タイトル: | 公開特許公報(A)_ペプチド誘導体 |
出願番号: | 2010231016 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | C07K 7/06,A61K 38/00,A61P 3/04 |
浅見 泰司 西澤 直城 八巻 陽子 JP 2013209295 公開特許公報(A) 20131010 2010231016 20101013 ペプチド誘導体 武田薬品工業株式会社 000002934 特許業務法人三枝国際特許事務所 110000796 浅見 泰司 西澤 直城 八巻 陽子 C07K 7/06 20060101AFI20130913BHJP A61K 38/00 20060101ALI20130913BHJP A61P 3/04 20060101ALI20130913BHJP JPC07K7/06A61K37/02A61P3/04 7 OL 36 4C084 4H045 4C084AA02 4C084AA07 4C084BA01 4C084BA17 4C084BA23 4C084BA37 4C084CA59 4C084NA03 4C084NA14 4C084ZA702 4H045AA10 4H045AA30 4H045BA09 4H045BA15 4H045BA57 4H045CA40 4H045DA01 4H045EA20 4H045FA34 本発明は、ペプチド誘導体に関する。発明の背景 ニューロメジンU(Neuromedin U,本明細書中、NMUということがある)は子宮平滑筋の収縮活性を指標にブタ小腸から25アミノ酸残基からなるペプチド、あるいは8アミノ酸残基からなるペプチドとして初めて単離された。これらのペプチドは、そのアミノ酸残基数から、ブタNMU−25あるいはブタNMU−8と記される。ブタNMU−8はブタNMU−25のC末端8残基からなり、ブタNMU−25が切断されて生じたものである。 ヒトでは同様にNMU−25が知られ、C末端8残基のアミノ酸配列はブタNMU−8と同一配列である。 また、ラットNMUのアミノ酸残基数は23であり、ラットNMU−23と記され、C末端8残基のアミノ酸配列はブタNMU−8と1残基異なる。 NMUの受容体としては、オーファンGPCRであったFM3が先ず同定され、続いてTGR1が同定された。今日では、これらの受容体はそれぞれNMUR1、NMUR2と呼ばれている。FM3が主に腸管に分布するのに対し、TGR1は視床下部に局在する。 さらに、TGR1のリガンドとして新規ペプチドがラット脳から単離された。このペプチドは視床下部内の視交叉上核に局在することから、視交叉上核(suprachiasmatic nucleus)の頭文字に因んでニューロメジンS(Neuromedin S;NMS)と命名された。 ヒトNMSは33アミノ酸残基からなるが、そのC末端8アミノ酸残基のアミノ酸配列はラットNMU−23のC末端8残基のアミノ酸配列と同一であった。 NMUR1およびNMUR2はNMU、NMSおよびNMU−8にほぼ同等の親和性を表し、これらの受容体がNMUとNMSの共通配列であるC末端8残基からなるアミノ酸配列を強く認識していることが示唆された。 ラットNMU−23のラット脳室内投与は摂食抑制をひき起こす。室傍核(PVN)や弓状核(ARC)に対するNMUの局所投与は、脳室内投与の場合と同様に、摂食抑制作用を示すことが報告されており、NMUの作用部位はPVNとARCであると考えられている。また、抗NMU抗体の脳室内投与は摂食量を増加させることが示され、中枢のNMUが生理的にも摂食抑制効果を及ぼしていることが示された。さらに、NMU KOマウスが肥満の表現型をとること、NMU過剰発現マウスが低体重、低摂食量を示すことも報告され、内因性のNMUの生理的意義が明らかにされた。(Nature,406,p.70−74,2000) また、NMUの脳室内投与が体温上昇、熱産生、酸素消費を上昇させることが報告されている。この作用は交感神経による脂肪組織と筋肉系の活性化によるものと考えられている。 NMUの脳室内投与により胃酸分泌抑制と胃排出抑制(gastric emptying)が起こることも報告されており、この作用はCRH分泌を経由した中枢性作用と考えられる。これらの作用は摂食量を低下させる方向に作用する。 末梢投与による腸管に対する作用は詳しく検討されていないが、NMUR1が腸管に発現していることから、NMUが末梢投与により、腸管に対して何らかの作用を及ぼすことも考えられる。そのような推察から、NMU末梢投与による胃や腸管に対する作用が検討され、大腸特異的なprokinetic activityが見出されている。 特許文献1および2には、NMUを末梢投与することで摂食抑制効果が得られることが開示されている。また、特許文献3には、NMUR作動薬を末梢投与することで、腸管のL細胞から分泌されるホルモンであるGLP−1およびペプチドYY(PYY)の分泌が促進することが記載されている。国際公開2007/075439号パンフレット国際公開2007/109135号パンフレット国際公開2010/053830号パンフレット ラットNMU−23は末梢投与的に摂食抑制作用を示す。一方、NMU−8は受容体NMUR1やNMUR2に対して十分に強いアゴニスト活性を有するにもかかわらず、末梢投与的には摂食抑制作用を示すことはなかった。ニューロメジンUが摂食抑制剤として有用であるためには、末梢投与等の通常の投与形態でも、高い摂食抑制作用を示すことがきわめて重要である。すなわち、本発明は、末梢投与等の通常の投与形態でも高い摂食抑制作用を示すペプチド誘導体、具体的には、ニューロメジンU誘導体を提供することを目的とする。本発明はまた、新規の肥満症等の予防または治療剤、または摂食抑制剤を提供することを目的とする。 本発明者らは、NMU−8を末梢投与しても摂食抑制作用を示さなかったことの原因は、NMU−8の血中での不安定性にあると推測した。さらに、本発明者らは、血中安定性の高いNMU−8誘導体(または修飾体)であれば十分な摂食抑制作用を発揮すると推察した。 そこで、ニューロメジンUのアミノ配列のC末端の8アミノ酸のアミノ酸配列からなるポリペプチドのアミノ酸を1〜4個置換した特定のポリペプチドに、リンカーを介して、PEG20k(AL)が結合しているペプチド誘導体(具体的には、ニューロメジンU誘導体)を創製し、このようなペプチド誘導体が末梢投与的にも十分に強い摂食抑制作用や体重減少作用を示すことを明らかにした。 本発明者らは、以下の[1]に記載の化合物であるペプチド誘導体またはその塩(本明細書中、「化合物(I)」ということがある)が、ニューロメジンU作動作用を有し、肥満症等の予防または治療剤として優れた効果を有することを見出した。本知見に基づき、本発明者らは、鋭意研究を行い、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、[1]PEG20k(AL)-β-Ala-Tyr-Nal(1)-Leu-Phe-Arg-Pro-Arg-Asn-NH2、PEG20k(AL)-β-Ala-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-Pro-Arg-Asn-NH2、PEG20k(AL)-NpipAc-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-Pro-Arg-Asn-NH2、PEG20k(AL)-NpipAc-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-Ala-Arg-Asn-NH2、PEG20k(AL)-PEG(2)-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-NMeAla-Arg-Asn-NH2、PEG20k(AL)-Pic(4)-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-NMeAla-Arg-Asn-NH2、PEG20k(AL)-Acp-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-NMeAla-Arg-Asn-NH2、およびPEG20k(AL)-β-Ala-Tyr-Nal(2)-Leu-Pya(4)-Arg-Pro-Arg-Asn-NH2からなる群から選ばれるペプチド誘導体またはその塩;[1A]PEG20k(AL)-β-Ala-Tyr-Nal(1)-Leu-Phe-Arg-Pro-Arg-Asn-NH2またはその塩;[1B]PEG20k(AL)-β-Ala-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-Pro-Arg-Asn-NH2またはその塩;[1C]PEG20k(AL)-NpipAc-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-Pro-Arg-Asn-NH2またはその塩;[1D]PEG20k(AL)-NpipAc-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-Ala-Arg-Asn-NH2またはその塩;[1E]PEG20k(AL)-PEG(2)-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-NMeAla-Arg-Asn-NH2またはその塩;[1F]PEG20k(AL)-Pic(4)-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-NMeAla-Arg-Asn-NH2またはその塩;[1G]PEG20k(AL)-Acp-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-NMeAla-Arg-Asn-NH2またはその塩;[1H]PEG20k(AL)-β-Ala-Tyr-Nal(2)-Leu-Pya(4)-Arg-Pro-Arg-Asn-NH2またはその塩;[1I]上記[1]、[1A]、[1B]、[1C]、[1D]、[1E]、[1F]、[1G]または[1H]に記載のペプチド誘導体またはその塩のプロドラッグ;[2]上記[1]、[1A]、[1B]、[1C]、[1D]、[1E]、[1F]、[1G]または[1H]に記載のペプチド誘導体またはその塩またはそのプロドラッグを含有してなる医薬;[3]ニューロメジンU作動薬である上記[2]に記載の医薬;[4]摂食抑制剤である上記[2]に記載の医薬;[5]肥満症の予防または治療剤である上記[2]に記載の医薬;[6]上記[1]、[1A]、[1B]、[1C]、[1D]、[1E]、[1F]、[1G]または[1H]に記載のペプチド誘導体またはその塩を哺乳動物に有効量投与することを特徴とする、該哺乳動物における肥満症の予防または治療方法;[6A]上記[1]、[1A]、[1B]、[1C]、[1D]、[1E]、[1F]、[1G]または[1H]に記載のペプチド誘導体またはその塩またはそのプロドラッグを哺乳動物に有効量投与することを特徴とする、該哺乳動物における肥満症の予防または治療方法;[7]肥満症の予防または治療剤を製造するための、上記[1]、[1A]、[1B]、[1C]、[1D]、[1E]、[1F]、[1G]または[1H]に記載のペプチド誘導体またはその塩の使用;[7A]肥満症の予防または治療剤を製造するための、上記[1]、[1A]、[1B]、[1C]、[1D]、[1E]、[1F]、[1G]または[1H]に記載のペプチド誘導体またはその塩またはそのプロドラッグの使用;等に関する。 前記化合物(I)およびそのプロドラッグを本発明化合物と称する場合がある。 本発明化合物は、高い安定性を有し、末梢投与等の通常の投与形態でも、高い抗肥満作用を現し、肥満症の予防または治療剤として有用である。 さらに本発明化合物は、高い摂食抑制作用を現し、摂食抑制剤として有用である。(発明の詳細な説明) 本明細書中、「C1−6アルキル基」は、特に断りのない限り、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル等を意味する。本明細書中の「C3−10シクロアルキル基」としては、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が挙げられる。本明細書中の「C7−14アラルキル基」としては、例えばベンジル、フェネチル、ベンズヒドリル等のフェニル−C1−2アルキルまたはα−ナフチルメチル等のα−ナフチル−C1−2アルキル等が挙げられる。また、慣例に従い、メチル(CH3)をMeと表記する場合がある。 本明細書において、アミノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC−IUB Commission on Biochemical Nomenclature による略号あるいは当該分野における慣用略号に基づくものである。