タイトル: | 特許公報(B2)_ジアミン、液晶配向剤、液晶配向膜および液晶表示素子 |
出願番号: | 2010183539 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | C07C 237/32,G02F 1/1337,C08L 79/08,C08G 73/10 |
大木 洋一郎 伊澤 啓介 藤馬 大亮 JP 5643985 特許公報(B2) 20141114 2010183539 20100819 ジアミン、液晶配向剤、液晶配向膜および液晶表示素子 JNC株式会社 311002067 JNC石油化学株式会社 596032100 特許業務法人 もえぎ特許事務所 110000774 大木 洋一郎 伊澤 啓介 藤馬 大亮 20141224 C07C 237/32 20060101AFI20141204BHJP G02F 1/1337 20060101ALI20141204BHJP C08L 79/08 20060101ALI20141204BHJP C08G 73/10 20060101ALI20141204BHJP JPC07C237/32G02F1/1337 525C08L79/08 CC08G73/10 C07C 237/32 C08G 73/10 C08L 79/08 G02F 1/1337 CAplus/REGISTRY(STN) 米国特許第04284620(US,A) 国際公開第2009/093707(WO,A1) 国際公開第2009/093704(WO,A1) 国際公開第2010/035719(WO,A1) 国際公開第2009/038038(WO,A1) 欧州特許出願公開第01760072(EP,A1) Jonathan R. Nitschke, et al.,The Hydrophobic Effect as a Driving Force in the Self-Assembly of a [2x2] Copper(I) Grid,Angewandte Chemie International Edition,2004年12月 9日,vol.43 no.48,p.6724-6727 Yang, Jin, et al.,Synthesis, Structure and Properties of the Novel Polyimide with Benzoxazoline Pendent Group,ACTA Chimica Sinica,中国,2009年,vol.67 no.8,p.875-878 19 2012042694 20120301 57 20130321 村守 宏文 本発明は新規なジアミン、及び、ポリアミック酸またはその誘導体を含有する液晶配向剤とその用途に関する。 液晶表示素子は、ノートパソコンやデスクトップパソコンのモニターをはじめ、ビデオカメラのビューファインダー、投写型のディスプレイ等の様々な液晶表示装置に使われており、最近ではテレビとしても用いられるようになってきた。さらに、光プリンターヘッド、光フーリエ変換素子、ライトバルブ等のオプトエレクトロニクス関連素子としても利用されている。 液晶表示素子は、通常、1)対向配置されている一対の基板、2)この一対の基板のそれぞれの対向している面の一方または両方に形成されている電極、3)前記一対の基板それぞれの対向している面に形成された液晶配向膜、および4)前記一対の基板間に形成された液晶層、を有する。 従来の液晶表示素子としてはネマチック液晶を用いた表示素子が主流であり、1)90度ツイストしたTN(Twisted Nematic)型液晶表示素子、2)通常180度以上ツイストしたSTN(Super Twisted Nematic)型液晶表示素子、3)薄膜トランジスタを使用したいわゆるTFT(Thin Film Transistor)型液晶表示素子などが実用化されている。これらの液晶表示素子は、画像が適正に視認できる視野角が狭く、斜め方向から見たときに、輝度やコントラストの低下および中間調での輝度反転を生じるという欠点を有している。 近年、この視野角の問題については、1)光学補償フィルムを用いたTN−TFTモード液晶表示素子、2)垂直配向と光学補償フィルムを用いたVA(Vertical Alignment)モード液晶表示素子、3)垂直配向と突起構造物の技術を併用したMVA(Multi Domain Vertical Alignment)モード液晶表示素子、または4)横電界方式のIPS(In-Plane Switching)モード液晶表示素子等の技術により改良、実用化されている。 液晶表示素子の技術の発展は、単にこれらの駆動方式や素子構造の改良のみならず、素子に使用される構成部材の改良によっても達成されている。液晶表示素子に使用される構成部材のなかでも、特に液晶配向膜は表示品位に係わる重要な材料の1つであり、液晶表示素子の高品質化に伴い、配向膜の性能を向上させる事が重要になってきている。 液晶配向膜は、液晶配向剤より調製される。現在、主として用いられている液晶配向剤は、ポリアミック酸または可溶性のポリイミドを有機溶剤に溶解させた溶液である。このような溶液を基板に塗布した後、加熱等の手段により成膜して配向膜を形成させる。ポリアミック酸以外のポリマーを用いる液晶配向剤も検討されているが、耐熱性、耐薬品性(耐液晶性)、塗布性、液晶配向性、電気特性、光学特性、表示特性等の点から、ほとんど実用化されていない。 このような配向膜には下記のような液晶表示素子にもたらす効果が要求される。(1)液晶分子に適切なプレチルト角を付与すること。しかも、該プレチルト角が、ラビング時の押込み強度や、加熱時の温度条件による影響を受けにくいこと。(2)ラビングムラ、キズ、または配向膜の削れ等による、液晶分子の配向の欠陥が発生しないこと。(3)液晶表示素子に適切な電圧保持率(Voltage Holding Ratio:VHR)を与えること。(4)液晶表示素子に任意の画像を長時間表示させた後、別の画像に変えた時に前の画像が残像として残る「焼き付き」と呼ばれる現象が起きにくいこと。 VAモードまたはIPSモードを用いた液晶表示素子は、既述したように視野角特性が良好であることから、近年発展している液晶TVの殆どに用いられている。この両モードの性能を比較した場合、駆動原理に起因した一長一短がそれぞれ存在する。例えば、IPSモードの場合、視野角特性が特に良好である、中間調での応答速度が比較的早いなどの長所を持つ。