生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_抗酸化物質の製造方法
出願番号:2010226201
年次:2011
IPC分類:C12P 17/04,C12P 17/18


特許情報キャッシュ

堀内 勲 丸山 時彦 沈 暉 JP 2011142904 公開特許公報(A) 20110728 2010226201 20101006 抗酸化物質の製造方法 株式会社生物化学研究所 509235785 浅川 哲 100097043 堀内 勲 丸山 時彦 沈 暉 JP 2009285327 20091216 C12P 17/04 20060101AFI20110701BHJP C12P 17/18 20060101ALI20110701BHJP JPC12P17/04C12P17/18 D 8 2 OL 11 4B064 4B064AE45 4B064AE55 4B064CA02 4B064CC06 4B064CD05 4B064CD22 4B064DA01 4B064DA10 本発明は、セサミンを主要成分とする原料やゴマ種子などから抗酸化物質を容易に製造する方法に関するものである。 ゴマは古くから栄養価が高い食品として食されている。近年その機能性が研究され、フェニルプロパノイドの一種であるゴマリグナンは、機能性食品素材として多くのサプリメントに利用されてきた。ゴマの主要成分であるセサミンは抗酸化作用の強い物質であるが、脂溶性のため消化吸収が悪いという欠点がある。そこで、既存のセサミン含有商品はビタミンEなどの脂溶性物質に溶解させることで、吸収しやすいように工夫している。また、ゴマ種子に水及び糖類を加え、乳酸菌及び酵母菌から選ばれる一以上の菌を接種して発酵させるゴマ発酵物の製造方法も知られているが(特許文献1参照)、必ずしも抗酸化物質を容易に製造できるものではない。特開2004−173692号公報 本発明者らは、セサミンが塩酸、硝酸、硫酸などの無機酸には溶けないが、乳酸、酢酸、クエン酸などの有機酸に対してはよく溶け、また熱を加えることによってさらに溶けることを見い出して本発明に至った。すなわち、本発明の課題は、セサミンの体内での吸収性を高めるために、セサミンが有機酸に溶けることを利用し、セサミンを含有する原料からセサモール、セサミノール、エピセサミンなどの水溶性の抗酸化物質を容易に製造することで、体内への吸収効果を高めることである。 上記課題を解決するために、本発明に係る抗酸化物質の製造方法の一実施例は、セサミンを主要成分とする原料に乳酸菌を接種して発酵させ、これを加熱することである。 また、本発明に係る抗酸化物質の製造方法の他の実施例は、セサミンを主要成分とする原料に有機酸を加え、これを加熱することである。 さらに、本発明に係る抗酸化物質の製造方法のその他の実施例は、ゴマ種子またはセサミンを加えたゴマ種子に乳酸菌を接種して発酵させ、これを加熱することである。 前記有機酸としては、例えば乳酸又は酢酸が利用される。また、前記乳酸菌としては、例えばラクトバチルス・カゼイ又はラクトバチルス・ロイテリが利用される。 また、セサミンを加熱する際の温度は、一例では60〜200℃、好ましくは60〜150℃である。 さらに、本発明では、50〜200メッシュで粉砕処理したゴマ種子を乳酸発酵させることで、より一層の製造効率が得られる。 本発明によれば、セサミンを含有する原料からセサモール、セサミノール、エピセサミンなどの水溶性の抗酸化物質を容易に製造することができ、特に、抗酸化作用の大きいエピセサミンをより多く得ることができる。そして、それら水溶性の抗酸化物質による体内への吸収性がよくなり、抗酸化作用、免疫賦活作用、血圧上昇抑制作用などの機能性を高めることができた。各種有機酸に対するセサミンの溶解曲線を示すグラフである。各種有機酸に対するセサモールの転化率を示すグラフである。乳酸と酢酸に対するセサミンの残存率変化を示すグラフである。