その例を下記する。 またアミノ酸に関し光学異性体があり得る場合は、特に明示しなければL体を表すものとする。 本明細書中で用いられている略号は下記の意味を示す。 略号: 名称または構造式 Acp:6−アミノカプロン酸 Ala:アラニン Arg:アルギニン Arg(Pbf):Nω-2,2,4,6,7−ペンタメチルジヒドロベンゾフランスルホニルアルギニン Asn:アスパラギン Asn(Trt):Nω-トリチルアスパラギン Asp:アスパラギン酸 Cys:システイン DIPCDI:1,3−ジイソプロピルカルボジイミド DMF:N,N−ジメチルホルムアミド EDT:1,2−エタンジチオール Fmoc:9−フルオレニルメトキシカルボニル Gln:グルタミン Glu:グルタミン酸 Gly:グリシン His:ヒスチジン HOAt:1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール Ile:イソロイシン Leu:ロイシン Lys:リジン Met:メチオニン Nal(1):1−ナフチルアラニン Nal(2):2−ナフチルアラニン NMeAla:Nα−メチルアラニン NpipAc:ピペラジン−1−イルアセチル PEG(2):PEG20k(AL):(当該式中の式で表される部分は、メトキシ−PEG20kを表す。nは繰り返し構造単位数であり、PEG20kの分子量16000〜24000(好ましくは20000)によって規定される。) Phe:フェニルアラニン Pic(4):ピペリジン−4−カルボン酸 Pro:プロリン Pya(4):4−ピリジルアラニン Ser:セリン tBu:tert−ブチル TFA:トリフルオロ酢酸 TIS:トリイソプロピルシラン Thr:スレオニン Trp:トリプトファン Trt:トリチル Tyr:チロシン Tyr(tBu):O−tert−ブチルチロシン Val:バリン β−Ala:ベータアラニン 本明細書において、ペプチドは、ペプチド標記の慣例に従って左端がN末端(アミノ末端)、右端がC末端(カルボキシル末端)で記載される。本発明化合物は、PEG20k(AL)-β-Ala-Tyr-Nal(1)-Leu-Phe-Arg-Pro-Arg-Asn-NH2、PEG20k(AL)-β-Ala-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-Pro-Arg-Asn-NH2、PEG20k(AL)-NpipAc-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-Pro-Arg-Asn-NH2、PEG20k(AL)-NpipAc-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-Ala-Arg-Asn-NH2、PEG20k(AL)-PEG(2)-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-NMeAla-Arg-Asn-NH2、PEG20k(AL)-Pic(4)-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-NMeAla-Arg-Asn-NH2、PEG20k(AL)-Acp-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-NMeAla-Arg-Asn-NH2、およびPEG20k(AL)-β-Ala-Tyr-Nal(2)-Leu-Pya(4)-Arg-Pro-Arg-Asn-NH2からなる群から選ばれるペプチド誘導体またはその塩である。 本発明化合物は、塩であってもよい。このような塩としては、例えば、無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。 無機塩基との塩の好適な例としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;ならびにアルミニウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。 有機塩基との塩の好適な例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N−ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。 無機酸との塩の好適な例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。 有機酸との塩の好適な例としては、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。 塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、アルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられる。 酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、アスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。 前記NMUのC末端8残基のアミノ酸配列は、配列番号:1(Tyr−Phe−Leu−Phe−Arg−Pro−Arg−Asn−NH2)で表されるアミノ酸配列である。 なお、本明細書中、本発明化合物の一部を構成する、配列番号:1で表されるアミノ酸配列において1〜4個のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドを、単に「ペプチド(I)」と略称する場合がある。本発明で用いられるペプチドにおけるアミノ酸残基の位置については、ペプチド表記における慣例に従い、N末端のアミノ酸残基を第1位とする。 ペプチド(I)は、好ましくは、そのN末端のα-アミノ基で、リンカーと結合する。 ペプチド(I)は、好ましくは、ニューロメジンUと実質的に同質の活性(FM3結合活性、TGR1結合活性、摂食抑制活性等)を有する。 これらの活性は、本明細書に記載の方法または公知の方法に準じて測定することができる。 ペプチド(I)は、以下の配列番号:2〜配列番号:9から選択されるいずれか一つで表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである。Tyr-Nal(1)-Leu-Phe-Arg-Pro-Arg-Asn-NH2(配列番号:2)Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-Pro-Arg-Asn-NH2(配列番号:3)Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-Ala-Arg-Asn-NH2(配列番号:4)Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-NMeAla-Arg-Asn-NH2(配列番号:5)Tyr-Nal(2)-Leu-Pya(4)-Arg-Pro-Arg-Asn-NH2(配列番号:6) 上記から明らかなように、配列番号:2〜9において、C末端はアミド化されている(すなわち、カルボキシル基(−COOH)中の−OHが、−NH2で置換されている)。 ペプチド(I)は、温血動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウシ、ウマ、トリ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジー)の細胞[例えば、脾細胞、神経細胞、グリア細胞、膵臓β細胞、骨髄細胞、メサンギウム細胞、ランゲルハンス細胞、表皮細胞、上皮細胞、杯細胞、内皮細胞、平滑筋細胞、線維芽細胞、線維細胞、筋細胞、脂肪細胞、免疫細胞(例、マクロファージ、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、肥満細胞、好中球、好塩基球、好酸球、単球、樹状細胞)、巨核球、滑膜細胞、軟骨細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、乳腺細胞、肝細胞もしくは間質細胞、またはこれら細胞の前駆細胞、幹細胞もしくはガン細胞]に由来するペプチドであっても、あるいはそれらの細胞が存在するあらゆる組織[例えば、脳、脳の各部位(例、嗅球、扁桃核、大脳基底球、海馬、視床、視床下部、大脳皮質、延髄、小脳)、脊髄、下垂体、胃、膵臓、腎臓、肝臓、生殖腺、甲状腺、胆のう、骨髄、副腎、皮膚、筋肉、肺、消化管(例、大腸、小腸)、血管、心臓、胸腺、脾臓、顎下腺、末梢血、前立腺、睾丸、卵巣、胎盤、子宮、骨、関節、脂肪組織、骨格筋、腹膜]に由来するペプチドであってよい。また、ペプチド(I)は、化学合成もしくは無細胞翻訳系で合成されたペプチドであってもよい。あるいは、ペプチド(I)は、そのアミノ酸配列をコードする塩基配列を含有する核酸を導入された形質転換体から産生された組換えペプチドであってもよい。 本発明化合物の一部を構成するリンカーは、具体的には、β-Ala、NpipAc、PEG(2)、Pic(4)、またはAcpである。 本発明化合物の一部を構成するPEG20k(AL)については、上記に記載した通りである。上記のように、PEG20k(AL)は前記リンカーを介してペプチド(I)に結合している。[製造方法] 以下に、本発明化合物の製造方法を説明する。 本発明化合物は、例えば、ペプチド(I)に、リンカーを介してPEG20k(AL)を結合させることにより、製造することができる。 ペプチド(I)は、前述した温血動物の細胞または組織から自体公知のペプチドの精製方法によって調製することができる。具体的には、温血動物の組織または細胞をホモジナイズし、可溶性画分を逆相クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー等で分離精製することによって、ペプチド(I)を調製することができる。 ペプチド(I)は、自体公知のペプチド合成法に従って製造することもできる。 ペプチド合成法は、例えば、固相合成法、液相合成法のいずれであってもよい。本発明化合物を構成し得る部分ペプチドもしくはアミノ酸と残余部分とを縮合し、生成物が保護基を有する場合は保護基を脱離することにより目的とするペプチドを製造することができる。 ここで、縮合や保護基の脱離は、自体公知の方法、例えば、以下の(1)〜(5)に記載された方法に従って行われる:(1) M. Bodanszky および M.A.Ondetti、Peptide Synthesis,Interscience Publishers,New York (1966年)(2) SchroederおよびLuebke、The Peptide,Academic Press,New York(1965年)(3) 泉屋信夫他、ペプチド合成の基礎と実験、丸善(株)(1975年)(4) 矢島治明および榊原俊平、生化学実験講座 1、蛋白質の化学IV、205、(1977年)(5) 矢島治明監修、続医薬品の開発、第14巻、ペプチド合成、広川書店 このようにして得られた本発明化合物は、公知の精製法により単離・精製することができる。 さらに、ペプチド(I)は、それをコードする核酸を含有する形質転換体を培養し、得られる培養物からペプチド(I)を分離精製することによって製造することもできる。 ペプチド(I)をコードする核酸はDNAであってもRNAであってもよく、あるいはDNA/RNAキメラであってもよい。好ましくはDNAが挙げられる。また、該核酸は二本鎖であっても、一本鎖であってもよい。二本鎖の場合は、二本鎖DNA、二本鎖RNAまたはDNA:RNAのハイブリッドでもよい。一本鎖の場合は、センス鎖(即ち、コード鎖)であっても、アンチセンス鎖(即ち、非コード鎖)であってもよい。 ペプチド(I)をコードするDNAとしては、ゲノムDNA、温血動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウシ、ウマ、トリ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジー)のあらゆる細胞[例えば、脾細胞、神経細胞、グリア細胞、膵臓β細胞、骨髄細胞、メサンギウム細胞、ランゲルハンス細胞、表皮細胞、上皮細胞、内皮細胞、線維芽細胞、線維細胞、筋細胞、脂肪細胞、免疫細胞(例、マクロファージ、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、肥満細胞、好中球、好塩基球、好酸球、単球、樹状細胞)、巨核球、滑膜細胞、軟骨細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、乳腺細胞、肝細胞もしくは間質細胞、またはこれら細胞の前駆細胞、幹細胞もしくはガン細胞などや血球系の細胞]、あるいはそれらの細胞が存在するあらゆる組織[例えば、脳、脳の各部位(例、嗅球、扁頭核、大脳基底球、海馬、視床、視床下部、視床下核、大脳皮質、延髄、小脳、後頭葉、前頭葉、側頭葉、被殻、尾状核、脳染、黒質)、脊髄、下垂体、胃、膵臓、腎臓、肝臓、生殖腺、甲状腺、胆のう、骨髄、副腎、皮膚、筋肉、肺、消化管(例、大腸、小腸)、血管、心臓、胸腺、脾臓、顎下腺、末梢血、末梢血球、前立腺、睾丸、卵巣、胎盤、子宮、骨、関節、骨格筋、腹膜]由来のcDNA、あるいは合成DNAなどが挙げられる。 