルキル、(C6−C12)−アリールスルフィニル−(C1−C6)−アルキル、(C6−C12)−アリールスルホニル−(C1−C6)−アルキル、(C7−C16)−アラルキルメルカプト−(C1−C6)−アルキル、(C7−C16)−アラルキルスルフィニル−(C1−C6)−アルキル、(C7−C16)−アラルキルスルホニル−(C1−C6)−アルキル、スルファモイル、N−(C1−C10)−アルキルスルファモイル、N,N−ジ−(C1−C10)−アルキルスルファモイル、(C3−C8)−シクロアルキルスルファモイル、N−(C6−C12)−アリールスルファモイル、N−(C7−C16)−アラルキルスルファモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C6−C12)−アリールスルファモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C7−C16)−アラルキルスルファモイル、(C1−C10)−アルキルスルホンアミド、N−((C1−C10)−アルキル)−(C1−C10)−アルキルスルホンアミド、(C7−C16)−アラルキルスルホンアミド、及びN−((C1−C10)−アルキル−(C7−C16)−アラルキルスルホンアミドであり、ここで、アリール基は、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、ニトロ、カルボキシル、(C2−C16)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキル、(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C12)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルコキシ、(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C12)−アルコキシ、(C3−C8)−シクロアルキルオキシ−(C1−C12)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキルオキシ−(C1−C12)−アルコキシ、(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C8)−アルキル−(C1−C6)−アルコキシ、(C3−C8)−シクロアルキル(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキルオキシ−(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルコキシ−(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C8)−アルコキシ、(C6−C12)−アリール、(C7−C16)−アラルキル、(C2−C16)−アルケニル、(C2−C12)−アルキニル、(C1−C16)−アルコキシ、(C1−C16)−アルケニルオキシ、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルキル、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシ、(C1−C12)−アルコキシ(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アリールオキシ、(C7−C16)−アラルキルオキシ、(C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C6)−アルコキシ、(C7−C16)−アラルコキシ−(C1−C6)−アルコキシ、(C1−C8)−ヒドロキシアルキル、(C6−C16)−アリールオキシ−(C1−C8)−アルキル、(C7−C16)−アラルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキル、(C7−C12)−アラルキルオキシ−(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキル、−O−[CH2]xCfH(2f+1-g)Fg、−OCF2Cl、−OCF2−CHFCl、(C1−C12)−アルキルカルボニル、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニル、(C6−C12)−アリールカルボニル、(C7−C16)−アラルキルカルボニル、(C1−C12)−アルコキシカルボニル、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシカルボニル、(C6−C12)−アリールオキシカルボニル、(C7−C16)−アラルコキシカルボニル、(C3−C8)−シクロアルコキシカルボニル、(C2−C12)−アルケニルオキシカルボニル、(C2−C12)−アルキニルオキシカルボニル、(C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C7−C16)−アラルコキシ−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C3−C8)−シクロアルコキシ−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C1−C12)−アルキルカルボニルオキシ、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニルオキシ、(C6−C12)−アリールカルボニルオキシ、(C7−C16)−アラルキルカルボニルオキシ、シンナモイルオキシ、(C2−C12)−アルケニルカルボニルオキシ、(C2−C12)−アルキニルカルボニルオキシ、(C1−C12)−アルコキシカルボニルオキシ、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシカルボニルオキシ、(C6−C12)−アリールオキシカルボニルオキシ、(C7−C16)−アラルキルオキシカルボニルオキシ、(C3−C8)−シクロアルコキシカルボニルオキシ、(C2−C12)−アルケニルオキシカルボニルオキシ、(C2−C12)−アルキニルオキシカルボニルオキシ、カルバモイル、N−(C1−C12)−アルキルカルバモイル、N,N−ジ(C1−C12)−アルキルカルバモイル、N−(C3−C8)−シクロアルキルカルバモイル、N,N−ジシクロ−(C3−C8)−アルキルカルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C3−C8)−シクロアルキルカルバモイル、N−((C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C6)−アルキル)カルバモイル、N−(C1−C6)−アルキル−N−((C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C6)−アルキル)カルバモイル、N−(+)−デヒドロアビエチルカルバモイル、N−(C1−C6)−アルキル−N−(+)−デヒドロアビエチルカルバモイル、N−(C6−C12)−アリールカルバモイル、N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C6−C16)−アリールカルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイル、N−((C1−C16)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)カルバモイル、N−((C6−C16)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)カルバモイル、N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C1−C10)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、CON(CH2)h(CH2基は、O、S、N−(C1−C8)−アルキルイミノ、N−(C3−C8)−シクロアルキルイミノ、N−(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキルイミノ、N−(C6−C12)−アリールイミノ、N−(C7−C16)−アラルキルイミノ、N−(C1−C4)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキルイミノで置換されていてもよく、hは3〜7である)、カルバモイルオキシ、N−(C1−C12)−アルキルカルバモイルオキシ、N,N−ジ−(C1−C12)−アルキルカルバモイルオキシ、N−(C3−C8)−シクロアルキルカルバモイルオキシ、N−(C6−C16)−アリールカルバモイルオキシ、N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C6−C12)−アリールカルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイルオキシ、N−((C1−C10)−アルキル)カルバモイルオキシ、N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)カルバモイルオキシ、N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C1−C10)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)カルバモイルオキシ、アミノ、(C1−C12)−アルキルアミノ、ジ−(C1−C12)−アルキルアミノ、(C3−C8)−シクロアルキルアミノ、(C3−C12)−アルケニルアミノ、(C3−C12)−アルキニルアミノ、N−(C6−C12)−アリールアミノ、N−(C7−C11)−アラルキルアミノ、N−アルキル−アラルキルアミノ、N−アルキル−アリールアミノ、(C1−C12)−アルコキシアミノ、(C1−C12)−アルコキシ−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C1−C12)−アルカノイルアミノ、(C3−C8)−シクロアルカノイルアミノ、(C6−C12)−アロイルアミノ、(C7−C16)−アラルカノイルアミノ、(C1−C12)−アルカノイル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C3−C8)−シクロアルカノイル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C6−C12)−アロイル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C7−C11)−アラルカノイル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C1−C12)−アルカノイルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルカノイルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アロイルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C7−C16)−アラルカノイルアミノ−(C1−C8)−アルキル、アミノ−(C1−C10)−アルキル、N−(C1−C10)−アルキルアミノ−(C1−C10)−アルキル、N,N−ジ−(C1−C10)−アルキルアミノ−(C1−C10)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキルアミノ−(C1−C10)−アルキル、(C1−C12)−アルキルメルカプト、(C1−C12)−アルキルスルフィニル、(C1−C12)−アルキルスルホニル、(C6−C16)−アリールメルカプト、(C6−C16)−アリールスルフィニル、(C6−C16)−アリールスルホニル、(C7−C16)−アラルキルメルカプト、(C7−C16)−アラルキルスルフィニル、或いは(C7−C16)−アラルキルスルホニルから選択される1〜5個の置換基で置換されていてもよく;又はR1とR2或いはR2とR3で鎖[CH2]Oを形成しており、この鎖は飽和かC=C二重結合によって不飽和であって、1個或いは2個のCH2基が任意にO、S、SO、SO2或いはNR’で置換されており、R’は水素、(C6−C12)−アリール、(C1−C8)−アルキル、(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C7−C12)−アラルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C8)−アルキル、(C1−C10)−アルカノイル、任意に置換された(C7−C16)−アラルカノイル、或いは任意に置換された(C6−C12)−アロイルであり;oは3、4或いは5であり; 又は式中、基R1とR2或いは基R2とR3は、それらを有するピリジン或いはピリダジンと共に、5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリン環、5,6,7,8−テトラヒドロキノリン環、或いは5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン環を形成しており; 又は式中、R1とR2或いはR2とR3は炭素環式或いは複素環式5或いは6員芳香環を形成しており; 又は式中、R1とR2或いはR2とR3は、それらを有するピリジン或いはピリダジンと共に、チエノピリジン、フラノピリジン、ピリドピリジン、ピリミジノピリジン、イミダゾピリジン、チアゾロピリジン、オキサゾロピリジン、キノリン、イソキノリン及びシンノリンから選択される任意に置換された複素環系を形成しており: 各々互いに独立している置換基R12〜R19はR1、R2及びR3と同じ意味を有しており); 又は式(I)中、基R1とR2は、それらを有するピリジンと共に、式Idの化合物を形成し:(式Id中、VはS、O或いはNRkであって、Rkは、水素、(C1−C6)−アルキル、アリール、或いはベンジルから選択され、アリール基は任意に上述の1〜5個の置換基で置換されていてもよく、各々互いに独立しているR24、R25、R26及びR27はR1、R2及びR3と同じ意味を有している); fは1〜8であり; gは0或いは1〜(2f+1)であり; xは0〜3であり; hは3〜7である。) 前記化合物が、[(1−クロロ−4−ヒドロキシ−イソキノリン−3−カルボニル)−アミノ]酢酸、[(4−ヒドロキシ−7−フェノキシ−イソキノリン−3−カルボニル)−アミノ]酢酸、[(4−ヒドロキシ−7−フェニルスルファニル−イソキノリン−3−カルボニル)−アミノ]酢酸、及び3−{[4−(3,3−ジベンジル−ウレイド)−ベンゼンスルホニル]−[2−(4−メトキシ−フェニル)−エチル]−アミノ}−N−ヒドロキシ−プロピオンアミドからなる群より選択される、請求項1〜19のいずれか1項に1記載の薬剤。 前記化合物が、[(1−クロロ−4−ヒドロキシ−イソキノリン−3−カルボニル)−アミノ]酢酸である、請求項1〜20のいずれか1項に記載の薬剤。 前記被験体がヒトである、請求項1〜21のいずれか1項に記載の薬剤。


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特許公報(B2)_赤血球形成を増強するためのHIFα安定剤の使用

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_赤血球形成を増強するためのHIFα安定剤の使用
出願番号:2010258409
年次:2014
IPC分類:A61K 31/472,A61P 7/06,A61P 43/00,A61K 45/00,C07D 217/26


特許情報キャッシュ

クラウス,スティーヴン,ジェイ モリノー,クリストファー,ジェイ ネフ,トーマス,ビー ゲンツラー−プカール,フォルクマール ランセトモ,パロボク,イングリッド シーリー,トッド,ダブリュー スティーヴンソン,ロバート,シー JP 5474741 特許公報(B2) 20140214 2010258409 20101118 赤血球形成を増強するためのHIFα安定剤の使用 ファイブロジェン,インコーポレイテッド 505445027 酒井 一 100081514 蔵合 正博 100082692 クラウス,スティーヴン,ジェイ モリノー,クリストファー,ジェイ ネフ,トーマス,ビー ゲンツラー−プカール,フォルクマール ランセトモ,パロボク,イングリッド シーリー,トッド,ダブリュー スティーヴンソン,ロバート,シー US 60/476,704 20030606 US 60/566,488 20040429 US 60/566,237 20040429 US 60/569,797 20040510 US 10/861,590 20040603 20140416 A61K 31/472 20060101AFI20140327BHJP A61P 7/06 20060101ALI20140327BHJP A61P 43/00 20060101ALI20140327BHJP A61K 45/00 20060101ALN20140327BHJP C07D 217/26 20060101ALN20140327BHJP JPA61K31/472A61P7/06A61P43/00 111A61K45/00C07D217/26 A61K 45/00 A61K 31/17 A61K 31/472 A61P 7/06 A61P 43/00 C07D 217/26 CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) 特開平11−302257(JP,A) 特開平09−124606(JP,A) Science,2001年 4月,292,p.468-472 C. Jane Cunliffe et al,Novel inhibitors of prolyl 4-hydroxylase. 3. Inhibition by the substrate analog N-oxaloglycine and i,J. Med. Chem,1992年,35 (14),p. 2652-2658 AUCELLA, FILIPPO,NEPHROLOGY DIALYSIS TRANSPLANTATION,1999年,V14 N5,P1171-1175 SALVARANI C,RHEUMATOLOGY INTERNATIONAL,1996年,V16 N2,P45-48 J. Appl. Physiol.,2000年,89,p.680-686 21 2006515201 20040604 2011057697 20110324 86 20101217 瀬下 浩一 本願は、2003年6月6日出願の米国仮特許出願第60/476,704号、2004年4月29日出願の米国仮特許出願第60/566,488号、2004年4月29日出願の米国仮特許出願第60/566,237号、及び2004年5月10日出願の米国仮特許出願第60/569,797号の利益を主張するものであり、これらの仮特許出願各々の内容全てを本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。 本発明は、赤血球形成や鉄代謝を調節或いは増強するための方法及び化合物、更には、慢性疾患に伴う貧血や鉄欠乏症を治療或いは予防するための方法及び化合物に関する。 一般に貧血とは、血中酸素濃度の低下を招くヘモグロビンや赤血球のいずれの異常をも意味する。貧血は、例えば、慢性感染症や腫瘍性障害、慢性炎症性障害(間接的炎症性骨髄抑制(consequent inflammatory suppression of marrow)に関連する障害等)等の慢性疾患に伴って発症することもある。慢性疾患に伴う貧血は、医学における最も一般的な症候群の一種である。 慢性疾患に伴う貧血(ACD)は鉄欠乏症に関連することが多い。ACDは、鉄利用能が不十分なために発症することもあり(例えば、鉄欠乏性貧血)、或いは、体内総鉄量が十分であってもヘモグロビン産生に必要な分が足りない場合(例えば、機能性鉄欠乏症)にも発症し得る。鉄は、骨髄の赤血球形成前駆細胞における赤血球ヘモグロビンの産生に必要である。 慢性疾患に伴う貧血の患者には、多くの生理的不全(physiologic deficiencies)が見られるが、その例としては、エリスロポエチン(EPO)産生の低下や、骨髄のEPO応答性の低下、鉄代謝の低下(腸からの鉄吸収の低下や、鉄の経腸細胞輸送の低下、ヘフェスチンやセルロプラスミンによる鉄の3価状態(ferric state)への酸化の減少、トランスフェリンやトランスフェリンレセプターによる鉄の結合や摂取の低下、ヘム合成等の鉄利用が生じる骨髄への鉄輸送の低下等)が挙げられる。このような生理的不全は、個別に或いは一緒になって無効な赤血球形成や赤血球形成の障害を引き起こし、その結果、ヘモグロビン産生の低下や酸素運搬の低下に関連する小球性貧血や低色素性赤血球が生じ得る。 慢性疾患に伴う貧血は、例えば、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)やインターロイキン−1β(IL−1β)、IL−6、インターフェロン−γ(IFN−γ)等の炎症性サイトカインの産生増加に関連する(ミーンズ(Means)(1995年)Stem cells 13:32-37及びミーンズ(Means)(1999年)Int J Hematol 70:7-12)。数種類のin vitro及びin vivo動物モデル系において、炎症性サイトカインはEPO産生やEPO応答性、鉄代謝の協調的調節(coordinate regulation)を仲介する能力に対し悪影響を及ぼした(ルードマン(Roodman)ら(1989年)Adv Exp Med Biol 271:185-196;フックス(Fuchs)ら(1991年)Eur J Hematol 46:65-70;ジェルクマン(Jelkmann)ら(1994年)Ann NY Acad Sci 718:300-311;ヴァンヌッキ(Vannucchi)ら(1994年)Br J Hematol 87:18-23;及びオルデンバーグ(Oldenburg)ら(2001年)Aliment Pharmacol Ther 15:429-438)。TNF−αに継続的に曝露したマウスにおいては、エリスロポエチンを投与しても貧血を改善できなかった(クリボン(Clibon)ら(1990年)Exp Hematol 18:438-441)。TNF−αやIL−1β、INF−γ等の炎症性サイトカインのレベルの上昇によって、慢性疾患に伴う貧血の患者に見られるEPO産生やEPO抵抗性の不全が引き起こされる(ジェルクマン(Jelkmann)ら(1991年)Ann NY Acad Sci 718:300-311及びマクドーゴール(Macdougall)及びクーパー(Cooper)(2002年)Neprol Dial Transplant 17(11):39-43)。従って、炎症性サイトカインや炎症関連サイトカイン等の様々なサイトカインは、慢性疾患に伴う貧血発症の多くの局面、例えば、赤血球前駆体の阻害やEPO産生の阻害、赤血球形成のための鉄放出や鉄利用能の低下等に関与する。 よって、当該技術分野においては、慢性疾患に伴う貧血を治療或いは予防する方法が必要である。また、当該技術分野においては、組換えEPOの現在の使用における不全を克服して慢性疾患に伴う貧血を治療する方法が必要である。特に、慢性疾患に伴う貧血に関連するEPO産生の抑制やEPO応答性の低下を克服するのに有効な方法及び化合物、鉄代謝の調節を高め、鉄代謝や鉄利用の変化や異常に関する不全を克服するのに有効な方法及び化合物、更には、EPOの産生やEPOの応答性及びシグナル伝達、鉄利用能、鉄利用、鉄摂取、鉄輸送、鉄処理等に関連する代謝経路を改善することによって完全な(total or complete)赤血球形成を増強するのに有効な方法及び化合物が必要である。また、当該技術分野においては、慢性疾患に伴う貧血を有する被験体(subjects)におけるサイトカイン誘導作用の影響を克服或いは改善する方法が必要である。 鉄欠乏症は、世界中で最も一般的な栄養欠乏症の一種であり、世界的規模で貧血の主要原因である。鉄バランスは、赤血球形成の速度(rate)及び鉄貯蔵のサイズによって基本的に調節される。鉄欠乏症は貧血を伴っても伴わなくても生じ得るが、認知発達の障害と関連付けられている。 鉄欠乏症は、鉄の供給(レベル或いは貯蔵)の低下、或いは体内での鉄利用能や鉄利用の低下として定義される。鉄欠乏症は、栄養欠乏(例えば、食事中の鉄不足);外科手術(胃切除後)や疾患(クローン病)等に起因する鉄の吸収不良;傷害や外傷、月経、献血、瀉血(様々な処置や外科手術等に起因)による慢性或いは急性失血に起因する鉄供給の減少や鉄損失の増加;或いは、幼児期や青年期の急速な成長、妊娠、エリスロポエチン療法等に起因する鉄需要の増加によって生じ得る。 鉄欠乏症は、機能性鉄欠乏症、例えば、被験体の貯蔵鉄に接近し利用する能力の低下によって特徴付けされる鉄欠乏症でもあり得る。赤血球を正常にヘモグロビン化(hemoglobinization)させるのに十分な速度で鉄を利用できないため、網状赤血球や赤血球の細胞内ヘモグロビン含量が低下する。機能性鉄欠乏症は、見かけ上鉄貯蔵が正常であるか増加していても鉄利用能が低下(例えば、低レベルのトランスフェリン飽和率によって測定される)している健常な個体によく見られる。この種の鉄欠乏症は急性炎症或いは慢性炎症に関連することが多い。 鉄欠乏症はいずれの種類であっても鉄欠乏性或いは鉄制限性(iron-restricted)赤血球形成を引き起こし得るが、その際、赤血球数は減少し、循環赤血球は正常よりも小さく(小球性)、また、ヘモグロビンが十分にないため、それ自体色が薄くなる(低色素性)。 鉄欠乏症(例えば、機能性鉄欠乏症)の被験体においては、ヘモグロビン合成の低下、トランスフェリン飽和率(%)の低下、及びヘモグロビンやヘマトクリットのレベルが低下が生じて、鉄欠乏性貧血が発症し得る。鉄欠乏性貧血は世界中で最も一般的な貧血である。鉄はヘモグロビンの必須成分であり、鉄が無いと、骨髄はヘモグロビンを効果的に産生することができない。鉄欠乏性貧血は鉄供給が減少或いは低下した被験体において発症することもあり、或いは、機能性鉄欠乏症(即ち、鉄は貯蔵されているがヘモグロビン産生等に利用できない)の被験体において発症することもある。 上述に鑑み、当該技術分野においては、鉄代謝に関連する障害を治療或いは予防する方法が必要であり、鉄代謝を増強する方法が必要である。また、機能性鉄欠乏症等の鉄欠乏症を治療或いは予防する方法が必要であり、小赤血球症や鉄欠乏性貧血等の関連する病態を治療或いは予防する方法が必要である。 本発明は、完全且つ効果的な赤血球形成をもたらす代謝経路及び生理的経路を増強する(enhancing)ための方法及び化合物、特に、慢性疾患に伴う貧血を治療するための方法及び化合物を提供する。また、EPO産生やEPO応答性に対する炎症性サイトカインの抑制/阻害作用を克服するための方法及び化合物も提供する。更に本発明は、鉄代謝を増強するための方法及び化合物、また、鉄欠乏症(機能性鉄欠乏症等)や鉄欠乏性貧血、小赤血球症、鉄欠乏性赤血球形成等の鉄代謝の低下に関連する病態を治療或いは予防するための方法及び化合物を提供する。 本発明は、被験体において赤血球形成の増強或いは完全な赤血球形成を誘導するための方法及び化合物に関する。特に、本発明の方法は、被験体においてHIFαを安定化させることによって赤血球形成の増強或いは完全な赤血球形成を誘導することを含む。HIFプロリルヒドロキシラーゼを阻害することによって赤血球形成の増強を誘導する方法を具体的に意図する。特定の実施形態においては、本発明の方法は、本発明の化合物を被験体に投与することを含む。様々な実施形態において、前記被験体は細胞、組織、器官、器官系、或いは生体全体であり得る。 様々な実施形態において、前記被験体は細胞、組織、器官、器官系或いは生体全体である。或る実施形態においては該生体は哺乳動物であり、好ましくはヒトである。 一様相においては、本発明の方法によって、造血幹細胞(HSC)やCFU−GEMM(コロニー形成単位顆粒球/赤血球/単球/巨核球)細胞等の造血前駆細胞からの赤血球の分化に必要な因子の産生が増加する。赤血球形成を刺激する因子としてはエリスロポエチンが挙げられるが、これに限定されない。他の様相においては、本発明の方法によって、鉄摂取、鉄輸送及び鉄利用に必要な因子の産生が増加する。このような因子としては、赤血球アミノレブリン酸シンターゼやトランスフェリン、トランスフェリンレセプター、セルロプラスミン等が挙げられるが、これらに限定されない。更に他の様相においては、本発明の方法によって、赤血球の分化に必要な因子が増加し、更に鉄摂取、鉄輸送及び鉄利用に必要な因子が増加する。 他の実施形態においては、本発明の方法によってエリスロポエチンに対する造血前駆体の応答性が増強する。上述のように、このような前駆体としてはHSCやCFU−GEMM等が挙げられる。このような前駆細胞の応答性の増強については、例えば、エリスロポエチンレセプターの発現、エリスロポエチンシグナル伝達に関与する細胞内因子の発現、及びエリスロポエチンと該レセプターとの相互作用を促進する分泌因子の発現を変化させることによって行うことができる。 他の様相においては、本発明の方法を用いて、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)やインターロイキン−1β(IL−1β)等の炎症性サイトカインによって誘導される赤血球形成の阻害を克服することができる。特定の様相においては、本発明の方法を用いて、体外投与エリスロポエチンによる処理に反応しない(refractive to)貧血を治療することができる。このような貧血は、例えば、慢性炎症や自己免疫障害(慢性細菌性心内膜炎や骨髄炎、関節リウマチ、リウマチ熱、クローン病、潰瘍性大腸炎等が挙げられるが、これらに限定されない)によって生じ得る。 ある実施形態においては、本発明の方法を用いて慢性疾患に伴う貧血を治療することができる。慢性疾患に伴う貧血の患者において赤血球形成の増強或いは完全な赤血球形成を誘導するための方法を具体的に提供する。特定の実施形態においては、本発明の方法によって、新しい赤血球の産生に利用できる鉄の量が増加する。 他の様相において、本発明は骨髄のEPO応答性を増強するための方法を提供する。 EPOのTNFα抑制を阻害するための方法を具体的に提供すると共に、EPOのIL−1β抑制を阻害するための方法を具体的に提供する。 本発明は、慢性疾患に伴う貧血を治療/予防するための方法に関し、更には、鉄処理を調節し、鉄及び/又は鉄処理の欠乏に関連する病態を治療/予防するための方法に関する。 一様相において、本発明は、被験体における慢性疾患に伴う貧血を治療するための方法であって、低酸素誘導因子(HIF)のαサブユニットを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して前記被験体における慢性疾患に伴う貧血を治療することを含む方法を提供する。また、慢性疾患に伴う貧血の被験体において特定の生理的効果を得るための方法も提供し、特に、慢性疾患に伴う貧血の被験体において網状赤血球を増加させるための方法や、平均赤血球容積(mean corpuscular cell volume)を増加させるための方法、平均赤血球ヘモグロビンを増加させるための方法、ヘマトクリットを増加させるための方法、ヘモグロビンを増加させるための方法、赤血球数を増加させるための方法等を提供するものであり、これらの方法の各々は、低酸素誘導因子(HIF)のαサブユニットを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して所望の生理的効果を得ることを含む。様々な様相において、慢性疾患に伴う貧血は、例えば、炎症や自己免疫疾患、鉄欠乏症、小赤血球症、悪性腫瘍等に関連する。 様々な実施形態において、被験体は細胞、組織或いは器官である。他の実施形態において、被験体は動物であり、好ましくは哺乳動物であり、最も好ましくはヒトである。被験体が細胞の場合、本発明は、細胞が単離細胞(原核細胞或いは真核細胞)であり得ることを具体的に意図する。被験体が組織の場合、本発明は、内因性組織とin vitro組織の両方(例えば、培養で成長した組織)を具体的に意図する。好ましい実施形態において、被験体は動物であり、特に、ラット、ウサギ、ウシ、ヒツジ、ブタ、マウス、ウマ及び霊長類種を含む哺乳類種の動物である。最も好ましい実施形態において、被験体はヒトである。 HIFαの安定化は、当業者が利用可能で知っている方法のいずれによっても行うことができ、HIFαと相互作用或いは結合したり、HIFαを修飾する剤のいずれか、或いはHIFαと相互作用する因子(例えば、HIFαが基質となる酵素)を用いることができる。ある様相において、本発明は、構造的に安定なHIFα変異体(例えば、安定なHIFムテイン等)或いはこのような変異体をコードするポリヌクレオチドを提供することを意図する。他の様相において、本発明は、HIFαの安定化がHIFαを安定化させる剤の投与を含むことを意図する。この剤は、ポリヌクレオチド(例えば、アンチセンス配列)やポリペプチド、抗体、他のタンパク質、炭水化物、脂肪、脂質、有機及び無機物質(例えば、小分子等)から構成することができる。好ましい実施形態において、本発明は、例えば、被験体におけるHIFαの安定化をHIFα安定化剤(ここでは、該剤はHIFαを安定化させる小分子化合物等の化合物である)を前記被験体に投与することによって行うことを意図する。 様々な様相において、HIFαはHIF1α、HIF2α或いはHIF3αである。好ましい様相においては、HIFαの安定化には、HIFヒドロキシラーゼ活性を阻害する化合物の有効量を被験体に投与することが含まれる。ある様相において、HIFヒドロキシラーゼは、EGLN1、EGLN2及びEGLN3から成る群から選択される。 一実施形態において、本発明は、被験体において平均赤血球容積を増加させるための方法であって、低酸素誘導因子(HIF)のαサブユニットを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与することを含む方法を提供する。更なる実施形態において、本発明は、被験体において平均赤血球ヘモグロビン濃度を上昇させるための方法であって、低酸素誘導因子(HIF)のαサブユニットを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与することを含む方法を提供する。他の実施形態において、本発明は、被験体における小赤血球症を抑制するための方法であって、低酸素誘導因子(HIF)のαサブユニットを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与することを含む方法を包含する。 本発明は更に、小球性貧血を治療或いは予防するための方法であって、低酸素誘導因子(HIF)のαサブユニットを安定化させる化合物の有効量を被験体に投与することを含む方法を提供する。 一様相において、本発明は、被験体における鉄欠乏症に関連する病態を治療或いは予防するための方法であって、低酸素誘導因子(HIF)のαサブユニットを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与することを含む方法に関する。特定の様相において、本発明は、被験体において鉄処理を改善するための方法であって、低酸素誘導因子(HIF)のαサブユニットを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与することを含む方法を提供する。また、被験体における鉄利用能の低下に関連する病態を治療或いは予防するための方法であって、低酸素誘導因子(HIF)のαサブユニットを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与することを含む方法も提供する。 他の実施形態において、本発明は、被験体におけるサイトカイン誘導作用を克服するための方法に関する。特に一様相において、本発明は、被験体におけるEPO産生のサイトカイン抑制を克服するための方法であって、低酸素誘導因子(HIF)のαサブユニットを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与することを含む方法を提供する。本発明は更に、被験体における鉄利用能のサイトカイン抑制を克服するための方法であって、低酸素誘導因子(HIF)のαサブユニットを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与することを含む方法を提供する。他の様相において、本発明は、被験体におけるサイトカイン関連貧血を治療或いは予防するための方法であって、低酸素誘導因子(HIF)のαサブユニットを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与することを含む方法を包含する。また、被験体においてサイトカインの存在下でEPO産生を増加させるための方法であって、低酸素誘導因子(HIF)のαサブユニットを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与することを含む方法も提供する。具体的な実施形態において、前記サイトカインは、TNF−α及びIL−1βから成る群から選択される。 一様相において、本発明は、被験体におけるサイトカイン誘導によるVCAM発現を抑制するための方法であって、低酸素誘導因子(HIF)のαサブユニットを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与することを含む方法を提供する。具体的な様相において、前記サイトカインはTNF−α或いはIL−1βである。一様相において、該方法は、前記被験体の内皮細胞におけるサイトカイン誘導によるVCAM発現の抑制に適用される。他の様相において、前記被験体は、炎症性疾患、自己免疫疾患、及び慢性疾患に伴う貧血から成る群から選択される病態を有する。 他の様相において、本発明は、被験体におけるサイトカイン誘導によるE−セレクチン発現を抑制するための方法であって、低酸素誘導因子のαサブユニットを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与することを含む方法を提供する。具体的な様相において、前記サイトカインはTNF−α或いはIL−1βである。一様相において、該方法は、前記被験体の内皮細胞におけるサイトカイン誘導によるE−セレクチン発現の抑制に適用される。他の様相において、前記被験体は、炎症性疾患、自己免疫疾患、及び慢性疾患に伴う貧血から成る群から選択される病態を有する。 本発明は、鉄処理や鉄代謝を調節/増強する様々な方法を提供する。一様相において、本発明は、被験体において鉄輸送、鉄摂取、鉄利用、及び鉄吸収を増加させるための方法を提供するものであり、これらの方法の各々は、低酸素誘導因子(HIF)のαサブユニットを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与することを含む。特定の実施形態において、本発明は、被験体においてトランスフェリン発現、トランスフェリンレセプター発現、IRP−2発現、フェリチン発現、セルロプラスミン発現、NRAMP2発現、スプラウチン(sproutin)発現、及びALAS−2発現を増加させるための方法を提供するものであり、これらの方法の各々は、低酸素誘導因子(HIF)のαサブユニットを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与することを含む。