生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_オピオイドおよびオピオイド拮抗薬を含む微粒子医薬組成物
出願番号:2010236338
年次:2012
IPC分類:A61K 31/485,A61K 9/16,A61K 9/22,A61K 9/48,A61K 47/32,A61P 25/36,A61P 25/04


特許情報キャッシュ

ラルス ホルガー ヘルマン JP 2012087101 公開特許公報(A) 20120510 2010236338 20101021 オピオイドおよびオピオイド拮抗薬を含む微粒子医薬組成物 ラルス ホルガー ヘルマン 510280534 Lars Holger Hermann 柳田 征史 100073184 佐久間 剛 100090468 ラルス ホルガー ヘルマン A61K 31/485 20060101AFI20120406BHJP A61K 9/16 20060101ALI20120406BHJP A61K 9/22 20060101ALI20120406BHJP A61K 9/48 20060101ALI20120406BHJP A61K 47/32 20060101ALI20120406BHJP A61P 25/36 20060101ALI20120406BHJP A61P 25/04 20060101ALI20120406BHJP JPA61K31/485A61K9/16A61K9/22A61K9/48A61K47/32A61P25/36A61P25/04 19 1 OL 15 4C076 4C086 4C076AA31 4C076AA38 4C076AA40 4C076AA42 4C076AA51 4C076AA54 4C076BB01 4C076CC01 4C076DD09 4C076DD29 4C076DD29H 4C076DD41 4C076EE10H 4C076EE11H 4C076EE12H 4C076EE16 4C076EE23 4C076EE32 4C076EE38 4C076EE48H 4C086AA01 4C086AA02 4C086CB23 4C086MA02 4C086MA03 4C086MA04 4C086MA05 4C086MA36 4C086MA37 4C086MA52 4C086NA12 4C086ZA08 4C086ZC39 本発明は、オピオイド、好ましくはモルヒネと、オピオイド拮抗薬、好ましくはナロキソンとを含む医薬組成物に関する。特に、本発明は、経口投与後に30分〜8時間程度、明確に継続的に消化器系の特定部位においてオピオイド拮抗薬を制御放出するための医薬組成物に関する。加えて、本発明は、オピオイドおよびオピオイド拮抗薬を含む粒子を含む、医薬組成物に関する。 オピオイド(「アヘン(opium)に似ている」)群は、モルヒネに類似した特性を有する、天然および合成物質の化学的に不均一な群であり、オピオイド受容体に作用する。オピオイドは、ストレス反応に関して痛みを抑制する役割をする、身体自体の(内因性の)オピオイドと、治療または乱用として用いられる(外因性の)オピオイドとに分類される。「アヘン剤(opiates)」とは、化学用語におけるアルカロイドであり、モルヒネを含む、アヘン中に天然に存在するオピオイドについて使用する用語である。 オピオイドの強力な痛みを和らげる効果(鎮痛)は、大いに治療的意義がある。非オピオイド鎮痛剤とは対照的に、 オピオイドは主に中枢神経系(CNS)において鎮痛剤の作用を発現させる。オピオイドに最も一般に見られる望ましくない副作用としては、吐き気、嘔吐、目まいが挙げられ、特に長期使用の場合には(けいれん性の)便秘も挙げられる。オピオイドの過剰摂取は、窒息に至ることがある、危険な呼吸抑制を生じうる。 オピオイドが長期間にわたって定期的に用いられる場合、耐性の発現(習慣作用)が生じうる。