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タイトル:公開特許公報(A)_目付量測定装置
出願番号:2010250450
年次:2012
IPC分類:G01N 21/47


特許情報キャッシュ

中村 哲也 宮原 和久 JP 2012103058 公開特許公報(A) 20120531 2010250450 20101109 目付量測定装置 東レ株式会社 000003159 中村 哲也 宮原 和久 G01N 21/47 20060101AFI20120427BHJP JPG01N21/47 B 7 2 OL 13 (出願人による申告)平成22年度経済産業省「戦略的基盤技術高度化支援事業」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願 2G059 2G059AA05 2G059AA10 2G059BB09 2G059CC11 2G059CC12 2G059CC20 2G059DD12 2G059DD13 2G059EE02 2G059FF01 2G059GG02 2G059GG03 2G059KK04 2G059LL04 2G059MM01 2G059MM12 本発明は、表層に粉体が接着された一方向性の強化繊維糸条からなる強化繊維基材上の粉体の目付量の測定を光学的手法で行う、粉体の目付量の測定装置に関する。 繊維強化プラスチック(以下、FRPと記す。)は、その比強度、比弾性率の高さから様々な分野で多く利用されており、FRPに用いられる強化繊維基材は、特に高い性能を示すことから、航空機、船艇、自動車、等の高い強度を要求される用途に多く利用されている。特に、高い力学特性を持つ基材として、一方向性織物のような一方向性の強化繊維糸条で形成された布帛形態の表面上に樹脂材料が接着されている強化繊維基材が提供されている。また、これら樹脂材料は、FRP成形時の含浸性を最適化するために空隙を有してなる一方向性織物の表面上に接着ことが好ましく、この樹脂材料を粉体として一方向性織物の表面上に撒布し接着することがよく行われている(特許文献1)。 この強化繊維基材をFRPとして成形する際に、強化繊維基材の積層時に屈曲を抑え、かつ衝撃付与後の残存圧縮強度(CAI)を一定以上保つために、表面に接着した樹脂の凹凸を一定にし、適正化することが重要となる。このため、強化繊維基材の品質管理として、強化繊維基材の表面に接着された樹脂、すなわち粉体の目付量を精度よく測定することが重要とされている。なお、ここでいう粉体の目付量とは、強化繊維基材の単位面積あたりに接着した粉体の重量をさす。 一方向性織物のような布帛形態の表面上に接着された粉体の目付量、すなわち重量を測定する装置として、布帛形態の上面からカメラ等の撮像手段によって布帛形態表面を撮像し、得られた画像中の粉体の投影像の面積を算出することで、粉体の粒度分布などの粒度構成を算出し、それを重量換算する装置が提案されている(特許文献2)。しかしながらこの方式では、光源を布帛形態が透明である前提であるため、布帛形態の下側、すなわち裏面側に光源を配置する構成となっており、織物のような布帛形態の表面に接着された粉体を撮像することは不可能である。 一方で、光源を撮像手段と同方向から照射し、得られた画像中の粉体の投影像から粉体の粒度分布などの粒度構成を算出する装置も提案されている(特許文献3)。しかしながら、一方向性織物上に付着された粉体にこの装置を適用した場合、図1に示すように、一方向性織物からなる強化繊維基材を構成する繊維間の隙間、あるいはその各強化繊維糸条を構成する単糸の重なりによって生じる陰影をも撮像してしまい、粉体の投影像のみを撮像することが困難であるという問題があった。特開2006−192745号公報特開2001−337027号公報特開2001−165845号公報 本発明は、上記従来技術の問題点を解消するためになされたもので、一方向性の強化繊維糸条で形成された布帛形態からなる強化繊維基材の表面に接着された粉体の目付量を光学的方式にて測定する装置であって、強化繊維基材の表面を撮像した画像から、粉体の投影像を抽出し、その画像情報から粉体の目付量を測定する装置を提供することを目的とする。 