他の実施形態において、本発明は、ヘプシジンの発現を抑制するための方法であって、低酸素誘導因子(HIF)のαサブユニットを安定化させる化合物の有効量を被験体に投与することを含む方法を提供する。また、低酸素誘導因子(HIF)のαサブユニットを安定化させる化合物の有効量を被験体に投与することによって前記被験体においてヘム合成を増加させるための方法も提供する。 ある様相において、本発明は、被験体において血清鉄を増加させるための方法、トランスフェリン飽和度を上昇させるための方法、可溶性トランスフェリンレセプター濃度を上昇させるための方法、及び血清フェリチン濃度を上昇させるための方法を意図しており、これらの方法は、低酸素誘導因子(HIF)のαサブユニットを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与することを含む。更なる様相において、本発明は、被験体において骨髄への鉄輸送を増加させるための方法であって、低酸素誘導因子(HIF)のαサブユニットを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与することを含む方法を提供する。 一様相において、本発明の方法は、本明細書に記載の障害や病態のいずれかを有する被験体(好ましくはヒト被験者)の治療、或いは該被験体のための薬剤の製造に適用される。当然のことながら、臨床症状に関連する各種パラメータは年齢や性別等によって変わる。一様相において、被験体は血清フェリチン濃度が正常範囲を下回る(例えば、50〜200μg/Lを下回る)。よって、血清フェリチン濃度が200ng/mL、150ng/mL、100ng/mL、75ng/mL、或いは50ng/mLを下回る被験体は、本発明の方法による治療や本発明によって提供される薬剤の使用に対して好適な被験体となるであろう。或いは、総鉄結合能(TIBC)が正常範囲未満(例えば、TIBCが300〜360μg/dL未満)である被験体を好適な被験体と同定することもできるであろう。 他の実施形態において、被験体は血清鉄濃度が正常範囲を下回る(例えば、血清鉄濃度が50〜150μg/dLを下回る)。好適な被験体を同定するための他の適切なパラメータとしては、トランスフェリン飽和度測定値が30〜50%を下回ることや、骨髄鉄芽球測定値が40〜60%を下回ること、ヘモグロビン濃度が約10〜11g/dLを下回ることが挙げられる。上述のパラメータのいずれも、例えば、標準的な血液学的検査や血液化学分析、完全血球算定(CBC)解析と同様に測定され、通常、数種の血液パラメータの測定値として示され、また、例えば、赤血球数や白血球数、血小板数、赤血球指数(red cell indices)等を測定する自動化機器による血液解析によって得られる。測定は、血液学的及び/又は生化学的血液分析の標準的な測定手段(例えば、CELL DYN 4000アナライザー(アボットラボラトリーズ、イリノイ州アボットパーク)やコールターGenSアナライザー(ベックマン・コールター社、カリフォルニア州フラートン)、バイエルADVIA 120アナライザー(バイエルヘルスケアAG、ドイツ、レヴァークーゼン)等の自動化システム)のいずれによっても行うことができる。 一様相において、本発明は、被験体における鉄欠乏症を治療或いは予防するための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して前記被験体における鉄欠乏症を治療或いは予防することを含む方法を包含する。更なる様相においては、前記鉄欠乏症は機能性鉄欠乏症であるか、貧血に関連するか、炎症、感染症、免疫不全障害及び腫瘍性障害から成る群から選択される障害に関連するか、或いは、慢性疾患に伴う貧血、鉄欠乏性貧血(IDA)及び小球性貧血から成る群から選択される障害に関連する。 本発明における被験体は、鉄欠乏症を示すか或いは鉄欠乏症発症の危険性を示す臨床的に認められた標準測定値のいずれかを有する被験体であり得る。例えば、ある実施形態において、被験体は血清フェリチン濃度が低い(<20ng/mL)か、或いはトランスフェリン飽和率(%)が低下している(例えば、成体において16%未満)。血清フェリチン濃度については、50ng/mL、40ng/mL、30ng/mL、或いは20ng/mLを下回る値を具体的に意図する。被験体が機能性鉄欠乏症を有しているか或いはその危険性がある場合、血清フェリチン濃度が正常範囲を超えて上昇する(例えば、200ng/mL以上)こともあり得ることについては知られている。鉄欠乏症は、鉄制限性(iron-restricted)/鉄欠乏性赤血球形成(通常、トランスフェリン飽和率(%)が15〜20%を下回った場合に見られるヘモグロビン合成の低下)の開始によって見ることができる。このような鉄パラメータの測定は、上述の標準的なCBC或いは生化学的分析のいずれかを用いて、及び/又はより具体的に鉄分析を対象とした自動化装置、例えば、Unimate 5 Ironキット及びUnimate 7 UIBCキット(ロシュ、スイス)を用いて行うことができる。 鉄欠乏性貧血を有しているか或いはその危険性がある被験体、例えば、トランスフェリン飽和率(%)が10〜15%或いは10%を下回る被験体が、本発明の治療方法或いは予防方法によって利益を得ることのできる被験体となり得る。 一様相において、鉄欠乏症を有しているか或いはその危険性がある被験体は、機能性鉄欠乏症を有しているか或いはその危険性がある。網状赤血球ヘモグロビン含量が28ピコグラム/細胞未満であれば、このような病態を示し得る。他の様相において、機能性鉄欠乏症を有しているか或いはその危険性がある被験体は、低色素性赤血球が5%を超える。 ある実施形態において、被験体は、慢性疾患に伴う貧血を有しているか或いはその危険性があるものである。このような被験体は軽度或いは中程度の貧血を示し、例えば、ヘモグロビン濃度が約10〜13g/dL、より詳細には10〜11g/dLである。他の実施形態においては、より重度な貧血が示され、ヘモグロビン濃度が10g/dLを下回り、例えば、ヘモグロビン濃度が5g/dLを下回ることや3g/dLを下回ることがある。ある実施形態において、慢性疾患に伴う貧血を有しているか或いはその危険性がある被験体は、鉄分布に異常が見られる。このような異常の場合、例えば、血清鉄濃度が約60μg/dLを下回るか、或いは血清フェリチン濃度が正常範囲を超える(例えば、200ng/mL、300ng/mL或いは400ng/mLを超える)。 ある様相において、被験体は小球性貧血を有しているか或いはその危険性があり得る。このような被験体の場合、例えば、完全血球算定解析の一部として測定される平均赤血球容積が80フェムトリットル未満を示すことがある。他の様相において、被験体の平均赤血球容積は正常値(90±8フェムトリットル)未満である。様々な様相においては、被験体の平均赤血球ヘモグロビン量(mean cell hemoglobin count)が低下している(例えば、平均赤血球ヘモグロビン量が30±3ピコグラムヘモグロビン/細胞未満)か、或いは平均赤血球ヘモグロビン濃度が低下している(例えば、平均赤血球ヘモグロビン濃度が33±2%未満)。 また、被験体における機能性鉄欠乏症を治療或いは予防するための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して機能性鉄欠乏症を治療或いは予防することを含む方法も提供する。 一実施形態において、本発明は、被験体において鉄代謝或いは鉄代謝プロセスを調節或いは増強するための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与し、前記被験体において鉄代謝或いは鉄代謝プロセスを調節或いは増強することを含む方法を提供する。他の実施形態において、本発明は、鉄摂取、鉄吸収、鉄輸送、鉄貯蔵、鉄処理、鉄動員及び鉄利用から成る群から選択される鉄代謝プロセスを調節或いは増強するための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を被験体に投与し、前記被験体において前記鉄代謝プロセスを調節或いは増強することを含む方法を提供する。 また、被験体において鉄吸収を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与し、前記被験体において鉄吸収を増加させることを含む方法も本発明で提供する。ある様相において、前記鉄吸収は腸内で生じるか、食事に含まれる鉄の吸収であるか、或いは十二指腸細胞内で生じる。 また、本発明では次の方法、即ち、被験体において鉄輸送を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与し、前記被験体において鉄吸収を増加させることを含む方法;被験体において鉄貯蔵を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与し、前記被験体において鉄貯蔵を増加させることを含む方法;被験体において鉄摂取を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与し、前記被験体において鉄摂取を増加させることを含む方法;被験体において鉄処理を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与し、前記被験体において鉄処理を増加させることを含む方法;被験体において鉄動員を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与し、前記被験体において鉄動員を増加させることを含む方法;及び被験体において鉄利用を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与し、前記被験体において鉄利用を増加させることを含む方法も意図する。 一実施形態において、本発明は、被験体において赤血球形成のための鉄利用能を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与し、前記被験体において赤血球形成のための鉄利用能を増加させることを含む方法を意図する。様々な実施形態において、赤血球形成のための鉄利用能の増加は、ヘム合成のための鉄利用能の増加、ヘモグロビン産生のための鉄利用能の増加、或いは赤血球産生のための鉄利用能の増加である。 本発明は更に、被験体における鉄調節因子(iron regulatory factors)の発現を調節するための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体における鉄代謝因子(iron metabolic factors)の発現を調節することを含む方法を提供する。 ある鉄調節因子の発現を増加させるための様々な方法が本発明に包含され、例えば、被験体におけるトランスフェリンレセプターの発現を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体におけるトランスフェリンレセプターの発現を増加させることを含む方法;被験体におけるトランスフェリンの発現を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体におけるトランスフェリンの発現を増加させることを含む方法;被験体におけるセルロプラスミンの発現を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体におけるセルロプラスミンの発現を増加させることを含む方法;被験体におけるNRAMP2(slc11a2)の発現を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体におけるNRAMP2の発現を増加させることを含む方法;被験体における十二指腸シトクロムbレダクターゼ1の発現を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体における十二指腸シトクロムbレダクターゼ1の発現を増加させることを含む方法;及び被験体における5−アミノレブリン酸シンターゼの発現を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体における5−アミノレブリン酸シンターゼの発現を増加させることを含む方法が挙げられる。 一実施形態において、本発明は、被験体において血清鉄を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体において血清鉄を増加させることを含む方法を提供する。ある実施形態において、前記被験体はヒトであり、血清鉄濃度は50〜150μg/dLの値まで上昇する。 他の様相において、本発明は、被験体において総鉄結合能(TIBC)を増加させるための方法を提供する。該方法は、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体においてTIBCを増加させることを含む。好ましい様相において、前記被験体はヒトであり、総鉄結合能は300〜360μg/dLの値まで増加する。 被験体において血清フェリチン濃度を調節するための方法及び化合物を提供する。ある実施形態において、前記被験体はヒトであり、血清フェリチン濃度は15μg/Lを超えて上昇する。更なる実施形態において、前記被験体はヒト成人男性であり、血清フェリチン濃度は約100μg/Lの値まで上昇する。他の実施形態において、前記被験体はヒト成人女性であり、血清フェリチン濃度は約30μg/Lの値まで上昇する。 一様相において、本発明は、被験体においてトランスフェリン飽和度を上昇させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体においてトランスフェリン飽和度を上昇させることを含む方法を包含する。一様相において、前記トランスフェリン飽和度は、10%、15%、20%、30%、40%及び50%から成る群から選択されるレベルを超えて上昇する。本発明は、被験体においてトランスフェリン飽和率を上昇させるための様々な方法を包含する。一実施形態において、前記被験体はヒトであり、トランスフェリン飽和率は18%を超える値まで上昇する。他の実施形態において、トランスフェリン飽和率は25〜50%の値まで上昇する。トランスフェリン飽和率(Percent transferrin)は通常、次の式:(血清鉄)(100)/(TIBC)を用いて算出する。 また、被験体において可溶性トランスフェリンレセプター濃度を上昇させる方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体において可溶性トランスフェリンレセプター濃度を上昇させることを含む方法も提供する。本発明は更に、例えば、血清トランスフェリンレセプター濃度によって測定される総赤血球骨髄質量(total erythroid marrow mass)を増加させるための方法を提供する。一様相において、前記被験体はヒトであり、イムノアッセイによって測定される血清トランスフェリンレセプター濃度は4〜9μg/Lまで上昇する。 被験体におけるヘプシジンの発現を抑制する方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体におけるヘプシジンの発現を抑制することを含む方法を提供する。 一実施形態において、本発明は、被験体における鉄欠乏症に関連する障害を治療或いは予防するための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体における鉄欠乏症に関連する障害を治療或いは予防することを含む方法を提供する。一実施形態において、前記鉄欠乏症は機能性鉄欠乏症である。様々な実施形態において、前記障害は、炎症、感染症、免疫不全障害及び腫瘍性障害から成る群から選択されるか、或いは、慢性疾患に伴う貧血、鉄欠乏性貧血及び小球性貧血から成る群から選択される。 本発明は、鉄欠乏症を有しているか或いはその危険性がある被験体において赤血球形成を増強するための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体において赤血球形成を増強することを含む方法を提供する。ある様相においては、前記鉄欠乏症が機能性鉄欠乏症であることを意図する。 本発明は更に、機能性鉄欠乏症を有しているか或いはその危険性がある被験体において赤血球形成を増強するための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体において赤血球形成を増強することを含む方法を提供する。様々な様相において、慢性疾患は、炎症、感染症、免疫不全障害及び腫瘍性障害から成る群から選択される。 慢性疾患に伴う貧血を有しているか或いはその危険性がある被験体において赤血球形成を増強するための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体において赤血球形成を増強することを含む方法を更に提供する。 一実施形態において、本発明は、EPO療法に反応しない被験体において赤血球形成を増強するための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体において赤血球形成を増強することを含む方法を包含する。 また、被験体における慢性疾患に伴う貧血を治療或いは予防するための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体における慢性疾患に伴う貧血を治療或いは予防することを含む方法も提供する。ある様相においては、慢性疾患に伴う貧血が、炎症、感染症、免疫不全障害及び腫瘍性障害から成る群から選択される病態に関連することを意図する。 本発明は次の方法、即ち、慢性疾患を有する被験体において網状赤血球を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体において網状赤血球を増加させることを含む方法;慢性疾患を有する被験体においてヘマトクリットを増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体においてヘマトクリットを増加させることを含む方法;慢性疾患を有する被験体においてヘモグロビンを増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体においてヘモグロビンを増加させることを含む方法;慢性疾患を有する被験体において赤血球数を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体において赤血球数を増加させることを含む方法;慢性疾患を有する被験体において平均赤血球容積を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体において平均赤血球容積を増加させることを含む方法;慢性疾患を有する被験体において平均赤血球ヘモグロビンを増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体において平均赤血球ヘモグロビンを増加させることを含む方法;慢性疾患を有する被験体において血清鉄を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体において血清鉄を増加させることを含む方法;及び慢性疾患を有する被験体においてトランスフェリン飽和度を上昇させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体においてトランスフェリン飽和度を上昇させることを含む方法を具体的に意図する。これらの内のいずれの一方法においても、前記慢性疾患はある実施形態において、炎症、感染症、免疫不全障害及び腫瘍性障害から成る群から選択されるか、或いは、慢性疾患に伴う貧血、鉄欠乏性貧血、鉄欠乏症、機能性鉄欠乏症及び小球性貧血から成る群から選択される。 更に次の方法、即ち、鉄欠乏症を有する被験体において網状赤血球を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体において網状赤血球を増加させることを含む方法;鉄欠乏症を有する被験体においてヘマトクリットを増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体においてヘマトクリットを増加させることを含む方法;鉄欠乏症を有する被験体においてヘモグロビンを増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体においてヘモグロビンを増加させることを含む方法;鉄欠乏症を有する被験体において赤血球数を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体において赤血球数を増加させることを含む方法;鉄欠乏症を有する被験体において平均赤血球容積を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体において平均赤血球容積を増加させることを含む方法;鉄欠乏症を有する被験体において平均赤血球ヘモグロビンを増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体において平均赤血球ヘモグロビンを増加させることを含む方法;鉄欠乏症を有する被験体において血清鉄を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体において血清鉄を増加させることを含む方法;及び鉄欠乏症を有する被験体においてトランスフェリン飽和度を上昇させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体においてトランスフェリン飽和度を上昇させることを含む方法も提供する。これらの内のいずれの一方法においても、前記鉄欠乏症はある実施形態において機能性鉄欠乏症である。 更に次の方法、即ち、機能性鉄欠乏症を有する被験体において網状赤血球を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体において網状赤血球を増加させることを含む方法;機能性鉄欠乏症を有する被験体においてヘマトクリットを増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体においてヘマトクリットを増加させることを含む方法;機能性鉄欠乏症を有する被験体においてヘモグロビンを増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体においてヘモグロビンを増加させることを含む方法;機能性鉄欠乏症を有する被験体において赤血球数を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体において赤血球数を増加させることを含む方法;機能性鉄欠乏症を有する被験体において平均赤血球容積を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体において平均赤血球容積を増加させることを含む方法;機能性鉄欠乏症を有する被験体において平均赤血球ヘモグロビンを増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体において平均赤血球ヘモグロビンを増加させることを含む方法;機能性鉄欠乏症を有する被験体において血清鉄を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体において血清鉄を増加させることを含む方法;及び機能性鉄欠乏症を有する被験体においてトランスフェリン飽和度を上昇させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体においてトランスフェリン飽和度を上昇させることを含む方法も意図する。 一様相において、本発明は、被験体におけるサイトカイン誘導による赤血球形成の低下の影響を克服或いは改善するための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体におけるサイトカイン誘導による赤血球形成の低下の影響を克服或いは改善することを含む方法を包含する。様々な様相において、サイトカイン誘導による赤血球形成の低下は、EPO産生の抑制或いは鉄代謝の低下である。上述の方法のいずれにおいても、サイトカインは炎症性サイトカインである。更なる実施形態においては、サイトカインはTNF−α、IL−1β及びIFN−γから成る群から選択される。 また、サイトカイン誘導によるVCAM−1発現及び/又はE−セレクチン発現を抑制するための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量をそれを必要とする被験体に投与して、サイトカイン誘導によるVCAM−1発現及び/又はE−セレクチン発現を抑制することを含む方法も提供する。 上述の方法のいずれにおいても、サイトカインは炎症性サイトカインである。更なる実施形態においては、サイトカインはTNF−α、IL−1β及びIFN−γから成る群から選択される。 被験体におけるサイトカイン活性に関連する障害を治療或いは予防するための方法であって、該障害が鉄欠乏症、機能性鉄欠乏症、鉄欠乏性貧血、慢性疾患に伴う貧血及び小球性貧血から成る群から選択される方法において、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、サイトカイン活性に関連する障害を治療或いは予防することを含む方法を本発明で提供する。上述の方法のいずれにおいても、サイトカインは炎症性サイトカインである。更なる実施形態においては、サイトカインはTNF−α、IL−1β及びIFN−γから成る群から選択される。 また、被験体におけるサイトカイン活性に関連する障害を治療或いは予防するための方法であって、該障害が炎症、感染症、免疫不全症及び腫瘍性障害から成る群から選択される病態に関連する該方法において、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、サイトカイン活性に関連する障害を治療或いは予防することを含む方法も提供する。上述の方法のいずれにおいても、サイトカインは炎症性サイトカインである。更なる実施形態においては、サイトカインはTNF−α、IL−1β及びIFN−γから成る群から選択される。 一様相において、本発明は、被験体においてサイトカインの存在下でEPO産生を増加させるための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、前記被験体においてEPO産生を増加させることを含む方法を包含する。また、被験体における小赤血球症を治療或いは予防するための方法であって、HIFαを安定化させる化合物の有効量を前記被験体に投与して、被験体における小赤血球症を治療或いは予防することを含む方法も本発明で提供する。更なる様相において、小赤血球症は、慢性疾患、慢性疾患に伴う貧血、鉄欠乏症、機能性鉄欠乏症、及び鉄欠乏性貧血から成る群から選択される障害に関連する。上述の方法のいずれにおいても、サイトカインは炎症性サイトカインである。更なる実施形態においては、サイトカインはTNF−α、IL−1β及びIFN−γから成る群から選択される。 本発明の治療方法或いは予防方法のいずれにおいても、本発明の化合物の投与を併用療法(他の治療剤、例えば、EPOや鉄、ビタミン類(Bビタミン類等)等の投与を更に含む)の一部として行うことができることを意図する。 HIFαを安定化させる化合物と他の補助剤(supplement)の少なくとも一種とを含むキットを本発明で提供する。一様相において、前記補助剤はエリスロポエチン、鉄及びBビタミン類から成る群から選択されるが、これは本発明で提供される、HIFαを安定化させる化合物と、エリスロポエチン、鉄及びBビタミン類から成る群から選択される少なくとも一種の補助剤とを含む医薬組成物の場合と同様である。 本発明は、サイトカイン濃度の上昇に関連する慢性疾患に伴う貧血を治療或いは予防するための化合物及び方法を提供する。特に、本発明は、サイトカイン濃度が上昇している被験体におけるサイトカイン誘導作用の影響、例えば、EPO産生のサイトカイン抑制やサイトカイン誘導による各種細胞接着因子の発現等を克服或いは改善するのに用いるための方法及び化合物を提供する。 一実施形態において、本発明は、EPO産生のサイトカイン抑制を克服するための方法及び化合物を提供する。このような方法及び化合物は、EPO産生のTNFα及び/又はIL−1β抑制を克服するのに有用であるが、これは例えば、培養Hep3B細胞におけるEPO産生のTNFα及び/又はIL−1β抑制を克服する能力によって評価する。 一実施形態において、本発明は、サイトカイン誘導による各種細胞接着因子の発現増加を抑制するための方法及び化合物を提供する。本発明の方法及び化合物を用いて、TNFα、IL−1β及びIFN−γ誘導による内皮細胞接着因子(例えば、VCAM−1やE−セレクチン)の発現増加を克服することができるが、これは例えば、内皮細胞(HUVEC等)におけるVCAM−1やE−セレクチンの発現レベルの低下によって評価する。 本発明は、被験体における鉄欠乏症を治療或いは予防するための方法及び化合物を提供する。特に、本発明の方法及び化合物を用いて、鉄代謝を増強することができるか、或いは、鉄代謝の低下、例えば、鉄摂取や鉄貯蔵、鉄処理、鉄輸送、鉄動員、鉄利用の低下等に関連する疾患や障害を治療或いは予防することができる。 一様相においては、本発明の方法及び化合物によって、鉄代謝(例えば、輸送や利用、貯蔵等)に関与する因子の発現が調節される。例えば、本発明の方法及び化合物によってトランスフェリンレセプターの発現が増加するが、これは例えば、肝細胞(例えば、Hep3BやHepG2)、腎細胞(例えば、HK−2)或いはリンパ球(例えば、THP−1)におけるトランスフェリンレセプター発現の増加や、ヒト被験者における可溶性トランスフェリンレセプター濃度の上昇によって評価する。本発明の方法及び化合物によってセルロプラスミン遺伝子の発現が増加するが、これは例えば、マウス腎細胞やHep3B細胞における遺伝子発現の増加によって評価する。一様相において、本発明は、ヘプシジン遺伝子の発現を抑制する方法及び化合物を提供するが、この発現抑制は例えば、マウス肝臓におけるヘプシジン遺伝子の発現の抑制によって評価する。更なる様相においては、本発明の方法及び化合物を用いて、NRAMP2や十二指腸シトクロムbレダクターゼ1等の因子の発現を増加するが、これは例えば、マウス腸における遺伝子発現の増加によって評価する。本発明の方法及び化合物によって、ヘム合成経路の最初の酵素であり、ヘム合成の律速酵素である5−アミノレブリン酸シンターゼの発現が増加するが、これは例えば、マウス腸における遺伝子発現の増加によって評価する。 本発明の方法及び化合物を用いて鉄代謝を増強することができる。特に、本発明の方法及び化合物による鉄代謝の増強は、例えば、血清鉄濃度の上昇や、トランスフェリン飽和率の上昇、鉄代謝が低下したラットモデルにおける小赤血球症の抑制によって評価する。 本発明は、赤血球形成の増強を誘導するための方法及び化合物を提供する。特に、本発明の方法及び化合物による赤血球形成の増強は、例えば、ヒト被験者や赤血球形成の低下したラットモデルにおける網状赤血球数の増加やヘマトクリットの増加、赤血球数の増加によって評価するか、或いは、例えば、赤血球形成の低下したラットモデルにおけるヘモグロビン濃度の上昇によって評価する。 本発明の方法及び化合物による小赤血球症の抑制は、例えば、赤血球形成の低下したラットモデルにおける平均赤血球ヘモグロビン濃度の上昇や平均赤血球容積の増加によって評価する。 本発明の方法は、HIFαを安定化させる化合物の有効量を被験体に投与することを含む。この安定化は、例えば、HIFヒドロキシラーゼ活性の阻害によって行うことができる。本発明の好ましい化合物としては、HIFプロリルヒドロキシラーゼ活性を阻害する化合物が挙げられる。この阻害は、例えば、直接的であっても間接的であってもよく、競合的であっても非競合的であってもよい。様々な実施形態において、本発明の化合物は、2−オキソグルタレート模倣物(mimetics)、鉄キレート剤及びプロリン類似物から成る群から選択される。一様相において、2−オキソグルタレート模倣物は、式I、式Ia或いは式Ibの複素環カルボニルグリシンである。他の様相において、鉄キレート剤は式IIIのヒドロキサム酸である。特定の実施形態においては、本明細書に例示のように、本発明の化合物は化合物Dである。 本発明の典型的な化合物としては、[(1−クロロ−4−ヒドロキシ−イソキノリン−3−カルボニル)−アミノ]酢酸(化合物A)や[(4−ヒドロキシ−7−フェノキシ−イソキノリン−3−カルボニル)−アミノ]酢酸(化合物B)、[(4−ヒドロキシ−7−フェニルスルファニル−イソキノリン−3−カルボニル)−アミノ]酢酸(化合物C)、3−{[4−(3,3−ジベンジル−ウレイド)−ベンゼンスルホニル]−[2−(4−メトキシ−フェニル)−エチル]−アミノ}−N−ヒドロキシ−プロピオンアミド(化合物D)が挙げられる。本発明に係る他の化合物及び本発明の他の化合物を同定するための方法については、後に提供する。図1Aは、本発明の方法及び化合物によりEPO産生に対するTNF−αの抑制作用が克服されることを示すデータを示す。図1Bは、本発明の方法及び化合物によりEPO産生に対するTNF−αの抑制作用が克服されることを示すデータを示す。図2Aは、本発明の方法及び化合物によりTNF−αで前処理した細胞においてEPO産生に対するTNF−αの抑制作用が克服されることを示すデータを示す。図2Bは、本発明の方法及び化合物によりTNF−αで前処理した細胞においてEPO産生に対するTNF−αの抑制作用が克服されることを示すデータを示す。図3Aは、本発明の方法及び化合物によりEPO産生に対するIL−βの抑制作用が克服されることを示すデータを示す。図3Bは、本発明の方法及び化合物によりEPO産生に対するIL−βの抑制作用が克服されることを示すデータを示す。図4Aは、本発明の方法及び化合物によりIL−1βで前処理した細胞においてEPO産生に対するIL−1βの抑制作用が克服されることを示すデータを示す。図4Bは、本発明の方法及び化合物によりIL−1βで前処理した細胞においてEPO産生に対するIL−1βの抑制作用が克服されることを示すデータを示す。図5は、本発明の方法及び化合物によりTNF−αに関連するVCAM−1発現が抑制されることを示すデータを示す。図6Aは、本発明の化合物でマウスを処理後のトランスフェリンレセプター及び鉄輸送体の発現の増加を示すデータを示す。図6Bは、本発明の化合物でマウスを処理後の腸内鉄輸送タンパク質の発現の増加を示すデータを示す。図6Cは、本発明の化合物でマウスを処理後の5−アミノレブリン酸シンターゼの発現の増加を示すデータを示す。図7は、本発明の方法及び化合物により慢性疾患に伴う貧血の動物モデルにおいて網状赤血球数が増加したことを示すデータを示す。図8は、本発明の方法及び化合物により慢性疾患に伴う貧血の動物モデルにおいてヘマトクリットが増加したことを示すデータを示す。図9は、本発明の方法及び化合物により慢性疾患に伴う貧血の動物モデルにおいてヘモグロビンレベルが上昇したことを示すデータを示す。図10は、本発明の方法及び化合物により慢性疾患に伴う貧血の動物モデルにおいて赤血球数が増加したことを示すデータを示す。図11は、本発明の方法及び化合物により慢性疾患に伴う貧血の動物モデルにおいて小赤血球症が抑制されたことを示すデータを示す。図12は、本発明の方法及び化合物により慢性疾患に伴う貧血の動物モデルにおいて平均赤血球ヘモグロビンが増加し、血色素減少が改善されたことを示すデータを示す。図13は、本発明の方法及び化合物により正常動物と慢性疾患に伴う貧血の動物モデルにおいてヘマトクリットが増加したことを示すデータを示す。図14は、本発明の方法及び化合物により正常動物と慢性疾患に伴う貧血の動物モデルにおいてヘモグロビンレベルが上昇したことを示すデータを示す。図15は、本発明の方法及び化合物により正常動物と慢性疾患に伴う貧血の動物モデルにおいて赤血球数が増加したことを示すデータを示す。図16は、本発明の方法及び化合物により正常動物と慢性疾患に伴う貧血の動物モデルにおいて平均赤血球容積が改善されたことを示すデータを示す。図17は、本発明の方法及び化合物により正常動物と慢性疾患に伴う貧血の動物モデルにおいて平均赤血球ヘモグロビンレベルが改善されたことを示すデータを示す。図18Aは、本発明の方法及び化合物により正常動物と慢性疾患に伴う貧血の動物モデルにおいて血清鉄濃度が上昇したことを示すデータを示す。図8Bは、本発明の方法及び化合物により正常動物と慢性疾患に伴う貧血の動物モデルにおいてトランスフェリン飽和度が上昇したことを示すデータを示す。図19は、本発明の方法及び化合物により正常動物と慢性疾患に伴う貧血の動物モデルにおいてNRAMP2(slc112a)及びスプラウチン(CYBRD1、十二指腸シトクロムbレダクターゼ1)の遺伝子発現が増加したことを示すデータを示す。図20は、健常ヒト被験者に本発明の化合物を投与した後の網状赤血球の増加を示すデータを示す。図21は、本発明の化合物を投与した健常ヒト被験者における赤血球数の増加を示すデータを示す。図22は、健常ヒト被験者に本発明の化合物を投与した後の可溶性トランスフェリンレセプターレベルの上昇を示すデータを示す。図23は、本発明の化合物を投与した健常ヒト被験者における血清フェリチン濃度の低下を示すデータを示す。図24Aは、本発明の方法及び化合物によりTNF−αに関連するVCAM−1及びE−セレクチンの発現が抑制されたことを示すデータを示す。図24Bは、本発明の方法及び化合物によりTNF−αに関連するVCAM−1及びE−セレクチンの発現が抑制されたことを示すデータを示す。図25は、本発明の方法及び化合物によりTNF−α及びIL−1βに関連するVCAM−1の発現が抑制されたことを示すデータを示す。図26は、本発明の方法及び化合物によりTNF−α、IL−1β及びIFN−γに関連するE−セレクチンの発現が抑制されたことを示すデータを示す。図27Aは、本発明の方法及び化合物とIL−6とにより肝細胞におけるEPOレベルが相乗的に上昇したことを示すデータを示す。図27Bは、本発明の方法及び化合物とIL−6とにより肝細胞におけるEPOレベルが相乗的に上昇したことを示すデータを示す。 本発明の組成物及び方法の説明を行う前に、本発明が、記載された特定の手順やプロトコル、細胞株、アッセイ、試薬に限定されないことは、これらを変更し得ることを考慮すれば理解されるであろう。また、本明細書で用いる用語が本発明の特定の実施形態を記載するためのものであって、決して添付クレームに記載された本発明の範囲を限定するためのものでないことも理解されるであろう。 本明細書及び添付クレーム中で用いられる、単数形を表わす「a」、「an」及び「the」は、文脈で明確に指示されない限り、複数物への言及をも含むと理解されたい。よって、例えば「断片」とあった場合、複数の断片をも含み、「化合物」とは一以上の化合物、及び本明細書に記載され当業者に知られたそれらの等価物(equivalents)を意味する等である。 特に断りのない限り、本明細書に用いられる全ての技術用語及び科学用語が持つ意味は、本発明の属する技術分野の当業者によって通常理解されるものと同じである。本明細書に記載のものと同様或いは等価な方法や材料のいずれも本発明の実施や試験に用いることができるが、ここに記載した方法や装置、材料は好ましいものである。本明細書に引用した全ての刊行物は、本発明に関連して用いられるであろう、該刊行物に記載の手順や試薬、ツールを説明し開示するために、その全内容を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。本明細書の如何なる内容も、本発明が先行発明による開示を先行する資格がないという自認として解釈されるべきではない。 