ペプチド(I)をコードするゲノムDNAおよびcDNAは、上記した細胞・組織より調製したゲノムDNA画分および全RNAもしくはmRNA画分をそれぞれ鋳型として用い、自体公知の方法にしたがって、例えば、Polymerase Chain Reaction(以下、「PCR法」と略称する)およびReverse Transcriptase−PCR(以下、「RT−PCR法」と略称する)によって、直接増幅することもできる。あるいは、ペプチド(I)をコードするゲノムDNAおよびcDNAは、上記した細胞・組織より調製したゲノムDNAおよび全RNAもしくはmRNAの断片を適当なベクター中に挿入して調製されるゲノムDNAライブラリーおよびcDNAライブラリーから、自体公知の方法にしたがって、例えば、コロニーもしくはプラークハイブリダイゼーション法またはPCR法などにより、それぞれクローニングすることもできる。ライブラリーに使用するベクターとしては、バクテリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミドなどが挙げられるが、それらのいずれを用いてもよい。 本発明化合物は、例えば、次のいずれかの方法で、合成することができる。(1)ペプチド(I)のアミノ基に、アルデヒドを有するPEG化試薬(例、SUNBRIGHT ME−300AL(商品名)、日本油脂)を結合させる。(2)ペプチド(I)のN末端アミノ基に、ω−アミノカルボン酸あるいはα−アミノ酸をリンカーとして導入し、このリンカーに由来するアミノ基に、アルデヒド基を有するPEG化試薬(例、SUNBRIGHT ME−300AL(商品名)、日本油脂)を反応させる。この場合、本発明化合物におけるリンカーは、PEG化試薬とω−アミノカルボン酸、あるいはPEG化試薬とα−アミノ酸とに由来する。 上記の、各試薬は、例えば市販品として入手可能であり、各反応は、当業者に周知の方法を用いて行うことができる。 本発明化合物の製造に用いることができる製造中間体として好ましくは例えば、前記の配列番号:2〜配列番号:9から選択されるいずれか一つで表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドのN末端に前記リンカーが結合している化合物が挙げられる。 このような製造中間体は具体的には例えば、β-Ala-Tyr-Nal(1)-Leu-Phe-Arg-Pro-Arg-Asn-NH2、β-Ala-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-Pro-Arg-Asn-NH2、NpipAc-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-Pro-Arg-Asn-NH2、NpipAc-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-Ala-Arg-Asn-NH2、PEG(2)-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-NMeAla-Arg-Asn-NH2、Pic(4)-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-NMeAla-Arg-Asn-NH2、Acp-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-NMeAla-Arg-Asn-NH2、またはβ-Ala-Tyr-Nal(2)-Leu-Pya(4)-Arg-Pro-Arg-Asn-NH2である。上記製造中間体は塩として用いてもよく、このような塩としては、前記本発明化合物の塩として例示したものが用いられる。 原料アミノ酸のアミノ基の保護基としては、例えば、Z、Boc、tert-ペンチルオキシカルボニル、イソボルニルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、Cl-Z、Br-Z、アダマンチルオキシカルボニル、トリフルオロアセチル、フタロイル、ホルミル、2−ニトロフェニルスルフェニル、ジフェニルホスフィノチオイル、Fmoc、トリチル等が挙げられる。 原料アミノ酸のカルボキシル基の保護基としては、例えば、上記したC1−6アルキル基、C3−10シクロアルキル基、C7−14アラルキル基の他、アリル、2−アダマンチル、4−ニトロベンジル、4−メトキシベンジル、4−クロロベンジル、フェナシル及びベンジルオキシカルボニルヒドラジド、tert-ブトキシカルボニルヒドラジド、トリチルヒドラジド等が挙げられる。 セリン及びスレオニンの水酸基は、例えばエステル化又はエーテル化によって保護することができる。このエステル化に適する基としては、例えばアセチル基等の低級(C2−4)アルカノイル基、ベンゾイル基等のアロイル基等、及び有機酸から誘導される基等が挙げられる。また、エーテル化に適する基としては、例えばベンジル、テトラヒドロピラニル、tert-ブチル(But)、トリチル(Trt)等である。 チロシンのフェノール性水酸基の保護基としては、例えばBzl、2,6-ジクロルベンジル、2−ニトロベンジル、Br-Z、tert-ブチル等が挙げられる。 ヒスチジンのイミダゾールの保護基としては、例えばTos、4-メトキシ-2,3,6-トリメチルベンゼンスルホニル(Mtr)、DNP、Bom、Bum、Boc、Trt、Fmoc等が挙げられる。 アルギニンのグアニジノ基の保護基としては、例えばTos、Z、4-メトキシ-2,3,6-トリメチルベンゼンスルフォニル(Mtr)、p-メトキシベンゼンスルフォニル(MBS)、2,2,5,7,8-ペンタメチルクロマン-6-スルフォニル(Pmc)、メシチレン-2-スルフォニル(Mts)、2,2,4,6,7-ペンタメチルジヒドロベンゾフラン-5-スルホニル(Pbf)、Boc、Z、NO2等が挙げられる。 リジンの側鎖アミノ基の保護基としては、例えばZ、Cl-Z、トリフルオロアセチル、Boc、Fmoc、Trt、Mtr、4,4-ジメチル-2,6-ジオキソサイクロヘキシリデンエイル(Dde)等が挙げられる。 トリプトファンのインドリル保護基としては、例えばホルミル(For)、Z、Boc、Mts、Mtr等が挙げられる。 アスパラギン、グルタミンの保護基としては、例えばTrt、キサンチル(Xan)、4,4'-ジメトキシベンズヒドリル(Mbh)、2,4,6-トリメトキシベンジル(Tmob)等が挙げられる。 原料のカルボキシル基の活性化されたものとしては、例えば対応する酸無水物、アジド、活性エステル[アルコール(たとえば、ペンタクロロフェノール、2,4,5-トリクロロフェノール、2,4-ジニトロフェノール、シアノメチルアルコール、パラニトロフェノール、HONB、N-ヒドロキシスクシミド、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、1−ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(HOAt)とのエステル)等が挙げられる。原料のアミノ基の活性化されたものとしては、たとえば対応する亜リン酸アミドが挙げられる。 保護基の除去(脱離)方法としては、例えばPd黒あるいはPd炭素等の触媒の存在下での水素気流中での接触還元や、また、無水フッ化水素、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、臭化トリメシルシラン(TMSBr)、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、テトラフルオロホウ酸、トリス(トリフルオロ)ホウ素、三臭化ホウ素あるいはこれらの混合液等による酸処理や、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ピペリジン、ピペラジン等による塩基処理、また液体アンモニア中ナトリウムによる還元等も挙げられる。上記酸処理による脱離反応は一般に−20℃〜40℃の温度で行われるが、酸処理においてはアニソール、フェノール、チオアニソール、メタクレゾール、パラクレゾールのようなカチオン捕捉剤や、ジメチルスルフィド、1,4-ブタンジチオール、1,2-エタンジチオール等の添加が有効である。また、ヒスチジンのイミダゾール保護基として用いられる2,4-ジニトロフェニル基はチオフェノール処理により除去され、トリプトファンのインドール保護基として用いられるホルミル基は上記の1,2-エタンジチオール、1,4-ブタンジチオール等の存在下の酸処理による脱保護以外に、希水酸化ナトリウム、希アンモニア等によるアルカリ処理によっても除去される。 原料の反応に関与すべきでない官能基の保護及び保護基、ならびにその保護基の脱離、反応に関与する官能基の活性化等は公知の保護基あるいは公知の手段から適宜選択しうる。 上記合成方法により、本発明化合物が遊離の状態で得られる場合には、常法に従って塩に変換してもよく、また塩として得られる場合には、常法に従って遊離体又は他の塩に変換することもできる。かくして得られる本発明化合物は、公知の手段例えば転溶、濃縮、溶媒抽出、分溜、結晶化、再結晶、クロマトグラフィーなどにより反応溶液から単離、精製することができる。 本発明化合物が、コンフィギュレーショナル アイソマー(配置異性体)、ジアステレオマー、コンフォーマーなどとして存在する場合には、所望により、前記の分離、精製手段によりそれぞれを単離することができる。また、本発明化合物がラセミ体である場合には、通常の光学分割手段によりS体及びR体に分離することができる。 本発明化合物に立体異性体が存在する場合には、この異性体が単独の場合及びそれらの混合物の場合も本発明に含まれる。 また、本発明化合物は、水和物又は非水和物であってもよい。また、本発明化合物は、溶媒和物又は無溶媒和物であってもよい。 本発明化合物は同位元素(例、3H、11C、14C、18F、35S、125I)などで標識されていてもよい。また、本発明化合物は重水素で変換されていてもよい。 本発明化合物は、肥満症の予防または治療剤、または摂食抑制剤として有用である。 本発明化合物は、安全かつ低毒性であるので、肥満症の予防または治療剤、または摂食抑制剤として、哺乳動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、トリ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジー等)に対して、末梢投与等の投与形態で使用することができる。 本発明化合物は、症候性肥満、単純性肥満に基づく肥満症、肥満に伴う病態又は疾患、摂食障害等の予防又は治療剤として用いることができる。 症候性肥満としては、内分泌性肥満(たとえば、Cushing症候群、甲状腺機能低下症、インスリノーマ、肥満II型糖尿病、偽性副甲状腺機能低下症、性腺機能低下症)、中枢性肥満(たとえば、視床下部性肥満、前頭葉症候群、Kleine-Levin症候群)、遺伝性肥満(たとえば、Prader-Willi症候群、Laurence-Moon-Biedl症候群)、薬剤性肥満(たとえば、ステロイド剤、フェノチアジン、インスリン、スルホニルウレア(SU)剤、β−ブロッカーによる肥満)等が挙げられる。 肥満に伴う病態又は疾患としては、たとえば、耐糖能障害、糖尿病(特に2型糖尿病、肥満型糖尿病)、脂質代謝異常(高コレステロール血症、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症、食後高脂血症、高トリグリセリド血症)、高血圧、心不全、高尿酸血症・痛風、脂肪肝(non-alchoholic steato-hepatitisを含む)、冠動脈疾患(心筋梗塞、狭心症)、脳梗塞(脳血栓症、一過性脳虚血発作)、骨・関節疾患(変形性膝関節症、変形性股関節症、変形性脊椎症、腰痛症)、睡眠時無呼吸症候群・Pickwick症候群、月経異常(月経周期の異常、月経量と周期の異常、無月経、月経随伴症状の異常)、メタボリックシンドローム[高トリグリセライド(TG)血症、低HDLコレステロール(HDL−C)血症、高血圧、腹部肥満及び耐糖能不全から選ばれる3つ以上を保有する病態]等が挙げられる。 本発明化合物は、上記した各種疾患(例、心筋梗塞等の心血管イベント)の2次予防及び進展抑制にも用いられる。 また、本発明化合物は、摂食抑制剤または体重増加抑制剤としても有用である。 本発明化合物は、食事療法(例、糖尿病の食事療法)または運動療法と併用することもできる。 