タイトル: | 公開特許公報(A)_セラミド増加作用を呈する椿発酵エキスの製造方法 |
出願番号: | 2010202790 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | A61K 36/18,A61K 36/00,A61K 36/48,A61P 43/00,A61P 17/00,A61P 37/08,A61P 17/16,A61Q 19/00,A61K 8/97 |
重田 誠 JP 2012056902 公開特許公報(A) 20120322 2010202790 20100910 セラミド増加作用を呈する椿発酵エキスの製造方法 重田 誠 310018021 重田 誠 A61K 36/18 20060101AFI20120224BHJP A61K 36/00 20060101ALI20120224BHJP A61K 36/48 20060101ALI20120224BHJP A61P 43/00 20060101ALI20120224BHJP A61P 17/00 20060101ALI20120224BHJP A61P 37/08 20060101ALI20120224BHJP A61P 17/16 20060101ALI20120224BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20120224BHJP A61K 8/97 20060101ALI20120224BHJP JPA61K35/78 CA61K35/78 YA61K35/78 JA61P43/00 111A61P17/00A61P37/08A61P17/16A61Q19/00A61K8/97 1 OL 7 4C083 4C088 4C083AA111 4C083AA112 4C083BB51 4C083CC02 4C083EE10 4C083EE12 4C083EE13 4C088AB45 4C088AB61 4C088AC04 4C088AD21 4C088BA07 4C088CA02 4C088CA25 4C088MA07 4C088MA63 4C088NA05 4C088NA06 4C088NA14 4C088ZA89 4C088ZB13 4C088ZC19この発明はセラミド増加作用を呈する椿発酵エキスの製造方法に関するものである。セラミドとは皮膚やさまざまな組織の細胞膜を構成し、細胞を保護する働きを有するスフィンゴシンと脂肪酸が結合した油溶性の高い物質である。セラミドはセラミドシンターゼにより生合成される経路とミエリンを分解して得られる方法により合成される。一方、生体にはセラミドを分解する酵素系も存在し、エステル結合を分解し、脂肪酸とスフィンゴシンに分解される。また、皮膚ではセラミドは上皮細胞により作り出され、細胞膜に分泌され、皮膚組織にバリア機構を呈する。セラミドは炎症や紫外線などの刺激により分解され減少する。また、加齢とともに減少する。アトピー性皮膚炎などでも減少し、水分が損失してカサカサの乾燥肌となる。セラミドを増加させる方法としては脂肪酸や保湿成分の摂取が一番効率的であるが、外部から得られるセラミドは分解されやすいという欠点がある。そこで、生体内でセラミドを生成する方法の開発が望まれている。また、植物やハーブにはセラミドを増加させる有効成分が含有されており、これらの有効成分の単離や精製が進められている。セラミドの合成を促進する発明として、セラミド産生促進剤の発明がみられる。これはツバキ科植物の根と茎とを除く、当該植物由来の、水および有機溶媒にともに溶解性を示す抽出物を有効成分として含有するものに関する発明である(例えば、特許文献1参照。)。 また、ツバキセラミドの抽出方法および皮膚・頭髪化粧料に関する発明がある(例えば、特許文献2参照。)。しかし、これらの発明ではセラミドを増加させ、産業上に利用される具体的なものについては言及されておらず、その利用が限られるという課題がある。特願2002−361408特願2006−139806前記したようにセラミドの合成を促進させる物質や方法には限界がある。さらに、セラミドをそのまま摂食しても自身の皮膚や関節のセラミドに変換されないという問題点も周知である。一方、天然由来の物質についてその安全性は高いものの、その効果が軽度であるという問題がある。