本発明の実施に当たり、特に断りのない限り、当業者の範囲内で、化学、生化学、分子生物学、細胞生物学、遺伝学、免疫学及び薬理学に関する従来法を用いる。このような技法については、各種文献にて十分に説明されている。例えば、ゲナロ(Gennaro),A.R.編(1990年)Remington's Pharmaceutical Sciences、第18版、Mack Publishing社;ハードマン(Hardman),J.G、リンバード(Limbird),L.E.及びギルマン(Gilman),A.G.編(2001年)The Pharmacological Basis of Therapeutics、第10版、McGraw-Hill社;コロウィック(Colowick),S.ら編、Methods In Enzymology、Academic Press社;ウィア(Weir),D.M.及びブラックウェル(Blackwell),C.C.編(1986年)Handbook of Experimental Immunology、Vol.I-IV、Blackwell Scientific Publications;マニアティス(Maniatis),T.ら編(1989年)Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、Vol.I-III、Cold Spring Harbor Laboratory Press;アウスベル(Ausubel),F.M.ら編(1999年)Short Protocols in Molecular Biology、第4版、John Wiley & Sons;レアム(Ream)ら編(1998年)Molecular Biology Techniques: An Intensive Laboratory Course、Academic Press;ニュートン(Newton),C.R.及びグラハム(Graham),A.編(1997年)PCR(Introduction to Biotechniques Series)、第2版、Springer Verlag参照のこと。定義 「慢性疾患に伴う貧血」とは、例えば、感染症や炎症、腫瘍性障害等の拡大によって発症するいずれの貧血をも意味する。こうして発症する貧血は、赤血球寿命の短縮や、新しい赤血球の形成に利用可能な鉄の量の低下をもたらすマクロファージにおける鉄の封鎖(sequestration)によって特徴付けられることが多い。慢性疾患に伴う貧血に関連する病態としては、慢性細菌性心内膜炎や骨髄炎、リウマチ熱、潰瘍性大腸炎、腫瘍性障害が挙げられるが、これらに限定されない。更なる病態としては、感染症や炎症、腫瘍に関連する他の疾患や障害が挙げられ、例えば、炎症性感染症(例えば、肺膿瘍や結核、骨髄炎等)や、炎症性非感染性障害(例えば、関節リウマチや全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythrematosus)、クローン病、肝炎、炎症性大腸炎等)、各種癌、腫瘍及び悪性腫瘍(例えば、癌腫や肉腫、リンパ腫等)が挙げられる。 「障害」、「疾患」及び「病態」は包括的に用いられ、正常から逸脱したいずれの状態をも意味する。 「エリスロポエチン」とは、いずれの組換えエリスロポエチン或いは天然エリスロポエチンをも意味し、例えば、ヒトエリスロポエチン(GenBank受託番号AAA52400;リン(Lin)ら(1985年)Proc Natl Acad Sci USA 82:7580-7584)や、EPOETINヒト組換えエリスロポエチン(アムジェン社、カリフォルニア州サウザンドオークス)、ARANESPヒト組換えエリスロポエチン(アムジェン)、PROCRITヒト組換えエリスロポエチン(オーソ・バイオテック・プロダクツ(Ortho Biotech Products),L.P.、ニュージャージー州ラリタン)等が挙げられる。 「HIFα」とは、低酸素誘導因子タンパク質のαサブユニットを意味する。HIFαは、いずれのヒトタンパク質や他の哺乳類タンパク質であってもよく、或いはその断片であってもよいが、例えば、ヒトHIF−1α(GenBank受託番号Q16665)、ヒトHIF−2α(GenBank受託番号AAB41495)及びヒトHIF−3α(GenBank受託番号AAD22668);マウスHIF−1α(GenBank受託番号Q61221)、マウスHIF−2α(GenBank受託番号BAA20130及びAAB41496)及びマウスHIF−3α(GenBank受託番号AAC72734);ラットHIF−1α(GenBank受託番号CAA70701)、ラットHIF−2α(GenBank受託番号CAB96612)及びラットHIF−3α(GenBank受託番号CAB96611);及びウシHIF−1α(GenBank受託番号BAA78675)が挙げられる。HIFαはいずれの非哺乳類タンパク質であってもよく、或いはその断片であってもよいが、例えば、アフリカツメガエルHIF−1α(GenBank受託番号CAB96628)や、キイロショウジョウバエHIF−1α(GenBank受託番号JC4851)、ニワトリHIF−1α(GenBank受託番号BAA34234)等が挙げられる。また、HIFα遺伝子配列は、通常のクローニング技法、例えば、上述のHIFα遺伝子配列の全て或いは一部をプローブとして用い、他種においてHIFα遺伝子の配列を回収し決定することによっても得ることができる。 HIFαの断片としては、ヒトHIF−1αのアミノ酸401〜603(ファン(Huang)ら、上述)、アミノ酸531〜575(ジャン(Jiang)ら(1997年)J Biol Chem 272:19253-19260)、アミノ酸556〜575(タニモトら、上述)、アミノ酸557〜571(スリニヴァス(Srinivas)ら(1999年)Biochem Biophys Res Commun 260:557-561)及びアミノ酸556〜575(イヴァン(Ivan)及びカエリン(Kaelin)(2001年)Science 292:464-468)によって規定される領域が挙げられる。また、HIFαの断片としては、例えば、HIFα天然配列のL397TLLAP及びL559EMLAPで出現するモチーフLXXLAPの少なくとも一回の出現を含むいずれの断片も挙げられる。更に、HIFαの断片としては、HIFαの少なくとも一種の機能的或いは構造的特性を保持するいずれの断片も挙げられる。 「HIFプロリルヒドロキシラーゼ」及び「HIF PH」とは、HIFタンパク質のプロリン残基をヒドロキシル化することが可能ないずれの酵素をも意味する。好ましくは、HIF PHによってヒドロキシル化されるプロリン残基としては、例えば、ヒトHIF−1α天然配列のL397TLLAP及びL559EMLAPで出現するモチーフLXXLAP内で見出されるプロリンが挙げられる。HIF PHとしては、テイラー(Taylor)(2001年、Gene 275:125-132)によって記載され、アラヴィンド(Aravind)及びクーニン(Koonin)(2001年、Genome Biol 2:RESEARCH0007)、エプスタイン(Epstein)ら(2001年、Cell 107:43-54)及びブルイック(Bruick)及びマックナイト(McKnight)(2001年、Science 294:1337-1340)によって特徴付けられたEgl−Nine(EGLN)遺伝子ファミリーのメンバーが挙げられる。HIFプロリルヒドロキシラーゼ酵素の例としては、ヒトSM−20(EGLN1)(GenBank受託番号AAG33965;デュプイ(Dupuy)ら(2000年)Genomics 69:348-54)、ヒトEGLN2アイソフォーム1(GenBank受託番号CAC42510;テイラー(Taylor)、上述)、ヒトEGLN2アイソフォーム2(GenBank受託番号NP 060025)及びヒトEGLN3(GenBank受託番号CAC42511;テイラー(Taylor)、上述);マウスEGLN1(GenBank受託番号CAC42515)、マウスEGLN2(GenBank受託番号CAC42511)及びマウスEGLN3(SM−20)(GenBank受託番号CAC42517);及びラットSM−20(GenBank受託番号AAA19321)が挙げられる。更に、HIF PHとしては、エレガンス線虫EGL−9(GenBank受託番号AAD56365)やキイロショウジョウバエCG1114遺伝子産物(GenBank受託番号AAF52050)を挙げることができる。また、HIFプロリルヒドロキシラーゼとしては、少なくとも一種の構造的或いは機能的特性を保持する上述の全長タンパク質のいずれの断片も挙げられる。 本明細書に記載の「プロリルヒドロキシラーゼ阻害剤」或いは「PHI」とは、アミノ残基をヒドロキシル化する酵素の活性を抑制或いは調節するいずれの化合物をも意味する。プロリン残基がヒドロキシル化される酵素活性が好ましいが、他のアミノ酸(例えば、アルギニンが挙げられるが、これに限定されない)のヒドロキシル化も意図する。本発明の方法に用いることができる化合物としては、例えば、鉄キレート剤や2−オキソグルタレート模倣物、修飾アミノ酸(例えば、プロリン)類似物が挙げられる。 特定の実施形態において、本発明は、2−オキソグルタレートの構造模倣物(structural mimetics)の使用を提供する。このような化合物は、標的の2−オキソグルタレートジオキシゲナーゼ酵素ファミリーメンバーを2−オキソグルタレートと競合的に阻害する一方、鉄とは非競合的に阻害することができる(マジャマー(Majamaa)ら(1984年)Eur J Biochem 138:239-245;及びマジャマー(Majamaa)ら(1985年)Biochem J 229:127-133)。本発明での使用を具体的に意図するPHIは、例えば、マジャマー(Majamaa)ら、上述;キヴィリッコ(Kivirikko)及びミリハージュ(Myllyharju)(1998年)Matrix Biol 16:357-368;ビッケル(Bickel)ら(1998年)Hepatology 28:404-411:フリードマン(Friedman)ら(2000年)Proc Natl Acad Sci USA 97:4736-4741;フランクリン(Franklin)(1991年)Biochem Soc Trans 19):812 815;フランクリン(Franklin)ら(2001年)Biochem J 353:333-338;及び国際公開WO03/053977号及びWO03/049686号に記載されているが、これら各文献の内容全てを本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。[(1−クロロ−4−ヒドロキシ−イソキノリン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸(化合物A)や[(4−ヒドロキシ−7−フェノキシ−イソキノリン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸(化合物B)、[(4−ヒドロキシ−7−フェニルスルファニル−イソキノリン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸(化合物C)、3−{[4−(3,3−ジベンジル−ウレイド)−ベンジルスルホニル]−[2−(4−メトキシ−フェニル)−エチル]−アミノ}−N−ヒドロキシ−プロピオンアミド(化合物D)等の典型的なPHIを本例で用いて、本明細書に記載の本発明の方法について説明する。発明 本発明は、被験体において赤血球形成の増強或いは完全な赤血球形成を誘導するための方法及び化合物に関する。特に、本発明の方法は、被験体においてHIFαを安定化させることによって赤血球形成の増強或いは完全な赤血球形成を誘導することを含む。HIFプロリルヒドロキシラーゼを阻害することによって赤血球形成の増強を誘導する方法を具体的に意図する。具体的な実施形態において、本発明の方法は、本発明の化合物を被験体に投与することを含む。様々な実施形態において、前記被験体は細胞、組織、器官、器官系、或いは生体全体であり得る。 慢性疾患に伴う貧血は、入院患者において最も一般的な貧血の形態である。慢性疾患に伴う貧血は、炎症性障害や悪性障害(例えば、炎症性感染症(例えば、肺膿瘍や結核、骨髄炎等)や炎症性非感染性障害(例えば、関節リウマチや全身性エリテマトーデス、クローン病、肝炎、炎症性大腸炎等)、各種癌、腫瘍及び悪性腫瘍(例えば、癌腫や肉腫、リンパ腫等)、慢性細菌性心内膜炎、骨髄炎、リウマチ熱、潰瘍性大腸炎、腫瘍性障害等)を有する患者において生じる。 一様相において、本発明は、赤血球形成の増強或いは完全な赤血球形成を誘導して慢性疾患に伴う貧血を治療するための方法を提供する。慢性疾患に伴う貧血は、例えば、関節リウマチやリウマチ熱、炎症性大腸炎、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス、血管炎、腫瘍性障害等の多くの慢性障害に関連すると共に、慢性感染症や慢性炎症にも関連する。赤血球形成の低下や無効な赤血球形成は、慢性疾患に伴う貧血を有する患者においては一般的な病状である。赤血球形成の低下や無効な赤血球形成は、赤血球形成経路における各種代謝異常、例えば、EPO産生の抑制や、骨髄におけるEPO応答性の低下、鉄処理に関する異常(例えば、異常な或いは無効な鉄摂取や鉄動員、鉄貯蔵、鉄吸収)等に起因し得る。 慢性疾患に伴う貧血に関連する障害の生理的特徴としては、炎症性サイトカインの産生の増加が挙げられ(ミーンズ(Means)(1995年)Stem Cells 13:32-37及びミーンズ(Means)(1999年)Int J Hematol 70:7-12)、炎症性サイトカインとしては、例えば、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)やインターロイキン−1β(IL−1β)、インターフェロン−γ(IFN−γ)が挙げられるが、これらは、EPO産生やEPO応答性、鉄代謝の協調的調節を仲介する能力に対し悪影響を及ぼす(例えば、ルードマン(Roodman)ら(1989年)Adv Exp Med Biol 271:185-196;フックス(Fuchs)ら(1991年)Eur J Hematol 46:65-70;ジェルクマン(Jelkmann)ら(1991年)Ann NY Acad Sci 718:300-311;ヴァンヌッキ(Vannucchi)ら(1994年)Br J Hematol 87:18-23;及びオルデンバーグ(Oldenburg)ら(2001年)Aliment Pharmacol Ther 15:429-438参照)。本発明は、EPO産生やEPOシグナル伝達、鉄利用に関する代謝経路及び生理的経路を改善して、完全な赤血球形成或いは赤血球形成の増強と共に、慢性疾患に伴う貧血の抑制或いは改善をもたらすための方法を提供する。 本発明は、慢性疾患に伴う貧血に対する既存の療法(例えば、組換えEPOの投与等)に勝る利益を提供する。EPO産生の低下は、赤血球形成低下の一局面に過ぎず、組換えEPOの投与が、慢性疾患に伴う貧血の患者に見られる赤血球形成の低下に関連する他の不全(deficiencies)には対応しないことが認められている(例えば、クリボン(Clibon)ら(1990年)Exp Hematol 18:438-441、及びマクドーゴール(Macdougall)及びクーパー(Cooper)(2002年)Neprol Dial Transplant 17(11):39-43参照)。このような不全としては、例えば、骨髄のEPO応答性の低下や、完全な(complete or total)赤血球形成を引き起こす多くの鉄代謝面(腸からの鉄吸収や、鉄の経腸細胞輸送、ヘフェスチンやセルロプラスミンによる鉄の3価状態(ferric state)への酸化、トランスフェリンやトランスフェリンレセプターによる鉄の結合や摂取、ヘム合成等の鉄利用が生じる骨髄への鉄輸送等)の低下が挙げられる。上述の理由から、多くの患者は組換えEPOの投与に対して反応せず、組換えEPOの用量を増加しても、組換えEPO投与に対する応答は小さいか全くない。 慢性疾患に伴う貧血における炎症性サイトカインの蔓延(prevalence)によって、例えば、適切なヘム合成に鉄を必要とする新生赤血球前駆体に容易に接近できない細胞区画内のマクロファージで主に血清鉄濃度が低下し、鉄貯蔵が増加する。本発明は、完全な(complete and total)赤血球形成を引き起こす代謝経路を増強するための方法を提供する。一実施形態において、上述の治療剤(the therapeutic)は、その効果を更に高める補助剤(例えば、鉄やBビタミン類)と併用投与する。 慢性疾患に伴う貧血はフェリチン濃度の上昇に関連する。フェリチン濃度が高くても、慢性疾患に伴う貧血を有する被験体は鉄を効果的に利用することができない。フェリチン濃度が高い場合には、骨髄への鉄の再循環が低下し鉄貯蔵が増加していることを示し、即ち、慢性疾患に伴う貧血や尿毒性慢性腎疾患患者によく見られる擬似炎症状態に関連することの多い機能性鉄欠乏症を示す。本発明の方法及び化合物は、フェリチン濃度を低下させることによって貯蔵鉄を減少させ、トランスフェリンやトランスフェリンレセプターによる鉄の再循環を高める。血清フェリチン濃度が低下すれば、鉄利用が高まると共に骨髄への鉄の再循環が高まって、ヘム産生や赤血球形成のための鉄利用能が増加することを示すことになる。 低酸素症に対するゲノム応答としては、急性及び慢性酸素欠乏作用を改善するための細胞生理機能や遺伝子発現の変化が挙げられる。低酸素誘導因子(HIF)は、酸素によって制御される(oxygen-regulated)αサブユニット(HIFα)と構成的に発現されるβサブユニット(HIFβ)とから成る転写因子である。HIFαは、正常酸素圧(normoxic)環境下では、HIF特異的プロリンヒドロキシラーゼ(HIF−PH)による特定のプロリン残基のヒドロキシル化に起因して不安定化する。しかし、酸素が限界になると(例えば、低酸素環境下では)、HIF−PHはHIFαをヒドロキシル化できないため、このサブユニットは分解劣化せず(not degraded)、活性HIF複合体を形成し、核へ転位し、遺伝子転写を活性化する。 ある様相において、本発明は、低酸素症を薬学的に模倣する(pharmaceutically mimicking)ことによって慢性疾患に伴う貧血を治療する方法を提供する。ある様相において、本発明の方法は、炎症性サイトカインの抑制作用に抵抗する形でEPO産生を増強する。EPO産生は通常、低酸素によって誘導されるが、その発現や分泌は、慢性疾患患者によく見られる炎症性サイトカイン(TNF−αやIL−1β、IFN−γ等)の存在下では抑制されたままである(例えば、ミーンズ(Means)(1995年)Stem Cells 13:32-37;ミーンズ(Means)(1999年)Int J Hematol 70:7-12;ルードマン(Roodman)ら(1989年)Adv Exp Med Biol 271:185-196;フックス(Fuchs)ら(1991年)Eur J Hematol 46:65-70;ジェルクマン(Jelkmann)ら(1991年)Ann NY Acad Sci 718:300-311;及びヴァンヌッキ(Vannucchi)ら(1994年)Br J Hematol 87:18-23参照)。プロリルヒドロキシラーゼ阻害剤は、EPO産生に対する炎症性サイトカインの抑制作用を少なくとも一部克服するが、これは、Hep3B細胞がEPOを炎症性サイトカインの存在下で見られるレベルを超えて分泌できることから明らかである(例えば、図1A、1B、2A、2B、3A、3B、4A及び4B参照)。また、鉄キレート剤やデスフェリオキサミン等の剤も、エリスロポエチン抵抗性貧血(例えば、慢性疾患に伴う貧血)の検討において多少の効果を示した(例えば、サルヴァラニ(Salvarani)ら(1996年)Rheumatol Int 16:45-48及びゴッホ(Goch)ら(1995年)Eur J Hematol 55:73-77参照)。 他の様相において、本発明は、炎症性サイトカインの存在下でのEPOレセプターによるシグナル伝達を改善するための方法を提供する。慢性疾患患者における炎症性サイトカインの蔓延(prevalence)によって、EPOシグナル伝達の効率が低下するが、これは、多くの患者が赤血球形成の増強に伴って組換えEPOに応答できなくなることから明らかである。これは、EPO生物活性に対する感受性の低下と共に、骨髄の構造及び/又は微小環境における不全によって生じると思われる(例えば、クリボン(Clibon)ら(1990年)Exp Hematol 18:438-441、及びマクドーゴール(Macdougall)及びクーパー(Cooper)(2002年)Neprol Dial Transplant 17(11):39-43参照)。ある実施形態において、本発明は、EPOレセプターによるシグナル伝達に対する適切な細胞の感受性を回復させることによって完全な赤血球形成を誘導するための方法を提供する。 鉄欠乏症は、世界中で最も一般的な栄養欠乏症の一種であり、世界的規模で貧血の主要原因である。鉄バランスは、赤血球形成の速度(rate)及び鉄貯蔵のサイズによって基本的に調節される。鉄欠乏症は貧血を伴っても伴わなくても生じ得るが、認知発達の障害と関連付けられている。 鉄欠乏症は、鉄の供給(レベル或いは貯蔵)の低下、或いは体内での鉄利用能や鉄利用の低下として定義される。鉄欠乏症は、栄養欠乏(例えば、食事中の鉄不足);外科手術(胃切除後)や疾患(クローン病)等に起因する鉄の吸収不良;傷害や外傷、月経、献血、瀉血(様々な処置や外科手術等に起因)による慢性或いは急性失血に起因する鉄供給の減少や鉄損失の増加;或いは、幼児期や青年期の急速な成長、妊娠、エリスロポエチン療法等に起因する鉄需要の増加によって生じ得る。 鉄欠乏症は、機能性鉄欠乏症、例えば、被験体の貯蔵鉄に接近し利用する能力の低下によって特徴付けされる鉄欠乏症でもあり得る。赤血球を正常にヘモグロビン化させるのに十分な速度(rate)で鉄を利用できないため、網状赤血球や赤血球の細胞内ヘモグロビン含量が低下する。機能性鉄欠乏症は、見かけ上鉄貯蔵が正常であるか増加していても鉄利用能が低下(例えば、低レベルのトランスフェリン飽和率によって評価される)している健常な個体によく見られる。この種の鉄欠乏症は急性炎症或いは慢性炎症に関連することが多い。 鉄欠乏症はいずれの種類であっても鉄欠乏性或いは鉄制限性(iron-restricted)赤血球形成を引き起こし得るが、その際、赤血球数は減少し、循環赤血球は正常よりも小さく(小球性)、また、ヘモグロビンが十分にないため、それ自体色が薄くなる(低色素性)。 鉄欠乏症(例えば、機能性鉄欠乏症)の被験体においては、ヘモグロビン合成の低下、トランスフェリン飽和率(%)の低下、及びヘモグロビンやヘマトクリットのレベルが低下が生じて、鉄欠乏性貧血が発症し得る。鉄欠乏性貧血は世界中で最も一般的な貧血である。鉄はヘモグロビンの必須成分であり、鉄が無いと、骨髄はヘモグロビンを効果的に産生することができない。鉄欠乏性貧血は鉄供給が減少或いは低下した被験体において発症することもあり、或いは、機能性鉄欠乏症(即ち、鉄は貯蔵されているがヘモグロビン産生等に利用できない)の被験体において発症することもある。 一般に、鉄代謝は、細胞、組織、器官、器官系或いは生体全体が特定の鉄代謝プロセスを変更(例えば、増加や減少)することによって鉄ホメオスタシスを維持する各種プロセスを包含する。鉄代謝或いは鉄代謝プロセスは、鉄処理や鉄輸送、鉄摂取、鉄利用、鉄貯蔵、鉄動員、鉄吸収等に関与するプロセスを包含する。鉄代謝及び鉄処理の具体的な様相としては、鉄の細胞膜の透過や細胞による鉄の保持或いは分泌を促進する酵素及び鉄輸送体の発現;血中の鉄輸送に関与するタンパク質の発現の変化;トランスフェリン及びトランスフェリンレセプターの発現の変化;鉄吸収に関与するタンパク質の発現及び/又は活性の変化;鉄関連転写及び翻訳調節タンパク質の発現及び活性の変化;及び体液や培養液(例えば、間質液(即ち、細胞外液)や細胞内液、血液、骨髄等)内での鉄分布の変化が挙げられる。 ある様相において、本発明は、鉄摂取、鉄輸送、鉄処理及び鉄利用を改善するための方法を提供する。慢性疾患に伴う貧血は、ヘム合成やヘモグロビン形成に悪影響を及ぼして、赤血球形成を低下させる鉄利用の不全に関連する(例えば、オルデンバーグ(Oldenburg)ら(2001年)Aliment Pharmacol Ther 15:429-438参照)。慢性疾患患者における血清鉄濃度の低下や鉄動員の低下、それに伴う鉄貯蔵の増加は、長期の炎症状態下でのマクロファージの微生物防御機構に関連することがある(フックス(Fuchs)ら(1991年)Eur J Hematol 46:65-70参照)。ある様相において、本発明は、HIFαを安定化させることによって効果的な鉄代謝を増加させるための方法を提供する。 数多くのタンパク質が鉄代謝を仲介するが、例えば、赤血球5−アミノレブリン酸シンターゼ(ALAS)(ヘム合成における最初の段階且つ律速段階)(ボトムレイ(Bottomley)及びミュラー−エバーハード(Muller-Eberhard)(1988年)Semin Hematol 25:282-302、及びイン(Yin)ら(1998年)Blood, Cells, Molecules, and Diseases 24(3):41-533)やトランスフェリン、トランスフェリンレセプター、鉄輸送体(鉄輸送に関与)、セルロプラスミン等のタンパク質が挙げられる。トランスフェリンやトランスフェリンレセプターの発現の増加によって、赤血球前駆体による鉄摂取が刺激され、マクロファージによる骨髄への鉄輸送及び鉄摂取が促進される(ゴスワミ(Goswami)ら(2002年)Biochem Cell Biol 80:679-689)。セルロプラスミンによって2価鉄の3価鉄への酸化が増加してトランスフェリンへの結合が生じる(ゴスワミ(Goswami)ら(2002年)Biochem Cell Biol 80:679-689)。ある様相において、本発明の方法は、赤血球5−アミノレブリン酸シンターゼやトランスフェリン、トランスフェリンレセプター、NRAMP2、スプラウチン(十二指腸シトクロムbレダクターゼ1)、セルロプラスミン等の鉄代謝に関与するタンパク質の発現或いは活性を増加させることによって鉄代謝を増加させる。他の様相において、本発明の方法は、ヘプシジンの発現或いは活性を抑制し、フェリチンの発現を調節することによって鉄代謝を増加させる。 一実施形態において、本発明は、鉄代謝や鉄処理(鉄摂取や鉄貯蔵、鉄輸送、鉄吸収等)に関与する産物を産生する遺伝子の発現を増加させるための方法及び化合物を提供する。このような遺伝子としては、トランスフェリンレセプターやセルロプラスミン、NRAMP2、5−アミノレブリン酸シンターゼ、スプラウチン(CYBRD1)等が挙げられるが、これらに限定されない。鉄代謝や鉄処理に関与する遺伝子の治療的アップレギュレーションによって鉄利用能が効果的に増加して、慢性疾患に伴う貧血や鉄欠乏性貧血、機能性鉄欠乏症等の患者において有益な効果をもたらすであろう。他の実施形態において、本発明は、鉄調節に関連するタンパク質であるヘプシジンの発現を抑制するための方法及び化合物を提供する。 適切な鉄代謝の調節については、フェリチン(鉄貯蔵)やミトコンドリアアコニターゼ(エネルギー代謝)、赤血球アミノレブリン酸シンターゼ、トランスフェリンレセプター等をコードするmRNAの5’−及び/又は3’−UTRで見出される鉄応答性要素(IRE)に結合する鉄応答要素結合タンパク質(iron response-element binding proteins)(IRP)によって部分的に行われる。フェリチン転写等において生じる5’−IREへのIRP結合によってmRNAの翻訳が阻害され、トランスフェリン転写等において生じる3’−IREへのIRP結合によってmRNAが劣化から守られる。IRP−2は細胞内で構成的に形成されるが、鉄が豊富な条件下では劣化して不活性化する。しかし、IRP−2は、鉄枯渇及び/又は低酸素条件下では安定化する(ハンソン(Hanson)ら(1999年)J Biol Chem 274:5047-5052)。IRP−2は長期の鉄貯蔵に関与するフェリチンの発現を抑制し、トランスフェリンやトランスフェリンレセプターの発現を増加させるため、IRP−2によって鉄摂取や鉄輸送、鉄利用が促進されて、赤血球形成が増強される(クラウスナー(Klausner)ら(1993年)Cell 72:19-28)。最近では、IREの説明が、赤血球形成にも必要な他の遺伝子、例えば、5−アミノレブリン酸シンターゼやNRAMP2鉄輸送体(Slc11a2、DCT1、DMT1、mk(マウスの小球性貧血遺伝子座)としても知られている)、食源から十二指腸への鉄吸収を仲介する鉄輸送体等においてなされている(ハイレ(Haile)(1999年)Am J Med Sci 318:230-240、及びグンシン(Gunshin)ら(2001年)FEBS Lett 509:309-316)。 本発明の方法は、低酸素状態を模倣することによって、HIFαに加えてIRP−2を潜在的に安定化し、内因性EPOの産生と機能性赤血球(functional erythrocytes)産生における鉄摂取や鉄輸送、鉄利用の増強とに関する相乗効果をもたらす。 成人において、食事に含まれる鉄の吸収は男性の場合、平均で約6%、妊娠していない女性の場合、平均で13%である。NRAMP2(DMT1、DCT1、slc11a2としても知られる)は、非トランスフェリン結合鉄の膜透過輸送に関与する、遍在的に発現される2価金属輸送体である。NRAMP2は、消化管から十二指腸細胞への鉄輸送及び赤芽球エンドソームから細胞質への鉄輸送に関連する鉄輸送タンパク質である。食事由来鉄(dietary iron)の欠乏に陥っている動物においては、近位十二指腸の円柱吸収上皮における腸細胞の先端極内でNRAMP2(slc11a2)の発現が劇的に増加した(例えば、キャノン−エルゴー(Canonne-Hergaux)ら(1999年)Blood 93:4406-4417参照)。遺伝的げっ歯類モデルにおいては、この遺伝子と鉄欠乏症関連貧血とが結び付けられている(例えば、変異NRAMP2遺伝子を有する低色素及び小球性貧血マウス(mkマウス))。MKマウスは鉄吸収や赤血球鉄利用において著しい不全を示す。 ある様相において、本発明の方法及び化合物は、食事に含まれる鉄の吸収を増加させる上で有用である。本発明は、鉄の輸送、吸収に関連する遺伝子の発現を増加させるための方法及び化合物を提供する。特に、本発明の化合物は、腸内のNRAMP2の発現の増加に効果的であった。NRAMP2(slc11a2)の発現が増加すれば、例えば、食事に含まれる鉄の腸からの吸収を増加させる上で望ましいであろう。 更に、本発明は、本発明の化合物で処理した動物の腸内でスプラウチン遺伝子の発現が増加することを示すデータを提供する。Dcytb及びCybrd1(CYBRD1、十二指腸シトクロムbレダクターゼ1)としても知られるスプラウチン腸内鉄レダクターゼは、3価鉄レダクターゼ(ferric reductase)であり、細胞外3価鉄から鉄吸収に関連する2価鉄への還元を触媒する。鉄欠乏動物において、スプラウチンは十二指腸絨毛の先端領域でNRAMP2と共発現する(例えば、マッキー(McKie)ら(2001年)Science 291:1755-1759)。 本発明の方法及び化合物は、セルロプラスミン遺伝子の発現を増加させる上で有用である。フェロキシダーゼ−1としても知られるセルロプラスミンは、貯蔵部位から放出される還元鉄(フェリチン等)を酸化型へと変化させる。酸化された鉄は、その血漿輸送タンパク質であるトランスフェリンに結合することができる。セルロプラスミン欠乏は肝臓や他の組織への鉄の蓄積に関連する。セルロプラスミンによって肝臓からの鉄の流出が促進され、鉄欠乏細胞への鉄の流入が促進される証拠が示されている(例えば、トラン(Tran)ら(2002年)J Nutr 132:351-356参照)。 本発明の化合物によって、マウス肝臓におけるヘプシジンmRNAの発現が抑制された。炎症によってIL−6の産生が引き起こされ、それが肝細胞に作用してヘプシジン産生を誘導する。ヘプシジンはマクロファージの鉄放出と腸内鉄吸収を阻害し、鉄利用能を低下させて、例えば、低鉄血症を引き起こす。ヘプシジン発現の抑制は、細網内皮細胞からの鉄放出の増加及び腸内鉄吸収の増加に関連する。従って、本発明の方法及び化合物は、ヘプシジン発現を抑制し、腸内鉄吸収を増加させ、低鉄血症を抑制する上で有用である。 C型肝炎ウイルス(HCV)感染に関連する貧血を治療するための方法を具体的に意図する。HCV感染に対する現在の療法としては、インターフェロン−αとリバビロンの併用が挙げられる。この併用療法はヘモグロビン濃度の低下及び貧血を伴う。一様相においては、HCV感染に関連する貧血を治療するための方法及び化合物を提供する。他の様相においては、HCV感染のインターフェロン−α療法に伴う貧血を治療するための方法及び化合物を提供する。他の様相において、本発明は、HCV感染のリバビリン療法に伴う貧血を治療する上で有用な化合物及び方法を提供する。 また、造血幹細胞(HSC)やCFU−GEMM(コロニー形成単位顆粒球/赤血球/単球/巨核球)細胞等の造血前駆細胞からの赤血球の分化に必要な因子の産生を増加させるための方法も意図する。赤血球形成を刺激する因子としてはエリスロポエチンが挙げられるが、これに限定されない。他の様相においては、本発明の方法によって、鉄摂取や鉄輸送、鉄利用に必要な因子の産生が増加する。このような因子としては、赤血球アミノレブリン酸シンターゼやトランスフェリン、トランスフェリンレセプター、セルロプラスミン、フェリチン等が挙げられるが、これらに限定されない。更に他の様相においては、本発明の方法によって、赤血球の分化に必要な因子が増加し、更に鉄摂取や鉄輸送、鉄利用に必要な因子が増加する。 また、エリスロポエチンに対する造血前駆体の応答性を増強するための方法も意図する。上述のように、このような前駆体としてはHSCやCFU−GEMM等が挙げられる。このような前駆細胞の応答性の増強については、例えば、エリスロポエチンレセプターの発現、エリスロポエチンシグナル伝達に関与する細胞内因子の発現、及びエリスロポエチンと該レセプターとの相互作用を促進する分泌因子の発現を変化させることによって行うことができる。本発明は、EPOレセプター発現の増加等によって骨髄のEPO応答性を増強するための方法を提供する。方法 本発明においては様々な方法を提供する。一様相において、本発明の方法は、HIFαを安定化させる剤を被験体に投与することを含む。 HIFαの安定化は、当業者が利用可能で知っている方法のいずれによっても行うことができ、HIFαと相互作用或いは結合したり、HIFαを修飾する剤のいずれか、或いはHIFαと相互作用する因子(例えば、HIFαが基質となる酵素)を用いることができる。ある様相において、本発明は、構造的に安定なHIFα変異体(例えば、安定なHIFムテイン等)或いはこのような変異体をコードするポリヌクレオチドを提供することを意図する(例えば、米国特許第6,562,799号及び6,124,131号;及び米国特許第6,432,927号参照)。他の様相において、本発明は、HIFαの安定化がHIFαを安定化させる剤の投与を含むことを意図する。この剤は、ポリヌクレオチド(例えば、アンチセンス配列)(例えば、国際公開WO03/045440号参照)やポリペプチド、抗体、他のタンパク質、炭水化物、脂肪、脂質、有機及び無機物質(例えば、小分子等)から構成することができる。好ましい実施形態において、本発明は、例えば、被験体におけるHIFαの安定化をHIFα安定化剤(ここでは、該剤はHIFαを安定化させる小分子化合物等の化合物である)を前記被験体に投与することによって行うことを意図する。 他の実施形態において、本発明の方法は、2−オキソグルタレートジオキシゲナーゼファミリーから選択される少なくとも一種の酵素の活性を阻害することによってHIFαを安定化させることを含む。好ましい実施形態において、該酵素はHIFヒドロキシラーゼ酵素、例えば、EGLN−1やEGLN−2、EGLN−3等である(例えば、テイラー(Taylor)(2001年)Gene 275:125-132;エプスタイン(Epstein)ら(2001年)Cell 107:43-54;及びブルイック(Bruick)及びマックナイト(McKnight)(2001年)Science 294:1337-1340参照)。しかし、該酵素が2−オキソグルタレートジオキシゲナーゼ酵素ファミリーから選択される酵素のいずれかであることを具体的に意図しており、このような酵素としては、例えば、プロコラーゲンリシルヒドロキシラーゼやプロコラーゲンプロリル3−ヒドロキシラーゼ、プロコラーゲンプロリル4−ヒドロキシラーゼα(I)及びα(II)、チミン7−ヒドロキシラーゼ、アスパルチル(アスパラギニル)β−ヒドロキシラーゼ、ε−N−トリメチルリシンヒドロキシラーゼ、γ−ブチロベタインヒドロキシラーゼ等が挙げられる(例えば、マジャマー(Majamaa)ら(1985年)Biochem J 229:127-133;ミリハージュ(Myllyharju)及びキヴィリッコ(Kivirikko)(1997年)EMBO J 16:1173-1180;ソーンバーグ(Thornburg)ら(1993年)32:14023-14033;及びジア(Jia)ら(1994年)Proc Natl Acad Sci USA 91:7227-7231参照)。 ある実施形態において、本発明の方法は、HIFαを安定化させる剤の有効量を被験体に投与することによって慢性疾患に伴う貧血を治療すること或いは鉄代謝を調節することを含む。好ましい実施形態において、該剤は本発明の化合物である。一様相において、本発明の化合物は、HIFαのある残基(例えば、プロリン残基やアスパラギン残基等)のヒドロキシル化を阻害することによってHIFαを安定化させる。好ましい実施形態において、該残基はプロリン残基である。具体的な実施形態において、該残基は、HIF−1αのP564残基か他のHIFαアイソフォームの相同プロリン、或いはHIF−1αのP402残基か他のHIFαアイソフォームの相同プロリン等であり得る。他の実施形態において、本発明の方法は、HIFαアスパラギン残基(例えば、HIF−1αのN803残基や他のHIFαアイソフォームの相同アスパラギン残基)のヒドロキシル化を阻害することを包含し得る。化合物 好ましい方法において、本発明の方法は、HIFαを安定化させる化合物の有効量を被験体に投与することを含む。典型的な化合物については、例えば、国際公開WO03/049686号及び国際公開WO03/053997号に開示されているが、これらの内容全てを本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。具体的には、本発明の化合物としては次のものが挙げられる。 ある実施形態において、本発明の化合物はHIFヒドロキシラーゼ活性を阻害する化合物である。様々な実施形態において、該活性はHIFプロリルヒドロキシラーゼ(例えば、EGLN1やEGLN2、EGLN3等)に起因する。他の実施形態において、該活性はHIFアスパラギニルヒドロキシラーゼ(例えば、FIHが挙げられるが、これに限定されない)に起因する。本発明の好ましい化合物はHIFプロリルヒドロキシラーゼ活性を阻害する化合物である。この阻害は、例えば、直接的であっても間接的であってもよく、競合的であっても非競合的であってもよい。 一様相において、本発明の化合物は、2−オキソグルタレートジオキシゲナーゼ酵素の活性を阻害するか或いは調節する化合物のいずれかである。2−オキソグルタレートジオキシゲナーゼ酵素としては、ヒドロキシラーゼ酵素が挙げられるが、これに限定されない。ヒドロキシラーゼ酵素は標的基質残基をヒドロキシル化するが、該酵素としては、例えば、プロリル、リシル、アスパラギニル(アスパラギル、アスパルチル)ヒドロキシラーゼ等が挙げられる。