上記目的を達成するために、本発明は次の構成を特徴とするものである。すなわち、 (1)強化繊維糸条を一方向に平行に引き揃えて形成された布帛形態の上面に、粉体が載置された強化繊維基材中の該粉体の目付量を測定する装置であり、少なくとも下記の(a)〜(d)を備えたことを有してなる粉体の目付量の測定装置である。(a):前記引き揃えられた強化繊維糸条の方向に平行な方向から強化繊維基材を照射する照明装置(b):前記照明装置によって照射された粉体からの反射あるいは散乱光を撮像する撮像装置(c):前記撮像装置によって得られた画像から、粉体の投影像の形状特徴を算出する第1の演算装置(d):前記第1の演算装置によって得られた粉体の投影像の形状特徴から粉体の目付量を算出する第2の演算装置。 (2)本発明の強化繊維基材の粉体の目付量を測定する装置において、照明装置が、撮像装置に対して対称な2方向から照射されることが好ましく、さらに強化繊維基材との照射角度が40度〜60度であることが好ましい。 (3)本発明の強化繊維基材の粉体の目付量を測定する装置において、撮像装置がラインセンサであることが好ましい。 (4)本発明の強化繊維基材の粉体の目付量を測定する装置において、粉体の投影像の形状特徴が、投影面積とその面積を円換算した半径との積の値であること、さらにその積の値をあらかじめ作成しておいた検量線とを比較することが好ましい。 (5)本発明の強化繊維基材の好ましい製造方法として、強化繊維糸条を製織し、粉体を接着させる工程の後に、上記本発明の測定装置を用いた測定工程からなる強化繊維基材の製造方法を挙げることができる。 本発明の測定装置は、一方向性織物のような一方向性の強化繊維糸条で形成された布帛形態からなる強化繊維基材の表面に載置された樹脂材料などの粉体の目付量を、繊維間の隙間や単糸の陰影などの影響を受けずに精度良く測定することができる。図1は、従来の粉体の粒度構成を算出する装置によって、表面に粉体が接着した一方向性織物からなる強化繊維基材を撮像した画像の一例である。図2は、本発明の実施形態に係る粉体の目付量測定装置の概略図である。図3は、本発明の実施形態に係る粉体の目付量測定装置の正面図である。図4は、本発明の測定対象である強化繊維基材の模式図である。図5は、本発明の実施形態に係る照明装置にて強化繊維糸条を照射した際の模式図である。図6は、本発明の実施形態に係る照明装置にて強化繊維糸条の上に接着された粉体を照射した際の模式図である。図7は、本発明の実施形態にかかる第1の演算装置にて実行される処理フロー図である。図8−1は、本発明の実施形態にかかる第1の演算装置にて実行される処理フローにて得られた2値化後の画像の模式図である。図8−2は、本発明の実施形態にかかる第1の演算装置にて実行される処理フローにて得られた、2値化後に補助繊維糸条を除去した画像の模式図である。図9は、本発明の実施例に従って演算された結果に基づいて作成した目付量と換算体積との検量線の1例である。 以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。 (装置概略) 図2に本発明の粉体の目付量測定装置の概略図が示されている。また、図3には、本発明の粉体の目付量測定装置の正面図が示されている。これらは、撮像装置11、照明装置12、演算装置13、14と移動ステージ15からなる。測定対象となる強化繊維基材20は移動ステージ15の上に設置され、撮像装置11および照明装置12は、移動ステージ15の上方向に配置される。このとき、布帛形態の強化繊維基材20を構成する一方向性に引き揃えられた強化繊維糸条の方向を、移動ステージ15の移動方向16に沿って配置する。照明装置12は強化繊維基材20の表面を照射し、その反射および散乱光を撮像装置11にて取り込まれ、移動ステージ15を移動させながら撮像装置11の同期を取ることで、2次元の画像を得ることができる。さらに、演算装置13によって強化繊維基材20を構成する粉体のみを抽出した画像が得られ、演算装置14によって粉体の目付量として算出される。 (測定対象) 本実施の形態では、測定対象として、図4に示すような強化繊維糸条201を少なくとも一方向に引き揃え、かつ、その一方向およびその直角方向にそれぞれ、お互いが平行に配列された補助繊維糸条とが、織組織を形成している一方向性織物からなる強化繊維基材20を用いている。 本発明で用いる強化繊維糸条201としては、特にその種類に制限はなく、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、有機繊維(例えば、アラミド繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ポリエチレン繊維、ポリビニルアルコール繊維等)、金属繊維またはセラミック繊維、これらの組み合わせ等を用いることができる。中でも、炭素繊維は、比強度および比弾性率に優れ、耐吸水性に優れるので、強度要求の高い航空機や自動車の構造部材向けの強化繊維糸条として好ましく用いられる。 本発明で用いる補助繊維糸条は、基本的には基材の強度保持に寄与しないものであり、その繊度が強化繊維糸条の繊度より少なくとも20%以下のものを指す。補助繊維糸条としては、炭素繊維やガラス繊維などの無機繊維、ポリアラミド繊維、ポリアミド繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維などの有機繊維が使用できる。なかでも、ガラス繊維はFRPにした際にマトリックス樹脂との接着が良好で、かつ細繊度糸を安価に製造できることから好ましく用いられる。 本発明で用いる粉体には、接着用の樹脂材料203が好適に用いられる。かかる接着用の樹脂材料203は、強化繊維基材の取扱性を向上させ、複合材料の力学特性を向上させるものであれば特に限定されない。かかる樹脂材料として、熱硬化性樹脂および/ または熱可塑性樹脂を適宜選択して使用することができる。 熱硬化性樹脂をかかる樹脂材料203の主成分として用いる場合には、エポキシ、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、フェノール、ビスマレイミドから選ばれる少なくとも1種であるのが好ましく、その中でもとりわけエポキシが好ましい。エポキシを使用すると、接着性が高いため基材の接着性やタック性に優れるだけでなく、特にマトリックス樹脂としてエポキシ樹脂を用いた場合に高い力学特性を発現することができる。 エポキシを主成分とする場合は、硬化剤や硬化触媒等を含んでもよいが、樹脂材料のライフの面からは含まない方が好ましい。含む場合でも潜在性の高い硬化剤や硬化触媒であれば特に大きな問題とはならない。 熱可塑性樹脂をかかる樹脂材料203の主成分として用いる場合には、ポリアミド、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリイミド、ポリアミドイミド、フェノキシから選ばれる少なくとも1 種であるのが好ましく、その中でもポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルスルフォン、フェノキシがとりわけ好ましい。 これら樹脂材料203は、上述のとおり粒子などの粉体形状が好ましく、前記織物上に撒布され、接着されている。この接着方法は、例えば加熱による融着などが提案されているが、本発明においてその方法は特に限定しない。しかしながら、強化繊維基材20を作成するための接着方法やその詳細は全く同条件であることが好ましい。 (照明装置) 本発明における照明装置12は、強化繊維基材20を構成する一方向性に引き揃えられた強化繊維糸条の方向、すなわち移動ステージ15の移動方向16に対し平行な方向から照射する。これは以下の理由のためである。 強化繊維糸条201は、単糸とよばれる繊維糸条を数1000〜数10000本単位で引き揃えて1本の強化繊維糸条として形成することが多い。これら単糸は1本1本が互いに絡むようにして1本の強化繊維糸条を形成している。