しかしながら、コントラストがVAモードに比べ悪い。IPSモードは電圧未印加時に黒が表示されるが、この状態がラビングに伴う液晶の初期配向状態に依存することが、コントラストを悪化させている原因の一つである。つまり、IPS配向膜においては、液晶配向性が高く、黒表示がより黒く表示できる(黒レベルが良い)配向膜が強く求められている。このような課題の解決を目的とした先行技術の例として特許文献1が挙げられる。しかし、この文献の技術は末端に三重結合を有するジアミンを用いることを特徴としているが、IPSモードの液晶表示素子では効果が確認されていない。特開2009−300940号公報 本発明は、液晶配向性が高く、黒レベルの良い液晶配向膜を得るための液晶配向剤を開発することを課題とする。 本発明者らは、特定の構造を有するジアミンを原料の一つとして用いたポリアミック酸もしくはその誘導体からなる液晶配向剤を用いることで、上記要求特性を満足できる液晶表示素子が得られることを見出し、本発明を完成させた。 本発明に拠れば、配向性の良い液晶配向剤を得ることができる。特にIPSモードに関する黒レベルの改善に効果的である。さらに、本発明に拠れば、体積抵抗値の小さい配向膜を得るという効果も奏することができる。本発明は以下の構成からなる。[1] 一般式(I)で表されるジアミン。(式中、Rは窒素原子にメチレン基を介して末端に水酸基が結合されているアミド基である。)[2] Rが(a)、(b)、または(c)で表される〔1〕記載のジアミン。(式中、R0は水素またはメチル基である。)[3] R0が水素である[2]に記載のジアミン。[4] 式(I)中、2つのアミノ基がRで表される置換基に対し、それぞれ3位、5位に置換されている[1]〜[3]のいずれかに記載のジアミン。[5] [1]〜[4]のいずれかに記載の式(I)で表されるジアミンの少なくとも1種類をテトラカルボン酸二無水物と反応させて得られるポリアミック酸およびその誘導体。[6] [1]〜[4]のいずれかに記載の式(I)で表されるジアミンの少なくとも1種類と他のジアミン(D2)との混合物をテトラカルボン酸二無水物と反応させて得られるポリアミック酸およびその誘導体。[7] テトラカルボン酸二無水物が以下の式(DA−20)〜式(DA−32)からなる群から選ばれる1種類以上である[5]もしくは[6]に記載のポリアミック酸およびその誘導体。式(DA−20)において、G5は単結合、炭素数1〜12のアルキレン、1,4−フェニレン、または1,4−シクロヘキシレンであり;X10は独立して単結合またはCH2である。;そして、G6は独立してCHまたはNであるが、G6がNの場合はG5が単結合またはCH2であることはなく、X10が単結合であることはない。式(DA−21)において、R14は独立して水素、メチル、エチル、またはフェニルである。式(DA−22)において、環A6はシクロヘキサン環またはベンゼン環である。式(DA−23)において、G7は単結合、炭素数1から10のアルキレン、1,4−フェニレン、O、CO、S、SO2、C(CH3)2、またはC(CF3)2であり;そして、環A7は独立してシクロヘキサン環またはベンゼン環である。式(DA−24)において、R15は水素またはメチルである。式(DA−25)において、X10は単結合またはCH2であり;X11は独立してCH2、CH2CH2またはCH=CHであり;そして、vは1または2である。式(DA−26)において、X10は単結合またはCH2である。式(DA−27)において、R14は水素、メチル、エチル、またはフェニルであり;環A8はシクロヘキサン環、シクロヘキセン環またはベンゼン環であり;そして、X12は単結合、CH2またはCH(CH3)である。式(DA−28)において、w2およびw3は0または1であるが、w2=1のときはw3=1である。式(DA−30)において、X13は独立して炭素数2〜6のアルキルであり;そして、Phはフェニルを表す。式(DA−32)において、X14は独立して単結合またはCH2を表す。[8] 他のジアミン(D2)が下記式(1−1)〜(4)で表されるジアミンであることを特徴とする[6]〜[7]のいずれかに記載のポリアミック酸およびその誘導体。式(1−1)において、bは0または1であり;シクロヘキシレンにおける任意の水素はメチルで置き換えられてもよく;式(1−2)において、W1は−CH2−または−NH−であり:ここに、X1は単結合または炭素数1〜10のアルキレンであり;このアルキレンの任意の−CH2−は−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−CO−、−SO2−、1,3−フェニレン、1,4−フェニレンまたはピペラジン−1,4−ジイルで置き換えられてもよく;式(3)において、X2は単結合、−O−、−COO−、−OCO−または炭素数1〜6のアルキレンであり;R1は炭素数3〜30のアルキル、または式(a)で表される基であり;式(a)において、X3およびX4は独立して単結合または炭素数1〜4のアルキレンであり;環Bおよび環Cは独立して1,4−フェニレンまたは1,4−シクロヘキシレンであり;R2およびR3は独立してフッ素またはメチルであって、fおよびgは独立して0、1または2であり;c、dおよびeは独立して0または1であって、これらの合計は1〜3であり;R4は炭素数1〜30のアルキル、炭素数1〜30のアルコキシ、炭素数2〜30のアルコキシアルキルまたはコレステリル基であり、これらのアルキル、アルコキシおよびアルコキシアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく:ここに、X5は独立して−O−または炭素数1〜6のアルキレンであり;jは独立して0または1であり;R5は水素、炭素数2〜12のアルキルまたは炭素数2〜12のアルコキシであり;環Tは1,4−フェニレンまたは1,4−シクロヘキシレンであり;X6は単結合または炭素数1〜3のアルキレンであり;hは0または1である。[9]他のジアミン(D2)が下記の化合物の群から選ばれる少なくとも1つである[6]〜[7]のいずれかに記載のポリアミック酸およびその誘導体。