その結果、所望の効果を達成するために、さらに多くの用量が必要になる。これは、主に細胞内のアデニル酸シクラーゼの酵素活性が増大することによる、薬力学的耐性である。 ベンゾジアゼピンと同様、オピオイドは、強力な薬物依存状態を引き起こす可能性のある物質の一部である。本明細書では、精神的依存状態と肉体的依存状態とを区別する必要がある。依存状態の精神的要素は、とりわけ、オピオイドの抗不安作用および陶酔作用に起因する。肉体的依存状態は、主に、オピオイドの適用が中断された場合に、ノルアドレナリンの放出の増大の結果として、離脱症状が生じうるという事実によるものである。典型的な離脱症状としては、情動不安、原因不明の痛み、抑鬱、嘔吐および胃けいれんの感覚、下痢、極度の疲労およびインフルエンザ様疾患が挙げられる。 オピオイドからの離脱には、極めて長い時間がかかる。通常、肉体的離脱はすぐに克服できるが、以前に定期的に大量摂取していた場合には、1年後でも、例えば睡眠障害または悪夢などが生じることがある。精神的禁断症状とは、再発が頻繁に生じることを意味する。 治療の目的で一般に用いられるオピオイドは、チリジン、トラマドールおよびモルヒネである。非常に激しい痛みの症例では、チリジンでは十分でないことがたびたびあり、モルヒネまたはモルヒネ様の物質が用いられる。通俗的にモルフィウムとも称される、モルヒネ、すなわち(5R,6S,9R,13S,14R)−4,5−エポキシ−N−メチル モルヒネ−7−エン−3,6−ジオール)は、ポピーの種子のさやから得られ、次の構造式: を有する、非常に有効な鎮痛剤である。 オピオイドの中で最も強力な鎮痛効果を有するのは、スフェンタニル、レミフェンタニルおよびフェンタニルである。ドイツでは投与が禁止されているヘロイン(ジアセチルモルヒネ)には治療的意義がない。ヘロインの補充療法では、主にオピオイド・メタドンが使われる。 オピオイドは、特にその精神作用効果のため、不適切に使用(乱用)される危険がある。乱用の1つの形態は、意図された投与経路を経て送達されない場合である。薬物作用が急激に発現(「キック(kick)」)することから、例えば静脈内投与(注射)、あるいは鼻(吸引)または肺(喫煙)の経路が経口摂取よりも好まれる。この目的ため、製剤を溶融または溶解して静脈内に注入するか、またはアルミ箔の上で炙り、煙を吸い込む(スズ箔上で喫煙)。 オピオイドの乱用を制限するため(乱用に対する防御)、医薬品にオピオイド拮抗薬を混合することができる。この種の標準的な市販の製剤は、チリジンとナロキソンを組合せて含有するValoron(登録商標)Nである。ナロキソン、すなわち(5R,9R,13S,14S)−17−アリル-3,14−ジヒドロキシ−4,5−エポキシモルヒナン−6−オン)は、次の構造式を有するオピオイド拮抗薬である:ナロキソンは、ナルトレキソンと並んで、すべてのオピオイド受容体において競合的拮抗薬として作用する、純粋なオピオイド拮抗薬の1つである。一方、ブプレノルフィンは、μ−受容体において作動薬/拮抗薬の混合剤として作用する。拮抗作用は、オピオイド、すなわち作動薬の効果を相殺する。この特徴は、ナロキソンが、例えばオピオイドを過剰摂取したときの解毒剤として治療的に用いられる場合に、利用される。ナロキソンは、経口投与の場合には、初回通過効果が高い、すなわち、作用部位に到達する前に肝臓において実質的に不活化する傾向にある。一方、静脈内投与の場合には、ナロキソンの大部分が効果を持続する。オピオイド拮抗薬としてのナロキソンは、オピオイドの効果を相殺することから、静脈内へのオピオイドとオピオイド拮抗薬の同時投与は、離脱症候群の誘因となる。経肺、経鼻、経皮または直腸投与の場合にも、ナロキソンは拮抗作用を発現しうる。ナロキソンが乱用に対する防御としての機能を発揮するための前提条件の1つは、オピオイド拮抗薬がオピオイドから容易に分離しないことである。例えば、オピオイドとオピオイド拮抗薬を異なる錠剤で投与する場合に、分離が生じるであろう。