このような構成をとることで、1本の強化繊維糸条として捌けなどばらばらになることなくまとまるためであり、ひいては強化繊維糸条の繊維方向での強度向上にも寄与している。図1は、強化繊維基材20の強化繊維糸条201近傍を拡大した写真である。これからわかるとおり、強化繊維糸条201の表面は各単糸が重なりあうことで構成されるため、その重なり部2は陰影となって撮像されている。また、強化繊維糸条201は、上記のとおり単糸が1本1本互いに絡むような構造のため、その糸幅は厳密に均一となっていない。従って、これら強化繊維糸条201を一方向に引き揃えると、隣り合う強化繊維糸条間には隙間204が生じてしまうことが多い。 このため、強化繊維基材20の表面は、粉体として接着された樹脂材料203以外に、単糸の重なり部2や強化繊維糸条間の隙間204による微小な凹凸が生じており、これらを従来提案されている方法で撮像すると、得られる画像は図1にように粉体1の他に単糸の重なり部2などが撮像されてしまう。この単糸の重なり部2や強化繊維糸条間の隙間204による微小な凹凸は、その形状などに特異性を見出すことが困難であるため、図1の画像から強化繊維基材20の表面に粉体として接着された樹脂材料203との差異を見出すことは困難となってしまう。 しかしながら、強化繊維糸条201の繊維方向、つまりに一方向性に引き揃えられた強化繊維糸条の方向に平行に照明を照射すると、強化繊維糸条に照射された光は、ほとんどが正反射方向に返っていく。一方で、単糸の重なり部2や強化繊維糸条間の隙間204による微小な凹凸は、強化繊維糸条201の繊維方向に沿って発生している。つまり、強化繊維糸条201の表面の凹凸変化は、強化繊維糸条の方向と直交する方向に大きく発生しており、一方で強化繊維糸条の方向と平行な方向では、その凹凸変化がほとんどない。従って、強化繊維糸条201の繊維方向、つまりに一方向性に引き揃えられた強化繊維糸条の方向に平行な方向から照明を照射しても、それによる散乱光はほとんど発生しない。これを図5に示す。照明装置12を、強化繊維糸条201を引き揃えた方向と平行な方向から照射すると、照射された光のほとんどが正反射方向31に返っていく。 次に、強化繊維基材20の上に粉体として接着された樹脂材料203に対し、強化繊維糸条201の繊維方向、つまりに一方向性に引き揃えられた強化繊維糸条の方向に平行に照明を照射することを考えてみる。これを図6に示す。照明装置12を、強化繊維糸条201を引き揃えた方向と平行な方向から照射すると、粉体として接着された樹脂材料203に照射された光は散乱光32となって多方向へ広がっていく。 このようにして、照明装置12は、強化繊維基材20を構成する一方向性に引き揃えられた強化繊維糸条の方向、すなわち移動ステージ15の移動方向16に対し平行な方向から照射することにより、単糸の重なり部2や強化繊維糸条間の隙間204による微小な凹凸を含んだ強化繊維糸条201からの正反射光31と、粉体として接着された樹脂材料203からの散乱光32と、方向性の異なる光が返っていくため、後述する撮像装置11を配置する方向を決めれば、粉体として接着された樹脂材料203からの散乱光32だけを撮像することが可能となる。 また、照明装置12は、図2および図3のように撮像装置11に対して対称な2方向から照射されることが好ましく、さらに強化繊維基材20との照射角度が40度〜60度であることが好ましい。これは、2方向から照射することで、粉体として接着された樹脂材料203からの散乱光32が粉体の形状に依存せず精度よく照射することができるためである。また、照射角度を60度以上とすると、強化繊維糸条201からの反射光31と、粉体として接着された樹脂材料203からの散乱光32との方向性の差異がなくなり、粉体として接着された樹脂材料203からの散乱光32だけを撮像する方向がなくなるためである。さらに、照射角度を40度未満とすると、強化繊維基材20自体の持つ凹凸や、単糸の重なり部2や強化繊維糸条間の隙間204による微小な凹凸などによる散乱光が強く出てくるため、強化繊維糸条201に照射された光が正反射方向31以外の方向にも返っていくためである。 なお、強化繊維基材20には、さらに補助繊維糸条202も含まれる。