(式中、R11は−CH2−、−O−または炭素数1〜4の直鎖アルキレンであり、R12は水素またはCH3であり、R13は炭素数2〜4の直鎖アルキレンであり、R14は炭素数1〜8の直鎖アルキレンであり、R15は独立して−CH2−、−(CH2)2−、または−NH−であり、R16水素原子、または炭素数1〜10の直鎖アルキレンであり、R17は水素原子、または炭素数1〜16の直鎖アルキレンであり、R18は独立して−CH2−、−(CH2)2−、または−O−である。)[10] [5]〜[9]のいずれかに記載のポリアミック酸およびその誘導体から選ばれる少なくとも1つの重合体を含有する組成物。[11] [5]〜[9]に記載のポリアミック酸およびその誘導体から選ばれる少なくとも1つの重合体を含有する組成物からなる液晶配向剤。[12] エポキシ化合物(E)を含む[11]に記載の液晶配向剤。[13] エポキシ化合物(E)が下記式(E1)〜(E6)で表される化合物からなる群から選ばれる1種類以上である[12]に記載の液晶配向剤。(式中、nは1〜10の整数である。)[14] オキサゾリン化合物(F)を含む[11]に記載の液晶配向剤。[15] オキサゾリン化合物(F)が下記式(F1)で表される化合物である[14]に記載の液晶配向剤。[16] ビスアリルナジイミド化合物(G)を含む[11]に記載の液晶配向剤。[17] ビスアリルナジイミド化合物(G)が下記式(G1)および(G2)で表される化合物からなる群から選ばれる1種類以上である[16]に記載の液晶配向剤。[18]前記、(E1)〜(E6)、(F1)、(G1)および(G2)で表される化合物からなる群から選ばれる1種類以上を含む[11]に記載の液晶配向剤。[19] [11]〜[18]のいずれかに記載の液晶配向剤から形成された液晶配向膜。[20] [11]〜[18]のいずれかに記載の液晶配向剤からなる液晶配向膜を具備する液晶表示素子。 本発明のジアミンは下記式(I)で表すことができる。(式中、Rは窒素原子にメチレン基を介して末端に水酸基が結合されているアミド基である。)式(I)で、Rが下記(a)、(b)、または(c)で表されるジアミンがより好ましい。(式中、R0は水素またはメチル基である。) 式(I)で表されるRが(a)もしくは(b)である化合物はスキーム1に示す方法で合成できる。スキーム1. ジニトロ安息香酸クロライドをトリエチルアミンなどの塩基存在下、アミン化合物と反応させることで、ジニトロベンズアミド化合物が得られる。このニトロ基を還元することで、本発明のジアミンが得られる。スキーム1中、R0は水素またはメチル基であり、R’は下記で表される構造である。式(I)で表されるRが(c)である化合物はスキーム2に示す方法で合成できる。スキーム2. ジニトロ安息香酸クロライドをトリエチルアミンなどの塩基存在下、ジエタノールアミンと反応させることでジニトロベンズアミド化合物が得られる。このニトロ基を還元することで、本発明のジアミンが得られる。 本発明の液晶配向剤は、ポリアミック酸およびその誘導体から選択される少なくとも1つのポリマーと溶剤を含有する組成物である。ポリアミック酸の誘導体としては、ポリアミック酸を完全に脱水閉環反応させて得られるポリイミド、ポリアミック酸を部分的に脱水閉環反応させて得られる部分イミド化ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、テトラカルボン酸二無水物の一部をジカルボン酸に置き換えることによって得られるポリアミック酸−ポリアミド共重合体、このポリアミック酸−ポリアミド共重合体の一部もしくは全部を脱水閉環反応させて得られるポリアミドイミドが挙げられる。これらのうちポリイミドおよび部分イミド化ポリアミック酸が好ましく、ポリイミドがより好ましい。 本発明では、式(I)で表されるジアミンとその他のジアミン(D2)との混合物を酸二無水物と反応させて得られるポリアミック酸とその誘導体とからなる群から選択される少なくとも1つのポリマーを用いる。 本発明で使用する式(I)で表されるジアミンの具体例は下記に挙げる(I−1)〜(I−10)であり、これらを併用してもよく、ひとつのみを使用してもよい。そしてこれらの化合物のうち、特に(I−5)もしくは(I−9)の化合物が好ましい。 本発明化合物以外のジアミン(D2)を用いて液晶配向剤を調製する場合、本発明の効果をより実現させる為に、本発明化合物(I)が含まれる割合は、ジアミンの総使用量に対し好ましくは5〜100モル%、さらに好ましくは5〜95モル%、最も好ましいのは20〜80モル%である。 本発明で用いるジアミン(D2)は公知のジアミンから制限されることなく選択されるが、好ましいジアミンとして、次に示すジアミン(1−1)〜ジアミン(1−3)、ジアミン(2)、ジアミン(3)およびジアミン(4)を挙げることができる。これらのジアミンの群から選ばれる少なくとも1つのジアミンを用いることが好ましい。式(1−1)において、bは0または1であり、シクロヘキシレンにおける任意の水素はメチルで置き換えられてもよい。式(1−2)において、W1は−CH2−または−NH−である。 これらのジアミン(D2)の具体例を次に示す。以下の具体例のうち、液晶の配向性をさらに向上させる観点、液晶表示素子のVHRを向上させる観点および配向膜中の残留DCの緩和速度を向上させる観点のいずれからも、ジアミン(1−2−1)およびジアミン(1−3)が特に好ましい。式(2)において、X1は単結合または炭素数1〜10のアルキレンであり、このアルキレンの任意の−CH2−は−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−CO−、−SO2−、1,3−フェニレン、1,4−フェニレンまたはピペラジン−1,4−ジイルで置き換えられてもよい。X1の好ましい例は炭素数1〜10のアルキレンであり、このときアルキレンの任意の−CH2−は−O−、−S−、−NH−、−C(CH3)2−、1,4−フェニレンまたはピペラジン−1,4−ジイルで置き換えられてもよい。そして、アミノ基が結合するベンゼン環の任意の水素はメチルで置き換えられてもよいが、メチルで置き換えられない方が好ましい。 ジアミン(2)の具体例を次に示す。 式(3)において、X2は単結合、−O−、−COO−、−OCO−または炭素数1〜6のアルキレンであり、好ましくは単結合、−O−、−COO−または炭素数1〜3のアルキレンである。R1は炭素数3〜30のアルキル、または式(a)で表される基であり、好ましくは炭素数4〜20のアルキルまたは式(a)で表される基である。 