ヒドロキシラーゼは標的基質によって表されることもあり(例えば、HIFヒドロキシラーゼやプロコラーゲンヒドロキシラーゼ等)、及び/又は標的基質内の標的残基によって表されることもあり(例えば、プロリルヒドロキシラーゼやリシルヒドロキシラーゼ等)、或いはその両方で表されることもある(例えば、HIFプロリルヒドロキシラーゼやプロコラーゲンプロリルヒドロキシラーゼ等)。代表的な2−オキソグルタレートジオキシゲナーゼ酵素としては、HIFプロピルヒドロキシラーゼ(例えば、EGLN1やEGLN2、EGLN3)やHIFアスパラギニルヒドロキシラーゼ(例えば、HIF阻害因子(FIH))等のHIFヒドロキシラーゼ;プロコラーゲンリシルヒドロキシラーゼやプロコラーゲンプロピルヒドロキシラーゼ(例えば、プロコラーゲンプロピル3−ヒドロキシラーゼやプロコラーゲンプロピル4−ヒドロキシラーゼα(I)及びα(II))等のプロコラーゲンヒドロキシラーゼ;チミン7−ヒドロキシラーゼ;アスパルチル(アスパラギニル)β−ヒドロキシラーゼ;ε−N−トリメチルリシンヒドロキシラーゼ;γ−ブチロベタインヒドロキシラーゼ等が挙げられるが、これらに限定されない。酵素活性としては、2−オキソグルタレートジオキシゲナーゼのいずれかに関連するいずれの活性をも挙げることができるが、基質内のアミノ酸残基のヒドロキシル化を具体的に意図する。基質内のプロリン及び/又はアスパラギン残基のヒドロキシル化を具体的に包含するが、他のアミノ酸のヒドロキシル化も意図する。 一様相において、一以上の2−オキソグルタレートジオキシゲナーゼ酵素に対して阻害活性を示す本発明の化合物は、他の一以上の2−オキソグルタレートジオキシゲナーゼ酵素に対しても阻害活性を示し得る(例えば、HIFヒドロキシラーゼの活性を阻害する化合物は、更にコラーゲンプロリルヒドロキシラーゼの活性を阻害することができ、HIFプロリルヒドロキシラーゼの活性を阻害する化合物は、更にHIFアスパラギニルヒドロキシラーゼの活性を阻害することができる等)。 HIFαはプロリンのヒドロキシル化(即ち、酸素とFe2+を必要とする反応)によって修飾されるため、本発明は一様相において、HIFαのヒドロキシル化に関与する酵素が2−オキソグルタレートジオキシゲナーゼファミリーのメンバーであることを意図する。このような酵素としては、プロコラーゲンリシルヒドロキシラーゼやプロコラーゲンプロリル3−ヒドロキシラーゼ、プロコラーゲンプロリル4−ヒドロキシラーゼα(I)及びα(II)、チミン7−ヒドロキシラーゼ、アスパルチル(アスパラギニル)β−ヒドロキシラーゼ、ε−N−トリメチルリシンヒドロキシラーゼ、γ−ブチロベタインヒドロキシラーゼ等が挙げられるが、これらに限定されない。このような酵素はそのヒドロキシラーゼ活性のために酸素、Fe2+、2−オキソグルタレート及びアスコルビン酸を必要とする(例えば、マジャマー(Majamaa)ら(1985年)Biochem J 229:127-133;ミリハージュ(Myllyharju)及びキヴィリッコ(Kivirikko)(1997年)EMBO J 16:1173-1180;ソーンバーグ(Thornburg)ら(1993年)32:14023-14033;及びジア(Jia)ら(1994年)Proc Natl Acad Sci USA 91:7227-7231参照)。 一様相において、本発明の化合物はHIFαを安定化させる化合物である。好ましくは、本発明の化合物はHIFヒドロキシラーゼ活性の阻害によってHIFαを安定化させる。よって、本発明の化合物が先に同定されたヒドロキシラーゼ活性モジュレーターから選択されることを具体的に意図する。例えば、プロリル4−ヒドロキシラーゼの小分子阻害剤が同定されている(例えば、マジャマー(Majamaa)ら(1984年)Eur J Biochem 138:239-245;マジャマー(Majamaa)ら(1985年)Biochem J 229:127-133;キヴィリッコ(Kivirikko)及びミリハージュ(Myllyharju)(1998年)Matrix Biol 16:357-368;ビッケル(Bickel)ら(1998年)Hepatology 28:404-411;フリードマン(Friedman)ら(2000年)Proc Natl Acad Sci USA 97:4736-4741;及びフランクリン(Franklin)ら(2001年)Biochem J 353:333-338参照、これらの内容全てを本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する)。本発明は、本発明で提供する方法におけるこれらの化合物の使用を意図する。 ある様相においては、本発明の化合物として、例えば、2−オキソグルタレートの構造模倣物(structural mimetics)が挙げられる。このような化合物は、標的の2−オキソグルタレートジオキシゲナーゼ酵素ファミリーメンバーを2−オキソグルタレートと競合的に阻害し、鉄とは非競合的に阻害することができる(マジャマー(Majamaa)ら(1984年)Eur J Biochem 138:239-245;及びマジャマー(Majamaa)ら、Biochem J 229:127-133)。 ある実施形態において、本発明の方法に用いる化合物は式(I)の化合物から選択される。 式(I)中、Aは1,2−アリーリデン、1,3−アリーリデン、1,4−アリーリデン、或いは(C1−C4)−アルキレンであって、これらは1個或いは2個のハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−ヒドロキシアルキル、(C1−C6)−アルコキシ、−O−[CH2]x−CfH(2f+1-g)Halg、(C1−C6)−フルオロアルコキシ、(C1−C8)−フルオロアルケニルオキシ、(C1−C8)−フルオロアルキニルオキシ、−OCF2Cl、−O−CF2−CHFClで任意に置換されていてもよく、(C1−C6)−アルキルメルカプト、(C1−C6)−アルキルスルフィニル、(C1−C6)−アルキルスルホニル、(C1−C6)−アルキルカルボニル、(C1−C6)−アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−(C1−C4)−アルキルカルバモイル、N,N−ジ−(C1−C4)−アルキルカルバモイル、(C1−C6)−アルキルカルボニルオキシ、(C3−C8)−シクロアルキル、フェニル、ベンジル、フェノキシ、ベンジルオキシ、アニリノ、N−メチルアニリノ、フェニルメルカプト、フェニルスルホニル、フェニルスルフィニル、スルファモイル、N−(C1−C4)−アルキルスルファモイル、N,N−ジ−(C1−C4)−アルキルスルファモイルで任意に置換されていてもよく、或いは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルコキシ、−O−[CH2]x−CfH(2f+1-g)Halg、−OCF2Cl、−O−CF2−CHFCl、(C1−C6)−アルキルメルカプト、(C1−C6)−アルキルスルフィニル、(C1−C6)−アルキルスルホニル、(C1−C6)−アルキルカルボニル、(C1−C6)−アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−(C1−C4)−アルキルカルバモイル、N,N−ジ−(C1−C4)−アルキルカルバモイル、(C1−C6)−アルキルカルボニルオキシ、(C3−C8)−シクロアルキル、スルファモイル、N−(C1−C4)−アルキルスルファモイル、N,N−ジ−(C1−C4)−アルキルスルファモイルから選択される1〜5個の同一或いは異なる置換基をアリール部分に有する置換(C6−C12)−アリールオキシ、(C7−C11)−アラルキルオキシ、(C6−C12)−アリール、(C7−C11)−アラルキル基で任意に置換されていてもよく;又は式(I)中、Aは−CR5R6であり、R5及びR6は各々独立して、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、アリール、或いはα−アミノ酸のα炭素原子の置換基(該アミノ酸は天然L−アミノ酸或いはそのD異性体)から選択される。 Bは、−CO2H、−NH2、−NHSO2CF3、テトラゾリル、イミダゾリル、3−ヒドロキシイソキサゾリル、−CONHCOR'''、−CONHSOR'''、CONHSO2R'''であり、R'''はアリール、ヘテロアリール、(C3−C7)−シクロアルキル、或いは(C1−C4)−アルキルであって、これらは(C6−C12)−アリール、ヘテロアリール、OH、SH、(C1−C4)−アルキル、(C1−C4)−アルコキシ、(C1−C4)−チオアルキル、(C1−C4)−スルフィニル、(C1−C4)−スルホニル、CF3、Cl、Br、F、I、NO2、−COOH、(C2−C5)−アルコキシカルボニル、NH2、モノ−(C1−C4−アルキル)−アミノ、ジ−(C1−C4−アルキル)−アミノ、或いは(C1−C4)−パーフルオロアルキルによって任意に一置換されていてもよく;又は式I中、BはCO2−Gカルボキシル基であり、GはアルコールG−OHを構成する基であって、Gは、(C1−C20)−アルキル基、(C3−C8)シクロアルキル基、(C2−C20)−アルケニル基、(C3−C8)−シクロアルケニル基、レチニル基、(C2−C20)−アルキニル基、(C4−C20)−アルケニニル基(ここで、該アルケニル、該シクロアルケニル、該アルキニル、及び該アルケニニル基は1以上の多重結合を含む)、(C6−C16)−炭素環アリール基、(C7−C16)−炭素環アラルキル基、ヘテロアリール基、或いはヘテロアラルキル基(ここで、ヘテロアリール基或いはヘテロアラルキル基のヘテロアリール部分は5個或いは6個の環原子を含む)から選択され、Gで表される基は、1以上のヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、ニトロ、カルボキシル、(C1−C12)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキル、(C5−C8)−シクロアルケニル、(C6−C12)−アリール、(C7−C16)−アラルキル、(C2−C12)−アルケニル、(C2−C12)−アルキニル、(C1−C12)−アルコキシ、(C1−C12)− アルコキシ−(C1−C12)−アルキル、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシ、(C6−C12)−アリールオキシ、(C7−C16)−アラルキルオキシ、(C1−C8)−ヒドロキシアルキル、−O−[CH2]x−CfH(2f+l-g)−Fg、−OCF2Cl、−OCF2−CHFCl、(C1−C12)−アルキルカルボニル、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニル、(C6−C12)−アリールカルボニル、(C7−C16)−アラルキルカルボニル、シンナモイル、(C2−C12)−アルケニルカルボニル、(C2−C12)−アルキニルカルボニル、(C1−C12)−アルコキシカルボニル、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシカルボニル、(C6−C12)−アリールオキシカルボニル、(C7−C16)−アラルコキシカルボニル、(C3−C8)−シクロアルコキシカルボニル、(C2−C12)−アルケニルオキシカルボニル、(C2−C12)−アルキニルオキシカルボニル、アシルオキシ、(C1−C12)−アルコキシカルボニルオキシ、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシカルボニルオキシ、(C6−C12)−アリールオキシカルボニルオキシ、(C7−C16)アラルキルオキシカルボニルオキシ、(C3−C8)−シクロアルコキシカルボニルオキシ、(C2−C12)−アルケニルオキシカルボニルオキシ、(C2−C12)−アルキニルオキシカルボニルオキシ、カルバモイル、N−(C1−C12)−アルキルカルバモイル、N,N−ジ−(C1−C12)−アルキルカルバモイル、N−(C3−C8)−シクロアルキル−カルバモイル、N−(C6−C16)−アリールカルバモイル、N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C6−C16)−アリールカルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイル、N−((C1−C10)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)アルキル)−カルバモイル、N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C1−C10)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C6−C16)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、カルバモイルオキシ、N−(C1−C12)−アルキルカルバモイルオキシ、N,N−ジ−(C1−C12)−アルキルカルバモイルオキシ、N−(C3−C8)−シクロアルキルカルバモイルオキシ、N−(C6−C12)−アリールカルバモイルオキシ、N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C6−C12)−アリールカルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイルオキシ、N−((C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C1−C10)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、アミノ、(C1−C12)−アルキルアミノ、ジ−(C1−C12)−アルキルアミノ、(C3−C8)−シクロアルキルアミノ、(C2−C12)−アルケニルアミノ、(C2−C12)−アルキニルアミノ、N−(C6−C12)−アリールアミノ、N−(C−C11)−アラルキルアミノ、N−アルキル−アラルキルアミノ、N−アルキル−アリールアミノ、(C1−C12)−アルコキシアミノ、(C1−C12)−アルコキシ−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C1−C12)−アルキルカルボニルアミノ、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニルアミノ、(C6−C12)アリールカルボニルアミノ、(C7−C16)−アラルキルカルボニルアミノ、(C1−C12)−アルキルカルボニル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C6−C12)−アリールカルボニル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C7−C11)−アラルキルカルボニル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C1−C12)−アルキルカルボニルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アリールカルボニルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C7−C12)−アラルキルカルボニルアミノ−(C1−C8)−アルキル、アミノ−(C1−C10)−アルキル、N−(C1−C10)−アルキルアミノ−(C1−C10)−アルキル、N,N−ジ−(C1−C10)−アルキルアミノ−(C1−C10)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキルアミノ−(C1−C10)−アルキル、(C1−C12)−アルキルメルカプト、(C1−C12)−アルキルスルフィニル、(C1−C12)−アルキルスルホニル、(C6−C16)−アリールメルカプト、(C6−C16)−アリールスルフィニル、(C6−C12)−アリールスルホニル、(C7−C16)−アラルキルメルカプト、(C7−C16)−アラルキルスルフィニル、(C7−C16)−アラルキルスルホニル、スルファモイル、N−(C1−C10)−アルキルスルファモイル、N,N−ジ−(C1−C10)−アルキルスルファモイル、(C3−C8)−シクロアルキルスルファモイル、N−(C6−C12)−アルキルスルファモイル、N−(C7−C16)−アラルキルスルファモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C6−C12)−アリールスルファモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C7−C16)−アラルキルスルファモイル、(C1−C10)−アルキルスルホンアミド、N−((C1−C10)−アルキル)−(C1−C10)−アルキルスルホンアミド、(C7−C16)−アラルキルスルホンアミド、或いはN−((C1−C10)−アルキル−(C7−C16)−アラルキルスルホンアミドで置換されており、アリール基或いはアリール部分を含む基は、アリール上で、1〜5個の同一或いは異なるヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、ニトロ、カルボキシル、(C1−C12)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキル、(C6−C12)−アリール、(C7−C16)−アラルキル、(C1−C12)−アルコキシ、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルキル、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシ、(C6−C12)−アリールオキシ、(C7−C16)−アラルキルオキシ、(C1−C8)−ヒドロキシアルキル、(C1−C12)−アルキルカルボニル、(C3−C8)−シクロアルキル−カルボニル、(C6−C12)−アリールカルボニル、(C7−C16)アラルキルカルボニル、(C1−C12)−アルコキシカルボニル、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシカルボニル、(C6−C12)−アリールオキシカルボニル、(C7−C16)−アラルコキシカルボニル、(C3−C8)−シクロアルコキシカルボニル、(C2−C12)−アルケニルオキシカルボニル、(C2−C12)−アルキニルオキシカルボニル、(C1−C12)−アルキルカルボニルオキシ、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニルオキシ、(C6−C12)−アリールカルボニルオキシ、(C7−C16)−アラルキルカルボニルオキシ、シンナモイルオキシ、(C2−C12)−アルケニルカルボニルオキシ、(C2−C12)−アルキニルカルボニルオキシ、(C1−C12)−アルコキシカルボニルオキシ、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシカルボニルオキシ、(C6−C12)−アリールオキシカルボニルオキシ、(C7−C16)−アラルキルオキシカルボニルオキシ、(C3−C8)−シクロアルコキシカルボニルオキシ、(C2−C12)−アルケニルオキシカルボニルオキシ、(C2−C12)−アルキニルオキシカルボニルオキシ、カルバモイル、N−(C1−C12)−アルキルカルバモイル、N,N−ジ−(C1−C12)−アルキルカルバモイル、N−(C3−C8)−シクロアルキルカルバモイル、N−(C6−C12)−アリールカルバモイル、N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C6−C12)−アリールカルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイル、N−((C1−C10)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C1−C10)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、カルバモイルオキシ、N−(C1−C12)−アルキルカルバモイルオキシ、N,N−ジ−(C1−C12)−アルキルカルバモイルオキシ、N−(C3−C8)−シクロアルキルカルバモイルオキシ、N−(C6−C12)−アリールカルバモイルオキシ、N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C6−C12)−アリールカルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイルオキシ、N−((C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C1−C10)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、アミノ、(C1−C12)−アルキルアミノ、ジ−(C1−C12)−アルキルアミノ、(C3−C8)−シクロアルキルアミノ、(C3−C12)−アルケニルアミノ、(C3−C12)−アルキニルアミノ、N−(C6−C12)−アリールアミノ、N−(C7−C11)−アラルキルアミノ、N−アルキルアラルキルアミノ、N−アルキル−アリールアミノ、(C1−C12)−アルコキシアミノ、(C1−C12)−アルコキシ−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C1−C12)−アルキルカルボニルアミノ、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニルアミノ、(C6−C12)−アリールカルボニルアミノ、(C7−C16)−アルキルカルボニルアミノ、(C1−C12)−アルキルカルボニル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C6−C12)−アリールカルボニル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C7−C11)−アラルキルカルボニル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C1−C12)−アルキルカルボニルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アリールカルボニルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C7−C16)−アラルキルカルボニルアミノ−(C1−C8)−アルキル、アミノ−(C1−C10)−アルキル、N−(C1−C10)−アルキルアミノ−(C1−C10)−アルキル、N,N−ジ−(C1−C10)−アルキルアミノ−(C1−C10)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキルアミノ−(C1−C10)−アルキル、(C1−C12)−アルキルメルカプト、(C1−C12)−アルキルスルフィニル、(C1−C12)−アルキルスルホニル、(C6−C12)−アリールメルカプト、(C6−C12)−アリールスルフィニル、(C6−C12)−アリールスルホニル、(C7−C16)−アラルキルメルカプト、(C7−C16)−アラルキルスルフィニル、或いは(C7−C16)−アラルキルスルホニルで置換されていてもよく; XはO或いはSであり; QはO、S、NR’、或いは結合であり; 式I中、Qが結合の場合、R4はハロゲン、ニトリル、或いはトリフルオロメチルであり; 又は式I中、QがO、S、或いはNR’の場合、R4は水素、(C1−C10)−アルキル基、(C2−C10)−アルケニル基、(C2−C10)−アルキニル基(ここで、アルケニル基或いはアルキニル基は1個或いは2個のC−C多重結合を含む);式−[CH2]x−CfH(2f+1-g)−Fgの非置換フルオロアルキル基、(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキル基、(C1−C6)−アルコキシ−(C1−C4)−アルコキシ−(C1−C4)−アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、(C7−C11)−アラルキル基、或いは式Zで表される基であり、(式Z中、Eはヘテロアリール基、(C3−C8)−シクロアルキル基、或いは式Fで表されるフェニル基であり、 vは0〜6、 wは0或いは1、 tは0〜3、 R7、R8、R9、R10及びR11は同一であるか或いは異なっていて、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、(C1−C6)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキル、(C1−C6)−アルコキシ、−O−[CH2]x−CfH(2f+1-g)−Fg、−OCF2−Cl、−O−CF2−CHFCl、(C1−C6)−アルキルメルカプト、(C1−C6)−ヒドロキシアルキル、(C1−C6)−アルコキシ−(C1−C6)−アルコキシ、(C1−C6)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルキルスルフィニル、(C1−C6)−アルキルスルホニル、(C1−C6)−アルキルカルボニル、(C1−C8)−アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−(C1−C8)−アルキルカルバモイル、N,N−ジ−(C1−C8)−アルキルカルバモイル、或いは(C7−C11)−アラルキルカルバモイルであって、これらは、フッ素、塩素、臭素、トリフルオロメチル、(C1−C6)−アルコキシ、N−(C3−C8)−シクロアルキルカルバモイル、N−(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキルカルバモイル、(C1−C6)−アルキルカルボニルオキシ、フェニル、ベンジル、フェノキシ、ベンジルオキシ、NRYRZ(Ry及びRZは独立して、水素、(C1−C12)−アルキル、(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C7−C12)−アラルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C8)−アルキル、(C3−C10)−シクロアルキル、(C3−C12)−アルケニル、(C3−C12)−アルキニル、(C6−C12)−アリール、(C7−C11)−アラルキル、(C1−C12)−アルコキシ、(C7−C12)アラルコキシ、(C1−C12)−アルキルカルボニル、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニル、(C6−C12)アリールカルボニル、(C7−C16)−アラルキルカルボニルから選択されるか、或いは、更にRy及びRZは共に−[CH2]hを形成し、CH2基はO、S、N−(C1−C4)−アルキルカルボニルイミノ、或いはN−(C1−C4)−アルコキシカルボニルイミノで置換されていてもよい)、フェニルメルカプト、フェニルスルホニル、フェニルスルフィニル、スルファモイル、N−(C1−C8)−アルキルスルファモイル、或いはN,N−ジ−(C1−C8)−アルキルスルファモイルによって任意に置換されていてもよく;又はR7及びR8、R8及びR9、R9及びR10、或いはR10及びR11は共に、−[CH2]n−或いは−CH=CH−CH=CH−から選択される鎖を形成し(前者の鎖のCH2基は、O、S、SO、SO2或いはNRYで任意に置換され、nは3、4或いは5である);一方、Eがヘテロアリール基の場合、該基はR7〜R11で表される置換基から選択される1〜3個の置換基を有することができ、或いは、Eがシクロアルキル基の場合、該基はR7〜R11で表される置換基から選択される1個の置換基を有することができる); 式I中、QがNR’の場合、R4は或いはR”であり、R’及びR”は同一であるか或いは異なっていて、水素、(C6−C12)−アリール、(C7−C11)−アラルキル、(C1−C8)−アルキル、(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C7−C12)−アラルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C8)−アルキル、(C1−C10)−アルキルカルボニル、任意に置換された(C7−C16)−アラルキルカルボニル、或いは任意に置換された(C6−C12)−アリールカルボニルであり;又はR’及びR”は共に−[CH2]hを形成する(CH2基はO、S、N−アシルイミノ、或いはN−(C1−C10)−アルコキシカルボニルイミノで置換されていてもよく、hは3〜7である)。 YはN或いはCR3であり; R1、R2及びR3は同一であるか或いは異なっていて、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、ニトロ、カルボキシル、(C1−C20)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキル、(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C12)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルコキシ、(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C12)−アルコキシ、(C3−C8)−シクロアルキルオキシ−(C1−C12)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキルオキシ−(C1−C12)−アルコキシ、(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C8)−アルキル−(C1−C6)−アルコキシ、(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキルオキシ−(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルコキシ−(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C8)−アルコキシ、(C6−C12)−アリール、(C7−C16)−アラルキル、(C7−C16)−アラルケニル、(C7−C16)−アラルキニル、(C2−C20)−アルケニル、(C2−C20)−アルキニル、(C1−C20)−アルコキシ、(C2−C20)−アルケニルオキシ、(C2−C20)−アルキニルオキシ、レチニルオキシ、(C1−C20)−アルコキシ−(C1−C12)−アルキル、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシ、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アリールオキシ、(C7−C16)−アラルキルオキシ、(C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C6)−アルコキシ、(C7−C16)−アラルコキシ−(C1−C6)−アルコキシ、(C1−C16)−ヒドロキシアルキル、(C6−C16)−アリールオキシ−(C1−C8)−アルキル、(C7−C16)−アラルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキル、(C7−C12)−アラルキルオキシ−(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキル、(C2−C20)−アルケニルオキシ−(C1−C6)−アルキル、(C2−C20)−アルキニルオキシ−(C1−C6)−アルキル、レチニルオキシ−(C1−C6)−アルキル、−O−[CH2]xCfH(2f+1-g)Fg、−OCF2Cl、−OCF2−CHFCl、(C1−C20)−アルキルカルボニル、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニル、(C6−C12)−アリールカルボニル、(C7−C16)−アラルキルカルボニル、シンナモイル、(C2−C20)−アルケニルカルボニル、(C2−C20)−アルキニルカルボニル、(C1−C20)−アルコキシカルボニル、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシカルボニル、(C6−C12)−アリールオキシカルボニル、(C7−C16)−アラルコキシカルボニル、(C3−C8)−シクロアルコキシカルボニル、(C2−C20)−アルケニルオキシカルボニル、レチニルオキシカルボニル、(C2−C20)−アルキニルオキシカルボニル、(C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C7−C16)−アラルコキシ−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C3−C8)−シクロアルコキシ−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C1−C12)−アルキルカルボニルオキシ、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニルオキシ、(C6−C12)−アリールカルボニルオキシ、(C7−C16)−アラルキルカルボニルオキシ、シンナモイルオキシ、(C2−C12)−アルケニルカルボニルオキシ、(C2−C12)−アルキニルカルボニルオキシ、(C1−C12)−アルコキシカルボニルオキシ、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシカルボニルオキシ、(C6−C12)−アリールオキシカルボニルオキシ、(C7−C16)−アラルキルオキシカルボニルオキシ、(C3−C8)−シクロアルコキシカルボニルオキシ、(C2−C12)−アルケニルオキシカルボニルオキシ、(C2−C12)−アルキニルオキシカルボニルオキシ、カルバモイル、N−(C1−C12)−アルキルカルバモイル、N,N−ジ−(C1−C12)−アルキルカルバモイル、N−(C3−C8)−シクロアルキルカルバモイル、N,N−ジシクロ−(C3−C8)−アルキルカルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C3−C8)−シクロアルキルカルバモイル、N−((C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C6)−アルキル)−カルバモイル、N−(C1−C6)−アルキル−N−((C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C6)−アルキル)−カルバモイル、N−(+)−デヒドロアビエチルカルバモイル、N−(C1−C6)−アルキル−N−(+)−デヒドロアビエチルカルバモイル、N−(C6−C12)−アリールカルバモイル、N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C6−C16)−アリールカルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイル、N−((C1−C18)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−((C6−C16)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C1−C10)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、CON(CH2)h(CH2基はO、S、N−(C1−C8)−アルキルイミノ、N−(C3−C8)−シクロアルキルイミノ、N−(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキルイミノ、N−(C6−C12)−アリールイミノ、N−(C7−C16)−アラルキルイミノ、N−(C1−C4)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキルイミノで置換されていてもよく、hは3〜7である)、式Rで表されるカルバモイル基(式R中、RX及びRVは各々独立して、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、アリール、或いはL−及びD−アミノ酸が属するα−アミノ酸のα−炭素の置換基から選択され、sは1〜5であり、TはOH、或いはNR*R**であり、R*、R**及びR***は同一であるか或いは異なっていて、水素、(C6−C12)−アリール、(C7−C11)−アラルキル、(C1−C8)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキル、(+)−デヒドロアビエチル、(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C7−C12)−アラルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C8)−アルキル、(C1−C10)−アルカノイル、任意に置換された(C7−C16)−アラルカノイル、任意に置換された(C6−C12)−アロイルから選択されるか、又はR*及びR**は共に−[CH2]hを形成する(CH2基はO、S、SO、SO2、N−アシルアミノ、N−(C1−C10)−アルコキシカルボニルイミノ、N−(C1−C8)−アルキルイミノ、N−(C3−C8)−シクロアルキルイミノ、N−(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキルイミノ、N−(C6−C12)−アリールイミノ、N−(C7−C16)−アラルキルイミノ、N−(C1−C4)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキルイミノで置換されていてもよく、hは3〜7である))、カルバモイルオキシ、N−(C1−C12)−アルキルカルバモイルオキシ、N,N−ジ−(C1−C12)−アルキルカルバモイルオキシ、N−(C3−C8)−シクロアルキルカルバモイルオキシ、N−(C6−C12)−アリールカルバモイルオキシ、N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C6−C12)−アリールカルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイルオキシ、N−((C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C1−C10)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシアミノ、(C1−C12)−アルキルアミノ、ジ−(C1−C12)−アルキルアミノ、(C3−C8)−シクロアルキルアミノ、(C3−C12)−アルケニルアミノ、(C3−C12)−アルキニルアミノ、N−(C6−C12)−アリールアミノ、N−(C7−C11)−アラルキルアミノ、N−アルキル−アラルキルアミノ、N−アルキル−アリールアミノ、(C1−C12)−アルコキシアミノ、(C1−C12)−アルコキシ−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C1−C12)−アルカノイルアミノ、(C3−C8)−シクロアルカノイルアミノ、(C6−C12)−アロイルアミノ、(C7−C16)−アラルカノイルアミノ、(C1−C12)−アルカノイル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C3−C8)−シクロアルカノイル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C6−C12)−アロイル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C7−C11)−アラルカノイル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C1−C12)−アルカノイルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルカノイルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アロイルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C7−C16)−アラルカノイルアミノ−(C1−C8)−アルキル、アミノ−(C1−C10)−アルキル、N−(C1−C10)−アルキルアミノ−(C1−C10)−アルキル、N,N−ジ−(C1−C10)−アルキルアミノ−(C1−C10)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキルアミノ−(C1−C10)−アルキル、(C1−C20)−アルキルメルカプト、(C1−C20)−アルキルスルフィニル、(C1−C20)−アルキルスルホニル、(C6−C12)−アリールメルカプト、(C6−C12)−アリールスルフィニル、(C6−C12)−アリールスルホニル、(C7−C16)−アラルキルメルカプト、(C7−C16)−アラルキルスルフィニル、(C7−C16)−アラルキルスルホニル、(C1−C12)−アルキルメルカプト−(C1−C6)−アルキル、(C1−C12)−アルキルスルフィニル−(C1−C6)−アルキル、(C1−C12)−アルキルスルホニル−(C1−C6)−アルキル、(C6−C12)−アリールメルカプト−(C1−C6)−アルキル、(C6−C12)−アリールスルフィニル−(C1−C6)−アルキル、(C6−C12)−アリールスルホニル−(C1−C6)−アルキル、(C7−C16)−アラルキルメルカプト−(C1−C6)−アルキル、(C7−C16)−アラルキルスルフィニル−(C1−C6)−アルキル、(C7−C16)−アラルキルスルホニル−(C1−C6)−アルキル、スルファモイル、N−(C1−C10)−アルキルスルファモイル、N,N−ジ−(C1−C10)−アルキルスルファモイル、(C3−C8)−シクロアルキルスルファモイル、N−(C6−C12)−アリールスルファモイル、N−(C7−C16)−アラルキルスルファモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C6−C12)−アリールスルファモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C7−C16)−アラルキルスルファモイル、(C1−C10)−アルキルスルホンアミド、N−((C1−C10)−アルキル)−(C1−C10)−アルキルスルホンアミド、(C7−C16)−アラルキルスルホンアミド、及びN−((C1−C10)−アルキル−(C7−C16)−アラルキルスルホンアミドであり、ここで、アリール基は、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、ニトロ、カルボキシル、(C2−C16)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキル、(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C12)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルコキシ、(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C12)−アルコキシ、(C3−C8)−シクロアルキルオキシ−(C1−C12)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキルオキシ−(C1−C12)−アルコキシ、(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C8)−アルキル−(C1−C6)−アルコキシ、(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキルオキシ−(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルコキシ−(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C8)−アルコキシ、(C6−C12)−アリール、(C7−C16)−アラルキル、(C2−C16)−アルケニル、(C2−C12)−アルキニル、(C1−C16)−アルコキシ、(C1−C16)−アルケニルオキシ、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルキル、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシ、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アリールオキシ、(C7−C16)−アラルキルオキシ、(C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C6)−アルコキシ、(C7−C16)−アラルコキシ−(C1−C6)−アルコキシ、(C1−C8)−ヒドロキシアルキル、(C6−C16)−アリールオキシ−(C1−C8)−アルキル、(C7−C16)−アラルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキル、(C7−C12)−アラルキルオキシ−(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキル、−O−[CH2]xCfH(2f+1-g)Fg、−OCF2Cl、−OCF2−CHFCl、(C1−C12)−アルキルカルボニル、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニル、(C6−C12)−アリールカルボニル、(C7−C16)−アラルキルカルボニル、(C1−C12)−アルコキシカルボニル、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシカルボニル、(C6−C12)−アリールオキシカルボニル、(C7−C16)−アラルコキシカルボニル、(C3−C8)−シクロアルコキシカルボニル、(C2−C12)−アルケニルオキシカルボニル、(C2−C12)−アルキニルオキシカルボニル、(C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C7−C16)−アラルコキシ−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C3−C8)−シクロアルコキシ−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C1−C12)−アルキルカルボニルオキシ、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニルオキシ、(C6−C12)−アリールカルボニルオキシ、(C7−C16)−アラルキルカルボニルオキシ、シンナモイルオキシ、(C2−C12)−アルケニルカルボニルオキシ、(C2−C12)−アルキニルカルボニルオキシ、(C1−C12)−アルコキシカルボニルオキシ、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシカルボニルオキシ、(C6−C12)−アリールオキシカルボニルオキシ、(C7−C16)−アラルキルオキシカルボニルオキシ、(C3−C8)−シクロアルコキシカルボニルオキシ、(C2−C12)−アルケニルオキシカルボニルオキシ、(C2−C12)−アルキニルオキシカルボニルオキシ、カルバモイル、N−(C1−C12)−アルキルカルバモイル、N,N−ジ−(C1−C12)−アルキルカルバモイル、N−(C3−C8)−シクロアルキルカルバモイル、N,N−ジシクロ−(C3−C8)−アルキルカルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C3−C8)−シクロアルキルカルバモイル、N−((C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C6)−アルキル)カルバモイル、N−(C1−C6)−アルキル−N−((C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C6)−アルキル)カルバモイル、N−(+)−デヒドロアビエチルカルバモイル、N−(C1−C6)−アルキル−N−(+)−デヒドロアビエチルカルバモイル、N−(C6−C12)−アリールカルバモイル、N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C6−C16)−アリールカルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイル、N−((C1−C16)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)カルバモイル、N−((C6−C16)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)カルバモイル、N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C1−C10)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、CON(CH2)h(CH2基は、O、S、N−(C1−C8)−アルキルイミノ、N−(C3−C8)−シクロアルキルイミノ、N−(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキルイミノ、N−(C6−C12)−アリールイミノ、N−(C7−C16)−アラルキルイミノ、N−(C1−C4)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキルイミノで置換されていてもよく、hは3〜7である)、カルバモイルオキシ、N−(C1−C12)−アルキルカルバモイルオキシ、N,N−ジ−(C1−C12)−アルキルカルバモイルオキシ、N−(C3−C8)−シクロアルキルカルバモイルオキシ、N−(C6−C16)−アリールカルバモイルオキシ、N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C6−C12)−アリールカルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイルオキシ、N−((C1−C10)−アルキル)カルバモイルオキシ、N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)カルバモイルオキシ、N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C1−C10)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)カルバモイルオキシ、アミノ、(C1−C12)−アルキルアミノ、ジ−(C1−C12)−アルキルアミノ、(C3−C8)−シクロアルキルアミノ、(C3−C12)−アルケニルアミノ、(C3−C12)−アルキニルアミノ、N−(C6−C12)−アリールアミノ、N−(C7−C11)−アラルキルアミノ、N−アルキル−アラルキルアミノ、N−アルキル−アリールアミノ、(C1−C12)−アルコキシアミノ、(C1−C12)−アルコキシ−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C1−C12)−アルカノイルアミノ、(C3−C8)−シクロアルカノイルアミノ、(C6−C12)−アロイルアミノ、(C7−C16)−アラルカノイルアミノ、(C1−C12)−アルカノイル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C3−C8)−シクロアルカノイル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C6−C12)−アロイル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C7−C11)−アラルカノイル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C1−C12)−アルカノイルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルカノイルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アロイルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C7−C16)−アラルカノイルアミノ−(C1−C8)−アルキル、アミノ−(C1−C10)−アルキル、N−(C1−C10)−アルキルアミノ−(C1−C10)−アルキル、N,N−ジ−(C1−C10)−アルキルアミノ−(C1−C10)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキルアミノ−(C1−C10)−アルキル、(C1−C12)−アルキルメルカプト、(C1−C12)−アルキルスルフィニル、(C1−C12)−アルキルスルホニル、(C6−C16)−アリールメルカプト、(C6−C16)−アリールスルフィニル、(C6−C16)−アリールスルホニル、(C7−C16)−アラルキルメルカプト、(C7−C16)−アラルキルスルフィニル、或いは(C7−C16)−アラルキルスルホニルから選択される1〜5個の置換基で置換されていてもよく;又はR1とR2或いはR2とR3で鎖[CH2]Oを形成しており、この鎖は飽和かC=C二重結合によって不飽和であって、1個或いは2個のCH2基が任意にO、S、SO、SO2或いはNR’で置換されており、R’は水素、(C6−C12)−アリール、(C1−C8)−アルキル、(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C7−C12)−アラルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C8)−アルキル、(C1−C10)−アルカノイル、任意に置換された(C7−C16)−アラルカノイル、或いは任意に置換された(C6−C12)−アロイルであり;oは3、4或いは5であり; 又は式I中、基R1とR2或いは基R2とR3は、それらを有するピリジン或いはピリダジンと共に、5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリン環、5,6,7,8−テトラヒドロキノリン環、或いは5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン環を形成しており; 又は式I中、R1とR2或いはR2とR3は炭素環式或いは複素環式5或いは6員芳香環を形成しており; 又は式I中、R1とR2或いはR2とR3は、それらを有するピリジン或いはピリダジンと共に、チエノピリジン、フラノピリジン、ピリドピリジン、ピリミジノピリジン、イミダゾピリジン、チアゾロピリジン、オキサゾロピリジン、キノリン、イソキノリン及びシンノリンから選択される任意に置換された複素環系を形成しており(ここでキノリン、イソキノリン或いはシンノリンは式Ia、Ib及びIcを満たしており: 各々互いに独立している置換基R12〜R23はR1、R2及びR3と同じ意味を有しており); 又は式(I)中、基R1とR2は、それらを有するピリジンと共に、式Idの化合物を形成し: (式Id中、VはS、O或いはNRkであって、Rkは、水素、(C1−C6)−アルキル、アリール、或いはベンジルから選択され、アリール基は任意に上述の1〜5個の置換基で置換されていてもよく、各々互いに独立しているR24、R25、R26及びR27はR1、R2及びR3と同じ意味を有している); fは1〜8であり; gは0或いは1〜(2f+1)であり; xは0〜3であり; hは3〜7であり; 該化合物は、その生理的に活性な塩やそれらに由来するプロドラッグを包含する。式(I)の典型的な化合物については、欧州特許EP0650960号及びEP0650961号に記載されている。EP0650960号及びEP0650961号に記載の全ての化合物、特に、各化合物クレームに記載の化合物及び各実施例の最終産物を、本願の一部を構成するものとしてここに援用する。式(I)の典型的な化合物としては、[(3−ヒドロキシ−ピリジン−2−カルボニル)−アミノ]−酢酸や[(3−メトキシ−ピリジン−2−カルボニル)−アミノ]−酢酸が挙げられるが、これらに限定されない。 更に、式(I)の典型的な化合物については、米国特許第5,658,933号にも記載されている。米国特許第5,658,933号に記載の全ての化合物、特に、各化合物クレームに記載の化合物及び各実施例の最終産物を、本願の一部を構成するものとしてここに援用する。式(I)の典型的な化合物としては、3−メトキシピリジン−2−カルボン酸N−(((ヘキサデシルオキシ)−カルボニル)−メチル)−アミド塩酸塩や、3−メトキシピリジン−2−カルボン酸N−(((1−オクチルオキシ)−カルボニル)−メチル)−アミド、3−メトキシピリジン−2−カルボン酸N−(((ヘキシルオキシ)−カルボニル)−メチル)−アミド、3−メトキシピリジン−2−カルボン酸N−(((ブチルオキシ)−カルボニル)−メチル)−アミド、3−メトキシピリジン−2−カルボン酸N−(((2−ノニルオキシ)−カルボニル)−メチル)−アミドラセミ酸塩、3−メトキシピリジン−2−カルボン酸N−(((ヘプチルオキシ)−カルボニル)−メチル)−アミド、3−ベンジルオキシピリジン−2−カルボン酸N−(((オクチルオキシ)−カルボニル)−メチル)−アミド、3−ベンジルオキシピリジン−2−カルボン酸N−(((ブチルオキシ)−カルボニル)−メチル)−アミド、5−(((3−(1−ブチルオキシ)−プロピル)−アミノ)−カルボニル)−3−メトキシピリジン−2−カルボン酸N−((ベンジルオキシカルボニル)−メチル)−アミド、5−(((3−(1−ブチルオキシ)−プロピル)−アミノ)−カルボニル)−3−メトキシピリジン−2−カルボン酸N−(((1−ブチルオキシ)−カルボニル)−メチル)−アミド、5−(((3−ラウリルオキシ)−プロピル)アミノ)−カルボニル)−3−メトキシピリジン−2−カルボン酸N−(((ベンジルオキシ)−カルボニル)−メチル)−アミドが挙げられるが、これらに限定されない。 式(I)の更なる化合物としては、米国特許第5,620,995号に記載の置換複素環カルボキシアミド類や、米国特許第6,020,350号に記載の3−ヒドロキシピリジン−2−カルボキサミドエステル類、米国特許第5,607,954号に記載のスルホンアミドカルボニルピリジン−2−カルボキサミド類、米国特許第5,610,172号及び第5,620,996号に記載のスルホンアミドカルボニル−ピリジン−2−カルボキサミド類及びスルホンアミドカルボニル−ピリジン−2−カルボキサミドエステル類が挙げられる。これらの特許に記載の全ての化合物、特に、各化合物クレームに記載の化合物及び各実施例の最終産物を、本願の一部を構成するものとしてここに援用する。 式(Ia)の典型的な化合物については、米国特許第5,719,164号及び第5,726,305号に記載されている。これらの特許に記載の全ての化合物、特に、各化合物クレームに記載の化合物及び各実施例の最終産物を、本願の一部を構成するものとしてここに援用する。式(Ia)の典型的な化合物としては、N−((3−ヒドロキシ−6−イソプロポキシ−キノリン−2−カルボニル)−アミノ)−酢酸や、N−((6−(1−ブチルオキシ)−3−ヒドロキシキノリン−2−イル)−カルボニル)−グリシン、[(3−ヒドロキシ−6−トリフルオロメトキシ−キノリン−2−カルボニル)−アミノ]−酢酸、N−((6−クロロ−3−ヒドロキシキノリン−2−イル)−カルボニル)−グリシン、N−((7−クロロ−3−ヒドロキシキノリン−2−イル)−カルボニル)−グリシン、[(6−クロロ−3−ヒドロキシ−キノリン−2−カルボニル)−アミノ]−酢酸が挙げられるが、これらに限定されない。 式(Ib)の典型的な化合物については、米国特許第6,093,730号に記載されている。米国特許第6,093,730号に記載の全ての化合物、特に、各化合物クレームに記載の化合物及び各実施例の最終産物を、本願の一部を構成するものとしてここに援用する。式(Ib)の典型的な化合物としては、N−((1−クロロ−4−ヒドロキシ−7−(2−プロピルオキシ)イソキノリン−3−イル)−カルボニル)−グリシンや、N−((1−クロロ−4−ヒドロキシ−6−(2−プロピルオキシ)イソキノリン−3−イル)−カルボニル)−グリシン、N−((1−クロロ−4−ヒドロキシ−イソキノリン−3−カルボニル)−アミノ)−酢酸(化合物A)、N−((1−クロロ−4−ヒドロキシ−7−メトキシイソキノリン−3−イル)−カルボニル)−グリシン、N−((1−クロロ−4−ヒドロキシ−6−メトキシイソキノリン−3−イル)−カルボニル)−グリシン、N−((7−ブチルオキシ)−1−クロロ−4−ヒドロキシイソキノリン−3−イル)−カルボニル)−グリシン、N−((6−ベンジルオキシ−1−クロロ−4−ヒドロキシ−イソキノリン−3−カルボニル)−アミノ)−酢酸、((7−ベンジルオキシ−1−クロロ−4−ヒドロキシ−イソキノリン−3−カルボニル)−アミノ)−酢酸メチルエステル、N−((7−ベンジルオキシ−1−クロロ−4−ヒドロキシ−イソキノリン−3−カルボニル)−アミノ)−酢酸、N−((8−クロロ−4−ヒドロキシイソキノリン−3−イル)−カルボニル)−グリシン、N−((7−ブトキシ−4−ヒドロキシ−イソキノリン−3−カルボニル)−アミノ)−酢酸が挙げられるが、これらに限定されない。 更に、式(I)に関連する化合物であって本発明の方法に用いることもできるものとしては、6−シクロへキシル−1−ヒドロキシ−4−メチル−1H−ピリジン−2−オンや、7−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−5−フェニルスルファニルメチル−キノリン−8−オール、4−ニトロ−キノリン−8−オール、5−ブトキシメチル−キノリン−8−オール、[(4−ヒドロキシ−7−フェノキシ−イソキノリン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸(化合物B)、[(4−ヒドロキシ−7−フェニルスルファニル−イソキノリン−3−カルボニル)−アミノ]−酢酸(化合物C)が挙げられるが、これらに限定されない。更に、本発明は、例えば、位置A及びBが共にヘキサン酸やシアノメチル、2−アミノエチル、安息香酸、1H−ベンゾイミダゾール−2−イルメチル等であってもよい他の典型的な化合物を提供する。 他の実施形態において、本発明の方法に用いる化合物は、式(III)の化合物:或いはその薬学的に許容し得る塩から選択されるが、式(III)中、 aは1〜4の整数であり; bは0〜4の整数であり; cは0〜4の整数であり; Zは、(C3−C10)シクロアルキル、一以上のY1で独立的に置換された(C3−C10)シクロアルキル、3〜10員ヘテロシクロアルキル、一以上のY1で独立的に置換された3〜10員へテロシクロアルキル、(C5−C20)アリール、一以上のY1で独立的に置換された(C5−C20)アリール、5〜20員ヘテロアリール、及び一以上のY1で独立的に置換された5〜20員へテロアリールから成る群から選択され; Ar1は、(C5−C20)アリール、一以上のY2で独立的に置換された(C5−C20)アリール、5〜20員ヘテロアリール、及び一以上のY2で独立的に置換された5〜20員へテロアリールから成る群から選択され;各Y1は独立して、親油性官能基、(C5−C20)アリール、(C6−C26)アルカリール、5〜20員ヘテロアリール、及び6〜26員アルク−ヘテロアリールから成る群から選択され; 各Y2は独立して、−R’、−OR’、−OR”、−SR’、−SR”、−NR’R’、−NO2、−CN、−ハロゲン、−トリハロメチル、トリハロメトキシ、−C(O)R’、−C(O)OR’、−C(O)NR’R’、−C(O)NR’OR’、−C(NR’R’)=NOR’、−NR’−C(O)R’、−SO2R’、−SO2R”、−NR’−SO2−R’、−NR’−C(O)−NR’R’、テトラゾール−5−イル、−NR’−C(O)−OR’、−C(NR’R’)=NR’、−S(O)−R’、−S(O)−R”、及び−NR’−C(S)−NR’R’から成る群から選択され; 各R’は独立して、−H、(C1−C8)アルキル、(C2−C8)アルケニル及び(C2−C8)アルキニルから成る群から選択され;各R”は独立して、(C5−C20)アリール、及び一以上の−OR’、−SR’、−NR’R’、−NO2、−CN、ハロゲン或いはトリハロメチル基で独立的に置換された(C5−C20)アリールから成る群から選択され;又は式(III)中、cは0であり、Ar1はN’置換尿素−アリールであり、化合物は式(IIIa)の構造式:を有するか、或いはその薬学的に許容し得る塩であって、式(IIIa)中、 a,b及びZは上述の通りであり; R35及びR36は各々独立して、水素、(C1−C8)アルキル、(C2−C8)アルケニル、(C2−C8)アルキニル、(C3−C10)シクロアルキル、(C5−C20)アリール、(C5−C20)置換アリール、(C6−C26)アルカリール、(C6−C26)置換アルカリール、5〜20員ヘテロアリール、5〜20員置換ヘテロアリール、6〜26員アルク−ヘテロアリール、及び6〜26員置換アルク−ヘテロアリールから成る群から選択され; R37は独立して、水素、(C1−C8)アルキル、(C2−C8)アルケニル及び(C2−C8)アルキニルから成る群から選択される。 式(III)の典型的な化合物については、国際公開WO00/50390号に記載されている。WO00/50390号に記載の全ての化合物、特に、各化合物クレームに記載の化合物及び各実施例の最終産物を、本願の一部を構成するものとしてここに援用する。式(III)の典型的な化合物としては、3−{[4−(3,3−ジベンジル−ウレイド)−ベンゼンスルホニル]−[2−(4−メトキシ-フェニル)−エチル]−アミノ}−N−ヒドロキシ−プロピオンアミド(化合物D)や、3−{{4−[3−(4−クロロ−フェニル)−ウレイド]−ベンゼンスルホニル}−[2−(4−メトキシ−フェニル)−エチル]−アミノ}−N−ヒドロキシ−プロピオンアミド、3−{{4−[3−(1,2−ジフェニル−エチル)−ウレイド]−ベンゼンスルホニル}−[2−(4−メトキシ−フェニル)−エチル]−アミノ}−N−ヒドロキシ−プロピオンアミドが挙げられる。 また、本発明の化合物を同定するための方法も提供する。ある様相において、本発明の化合物はHIFαを安定化させる化合物である。化合物がHIFαを安定化或いは活性化する能力については、例えば、試料中のHIFαの直接的な測定、HIFαの間接的測定(例えば、フォン・ヒッペル・リンドウタンパク質(例えば、国際公開WO00/69908号参照)に関連するHIFαの低下の測定)、或いはHIF応答性標的遺伝子或いはレポーター構築物(例えば、米国特許第5,942,434号参照)の活性化によって評価することができる。上述の化合物の非存在下及び存在下で、HIF及び/又はHIF応答性標的タンパク質のレベルを測定し比較することによって、HIFαを安定化させ、及び/又はHIFを活性化する化合物が同定されるであろう。 他の様相において、本発明の化合物はHIFヒドロキシラーゼ活性を阻害する化合物である。ヒドロキシラーゼ活性のためのアッセイは当該技術分野においては標準的である。このようなアッセイによって、ヒドロキシラーゼ活性を直接的或いは間接的に測定することができる。例えば、酵素基質(例えば、標的タンパク質、合成ペプチド模倣物、或いはその断片)に存在するヒドロキシル化残基(例えば、プロリンやアスパラギン等)を測定できるアッセイがある(例えば、パルメリニ(Palmerini)ら(1985年)J Chromatogr 339:285-292参照)。ある化合物の存在下でヒドロキシル化残基(例えば、プロリンやアスパラギン)が減少した場合、該化合物はヒドロキシラーゼ活性を阻害する化合物であることを示している。或いは、ヒドロキシル化反応(例えば、2−オキソグルタレートからのサクシネートの形成)による他の産物を測定できるアッセイもある(例えば、クンリッフェ(Cunliffe)ら(1986年)Biochem J 240:617-619参照)。コーレ(Kaule)及びグンズラー(Gunzler)(1990年;Anal Biochem 184:291-297)は、2−オキソグルタレートからのサクシネートの産生を測定する典型的な方法について記載している。 上述したような方法を用いて、HIFヒドロキシラーゼ活性を調節する化合物を同定することができる。標的タンパク質としては、HIFα或いはその断片(例えば、HIF(556−575))を挙げることができる。酵素としては、例えば、いずれかの源から得たHIFプロリルヒドロキシラーゼ(例えば、GenBank受託番号AAG33965等参照)やHIFアスパラギニルヒドロキシラーゼ(例えば、GenBank受託番号AAL27308等参照)を挙げることができる。酵素は、粗細胞ライセートや一部精製体にも存在し得る。例えば、HIFヒドロキシラーゼ活性を測定する方法については、イヴァン(Ivan)ら(2001年、Science 292:464-468;及び、2002年、Proc Natl Acad Sci USA 99:13459-13464)及びハーシラ(Hirsila)ら(2003年、J Biol Chem 278:30772-30780)に記載されており、他の方法は国際公開WO03/049686号に記載されている。上述の化合物の非存在下及び存在下で、酵素活性を測定し比較することによって、HIFαのヒドロキシル化を阻害する化合物が同定されるであろう。 本発明の化合物は、in vitro或いはin vivoで測定され、赤血球形成の増強や鉄代謝の増強、各種病態(例えば、鉄欠乏症(機能性鉄欠乏症等)や、慢性疾患に伴う貧血、鉄欠乏性貧血、小赤血球症或いは小球性貧血、炎症や感染症免疫不全症、腫瘍性障害に関連する病態等)の治療的改善によって示される、測定可能な効果を更にもたらす化合物である。 上述の測定可能な効果は、次のパラメータ、即ち、ヘモグロビンやヘマトクリット、網状赤血球、赤血球数、血漿EPO等の増加、及び観察される症状の緩和(例えば、慢性疲労、蒼白、めまい等の緩和等)によって評価されるか、或いは血清鉄濃度の上昇や、血清フェリチン濃度やトランスフェリン飽和率(%)、総鉄結合能の変化、網状赤血球数やヘモグロビン、ヘマトクリット(例えば、これらは全て標準的な血球算定解析によって測定される)の改善によって評価される鉄代謝改善の内のいずれか1個であり得る。医薬製剤及び投与経路 本発明の組成物は、直接送達してもよく、当該技術分野でよく知られているように賦形剤を含む医薬製剤として送達してもよい。本発明の治療方法は、代謝障害、特に、グルコース調節に関連する障害(例えば、糖尿病や高血糖等)を有しているか或いはその危険性がある被験体に本発明の化合物の有効量を投与することを含み得る。好ましい実施形態において、該被験体は哺乳類被験体であり、最も好ましい実施形態において、該被験体はヒト被験者である。 化合物や薬物の有効量(例えば、用量)は、有効且つ簡便な投与経路や適切な製剤の場合と同様に通常の実験によって容易に決定することができる。当該技術分野では様々な製剤や薬物送達システムが入手可能である(例えば、ゲナロ(Gennaro)編(2000年)Remington's Pharmaceutical Sciences(上述);及びハードマン(Hardman)、リンバード(Limbird)及びギルマン(Gilman)編(2001年)The Pharmacological Basis of Therapeutics(上述)参照)。 好適な投与経路としては、例えば、経口投与や直腸投与、局所投与、経鼻投与、経肺投与、眼内投与(ocular)、腸内投与、非経口投与を挙げることができる。一次的な非経口投与経路としては、静脈内投与や筋肉内投与、皮下投与が挙げられる。二次的な投与経路としては、腹腔内投与や動脈内投与、関節内投与、心臓内投与、嚢内投与、皮内投与、病巣内投与、眼内投与、胸腔内投与、くも膜下投与、子宮内投与、脳室内投与が挙げられる。治療の適応や薬物の物理的、化学的及び生物学的特性によって、製剤の種類や用いる投与経路と共に、局所送達と全身送達のどちらが好ましいかが決まる。 本発明の化合物の医薬剤形は、即時放出、制御放出、持続放出、或いは標的薬物送達システムの形で提供することができる。通常用いる剤形としては、例えば、液剤や懸濁剤、(マイクロ)エマルジョン、軟膏、ゲル、貼付剤、リポソーム、錠剤、糖衣錠、ソフト或いはハードシェルカプセル、座剤、胚珠(ovules)、インプラント、非晶質或いは結晶性散剤、エアロゾル、凍結乾燥製剤が挙げられる。用いる投与経路に応じて、例えば、注射器や針、吸入器、ポンプ、注射ペン(injection pens)、アプリケータ、特別フラスコ等の特別な器具が薬物の適用や投与に必要となる場合がある。医薬剤形は、薬物、賦形剤及び容器/密封系から構成されることが多い。一以上の賦形剤(非活性成分とも称される)を本発明の化合物に添加して、薬物の製造や安定性、投与、安全性を改善、促進することができ、また、このような賦形剤は、所望の薬物放出プロファイルを得る手段を提供することができる。従って、薬物に添加する賦形剤の種類は、例えば、薬物の物理的及び化学的特性や投与経路、製造方法等の様々な因子に依存し得る。薬学的に許容し得る賦形剤は当該技術分野で入手可能であり、その例としては、様々な薬局方に記載されているものが挙げられる(例えば、米国薬局方、日本薬局方、欧州薬局方、英国薬局方、FDAウェブページ(www.fda.gov)、Inactive Ingredient Guide 1996、及びHandbook of Pharmaceutical Additives、編Ash; Synapse Information Resources社、2002年参照)。 本発明の化合物の剤形は、当該技術分野でよく知られた方法、例えば、従来の混合、ふるい分け、溶解、溶融、造粒、糖衣錠形成、打錠、懸濁化、押出し、噴霧乾燥、磨砕化(levigating)、乳化、(ナノ/マイクロ)カプセル化、封入、或いは凍結乾燥プロセス等のいずれによっても製造することができる。上述のように、本発明の組成物には、活性分子の医薬用途製剤への加工を容易にする一以上の生理学的に許容し得る非活性成分を含ませることができる。 適切な製剤は所望の投与経路によって決まる。静脈内投与の場合には、例えば、本発明の組成物を水溶液剤として処方することができ、必要に応じて、生理学的に適合し得るバッファー(例えば、製剤pH調整のためのリン酸やヒスチジン、クエン酸等)や等張化剤(例えば、塩化ナトリウムやデキストロース等)を用いる。経粘膜或いは経鼻投与の場合には、半固体製剤、液体製剤或いは貼付剤が好ましく、浸透促進剤を含ませることができる。このような浸透剤は一般に当該技術分野で知られている。経口投与の場合には、本発明の化合物を液体或いは固体剤形で、即時放出或いは制御/持続放出製剤として処方することができる。被験体による経口摂取のための好適な剤形としては、錠剤や丸剤、糖衣錠、ハード及びソフトシェルカプセル剤、液剤、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁剤、エマルジョンが挙げられる。また、本発明の化合物は、例えば、カカオバターや他のグリセリド等の従来の座剤基剤を含有する座剤や滞留浣腸剤(retention enemas)等の直腸組成物としても処方することができる。 固体経口剤形は、賦形剤を用いて得ることができるが、賦形剤の例としては、フィラーや崩壊剤、結合剤(乾式及び湿式)、溶解抑制剤、潤滑剤、流動促進剤(glidants)、抗付着剤(antiadherants)、カチオン交換樹脂、湿潤剤、酸化防止剤、防腐剤、着色剤、矯味剤を挙げることができる。このような賦形剤は、合成したものであっても天然源のものであってもよい。このような賦形剤の例としては、セルロース誘導体やクエン酸、リン酸二カルシウム、ゼラチン、炭酸マグネシウム、ラウリル硫酸マグネシウム/ナトリウム、マンニトール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、シリケート、二酸化ケイ素、安息香酸ナトリウム、ソルビトール、デンプン、ステアリン酸或いはその塩、糖類(即ち、デキストロースやショ糖、乳糖等)、タルク、トラガカント粘液、植物油(硬化)、ロウが挙げられる。エタノールや水は造粒助剤として用いることができる。ある例においては、例えば、味覚マスキングフィルムや胃酸耐性フィルム、放出抑制フィルムで錠剤をコーティングすることが望ましい。天然ポリマーや合成ポリマーを、着色剤、糖類、及び有機溶媒或いは水と併用して、錠剤をコートし、糖衣錠を得ることが多い。錠剤よりもカプセルの方が好ましい場合には、薬物粉末、懸濁液或いはその溶液を、適合し得るハード或いはソフトシェルカプセルとして送達することができる。 一実施形態において、本発明の化合物は、皮膚貼付剤や半固体或いは液体製剤(例えば、ゲルや(マイクロ)エマルジョン、軟膏、液剤、(ナノ/マイクロ)懸濁剤、発泡剤)等によって局所的に投与することができる。薬物の皮膚及び下層組織への浸透の調節は、例えば、浸透促進剤を用いることや、水や有機溶媒、ロウ、オイル、合成及び天然ポリマー、界面活性剤、乳化剤等の親油性、親水性及び両親媒性賦形剤の適切な選択と組合せ、pH調整、錯化剤の使用によって行うことができる。イオン泳動等の他の技法を用いて、本発明の化合物の皮膚浸透を調節してもよい。例えば、全身曝露を最小限に抑えながら局所送達することが望ましい場合には、経皮投与或いは局所投与が好ましいであろう。 吸入による投与或いは鼻への投与の場合、本発明で用いる化合物は、加圧パックからの液剤や懸濁剤、エマルジョン、半固体エアロゾル、或いは通常高圧ガス(例えば、メタンやエタン由来のハロゲン化炭素や、二酸化炭素、他の好適なガス)を用いたネブライザーの形態で簡便に送達する。局所エアロゾルの場合には、ブタンやイソブタン、ペンタン等の炭化水素が有用である。加圧エアロゾルの場合、適切な用量単位は、バルブを設けて定量を送達することによって定めることができる。吸入器や散布器に用いる、例えば、ゼラチンから成るカプセルやカートリッジを処方することができる。これらは通常、本発明の化合物と好適な粉末基剤(乳糖やデンプン等)との混合粉末を含有する。 注入による非経口投与用に処方された組成物は、通常滅菌し、単位剤形(例えば、アンプルや注射器、注射ペン、複数回投与用容器(通常、防腐剤を含有))で提供することができる。このような組成物は、油性或いは水性媒体中で懸濁液や溶液、エマルジョン等の形態をとることができ、バッファーや等張化剤、増粘剤、界面活性剤、懸濁剤、分散剤、酸化防止剤、生体適合性ポリマー、キレート剤、防腐剤等の処方剤(formulatory agents)を含ませることができる。