多層構造をした製剤の場合には、例えば、水またはエタノールなどの溶媒に個々の層を溶解させて、得られた溶液を蒸発させることによって、オピオイドを回収することができる。モルヒネにナルトレキソンのコアを包含させた製剤が知られている。水中に20分間、製剤を置くことによって、モルヒネとナルトレキソンを分離することができる。その後、モルヒネは溶解し、ナルトレキソンのコアを濾すことによって回収することができる。例えば製剤の外被を削り取るか、またはこじ開けることによる、手作業による分離も可能である。特許文献1には、オピオイドおよびオピオイドが粉末または顆粒の混合物として存在する製剤が開示されている。その混合物において、オピオイドを含有する粒子とオピオイド拮抗薬を含む粒子とは、互いに視覚的に区別することはできない。加えて、オピオイドおよび/またはオピオイド拮抗薬が遅延型の方式で放出されうることも開示されている。ナロキソンは、基本的に、経口投与でない場合には望ましいマイナスの作用が生じるが、経口摂取であっても副作用がないわけではない。活性化ナロキソンが、オピオイドの長期使用の結果として便秘を発症した患者の結腸に達すると、激しい下痢を生じうるが、それは最長で4週間も続く場合がある。離脱症状が直接的に生じうるという危険性から、例えば、すでにアヘン剤(opiates)の中毒がある場合に「Valoron」Nを摂取することは、禁忌である。加えて、経口投与の場合でも、ナロキソンが吸収されて、初回通過効果を回避することが可能である。研究は、ナロキソンが口内で容易に吸収されることを示している。舌の粘膜を通じて(経舌的に)および頬の内表面を通じてなど、口腔内の粘膜を通じて吸収される場合、薬物は、静脈血を通じて、口腔粘膜から直接、上大静脈内へと通過する。例えば、舌下用の製剤の場合に、この原理が用いられる。直腸での吸収もまた、初回通過効果を少なくともある程度回避することから、坐剤による薬物投与の場合に利用される。オピオイド依存性の患者には副作用を生じることから、痛みの治療または補充療法として用いる場合には、ナロキソンをモルヒネに混ぜることは、非常に問題である。極端な場合には、治療を中断しなければならない。国際公開第2007/082935号パンフレット したがって、本発明の課題の1つは、オピオイドおよびオピオイド拮抗薬を含む、さらに容易に許容される医薬組成物を提供することである。特に、オピオイド依存症またはオピオイド耐性の場合にも適用可能なオピオイド組成物を提供することが本発明の目的である。 本発明の課題は、少なくとも1種類のオピオイドまたはそれらの薬学的に許容できる塩および少なくとも1種類のオピオイド拮抗薬またはそれらの薬学的に許容できる塩を含む粒子を含有し、経口投与後、前記オピオイド拮抗薬の放出が30分〜8時間にわたり継続的に生じることを特徴とする医薬組成物によって解決される。 本発明の医薬組成物の1つの実施の形態では、前記オピオイド拮抗薬の放出は、経口投与後、30分〜6時間、好ましくは45分〜4.5時間にわたり継続的に生じる。 1つの実施の形態では、オピオイドは完全アゴニストであり、好ましくはモルヒネである。 1つの実施の形態では、オピオイド拮抗薬は、5%未満のバイオアベイラビリティを発現し、ナロキソンが好ましい。 1つの実施の形態では、前記オピオイドの放出は、経口投与後、0〜少なくとも12時間、好ましくは0〜24時間、生じる。 1つの実施の形態では、粒子はペレットである。 1つの実施の形態では、ペレットは、薬物を制御放出するためのコアおよび層コーティングを含む。 1つの実施の形態では、薬物を放出するための層コーティングは、少なくとも1種類のポリアクリレート/ポリメタクリレート・ポリマー、特に、少なくとも1種類のEudragit(登録商標)を含む。 本発明の課題はさらに、1日3回投与、好ましくは2回、特に好ましくは1日1回投与するための、本発明の医薬組成物を含む、経口投与のための製剤によって解決される。 