式(a)において、X3およびX4は独立して単結合または炭素数1〜4のアルキレンであり、好ましくは単結合、−CH2−または−CH2CH2−である。環Bおよび環Cは独立して1,4−フェニレンまたは1,4−シクロヘキシレンである。R2およびR3は独立してフッ素またはメチルであって、fおよびgは独立して0、1または2であるが、fおよびgが共に0であることが好ましい。c、dおよびeは独立して0または1であって、これらの合計は1〜3である。R4は炭素数1〜30のアルキル、炭素数1〜30のアルコキシまたは炭素数2〜30のアルコキシアルキルであり、これらのアルキル、アルコキシおよびアルコキシアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよい。R4の好ましい例は、炭素数1〜20のアルキル、炭素数1〜20のアルコキシおよび炭素数2〜20のアルコキシアルキルであり、これらのアルキル、アルコキシおよびアルコキシアルキルにおける水素がフッ素で置き換えられることはない。 ジアミン(3)の好ましい例を次に示す。 式(3−1)〜式(3−25)において、R20は炭素数1〜20のアルキルまたは炭素数1〜20のアルコキシであり、好ましくは炭素数5〜16のアルキルである。R21は炭素数1〜20のアルキルまたは炭素数1〜20のアルコキシであり、好ましくは炭素数3〜10のアルキルである。R22は炭素数4〜20のアルキルまたはコレステリル基であり、好ましくは炭素数6〜16のアルキルまたはコレステリル基である。R23は炭素数4〜20のアルキルであり、好ましくは炭素数6〜16のアルキルである。R24は炭素数3〜20のアルキルまたは炭素数3〜20のアルコキシであり、好ましくは炭素数5〜12のアルキルである。 式(4)において、X5は独立して−O−または炭素数1〜6のアルキレンであり,好ましくは共に−O−、−CH2−または−CH2CH2−である。jは独立して0または1である。R5は水素、炭素数1〜20のアルキルまたは炭素数1〜20のアルコキシであり、好ましくは水素、炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数1〜12のアルコキシであり、さらに好ましくは炭素数4〜7のアルキルである。環Tは1,4−フェニレンまたは1,4−シクロヘキシレンである。X6は単結合または炭素数1〜3のアルキレンである。そして、hは0または1である。なお、ベンゼン環に対するアミノ基の結合位置は、X5に対してパラ位であることが好ましい。 ジアミン(4)の好ましい例を次に示す。 式(4−1)〜式(4−16)において、R26は水素、炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数1〜12のアルコキシであり、好ましくは炭素数4〜7のアルキルである。 上記のジアミン(D2)の具体例のうち、次に示すジアミン(1−2−1)、ジアミン(1−3)、ジアミン(2−1)〜ジアミン(2−3)、ジアミン(2−7)、ジアミン(2−10)〜ジアミン(2−27)、ジアミン(2−29)、ジアミン(2−37)〜ジアミン(2−41)、ジアミン(2−43)〜ジアミン(2−47)、ジアミン(2−51)、ジアミン(3−1)〜ジアミン(3−12−1)、およびジアミン(4−1)〜ジアミン(4−12)がより好ましい。ここに、R20は炭素数5〜16のアルキルであり、R21は炭素数3〜10のアルキルである。ここに、R26は炭素数4〜7のアルキルである。 上記のより好ましいジアミン(D2)の具体例のうち、液晶の配向性をさらに向上させることを重視する場合には、ジアミン(1−2−1)、ジアミン(1−3)、ジアミン(2−7)、ジアミン(2−10)〜ジアミン(2−12)、ジアミン(2−16)〜ジアミン(2−19)、ジアミン(2−21)〜ジアミン(2−27)、ジアミン(2−37)〜ジアミン(2−41)、ジアミン(2−43)〜ジアミン(2−47)、ジアミン(2−51)、ジアミン(3−1)〜ジアミン(3−11)、およびジアミン(4−1)〜ジアミン(4−12)がさらに好ましく、ジアミン(1−2−1)、ジアミン(1−3)、ジアミン(2−7)、ジアミン(2−10)〜ジアミン(2−12)、ジアミン(2−26)、ジアミン(2−44)、ジアミン(2−45)、およびジアミン(3−1)〜ジアミン(3−6)が特に好ましい。 上記のより好ましいジアミン(D2)の具体例のうち、高いVHRを液晶配向膜に付与することを重視する場合には、ジアミン(1−2−1)、ジアミン(1−3)、ジアミン(2−1)〜ジアミン(2−3)、ジアミン(2−26)、ジアミン(2−29)、ジアミン(2−37)、ジアミン(2−43)〜ジアミン(2−47)、ジアミン(3−1)〜ジアミン(3−11)、およびジアミン(4−1)〜ジアミン(4−12)がさらに好ましく、ジアミン(2−1)〜ジアミン(2−3)、ジアミン(2−26)、ジアミン(2−29)、ジアミン(2−44)、およびジアミン(3−1)〜ジアミン(3−6)が特に好ましい。 上記のより好ましいジアミン(D2)の具体例のうち、液晶配向膜の体積抵抗値を低下させることを重視する場合には、ジアミン(1−2−1)、ジアミン(1−3)、ジアミン(2−1)〜ジアミン(2−3)、ジアミン(2−13)〜ジアミン(2−15)、ジアミン(2−20)〜ジアミン(2−26)、ジアミン(2−29)、およびジアミン(2−39)〜ジアミン(2−41)がさらに好ましく、ジアミン(2−1)〜ジアミン(2−3)、ジアミン(2−13)〜ジアミン(2−15)、ジアミン(2−26)およびジアミン(2−29)が特に好ましい。 ところで、ジアミンはその構造の違いによって2種類に分けることができる。即ち、2つのアミノ基を結ぶ骨格を主鎖として見たときに、主鎖から分岐する基、即ち側鎖基を有するジアミンと側鎖基を持たないジアミンである。側鎖基を有するジアミンをテトラカルボン酸二無水物と反応させることによって、ポリマーの主鎖に対して多数の側鎖基を有するポリアミック酸が得られる。このようなポリマー主鎖に対して側鎖基を有するポリアミック酸を使用するとき、このポリマーを含有する液晶配向剤から形成される液晶配向膜は、液晶表示素子におけるプレチルト角を大きくすることができる。即ち、この側鎖基はプレチルト角を大きくする効果を有する基である。このような効果を有する側鎖基は炭素数3以上の基である必要があり、具体的な例として炭素数3以上のアルキル、炭素数3以上のアルコキシ、および炭素数3以上のアルコキシアルキルを有する基を挙げることができる。