乳酸と酢酸に対するセサモールの転化率変化を示すグラフである。乳酸と酢酸に対するセサミノールの転化率変化を示すグラフである。乳酸と酢酸に対するエピセサミンの転化率変化を示すグラフである。メッシュの違いによるセサミンの抽出量を示すグラフである。メッシュの違いによるセサミンの溶解率を示すグラフである。メッシュの違いによるセサモールの溶解率を示すグラフである。乳酸菌発酵ゴマと未発酵ゴマの活性酸素消去能をXYZ微弱発光法により測定した時の輝度の違いを示すグラフである。DPPH測定法により測定した乳酸菌発酵ゴマと未発酵ゴマの抗酸化の違いを示すグラフである。乳酸発酵ゴマと未発酵ゴマのIL−12産生量の違いを示すグラフである。 本発明においてセサミンを主要成分とする原料としては、市販のセサミンやゴマ種子などが含まれる。市販のセサミン(フィトファーマ株式会社製の「セサミン−90」)は、セサミンを約93.7g/100g含有し、セサモリンを約3.55g/100g含有する。また、使用されるゴマ種子は、黒ゴマ、白ゴマ、茶ゴマなどの種類を問わない。ゴマ種子は粒状のままでも使用できるが、より発酵を促進させるためにゴマ種子を細かく摩砕することが望ましい。摩砕の程度が発酵に影響を与えることが実験的に証明されており、本発明では50〜100メッシュで摩砕したゴマ種子を用いて発酵させたときが、その前後のメッシュよりもセサミンの抽出量が多いことが分かった。50メッシュより粗い場合、例えば25メッシュでは発酵が不十分となる。一方、摩砕したゴマ種子にセサミンを加えて発酵させる場合には、200メッシュのように微細に摩砕したゴマ種子の方がセサミンの溶解量が多くなる。これは、ゴマ種子をより微細に摩砕することで液状となり、その中に溶解するセサミン量が増えるものと考えられる。ゴマ種子に加えるセサミンは、市販のものであってもゴマ種子から製造したものでもよい。なお、ゴマ種子の摩砕は、すり鉢、ボールミル、石臼などを用いて、電動又は手動で行なうことができる。 ゴマ種子の発酵は水の存在下で行なわれる。発酵方法としては、例えば、水を多く加えて発酵させるタンク培養、水を少なめに加えて発酵させる固体培養、その中間のゴマ種子をペースト状にしてから発酵させる方法などがある。本発明では、比較的早く且つ大量に処理することの出来るペースト状で発酵させる方法が好ましい。この場合のゴマ種子と水の割合は、重量比で約7:3が望ましい。 ゴマ種子に含まれる雑菌は、焙煎処理工程を設けることで殆どが死滅してしまう。例えば165℃で3時間焙煎を行なえば十分である。また、工程間を移動させる際の雑菌混入を確実に防止するために、ゴマ種子に水とグルタミン酸を添加した後、乳酸菌を接種する前に滅菌工程を設けるのが望ましい。 ゴマ種子に接種する乳酸菌の種類としては、例えばラクトバチルス属(Lactobacillus)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、ラクトコツカス属(Lactococcus)、ペディオコツカス属(Pediococcus)、ロイコノストック属(Leuconostoc)などであり、それらの中でも毒物を産生しない株を用いることが好ましい。特に、ラクトバチルス・カゼイやラクトバチルス・ロイテリはゴマ種子の基質を効率よく発酵するため、セサミンからセサモール、セサミノール、エピセサミンなどへの転化が効果的に得られる。 接種する乳酸菌の量は、ゴマ種子を含む液体またはペーストに対して、液体培養した菌液を0.5〜50重量%接種するものであり、特に30重量%程度を無菌的に接種するのが好ましい。 上記特許文献1では、ゴマ種子に糖類を添加する例を開示しているが、糖類だけではセサモール、セサミノール、エピセサミンなどを効率よく産生できない。そこで、本発明ではセサミンと有機酸との加熱反応によるセサモール、セサミノール、エピセサミンなどの産生だけでなく、ゴマ種子を乳酸菌発酵させる際の補助基質としてセサミンを添加することも有効である。