1つの実施の形態では、前記製剤は、カプセル、好ましくは硬ゼラチンカプセル、または小袋である。 1つの実施の形態では、前記製剤におけるオピオイド拮抗薬のオピオイドに対する比は1/10未満であり、好ましくは1/250から1/10未満の範囲、特に好ましくは1/100から1/10未満の範囲である。 本発明の課題は、さらに、オピオイド依存状態の治療に使用するための本発明の医薬組成物によって解決される。 本組成物の1つの実施の形態では、製剤におけるオピオイドの用量は200mgである。したがって、拮抗薬の用量は2mgが好ましい。 本発明の課題は、さらに、オピオイド依存性または非オピオイド依存性の患者における疼痛治療に使用するための本発明の医薬組成物によって解決される。 本組成物の1つの実施の形態では、製剤におけるオピオイドの用量は、30または60mgである。したがって、拮抗薬の用量は0.3または0.6mgが好ましい。臨床研究における、ナロキソンとモルヒネの血漿濃度の経時的変化を示すグラフ。 オピオイド、好ましくはモルヒネは、塩酸塩、水和物、硫酸塩または塩素酸塩などの生理学的に許容できる塩、または第4級塩として存在しうる。モルヒネの好ましい塩は、塩酸モルヒネ、硫酸モルヒネ5水和物、塩素酸モルヒネ、モルヒネ・メトブロミドまたは、モルヒネおよびモルヒネN−オキシドの他の第4級塩である。硫酸モルヒネ5水和物が特に好ましい。 オピオイド拮抗薬、好ましくはナロキソンは、塩酸塩または塩酸塩二水和物などの生理学的に許容できる塩として存在しうる。塩酸ナロキソン二水和物が特に好ましい。 本発明は、オピオイドおよびオピオイド拮抗薬を含む、さらに容易に許容される医薬組成物であって、離脱症状の発生が回避されるものを提供する。この利点は、オピオイドおよびオピオイド拮抗薬の特定の放出特性、および、これら2種類の薬物の互いに対する比によって達成される。放出特性の効果は、これまでに一般に用いられた概念とは異なる、すなわち「完全離脱」の回避という事実からなり、消化管における「局部的な部分離脱」もまた回避される。 医薬組成物は、オピオイドが有利な効果を発現するように製剤化されると同時に、経口投与の場合には、オピオイド拮抗薬の効果は大幅に低減されるか、または相殺される。この医薬組成物の特徴である、より良好な許容性は、オピオイド拮抗薬の制御放出、すなわち、消化器系の特異的領域におけるオピオイド拮抗薬の放出によって達成される。同時に、オピオイドの放出が遅延される(遅延放出型、持続放出型の製剤)。オピオイド拮抗薬の口腔における吸収の場合には初回通過効果が回避されることから、消化器系のこの部位における吸収は有利である。これは、本発明に従って、医薬組成物の経口投与後(または生理食塩水の存在下)最初の30分に、事実上、オピオイド拮抗薬の放出が生じないことを確実にすることにより達成される。 加えて、直腸におけるオピオイド拮抗薬の吸収を抑えることも有利である。これは、本発明に従って、医薬組成物の経口投与の(または生理食塩水の存在下)8時間後、好ましくは6時間後には、オピオイド拮抗薬が事実上、完全に放出されること、すなわち、医薬組成物が直腸に到達するときには、すでに放出されてしまっていることを確実にすることにより達成される。 横行結腸以降、具体的には下行結腸以降では、オピオイド拮抗薬の吸収は不可能であるか、ほんの少ししかない。これは、液体が存在しないことにより、オピオイド拮抗薬がもはや溶解しえず、初回通過効果の影響を受けるためである。吸収は、この場合も、直腸に至るまで生じない。したがって、医薬組成物が横行結腸の終端または下行結腸の始まりに達する時には、オピオイド拮抗薬がすでに放出されてしまっていることは利点である。これは、本発明に従って、医薬組成物の経口投与の(または生理食塩水の存在下)8時間後、好ましくは6時間後には、オピオイド拮抗薬が事実上完全に放出されること、すなわち、約10時間後、医薬組成物が消化器系のこの部位に達するときには、すでに放出されてしまっているということを確実にすることにより達成される。