本発明化合物は、境界型糖尿病、耐糖能不全、IFG(Impaired Fasting Glucose)及びIFG(Impaired Fasting Glycemia)の予防・治療剤としても用いられる。さらに、本発明化合物は、境界型、耐糖能不全、IFG(Impaired Fasting Glucose)又はIFG(Impaired Fasting Glycemia)から糖尿病への進展を防止することもできる。 また、本発明化合物は、糖尿病性合併症[例、神経障害、腎症、網膜症、糖尿病性心筋症、白内障、大血管障害、骨減少症、糖尿病性高浸透圧昏睡、感染症(例、呼吸器感染症、尿路感染症、消化器感染症、皮膚軟部組織感染症、下肢感染症)、糖尿病性壊疽、口腔乾燥症、聴覚の低下、脳血管障害、末梢血行障害]等の予防・治療剤としても用いることができる。 本発明化合物は、通常、薬理学的に許容し得る担体と共に、自体公知の方法(例、日本薬局方に記載の方法)に従って製剤化して得られる医薬組成物として用いられる。 薬理学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が用いられ、その具体例としては、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤;液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤などが挙げられる。製剤化の際には、必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤などの製剤添加物を用いてもよい。 賦形剤の好適な例としては、乳糖、白糖、D−マンニトール、D−ソルビトール、デンプン、α化デンプン、デキストリン、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アラビアゴム、プルラン、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、キシリトール、ソルビトール、エリスリトールなどが挙げられる。 滑沢剤の好適な例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカ、ポリエチレングリコール6000などが挙げられる。 結合剤の好適な例としては、α化デンプン、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、トレハロース、デキストリン、プルラン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。 崩壊剤の好適な例としては、乳糖、白糖、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、軽質無水ケイ酸、炭酸カルシウムなどが挙げられる。 溶剤の好適な例としては、注射用水、生理食塩水、リンゲル液、アルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油、綿実油などが挙げられる。 溶解補助剤の好適な例としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、トレハロース、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなどが挙げられる。 懸濁化剤の好適な例としては、例えば、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリンなどの界面活性剤;例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの親水性高分子;ポリソルベート類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などが挙げられる。 等張化剤の好適な例としては、塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトール、D−ソルビトール、ブドウ糖、キシリトール、果糖などが挙げられる。 緩衝剤の好適な例としては、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などの緩衝液などが挙げられる。 無痛化剤の好適な例としては、プロピレングリコール、塩酸リドカイン、ベンジルアルコールなどが挙げられる。 防腐剤の好適な例としては、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸などが挙げられる。 抗酸化剤の好適な例としては、亜硫酸塩、アスコルビン酸塩などが挙げられる。 着色剤の好適な例としては、水溶性着色タール色素(例、食用赤色2号および3号、食用黄色4号および5号、食用青色1号および2号などの食用色素)、不溶性レーキ色素(例、前記水溶性食用タール色素のアルミウム塩)、天然色素(例、β−カロチン、クロロフィル、ベンガラ)などが挙げられる。 甘味剤の好適な例としては、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、アスパルテーム、ステビアなどが挙げられる。 本発明化合物を含有する医薬は、医薬製剤の製造法として自体公知の方法(例、日本薬局方記載の方法等)に従って、本発明化合物を単独で、または薬理学的に許容される担体と混合して、例えば錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠、舌下錠、口腔内崩壊錠、バッカル錠等を含む)、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤、マイクロカプセル剤を含む)、トローチ剤、シロップ剤、液剤、乳剤、懸濁剤、放出制御製剤(例、速放性製剤、徐放性製剤、徐放性マイクロカプセル剤)、エアゾール剤、フィルム剤(例、口腔内崩壊フィルム、口腔粘膜貼付フィルム)、注射剤(例、皮下注射剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤、腹腔内注射剤)、点滴剤、経皮吸収型製剤、軟膏剤、ローション剤、貼付剤、坐剤(例、肛門坐剤、膣坐剤)、ペレット、経鼻剤、経肺剤(吸入剤)、点眼剤等として、経口的または非経口的(例、静脈内、筋肉内、皮下、臓器内、鼻腔内、皮内、点眼、脳内、直腸内、膣内、腹腔内、腫瘍内部、腫瘍の近位等への投与および直接的な病巣への投与)に安全に投与することができる。 上記医薬組成物中の本発明化合物の含量は、例えば、0.1〜100重量%である。 以下に、経口剤(錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、トローチ剤、シロップ剤、液剤、乳剤、懸濁剤、放出制御製剤、エアゾール剤、フィルム剤等)および非経口剤(注射剤、点滴剤、経皮吸収型製剤、軟膏剤、ローション剤、貼付剤、坐剤、ペレット、経鼻剤、経肺剤、点眼剤等)の製造法について具体的に説明する。経口剤は、活性成分に、例えば、賦形剤(例、乳糖、白糖、デンプン、D−マンニトール、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸)、崩壊剤(例、炭酸カルシウム、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、軽質無水ケイ酸)、結合剤(例、α化デンプン、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、結晶セルロース、メチルセルロース、白糖、D−マンニトール、トレハロース、デキストリン)または滑沢剤(例、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、コロイドシリカ、ポリエチレングリコール6000)などを添加して圧縮成形することにより製造される。 さらに、味のマスキング、腸溶化あるいは徐放化を目的として、自体公知の方法により、経口剤にコーティングを行ってもよい。コーティング剤としては、例えば、腸溶性ポリマー(例、酢酸フタル酸セルロース、メタアクリル酸コポリマーL、メタアクリル酸コポリマーLD、メタアクリル酸コポリマーS、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース)、胃溶性ポリマー(例、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーE)、水溶性ポリマー(例、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、水不溶性ポリマー(例、エチルセルロース、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーRS、アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル共重合体)、ワックスなどが用いられる。コーティングを行う場合、上記コーティング剤とともに、ポリエチレングリコール等の可塑剤;酸化チタン、三二酸化鉄等の遮光剤を用いてもよい。 注射剤は、活性成分を分散剤(例、ツイーン(Tween)80(アトラスパウダー社製、米国)、HCO 60(日光ケミカルズ製)、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム)、保存剤(例、メチルパラベン、プロピルパラベン、ベンジルアルコール、クロロブタノール、フェノール)、等張化剤(例、塩化ナトリウム、グリセリン、D−ソルビトール、D−マンニトール、キシリトール、ブドウ糖、果糖)などと共に、水性溶剤(例、蒸留水、生理的食塩水、リンゲル液)あるいは油性溶剤(例、オリーブ油、ゴマ油、綿実油、コーン油などの植物油;プロピレングリコール、マクロゴール、トリカプリリン)などに溶解、懸濁あるいは乳化することにより製造される。この際、所望により、溶解補助剤(例、サリチル酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、トレハロース、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム)、懸濁化剤(例、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリンなどの界面活性剤;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの親水性高分子)、緩衝化剤(例、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などの緩衝液)、安定剤(例、ヒト血清アルブミン)、無痛化剤(例、プロピレングリコール、塩酸リドカイン、ベンジルアルコール)、防腐剤(例、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、塩化ベンザルコニウム、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸)等の添加物を用いてもよい。 外用剤(経皮吸収型製剤、軟膏剤、ローション剤、貼付剤等)は、活性成分を固状、半固状または液状の組成物とすることにより製造される。例えば、上記固状の組成物は、活性成分をそのまま、あるいは賦形剤(例、乳糖、D−マンニトール、デンプン、結晶セルロース、白糖)、増粘剤(例、天然ガム類、セルロース誘導体、アクリル酸重合体)などを添加、混合して粉状とすることにより製造される。上記液状の組成物は、注射剤の場合とほとんど同様にして製造される。半固状の組成物は、水性または油性のゲル剤、あるいは軟膏状のものがよい。また、これらの組成物は、いずれもpH調節剤(例、リン酸、クエン酸、塩酸、水酸化ナトリウム)、防腐剤(例、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、塩化ベンザルコニウム、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸)などを含んでいてもよい。坐剤は、活性成分を油性または水性の固状、半固状あるいは液状の組成物とすることにより製造される。該組成物の製造の際に用いられる油性基剤としては、例えば、高級脂肪酸のグリセリド〔例、カカオ脂、ウイテプゾル類〕、中級脂肪酸トリグリセライド〔例、ミグリオール類〕、植物油(例、ゴマ油、大豆油、綿実油)などが挙げられる。水性基剤としては、例えば、ポリエチレングリコール類、プロピレングリコールなどが挙げられる。また、水性ゲル基剤としては、例えば、天然ガム類、セルロース誘導体、ビニール重合体、アクリル酸重合体などが挙げられる。 本発明化合物の投与量は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状などによって適宜選択することができる。