これらは強化繊維糸条201と比べると繊度が小さいため、強化繊維糸条201に直交する方向や、ガラス繊維のように正反射光よりも散乱光が強くなる場合であっても、これらからの散乱光を撮像装置で撮像しても、細長い繊維状の画像として捉えることができる。従って、後述する演算装置13によって、形状特徴から粉体として接着された樹脂材料203と分別することが可能である。 (撮像装置) 本発明における撮像装置11は、強化繊維基材20、すなわち移動ステージ15に対して略直交する方向に配置されることが好ましい。これは、前記した照明装置12の配置によって、強化繊維糸条201からの正反射光31を撮像せず、粉体として接着された樹脂材料203からの散乱光(乱反射による光)32だけを撮像することができるためである。また、撮像装置11はラインセンサが好ましい。これはラインセンサが1方向のみにフォトダイオードを配列している構成であるため、照明装置12を、強化繊維基材20を構成する一方向性に引き揃えられた強化繊維糸条の方向と平行な方向から照射した際、強化繊維基材20からの照射光のうち、粉体として接着された樹脂材料203からの散乱光32以外の、強化繊維基材20自体の持つ凹凸や、単糸の重なり部2や強化繊維糸条間の隙間204による微小な凹凸などによる散乱光の影響をより受けにくいためである。 (第1の演算装置) 本発明における第1の演算装置13では、撮像装置11によって生成された強化繊維基材20の表面の画像に対し、次の方法によって粉体として接着された樹脂材料203の形状特徴量を算出する。図7に、第1の演算装置13にて行われている処理フローを示す。まず、撮像装置11にて得られた画像は、粉体として接着された樹脂材料203が散乱光を撮像することによって明方向に、強化繊維糸条201および強化繊維糸条間の隙間204などは正反射光を撮像しないことによって暗方向の輝度をそれぞれ持っている。さらに、補助繊維糸条202がガラス繊維糸条などの場合は、これらの散乱光により明方向の輝度を持っている。そこで、これらに2値化処理41を施す。これによって得られる画像の模式図を図8−1に示す。画像中、背景および強化繊維糸条の投影部211が黒部に、補助繊維糸条の投影部212および粉体として接着された樹脂材料の投影部213が白部となっている。 次に、あらかじめ強化繊維基材20に使われている補助繊維糸条202の種類により、補助繊維糸条の投影部212を除去する処理43を行うかどうかを判断する処理42を行う。例えば、補助繊維糸条202がガラス繊維糸条の場合、図8−1のとおり補助繊維糸条部212が白部となって得られるため、粉体として接着された樹脂材料の投影部213との分別・除去する処理43を行う。次の補助繊維糸条の投影部212を除去する処理43では、図8−1の中の白部から、繊維糸条と粉体との形状特徴量を使って両者の分別し、繊維糸条を除去する。これらを行う処理は以下に説明する処理に限定されるものではないが、例えば以下の方法がある。白部のうち、補助繊維糸条の投影部212は、細長い格子状の形状となっているか、あるいは途中で繊維糸条が切れた線分となっている。これを粉体として接着された樹脂材料の投影部213と比較すると、面積が大きいこと、あるいは線分の場合は細長い形状となっている。そこで、(1)まず、白部の面積と周囲長を算出し、(2)算出した面積から、ある一定以上の値をもつ白部を除去する。(3)さらに、周囲長と面積との比、すなわち (周囲長)/(面積)なる指標を算出し、この比が一定値以上に大きな白部、すなわち細長い形状をしている白部を除去する。こうして得られた処理画像を図8−2に示す。 最後に、こうして得られた画像から、白部、すなわち粉体として接着された樹脂材料の投影部213の形状特徴量を算出する。ここで算出される形状特徴量は、以下に説明される特徴量に限定されるものではないが、例えば面積、すなわち粉体として接着された樹脂材料203の投影面積や、円換算した半径、すなわち粉体として接着された樹脂材料203を粒子として換算した粒径情報などがある。