拮抗薬が直腸で放出される場合には、十分な効果を発現し、初回通過効果が妨げられて、全般的および局部的な離脱を生じる。 オピオイド拮抗薬は、オピオイド依存性の患者における結腸における激しい下痢を誘発しうることから、消化管のこの部位における放出を可能な限り防止することもまた有利である。これは、本発明に従って、医薬組成物の経口投与の(または生理食塩水の存在下)8時間後、好ましくは6時間後には、オピオイド拮抗薬が事実上完全に放出されること、すなわち、約6時間後に医薬組成物が結腸に到達する時には、すでに放出されてしまっていることを確実にすることにより達成される。 本発明の重要な特徴は、ナロキソンの放出が継続的に生じること、すなわち、おおよそ一次速度則と一致して持続放出され、事実上、放出ピークが生じないことである。 当技術分野の技術水準において、オピオイドまたはオピオイド拮抗薬の特別な放出特性を達成するための種々の可能性が知られている。現在の好適な溶液は、放出が特定の持続放出コーティングによって調節されるものであり、次の実施例において提案される持続放出コーティングは例証を意図するのみであるが、他の可能性も考えられ、当業者が技術水準から導くことができる。持続放出コーティングの代案として、オピオイドまたはオピオイド拮抗薬を放出する適切な持続放出マトリクスもまた選択されうる。 オピオイドおよびオピオイド拮抗薬の両方を含有する1種類の粒子のみを含む、本発明に従った実施の形態では、2つの物質の容易な分離は妨げられる。 最近の発見は、オピオイド依存性の患者は、非依存性の患者と比較して、オピオイドおよびオピオイド拮抗薬の吸収が大きいことを示している(Halbsguth U., Rentsch K. M., Eich-Hoechli D., Diterich I., Fattinger K., Br J Clin Pharmacol 66: 781-91, 2008)。これらの患者では、オピオイド拮抗のオピオイドに対する比が1/10を超えると、離脱症状を誘発する。したがって、オピオイド拮抗薬のオピオイドに対する比は、1/10未満であることが有利である。 これまでは、乱用に対する防御を得るためには、オピオイドに対してオピオイド拮抗薬の比が高いことが有利または必要であるとみなされてきた。「Valoron」N溶液は、例えば、0.72ml中に4mgのナロキソンと50mgのチリジン、すなわち、ナロキソンとチリジンを1/12.5の比で含む。Suboxone(登録商標)は、2mgのナロキソンと8mgのブプレノルフィン、すなわちナロキソンとブプレノルフィンを1/4の比で含む。しかしながら、非オピオイド依存性の患者の症例では、200mgのモルヒネを静脈内投与する場合における0.4mgのナロキソン、すなわち、ナロキソンのモルヒネに対する比が1/500の場合に、離散的な離脱症状を誘発するのに十分な量だったことがあった。1/100の比が理想的であると考えられる。すなわち、生命を脅かす状態を生じることなく、離脱症状が静脈内投与によって誘発される。さらには、驚くべきことに、ナロキソンとモルヒネの半減期が、これまで想定されていたよりも似ていることが分かった。 本発明に従った医薬組成物または製剤の上述の有利な特性および効果に加えて、最近行われたある研究は、ナロキソンの場合に、超低用量の拮抗薬についてのこれまで知られていなかった、別の好ましい効果を見出したが、これは、本発明でも可能である。 超低用量のオピエート拮抗薬が、オピエート耐性および依存状態の発現において好ましい効果を有し、抗侵害受容作用を促進し、オピエートを節約する効果を有し、アルコール依存症における効果を発現することが、文献から知られている。 上述の研究において、本発明の組成物または製剤を用いると、驚くべき追加の好ましい効果を生じることが明らかとなった。