セサミンの添加量としては、ゴマ種子に対して1〜10重量%、好ましくは3重量%程度である。添加するセサミンは市販のものでも良い。 本発明におけるゴマ種子の発酵期間は乳酸菌の菌種や接種量にもよるが、約3時間〜1週間程度であり、好ましくは約3日間程度である。約3日間の発酵によって乳酸菌の菌体量は107以上に達する。 本発明ではゴマ種子を乳酸菌により発酵した後、60〜200℃、好ましくは60〜100℃で約2時間加熱する。この加熱によってゴマ種子に含まれるセサミンが乳酸に溶け、抗酸化物質であるセサモール、セサミノール、エピセサミンなどが産生される。セサモールはゴマ種子に含まれるセサミン以外の物質、例えばセサモリンからも産生されるものと考えられる。 上記の製造方法によって得られた発酵ゴマは、飲料やペースト状物としてそのまま飲食することができる。また、得られた発酵ゴマをそのまま又は濃縮後に粉霧乾燥や凍結乾燥させて粉末化することにより、粉末品や錠剤などにすることもできる。さらに、造粒して顆粒品とすることもできる。これらの粉末品あるいは顆粒品はそのまま機能性食品として用いることができ、食品原料としてお菓子やガム、アイスクリーム等に加工することもできる。また、培養ペーストや乾燥粉末から有効成分を抽出して利用することも出来る。 さらに、上記の製造方法で得られた発酵ゴマを化粧品に加工して利用することもできる。化粧品の形態としては、軟膏剤、クリーム、液状剤などであり、具体的には、浴用剤、シャンプー、ハンドローション、外用クリームなどを挙げることができる。 市販のセサミンを利用して抗酸化物質を得る場合には、市販のセサミンに乳酸や酢酸などの有機酸を加えて加熱するか、若しくはセサミンに乳酸菌を接種して発酵させたのち、加熱する。いずれも60〜200℃で2時間加熱することで、抗酸化物質を含む液体又はペーストを得ることができる。 以下、実施例を示し、本発明について更に具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって何ら限定されるものではない。 [実施例1] 有機酸に対するセサミンの溶解度とセサモールの転化率について 5,10,15,30,50,70,100mgの市販のセサミン(フィトファーマ株式会社製の「セサミン-90」)に、乳酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸をそれぞれ1mlずつ加えて、ボルテクス(IWATA Tube mixer TM2000)で10分間高速攪拌した後、超音波を1時間与えて溶解実験を行った。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いてセサミンの溶解度を測定した。また、セサミン各15mgに乳酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、グルコン、水を1ml加え、50℃で約2時間加熱した場合のセサモールの転化率を測定した。転化率は、加熱前のセサミン含有量に対するHPLCで測定した加熱後のセサモール含有量の割合である。 株式会社島津製作所製のHPLC(商品名:promenence)を用いて行うセサミンの分析条件は以下のとおりである。 カラム:DevelosilODS10(野村化学株式会社製) 移動相:メタノール:水(V/V)=6:4 流速:3ml/min 検出法:290nm 注入量:10μl カラム温度:40℃ 上記溶液におけるセサミンの溶解曲線を図1に示す。また、セサモール転化率を図2に示す。その結果によれば、セサミンは酢酸に最もよく溶解し、次いで乳酸、クエン酸の順に溶解した。 セサミンが上記の有機酸に溶解したときに、セサモールへの転化が見られた。特に、セサミンは乳酸に対して高い転化率を示し、次いでリンゴ酸、クエン酸の順であった。