本発明化合物を有効成分として含有する医薬組成物を成人患者に皮下投与する場合の投与量は、活性成分である本発明化合物の1回量として、通常約5〜100000μg/ヒト、好ましくは約500〜10000μg/ヒトである。この量を1日1回〜3回投与するのが望ましい。 本発明化合物、例えば、その作用(例、摂食抑制効果、肥満症の予防または治療効果)の増強、または、その使用量の低減等を目的として、本発明化合物に悪影響を及ぼさない薬剤と併用することができる。このような薬剤としては、例えば、「糖尿病治療薬」、「糖尿病合併症治療薬」、「抗肥満薬」、および「高脂血症治療薬」等が挙げられる。これらの薬剤(以下、併用用薬剤と略記する場合がある)は、2種以上を適宜の割合で組合せて用いてもよい。 上記「糖尿病治療薬」としては、例えば、インスリン製剤(例、ウシ、ブタの膵臓から抽出された動物インスリン製剤;大腸菌、イーストを用い遺伝子工学的に合成したヒトインスリン製剤;インスリン亜鉛;プロタミンインスリン亜鉛;インスリンのフラグメントまたは誘導体(例、INS−1)、経口インスリン製剤)、インスリン抵抗性改善剤(例、ピオグリタゾンまたはその塩(好ましくは、塩酸塩)、ロシグリタゾンまたはその塩(好ましくは、マレイン酸塩)、テサグリタザール(Tesaglitazar)、ラガグリタザール(Ragaglitazar)、ムラグリタザール(Muraglitazar)、エダグリタゾン(Edaglitazone)、メタグリダセン(Metaglidasen)、ナベグリタザール(Naveglitazar)、AMG−131、THR−0921)、α−グルコシダーゼ阻害剤(例、ボグリボース、アカルボース、ミグリトール、エミグリテート)、ビグアナイド剤(例、メトホルミン、ブホルミンまたはそれらの塩(例、塩酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩))、インスリン分泌促進剤[スルホニルウレア剤(例、トルブタミド、グリベンクラミド、グリクラジド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリクロピラミド、グリメピリド、グリピザイド、グリブゾール)、レパグリニド、ナテグリニド、ミチグリニドまたはそのカルシウム塩水和物]、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤(例、ヴィルダグリプチン(Vildagliptin)、シタグリプチン(Sitagliptin)、サクサグリプチン(Saxagliptin)、T−6666、TS−021)、β3アゴニスト(例、AJ−9677)、GPR40アゴニスト、GLP−1受容体アゴニスト[例、GLP−1、GLP−1MR剤、NN−2211、AC−2993(exendin−4)、BIM−51077、Aib(8,35)hGLP−1(7,37)NH2、CJC−1131]、アミリンアゴニスト(例、プラムリンチド)、ホスホチロシンホスファターゼ阻害剤(例、バナジン酸ナトリウム)、糖新生阻害剤(例、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、グルコース−6−ホスファターゼ阻害剤、グルカゴン拮抗剤)、SGLUT(sodium−glucose cotransporter)阻害剤(例、T−1095)、11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ阻害薬(例、BVT−3498)、アジポネクチンまたはその作動薬、IKK阻害薬(例、AS−2868)、レプチン抵抗性改善薬、ソマトスタチン受容体作動薬、グルコキナーゼ活性化薬(例、Ro−28−1675)、GIP(Glucose−dependent insulinotropic peptide)等が挙げられる。 上記「糖尿病合併症治療薬」としては、例えば、アルドース還元酵素阻害剤(例、トルレスタット、エパルレスタット、ゼナレスタット、ゾポルレスタット、ミナルレスタット、フィダレスタット、ラニレスタット)、神経栄養因子およびその増加薬(例、NGF、NT−3、BDNF、WO01/14372に記載のニューロトロフィン産生・分泌促進剤(例えば、4−(4−クロロフェニル)−2−(2−メチル−1−イミダゾリル)−5−[3−(2−メチルフェノキシ)プロピル]オキサゾール))、PKC阻害剤(例、ルボキシスタウリン メシレート(ruboxistaurin mesylate))、AGE阻害剤(例、ALT946、ピマゲジン、N−フェナシルチアゾリウム ブロマイド、EXO−226、ピリドリン(Pyridorin)、ピリドキサミン)、活性酸素消去薬(例、チオクト酸)、脳血管拡張剤(例、チアプリド、メキシレチン)、ソマトスタチン受容体作動薬(例、BIM23190)、アポトーシスシグナルレギュレーティングキナーゼ−1(ASK−1)阻害薬、神経再生促進薬(例、Y−128、VX−853、prosaptide)が挙げられる。 上記「抗肥満薬」としては、中枢性抗肥満薬(例、デキスフェンフルラミン、フェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、アンフェプラモン、デキサンフェタミン、マジンドール、フェニルプロパノールアミン、クロベンゾレックス;ニューロペプチドY拮抗薬(例、CP−422935);カンナビノイド受容体拮抗薬(例、SR−141716、SR−147778);グレリン拮抗薬;11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ阻害薬(例、BVT−3498))、膵リパーゼ阻害薬(例、オルリスタット、セティリスタット(cetilistat))、β3アゴニスト(例、AJ−9677)、ペプチド性食欲抑制薬(例、レプチン、CNTF(毛様体神経栄養因子))、コレシストキニンアゴニスト(例、リンチトリプト、FPL−15849)、摂食抑制薬(例、P−57)等が挙げられる。 上記「高脂血症治療薬」としては、HMG−CoA還元酵素阻害剤(例、プラバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン、ピタバスタチンまたはそれらの塩(例、ナトリウム塩、カルシウム塩))、スクアレン合成酵素阻害剤(例、WO97/10224に記載の化合物、例えば、N−[[(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル]アセチル]ピペリジン−4−酢酸)、フィブラート系化合物(例、ベザフィブラート、クロフィブラート、シムフィブラート、クリノフィブラート)、ACAT阻害剤(例、アバシマイブ(Avasimibe)、エフルシマイブ(Eflucimibe))、陰イオン交換樹脂(例、コレスチラミン)、プロブコール、ニコチン酸系薬剤(例、ニコモール(nicomol)、ニセリトロール(niceritrol))、イコサペント酸エチル、植物ステロール(例、ソイステロール(soysterol)、ガンマオリザノール(γ−oryzanol))等が挙げられる。 前記した併用用薬剤の投与時期は限定されず、本発明化合物と併用用薬剤とを、投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。併用用薬剤の投与量は、臨床上用いられている投与量に準ずればよく、投与対象、投与ルート、疾患、組み合わせ等により適宜選択することができる。 併用用薬剤の投与形態は、特に限定されず、投与時に、本発明化合物と併用用薬剤とが組み合わされていればよい。このような投与形態としては、例えば、1)本発明化合物と併用用薬剤とを同時に製剤化して得られる単一の製剤の投与、2)本発明化合物と併用用薬剤とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での同時投与、3)本発明化合物と併用用薬剤とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での時間差をおいての投与、4)本発明化合物と併用用薬剤とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での同時投与、5)本発明化合物と併用用薬剤とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での時間差をおいての投与(例えば、本発明化合物、併用用薬剤の順序での投与、あるいは逆の順序での投与)等が挙げられる。 本発明化合物と併用用薬剤との配合比は、投与対象、投与ルート、疾患等により適宜選択することができる。 以下に参考例、実施例および試験例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。 本発明において、Tyr-Phe-Leu-Phe-Arg-Pro-Arg-Asn-NH2(配列番号:1)をNMU-8と表記する場合がある。 また、アミノ酸の後ろに付した数字は、アミノ酸番号を示す。配列番号1におけるアミノ酸番号を以下に示す。すなわち、NMU-8のN末端のTyrの位置を1位、C末端のAsnの位置を8位とする。 Tyr-Phe-Leu-Phe-Arg-Pro-Arg-Asn-NH2 1 2 3 4 5 6 7 8 例えば、化合物番号1(参考例1)のβ-Ala0,Nal(1)2-NMU-8はNMU-8のN末端(0位)にβ-Alaを伸長し、2位のPheがNal(1)に置換したペプチドであることを意味する。 なお、これは便宜的な表記であって、当該β-Alaはリンカーであり、本発明で用いられるポリペプチドを構成するものではない。 以下に、参考例、実施例および試験例の化合物を示す。 式「XX0-XX1-XX2-XX3-XX4-XX5-XX6-XX7-XX8-NH2」のXX0、XX1、XX2、XX3、XX4、XX5、XX6、XX7、XX8およびNH2の間の結合手「-」は、それぞれ下記の意味を表す。 式「XX0-XX1」の結合手「-」は、XX0で表される基、あるいはXX0に含まれるカルボキシル基(α位のカルボキシル基)と、XX1に含まれるアミノ基(α位のアミノ基)との間の結合を示す。より具体的には、式「XX0-XX1」は、XX1に含まれるアミノ基(NH2)中の水素原子が、XX0で表される基で置換されていること、あるいはXX0に含まれるカルボキシル基(-COOH)と、XX1中のアミノ基(NH2)とがアミド結合していることを示す。 式「XX1-XX2」の結合手「-」は、XX1に含まれるカルボキシル基(α位のカルボキシル基)と、XX2中のアミノ基(α位のアミノ基)とがアミド結合していることを示す。式「XX2-XX3」、「XX3-XX4」、「XX4-XX5」、「XX5-XX6」、「XX6-XX7」および「XX7-XX8」の結合手「-」も、前記と同様の意味を表す。 式「XX8-NH2」の結合手「-」は、XX8に含まれるカルボキシル基(α位のカルボキシル基)と、-NH2との間の結合を示す。より具体的には、より具体的には、式「XX8-NH2」は、XX8に含まれるカルボキシル基(-COOH)中の-OHが、-NH2で置換されていることを示す。上記PEG修飾体において、PEGに付記した数字およびkはPEGの分子量kDaを意味し、(AL)は-(CH2)3-を示す。 本発明化合物の例を以下に記載する。化合物番号APEG20k(AL)-β-Ala0,Nal(1)2-NMU-8PEG20k(AL)-β-Ala-Tyr-Nal(1)-Leu-Phe-Arg-Pro-Arg-Asn-NH2 配列番号:2化合物番号BPEG20k(AL)-β-Ala0,Nal(2)2-NMU-8PEG20k(AL)-β-Ala-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-Pro-Arg-Asn-NH2 配列番号:3化合物番号CPEG20k(AL)-NpipAc0,Nal(2)2-NMU-8PEG20k(AL)-NpipAc-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-Pro-Arg-Asn-NH2 配列番号:3化合物番号DPEG20k(AL)-NpipAc0,Nal(2)2,Ala6-NMU-8PEG20k(AL)-NpipAc-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-Ala-Arg-Asn-NH2 配列番号:4化合物番号EPEG20k(AL)-PEG(2)0,Nal(2)2,NMeAla6-NMU-8PEG20k(AL)-PEG(2)-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-NMeAla-Arg-Asn-NH2 配列番号:5化合物番号FPEG20k(AL)-Pic(4)0,Nal(2)2,NMeAla6-NMU-8PEG20k(AL)-Pic(4)-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-NMeAla-Arg-Asn-NH2 配列番号:5化合物番号GPEG20k(AL)-Acp0,Nal(2)2,NMeAla6-NMU-8PEG20k(AL)-Acp-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-NMeAla-Arg-Asn-NH2 配列番号:5化合物番号HPEG20k(AL)-β-Ala0,Nal(2)2,Pya(4)4-NMU-8PEG20k(AL)-β-Ala-Tyr-Nal(2)-Leu-Pya(4)-Arg-Pro-Arg-Asn-NH2 配列番号:6参考例1(合成法a):β-Ala0,Nal(1)2-NMU-8(化合物番号1;β-Ala-Tyr-Nal(1)-Leu-Phe-Arg-Pro-Arg-Asn-NH2)の製造 Sieberアミド樹脂 (14.5 mg、0.01 mmol) を反応容器に量り取りDMFで洗浄後、DMF中で20 分間撹拌し樹脂を膨潤した。