すなわち、特に吐き気および掻痒などモルヒネの典型的な副作用の軽減、便秘の軽減または防止、オピエートの禁断症状の軽減、認知の改善(人間の認知技能として、例えば、注意力、記憶力、学習能力、創造力、計画力、適応力、想像力、論証力、内省力、意志力、信頼性などがある。)および感情的反応性(情緒的反応性とも称される。感情的反応性は、気分の調節に対する適切な能力を発現する。これは、関係者または監視者が知覚できる感情が、会話の主題および接触状態に適切に適応すること、および、感情の標準的全範囲が知覚可能に表現できることを意味する。部外者による評価では、感情的反応性は表情および身振りおよび対話的接触の間の声の適応に照らして判断される。)、食欲および空腹感の改善、むくみ感の軽減、および、アルコール依存症でもある患者における日夜のリズムまたは睡眠パターンの正常化などを生じることが示されており、アルコールの離脱、またはアルコールの禁断症状の影響の軽減である。 本発明に従った医薬組成物は、モルヒネ(硫酸モルヒネ5水和物の形態)およびナロキソン(塩酸ナロキソン二水和物の形態)の両方を含有し、所望の放出特性を示す層状構造を有する、ペレットを含む。 まず第1に、精製水中、硫酸モルヒネ5水和物、ポビドン(Kollidon K25)および二酸化チタンを含む懸濁液を使用して、球状のデンプン糖ペレットをフィルムコートする。次に、層剥離を形成するため、モルヒネ負荷したペレットに、精製水中、コロイド様の無水シリカ(Aerosil 200)の分散液を噴霧する。 その後、放出を遅延させる第1の層を施用する。この目的のため、ペレットは、精製水中、ステアリン酸マグネシウムを含有する「Eudragit」コーティング懸濁液Iおよび「Eudragit」FS 30Dを使用して、フィルムコートされる。 その後、放出を遅延させるさらなる層が施用される。この目的のため、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(FB HPMC)を精製水に分散し、ポリソルベート80を加える。この分散液に、ステアリン酸マグネシウムと二酸化チタンの分散液を加える。その後、「Eudragit」NE 30Dおよび「Eudragit」FS 30Dを加える。この「Eudragit」コーティング懸濁液IIを用いてペレットをフィルムコートする。 その後、塩酸ナロキソン二水和物およびポビドン(Kollidon K25)および精製水を含む、さらなる懸濁液を用いてペレットをフィルムコートする。モルヒネとナロキソンが負荷されたこれらのペレットを、その後、「Eudragit」コーティング懸濁液IIで再びフィルムコートする。 最後に、粒子にコロイド様の無水シリカ(Aerosil 200)と精製水の分散液を噴霧し、水で硬化後、精製水中、ポビドン(Kollidon K25)と無水シリカ(Aerosil 200)のさらなる分散液 をその上に噴霧する前に、トップコートおよび精製水中、硫酸モルヒネ5水和物およびポビドン(Kollidon K25)を含有する懸濁液でフィルムコートする。 実例となる組成物を表1に示す。 表2は、ナロキソンの放出およびモルヒネ 経時的変化を示している。欧州薬局方第6版2008年1月に掲載の硫酸モルヒネおよび塩酸ナロキソンの%に従って分析を行った。上述のように調製した組成物を、0.1NのHCl緩衝液で0〜2時間培養し、その後、攪拌下、リン酸緩衝液(pH6.4)中で2.2〜24時間、培養した。 6時間後のナロキソンの放出は少なくとも90%であるのに対し、モルヒネは8時間後で約20〜30%が放出され、20時間後には90%以上のモルヒネ放出が達成される。 臨床研究において、ナロキソンおよびモルヒネの血漿中濃度を評価および推定した。上述のように調製した組成物を経口投与し、ナロキソンおよびモルヒネの血漿濃度の経時的変化を測定した。ナロキソンの検出限界は<0.2mmol/lであった。 