1つ以上の環を有する基であって、その末端の環が置換基として炭素数1以上のアルキル、炭素数1以上のアルコキシおよび炭素数2以上のアルコキシアルキルのいずれか1つを有する基も側鎖基としての効果を有する。このような側鎖基を有するジアミンを側鎖型ジアミンとし、このような側鎖基を持たないジアミンを非側鎖型ジアミンとするとき、前記のジアミン(3)およびジアミン(4)は側鎖型ジアミンであり、ジアミン(1−1)〜ジアミン(1−3)およびジアミン(2)は非側鎖型ジアミンである。 そして、側鎖型ジアミンと非側鎖型ジアミンを適宜使い分けることにより、種々の表示素子のそれぞれに必要なプレチルト角に対応することができる。即ち、TN方式やVA方式に代表される縦電界方式では比較的大きなプレチルト角が必要となるため、側鎖型ジアミンが主に用いられる。このとき、さらにプレチルト角をコントロールするためには非側鎖型ジアミンを併用すればよい。非側鎖型ジアミンと側鎖型ジアミンの配合比率は、目的とするプレチルト角の大きさに応じて決めればよい。もちろん、側鎖基を適当に選ぶことにより、側鎖型ジアミンのみを用いて対応することも可能である。横電界方式ではプレチルト角が小さく、高い液晶配向性が必要となるため、非側鎖型ジアミンの少なくとも1つを用いればよい。 本発明において、特に2度以上のプレチルト角を発現させるためには、側鎖型ジアミンの使用割合を、ジアミン全量中の5〜70モル%とすることが好ましく、10〜50モル%とすることがより好ましい。 本発明のポリアミック酸を合成する為に使用するテトラカルボン酸二無水物(以下、単に「酸無水物」と略称することがある)は、公知の酸無水物から制限されることなく選択することができるが、好ましい例として次に示す酸無水物(A−1)〜酸無水物(A−48)が挙げられる。これらの酸無水物の少なくとも1つを用いることが好ましい。 上記の酸無水物のうち、酸無水物(A−1)〜酸無水物(A−4)、酸無水物(A−11)、酸無水物(A−12)、酸無水物(A−14)、酸無水物(A−15)、酸無水物(A−16)、酸無水物(A−20)〜酸無水物(A−23)、酸無水物(A−30)〜酸無水物(A−32)、酸無水物(A−34)、酸無水物(A−39)、酸無水物(A−41)〜酸無水物(A−43)、および酸無水物(A−45)〜酸無水物(A−48)がより好ましい。 液晶の配向性をさらに向上させることを重視する場合には、上記の酸無水物のうち、酸無水物(A−1)、酸無水物(A−2)、酸無水物(A−12)、酸無水物(A−14)、酸無水物(A-15)、酸無水物(A−16)、酸無水物(A−20)、酸無水物(A−22)、酸無水物(A−23)、酸無水物(A−30)、酸無水物(A−32)、酸無水物(A−39)、酸無水物(A−42)および(A−47)がより好ましく、酸無水物(A−1)、酸無水物(A−12)、酸無水物(A−14)、酸無水物(A−20)および(A−47)が特に好ましい。 液晶表示素子のVHRを向上させることを重視する場合には、前記の酸無水物のうち、酸無水物(A−16)、酸無水物(A−20)、酸無水物(A−21)、酸無水物(A−22)、酸無水物(A−23)、酸無水物(A−30)、酸無水物(A−31)、酸無水物(A−32)、酸無水物(A−34)、酸無水物(A−41)、酸無水物(A−42)、酸無水物(A−43)、酸無水物(A−45)、酸無水物(A−46)および酸無水物(A−48)の脂環式化合物がより好ましく、酸無水物(A−16)、酸無水物(A−22)、酸無水物(A−23)、酸無水物(A−41)、酸無水物(A−46)および酸無水物(A−48)が特に好ましい。 本発明の液晶配向剤に用いるポリアミック酸は、上記の酸無水物の混合物とジアミンを溶剤中で反応させることによって得られる。この合成反応においては、原料の選択以外に特別な条件は必要でなく、通常のポリアミック酸合成における条件をそのまま適用することができる。使用する溶剤については後述する。 本発明液晶配向剤には、ラビングによる削れを防ぐためにシロキサン系ジアミンの少なくとも1つを併用してもよい。このシロキサン系ジアミンの好ましい例として、式(15)で表されるジアミンを挙げることができる。ここに、R30およびR31は独立して炭素数1〜3のアルキルまたはフェニルであり、R32は炭素数1〜6のアルキレン、フェニレンまたはアルキル置換されたフェニレンであり、yは1〜10の整数である。 ジアミン(15)の具体例として、下記の化合物またはポリマーが挙げられる。(式(15−2)のポリマーの分子量は850〜3000である。) これらのシロキサン系ジアミンを用いるとき、その添加量は、上記効果を発現しその他の特性の悪化を防ぐ目的で、原料として使用するジアミンの全量に対し0.5〜30モル%が好ましく、1〜10モル%がより好ましい。 本発明の配向剤は、配向膜のガラス基板への密着性を調節する観点から、有機ケイ素化合物をさらに含有していてもよい。有機ケイ素化合物の例は、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、およびジメチルポリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン等のシリコーンオイルである。 この有機ケイ素化合物の配向剤への添加割合は、本発明の効果が得られる範囲であれば特に制限はない。しかしながら、前記有機ケイ素化合物を多く添加すると、配向膜としたとき液晶の配向不良が生ずることがある。したがって、有機ケイ素化合物を添加するとき、その濃度は配向剤に含有されるポリマーの重量に対し、0.01〜5重量%の範囲であることが好ましく、特に好ましくは0.1〜3重量%の範囲である。 本発明の配向剤は、特性の経時劣化や環境による劣化を防ぐ観点から、ポリアミック酸またはその誘導体のカルボキシル基と反応する官能基を2つ以上有する化合物、いわゆる架橋剤をさらに含有していてもよい。このような架橋剤の例としては、特許第3049699号公報、特開2005−275360号公報、特開平10−212484号公報等に記載されているような多官能エポキシ、イソシアネート材料等が挙げられる。 液晶表示素子の電気特性の経時劣化の原因のひとつに、配向膜中に残存するカルボキシル基の影響で、配向膜に液晶表示素子を形成させる為のほかの部材、たとえば液晶化合物や封止剤他が吸着するために生じる相互作用が考えられている。