続いて20%ピペリジン/DMF処理によってN末端Fmoc基を脱保護後、Fmoc-Asn(Trt)-OH (29.8 mg)、0.5 M HOAt/DMF溶液 (0.1 mL)、DIPCDI (8.0 μL) を加えて120分間処理し、Asn(Trt)残基を導入した。同様にFmoc基の脱保護と縮合を繰り返し, Arg(Pbf)、Pro、Arg(Pbf)、Phe、Leu、Nal(1)、Tyr(tBu)、β-Alaを導入、得られた樹脂のN末端Fmoc基を20%ピペリジン/DMF処理によって脱保護後、メタノールで洗浄、乾燥することでH-β-Ala-Tyr(tBu)-Nal(1)-Leu-Phe-Arg(Pbf)-Pro-Arg(Pbf)-Asn(Trt)-Sieberアミド樹脂を得た。得られた樹脂全量をTFAカクテル (TFA/チオアニソール/m-クレゾール/H2O/EDT/TIS = 80/5/5/5/2.5/2.5、0.35 mL) で90分間処理後、反応混合物にジエチルエーテルを加え、析出した白色粉末を遠心分離により沈殿させ、デカンテーションによりジエチルエーテルを除く操作を2回繰り返した。残渣を酢酸水溶液に溶解し、細孔径0.45 μmのディスクフィルターを通し微粒物を除いた後、HPLC (カラム:Daisopak-SP100-5-ODS-P、10 mmID×250 mmL、ダイソー社製、移動相:0.1%TFA-水/0.1%TFA含有アセトニトリル = 82/18から52/48への直線型濃度勾配溶出、30分、流量:4 mL/分)にて分取精製した。溶出液は試験管にて分画し、目的物を含む溶出画分を集めて濃縮、凍結乾燥することで、標題化合物 (6.5 mg) を得た。MALDI-TOF/MS: [M+H]+ 1232.3 (計算値1232.7)HPLC溶出時間: 5.1分溶出条件 カラム:Merck Chromolith Performance RP-18e (4.6 mmID×100 mmL) 溶離液:0.1% TFA-水/0.1% TFA含有アセトニトリル = 95/5から35/65へ直線型濃度勾配溶出(10分) 流速:3.0 mL/分参考例2(合成法b):β-Ala0,Nal(2)2-NMU-8(化合物番号2;β-Ala-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-Pro-Arg-Asn-NH2)の製造 Sieberアミド樹脂 (14.5 mg、0.01 mmol) を反応容器に量り取りDMFで洗浄後、DMF中で20 分間撹拌し樹脂を膨潤した。続いて20%ピペリジン/DMF処理によってN末端Fmoc基を脱保護後、Fmoc-Asn(Trt)-OH (29.8 mg)、0.5 M HOAt/DMF溶液 (0.1 mL)、DIPCDI (8.0 μL) を加えて120分間処理し、Asn(Trt)残基を導入した。同様にFmoc基の脱保護と縮合を繰り返し, Arg(Pbf)、Pro、Arg(Pbf)、Phe、Leu、Nal(2)、Tyr(tBu)、β-Alaを導入、得られた樹脂のN末端Fmoc基を20%ピペリジン/DMF処理によって脱保護後、メタノールで洗浄、乾燥することでH-β-Ala-Tyr(tBu)-Nal(2)-Leu-Phe-Arg(Pbf)-Pro-Arg(Pbf)-Asn(Trt)-Sieberアミド樹脂を得た。得られた樹脂全量をTFAカクテル (TFA/チオアニソール/m-クレゾール/H2O/EDT/TIS = 80/5/5/5/2.5/2.5、0.35 mL) で90分間処理後、反応混合物にジエチルエーテルを加え、析出した白色粉末を遠心分離により沈殿させ、デカンテーションによりジエチルエーテルを除く操作を2回繰り返した。残渣を酢酸水溶液に溶解し、細孔径0.45 μmのディスクフィルターを通し微粒物を除いた後、HPLC (カラム:Daisopak-SP100-5-ODS-P、10 mmID×250 mmL、ダイソー社製、移動相:0.1%TFA-水/0.1%TFA含有アセトニトリル = 82/18から52/48への直線型濃度勾配溶出、30分、流量:4 mL/分)にて分取精製した。溶出液は試験管にて分画し、目的物を含む溶出画分を集めて濃縮、凍結乾燥することで、標題化合物 (10.8 mg) を得た。MALDI-TOF/MS: [M+H]+ 1232.4 (計算値1232.7)HPLC溶出時間: 5.2分溶出条件 カラム:Merck Chromolith Performance RP-18e (4.6 mmID×100 mmL) 溶離液:0.1% TFA-水/0.1% TFA含有アセトニトリル = 95/5から35/65へ直線型濃度勾配溶出(10分) 流速:3.0 mL/分参考例3(合成法c):NpipAc0,Nal(2)2-NMU-8(化合物番号3;NpipAc-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-Pro-Arg-Asn-NH2)の製造 Sieberアミド樹脂 (14.5 mg、0.01 mmol) を反応容器に量り取りDMFで洗浄後、DMF中で20分間撹拌し樹脂を膨潤した。続いて20%ピペリジン/DMF処理によってN末端Fmoc基を脱保護後、Fmoc-Asn(Trt)-OH (29.8 mg)、0.5 M HOAt/DMF溶液 (0.1 mL)、DIPCDI (8.0 μL) を加えて120分間処理し、Asn(Trt)残基を導入した。同様にFmoc基の脱保護と縮合を繰り返し、Arg(Pbf)、Pro、Arg(Pbf)、Phe、Leu、Nal(2)、Tyr(tBu)を導入、得られた樹脂のN末端Fmoc基を20%ピペリジン/DMF処理によって脱保護後、同様の手法で2-(1-tert-ブトキシカルボニルピペラジン-4-イル)酢酸を縮合、得られた樹脂をメタノールで洗浄、乾燥することで2-(1-tert-ブトキシカルボニルピペラジン-4-イル)アセチル-Tyr(tBu)-Nal(2)-Leu-Phe-Arg(Pbf)-Pro-Arg(Pbf)-Asn(Trt)-Sieberアミド樹脂を得た。得られた樹脂全量をTFAカクテル (TFA/チオアニソール/m-クレゾール/H2O/EDT/TIS = 80/5/5/5/2.5/2.5、0.35 mL) で90分間処理後、反応混合物にジエチルエーテルを加え、析出した白色粉末を遠心分離により沈殿させ、デカンテーションによりジエチルエーテルを除く操作を2回繰り返した。残渣を酢酸水溶液に溶解し細孔径0.45 μmのディスクフィルターを通し微粒物を除いた後、HPLC (カラム:Daisopak-SP100-5-ODS-P、10 mmID×250 mmL、ダイソー社製、移動相:0.1%TFA-水/0.1%TFA含有アセトニトリル = 82/18から52/48への直線型濃度勾配溶出、30分、流量:4 mL/分)にて分取精製した。溶出液は試験管にて分画し、目的物を含む溶出画分を集めて濃縮、凍結乾燥することで、標題化合物 (7.9 mg) を得た。MALDI-TOF/MS: [M+H]+ 1287.7 (計算値1287.7)HPLC溶出時間: 5.2分溶出条件 カラム:Merck Chromolith Performance RP-18e (4.6 mmID×100 mmL) 溶離液:0.1% TFA-水/0.1% TFA含有アセトニトリル = 95/5から35/65へ直線型濃度勾配溶出(10分) 流速:3.0 mL/分参考例4(合成法d):NpipAc0,Nal(2)2,Ala6-NMU-8(化合物番号4;NpipAc-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-Ala-Arg-Asn-NH2)の製造 Sieberアミド樹脂 (14.5 mg、0.01 mmol) を反応容器に量り取りDMFで洗浄後、DMF中で20分間撹拌し樹脂を膨潤した。続いて20%ピペリジン/DMF処理によってN末端Fmoc基を脱保護後、Fmoc-Asn(Trt)-OH (29.8 mg)、0.5 M HOAt/DMF溶液 (0.1 mL)、DIPCDI (8.0 μL) を加えて120分間処理し、Asn(Trt)残基を導入した。同様にFmoc基の脱保護と縮合を繰り返し、Arg(Pbf)、Ala、Arg(Pbf)、Phe、Leu、Nal(2)、Tyr(tBu)を導入、得られた樹脂のN末端Fmoc基を20%ピペリジン/DMF処理によって脱保護後、同様の手法で2-(1-tert-ブトキシカルボニルピペラジン-4-イル)酢酸を縮合、得られた樹脂をメタノールで洗浄、乾燥することで2-(1-tert-ブトキシカルボニルピペラジン-4-イル)アセチル-Tyr(tBu)-Nal(2)-Leu-Phe-Arg(Pbf)-Ala-Arg(Pbf)-Asn(Trt)-Sieberアミド樹脂を得た。得られた樹脂全量をTFAカクテル (TFA/チオアニソール/m-クレゾール/H2O/EDT/TIS = 80/5/5/5/2.5/2.5、0.35 mL) で90分間処理後、反応混合物にジエチルエーテルを加え、析出した白色粉末を遠心分離により沈殿させ、デカンテーションによりジエチルエーテルを除く操作を2回繰り返した。残渣を酢酸水溶液に溶解し細孔径0.45 μmのディスクフィルターを通し微粒物を除いた後、HPLC (カラム:Daisopak-SP100-5-ODS-P、10 mmID×250 mmL、ダイソー社製、移動相:0.1%TFA-水/0.1%TFA含有アセトニトリル = 82/18から52/48への直線型濃度勾配溶出、30分、流量:4 mL/分)にて分取精製した。溶出液は試験管にて分画し、目的物を含む溶出画分を集めて濃縮、凍結乾燥することで、標題化合物 (9.3 mg) を得た。MALDI-TOF/MS: [M+H]+ 1261.5 (計算値1261.7)HPLC溶出時間: 5.2分溶出条件 カラム:Merck Chromolith Performance RP-18e (4.6 mmID×100 mmL) 溶離液:0.1% TFA-水/0.1% TFA含有アセトニトリル = 95/5から35/65へ直線型濃度勾配溶出(10分)参考例5(合成法e):PEG(2)0,Nal(2)2,NMeAla6-NMU-8(化合物番号5;PEG(2)-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-NMeAla-Arg-Asn-NH2)の製造 Sieberアミド樹脂 (362.3 mg、0.25mmol) を反応容器に量り取りDMFで洗浄後、DMF中で20分間撹拌し樹脂を膨潤した。続いて20%ピペリジン/DMF処理によってN末端Fmoc基を脱保護後、Fmoc-Asn(Trt)-OH (596.7 mg)、0.5 M HOAt/DMF溶液 (2.0 mL)、DIPCDI (159.0 μL) で90分間処理し、Asn(Trt)残基を導入した。同様にFmoc基の脱保護と縮合を繰り返し、Arg(Pbf)、NMeAla、Arg(Pbf)、Phe、Leu、Nal(2)、Tyr(tBu)を導入、得られた樹脂のN末端Fmoc基を20%ピペリジン/DMF処理によって脱保護後、メタノールで洗浄、乾燥することでH-Tyr(tBu)-Nal(2)-Leu-Phe-Arg(Pbf)-NMeAla-Arg(Pbf)-Asn(Trt)-Sieberアミド樹脂 (678.5 mg、0.368 mmol/g) を得た。 得られた樹脂のうち54.3 mgを反応容器に量り取りDMFで洗浄後、DMF中で20分間撹拌し樹脂を膨潤した。続いてFmoc-PEG(2)-OH (44.7 mg)、0.5 M HOAt/DMF溶液 (0.16 mL)、DIPCDI (13.0 μL) を加えて90分間処理し、PEG(2)残基を導入した。得られた樹脂のN末端Fmoc基を20%ピペリジン/DMF処理によって脱保護後、メタノールで洗浄、乾燥することでH-PEG(2)-Tyr(tBu)-Nal(2)-Leu-Phe-Arg(Pbf)-NMeAla-Arg(Pbf)-Asn(Trt)-Sieberアミド樹脂を得た。