モルヒネは、その持続放出に起因して、安定した血漿濃度を示すのに対し、ナロキソンは、組成物の経口摂取後30分〜8時間の特定の放出および体内での分解に起因して、事実上、血漿中には存在しない。 上記明細書、特許請求の範囲および図面に開示される本発明の特徴は、さまざまな実施の形態の個別および任意の組合せの両方において、本発明を実施するのに必要不可欠でありうる。 少なくとも1種類のオピオイドまたはそれらの薬学的に許容できる塩と、少なくとも1種類のオピオイド拮抗薬またはそれらの薬学的に許容できる塩とを含む、少なくとも1つの粒子を含み、 経口投与後、前記オピオイド拮抗薬の放出が30分〜8時間にわたり継続的に生じることを特徴とする、医薬組成物。 前記オピオイド拮抗薬の放出が、経口投与後30分〜6時間、好ましくは45分〜4.5時間にわたり継続的に生じることを特徴とする、請求項1記載の医薬組成物。 前記オピオイドが完全アゴニストであることを特徴とする、請求項1または2記載の医薬組成物。 前記オピオイドがモルヒネであることを特徴とする、請求項3記載の医薬組成物。 前記オピオイド拮抗薬が、5%未満の経口バイオアベイラビリティを有するオピオイド拮抗薬であることを特徴とする、請求項1〜4いずれか1項記載の医薬組成物。 前記オピオイド拮抗薬がナロキソンであることを特徴とする、請求項5記載の医薬組成物。 前記オピオイドの放出が、 経口投与後、0時間〜少なくとも12時間、好ましくは0〜24時間、生じることを特徴とする、請求項1〜6いずれか1項記載の医薬組成物。 前記粒子がペレットであることを特徴とする、請求項1〜7いずれか1項記載の医薬組成物。 前記ペレットが、薬物を制御放出するためのコアおよび層コーティングを含むことを特徴とする、請求項8記載の医薬組成物。 薬物を制御放出するための前記層コーティングが、少なくとも、ポリアクリレート/ポリメタクリレート・ポリマーを含むことを特徴とする、請求項9記載の医薬組成物。 薬物を制御放出するための層コーティング が、少なくとも1つのEudragit(登録商標)を含むことを特徴とする、請求項10記載の医薬組成物。 1日2回、または1日1回投与するための請求項1〜11いずれか1項記載の医薬組成物を含む、経口投与のための製剤。 前記製剤が、カプセル、好ましくは硬ゼラチンカプセル、または小袋であることを特徴とする、請求項12記載の製剤。 オピオイド拮抗薬のオピオイドに対する比が1/10未満、好ましくは1/250〜1/10未満の範囲、特に好ましくは1/100〜1/10未満の範囲であることを特徴とする請求項12または13記載の製剤。 オピオイドの用量が、30、60または200mgであることを特徴とする請求項12〜14いずれか1項記載の製剤。 オピオイド依存状態の治療に使用するための請求項1〜11いずれか1項記載の医薬組成物または請求項12〜15いずれか1項記載の製剤。 オピオイドの用量が200mgであることを特徴とする請求項16記載の医薬組成物または製剤。 オピオイド依存性または非オピオイド依存性の患者における疼痛治療に使用するための請求項1〜11いずれか1項記載の医薬組成物または請求項12〜15いずれか1項記載の製剤。 オピオイドの用量が30または60mgであることを特徴とする請求項18記載の医薬組成物または製剤。 【課題】オピオイドおよびオピオイド拮抗薬を含む、さらに容易に許容される医薬組成物、特に、オピオイド依存症またはオピオイド耐性の場合にも適用可能なオピオイド拮抗薬の組成物の提供。【解決手段】少なくとも1種類のオピオイドまたはそれらの薬学的に許容できる塩と、少なくとも1種類のオピオイド拮抗薬またはそれらの薬学的に許容できる塩とを含む、少なくとも1つの粒子を含み、経口投与後、前記オピオイド拮抗薬の放出が30分〜8時間にわたり継続的に生じる医薬組成物。【選択図】図1


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る