このうち、粉体として接着された樹脂材料203の目付量、すなわち単位面積あたりの重量を算出するためには、樹脂材料203が1種類である場合には、ある温度におけるその樹脂材料の密度は一定と考えられるため、体積を算出することが好ましい。このため、粉体として接着された樹脂材料203の形状特徴量の中から、体積に該当する投影面積とその面積を円換算した半径との積とすることが好ましい。 (第2の演算装置) 本発明における第2の演算装置14では、前記第1の演算装置によって算出された粉体として接着された樹脂材料203の形状特徴量をもとに、粉体の目付量を算出する。ここで、粉体として接着された樹脂材料203を球状の粒子と仮定し、前記第1の演算装置によって算出された投影面積と粒径とを掛け合わせることで球状の粒子の体積を算出する。これを、あらかじめ目付量を測定したサンプル5〜7水準をもとに検量線を作成しておき、その検量線と照らし合わせることで目付量を算出する。 以上から、繊維強化基材20の粉体の目付量を測定する装置を実現することができるが、これを繊維強化基材20を製造するプロセス中の樹脂材料203を粉体として接着した後に、本発明による目付測定を行うことで、その結果から樹脂材料203を粉体として撒布・接着する量を適正化することもできる。 以下、実施例に基づいて、本発明を具体的に説明する。 図2および図3に示す、実施例において用いた粉体の目付量測定装置の構成を以下に示す。・照明装置:LED照明 CCS社製 HLND−900SW−R を2本・撮像装置:ラインセンサカメラ NED社製 SU74、モノクロ7500画素・移動ステージ:シグマ光機製 精密自動ステージ・強化繊維基材と照明装置との照射角度:45°(ラインセンサカメラの左右両側から照射)。 なお、ラインセンサカメラにはレンズ(Nikon社製 MicroNikkorレンズ f200)を設置することで、幅方向の撮像分解能を10μmとなるようにした。 上記の構成にて、走行方向の撮像分解能も10μmとなるように、移動ステージの速度を調整した。なお、強化繊維基材は、強化繊維糸条を炭素繊維、補助繊維糸条をガラス繊維、樹脂材料をエポキシ樹脂とし、粉体として基材に接着させた。 この強化繊維基材を作成する際、樹脂材料の粉体目付量を正確に測定するため、樹脂材料を接着する前の基材、すなわち炭素繊維と補助繊維糸条とからなる基材の重量をあらかじめ測定しておく。次に、樹脂材料を撒布、接着させた後での基材の重量を測定し、前者の重量との差分を計算しておく。なお、重量測定には電子天秤を使った。 このようにして、樹脂材料の重量が異なるサンプルを数種類作成する。今回は5種類のサンプルを作成した。これら5つのサンプルにて測定、算出した重量から目付量を表1に示す。 次に、作成した強化繊維基材を前述の強化繊維基材の粉体の目付量測定装置にて表面を撮像する。ここで得られた画像に対し、図7に示した処理フローに従って第1の演算装置にて演算を行う。ここでは第1の演算装置、および第2の演算装置は以下の構成にて行った。・第1の演算装置および第2の演算装置:パーソナルコンピュータ・CPU:Core2Quard 3.0GHz・メモリ:2GB・OS:“Windows XP (登録商標)”・画像処理ライブラリソフト:HALCON(Ver.8.0、MVTec社製)・テストに用いた画像データの1枚あたりのサイズ:7000×7000画素・算出する形状特徴量:面積 と 白部を円換算した場合の半径 との積(以下、これを「換算体積」とする)。 こうして得られた結果を表2に示す。 表2から、横軸を目付量、縦軸を算出した形状特徴量、換算体積として検量線を作成する。これを図9に示す。換算体積をx、目付量をyとしてこの検量線を算出すると y=0.0008x2 + 0.0413xとなった。 さらに、もう1つの強化繊維基材サンプルを作成してみる。これを図7に示した処理フローに従って第1の演算装置にて演算を行い、さらに図9で作成した検量線から目付量を推算すると 換算体積:126.539(mm3) 目付量:18.0(g/m2)となった。 