本発明の液晶配向剤に、上記(E1)〜(E5)で表されるような、多官能エポキシ化合物を含有させると、配向膜を形成する工程(すなわち加熱工程)において、ポリイミドの残存カルボン酸とエポキシ化合物が反応して、化学的により安定な基、具体的にはエステル基が形成され、他の部材との相互作用を低減させる事ができる。それ故、液晶表示素子を長時間使用しても、初期の電気特性を維持することが可能となる。また、多官能エポキシ化合物を用いることで、液晶配向剤を形成するポリイミド同士を架橋させる効果もあり、初期の配向状態を保つことができ、液晶表示素子の電気特性を長期に安定させると共に、表示品位の劣化を防ぐことができる。また、(E6)で表されるようなケイ素を含有するエポキシ化合物を含有させると、上述のように残存カルボン酸に作用するだけではなく、配向膜のガラス基板への密着性を向上させることができる。その結果、液晶表示素子の製造工程で施される配向膜のラビング処理時に、ガラス基板から配向膜が剥がれるのを防ぐなどの耐性を持たせることができる。 本発明の配向剤は、液晶表示素子の電気特性を長期に安定させる観点から、オキサゾリン化合物および/またはオキサジン化合物をさらに含有していてもよい。オキサゾリン化合物とは分子中にオキサゾリンの構造を有する化合物のことである。オキサゾリン化合物を添加することにより、配向膜中の残存カルボキシル基とオキサゾリン化合物が配向膜を形成する工程(加熱工程)で反応して、より安定な基、具体的にはアミドエステル基を形成することで、電気特性を長期に安定させることができる。なお、ここで言う「安定な基」とは、その有機基自体の安定性を指すのではなく、表示素子中の液晶化合物など他の物質を吸着するような作用が少ない基という意味で用いられる。また、オキサゾリン構造を2つ以上有する化合物を用いることで架橋剤として作用し、長時間に亘り初期の配向状態を保つことができる。その結果、液晶表示素子の電気特性を長期に安定させると共に、表示品位の劣化を防ぐことができる。オキサゾリン化合物の具体例は、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、1,2,4−トリス−(2−オキサゾリニル−2)−ベンゼン、4−フラン−2−イルメチレン−2−フェニル−4H−オキサゾール−5−オン、1,4−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン、1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン、2,3−ビス(4−イソプロペニル−2−オキサゾリン−2−イル)ブタン、2,2’−ビス−4−ベンジル−2−オキサゾリン、2,6−ビス(イソプロピル−2−オキサゾリン−2−イル)ピリジン、2,2’−イソプロピリデンビス(4−tert−ブチル−2−オキサゾリン)、2,2’−イソプロピリデンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、2,2’−メチレンビス(4−tert−ブチル−2−オキサゾリン)、および2,2’−メチレンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)である。これらの他、エポクロス(商品名、(株)日本触媒製)のようなオキサゾリルを有するポリマーやオリゴマーも例示することができる。これらのオキサゾリン化合物の中でも、特に1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン(化合物(F1)で表される化合物)を用いると、液晶配向膜の持つ本来の特性を低下させること無く、液晶表示素子の経時劣化を防ぐことができる。オキサゾリン化合物の含有量はポリマー成分の合計量に対して0.1〜50重量%用いられる。オキサゾリン化合物の含有量は1〜40重量%が好ましく、1〜20重量%がより好ましい。 オキサジン化合物とは分子中にオキサジンの構造を有する化合物のことである。オキサジン化合物は種々の構造が知られている。本発明で用いられるオキサジン化合物の構造は特に限定されないが、ベンゾオキサジンやナフトオキサジン等の、縮合多環芳香族基を含む芳香族基を有するオキサジンの構造が例示される。オキサジン化合物の例としては、国際公開第2004/009708号パンフレット、特開平11−12258号公報、特開2004−352670号公報等に記載されているような化合物が挙げられる。オキサジン化合物の含有量はポリマー成分の合計量に対して0.1〜50重量%用いられる。オキサジン化合物の含有量は1〜40重量%が好ましく、1〜20重量%がより好ましい。 また、架橋剤自身が反応して網目構造のポリマーとなり、ポリアミック酸またはポリイミドの膜強度を向上するような架橋剤も上記と同様な目的に使用することができる。このような架橋剤としては、特開平10−310608号公報、特開2004−341030号公報等に記載されているような多官能ビニルエーテル、マレイミド、または上記化合物(G1)および(G2)で表されるビスアリルナジイミド誘導体等が挙げられる。これらの架橋剤を使用するとき、その好ましい割合は、ポリマー成分の合計量に対し5〜100重量%であり、より好ましくは10〜50重量%である。 本発明の液晶配向剤には、ポリアミック酸の少なくとも1つを用いることが好ましいが、ポリアミック酸と、本発明ジアミン(I)を用いないで製造されるその他のポリアミック酸を組み合わせて用いてもよい。その他のポリアミック酸を組み合わせる場合の混合割合は、ポリマー全量を基準として本発明のポリアミック酸が10〜95重量%、その他のポリアミック酸が5〜90重量%であり、本発明のポリアミック酸の割合が少なくても十分な効果を得ることができる。本発明の液晶配向剤では、酸無水物とジアミンとの反応により得られるポリアミック酸以外のポリマー、例えばポリエステルやエポキシ樹脂などを併用することができる。しかしながら、このようなその他のポリマーを併用するときのその割合は、ポリマーの全重量を基準として30重量%以下であることが好ましい。 本発明の配向剤は、ポリアミック酸を溶剤に溶解した溶液である。この溶剤は公知のポリアミック酸の製造や使用において用いられている溶剤から、使用目的に応じて適宜選択することができる。これらの溶剤を例示すれば以下のとおりである。 