得られた樹脂全量をTFAカクテル (TFA/チオアニソール/m-クレゾール/H2O/EDT/TIS = 80/5/5/5/2.5/2.5、1 mL) で90分間処理後、反応混合物にジエチルエーテルを加え、析出した白色粉末を遠心分離により沈殿させ、デカンテーションによりジエチルエーテルを除く操作を2回繰り返した。残渣を酢酸水溶液に溶解し細孔径0.45 μmのディスクフィルターを通し微粒物を除いた後、HPLC (カラム:Daisopak-SP100-5-ODS-P、20 mmID×250 mmL、ダイソー社製、移動相:0.1%TFA-水/0.1%TFA含有アセトニトリル = 76/24から66/34への直線型濃度勾配溶出、60分、流量:8 mL/分)にて分取精製した。溶出液は試験管にて分画し、目的物を含む溶出画分を集めて濃縮、凍結乾燥することで、標題化合物 (14.5 mg) を得た。MALDI-TOF/MS: [M+H]+ 1468.3 (計算値1467.8)HPLC溶出時間: 10.0分溶出条件 カラム:Merck Chromolith Performance RP-18e (4.6 mmID×100 mmL) 溶離液:0.1% TFA-水/0.1% TFA含有アセトニトリル = 80/20から30/70へ直線型濃度勾配溶出(25分) 流速:1.0 mL/分参考例6(合成法f):Pic(4)0,Nal(2)2,NMeAla6-NMU-8(化合物番号6;Pic(4)-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-NMeAla-Arg-Asn-NH2)の製造 参考例5で得られたH-Tyr(tBu)-Nal(2)-Leu-Phe-Arg(Pbf)-NMeAla-Arg(Pbf)-Asn(Trt)-Sieberアミド樹脂 (54.3 mg、0.02 mmol) を反応容器に量り取りDMFで洗浄後、DMF中で20分間撹拌し樹脂を膨潤した。続いてFmoc-Pic(4)-OH (28.1 mg)、0.5 M HOAt/DMF溶液 (0.16 mL)、DIPCDI (13.0 μL)で90分間処理し、Pic(4)残基を導入した。得られた樹脂のN末端Fmoc基を20%ピペリジン/DMF処理によって脱保護後、メタノールで洗浄、乾燥することでH-Pic(4)-Tyr(tBu)-Nal(2)-Leu-Phe-Arg(Pbf)-NMeAla-Arg(Pbf)-Asn(Trt)-Sieberアミド樹脂を得た。得られた樹脂全量をTFAカクテル (TFA/チオアニソール/m-クレゾール/H2O/EDT/TIS = 80/5/5/5/2.5/2.5、1 mL) で90分間処理後、反応混合物にジエチルエーテルを加え、析出した白色粉末を遠心分離により沈殿させ、デカンテーションによりジエチルエーテルを除く操作を2回繰り返した。残渣を酢酸水溶液に溶解し細孔径0.45 μmのディスクフィルターを通し微粒物を除いた後、HPLC (カラム:Daisopak-SP100-5-ODS-P、20 mmID×250 mmL、ダイソー社製、移動相:0.1%TFA-水/0.1%TFA含有アセトニトリル = 75/25から65/35への直線型濃度勾配溶出、60分、流量:8 mL/分)にて分取精製した。溶出液は試験管にて分画し、目的物を含む溶出画分を集めて濃縮、凍結乾燥することで、標題化合物 (19.0 mg) を得た。MALDI-TOF/MS: [M+H]+ 1260.7 (計算値1260.7)HPLC溶出時間: 9.1分溶出条件 カラム:Merck Chromolith Performance RP-18e (4.6 mmID×100 mmL) 溶離液:0.1% TFA-水/0.1% TFA含有アセトニトリル = 80/20から30/70へ直線型濃度勾配溶出(25分) 流速:1.0 mL/分参考例7(合成法g):Acp0,Nal(2)2,NMeAla6-NMU-8(化合物番号7;Acp-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-NMeAla-Arg-Asn-NH2)の製造 参考例5で得られたH-Tyr(tBu)-Nal(2)-Leu-Phe-Arg(Pbf)-NMeAla-Arg(Pbf)-Asn(Trt)-Sieberアミド樹脂 (54.3 mg、0.02 mmol) を反応容器に量り取りDMFで洗浄後、DMF中で20分間撹拌し樹脂を膨潤した。続いてFmoc-Acp-OH (28.3 mg)、0.5 M HOAt/DMF溶液 (0.16 mL)、DIPCDI (13.0 μL) で90分間処理し、Acp残基を導入した。得られた樹脂のN末端Fmoc基を20%ピペリジン/DMF処理によって脱保護後、メタノールで洗浄、乾燥することでH-Acp-Tyr(tBu)-Nal(2)-Leu-Phe-Arg(Pbf)-NMeAla-Arg(Pbf)-Asn(Trt)-Sieberアミド樹脂の樹脂を得た。得られた樹脂全量をTFAカクテル (TFA/チオアニソール/m-クレゾール/H2O/EDT/TIS = 80/5/5/5/2.5/2.5、1 mL) で90分間処理後、反応混合物にジエチルエーテルを加え、析出した白色粉末を遠心分離により沈殿させ、デカンテーションによりジエチルエーテルを除く操作を2回繰り返した。残渣を酢酸水溶液に溶解し細孔径0.45 μmのディスクフィルターを通し微粒物を除いた後、HPLC (カラム:Daisopak-SP100-5-ODS-P、20 mmID×250 mmL、ダイソー社製、移動相:0.1%TFA-水/0.1%TFA含有アセトニトリル = 75/25から65/35への直線型濃度勾配溶出、60分、流量:8 mL/分)にて分取精製した。溶出液は試験管にて分画し、目的物を含む溶出画分を集めて濃縮、凍結乾燥することで、標題化合物 (14.2 mg) を得た。MALDI-TOF/MS: [M+H]+ 1262.9 (計算値1262.7)HPLC溶出時間: 9.5分溶出条件 カラム:Merck Chromolith Performance RP-18e (4.6 mmID×100 mmL) 溶離液:0.1% TFA-水/0.1% TFA含有アセトニトリル = 80/20から30/70へ直線型濃度勾配溶出(25分) 流速:1.0 mL/分実施例1(合成法h):PEG20k(AL)-β-Ala0,Nal(2)2-NMU-8(化合物番号B)の製造 日油社製のSUNBRIGHT ME-200AL (133.9 mg、6.5 μmol) と参考例2で得られた化合物2(H-β-Ala-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-Pro-Arg-Asn-NH2)(8.0 mg) を1% 酢酸/DMF (10 mL) に溶解し、トリアセトキシホウ水素化ナトリウム (55.1 mg) を加えた。室温で終夜撹拌した後、反応混合物にジエチルエーテルを加え、析出した白色粉末を遠心分離により沈殿させ、デカンテーションによりジエチルエーテルを取り除いた。続いて残渣を0.1 M 酢酸水溶液 (150 mL) に溶解し、SP-Sephadex C50イオン交換樹脂 (容量45 mL) を加えて室温で2時間放置後、樹脂をろ取した。0.1 M酢酸、10 mMギ酸アンモニウム/0.1 M酢酸で樹脂を順次洗浄後、2.0 Mギ酸アンモニウム/20%アセトニトリル、次いで3.2 Mギ酸アンモニウム/20%アセトニトリルを用いて目的物をイオン交換樹脂から溶出した。得られた溶出液を濃縮し、細孔径0.45 μmのディスクフィルターを通し微粒物を除いた後、HPLC (カラム:CAPCEL PAK-CN-column、20 mmID×250 mmL、資生堂社製、移動相:0.1%TFA-水/0.1%TFA含有アセトニトリル = 95/5(0分)-76/24(5分)-66/34(10分)-46/54(70分)の濃度勾配溶出、()内はサンプル注入後の時間、流量:8 mL/分)にて分取精製した。溶出液は試験管にて分画し、目的物を含む溶出画分を集めて濃縮、凍結乾燥することで、標題化合物 (38.0 mg) を得た。MALDI-TOF/MS: 測定値21051.8-24542.8 (分子量計算値21816.4)HPLC溶出時間: 16.6分溶出条件 カラム:CAPCEL PAK-CN-UG120 (4.6 mmID×250 mmL) 溶離液:0.1% TFA-水/0.1% TFA含有アセトニトリル = 80/20から30/70へ直線型濃度勾配溶出(25分) 流速:1.0 mL/分実施例2(合成法i):PEG20k(AL)-NpipAc0,Nal(2)2-NMU-8(化合物番号C)の製造 日油社製のSUNBRIGHT ME-200AL (112.1 mg、5.4 μmol) と参考例3で得られた化合物3(H-NpipAc-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-Pro-Arg-Asn-NH2)(7.0 mg) を1% 酢酸/DMF (6.0 mL) に溶解し、トリアセトキシホウ水素化ナトリウム (46.1 mg) を加えた。室温で終夜撹拌した後、反応混合物にジエチルエーテルを加え、析出した白色粉末を遠心分離により沈殿させ、デカンテーションによりジエチルエーテルを取り除いた。続いて残渣を0.1 M 酢酸水溶液 (150 mL) に溶解し、SP-Sephadex C50イオン交換樹脂 (容量45 mL) を加えて室温で1時間放置後、樹脂をろ取した。0.1 M酢酸、10 mMギ酸アンモニウム/0.1 M酢酸で樹脂を順次洗浄後、2.0 Mギ酸アンモニウム/20%アセトニトリル、次いで3.2 Mギ酸アンモニウム/20%アセトニトリルを用いて目的物をイオン交換樹脂から溶出した。得られた溶出液を濃縮し、細孔径0.45 μmのディスクフィルターを通し微粒物を除いた後、HPLC (カラム:CAPCEL PAK-CN-column、20 mmID×250 mmL、資生堂社製、移動相:0.1%TFA-水/0.1%TFA含有アセトニトリル = 95/5(0分)-76/24(5分)-66/34(10分)-46/54(70分)の濃度勾配溶出、()内はサンプル注入後の時間、流量:8 mL/分)にて分取精製した。溶出液は試験管にて分画し、目的物を含む溶出画分を集めて濃縮、凍結乾燥することで、標題化合物 (33.2 mg) を得た。MALDI-TOF/MS: 測定値20582.1-24521.5 (分子量計算値21871.5)HPLC溶出時間: 16.6分溶出条件 カラム:CAPCEL PAK-CN-UG120 (4.6 mmID×250 mmL) 溶離液:0.1% TFA-水/0.1% TFA含有アセトニトリル = 80/20から30/70へ直線型濃度勾配溶出(25分) 流速:1.0 mL/分実施例3(合成法j):PEG20k(AL)-NpipAc0,Nal(2)2,Ala6-NMU-8(化合物番号D)の製造 日油社製のSUNBRIGHT ME-200AL (129.8 mg、6.3 μmol) と参考例4で得られた化合物4(H-NpipAc-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-Ala-Arg-Asn-NH2)(8.0 mg) を1% 酢酸/DMF (7.0 mL) に溶解し、トリアセトキシホウ水素化ナトリウム (53.4 mg) を加えた。室温で終夜撹拌した後、反応混合物にジエチルエーテルを加え、析出した白色粉末を遠心分離により沈殿させ、デカンテーションによりジエチルエーテルを取り除いた。続いて残渣を0.1 M 酢酸水溶液 (150 mL) に溶解し、SP-Sephadex C50イオン交換樹脂 (容量45 mL) を加えて室温で1時間放置後、樹脂をろ取した。0.1 M酢酸、10 mMギ酸アンモニウム/0.1 M酢酸で樹脂を順次洗浄後、2.0 Mギ酸アンモニウム/20%アセトニトリル、次いで3.2 Mギ酸アンモニウム/20%アセトニトリルを用いて目的物をイオン交換樹脂から溶出した。得られた溶出液を濃縮し、細孔径0.45 μmのディスクフィルターを通し微粒物を除いた後、HPLC (カラム:CAPCEL PAK-CN-column、20 mmID×250 mmL、資生堂社製、移動相:0.1%TFA-水/0.1%TFA含有アセトニトリル = 95/5(0分)-76/24(5分)-66/34(10分)-46/54(70分)の濃度勾配溶出、()内はサンプル注入後の時間、流量:8 mL/分)にて分取精製した。溶出液は試験管にて分画し、目的物を含む溶出画分を集めて濃縮、凍結乾燥することで、標題化合物 (54.0 mg) を得た。