これらの結果から、乳酸はセサミンをよく溶解すると共にセサモールへの転化率もよいので、理想的なセサミンの溶媒と考えられる。 [実施例2] 加熱によるセサミンの残存率とセサモールの転化率について 上記した市販の「セサミン‐90」15mgに1mlの乳酸又は酢酸をそれぞれ加え、60,80,100,120,150,180,200℃にそれぞれ保って2時間処理した。HPLCを用いてセサミンの残存率を測定すると共にセサモールへの転化率を測定した。測定は実施例1と同じ方法で行なった。 図3にセサミンの残存率を、図4にセサモールへの転化率をそれぞれ示す。その結果、各サンプルは、温度の上昇に伴いセサミンの濃度が下がる傾向が見られた。また、200℃においてセサミンの濃度は未検出になった、これはセサミンが加熱により全部消耗されたと考えられる。一方、セサモールの濃度は25〜80℃の間で増加する傾向がみられた。しかし、100〜200℃間になると減少する傾向が見られた。乳酸又は酢酸にセサミンをそれぞれ溶解して、加熱処理した各サンプルのセサミンの濃度も下がる傾向が見られたが、酢酸の方が乳酸より減少幅は少なかった。セサモールの濃度も25〜80℃の間で増加がみられたが、酢酸の方が乳酸より低い値となった。また、両者ともに100〜200℃間で減少する傾向が見られた。 [実施例3] 加熱によるセサミノールとエピセサミンの転化率について 上記した市販の「セサミン‐90」15mgに1mlの乳酸又は酢酸をそれぞれ加え、60,80,100,120,150,180,200℃にそれぞれ保って2時間処理した。HPLCを用いてセサミノールとエピセサミンの転化率をそれぞれ測定した。測定は実施例1と同じ方法で行なった。 図5にセサミノールへの転化率を、図6にエピセサミンへの転化率をそれぞれ示した。セサミノールへの転化率についてみると、乳酸の場合は25〜60℃の間で増加する傾向が見られたが、80〜120℃の間では減少する傾向が見られた。酢酸の場合は25〜80℃の間で増加する傾向が見られたが、濃度は乳酸より低い値であった。一方、エピセサミンへの転化率についてみると、セサモールやセサミノールの転化率に比べて非常に高い傾向が示された。具体的には乳酸の場合は25〜120℃の間で増加する傾向が見られ、120℃では約30%が転化した。しかし、120〜200℃の間になると減少する傾向が見られた。また、200℃においてエピセサミンの濃度は未検出となった。酢酸の場合は25〜180℃の間で増加する傾向が見られた。200℃では約20%が転化した。なお、濃度は乳酸の方が酢酸より高い傾向が示された。 [実施例4] メッシュの違いによるセサミンの抽出量について 摩砕した未発酵の黒ゴマを25メッシュ、50メッシュ、100メッシュ、200メッシュで篩い分け、その各1gに50mlの乳酸を入れて80℃で約2時間加熱した後、10分間超音波を加え、さらに60rpmで60分攪拌したのちに抽出した。 図7は各サンプルの抽出液をHPLC法で分析してセサミン量を測定した結果である。それによれば、25メッシュと200メッシュに比べて50メッシュと100メッシュの場合にセサミンの抽出量が多く、特に100メッシュが顕著であった。 [実施例5] メッシュの違いによるセサミン及びセサモールの溶解率について 摩砕した未発酵の黒ゴマを25メッシュ、50メッシュ、100メッシュ、200メッシュで篩い分けた。また、異なるメッシュで篩い分けた未発酵の黒ゴマ各1gに、乳酸50mlと上記した市販の「セサミン‐90」を、5〜45mgまで2.5mg刻みでそれぞれ加え、約2時間加熱した後、10分間超音波を加え、さらに60rpmで60分攪拌したのちに溶解度を測定した。 図8は各サンプルの抽出液をHPLC法で分析してセサミンの溶解率を測定した結果であり、図9は同様の方法で分析してセサモールの溶解率を測定した結果である。それによれば、黒ゴマを200メッシュに摩砕した場合が、25メッシュ、50メッシュ、100メッシュの場合に比べて、セサミン及びセサモールの溶解率が何れも高かった。