非プロトン性極性有機溶剤の例としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド(DMAc)、およびγ−ブチロラクトン(GBL)等のラクトンが挙げられる。 上記以外の溶剤であって、塗布性改善等を目的とした溶剤の好ましい例としては、乳酸アルキル、3−メチル−3−メトキシブタノール、テトラリン、イソホロン、エチレングリコールモノアルキルエーテル(例:エチレングリコールモノブチルエーテル(BCS))、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル(例:ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、エチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル(例:プロピレングリコールモノブチルエーテル)、マロン酸ジアルキル(例:マロン酸ジエチル)、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル(例:ジプロピレングリコールモノメチルエーテル)、およびこれらグリコールモノエーテル類のエステル化合物が挙げられる。これらの内、NMP、ジメチルイミダゾリジノン、GBL、BCS、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルおよびジプロピレングリコールモノメチルエーテルが特に好ましい。 本発明の配向剤は、必要に応じて各種の添加剤をさらに含有することができる。例えば、塗布性のさらなる向上を望むときにはその目的に沿った界面活性剤を、帯電防止のさらなる向上を必要とするときには帯電防止剤を適量含有していてもよい。 本発明の配向剤中のポリマーの濃度は、0.1〜40重量%であることが好ましく、1〜10重量%であることがより好ましい。この配向剤を基板に塗布するに当たって膜厚の調整が必要とされる場合には、予め溶剤により希釈して含有ポリマーの濃度を調整することができる。本発明の液晶配向剤の粘度は、塗布する方法、ポリアミック酸およびその誘導体の濃度、使用するポリアミック酸およびその誘導体の種類、溶剤の種類と割合によって好ましい範囲が異なる。例えば、印刷機による塗布の場合は5〜100mPa・s(より好ましくは10〜80mPa・s)である。5mPa・sより小さいと十分な膜厚を得ることが難しくなり、100mPa・sを超えると印刷ムラが大きくなることがある。スピンコートによる塗布の場合は5〜200mPa・s(より好ましくは10〜100mPa・s)が適している。インクジェット塗布装置を用いて塗布する場合は5〜50mPa・s(より好ましくは5〜20mPa・s)が適している。液晶配向剤の粘度は回転粘度測定法により測定され、例えば回転粘度計(東機産業製TVE−20L型)を用いて測定(測定温度:25℃)される。 本発明の配向膜は、上記の配向剤を以下に述べる方法によって基板に塗布し、必要に応じて溶剤を比較的低温で加熱除去(予備焼成)し;次いで、溶剤除去をさらに促進し、ポリアミック酸のイミド化率を上げて配向膜本来の特性を発現させるため、比較的高温で加熱(本焼成)することによって得られる。このようにして得た膜には、必要に応じてラビング処理を施してもよい。液晶配向剤の塗布方法としては、スピンナー法、印刷法、ディッピング法、滴下法、インクジェット法等が一般に知られている。これらの方法が本発明においても適用可能である。 本発明の液晶表示素子は、対向配置されている一対の基板と、前記一対の基板それぞれの対向している面の一方または両方に形成されている電極と、前記一対の基板それぞれの対向している面に形成された本発明の液晶配向膜と、前記一対の基板間に形成された液晶層とを有する液晶表示素子である。 前記電極は、基板の一面に形成される電極であれば特に限定されない。このような電極には、例えばITOや金属の蒸着膜等が挙げられる。また電極は、基板の一方の面の全面に形成されていてもよいし、例えばパターン化されている所望の形状に形成されていてもよい。電極の前記所望の形状には、例えば櫛型またはジグザグ構造等が挙げられる。電極は、一対の基板のうちの一方の基板に形成されていてもよいし、両方の基板に形成されていてもよい。電極の形成の形態は液晶表示素子の種類に応じて異なり、例えばIPS型液晶表示素子の場合は前記一対の基板の一方に電極が配置され、その他の液晶表示素子の場合は前記一対の基板の双方に電極が配置される。前記基板または電極の上に前記液晶配向膜が形成される。 前記液晶層は、液晶配向膜が形成された面が対向している前記一対の基板によって液晶組成物が挟持される形で形成される。液晶層の形成では、微粒子や樹脂シート等の、前記一対の基板の間に介在して適当な間隔を形成するスペーサを必要に応じて用いることができる。前記液晶組成物には、特に限定されず公知の液晶組成物を用いることができる。 本発明の配向膜は、液晶配向膜として液晶表示素子を形成したときに、公知の全ての液晶組成物に対してその特性を改善できる。前記の方法によって製造された本発明の配向膜は、特に、ラビング処理の行いにくい大画面ディスプレイの配向欠陥改善に効果が大きい。このような大画面ディスプレイはTFTにより駆動制御されている。またこのようなTFT型液晶表示素子に使用される液晶組成物は、特許第3086228号公報、特許2635435号公報、特表平5−501735号公報、および特開平9−255956号公報に記載されている。従って、本発明の配向膜は、これらに記載された液晶組成物と組み合わせて用いるのが好ましい。 本発明の液晶表示素子は、例えばIPS用とした時高い黒レベル値を示すなど、配向性に優れている。この黒レベルの値は以下のように測定することができる。すなわち、ラビング方向を逆平行にして組み立てたセルを、顕微鏡のステージに配置し、最小輝度になるよう偏光子および検光子を回転させる。セルの背後から一定の明るさの光を当て、セルを透過してくる光を偏光顕微鏡に装着した光電子倍増管を用いて感知させ、その透過してきた光の量を電圧として変換させ計測する(偏光顕微鏡の倍率100倍;接眼10倍×対物10倍)。得られる電圧値が小さければ小さいほど、黒レベルが良好である。本願において実際には1500μV以下であることが好適で、900μV以下がさらに好適である。 