注入部位に応じて、媒体には水、合成油或いは植物油、及び/又は有機共溶媒を含ませることができる。凍結乾燥製剤或いは濃縮製剤を用いる等の場合においては、投与前に非経口製剤を再構成或いは希釈する。本発明の化合物を制御放出或いは持続放出させるデポー製剤には、ナノ/マイクロ粒子やナノ/マイクロ或いは非微粒化結晶の注入可能な懸濁液を含ませることができる。ポリ乳酸やポリグリコール酸、それらのコポリマー等のポリマーは、当該技術分野でよく知られた他のものに加えて、制御/持続放出マトリックスとして用いることができる。他のデポー送達系は、切開を要するポンプやインプラントの形態で提供することができる。 本発明の分子を静脈内注入するための好適な担体は当該技術分野ではよく知られており、その例としては、イオン化化合物を形成する塩基(例えば、水酸化ナトリウム等)や等張化剤としてのショ糖や塩化ナトリウムを含有する水性溶液が挙げられ、例えば、上述のバッファーはリン酸塩或いはヒスチジンを含有する。ポリエチレングリコール等の共溶媒を添加することもできる。このような水性系は、本発明の化合物の溶解に効果的であり、全身投与の際に毒性が低くなる。溶液系の各成分の比率は、毒性や溶解性を損なうことなく大幅に変えることができる。更に、各成分の種類を変えることができる。例えば、ポリソルベートやポロクサマー等の低毒性界面活性剤を、ポリエチレングリコールや他の共溶媒と同様に用いることができ、ポリビニルピロリドン等の生体適合性ポリマーを添加することができ、そして、デキストロースの代わりに他の糖類やポリオールを用いることができる。 本発明の治療方法に有用な組成物の場合、治療的有効用量は、当該技術分野でよく知られた様々な技法を用いて最初に見積もる。動物実験に用いる初期用量は、細胞培養アッセイで確立された有効濃度に基づくことができる。ヒト被験者に適した用量範囲は、例えば、動物実験や細胞培養アッセイで得たデータを用いて定めることができる。 本発明の化合物や剤、薬物の治療的有効用量或いは治療的有効量とは、被験体における症状の改善や生存期間の延長をもたらす化合物や剤、薬物の量或いは用量を意味する。このような分子の毒性及び治療効果については、細胞培養物や実験動物における標準的な薬学的方法、例えば、LD50(個体群の50%が死に至る用量)及びED50(個体群の50%において治療的に有効な用量)を求めることによって定めることができる。治療作用に対する毒性作用の用量比が治療指数であり、これはLD50/ED50比で表すことができる。高い治療指数を示す剤が好ましい。 有効量或いは治療的有効量とは、研究者、獣医、医師或いは他の臨床医によって求められている組織や系、動物、ヒトの生物学的或いは医学的応答(例えば、グルコース代謝の調節や、上昇した血糖値の低下、グルコース代謝の変化に関連する障害(例えば、糖尿病等)の治療或いは予防)を引き起こす化合物或いは医薬組成物の量である。 用量は、毒性が殆ど或いは全くないED50を含む血中濃度の範囲内であることが好ましい。用量は、用いる剤形及び/又は用いる投与経路に応じてこの範囲内で変わり得る。的確な製剤や投与経路、用量、投与間隔については、被験体の病態の詳細に鑑み、当該技術分野で知られた方法に従って選択すべきである。 投与量及び投与間隔を個々に調整して、所望の効果、例えば、グルコース代謝の調節や血糖値の低下等を達成するのに必要な有効成分の血漿中濃度(即ち、最小有効濃度(MEC))を得ることができる。MECは各化合物によって異なるが、例えば、in vitroデータや動物実験から見積もることができる。MECを達成するのに必要な用量は、個々の特性や投与経路によって決まる。局所投与や選択的摂取の場合には、薬物の有効局所濃度が血漿中濃度と関連しないことがある。 投与する剤や組成物の量は、治療対象被験体の性別、年齢及び重量や、病気(the affliction)の重症度、投与方法、処方する医師の判断等の様々な因子に依存し得る。 必要に応じて、本発明の組成物は、有効成分を含有する一以上の単位剤形を含むパックやディスペンサーデバイスとして提供することができる。このようなパックやデバイスは、例えば、ブリスターパック等の金属箔或いはプラスチック箔、或いはバイアル瓶のようにガラス及びゴム栓を含むことができる。このようなパックやディスペンサーデバイスには投与用説明書を添付することができる。適合し得る薬学的担体で処方した本発明の化合物を含む組成物を調製し、適切な容器に収納することもでき、また、適応病態治療のために標識することもできる。 本発明のこれらの及び他の実施形態は、本明細書の開示内容を鑑みて当業者には容易に想到されるであろう。 本発明は、以下の実施例を参照することにより一層理解が進むであろうが、これら実施例は単に本発明を例示するものに過ぎない。これらの実施例を掲げる目的は、請求に係る発明を例示的に説明するために過ぎない。本発明の範囲は、本発明の個々の様相の説明のみを意図した上述の実施形態によって限定されない。機能的に等価ないずれの方法も本発明の範囲内である。本明細書に記載のもの以外の本発明の様々な変更は、上述の説明及び添付図面から当業者には明らかとなるであろう。このような変更は添付の各請求項の範囲内にあるものとする。 実施例1:EPO産生に対するTNF−αの抑制作用の克服 化合物A或いは化合物Bの非存在下或いは存在下、Hep3B細胞を各種濃度(0、0.4、2、10ng/mL)のTNF−αで3日間処理した。分泌されたEPOのレベルは、市販のELISAキット(R&Dシステム、カタログ番号DEP00)を用いて求めた。化合物の非存在下では、TNF−αでHep3B細胞を処理することによってEPO産生が用量依存的に低下した。各種濃度の化合物A(図1A)或いは化合物B(図1B)でHep3B細胞を処理した場合、TNF−αの非存在下では、EPO産生が用量依存的に増加することが示された。TNF−αの存在下でいずれか一方の化合物を添加することによって、EPO産生に対するTNF−αの阻害作用が大幅に抑制された。EPO産生に対するTNF−αの抑制作用のプロリルヒドロキシラーゼ阻害による克服は、低濃度(例えば、0.4ng/mL)及び高濃度(例えば、10ng/mL)のTNF−αの存在下で見られた。従って、EPO産生に対する炎症性サイトカインTNF−αの阻害作用は、本発明の化合物及び方法を用いたプロリルヒドロキシラーゼ活性の阻害によって克服された。これらの結果から、本発明の化合物及び方法が、炎症性サイトカインTNF−αの存在下でEPO産生を増加させる上で有用であることが示唆された。また、本発明の方法及び化合物はEPO産生を増加する上で有用であるため、被験体における貧血、例えば、急性或いは慢性炎症等のTNF−αに関連する障害を有する被験体における貧血、或いは他の慢性疾患に伴う貧血を治療する上で有用である。 一連の実験を行い、炎症性サイトカインTNF−αに細胞を曝露した後に(即ち、既にTNF−αに曝露した細胞において)EPO産生に対する本発明の化合物の作用について検討した。これらの実験においては、プロリルヒドロキシラーゼ阻害剤の添加前にTNF−αシグナル伝達が開始されたであろう。Hep3B細胞を各種濃度(0、0.4、2、10ng/mL)のTNF−αで2時間処理した後、各種濃度の化合物A或いは化合物Bを得られた培養細胞に添加した。分泌されたEPOのレベルは、化合物添加3日後に上述のように求めた。 図2A及び2Bに示すように、Hep3B細胞をTNF−αで2時間前処理した後のEPO産生に対するTNF−αの抑制作用は、化合物A及び化合物Bによって克服された。このデータから、本発明の化合物及び方法が、TNF−αに曝露した細胞におけるEPO産生を増加させる上で有用であることが示された。また、これらの結果から、本発明の化合物を用いた処理によって、EPO産生を増加させ、EPO産生がTNF−αによって抑制されている被験体における貧血を治療するための有用な手段が得られることも示唆された。 本発明の化合物を添加することによって、EPO産生に対するTNF−αの阻害作用が大幅に抑制された。従って、本発明の化合物及び方法は、TNF−αの増加に関連する貧血(例えば、炎症性障害)を治療或いは予防する上で有用である。 実施例2:EPO産生に対するIL−1βの抑制作用の克服 化合物A或いは化合物Bの非存在下或いは存在下、Hep3B細胞を各種濃度(0、0.4、2、10ng/mL)のIL−1βで3日間処理した。分泌されたEPOのレベルは、市販のELISAキット(R&Dシステム、カタログ番号DEP00)を用いて求めた。化合物の非存在下では、IL−1βでHep3B細胞を処理することによってEPO産生が用量依存的に低下した。各種濃度の化合物A(図3A)或いは化合物B(図3B)でHep3B細胞を処理した場合、IL−1βの非存在下では、EPO産生が用量依存的に増加することが示された。IL−1βの存在下でいずれか一方の化合物を添加することによって、EPO産生に対するIL−1βの阻害作用が大幅に抑制された。EPO産生に対するIL−1βの抑制作用のプロリルヒドロキシラーゼ阻害による克服は、低濃度(例えば、0.4ng/mL)及び高濃度(例えば、10ng/mL)のIL−1βの存在下で見られた。従って、EPO産生に対する炎症性サイトカインIL−1βの阻害作用は、本発明の化合物及び方法を用いたプロリルヒドロキシラーゼ活性の阻害によって克服された。これらの結果から、本発明の化合物及び方法が、炎症性サイトカインIL−1βの存在下でEPO産生を増加させる上で有用であることが示唆された。また、本発明の方法及び化合物はEPO産生を増加する上で有用であるため、被験体における貧血、例えば、急性或いは慢性炎症等のIL−1βに関連する障害を有する被験体における貧血、或いは他の慢性疾患に伴う貧血を治療する上で有用である。 一連の実験を行い、炎症性サイトカインIL−1βに細胞を曝露した後に(即ち、既にIL−1βに曝露した細胞において)EPO産生に対する本発明の化合物の作用について検討した。これらの実験においては、プロリルヒドロキシラーゼ阻害剤の添加前にIL−1βシグナル伝達が開始されたであろう。Hep3B細胞を各種濃度(0、0.4、2、10ng/mL)のIL−1βで2時間処理した後、各種濃度の化合物A或いは化合物Bを得られた培養細胞に添加した。分泌されたEPOのレベルは、化合物添加3日後に上述のように求めた。 図4A及び4Bに示すように、Hep3B細胞をIL−1βで2時間前処理した後のEPO産生に対するIL−1βの抑制作用は、化合物A及び化合物Bによって克服された。このデータから、本発明の化合物及び方法が、IL−1βに曝露した細胞におけるEPO産生を増加させる上で有用であることが示された。また、これらの結果から、本発明の化合物を用いた処理によって、EPO産生を増加させ、EPO産生がIL−1βによって抑制されている被験体における貧血を治療するための有用な手段が得られることも示唆された。 本発明の化合物を添加することによって、EPO産生に対するIL−1βの阻害作用が大幅に抑制された。従って、本発明の化合物及び方法は、IL−1βに関連する貧血(例えば、炎症性障害)を治療或いは予防する上で有用である。 実施例3:TNF−α誘導VCAM−1発現の阻害 リンパ球の内皮細胞接着は、血管細胞接着分子(VCAM)−1の内皮細胞発現によって部分的に生じる。内皮細胞におけるVCAM−1の発現は、TNF−α等の各種炎症性サイトカインによって誘導される。TNF−α誘導によるVCAM−1発現に対するHIFプロリルヒドロキシラーゼ阻害の作用を調べるため、各種濃度の化合物B或いは化合物Cの非存在下或いは存在下、HUVEC(ヒト臍帯静脈内皮細胞)をTNF−αで1日間刺激した。次いで、VCAMの発現を測定した。 図5に示すように、TNF−α(1ng/mL)によって、HUVEC細胞におけるVCAM−1の発現が誘導された。しかし、TNF−α刺激細胞に化合物B或いは化合物Cを添加することによって、TNF−α誘導によるVCAM−1の発現が用量依存的に阻害された。このデータから、本発明の方法及び化合物が、炎症性サイトカインTNF−αに関連するVCAM−1発現を抑制するのに有効であることが示された。更に、この結果から、本発明の化合物及び方法が、各種炎症性疾患や自己免疫疾患(例えば、慢性疾患に伴う貧血)に関連するVCAM−1発現を阻害する上で有用であることが示唆された。 実施例4:IL−1β誘導VCAM−1発現の阻害 内皮細胞におけるVCAM−1の発現は、炎症性サイトカインIL−1βによっても誘導される。IL−1β誘導によるVCAM−1の発現に対するHIFプロリルヒドロキシラーゼ阻害の作用を調べるため、各種濃度の化合物B或いは化合物Cの非存在下或いは存在下、HUVEC(ヒト臍帯静脈内皮細胞)をIL−1βで1日間刺激した。次いで、VCAMの発現を測定した。 IL−1β(1ng/mL)によって、HUVEC細胞におけるVCAM−1の発現が誘導された。しかし、IL−1β刺激細胞に化合物B或いは化合物Cを添加することによって、IL−1β誘導によるVCAM−1の発現が用量依存的に阻害された(データは図示せず)。これらの結果から、本発明の方法及び化合物が、炎症性サイトカインIL−1βに関連するVCAM−1発現を抑制するのに有効であることが示された。更に、この結果から、本発明の化合物及び方法が、各種炎症性疾患や自己免疫疾患(例えば、慢性疾患に伴う貧血)に関連するVCAM−1発現を阻害する上で有用であることが示唆された。 実施例5:TNF−α及びIL−1β誘導による内皮細胞上でのVCAM−1発現の阻害 媒体対照或いは各種濃度(0、20、40、80μM)の化合物B或いは化合物CでHUVECを24時間処理した。細胞を洗浄した後、1ng/mLのTNF−α或いは1ng/mLのIL−1βで4時間刺激した。次いで、VCAM−1の細胞表面発現を細胞ベースELISAによって測定した。 図25に示すように、プロリルヒドロキシラーゼ阻害剤で前処理することによって、炎症性サイトカインTNF−α及びIL−1βによって誘導される細胞表面VCAM−1発現の誘導が抑制された。これらの結果から、本発明の化合物及び方法によってTNF−α及びIL−1βの炎症機能が阻害され、更に、異種細胞白血球接着を仲介するのに重要な細胞表面接着分子の発現が阻害されたことが示された。本発明の化合物を用いた処理による白血球接着の阻害によって、炎症カスケードを抑制して、炎症を抑制し、更にEPO産生を制限し赤血球形成を抑制する炎症作用を抑制するための有効な手段が得られる。 実施例6:TNF−α誘導E−セレクチン発現の阻害 内皮E−セレクチンは、炎症イベントにおける血管内皮細胞への白血球の初期付着を仲介する細胞接着分子のセレクチンファミリーに属する。IL−1、TNF−α及びリポ多糖類は各々、E−セレクチンの発現を誘導する(例えば、ベヴィラックァ(Bevilacqua)ら(1987年)Proc Natl Acad Sci USA 84:9238-9242、及びベヴィラックァ(Bevilacqua)及びファン・ファース(van Furth)(1993年)J Leukoc Biol 54:363-378参照)。TNF−α誘導によるE−セレクチンの発現に対するHIFプロリルヒドロキシラーゼ阻害の作用を調べるため、各種濃度の化合物B或いは化合物Cの非存在下或いは存在下、HUVECを1ng/mLのTNF−αで1日間刺激した。次いで、E−セレクチン及びVCAMの発現を測定した。 図24A及び24Bに示すように、化合物B及び化合物Cによって、HUVECにおけるTNF−α誘導によるVCAM及びE−セレクチンの発現が用量依存的に阻害された。図24A及び24Bのデータは、各種濃度の化合物B(図24A)或いは化合物C(図24B)に応じて見られたVCAM及びE−セレクチンの発現の阻害率で示している。50μMの化合物B或いは化合物Cで処理したHUVECにおいて、VCAM及びE−セレクチンの発現の阻害率が60%を超えた。このデータから、本発明の方法及び化合物が、炎症性サイトカインTNF−αに関連する内皮細胞でのVCAMやE−セレクチンの発現を抑制するのに有効であることが示された。また、この結果から、本発明の化合物及び方法が、各種炎症性障害や自己免疫障害(例えば、慢性疾患に伴う貧血等)に関連するVCAMやE−セレクチンの発現を阻害する上で有用であることが示唆された。更に、本発明の方法及び化合物によって接着分子(VCAMやE−セレクチン等)の内皮細胞発現を阻害することにより、血管炎症における初期イベントを抑制するための手段が得られる。 実施例7:IL−1β誘導E−セレクチン発現の阻害 IL−1β誘導によるE−セレクチンの発現に対するHIFプロリルヒドロキシラーゼ阻害の作用を調べるため、各種濃度の化合物B或いは化合物Cの非存在下或いは存在下、HUVECを1ng/mLのIL−1βで1日間刺激した。次いで、E−セレクチンの発現を測定した。 化合物B及び化合物Cによって、HUVECにおけるIL−1β誘導によるE−セレクチンの発現が用量依存的に阻害された(データは図示せず)。これらの結果から、本発明の方法及び化合物が、炎症性サイトカインIL−1βに関連する内皮細胞でのE−セレクチンの発現を抑制するのに有効であることが示された。また、この結果から、本発明の化合物及び方法が、各種炎症性障害や自己免疫障害(例えば、慢性疾患に伴う貧血等)に関連するE−セレクチンの発現を阻害する上で有用であることが示唆された。更に、本発明の方法及び化合物によって接着分子(VCAMやE−セレクチン等)の内皮細胞発現を阻害することにより、血管炎症における初期イベントを抑制するための手段が得られる。 実施例8:TNF−α、IL−1β及びIFN−γ誘導E−セレクチン発現の阻害 媒体対照或いは各種濃度の化合物B或いは化合物CでHUVECを24時間処理した。細胞を洗浄した後、1ng/mLのTNF−α、1ng/mLのIL−1β、或いはTNF−α、IL−1β及びIFN−γ(各1ng/mL)の組合せを用いて4時間刺激した。E−セレクチンの細胞表面発現を細胞ベースELISAによって測定した。 図26に示すように、化合物B或いは化合物CでHUVECを前処理することによって、炎症性サイトカインTNF−α或いはIL−1βによって誘導される細胞表面E−セレクチン発現の誘導が阻害された。また、いずれか一方の化合物で前処理することによって、E−セレクチン発現を増加させることが知られている三種類の炎症性サイトカイン(TNF−α、IL−1β及びIFN−γ)の存在下でE−セレクチンの発現が抑制された。これらの結果から、本発明の化合物によって、内皮細胞上でのTNF−α、IL−1β及びIFN−γの炎症機能が阻害された(例えば、活性化内皮上での白血球のローリングを仲介する細胞表面接着分子の発現の阻害)ことが示された。E−セレクチンによる活性化内皮への白血球の接着は炎症カスケードの永続における初期段階であるため、E−セレクチン発現の阻害により白血球のローリングを阻害することによって、更にEPO産生を制限し赤血球形成を抑制する炎症カスケードを抑制するための手段が得られる。 実施例9:EPO産生の相乗的増加 各種濃度(3μM、10μM、30μM)の化合物A或いは化合物Bの非存在下或いは存在下、各種濃度(0、0.1、1、10ng/mL)のIL−6でHep3B細胞を1日間或いは3日間処理した。分泌されたEPOのレベルは、市販のELISAキット(R&Dシステム、カタログ番号DEP00)を用いて求めた。化合物の非存在下では、Hep3B細胞をIL−6で処理してもEPO産生に対する作用は最小限であった。図27A及び27Bに示すように、Hep3B細胞をIL−6で処理することによって、EPO発現が未処理細胞の場合に比べてわずかに増加した。具体的には、対照細胞中のEPO濃度は約20mIU/mLで、10ng/mLのIL−6で処理した細胞中のEPO濃度は約50mIU/mLであった。 IL−6の非存在下でHep3B細胞を化合物A或いは化合物Bで処理した場合、EPO濃度が用量依存的に上昇することが示された。しかし、IL−6の存在下でHep3B細胞を化合物A或いは化合物Bで処理した場合、EPO濃度が大幅に上昇することが示された(図27A及び27B参照)。IL−6存在下でのEPO産生に対する化合物処理の作用は相乗的であった。例えば、Hep3B細胞を10ng/mLのIL−6で処理した場合、EPO濃度は約50mIU/mLであった。IL−6の非存在下でHep3B細胞を10mMの化合物A或いは化合物Bで処理した場合、EPO濃度はそれぞれ約60mIU/mL、220mIU/mLとなった。10ng/mLのIL−6の存在下で化合物A及び化合物Bを添加した場合、EPO濃度はそれぞれ約270mIU/mL、400mIU/mL超まで上昇した。従って、本発明の化合物は、肝細胞におけるEPO発現の誘導に対しIL−6と相乗的に作用した。 実施例10:サイトカイン誘導EPOレセプターシグナル伝達抑制の克服 細胞株TF−1(ヒト赤白血病;ATCCカタログ番号CRL−2003)を刺激し、EPO添加に応じて増殖する。各種炎症性サイトカインの存在下では、EPO仲介によるTF−1細胞増殖の増加が抑制される。TF−1細胞増殖に対するプロリルヒドロキシラーゼ阻害の作用を確認するため、プロリルヒドロキシラーゼ阻害剤の非存在下或いは存在下、各種濃度の炎症性サイトカインIL−1β、TNF−α或いはIFN−γでTF−1細胞を処理し、EPO仲介による細胞増殖を次の通りに測定する。96ウェルマイクロタイタープレートで培養した細胞を三連で(triplicate wells)、EPOの非存在下或いは存在下で無血清培地と共に24時間インキュベートする。培養の最後の4時間、1μCiのトリチウムチミジン(3H−TdR;アマシャム)を各ウェルに添加する。EPOレセプターシグナル伝達に対する細胞応答性は細胞増殖を測定することによって求める。細胞増殖は、細胞に取り込まれた3H−TdRの量を定量することによって測定するが、その際、先ず細胞を水で溶解し、次にセルハーベスターのナイロンフィルター上にDNAを捕捉する。 或いは、脾臓内でEPO応答性前駆体の蔓延(prevalence)を引き起こす、フェニルヒドラジン処理動物から得た脾細胞の単細胞浮遊液をEPO応答細胞源として用いる。次いで、EPO仲介による増殖を上述のようにex vivoで評価する。 EPOで処理したTF−1細胞によって細胞増殖が増加するが、これはトリチウムチミジン取りこみの増加によって確認する。炎症性サイトカインIL−1β、TNF−α或いはIFN−γをEPO処理TF−1細胞に添加することによって、EPOに対する応答性が低下し、細胞増殖が抑制される。TF−1細胞におけるEPO仲介細胞増殖に及ぼす炎症性サイトカインの阻害作用に対する本発明化合物の添加による作用について確認する。トリチウムチミジン取りこみの増加によって測定される、EPO及び炎症性サイトカインで処理したTF−1細胞における細胞増殖の増加から、本発明の化合物及び方法によってEPO仲介による細胞増殖増加に対する炎症性サイトカインの抑制作用が克服されることが示される。 実施例11:トランスフェリンレセプター発現の増加 トランスフェリンレセプター発現に対する本発明の化合物の作用を次のように検討した。各種細胞(Hep3B、HepG2、HK−2)を化合物A或いは化合物Bと共に1日間インキュベートした。次いで、得られた細胞に対し、CD71−PE抗体(アンセル、カタログ番号223−050)を用いたFACS解析によってトランスフェリンレセプター発現の解析を行った。結果を下の表1に示す。 上の表1に示すように、本発明の各種化合物を細胞に添加することによって、トランスフェリンレセプターの発現が増加した。本発明のプロリルヒドロキシラーゼ阻害剤を用いたHIFプロリルヒドロキシル化の阻害によって、細胞におけるトランスフェリンレセプターの発現が増加した。本発明のプロリルヒドロキシラーゼ阻害剤を用いたトランスフェリンレセプター発現の増加は、肝細胞(例えば、Hep3BやHepG2)、腎細胞(例えば、HK−2)及びリンパ球(例えば、THP−1)において見られた。従って、本発明の方法及び化合物は、各種細胞におけるトランスフェリンレセプターの発現を増加させる上で有用である。更に、トランスフェリンレセプター発現の増加によって、トランスフェリンレセプター仲介による3価鉄トランスフェリン(ferric transferrin)のエンドサイトーシスが増加して、鉄輸送、鉄利用、鉄貯蔵及び鉄代謝が増加するであろう。従って、本発明の方法及び化合物は、鉄輸送、鉄利用、鉄貯蔵及び鉄代謝を増加させることによって赤血球形成を増強する上で有用である。 実施例12:in vitroでのトランスフェリンレセプター発現及び鉄摂取の増加 細胞における鉄摂取に対する化合物の作用については次のように確認する。主要な単球及びマクロファージ、及び単球細胞株及びマクロファージ細胞株(例えば、THP−1)を各種濃度のプロリルヒドロキシラーゼ阻害剤で1日間、2日間或いは3日間処理する。次いで、細胞に対し、蛍光免疫染色及びフローサイトメトリーを用いて細胞表面トランスフェリンレセプターの存在についての検討を行う。プロリルヒドロキシラーゼ阻害剤の添加によって細胞表面トランスフェリンレセプター発現が増加することを示す結果から、細胞へのトランスフェリン結合、即ち、細胞への鉄結合を増加させる上でプロリルヒドロキシラーゼ阻害が有効であることが示される。プロリルヒドロキシラーゼ阻害剤で処理した細胞による鉄摂取の変化は次のように確認する。59Feの存在下、細胞を化合物で処理する。プロリルヒドロキシラーゼ阻害剤で処理した細胞による鉄摂取の増加は、細胞結合59Feを測定することによって確認する。細胞結合59Feが増加している場合、細胞における鉄摂取の増加を示す。 実施例13:鉄調節タンパク質−2のレベル及び活性の増加 鉄摂取や鉄貯蔵、鉄利用の調節は、鉄代謝に関与する主要なタンパク質(鉄調節タンパク質(IRP)として知られるトランス作用タンパク質等)の発現や活性によって部分的に生じる。IRP−1及びIRP−2は、鉄代謝に関与するタンパク質の各種mRNAにおける特定の鉄応答性要素に結合することによってmRNAの安定性や翻訳を制御し、鉄代謝のほぼ全ての局面に影響を及ぼす。鉄欠乏によってIRP活性が上昇して、トランスフェリンレセプターの発現が増加し、フェリチンの発現が抑制される。また、鉄の存在下ではIRP活性が低下して、トランスフェリンレセプターの発現が抑制され、フェリチンの発現が増加する。 鉄代謝の各種局面に対する本発明の化合物の作用を検討するため、次の実験を行う。マウスHepa−1細胞をプロリルヒドロキシラーゼ阻害剤で最大48時間処理する。次いで、細胞を採取し、細胞ライセートに対して、IRP−2に特異的な抗体を用いた免疫ブロット法(Alpha Diagnostic International社、テキサス州サンアントニオ)によりIRP−2発現の解析を行う。化合物添加後の細胞質IRP−2レベルの上昇を示す結果から、本発明の方法及び化合物がIRPレベル、即ち、鉄代謝を増加させる上で有用であることが示される。 フェリチン及びトランスフェリンの発現の変化によって測定される、IRP−2活性に対する本発明の化合物の作用については、次のように確認する。マウスRAW264.1マクロファージ細胞株をプロリルヒドロキシラーゼ阻害剤で最大48時間処理する。次いで、細胞を採取し、免疫ブロット法(ADI、カタログ番号IRP21−S)によるフェリチン及びトランスフェリンタンパク質の発現の解析を行う。プロリルヒドロキシラーゼ阻害後のフェリチン発現レベルの低下及びトランスフェリン発現レベルの上昇から、本発明の方法及び化合物が、IRP−2の活性を安定化且つ増加させる上で有用であることが示される。IRP−2発現の増加によって、鉄の長期貯蔵に関与するフェリチンの発現が抑制され、トランスフェリン及びトランスフェリンレセプターの発現が増加し、鉄摂取、鉄輸送及び鉄利用が促進され、赤血球形成が増強される。本発明の方法及び化合物は、IRP−2の発現及び活性を増加させることによって、フェリチンの発現及びそれに伴う鉄の長期貯蔵を低下させ、トランスフェリン及びトランスフェリンレセプターの発現を増加させる上で有用である。従って、本発明の方法及び化合物は、鉄摂取、鉄輸送及び鉄利用を増加させる上で有用であり、よって、赤血球形成を増強する上で有用である。 実施例14:鉄利用の増強 ラットに対して媒体対照或いはHIFプロリルヒドロキシラーゼ阻害剤を投与した後、59Fe放射性標識クエン酸第一鉄(アマシャム)を静脈内注入する。血液の連続試料を尾静脈から採取し、総遊離血漿及び赤血球結合放射能をシンチレーションカウンターにて測定し、赤血球ヘム及びヘモグロビン合成への鉄の輸送及び取り込みを検出する。赤血球結合59Feが増加することから、本発明の化合物が、ヘム合成、ヘモグロビン産生及び赤血球形成に必要な鉄利用を増強する上で有用であることが示される。 実施例15:in vitroでの赤血球形成遺伝子発現の増強 Hep3B細胞(ATCC番号HB−8064)を8%ウシ胎児血清含有DMEM中で増殖させた。Hep3B細胞を6ウェル培養皿に播種した(〜500,000細胞/ウェル)。8時間後、培地を0.5%ウシ胎児血清含有DMEMに変え、細胞を更に16時間インキュベートした。化合物B或いは化合物Dを細胞に添加し(最終濃度は25μM)、細胞をいろいろな時間でインキュベートした。対照細胞(非化合物処理、DMSOのみ添加)は0時間、6時間及び48時間に採取した。採取した細胞は細胞生存度(GUAVA)について評価するか、或いはRNA抽出バッファー(RNeasy、キアゲン)に添加し、続くRNA精製のために−20℃で保存した。異なる日に行った複製実験で単離したRNAを用いて複製マイクロアレイを生成した。RNeasyキット(キアゲン)を用いて細胞から全RNAを単離した。 0.3Mの酢酸ナトリウム(pH5.2)、50ng/mLのグリコーゲン、2.5体積のエタノールにRNAを−20℃で1時間沈殿させた。試料を遠沈し、ペレットを冷80%エタノールで洗浄し、乾燥した後、水に再懸濁させた。二本鎖cDNAの合成は、T7−(dT)24第一鎖プライマー(アフィメトリックス社、カリフォルニア州サンタクララ)及びSUPERSCRIPT CHOICEシステム(インビトロジェン)を用い、該メーカーの指示に従って行った。PHASE LOCK GELインサート(ブリンクマン社、ニューヨーク州ウエストベリー)を用い、同体積のフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(25:24:1)で最終cDNAを抽出した。水相を回収し、0.5体積の7.5M 酢酸アンモニウム及び2.5体積のエタノールを用いてcDNAを沈殿させた。或いは、GENECHIP試料浄化モジュール(アフィメトリックス)を用い、該メーカーの指示に従ってcDNAを精製した。 BIOARRAY High Yield RNA転写標識キット(エンゾ・ダイアグノスティックス社、ニューヨーク州ファーミングデール)を用い、該メーカーの指示に従って、in vitro翻訳(IVT)反応にてcDNAからビオチン標識cRNAを合成した。GENECHIP試料浄化モジュール(アフィメトリックス)を用い、該メーカーの指示に従って最終標識産物を精製、断片化した。 ハイブリダイゼーションカクテルの調製は、5μgのプローブを100μLの1×ハイブリダイゼーションバッファー(100mM MES、1M [Na+]、20mM EDTA、0.01% Tween20)、100μg/mLのニシン精子DNA、500μg/mLのアセチル化BSA、0.03nMの対照オリゴB2(アフィメトリックス)及び1×GENECHIP真核ハイブリダイゼーション対照(アフィメトリックス)に導入することによって行った。調製したカクテルを連続して、99℃で5分間、45℃で5分間インキュベートした後、5分間遠沈した。Human Genome U133Aアレイ(アフィメトリックス)を室温に戻した後、回転させながら、1×ハイブリダイゼーションバッファーを用いて45℃で10分間プレハイブリダイズした。次いで、バッファーを80μLのハイブリダイゼーションカクテルに交換し、カウンターバランスをとりながら、アレイを45℃、60rpmで16時間ハイブリダイズした。ハイブリダイゼーション後、アレイを6×SSPE、0.1%Tween20で1回洗浄した後、R−フィコエリスリン接合ストレプトアビジン(モレキュラープローブ、オレゴン州ユージーン)、ヤギ抗ストレプトアビジン抗体(ベクターラボラトリー、カリフォルニア州バーリンゲーム)、及びGENECHIP Fluidics Station400機器(アフィメトリックス)を用い、該メーカーのマイクロ_lvlプロトコル(アフィメトリックス)に従って、洗浄及び染色した。GENEARRAYスキャナー(アフィメトリックス)及びMicroarray Suiteソフトウェア(アフィメトリックス)を用いてアレイを解析した。 Human Genome U133Aアレイ(アフィメトリックス)は、約14,500のよく特徴付けられたヒト遺伝子を含む、Human Unigeneデータベース構築133(米国国立バイオテクノロジー情報センター、メリーランド州ベセスダ)の全ての配列を表す。 キャピラリー電気泳動(アジレントバイオアナライザ)によってRNAの質をモニターした。ハイブリダイゼーションカクテルの調製を上述のように行い(アフィメトリックス)、22,283のプローブセットを含むアフィメトリックスヒトU133Aアレイに該カクテルをハイブリダイズした。アレイ機能はアフィメトリックスMicroarray Suite(MAS)ソフトウェアを用いて解析し、個々のプローブセットにはソフトウェアデフォルトに従って「present」、「marginal」及び「absent」コールを割り当てた。GeneSpringソフトウェア(シリコンジェネティクス)を用いて、統計的分析値及びろ過済プローブセットリスト(filtered probe set lists)を作成した。「発現」プローブセットのカットオフには、アフィメトリックス「P」コールとGenespring固有データエラーモデル由来の絶対発現値との組合せを用いた。データは、対照試料の平均に対して正規化した。 下の表2に示すように、赤血球形成タンパク質をコードする遺伝子の発現(対照を超えたmRNAレベルの増加倍数(fold-increase))は、本発明の化合物で処理したHep3B細胞において増加した(各条件における二種類のセルロプラスミンデータポイントを下の表2に示す)。具体的には、セルロプラスミン及びトランスフェリンレセプター2遺伝子の発現は、本発明の各種化合物で処理したHep3B細胞において増加した。 実施例16:動物投与 以下の実施例で用いた動物としては、シモンセン社(カリフォルニア州ギルロイ)、チャールズリバー(カリフォルニア州ホリスター)或いはハーランから入手したSwiss Webster雄性マウス(30〜32g)、Sprague Dawley雄性ラット(200〜350g)及びLewis雌性ラットが挙げられる。標準的な方法を用いて動物を維持し、動物には食料と水を自由に摂取させた。処理時には、体重の変化及び明らかな毒性や死亡の兆候について動物をモニターした。 化合物の投与は、一般に強制経口投与或いはIV投与によって行った。動物の処理については、各種投与計画を用い、4〜10mL/kg体積の0.1%ポリソルベート80含有或いは非含有(0mg/kg/日)の0.5%カルボキシメチルセルロース(CMC;シグマ−アルドリッチ、ミズーリ州セントルイス)、或いは0.1%ポリソルベート80含有或いは非含有の0.5%CMC中の各種用量の本発明の化合物(例えば、HIFプロリルヒドロキシラーゼ阻害剤)を強制経口投与して行った。処理時には適切な間隔で、例えば、尾静脈(ラット)や腹部静脈或いは心臓穿刺(マウス或いはラット)より血液試料を回収した。一般に、動物はイソフルランで麻酔し、血液試料はMICROTAINER血清セパレータチューブ(ベクトン−ディッキンソン、ニュージャージー州フランクリンレイクス)内に回収した。血清成分の測定の場合、チューブを室温で30分間インキュベートした後、8,000rpm、4℃で10分間遠沈した。次いで、血清画分を処理し、特定の成分(例えば、血清鉄)の存在について解析した(アッセイはQuality Clinical Labs(カリフォルニア州マウンテンビュー)により実施)。ヘマトクリット測定の場合、血液試料をMICROTAINER EDTA-2Kチューブ(ベクトン−ディッキンソン)内に回収し、次いで、EDTA−血液を75mm×内径1.1〜1.2mmのキャピラリーチューブ(Chase Scientific glass社、テネシー州ロックウッド)に約3/4の長さまで吸入し、チューブの一端をCRITOSEALシール剤(シャーウッドメディカルカンパニー)でシールし、チューブをJ-503M MICROHEMATOCRIT遠心分離機(Jorgensen Laboratories社、コロラド州ラヴランド)にて12,000rpmで5分間遠沈した。ヘマトクリットはリーダーカードに対して読み取った。適応があれば、血中ヘモグロビン濃度、網状赤血球数及びヘマトクリットを含む完全血球算定(CBC)解析をQuality Clinical Labs(カリフォルニア州マウンテンビュー)により実施した。 各実験の最後には、例えば、一般的麻酔下での放血、或いはCO2窒息によって動物を安楽死させ、器官及び組織試料を回収した。組織は中性緩衝ホルマリンで固定するか或いは−70℃で冷凍保存した。ゲノム解析用の組織はRNAlater内に入れた。 実施例17:in vivoでの鉄処理タンパク質をコードする遺伝子の発現の増加 Swiss Webster雄性マウスを上述のように、0.5%のCMC(シグマ−アルドリッチ)(0mg/kg)或いは100mg/kgの化合物Aの単回投与によって処理した。投与から4時間、8時間、16時間、24時間、48時間或いは72時間後に、マウスを麻酔して殺し、腎臓、肝臓、脳、肺及び心臓の組織試料を単離し、RNALATER溶液(アンビオン)中に−80℃で保存した。或いは、マウスに4日間連続で0.5%CMC(0mg/kg/日)、0.5%CMC中の化合物A(7.5mg/mL)(30mg/kg/日)或いは0.5%CMC中の化合物A(25mg/mL)(100mg/kg/日)を投与して処理した。最終投与から4時間後、マウスを麻酔して殺し、約150mgの肝臓及び各腎臓を単離し、RNALATER溶液(アンビオン)中に−20℃で保存した。 RNAの単離は次のプロトコルを用いて行った。各器官の切片を角切りにし、875μLのRLTバッファー(RNEASYキット;キアゲン社、カリフォルニア州バレンシア)を添加し、得られた断片をロータ−ステータPOLYTRONホモジナイザー(キネマティカ社、オハイオ州シンシナティ)を用いて約20秒間ホモジナイズした。得られたホモジネートを3分間マイクロ遠沈して不溶性物質をペレット化し、上清を新しいチューブに移し、RNEASYキット(キアゲン)を用い、該メーカーの指示に従ってRNAを単離した。RNAを80μLの水に溶出し、RIBOGREEN試薬(モレキュラープローブ、オレゴン州ユージーン)を用いて定量した。260nm及び280nmにおける吸光度を測定し、RNAの純度及び濃度を求めた。 或いは、組織試料を角切りにし、TRIZOL試薬(インビトロジェンライフテクノロジー、カリフォルニア州カールズバッド)にてロータ−ステータPOLYTRONホモジナイザー(キネマティカ)を用いてホモジナイズした。ホモジネートを室温に戻し、0.2体積のクロロホルムを添加し、試料を激しく混合した。混合物を室温で数分間インキュベートした後、12,000g、4℃で15分間遠沈した。水相を回収し、0.5体積のイソプロパノールを添加した。試料を混合し、室温で10分間インキュベートし、12,000g、4℃で10分間遠沈した。上清を除去し、ペレットを75%EtOHで洗浄し、7,500g、4℃で5分間遠沈した。260nm及び280nmにおける吸光度を測定し、RNAの純度及び濃度を求めた。 0.3Mの酢酸ナトリウム(pH5.2)、50ng/mLのグリコーゲン、2.5体積のエタノールにRNAを−20℃で1時間沈殿させた。試料を遠沈し、ペレットを冷80%エタノールで洗浄し、乾燥した後、水に再懸濁させた。