一方で、電子天秤を使い、前記と同様に、樹脂材料を接着する前の基材の重量をあらかじめ測定し、さらに樹脂材料を撒布、接着させた後での基材の重量を測定し、前者の重量との差分を計算したところ、 目付量:17.9(g/m2)となった。従って、本装置によって強化繊維基材の粉体目付量を±0.1g/m2の誤差にて算出することが確認できた。 本発明によれば、一方向性織物からなる強化繊維基材上の粉体の目付量を光学的な手法によって得ることができるため、一方向性織物からなる強化繊維基材の製造工程における品質管理などで好適に用いることが出来るが、その応用範囲がこれに限られるものではない。 1:一方向性織物からなる強化繊維基材の表面に接着した粉体 2:一方向性織物からなる強化繊維基材を構成する各単糸の重なり部 11:撮像装置 12:照明装置 13:第1の演算装置 14:第2の演算装置 15:移動ステージ 151:移動ステージの移動方向 20:一方向性織物とその表面に接着された粉体からなる強化繊維基材 201:強化繊維基材を構成する強化繊維糸条 202:強化繊維基材を構成する補助繊維糸条 203:強化繊維基材を構成する樹脂材料 204:一方向性に引き揃えられた強化繊維糸条間に生じる隙間 211:撮像装置11によって得られた画像中の、強化繊維基材を構成する強化繊維糸条の投影部 212:撮像装置11によって得られた画像中の、強化繊維基材を構成する補助繊維糸条の投影部 213:撮像装置11によって得られた画像中の、強化繊維基材を構成する樹脂材料の投影部 31:強化繊維基材の強化繊維糸条からの正反射光 32:強化繊維基材上に接着された粉体からの散乱光 41:2値化処理 42:補助繊維糸条部の除去判断処理 43:補助繊維糸条部の除去処理 44:樹脂材料部の形状特徴量の算出処理強化繊維糸条を一方向に平行に引き揃えて形成された布帛形態の上面に粉体が載置された強化繊維基材中の該粉体の目付量を測定する装置であり、少なくとも下記の(a)〜(d)を備えたことを特徴とする粉体の目付量の測定装置(a):前記引き揃えられた強化繊維糸条の方向に平行な方向から強化繊維基材を照射する照明装置(b):前記照明装置によって照射された粉体からの散乱光を撮像する撮像装置(c):前記撮像装置によって得られた画像から、粉体の投影像の形状特徴を算出する第1の演算装置(d):前記第1の演算装置によって得られた粉体の投影像の形状特徴から粉体の目付量を算出する第2の演算装置前記照明装置が、撮像装置に対して対称な2方向から照射されることを特徴とする、請求項1に記載の粉体の目付量の測定装置。前記照明装置が、強化繊維基材との照射角度が40度〜60度であることを特徴とする、請求項1または2に記載の粉体の目付量の測定装置。前記撮像装置がラインセンサであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の粉体の目付量の測定装置。前記粉体の投影像の形状特徴が、投影面積とその面積を円換算した半径との積の値であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の粉体の目付量の測定装置。前記第2の演算装置が、前記投影面積とその面積を円換算した半径との積の値を、あらかじめ作成しておいた検量線とを比較することにより粉体の目付量を算出するものであることを特徴とする、請求項5に記載の粉体の目付量の測定装置。請求項1〜6のいずれかに記載の目付量の測定装置を用いた強化繊維基材の製造方法。 【課題】一方向性の強化繊維糸条からなる強化繊維基材の表面に載置された粉体の目付量を、光学的な手法にて測定する目付量の測定装置において、繊維間の隙間や単糸の陰影などの影響を受けずに精度良く測定することができる粉体の目付量の測定装置を提供すること。 【解決手段】一方向性の強化繊維糸条からなる強化繊維基材の、強化繊維糸条と平行な方向に照明装置を配置させ、照明装置によって照射された粉体からの反射あるいは散乱光を撮像装置にて撮像し、得られた画像から粉体の投影像の形状特徴量を算出し、その値から目付量を算出することができる。【選択図】図2


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