MALDI-TOF/MS: 測定値20532.6-24270.9 (分子量計算値21845.5)HPLC溶出時間: 16.6分溶出条件 カラム:CAPCEL PAK-CN-UG120 (4.6 mmID×250 mmL) 溶離液:0.1% TFA-水/0.1% TFA含有アセトニトリル = 80/20から30/70へ直線型濃度勾配溶出(25分) 流速:1.0 mL/分実施例4(合成法k):PEG20k(AL)-Pic(4)0,Nal(2)2,NMeAla6-NMU-8(化合物番号F)の製造 日油社製のSUNBRIGHT ME-200AL (115.4 mg、5.6 μmol) と参考例6で得られた化合物6(H-Pic(4)-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-NMeAla-Arg-Asn-NH2)(7.0 mg) を1% 酢酸/DMF (6.0 mL) に溶解し、トリアセトキシホウ水素化ナトリウム (47.5 mg) を加えた。室温で終夜撹拌した後、反応混合物にジエチルエーテルを加え、析出した白色粉末を遠心分離により沈殿させ、デカンテーションによりジエチルエーテルを取り除いた。続いて残渣を0.1 M 酢酸水溶液 (150 mL) に溶解し、SP-Sephadex C50イオン交換樹脂 (容量45 mL) を加えて室温で1時間放置後、樹脂をろ取した。0.1 M酢酸、10 mMギ酸アンモニウム/0.1 M酢酸で樹脂を順次洗浄後、2.0 Mギ酸アンモニウム/20%アセトニトリル、次いで3.2 Mギ酸アンモニウム/20%アセトニトリルを用いて目的物をイオン交換樹脂から溶出した。得られた溶出液を濃縮し、細孔径0.45 μmのディスクフィルターを通し微粒物を除いた後、HPLC (カラム:CAPCEL PAK-CN-column、20 mmID×250 mmL、資生堂社製、移動相:0.1%TFA-水/0.1%TFA含有アセトニトリル = 95/5(0分)-76/24(5分)-66/34(10分)-46/54(70分)の濃度勾配溶出、()内はサンプル注入後の時間、流量:8 mL/分)にて分取精製した。溶出液は試験管にて分画し、目的物を含む溶出画分を集めて濃縮、凍結乾燥することで、標題化合物 (72.9 mg) を得た。MALDI-TOF/MS: 測定値20175.2-24832.9 (分子量計算値21844.5)HPLC溶出時間: 17.0分溶出条件 カラム:CAPCEL PAK-CN-UG120 (4.6 mmID×250 mmL) 溶離液:0.1% TFA-水/0.1% TFA含有アセトニトリル = 80/20から30/70へ直線型濃度勾配溶出(25分) 流速:1.0 mL/分実施例5(合成法l):PEG20k(AL)-Acp0,Nal(2)2,NMeAla6-NMU-8(化合物番号G)の製造 日油社製のSUNBRIGHT ME-200AL (113.3 mg、5.5 μmol) と参考例7で得られた化合物7(H-Acp(6)-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-NMeAla-Arg-Asn-NH2)(7.0 mg) を1% 酢酸/DMF (6.0 mL) に溶解し、トリアセトキシホウ水素化ナトリウム (46.6 mg) を加えた。室温で終夜撹拌した後、反応混合物にジエチルエーテルを加え、析出した白色粉末を遠心分離により沈殿させ、デカンテーションによりジエチルエーテルを取り除いた。続いて残渣を0.1 M 酢酸水溶液 (150 mL) に溶解し、SP-Sephadex C50イオン交換樹脂 (容量45 mL) を加えて室温で1時間放置後、樹脂をろ取した。0.1 M酢酸、10 mMギ酸アンモニウム/0.1 M酢酸で樹脂を順次洗浄後、2.0 Mギ酸アンモニウム/20%アセトニトリル、次いで3.2 Mギ酸アンモニウム/20%アセトニトリルを用いて目的物をイオン交換樹脂から溶出した。得られた溶出液を濃縮し、細孔径0.45 μmのディスクフィルターを通し微粒物を除いた後、HPLC (カラム:CAPCEL PAK-CN-column、20 mmID×250 mmL、資生堂社製、移動相:0.1%TFA-水/0.1%TFA含有アセトニトリル = 95/5(0分)-76/24(5分)-66/34(10分)-46/54(70分)の濃度勾配溶出、()内はサンプル注入後の時間、流量:8 mL/分)にて分取精製した。溶出液は試験管にて分画し、目的物を含む溶出画分を集めて濃縮、凍結乾燥することで、標題化合物 (31.4 mg) を得た。MALDI-TOF/MS: 測定値20633.2-24954.1 (分子量計算値21846.5)HPLC溶出時間: 16.9分溶出条件 カラム:CAPCEL PAK-CN-UG120 (4.6 mmID×250 mmL) 溶離液:0.1% TFA-水/0.1% TFA含有アセトニトリル = 80/20から30/70へ直線型濃度勾配溶出(25分) 流速:1.0 mL/分 参考例1〜7および実施例1〜5で合成した化合物、および参考例1〜7および実施例1〜5と同様の方法で合成した化合物の構造と物理化学的性質などを以下の表1に示す。なお、表中に記載の「合成法」の表示は、化合物番号1〜8、B、C、D、FおよびGについては、各化合物の「合成法」の欄に記載の合成法a〜kで各々合成したか、あるいは各化合物の「合成法」の欄に記載の合成法によって合成できること、化合物番号A、EおよびHについては、各化合物の「合成法」の欄に記載の合成法に準じて合成したことを意味する。また、表中に記載の「HPLC (min.)」の表示は、化合物番号1〜8、B、C、D、FおよびGについては、各化合物の溶出条件によって溶出したときの保持時間を示し、化合物番号A、EおよびHについては、参考例1〜7および実施例1〜5と同様の溶出条件によって溶出したときの保持時間を示す。(m) Merck Chromolith Performance RP-18e 4.6×100 mm, グラジエント5-65%B (A: DW/0.1%TFA, B: 100%AcCN/0.1%TFA), 0-10 min, 3 mL/min(n) Merck Chromolith Performance RP-18e 4.6×100 mm, グラジエント20-70%B (A: DW/0.1%TFA, B: 100%AcCN/0.1%TFA), 0-25 min, 1 mL/min(o) CAPCEL PAK-CN-UG120 4.6×250 mm, グラジエント20-70%B (A: DW/0.1%TFA, B: 100%AcCN/0.1%TFA), 0-25 min, 1 mL/min試験例1ヒトNMUR1およびNMUR2発現CHO細胞を用いたCa influxアッセイ ヒトNMUR1およびNMUR2を安定発現したCHO細胞(J Biol Chem 275(28), p.21068-21074, (2000)、J Biol Chem 275(38), p.29528-29532, (2000))を、10%透析血清(GeminiBioProducts)および50μg/mL ゲンタマイシン(Invitrogen)を含む核酸不含のMEM-α(日研生物医学)を用い、384ブラック/クリアープレート(Becton Dickinson)に10,000 cells/wellで播種し、37℃、5% CO2存在下で一晩培養した。次いで、細胞は、培地を除去後、0.1% fatty acid free BSA(Wako) を添加したCalcium Kit - Fluo 4(Dojindo)で37℃(15分間)、ローディングされた。さらに、各濃度の試験化合物と対照群として1μmol/L porcine NMU-8(BACHEM)を細胞に添加し、細胞内Ca濃度の増加をFLIPR Tetraシステム(Molecular Devices)で3分間測定した。各試験化合物のNMURに対するアゴニスト活性(%)は、以下の計算式で求めた。[(W-X)/(Y-X)]×100((W):試験化合物を添加した細胞における細胞内Ca濃度に基づく蛍光値、(X):0.1% DMSOのみを添加した細胞における細胞内Ca濃度に基づく蛍光値、(Y):1 μM porcine NMU-8を添加した細胞における細胞内Ca濃度に基づく蛍光値)。各試験化合物のEC50値は、Prism 5(GraphPad)により算出した。結果を表2に示す。表2で示されるように、本発明化合物は優れたNMURに対するアゴニスト作用を示す。試験例2マウス皮下投与試験 試験化合物の摂食抑制活性は以下の方法で調べた。 試験化合物は600 nmol/kg/dayになるように溶媒(生理食塩水)に溶解して使用した。9-10週齢の雄性C57BL/6Jマウス(日本クレア)(25℃、餌と水は自由摂取、12時間明期−12時間暗期)の背部皮下に試験化合物を生理食塩水に溶解した投与液を2 mL/kgの量で投与した。投与後飼育ケージに戻し(単飼)、あらかじめ秤量した餌を与え、投与開始から1日後の摂餌量を測定した。摂餌量は投与開始日に与えた餌の重量から餌残量を差し引くことで算出した。得られた摂餌量から、下記式を用いて各試験化合物の摂食抑制率(%)を算出した。結果を表3に示す。 なお、前記溶媒のみを投与した群を対照群とした。摂食抑制率(%):(対照群の摂餌量−試験化合物投与群の摂餌量)/対照群の摂餌量×100表3で示されるように、本発明化合物は優れた摂食抑制作用を示す。 本発明化合物は、肥満症の予防・治療剤または摂食抑制剤として使用できる。[配列番号:1] 8位がアミド化されている。[配列番号:2] NMU−8の変種である。 2位が1−ナフチルアラニンである。 8位がアミド化されている。[配列番号:3] NMU−8の変種である。 2位が2−ナフチルアラニンである。 8位がアミド化されている。[配列番号:4] NMU−8の変種である。 2位が2−ナフチルアラニンである。 6位がNα−メチルアラニンである。 8位がアミド化されている。[配列番号:5] NMU−8の変種である。 2位が2−ナフチルアラニンである。 6位がNα−メチルアラニンである。 8位がアミド化されている。[配列番号:6] NMU−8の変種である。 2位が2−ナフチルアラニンである。 4位が4−ピリジルアラニンである。 8位がアミド化されている。PEG20k(AL)-β-Ala-Tyr-Nal(1)-Leu-Phe-Arg-Pro-Arg-Asn-NH2、PEG20k(AL)-β-Ala-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-Pro-Arg-Asn-NH2、PEG20k(AL)-NpipAc-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-Pro-Arg-Asn-NH2、PEG20k(AL)-NpipAc-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-Ala-Arg-Asn-NH2、PEG20k(AL)-PEG(2)-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-NMeAla-Arg-Asn-NH2、PEG20k(AL)-Pic(4)-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-NMeAla-Arg-Asn-NH2、PEG20k(AL)-Acp-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-NMeAla-Arg-Asn-NH2、およびPEG20k(AL)-β-Ala-Tyr-Nal(2)-Leu-Pya(4)-Arg-Pro-Arg-Asn-NH2からなる群から選ばれるペプチド誘導体またはその塩。請求項1に記載のペプチド誘導体またはその塩を含有してなる医薬。ニューロメジンU作動薬である請求項2に記載の医薬。摂食抑制剤である請求項2に記載の医薬。肥満症の予防または治療剤である請求項2に記載の医薬。請求項1に記載のペプチド誘導体またはその塩を哺乳動物に有効量投与することを特徴とする、該哺乳動物における肥満症の予防または治療方法。肥満症の予防または治療剤を製造するための、請求項1に記載のペプチド誘導体またはその塩の使用。 【課題】末梢投与等の通常の投与形態でも優れた薬効を有する肥満症の予防または治療剤等の提供。【解決手段】PEG20k(AL)-β-Ala-Tyr-Nal(1)-Leu-Phe-Arg-Pro-Arg-Asn-NH2、PEG20k(AL)-β-Ala-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-Pro-Arg-Asn-NH2、PEG20k(AL)-NpipAc-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-Pro-Arg-Asn-NH2、PEG20k(AL)-NpipAc-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-Ala-Arg-Asn-NH2、PEG20k(AL)-PEG(2)-Tyr-Nal(2)-Leu-Phe-Arg-NMeAla-Arg-Asn-NH2等からなる群から選ばれるペプチド誘導体またはその塩。【選択図】なし配列表