二本鎖cDNAの合成は、T7−(dT)24第一鎖プライマー(アフィメトリックス社、カリフォルニア州サンタクララ)及びSUPERSCRIPT CHOICEシステム(インビトロジェン)を用い、該メーカーの指示に従って行った。PHASE LOCK GELインサート(ブリンクマン社、ニューヨーク州ウエストベリー)を用い、同体積のフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(25:24:1)で最終cDNAを抽出した。水相を回収し、0.5体積の7.5M 酢酸アンモニウム及び2.5体積のエタノールを用いてcDNAを沈殿させた。或いは、GENECHIP試料浄化モジュール(アフィメトリックス)を用い、該メーカーの指示に従ってcDNAを精製した。 BIOARRAY High Yield RNA転写標識キット(エンゾ・ダイアグノスティックス社、ニューヨーク州ファーミングデール)を用い、該メーカーの指示に従って、in vitro翻訳(IVT)反応にてcDNAからビオチン標識cRNAを合成した。GENECHIP試料浄化モジュール(アフィメトリックス)を用い、該メーカーの指示に従って最終標識産物を精製、断片化した。 ハイブリダイゼーションカクテルの調製は、5μgのプローブを100μLの1×ハイブリダイゼーションバッファー(100mM MES、1M [Na+]、20mM EDTA、0.01% Tween20)、100μg/mLのニシン精子DNA、500μg/mLのアセチル化BSA、0.03nMの対照オリゴB2(アフィメトリックス)及び1×GENECHIP真核ハイブリダイゼーション対照(アフィメトリックス)に導入することによって行った。調製したカクテルを連続して、99℃で5分間、45℃で5分間インキュベートした後、5分間遠沈した。Murine Genome MOE430Aplus2アレイ(アフィメトリックス)を室温に戻した後、回転させながら、1×ハイブリダイゼーションバッファーを用いて45℃で10分間プレハイブリダイズした。次いで、バッファーを80μLのハイブリダイゼーションカクテルに交換し、カウンターバランスをとりながら、アレイを45℃、60rpmで16時間ハイブリダイズした。ハイブリダイゼーション後、アレイを6×SSPE、0.1%Tween20で1回洗浄した後、R−フィコエリスリン接合ストレプトアビジン(モレキュラープローブ、オレゴン州ユージーン)、ヤギ抗ストレプトアビジン抗体(ベクターラボラトリー、カリフォルニア州バーリンゲーム)、及びGENECHIP Fluidics Station400機器(アフィメトリックス)を用い、該メーカーのEukGE-WS2v4プロトコル(アフィメトリックス)に従って、洗浄及び染色した。GENEARRAYスキャナー(アフィメトリックス)及びMicroarray Suiteソフトウェア(アフィメトリックス)を用いてアレイを解析した。 Murine Genome MOE430Aplus2アレイ(アフィメトリックス)は、約14,000のよく特徴付けられたマウス遺伝子を含む、Murine UniGeneデータベース構築107(米国国立バイオテクノロジー情報センター、メリーランド州ベセスダ)の全ての配列を表す。 化合物A投与後のマウス腎臓におけるセルロプラスミンmRNAの発現を下の表3に示す。データは、対照未処理マウスで見られたデータの平均値に対して正規化した。 上の表3に示すデータから、本発明の方法及び化合物が、セルロプラスミン遺伝子の発現を増加させる上で有用であることが示された。フェロキシダーゼ−1としても知られるセルロプラスミンは、貯蔵部位から放出される還元鉄(フェリチン等)を酸化型へと変化させる。酸化された鉄は、その血漿輸送タンパク質であるトランスフェリンに結合することができる。セルロプラスミン欠乏は肝臓や他の組織への鉄の蓄積に関連する。セルロプラスミンによって肝臓からの鉄の流出が促進され、鉄欠乏細胞への鉄の流入が促進される証拠が示されている(例えば、トラン(Tran)ら(2002年)J Nutr 132:351-356参照)。 化合物A投与後のマウス肝臓におけるヘプシジンmRNAの発現を下の表4に示す。データは、対照未処理マウスで見られたデータに対して正規化した。 上の表4に示すように、化合物Aの投与によってマウス肝臓におけるヘプシジンmRNAの発現が抑制された。ヘプシジン発現の抑制は、細網内皮細胞からの鉄放出の増加及び腸内鉄吸収の増加に関連する。従って、本発明の方法及び化合物は、ヘプシジンの発現を抑制し腸内鉄吸収を増加させる上で有用である。 図6Aは、腎臓におけるトランスフェリンレセプターの相対発現レベル(灰色棒)、及び十二指腸鉄輸送体NRAMP2(自然抵抗性関連マクロファージタンパク質2)(Slc11a2(溶質キャリアファミリー11、プロトン結合二価金属イオン輸送体、メンバー2)としても知られ、或いはDCT1(二価カチオン輸送体1)、DMT1(二価金属輸送体1)と称される)の相対発現レベル(黒色棒)を示す。 他の実験においては、60mg/kgの化合物A、化合物B及び化合物CをマウスにIV投与して4時間後に採取した小腸からmRNAを単離した。5処理群のマウス2匹の各々からプローブを調製し、アフィメトリックスマウスMOE430Aplus2マイクロアレイ(マウス1匹/トレイ)にハイブリダイズした。処理マウスと未処理マウスのアレイから得たデータの統計的比較を行った。図6Bは、化合物A、化合物B及び化合物Cで処理したマウスの小腸におけるNRAMP2mRNAの相対発現レベルを示す。発現レベルは、対照、即ち、未処理マウスに対する各発現遺伝子の誘導倍数(fold-induction)として示す。これらの実験の結果から、本発明の方法及び化合物が、腸内でのNRAMP2の発現を増加させる上で有用であることが示された。更に、これらの結果から、本発明の方法及び化合物が、鉄吸収を増加させて、ヘム合成やヘモグロビン合成、赤血球産生、赤血球形成における鉄利用能を増加させる上で有用であることが示唆された。 図6Cは、媒体対照と比較した処理マウスにおける5−アミノレブリン酸シンターゼ(ALAS−2)発現の誘導倍数を示す。このデータから、プロリルヒドロキシラーゼ阻害剤で正常マウスを処理することによって、鉄代謝に関与する遺伝子(腸からの鉄吸収及びトランスフェリンレセプターによる周囲への鉄輸送に関与する遺伝子等)の発現が増加することが示された。このような遺伝子の発現は、投与から16時間後にはベースライン(対照)レベルに戻った。このデータからは、プロリルヒドロキシラーゼ阻害剤処理後の適応組織(indicated tissues)におけるALAS−2(即ち、ヘム合成経路の最初の酵素であり、ヘム合成の律速酵素)の協調的発現も示された。これらの結果を総合すると、本発明の化合物によって、鉄吸収や鉄輸送、ヘム合成を含む赤血球形成の促進に関与するタンパク質をコードする遺伝子の発現の増加が調整されることが分かった。 或いは、フローサイトメトリー解析を用いて、二重免疫染色末梢血単核細胞におけるマクロファージ細胞表面マーカーCD11c及びトランスフェリンレセプターのレベルを測定する。マクロファージ及びトランスフェリンレセプターの発現の増加を検出することによって化合物処理に対する活性が示される。また、血漿を回収し、市販のELISAキット(例えば、KomaBiotech(韓国)参照)を用いてトランスフェリンのレベルについて試験することもできる。 実施例18:in vivoでの赤血球形成の増強 赤血球形成に対する本発明の化合物投与の作用については次のように確認する。正常なマウスを貧血にし、TNF−αの慢性投与(即ち、TNF−αに対するEPO産生及びシグナル伝達の不足による赤血球形成の阻害が知られている投与計画)によって貧血状態を維持する。1〜4週間に亘って貧血を誘導した後、マウスにプロリルヒドロキシラーゼ阻害剤を投与する。BFU−E及びCFU−Eの産生について組織を試験し、組成について血液試料を解析する。有効性が明らかになる。 赤血球形成に対するプロリルヒドロキシラーゼ阻害剤投与の作用を検討する上では他の実験動物モデルが有用である。このモデルにおいては、トランスジェニックマウスが、TNF−αの構成的な過剰発現によって慢性疾患に伴う貧血を発症する。これらのマウスにおいて貧血が発症した後、各種投与戦略を用いてプロリルヒドロキシラーゼ阻害剤を様々な期間で投与した。次いで、組織及び血液試料を回収し解析した。上述のように、骨髄、脾臓及び末梢におけるBFU−E及びCFU−E数の増加、及び/又は血清ヘモグロビン、網状赤血球及びヘマトクリットの増加を示す結果から、トランスジェニックマウスにおけるTNF−α過剰産生に関連する貧血が本発明の方法及び化合物を用いたプロリルヒドロキシラーゼ阻害剤の投与によって治療されることが効果的に示される。 実施例19:血清鉄濃度の上昇 雄性ラット及び雌性ラットを、各種濃度(0、20、60或いは150mg/kg)の化合物Aで週に2回(月曜日と木曜日)、93日間処理した。総血清鉄濃度を求めた。 表5に示すように、化合物Aの投与によって、雄性ラット及び雌性ラットの両方において血清鉄濃度が上昇した(表5中のデータは血清鉄濃度±標準偏差で示す。*は未処理マウスの血清鉄濃度に対する有意差を示す)。これらの結果から、本発明の方法及び化合物が、血清鉄濃度を上昇させる上で有用であり、よって、鉄欠乏症に関連する障害を治療する上で有用であることが示された。 実施例20:慢性疾患に伴う貧血/赤血球形成低下/鉄代謝低下の動物モデルにおける有効性 慢性疾患に伴う貧血(ACD)は、関節炎や腫瘍性疾患、慢性炎症に伴う他の障害等の様々な炎症性病態に関連する。ACDのラットモデルを用い、慢性疾患に伴う貧血の治療に対する本発明の方法及び化合物を用いたHIF安定化の作用について検討した。この動物モデルにおいては、ペプチドグリカン−多糖ポリマーによってラットにACDを誘導する(例えば、サルトル(Sartor)ら(1989年)Infection and Immunity 57:1177-1185参照)。このモデルにおいて、ラットは初期段階で重症急性貧血を発症し、その後の段階で中程度の重症慢性小球性貧血となる。 ACDの動物モデル−実験シリーズ1: 約160gの雌性LewisラットにPG-PS 10S(リーラボラトリー、15μg/gm体重、腹腔内)をチャレンジした。PG-PS 10Sは、化膿連鎖球菌、A群、D58株の細胞壁から単離した精製ペプチドグリカン−多糖ポリマーを含有する。関節炎及び貧血を35日間進行させた。35日目に、全身麻酔(イソフルラン)下で血液試料(約400μL)を尾静脈から採取し、CBC及び網状赤血球を測定した(Quality Clinical Labsにより実施)。スパンヘマトクリットレベルが45%以上のラットは貧血ではないと考え、実験から除外した。 PG-PS注入後35日目に、貧血ラットに媒体のみを投与するか、或いは化合物A(60mg/kg、PO)で処理し、これを2週間(連続2日間/週)行った。自動化完全血球算定(CBC)を35日目(上述参照)、39日目、42日目及び49日目に行い、49日目に血清鉄濃度を測定した。網状赤血球数 図7に示すように、貧血ラットに化合物Aを投与することによって、39日目(即ち、化合物投与開始5日後)に網状赤血球数が増加した。対照(貧血でない)ラット及び貧血(PG-PS処理)ラットのそれぞれにおいて、赤血球中網状赤血球レベルは約2%、4%であった。しかし、化合物処理ラットにおいて、網状赤血球レベルは赤血球数の約10%であった。貧血ラットにおいて、化合物A処理によって網状赤血球数が増加した。従って、化合物AはACDのラット動物モデルにおいて赤血球形成を刺激した。ヘマトクリット 化合物Aで処理した貧血ラットにおいてヘマトクリットレベルは上昇した。貧血ラット(PG-PS処理)におけるヘマトクリットレベル(Quality Clinical LabsにてBaker 9000により測定)は、対照非貧血ラットの41%に対し、35%未満であった(図8参照)。貧血ラットに化合物Aを投与することによって、早くも化合物処理開始5日後にはヘマトクリットレベルが約37%まで上昇した。化合物Aの2回目の投与後、ヘマトクリットレベルは、対照非貧血ラットで見られたヘマトクリットレベルに匹敵する約40%まで上昇した。化合物Aにより、ACDのラットモデルを用いた貧血ラットにおいてヘマトクリットが増加した。従って、本発明の方法及び化合物は、ヘマトクリットを増加させ、慢性疾患に伴う貧血を治療する上で有用である。ヘモグロビン 化合物Aの投与により、貧血ラットにおけるヘモグロビンレベルも上昇した。図9に示すように、35日目には、対照非貧血ラットのヘモグロビンレベルは約15gm/dLであったが、PG-PS処理ラット(即ち、貧血ラット)のヘモグロビンレベルは約13gm/dLであった。図9に示すように、化合物Aにより、貧血ラットのヘモグロビンレベルは、早くも化合物投与5日後(39日目)には上昇した。ヘモグロビンレベルは49日目にも上昇したままで、対照非貧血ラットに匹敵するレベルに到達したが、これは、本発明の化合物によって貧血ラットのヘモグロビンレベルが正常レベルに回復したことを示す。これらの結果から、化合物Aにより、ACDのラットモデルを用いた貧血ラットにおいてヘモグロビンが増加したことが示された。従って、本発明の方法及び化合物は、ヘモグロビンを増加させ、慢性疾患に伴う貧血を治療する上で有用である。赤血球数 化合物Aの投与により、貧血ラットにおいて赤血球数が増加した。図10に示すように、化合物Aで処理した貧血ラットにおいては、未処理貧血ラットに対し、早くも化合物投与開始5日後(即ち、図10の39日目)には赤血球数が増加した。化合物Aにより、ACDのラットモデルを用いた貧血ラットにおいて赤血球数が増加した。従って、本発明の方法及び化合物は、赤血球数を増加させ、慢性疾患に伴う貧血を治療する上で有用である。平均赤血球容積 貧血ラットにおいては、非貧血の対照ラットに対して平均赤血球容積の低下が示された(図11参照)。化合物Aで処理した貧血ラットにおいては、未処理貧血ラットに対し、早くも処理5日後(図11の39日目)には平均赤血球容積の増加が示された。実験継続期間中、化合物処理ラットの平均赤血球容積は未処理貧血ラットに対し増加したままであった。これらの結果から、化合物Aによって、小赤血球症(即ち、小球症(microcythemia)、多くの小赤血球(様々な貧血の形態に関連する異常に小さな赤血球)が存在する症状)のレベルが改善(即ち、抑制)されたことが示された。従って、本発明の方法及び化合物は、慢性疾患に伴う貧血における小赤血球症を改善/抑制する。平均赤血球ヘモグロビン 貧血ラットにおいては、平均赤血球ヘモグロビンレベルの低下も示された。図12に示すように、貧血ラットを化合物Aで処理することによって、平均赤血球ヘモグロビンレベルが未処理貧血ラットで見られるレベルを超えて上昇した。これらの結果から、本発明の方法及び化合物が平均赤血球ヘモグロビンレベルを上昇させる上で有用であることが示された。 ACDの動物モデル−実験シリーズ2: 雌性Lewisラット(約150〜200gm)にPG-PSを注入した(腹腔内)。関節炎及び貧血を28日間進行させた。ラットに対する化合物Aの強制経口投与を6週間に亘り週に2回(月曜日と木曜日)行った(PG-PS注入から28日目、31日目、35日目、38日目、42日目、45日目、49日目、52日目、56日目、59日目、63日目、66日目及び70日目に相当)。 全血を尾静脈経由で回収し、28日目、42日目、56日目及び70日目にCBC解析を行った。更に、血清を70日目に回収し、鉄結合解析を行った。CBC解析及び鉄結合解析はQuality Clinical Labs(カリフォルニア州マウンテンビュー)によって実施した。ヘマトクリット PG-PSチャレンジ28日後、ラットにおいてヘマトクリットレベルが低下した。図13は、PG-PSを注入したラットが貧血であり、そのヘマトクリットが未チャレンジ(即ち、非貧血)ラットのヘマトクリットの85%であったことを示す(図13の0週目は、この実験プロトコルの28日目に相当する)。化合物A(40mg/kg)で処理した未チャレンジ(即ち、非貧血)ラットにおいては、未チャレンジ未処理ラットのヘマトクリットレベルの110%を超えるまでの経時的なヘマトクリットレベルの上昇が見られた。図13に示すように、貧血ラットに化合物Aを投与することによって、ヘマトクリットレベルが上昇した。ヘモグロビン 化合物Aの投与によって、貧血ラット及び非貧血ラットの両方においてヘモグロビンレベルが上昇した。図14に示すように、化合物A(40mg/kg)で処理した非貧血ラットのヘモグロビンレベルは、未処理対照ラットのヘモグロビンレベルの約110%まで上昇した(図14の0週目は、この実験プロトコルの28日目に相当する)。貧血ラットにおいては、化合物Aを週に2回投与(10mg/kg、20 mg/kg或いは40mg/kg)することによってヘモグロビンレベルが上昇した。ヘマトクリットレベルは少なくとも4週間上昇し続けた。赤血球数 貧血ラットにおいては、非貧血ラットに比べて赤血球数が低下した。具体的には、PG-PS注入28日後、貧血ラットの赤血球数は非貧血ラットで見られる赤血球数の90%未満であった。図15に示すように、化合物Aで処理した貧血ラットにおいては、未処理ラットに比べて赤血球数が増加した(図15の0週目は、この実験プロトコルの28日目に相当する)。化合物投与2週間後に赤血球数の増加が見られ、6週間の実験期間に亘って増加し続けた。平均赤血球容積 貧血ラットにおいては、非貧血(未チャレンジ)ラットに比べて平均赤血球容積の低下が示された。図16に示すように、PG-PSで処理したラットにおいて平均赤血球容積が経時的に低下し続けたが、これは、慢性疾患に伴う貧血の作用によって、小球性貧血(赤血球数の低下や赤血球の小型化によって部分的に特徴付けられる)が引き起こされ、鉄貯蔵分が利用不能になることによりヘモグロビンが産生できなくなることを示す(図16の0週目は、この実験プロトコルの28日目に相当する)。化合物Aを貧血ラットに投与することによって、平均赤血球容積の低下が抑制された。従って、本発明の化合物及び方法を用いたプロリルヒドロキシラーゼの阻害は、慢性疾患に伴う貧血や鉄欠乏症に伴う貧血に関連する平均赤血球容積の低下を抑制し、平均赤血球容積を回復させ、平均赤血球容積を維持する等において効果的であった。更に、このデータから、本発明の方法及び化合物がヘモグロビン産生に用いる貯蔵鉄の利用能を増加させる上で有用であることが示された。平均赤血球ヘモグロビン 貧血ラットにおいては、対照ラットに比べて平均赤血球ヘモグロビンレベルが低下したが、これは、慢性疾患に伴う貧血がヘモグロビン産生に影響を及ぼしていることを示す。図17に示すように、化合物Aを投与した貧血ラットにおいては、経時的に平均赤血球ヘモグロビンレベルの低下が抑制されることが示された(図17の0週目は、この実験プロトコルの28日目に相当する)。鉄状態−血清鉄及びトランスフェリン飽和度 慢性疾患に伴う貧血の患者は、血漿鉄濃度及びトランスフェリン飽和度の低下によって臨床的に特徴付けられる。正常動物及び貧血動物の血清鉄及びトランスフェリン飽和度に対する本発明の化合物の作用について確認した。慢性疾患に伴う貧血の動物モデルを用い、上述のようにペプチドグリカン−多糖ポリマーのIP注入によってラットに貧血を誘導した。関節炎及び貧血を28日間進行させた。次いで、ラットを各種濃度の化合物Aで週に2回、6週間処理した。血清鉄レベル及びトランスフェリン飽和度はQuality Clinical Labsによって求めた。 図18Aに示すように、貧血ラット(PG-PS)の血清鉄レベルは非貧血ラット(sham)に比べて低かった。化合物Aの投与によって、貧血(PG-PS)ラット及び非貧血対照(sham)ラットの両方において血清鉄レベルが上昇した。化合物Aで処理したラットにおいては、未処理非貧血ラット及び未処理貧血ラットに比べてトランスフェリン飽和度が上昇した(図18B参照)。これらの結果から、本発明の方法及び化合物が血清鉄レベル及びトランスフェリン飽和率を上昇させる上で有用であることが示された。鉄吸収 化合物Aを貧血ラットに投与(40mg/kg、週に2回)後6週目に、マイクロアレイ解析を行い、腸内での鉄輸送や鉄吸収に関与するタンパク質をコードする遺伝子の発現について検討した。上述の方法を用い、更にRat Genome 230Aアレイ(アフィメトリックス)を用いてマイクロアレイ解析を行った。Rat Genome 230Aアレイは、約4,699のよく特徴付けられたラット遺伝子、約10,467のEST配列、及び約700の非EST配列を含む、Rat Unigeneデータベース構築99(米国国立バイオテクノロジー情報センター、メリーランド州ベセスダ)の全ての配列を表す。 図19に示すように、化合物Aを対照ラットに投与することによって、NRAMP2(灰色の棒(open bars))及びスプラウチン(黒色の棒(solid bars))のmRNAの腸内発現が増加した。未処理貧血ラット(PG-PS)においては、NRAMP2及びスプラウチン両方のmRNA発現レベルは低下した。これらの結果から、慢性疾患に伴う貧血が、鉄吸収に関与するタンパク質の発現低下に関連することが示された。しかし、化合物Aで処理した貧血ラットにおいては、腸内でのNRAMP2及びスプラウチン両方の発現の増加が示された(図19)。これらの結果から、本発明の方法及び化合物が、鉄輸送や鉄吸収に関連する遺伝子の発現を増加させる上で有用であることが示された。更に、これらの結果から、本発明の化合物によって、健常な被験体及び慢性疾患を伴う貧血を有する被験体において鉄吸収や鉄輸送が増加することが示唆された。 実施例21:ヒト被験者における赤血球形成の増強 ヒト被験者における赤血球形成に対するプロリルヒドロキシラーゼ阻害の作用については次のように検討した。健常ヒトボランティアに対し化合物A(20mg/kg)を週に2回或いは3回で4週間経口投与した。化合物投与後、様々な時間で血液を採取し、EPO、ヘモグロビン、ヘマトクリット、赤血球数、可溶性トランスフェリンレセプター、及び血清フェリチン濃度について解析した。網状赤血球数 図20に示すように、化合物Aをヒト被験者に投与すると網状赤血球数がプラセボ対照の網状赤血球数を超えて増加した。網状赤血球数の増加は、化合物を週に2回或いは3回投与した被験者において見られた。網状赤血球レベルは、化合物未処理個体においては赤血球の約1.4%であったのに比べ、化合物処理個体では赤血球の約1.7%を超えて上昇した。化合物Aの投与により、ヒト被験者において網状赤血球数が増加した。従って、本発明の方法及び化合物は赤血球形成を増強し、網状赤血球レベルを上昇させる上で有用である。ヘマトクリット 化合物Aで処理したヒト被験者においてヘマトクリットレベルが上昇した。プラセボ対照被験者のヘマトクリットレベルが約44%であったのに比べ、化合物Aを週に2回、3週間投与したヒト被験者のヘマトクリットレベルは46%を超えた。化合物Aにより、ヒト被験者においてヘマトクリットが増加した。従って、本発明の化合物及び方法は、赤血球形成を増強し、ヘマトクリットを増加させる上で有用である。赤血球数 化合物Aの投与により、ヒト被験者において赤血球数が増加した。図21に示すように、20mg/kgの化合物Aで週に2回或いは週に3回処理したヒト被験者においては、未処理プラセボ対照被験者に比べて赤血球数が増加した。これらのデータから、本発明の方法及び化合物が、赤血球形成を増強し、赤血球数を増加させる上で有用であることが示された。鉄状態−可溶性トランスフェリンレセプター及び血清フェリチン 上に示す結果から、本発明の方法及び化合物が、ヒト被験者において網状赤血球数、赤血球、ヘモグロビン及びヘマトクリットを増加させるのに有効であることが示された。図22に示すように、化合物Aをヒト被験者に投与することによって、可溶性トランスフェリンレセプターレベルが未処理対照被験者で見られるレベルを超えて上昇した。可溶性トランスフェリンレベルの上昇は、週に2回或いは3回処理したヒト被験者において見られた。週に2回及び3回で処理した患者において21日目に見られた最大応答はそれぞれ35%、31%であった。プラセボ患者におけるsTfRの平均血漿濃度は変化しなかった。また、化合物Aで処理したヒト被験者における血清フェリチン濃度は約46%低下したが、これは、この被験者において鉄利用が増加したことを示す(図23参照)。 総合すると、これらのデータから、本発明の化合物及び方法を用いたHIF安定化によって、鉄貯蔵分の動員が増加し、骨髄への鉄輸送が増加し、ヘモグロビン合成、赤血球形成及び赤血球産生への鉄利用が増加したことが示された。 本明細書に示され記載されたもの以外の本発明の様々な変更については、上述の説明から当業者には明らかになるであろう。このような変更は添付クレームの範囲内であるものとする。 本明細書に引用した参考文献は全て、その全内容を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。 被験体における貧血を治療するための薬剤であって、該薬剤はHIFαを安定化させる化合物を含み、該化合物はHIFプロリルヒドロキシラーゼの阻害剤であり、且つ式Iの複素環カルボニルグリシンからなる2−オキソグルタレートの構造模倣物であり、前記被験体のトランスフェリン飽和率が20%未満である、貧血を治療するための薬剤。(式I中、Aは1,2−アリーリデン、1,3−アリーリデン、1,4−アリーリデン、或いは(C1−C4)−アルキレンであって、これらは1個或いは2個のハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−ヒドロキシアルキル、(C1−C6)−アルコキシ、−O−[CH2]x−CfH(2f+1-g)Halg、(C1−C6)−フルオロアルコキシ、(C1−C8)−フルオロアルケニルオキシ、(C1−C8)−フルオロアルキニルオキシ、−OCF2Cl、−O−CF2−CHFClで任意に置換されていてもよく、(C1−C6)−アルキルメルカプト、(C1−C6)−アルキルスルフィニル、(C1−C6)−アルキルスルホニル、(C1−C6)−アルキルカルボニル、(C1−C6)−アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−(C1−C4)−アルキルカルバモイル、N,N−ジ−(C1−C4)−アルキルカルバモイル、(C1−C6)−アルキルカルボニルオキシ、(C3−C8)−シクロアルキル、フェニル、ベンジル、フェノキシ、ベンジルオキシ、アニリノ、N−メチルアニリノ、フェニルメルカプト、フェニルスルホニル、フェニルスルフィニル、スルファモイル、N−(C1−C4)−アルキルスルファモイル、N,N−ジ−(C1−C4)−アルキルスルファモイルで任意に置換されていてもよく、或いは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルコキシ、−O−[CH2]x−CfH(2f+1-g)Halg、−OCF2Cl、−O−CF2−CHFCl、(C1−C6)−アルキルメルカプト、(C1−C6)−アルキルスルフィニル、(C1−C6)−アルキルスルホニル、(C1−C6)−アルキルカルボニル、(C1−C6)−アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−(C1−C4)−アルキルカルバモイル、N,N−ジ−(C1−C4)−アルキルカルバモイル、(C1−C6)−アルキルカルボニルオキシ、(C3−C8)−シクロアルキル、スルファモイル、N−(C1−C4)−アルキルスルファモイル、N,N−ジ−(C1−C4)−アルキルスルファモイルから選択される1〜5個の同一或いは異なる置換基をアリール部分に有する置換(C6−C12)−アリールオキシ、(C7−C11)−アラルキルオキシ、(C6−C12)−アリール、(C7−C11)−アラルキル基で任意に置換されていてもよく;又は式I中、Aは−CR5R6であり、R5及びR6は各々独立して、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、アリール、或いはα−アミノ酸のα炭素原子の置換基(該アミノ酸は天然L−アミノ酸或いはそのD異性体)から選択される。 Bは、−CO2H、−NH2、−NHSO2CF3、テトラゾリル、イミダゾリル、3−ヒドロキシイソキサゾリル、−CONHCOR'''、−CONHSOR'''、CONHSO2R'''であり、R'''はアリール、ヘテロアリール、(C3−C7)−シクロアルキル、或いは(C1−C4)−アルキルであって、これらは(C6−C12)−アリール、ヘテロアリール、OH、SH、(C1−C4)−アルキル、(C1−C4)−アルコキシ、(C1−C4)−チオアルキル、(C1−C4)−スルフィニル、(C1−C4)−スルホニル、CF3、Cl、Br、F、I、NO2、−COOH、(C2−C5)−アルコキシカルボニル、NH2、モノ−(C1−C4−アルキル)−アミノ、ジ−(C1−C4−アルキル)−アミノ、或いは(C1−C4)−パーフルオロアルキルによって任意に一置換されていてもよく;又は式I中、BはCO2−Gカルボキシル基であり、GはアルコールG−OHを構成する基であって、Gは、(C1−C20)−アルキル基、(C3−C8)シクロアルキル基、(C2−C20)−アルケニル基、(C3−C8)−シクロアルケニル基、レチニル基、(C2−C20)−アルキニル基、(C4−C20)−アルケニニル基(ここで、該アルケニル、該シクロアルケニル、該アルキニル、及び該アルケニニル基は1以上の多重結合を含む)、(C6−C16)−炭素環アリール基、(C7−C16)−炭素環アラルキル基、ヘテロアリール基、或いはヘテロアラルキル基(ここで、ヘテロアリール基或いはヘテロアラルキル基のヘテロアリール部分は5個或いは6個の環原子を含む)から選択され、Gで表される基は、1以上のヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、ニトロ、カルボキシル、(C1−C12)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキル、(C5−C8)−シクロアルケニル、(C6−C12)−アリール、(C7−C16)−アラルキル、(C2−C12)−アルケニル、(C2−C12)−アルキニル、(C1−C12)−アルコキシ、(C1−C12)− アルコキシ−(C1−C12)−アルキル、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシ、(C6−C12)−アリールオキシ、(C7−C16)−アラルキルオキシ、(C1−C8)−ヒドロキシアルキル、−O−[CH2]x−CfH(2f+l-g)−Fg、−OCF2Cl、−OCF2−CHFCl、(C1−C12)−アルキルカルボニル、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニル、(C6−C12)−アリールカルボニル、(C7−C16)−アラルキルカルボニル、シンナモイル、(C2−C12)−アルケニルカルボニル、(C2−C12)−アルキニルカルボニル、(C1−C12)−アルコキシカルボニル、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシカルボニル、(C6−C12)−アリールオキシカルボニル、(C7−C16)−アラルコキシカルボニル、(C3−C8)−シクロアルコキシカルボニル、(C2−C12)−アルケニルオキシカルボニル、(C2−C12)−アルキニルオキシカルボニル、アシルオキシ、(C1−C12)−アルコキシカルボニルオキシ、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシカルボニルオキシ、(C6−C12)−アリールオキシカルボニルオキシ、(C7−C16)アラルキルオキシカルボニルオキシ、(C3−C8)−シクロアルコキシカルボニルオキシ、(C2−C12)−アルケニルオキシカルボニルオキシ、(C2−C12)−アルキニルオキシカルボニルオキシ、カルバモイル、N−(C1−C12)−アルキルカルバモイル、N,N−ジ−(C1−C12)−アルキルカルバモイル、N−(C3−C8)−シクロアルキル−カルバモイル、N−(C6−C16)−アリールカルバモイル、N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C6−C16)−アリールカルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイル、N−((C1−C10)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)アルキル)−カルバモイル、N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C1−C10)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C6−C16)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、カルバモイルオキシ、N−(C1−C12)−アルキルカルバモイルオキシ、N,N−ジ−(C1−C12)−アルキルカルバモイルオキシ、N−(C3−C8)−シクロアルキルカルバモイルオキシ、N−(C6−C12)−アリールカルバモイルオキシ、N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C6−C12)−アリールカルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイルオキシ、N−((C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C1−C10)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、アミノ、(C1−C12)−アルキルアミノ、ジ−(C1−C12)−アルキルアミノ、(C3−C8)−シクロアルキルアミノ、(C2−C12)−アルケニルアミノ、(C2−C12)−アルキニルアミノ、N−(C6−C12)−アリールアミノ、N−(C−C11)−アラルキルアミノ、N−アルキル−アラルキルアミノ、N−アルキル−アリールアミノ、(C1−C12)−アルコキシアミノ、(C1−C12)−アルコキシ−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C1−C12)−アルキルカルボニルアミノ、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニルアミノ、(C6−C12)アリールカルボニルアミノ、(C7−C16)−アラルキルカルボニルアミノ、(C1−C12)−アルキルカルボニル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C6−C12)−アリールカルボニル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C7−C11)−アラルキルカルボニル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C1−C12)−アルキルカルボニルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アリールカルボニルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C7−C12)−アラルキルカルボニルアミノ−(C1−C8)−アルキル、アミノ−(C1−C10)−アルキル、N−(C1−C10)−アルキルアミノ−(C1−C10)−アルキル、N,N−ジ−(C1−C10)−アルキルアミノ−(C1−C10)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキルアミノ−(C1−C10)−アルキル、(C1−C12)−アルキルメルカプト、(C1−C12)−アルキルスルフィニル、(C1−C12)−アルキルスルホニル、(C6−C16)−アリールメルカプト、(C6−C16)−アリールスルフィニル、(C6−C12)−アリールスルホニル、(C7−C16)−アラルキルメルカプト、(C7−C16)−アラルキルスルフィニル、(C7−C16)−アラルキルスルホニル、スルファモイル、N−(C1−C10)−アルキルスルファモイル、N,N−ジ−(C1−C10)−アルキルスルファモイル、(C3−C8)−シクロアルキルスルファモイル、N−(C6−C12)−アルキルスルファモイル、N−(C7−C16)−アラルキルスルファモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C6−C12)−アリールスルファモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C7−C16)−アラルキルスルファモイル、(C1−C10)−アルキルスルホンアミド、N−((C1−C10)−アルキル)−(C1−C10)−アルキルスルホンアミド、(C7−C16)−アラルキルスルホンアミド、或いはN−((C1−C10)−アルキル−(C7−C16)−アラルキルスルホンアミドで置換されており、アリール基或いはアリール部分を含む基は、アリール上で、1〜5個の同一或いは異なるヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、ニトロ、カルボキシル、(C1−C12)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキル、(C6−C12)−アリール、(C7−C16)−アラルキル、(C1−C12)−アルコキシ、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルキル、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシ、(C6−C12)−アリールオキシ、(C7−C16)−アラルキルオキシ、(C1−C8)−ヒドロキシアルキル、(C1−C12)−アルキルカルボニル、(C3−C8)−シクロアルキル−カルボニル、(C6−C12)−アリールカルボニル、(C7−C16)アラルキルカルボニル、(C1−C12)−アルコキシカルボニル、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシカルボニル、(C6−C12)−アリールオキシカルボニル、(C7−C16)−アラルコキシカルボニル、(C3−C8)−シクロアルコキシカルボニル、(C2−C12)−アルケニルオキシカルボニル、(C2−C12)−アルキニルオキシカルボニル、(C1−C12)−アルキルカルボニルオキシ、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニルオキシ、(C6−C12)−アリールカルボニルオキシ、(C7−C16)−アラルキルカルボニルオキシ、シンナモイルオキシ、(C2−C12)−アルケニルカルボニルオキシ、(C2−C12)−アルキニルカルボニルオキシ、(C1−C12)−アルコキシカルボニルオキシ、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシカルボニルオキシ、(C6−C12)−アリールオキシカルボニルオキシ、(C7−C16)−アラルキルオキシカルボニルオキシ、(C3−C8)−シクロアルコキシカルボニルオキシ、(C2−C12)−アルケニルオキシカルボニルオキシ、(C2−C12)−アルキニルオキシカルボニルオキシ、カルバモイル、N−(C1−C12)−アルキルカルバモイル、N,N−ジ−(C1−C12)−アルキルカルバモイル、N−(C3−C8)−シクロアルキルカルバモイル、N−(C6−C12)−アリールカルバモイル、N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C6−C12)−アリールカルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイル、N−((C1−C10)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C1−C10)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、カルバモイルオキシ、N−(C1−C12)−アルキルカルバモイルオキシ、N,N−ジ−(C1−C12)−アルキルカルバモイルオキシ、N−(C3−C8)−シクロアルキルカルバモイルオキシ、N−(C6−C12)−アリールカルバモイルオキシ、N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C6−C12)−アリールカルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイルオキシ、N−((C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C1−C10)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、アミノ、(C1−C12)−アルキルアミノ、ジ−(C1−C12)−アルキルアミノ、(C3−C8)−シクロアルキルアミノ、(C3−C12)−アルケニルアミノ、(C3−C12)−アルキニルアミノ、N−(C6−C12)−アリールアミノ、N−(C7−C11)−アラルキルアミノ、N−アルキルアラルキルアミノ、N−アルキル−アリールアミノ、(C1−C12)−アルコキシアミノ、(C1−C12)−アルコキシ−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C1−C12)−アルキルカルボニルアミノ、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニルアミノ、(C6−C12)−アリールカルボニルアミノ、(C7−C16)−アルキルカルボニルアミノ、(C1−C12)−アルキルカルボニル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C6−C12)−アリールカルボニル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C7−C11)−アラルキルカルボニル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C1−C12)−アルキルカルボニルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アリールカルボニルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C7−C16)−アラルキルカルボニルアミノ−(C1−C8)−アルキル、アミノ−(C1−C10)−アルキル、N−(C1−C10)−アルキルアミノ−(C1−C10)−アルキル、N,N−ジ−(C1−C10)−アルキルアミノ−(C1−C10)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキルアミノ−(C1−C10)−アルキル、(C1−C12)−アルキルメルカプト、(C1−C12)−アルキルスルフィニル、(C1−C12)−アルキルスルホニル、(C6−C12)−アリールメルカプト、(C6−C12)−アリールスルフィニル、(C6−C12)−アリールスルホニル、(C7−C16)−アラルキルメルカプト、(C7−C16)−アラルキルスルフィニル、或いは(C7−C16)−アラルキルスルホニルで置換されていてもよく; XはO或いはSであり; QはO、S、NR’、或いは結合であり; 