そこで、副作用が弱く、優れたセラミド増加作用を呈する天然物由来物質が望まれている。この発明は上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、副作用が弱く、セラミド増加作用を呈するエキスや物質の製造方法を提供することである。上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明はセラミド増加作用を呈するエキスの製造方法に関するものである。この発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。請求項1に記載の製造方法によれば、副作用が少なく、セラミド増加作用を呈する椿発酵エキスを効率良く製造することができる。以下、この発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。つまり、椿の種子と大豆を納豆菌により発酵させた発酵物に米糠油を添加し、攪拌した後、マイナス10℃以下に冷却後、マイナス1℃に温度を上昇させ、分離した油溶性部分を採取する工程からなるセラミド増加作用を呈する椿発酵エキスの製造方法について説明する。まず、セラミドを増加させるエキスとは椿を発酵して得られ、油溶性の高いエキスである。原料となる椿は、ツバキ属ツバキ科学名Camellia japonicaの樹木であり、ここでは、ヤブツバキなどを指す。椿の種子とはヤブツバキの種子であり、食用や化粧品に利用されている。この椿は日本産、特に、大島産の椿は品質が高いことから好ましい。原料となる大豆は、日本産、中国産、アメリカ産、ロシア産などいずれの産地の大豆でも利用できる。無農薬、または、減農薬で栽培された非遺伝子組換型の大豆が好ましい。椿の種子と大豆は中山技術研究所製DM−6などの粉砕機で粉砕される。その後、雑菌の繁殖を防止する目的で、オートクレーブ滅菌される。原料となる納豆菌とは、納豆や食品の加工用に用いられる枯草菌の一種である。納豆素本舗製の納豆菌は品質が安定し、発酵に適していることから、好ましい。前記の発酵に供する原料の添加量は、椿の種子の粉末1重量に対し、大豆粉末は0.8〜4重量が好ましく、納豆菌は0.002〜0.03重量が好ましい。前記の発酵は清浄な培養用タンクで実施され、純水により前記の材料を混合することは好ましい。また、この発酵は、33〜43℃に加温され、発酵は24〜96時間行われる。発酵後に、効率良く抽出するために、純水で希釈される。この発酵の工程によって、納豆菌により椿の種子と大豆が分解され、また、エステル酵素により結合体や重合体が形成される。特に、椿の種子の脂肪酸と大豆のペプチドが結合したペプチド脂肪酸などが生成される。前記の水道水で希釈された発酵物に米糠油が添加され、攪拌される。発酵物1重量に対して添加される米糠油は0.3〜1.3重量が好ましい。米糠油とは米糠から圧搾して得られる米糠油である。築野食品工業株式会社や小川食品工業株式会社製の米糠油は品質が高いことから好ましい。この混合物は家田機器製のプロペラ式攪拌機などにより攪拌される。攪拌速度は10〜30回/分程度で、時間は30分間〜1時間程度で、室温での実施が好ましい。攪拌された混合物はマイナス10℃以下に凍結される。この凍結により混合物は凍りつく。この凍結にはドライアイスや液体窒素を用いることは、急速な凍結により有効成分の消失を避けることから好ましい。この凍結により混合物に含まれる油溶性成分が米糠油に移行する。この凍結は12〜24時間維持されることが好ましい。この凍結物は冷凍庫内でマイナス1℃に温度を上昇させられる。この温度上昇は1〜3時間くらいの時間をかけて少しずつ行うことが以下の抽出を効率良く実施できることから好ましい。マイナス1℃になることにより、米糠油に溶解した物質のみが上清に油溶状の物質として得られる。この上清をすくい取り、ろ紙によりろ過される。ろ過されたろ液はさらに遠心分離されることは不純物を除去できることから好ましい。得られた米糠油は滅菌されることが好ましい。滅菌の方法としては100℃で5分間から10分間の加熱滅菌が好ましい。冷却後、目的とする油状のエキスが椿発酵エキスとして得られる。椿発酵エキスはデキストリンやシクロデキストリンと混合することにより水溶性とすることができる。さらに、水で抽出することにより水溶性エキスとすることができる。これらの椿発酵エキスは化粧料として化粧品に用いられ、この化粧品はセラミドが減少したアトピー性皮膚炎や乾燥肌に適している。また、この椿発酵エキスは食品として利用され、体内から皮膚組織に移行し、セラミドを増加させる。食品としては食用油、サプリメントなどの形態で用いられる。以下、前記実施形態を実施例及び試験例を用いて具体的に説明する。大島で栽培された椿の種子を収穫後、水洗後、天日乾燥させた。これを粉砕機(高速粉砕機、日本リーイング製)により粉砕した。この椿の種子の粉砕物1kgを清浄な50リットル用発酵用タンクに添加し、精製水5リットルを添加した。北海道産の大豆の粉砕物を金剛薬品株式会社より購入し、この大豆の粉砕物0.9kgを上記の発酵用タンクに添加し、攪拌した。これを90℃に加熱し、冷却して滅菌した。これに納豆本舗株式会社の納豆菌12gを添加し、発酵させた。この発酵は39℃で70時間行った。得られた発酵物3リットルをタンクに移行させ、筑野食品工業株式会社の米糠油3リットルを添加した。これをプロペラ式攪拌機により20回/分の速度で30分間攪拌した。これに液体窒素を添加して、急速に凍結させた。マイナス20℃で24時間凍結させた。この凍結物を冷凍庫内でマイナス1℃に、3時間をかけて温度を上昇させた。マイナス1℃の状態で分離した上清をすくい取り、ろ紙によりろ過した。ろ過されたろ液を遠心分離機により不純物を除去した。得られた米糠油をヒーターにより加温し100℃で10分間加熱し、滅菌させた。これを冷却し、目的とする椿発酵エキスを1.1kg得た。以下に、前記の実施例1を用いた試験例を報告する。ヒト皮膚由来上皮細胞を用いた実験により効果を試験した。これはヒト皮膚由来の上皮細胞を用いてセラミドの生成量を評価する試験方法であり、ヒト皮膚に対する評価法として確立されている。 (試験例1)正常ヒト成人由来上皮細胞(クラボウ株式会社製)を専用培養液にて培養し、実施例1で得られた検体を培養液に溶解し、0.1mg/mLの濃度になるように添加し、37℃で48時間培養した。溶媒対照としてジメチルスルホキシドを用いた。なお、陽性対照として上皮細胞増殖因子(EGF、コスモバイオ製)を精製水に溶解して検体1を1mg/mLの濃度で添加した。細胞数を計数し、さらに、セラミド量を抗体法(コンドレックス社製)により測定した。その結果、溶媒対照の値に対して実施例1の検体添加による上皮細胞数は溶媒対照の値に比して122%であり、実施例1の検体は上皮細胞の増殖性を示した。また、陽性対照のEGFの1mg/mLの添加では、溶媒対照の値に対して119%となったことから、実施例1の検体は、EGFよりも強い上皮細胞増加作用を示すことが判明した。セラミド量については溶媒対照の値に対して実施例1の検体1mg/mLの値は溶媒対照に比して156%でありセラミドの増加作用を示した。また、陽性対照のEGFの1mg/mLの添加では、溶媒対照の値に対して111%となったことから、実施例1の検体は、EGFよりも強いセラミド増加作用を示すことが判明した。本発明のセラミド増加作用を呈する椿発酵エキスの製造方法は国民の健康と美容に貢献する。また、美容産業の育成に貢献するものである。さらに、セラミドはアトピー性皮膚炎の治療に必要であることから、このエキスはアトピー性皮膚炎に悩む人々の健康増進に寄与する。本発明は、発酵技術を利用しており、発酵産業の技術向上に寄与するものである。椿の種子と大豆を納豆菌により発酵させた発酵物に米糠油を添加し、攪拌した後、マイナス10℃以下に冷却後、マイナス1℃に温度を上昇させ、分離した油溶性部分を採取する工程からなるセラミド増加作用を呈する椿発酵エキスの製造方法。 【課題】 セラミド増加作用を呈する椿発酵エキスの製造方法を提供する。【解決手段】 セラミド増加作用を呈する椿発酵エキスは椿の種子、大豆、納豆菌を添加し、発酵させた発酵液に米糠油を添加して凍結する工程を特徴とする。前記の水道水で希釈された発酵物に米糠油が添加され、攪拌される。発酵物1重量に対して添加される米糠油は0.3〜1.3重量が好ましい。攪拌された混合物はマイナス10℃以下に凍結される。この凍結により混合物に含まれる油溶性成分が米糠油に移行する。椿発酵エキスはセラミド合成酵素を活性化することによりセラミドを増加させ、皮膚角質や上皮組織を保護する。【選択図】 なし