これはセサミン自体が難水溶解であるが、摩砕した未発酵の黒ゴマの中に市販のセサミンを加える場合、黒ゴマがより微細に摩砕されて液状となるため、市販のセサミンがその中に溶け出し易いからである。なお、セサミンの溶解率は市販のセサミンの添加量にはそれほど依存しないが、セサモールの溶解率は市販のセサミンの添加量が増えるとそれにしたがって高くなる傾向が見られた。 [実施例6] ゴマ加熱発酵物の抗酸化作用-XYZ微弱発光活性について 100メッシュで篩い分けた生黒ゴマ1kgに、水3lとグルコース30gを加えて加熱滅菌した後、予備培養しておいた乳酸菌培養液(ラクトバチルス・カゼイ)をゴマ混合液に対して1%接種し、35℃で72時間静置培養した。その後、80℃で2時間加熱してゴマ発酵物を得た。このゴマ発酵物を60℃以下で24時間乾燥した後に乳鉢で粉末化し、この粉末を測定サンプルとして使用して、大久保一良らのXYZ微弱発光法(ジャパンフードサイエンス、第38巻、8号、18−21頁(1999))によるラジカル消去能を測定することにより、ゴマ発酵物の抗酸化活性を調べた。 この測定方法は、活性酸素消去物質が活性酸素およびアセトアルデヒドの存在下で微弱発光する現象を利用するものである。活性酸素種をX、抗酸化物質などの水素供与体をY、触媒種をZとした場合、これらX、Y、Zの3種の存在によって起こる発光反応の強さを測定することで、ゴマ発酵物の抗酸化活性を知ることができる。これら3種のうちの2種を試薬としてサンプルに加えた場合に発光が起これば、そのサンプルは前記2種以外の残り1種として機能することがわかる。すなわち、前記2種の試薬の組み合わせを変えることにより、サンプルがX、Y、Zのいずれの機能を有するかの検索が可能である。 この方法では、例えば活性酸素消去物質が活性酸素およびアセトアルデヒドの存在下で微弱発光する現象を活性酸素消去能のサンプルが抗酸化物質(Y)として機能するかを調べる場合には、サンプルにXおよびZに相当する試薬を添加して発光が確認されればよい。さらにその発光輝度(IOD)を測定することにより、サンプルの活性酸素消去能の強弱を知ることができる。 例えばY活性を測定する場合、本実施例で得られたゴマ発酵製品50mgをマイクロプレートの各ウェルに入れ、Z試薬(飽和炭酸水素カリウム−10%アセトアルデヒド水溶液)、X試薬(2%過酸化水素水)を順次それぞれ0.5mlづつ加えて混和後、1−ブタノールを重層し、直ちにルミノイメージアナライザーFAS−1000(東洋紡製)にて輝度を測定した。同様に、X活性を測る場合には、Z試薬とY試薬(10%アセトアルデヒト没食子酸飽和溶液)を用い、Z活性を測る場合には、X試薬とY試薬を混合して測定した。 乳酸菌発酵ゴマと未発酵ゴマのX活性、Y活性、Z活性を図10に示した。これらの結果から、乳酸菌発酵ゴマのY活性が高くなっていることが分かった。 [実施例7] 乳酸菌発酵ゴマの抗酸化活性について 実施例6で得られた乳酸菌発酵ゴマを60℃以下で24時間乾燥させたのち乳鉢で粉末化し、この粉末を測定サンプルとして使用し、この乳酸菌発酵ゴマについての抗酸化活性を測定した。抗酸化活性は、食品の抗酸化機能を評価する方法として一般的な方法であるDPPH(1,1−ジフェニルル−2−ピクリルヒドラジル)分光測定法により測定した。 その結果を図11に示した。乳酸菌発酵ゴマは未発酵ゴマと比較すると脂溶系の抗酸化活性が増大することがわかった。 [実施例8] インターロイキン-12の産生量について 実施例6で得られた乳酸菌発酵ゴマを60℃以下で24時間乾燥させたのち乳鉢で粉末化し、この粉末を測定サンプルとして使用し、この乳酸菌発酵ゴマについて、下記のようにしてインターロイキン-12(IL−12)産生量を測定した。IL−12は免疫賦活作用を有する物質である。 <IL−12の測定> A:試薬 ・IL−12アッセイキット(和光純薬工業株式会社) ・Hank’s液(ペニシリン、ストレプトマイシン含有) ・10%FCS含有RPMI1640溶液(RPMI1640(和光純薬工業株式会社)溶液と、牛胎児血清(FCS)とを容量比9:1で混合したもの) ・リポポリサッカライド(LPS:和光純薬工業株式会社)溶液(10%FCS含有RPMI1640溶液を用いて100ng/mlに調製したもの) B:サンプル液 本実施例で得られた乳酸菌発酵ゴマ200mgを乳鉢で粉砕した後、Hank’s液1.8mlに溶解した。これを15mlチューブに移し、室温にて1時間静置した。その後、1000rpmで10分間遠心分離し、上清0.5mlを回収した。回収した0.5mlを原液とし、Hank’s液4mlを加えてサンプル液とした。比較のため未発酵ゴマを用い、同様にサンプル液を調製した。 C:IL−12産生促進活性の測定方法 C57BL/6マウス(メス6週齢、n=8)を1週間予備飼育した。7週齢の実験マウスの腹腔内に、調製した各サンプル液をそれぞれ0.5ml投与した(この実験においてコントロール群にはHank’s液のみを投与)。サンプル液の投与から18時間後に腹腔内細胞を回収した。回収した細胞を10%FCS含有RPMI1640溶液にて洗浄し、溶血バッファーにて赤血球を除去した後、細胞数を算定し、10%FCS含有PRMI1640溶液を用いて、1×106cells/mlに調製し、24穴カルチャープレートにて培養した。その際に、100ng/mlのLPSを10μl加えた場合と加えなかった場合との2通りで培養した。LPS添加から18時間後に培養上清を回収し、IL−12アッセイキットを用い、その製品プロトコールに準じてIL−12産生量を測定した。 D:測定結果 サンプル液を投与したマウスの細胞毎に、LPSを加えて培養した細胞におけるIL−12産生量と、LPSを加えずに培養した細胞におけるIL−12産生量の差を求め、その平均値を検体とした乳酸菌発酵ゴマのIL−12産生量とした。 その結果を図12に示す。この結果から明らかなように、本実施例の乳酸菌発酵ゴマは、未発酵ゴマと比較して顕著にIL−12産生促進作用が増大していた。 セサミンを主要成分とする原料に乳酸菌を接種して発酵させ、これを加熱することによって抗酸化物質を製造する方法。 セサミンを主要成分とする原料に有機酸を加え、これを加熱することによって抗酸化物質を製造する方法。 ゴマ種子に乳酸菌を接種して発酵させ、これを加熱することによって抗酸化物質を製造する方法。 セサミンを加えたゴマ種子に乳酸菌を接種して発酵させ、これを加熱することによって抗酸化物質を製造する方法。 前記有機酸が乳酸又は酢酸である請求項2に記載の抗酸化物質を製造する方法。 前記乳酸菌がラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)又はラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)である請求項1、3又は4に記載の抗酸化物質を製造する方法。 前記ゴマ種子が50〜200メッシュで粉砕処理されている請求項3又4に記載の抗酸化物質を製造する方法。 前記加熱する温度が60〜200℃、好ましくは60〜150℃である請求項1乃至4のいずれかに記載の抗酸化物質を製造する方法。 【課題】 セサミンが有機酸に溶けることを利用し、セサミンを含有する原料からセサモール、セサミノール、エピセサミンなどの水溶性の抗酸化物質を容易に製造することである。【解決手段】 ゴマ種子またはセサミンを加えたゴマ種子に乳酸菌を接種して発酵させ、これを加熱することによって抗酸化物質を製造する方法である。乳酸菌としてはラクトバチルス・カゼイ又はラクトバチルス・ロイテリが用いられる。また、ゴマ種子を50〜200メッシュに摩砕したのち乳酸菌発酵し、60〜200℃で加熱するのが望ましい。【選択図】 図2


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