式I中、Qが結合の場合、R4はハロゲン、ニトリル、或いはトリフルオロメチルであり; 又は式I中、QがO、S、或いはNR’の場合、R4は水素、(C1−C10)−アルキル基、(C2−C10)−アルケニル基、(C2−C10)−アルキニル基(ここで、アルケニル基或いはアルキニル基は1個或いは2個のC−C多重結合を含む);式−[CH2]x−CfH(2f+1-g)−Fgの非置換フルオロアルキル基、(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキル基、(C1−C6)−アルコキシ−(C1−C4)−アルコキシ−(C1−C4)−アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、(C7−C11)−アラルキル基、或いは式Zで表される基であり、(式Z中、Eはヘテロアリール基、(C3−C8)−シクロアルキル基、或いは式Fで表されるフェニル基であり、 vは0〜6、 wは0或いは1、 tは0〜3、 R7、R8、R9、R10及びR11は同一であるか或いは異なっていて、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、(C1−C6)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキル、(C1−C6)−アルコキシ、−O−[CH2]x−CfH(2f+1-g)−Fg、−OCF2−Cl、−O−CF2−CHFCl、(C1−C6)−アルキルメルカプト、(C1−C6)−ヒドロキシアルキル、(C1−C6)−アルコキシ−(C1−C6)−アルコキシ、(C1−C6)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルキルスルフィニル、(C1−C6)−アルキルスルホニル、(C1−C6)−アルキルカルボニル、(C1−C8)−アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−(C1−C8)−アルキルカルバモイル、N,N−ジ−(C1−C8)−アルキルカルバモイル、或いは(C7−C11)−アラルキルカルバモイルであって、これらは、フッ素、塩素、臭素、トリフルオロメチル、(C1−C6)−アルコキシ、N−(C3−C8)−シクロアルキルカルバモイル、N−(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキルカルバモイル、(C1−C6)−アルキルカルボニルオキシ、フェニル、ベンジル、フェノキシ、ベンジルオキシ、NRYRZ(Ry及びRZは独立して、水素、(C1−C12)−アルキル、(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C7−C12)−アラルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C8)−アルキル、(C3−C10)−シクロアルキル、(C3−C12)−アルケニル、(C3−C12)−アルキニル、(C6−C12)−アリール、(C7−C11)−アラルキル、(C1−C12)−アルコキシ、(C7−C12)アラルコキシ、(C1−C12)−アルキルカルボニル、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニル、(C6−C12)アリールカルボニル、(C7−C16)−アラルキルカルボニルから選択されるか、或いは、更にRy及びRZは共に−[CH2]hを形成し、CH2基はO、S、N−(C1−C4)−アルキルカルボニルイミノ、或いはN−(C1−C4)−アルコキシカルボニルイミノで置換されていてもよい)、フェニルメルカプト、フェニルスルホニル、フェニルスルフィニル、スルファモイル、N−(C1−C8)−アルキルスルファモイル、或いはN,N−ジ−(C1−C8)−アルキルスルファモイルによって任意に置換されていてもよく;又はR7及びR8、R8及びR9、R9及びR10、或いはR10及びR11は共に、−[CH2]n−或いは−CH=CH−CH=CH−から選択される鎖を形成し(前者の鎖のCH2基は、O、S、SO、SO2或いはNRYで任意に置換され、nは3、4或いは5である);一方、Eがヘテロアリール基の場合、該基はR7〜R11で表される置換基から選択される1〜3個の置換基を有することができ、或いは、Eがシクロアルキル基の場合、該基はR7〜R11で表される置換基から選択される1個の置換基を有することができる); 式I中、QがNR’の場合、R4は或いはR”であり、R’及びR”は同一であるか或いは異なっていて、水素、(C6−C12)−アリール、(C7−C11)−アラルキル、(C1−C8)−アルキル、(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C7−C12)−アラルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C8)−アルキル、(C1−C10)−アルキルカルボニル、任意に置換された(C7−C16)−アラルキルカルボニル、或いは任意に置換された(C6−C12)−アリールカルボニルであり;又はR’及びR”は共に−[CH2]hを形成する(CH2基はO、S、N−アシルイミノ、或いはN−(C1−C10)−アルコキシカルボニルイミノで置換されていてもよく、hは3〜7である)。 YはN或いはCR3であり; R1、R2及びR3は同一であるか或いは異なっていて、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、ニトロ、カルボキシル、(C1−C20)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキル、(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C12)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルコキシ、(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C12)−アルコキシ、(C3−C8)−シクロアルキルオキシ−(C1−C12)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキルオキシ−(C1−C12)−アルコキシ、(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C8)−アルキル−(C1−C6)−アルコキシ、(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキルオキシ−(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルコキシ−(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C8)−アルコキシ、(C6−C12)−アリール、(C7−C16)−アラルキル、(C7−C16)−アラルケニル、(C7−C16)−アラルキニル、(C2−C20)−アルケニル、(C2−C20)−アルキニル、(C1−C20)−アルコキシ、(C2−C20)−アルケニルオキシ、(C2−C20)−アルキニルオキシ、レチニルオキシ、(C1−C20)−アルコキシ−(C1−C12)−アルキル、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシ、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アリールオキシ、(C7−C16)−アラルキルオキシ、(C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C6)−アルコキシ、(C7−C16)−アラルコキシ−(C1−C6)−アルコキシ、(C1−C16)−ヒドロキシアルキル、(C6−C16)−アリールオキシ−(C1−C8)−アルキル、(C7−C16)−アラルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキル、(C7−C12)−アラルキルオキシ−(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキル、(C2−C20)−アルケニルオキシ−(C1−C6)−アルキル、(C2−C20)−アルキニルオキシ−(C1−C6)−アルキル、レチニルオキシ−(C1−C6)−アルキル、−O−[CH2]xCfH(2f+1-g)Fg、−OCF2Cl、−OCF2−CHFCl、(C1−C20)−アルキルカルボニル、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニル、(C6−C12)−アリールカルボニル、(C7−C16)−アラルキルカルボニル、シンナモイル、(C2−C20)−アルケニルカルボニル、(C2−C20)−アルキニルカルボニル、(C1−C20)−アルコキシカルボニル、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシカルボニル、(C6−C12)−アリールオキシカルボニル、(C7−C16)−アラルコキシカルボニル、(C3−C8)−シクロアルコキシカルボニル、(C2−C20)−アルケニルオキシカルボニル、レチニルオキシカルボニル、(C2−C20)−アルキニルオキシカルボニル、(C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C7−C16)−アラルコキシ−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C3−C8)−シクロアルコキシ−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C1−C12)−アルキルカルボニルオキシ、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニルオキシ、(C6−C12)−アリールカルボニルオキシ、(C7−C16)−アラルキルカルボニルオキシ、シンナモイルオキシ、(C2−C12)−アルケニルカルボニルオキシ、(C2−C12)−アルキニルカルボニルオキシ、(C1−C12)−アルコキシカルボニルオキシ、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシカルボニルオキシ、(C6−C12)−アリールオキシカルボニルオキシ、(C7−C16)−アラルキルオキシカルボニルオキシ、(C3−C8)−シクロアルコキシカルボニルオキシ、(C2−C12)−アルケニルオキシカルボニルオキシ、(C2−C12)−アルキニルオキシカルボニルオキシ、カルバモイル、N−(C1−C12)−アルキルカルバモイル、N,N−ジ−(C1−C12)−アルキルカルバモイル、N−(C3−C8)−シクロアルキルカルバモイル、N,N−ジシクロ−(C3−C8)−アルキルカルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C3−C8)−シクロアルキルカルバモイル、N−((C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C6)−アルキル)−カルバモイル、N−(C1−C6)−アルキル−N−((C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C6)−アルキル)−カルバモイル、N−(+)−デヒドロアビエチルカルバモイル、N−(C1−C6)−アルキル−N−(+)−デヒドロアビエチルカルバモイル、N−(C6−C12)−アリールカルバモイル、N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C6−C16)−アリールカルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイル、N−((C1−C18)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−((C6−C16)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C1−C10)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、CON(CH2)h(CH2基はO、S、N−(C1−C8)−アルキルイミノ、N−(C3−C8)−シクロアルキルイミノ、N−(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキルイミノ、N−(C6−C12)−アリールイミノ、N−(C7−C16)−アラルキルイミノ、N−(C1−C4)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキルイミノで置換されていてもよく、hは3〜7である)、式Rで表されるカルバモイル基(式R中、RX及びRVは各々独立して、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、アリール、或いはL−及びD−アミノ酸が属するα−アミノ酸のα−炭素の置換基から選択され、sは1〜5であり、TはOH、或いはNR*R**であり、R*、R**及びR***は同一であるか或いは異なっていて、水素、(C6−C12)−アリール、(C7−C11)−アラルキル、(C1−C8)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキル、(+)−デヒドロアビエチル、(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C7−C12)−アラルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C8)−アルキル、(C1−C10)−アルカノイル、任意に置換された(C7−C16)−アラルカノイル、任意に置換された(C6−C12)−アロイルから選択されるか、又はR*及びR**は共に−[CH2]hを形成する(CH2基はO、S、SO、SO2、N−アシルアミノ、N−(C1−C10)−アルコキシカルボニルイミノ、N−(C1−C8)−アルキルイミノ、N−(C3−C8)−シクロアルキルイミノ、N−(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキルイミノ、N−(C6−C12)−アリールイミノ、N−(C7−C16)−アラルキルイミノ、N−(C1−C4)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキルイミノで置換されていてもよく、hは3〜7である))、カルバモイルオキシ、N−(C1−C12)−アルキルカルバモイルオキシ、N,N−ジ−(C1−C12)−アルキルカルバモイルオキシ、N−(C3−C8)−シクロアルキルカルバモイルオキシ、N−(C6−C12)−アリールカルバモイルオキシ、N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C6−C12)−アリールカルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイルオキシ、N−((C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C1−C10)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイルオキシアミノ、(C1−C12)−アルキルアミノ、ジ−(C1−C12)−アルキルアミノ、(C3−C8)−シクロアルキルアミノ、(C3−C12)−アルケニルアミノ、(C3−C12)−アルキニルアミノ、N−(C6−C12)−アリールアミノ、N−(C7−C11)−アラルキルアミノ、N−アルキル−アラルキルアミノ、N−アルキル−アリールアミノ、(C1−C12)−アルコキシアミノ、(C1−C12)−アルコキシ−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C1−C12)−アルカノイルアミノ、(C3−C8)−シクロアルカノイルアミノ、(C6−C12)−アロイルアミノ、(C7−C16)−アラルカノイルアミノ、(C1−C12)−アルカノイル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C3−C8)−シクロアルカノイル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C6−C12)−アロイル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C7−C11)−アラルカノイル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C1−C12)−アルカノイルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルカノイルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アロイルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C7−C16)−アラルカノイルアミノ−(C1−C8)−アルキル、アミノ−(C1−C10)−アルキル、N−(C1−C10)−アルキルアミノ−(C1−C10)−アルキル、N,N−ジ−(C1−C10)−アルキルアミノ−(C1−C10)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキルアミノ−(C1−C10)−アルキル、(C1−C20)−アルキルメルカプト、(C1−C20)−アルキルスルフィニル、(C1−C20)−アルキルスルホニル、(C6−C12)−アリールメルカプト、(C6−C12)−アリールスルフィニル、(C6−C12)−アリールスルホニル、(C7−C16)−アラルキルメルカプト、(C7−C16)−アラルキルスルフィニル、(C7−C16)−アラルキルスルホニル、(C1−C12)−アルキルメルカプト−(C1−C6)−アルキル、(C1−C12)−アルキルスルフィニル−(C1−C6)−アルキル、(C1−C12)−アルキルスルホニル−(C1−C6)−アルキル、(C6−C12)−アリールメルカプト−(C1−C6)−アルキル、(C6−C12)−アリールスルフィニル−(C1−C6)−アルキル、(C6−C12)−アリールスルホニル−(C1−C6)−アルキル、(C7−C16)−アラルキルメルカプト−(C1−C6)−アルキル、(C7−C16)−アラルキルスルフィニル−(C1−C6)−アルキル、(C7−C16)−アラルキルスルホニル−(C1−C6)−アルキル、スルファモイル、N−(C1−C10)−アルキルスルファモイル、N,N−ジ−(C1−C10)−アルキルスルファモイル、(C3−C8)−シクロアルキルスルファモイル、N−(C6−C12)−アリールスルファモイル、N−(C7−C16)−アラルキルスルファモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C6−C12)−アリールスルファモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C7−C16)−アラルキルスルファモイル、(C1−C10)−アルキルスルホンアミド、N−((C1−C10)−アルキル)−(C1−C10)−アルキルスルホンアミド、(C7−C16)−アラルキルスルホンアミド、及びN−((C1−C10)−アルキル−(C7−C16)−アラルキルスルホンアミドであり、ここで、アリール基は、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、ニトロ、カルボキシル、(C2−C16)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキル、(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C12)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルコキシ、(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C12)−アルコキシ、(C3−C8)−シクロアルキルオキシ−(C1−C12)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキルオキシ−(C1−C12)−アルコキシ、(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C8)−アルキル−(C1−C6)−アルコキシ、(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキルオキシ−(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルコキシ−(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C8)−アルコキシ、(C6−C12)−アリール、(C7−C16)−アラルキル、(C2−C16)−アルケニル、(C2−C12)−アルキニル、(C1−C16)−アルコキシ、(C1−C16)−アルケニルオキシ、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルキル、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシ、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アリールオキシ、(C7−C16)−アラルキルオキシ、(C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C6)−アルコキシ、(C7−C16)−アラルコキシ−(C1−C6)−アルコキシ、(C1−C8)−ヒドロキシアルキル、(C6−C16)−アリールオキシ−(C1−C8)−アルキル、(C7−C16)−アラルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキル、(C7−C12)−アラルキルオキシ−(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキル、−O−[CH2]xCfH(2f+1-g)Fg、−OCF2Cl、−OCF2−CHFCl、(C1−C12)−アルキルカルボニル、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニル、(C6−C12)−アリールカルボニル、(C7−C16)−アラルキルカルボニル、(C1−C12)−アルコキシカルボニル、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシカルボニル、(C6−C12)−アリールオキシカルボニル、(C7−C16)−アラルコキシカルボニル、(C3−C8)−シクロアルコキシカルボニル、(C2−C12)−アルケニルオキシカルボニル、(C2−C12)−アルキニルオキシカルボニル、(C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C7−C16)−アラルコキシ−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C3−C8)−シクロアルコキシ−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C1−C12)−アルキルカルボニルオキシ、(C3−C8)−シクロアルキルカルボニルオキシ、(C6−C12)−アリールカルボニルオキシ、(C7−C16)−アラルキルカルボニルオキシ、シンナモイルオキシ、(C2−C12)−アルケニルカルボニルオキシ、(C2−C12)−アルキニルカルボニルオキシ、(C1−C12)−アルコキシカルボニルオキシ、(C1−C12)−アルコキシ−(C1−C12)−アルコキシカルボニルオキシ、(C6−C12)−アリールオキシカルボニルオキシ、(C7−C16)−アラルキルオキシカルボニルオキシ、(C3−C8)−シクロアルコキシカルボニルオキシ、(C2−C12)−アルケニルオキシカルボニルオキシ、(C2−C12)−アルキニルオキシカルボニルオキシ、カルバモイル、N−(C1−C12)−アルキルカルバモイル、N,N−ジ−(C1−C12)−アルキルカルバモイル、N−(C3−C8)−シクロアルキルカルバモイル、N,N−ジシクロ−(C3−C8)−アルキルカルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C3−C8)−シクロアルキルカルバモイル、N−((C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C6)−アルキル)カルバモイル、N−(C1−C6)−アルキル−N−((C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C6)−アルキル)カルバモイル、N−(+)−デヒドロアビエチルカルバモイル、N−(C1−C6)−アルキル−N−(+)−デヒドロアビエチルカルバモイル、N−(C6−C12)−アリールカルバモイル、N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C6−C16)−アリールカルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイル、N−((C1−C16)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)カルバモイル、N−((C6−C16)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)カルバモイル、N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C1−C10)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)カルバモイル、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)−カルバモイル、CON(CH2)h(CH2基は、O、S、N−(C1−C8)−アルキルイミノ、N−(C3−C8)−シクロアルキルイミノ、N−(C3−C8)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキルイミノ、N−(C6−C12)−アリールイミノ、N−(C7−C16)−アラルキルイミノ、N−(C1−C4)−アルコキシ−(C1−C6)−アルキルイミノで置換されていてもよく、hは3〜7である)、カルバモイルオキシ、N−(C1−C12)−アルキルカルバモイルオキシ、N,N−ジ−(C1−C12)−アルキルカルバモイルオキシ、N−(C3−C8)−シクロアルキルカルバモイルオキシ、N−(C6−C16)−アリールカルバモイルオキシ、N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C6−C12)−アリールカルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−(C7−C16)−アラルキルカルバモイルオキシ、N−((C1−C10)−アルキル)カルバモイルオキシ、N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)カルバモイルオキシ、N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C1−C10)−アルコキシ−(C1−C10)−アルキル)カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C10)−アルキル)カルバモイルオキシ、N−(C1−C10)−アルキル−N−((C7−C16)−アラルキルオキシ−(C1−C10)−アルキル)カルバモイルオキシ、アミノ、(C1−C12)−アルキルアミノ、ジ−(C1−C12)−アルキルアミノ、(C3−C8)−シクロアルキルアミノ、(C3−C12)−アルケニルアミノ、(C3−C12)−アルキニルアミノ、N−(C6−C12)−アリールアミノ、N−(C7−C11)−アラルキルアミノ、N−アルキル−アラルキルアミノ、N−アルキル−アリールアミノ、(C1−C12)−アルコキシアミノ、(C1−C12)−アルコキシ−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C1−C12)−アルカノイルアミノ、(C3−C8)−シクロアルカノイルアミノ、(C6−C12)−アロイルアミノ、(C7−C16)−アラルカノイルアミノ、(C1−C12)−アルカノイル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C3−C8)−シクロアルカノイル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C6−C12)−アロイル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C7−C11)−アラルカノイル−N−(C1−C10)−アルキルアミノ、(C1−C12)−アルカノイルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルカノイルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アロイルアミノ−(C1−C8)−アルキル、(C7−C16)−アラルカノイルアミノ−(C1−C8)−アルキル、アミノ−(C1−C10)−アルキル、N−(C1−C10)−アルキルアミノ−(C1−C10)−アルキル、N,N−ジ−(C1−C10)−アルキルアミノ−(C1−C10)−アルキル、(C3−C8)−シクロアルキルアミノ−(C1−C10)−アルキル、(C1−C12)−アルキルメルカプト、(C1−C12)−アルキルスルフィニル、(C1−C12)−アルキルスルホニル、(C6−C16)−アリールメルカプト、(C6−C16)−アリールスルフィニル、(C6−C16)−アリールスルホニル、(C7−C16)−アラルキルメルカプト、(C7−C16)−アラルキルスルフィニル、或いは(C7−C16)−アラルキルスルホニルから選択される1〜5個の置換基で置換されていてもよく;又はR1とR2或いはR2とR3で鎖[CH2]Oを形成しており、この鎖は飽和かC=C二重結合によって不飽和であって、1個或いは2個のCH2基が任意にO、S、SO、SO2或いはNR’で置換されており、R’は水素、(C6−C12)−アリール、(C1−C8)−アルキル、(C1−C8)−アルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C7−C12)−アラルコキシ−(C1−C8)−アルキル、(C6−C12)−アリールオキシ−(C1−C8)−アルキル、(C1−C10)−アルカノイル、任意に置換された(C7−C16)−アラルカノイル、或いは任意に置換された(C6−C12)−アロイルであり;oは3、4或いは5であり; 又は式I中、基R1とR2或いは基R2とR3は、それらを有するピリジン或いはピリダジンと共に、5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリン環、5,6,7,8−テトラヒドロキノリン環、或いは5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン環を形成しており; 又は式I中、R1とR2或いはR2とR3は炭素環式或いは複素環式5或いは6員芳香環を形成しており; 又は式I中、R1とR2或いはR2とR3は、それらを有するピリジン或いはピリダジンと共に、チエノピリジン、フラノピリジン、ピリドピリジン、ピリミジノピリジン、イミダゾピリジン、チアゾロピリジン、オキサゾロピリジン、キノリン、イソキノリン及びシンノリンから選択される任意に置換された複素環系を形成しており(ここでキノリン、イソキノリン或いはシンノリンは式Ia、Ib及びIcを満たしており: 各々互いに独立している置換基R12〜R23はR1、R2及びR3と同じ意味を有しており); 又は式I中、基R1とR2は、それらを有するピリジンと共に、式Idの化合物を形成し:(式Id中、VはS、O或いはNRkであって、Rkは、水素、(C1−C6)−アルキル、アリール、或いはベンジルから選択され、アリール基は任意に上述の1〜5個の置換基で置換されていてもよく、各々互いに独立しているR24、R25、R26及びR27はR1、R2及びR3と同じ意味を有している); fは1〜8であり; gは0或いは1〜(2f+1)であり; xは0〜3であり; hは3〜7である。) 被験体の血清フェリチン濃度が、200ng/mLを超える、請求項1に記載の薬剤。 被験体の血清フェリチン濃度が、200ng/mLを下回る、請求項1に記載の薬剤。 被験体において鉄吸収を増加させるための薬剤であって、該薬剤はHIFαを安定化させる化合物を含み、該化合物はHIFプロリルヒドロキシラーゼの阻害剤であり、且つ請求項1に記載の式Iの複素環カルボニルグリシンからなる2−オキソグルタレートの構造模倣物である、鉄吸収を増加させるための薬剤。 前記鉄吸収が腸内で生じる、請求項4に記載の薬剤。 前記鉄吸収が食事に含まれる鉄の吸収である、請求項4又は5に記載の薬剤。 前記鉄吸収は十二指腸細胞内で生じる、請求項4に記載の薬剤。 鉄欠乏症、若しくは機能性鉄欠乏症の治療のための、請求項4〜7のいずれか1項に記載の薬剤。 被験体において血清鉄濃度を上げるための薬剤であって、該薬剤はHIFαを安定化させる化合物を含み、該化合物はHIFプロリルヒドロキシラーゼの阻害剤であり、且つ請求項1に記載の式Iの複素環カルボニルグリシンからなる2−オキソグルタレートの構造模倣物である、血清鉄濃度を上げるための薬剤。 鉄欠乏症、若しくは機能性鉄欠乏症の治療のための、請求項9に記載の薬剤。 前記薬剤は、エリスロポエチン、鉄及びBビタミン類から成る群から選択される少なくとも一種の補助剤を更に含む、請求項4〜10のいずれか1項に記載の薬剤。 前記薬剤は、エリスロポエチン、鉄及びBビタミン類から成る群から選択される少なくとも一種の補助剤と同時に適用するか、別々に適用するか、或いは逐次的に適用するためのものである、請求項4〜10のいずれか1項に記載の薬剤。 前記治療は、サイトカインレベルが上昇した患者に対して行われる、請求項8若しくは10、又は請求項8若しくは10を引用する請求項11若しくは12のいずれか1項に記載の薬剤。 前記サイトカインは炎症性サイトカインである、請求項13に記載の薬剤。 前記サイトカインは、TNF−α、IL−1β及びIFN−γから成る群から選択される、請求項14に記載の薬剤。 前記治療は、EPO抵抗性を有する患者に対するものである、請求項8若しくは10、又は請求項8若しくは10を引用する請求項11〜15のいずれか1項に記載の薬剤。 新しい赤血球の産生に利用できる鉄の量を増加させるための、請求項1〜16のいずれか1項に記載の薬剤。 前記2−オキソグルタレートの構造模倣物が、前記式Ia、Ib又はIcの複素環カルボニルグリシンである、 請求項1〜17のいずれか1項に記載の薬剤。 前記化合物が、[(1−クロロ−4−ヒドロキシ−イソキノリン−3−カルボニル)−アミノ]酢酸、[(4−ヒドロキシ−7−フェノキシ−イソキノリン−3−カルボニル)−アミノ]酢酸、及び[(4−ヒドロキシ−7−フェニルスルファニル−イソキノリン−3−カルボニル)−アミノ]酢酸からなる群より選択される、請求項1〜18のいずれか1項に記載の薬剤。 前記化合物が、[(1−クロロ−4−ヒドロキシ−イソキノリン−3−カルボニル)−アミノ]酢酸である、請求項19に記載の薬剤。 前記被験体がヒトである、請求項1〜20のいずれか1項に記載の薬剤。


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