本発明の配向膜は特に良好な黒レベルと、高い電気特性を液晶表示素子に付与できる。このような優れた特性は、本発明のジアミン(1)を用いる事により、発現する。この時本発明のジアミン(1)のOHやNH2基以外の置換可能な部位は、特性の悪化を引き起こさないような任意の基で置換されていても良い。 本発明の液晶表示素子は、液晶表示素子の信頼性に係る電気特性においても優れている。このような電気特性としては、電圧保持率およびイオン密度が挙げられる。電圧保持率(VHR)は、フレーム周期間に液晶表示素子に印加された電圧が液晶表示素子に保持される割合であり、液晶表示素子の表示特性を示す。本発明の液晶表示素子は、5Vおよび周波数30Hzの矩形波を用い、60℃の温度条件で測定される電圧保持率が97.0%以上であり、5Vおよび周波数0.3Hzの矩形波を用い、60℃の温度の条件で測定される電圧保持率が85.0%以上であることが、表示不良を防ぐ観点から好ましい。 イオン密度は、液晶表示素子に電圧を掛けたときに生ずる液晶の駆動に起因する以外の過渡電流であり、液晶表示素子中の液晶に含まれるイオン性不純物の濃度の大小を示す。本発明の液晶表示素子は、イオン密度が300pC以下であることが、液晶表示素子の焼き付きを防ぐ観点から好ましい。 以下、本発明を実施例および比較例により説明する。 実施例における液晶表示素子の評価法は次の通りである。<プレチルト角測定> クリスタルローテーション法に準拠し測定した。<電圧保持率> 「水嶋他、第14回液晶討論会予稿集 p78(1988)」に記載の方法に従い、60℃で、波高値±5Vの矩形波をセルに印加して行った。この電圧保持率の値は、印加した電圧がフレーム周期後どの程度保持されているかを示す指標であり、この値が100%ならば全ての電荷が保持されていることを示す。<液晶中のイオン量測定(イオン密度)> 応用物理、第65巻、第10号、1065(1996)に記載の方法に従い、東陽テクニカ社製、液晶物性測定システム6254型を用いて測定した。周波数0.01Hzの三角波を用い、±10Vの電圧範囲、温度60℃で測定した(電極の面積は1cm2)。イオン密度が大きいとイオン性不純物による焼き付き等の不具合が発生しやすい。即ち、イオン密度は焼き付き発生を予測する指標となる物性値である。<1H−NMR> ブルカーバイオスピン社製DRX-500を用いて測定した。サンプルはすべて1wt%重クロロホルムで測定した。<重量平均分子量(Mw)> 液晶配向剤におけるポリアミック酸の重量平均分子量(Mw)は、0.6重量%リン酸含有DMFを溶出液として、Shodex社製、GF7MHQカラムを用い、カラム温度50℃にて、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定し、ポリスチレン換算することにより求めた。<粘度> 粘度計(東機産業社製、TV−22)を用いて、25℃で測定した。[実施例1]化合物(I−5)の合成<第1段階;アミドの合成> 攪拌装置、温度計、窒素導入管、および滴下漏斗を装着した200mL3つ口フラスコに、市販の2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール10.0g(82.6mmol)およびトリエチルアミン10.0g(99.1mmol)を入れ、N,N−ジメチルホルムアミド50mLに溶解させた。溶液を5℃に冷却し、そこに市販の3,5−ジニトロベンゾイルクロリド15.2g(66.0mmol)をゆっくり加えた。次いで反応液を80℃まで昇温し、さらに12時間攪拌した。放冷後、溶媒を減圧留去し粗結晶を得た。得られた粗結晶をエタノールから再結晶して、3,5−ジニトロ−N−((トリヒドロキシメチル)メチル)ベンズアミドを得た。収量17.7g、収率85%。<第2段階;ニトロ基の還元> オートクレーブ用反応管に、先に得られた3,5−ジニトロ−N−((トリヒドロキシメチル)メチル)ベンズアミド17.0g(53.9mmol)および5%パラジウム/炭素粉末1.7gを入れ、エタノール500mLを加えた。系内を水素雰囲気とし、水素圧0.5mPa、室温で24時間攪拌した。反応液中のパラジウム/炭素粉末を除去し、溶媒を減圧留去して粗結晶を得た。得られた粗結晶をエタノールから再結晶して、3,5−ジアミノ−N−((トリヒドロキシメチル)メチル)ベンズアミドを得た。収量12.5g、収率91%。1H−NMR(ppm);6.89(s、−NHCO−、1H)、6.13(d、arm.H、2H)、5.91(t、arm.H、1H)、4.91−4.93(br.s、−OH、−NH2、7H)、3.58−3.60(d、−CH2−、6H).[実施例2]化合物(1−9)の合成<第1段階;アミドの合成> 攪拌装置、温度計、窒素導入管、および滴下漏斗を装着した200mL3つ口フラスコに、市販のジエタノールアミン10.0g(95.1mmol)およびトリエチルアミン11.5g(114.1mmol)を入れ、N,N−ジメチルホルムアミド100mLに溶解した。溶液を5℃に冷却し、そこに市販の3,5−ジニトロベンゾイルクロリド21.9g(95.1mmol)をゆっくり加えた。次いで反応液を80℃まで昇温し、さらに12時間攪拌した。放冷後、溶媒を減圧留去して粗結晶を得た。得られた粗結晶をエタノールから再結晶して、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジニトロベンズアミドを得た。収量25.0g、収率88%。<第2段階;ニトロ基の還元> オートクレーブ用反応管に、先に得られたN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジニトロベンズアミド20.0g(66.8mmol)および5%パラジウム/炭素粉末2.0gを入れ、エタノール500mLを加えた。系内を水素雰囲気とし、水素圧0.5mPa、室温で24時間攪拌した。反応液中のパラジウム/炭素粉末を除去し、溶媒を減圧留去して粗結晶を得た。得られた粗結晶をエタノールから再結晶して、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジアミノベンズアミドを得た。収量14.4g、収率90%。[実施例3]<ポリアミック酸の合成> 攪拌装置、温度計を取り付けた3つ口フラスコに実施例1に準じて合成した化合物(I−5)2.2641gおよび4,4’−ジアミノジフェニルメタン(化合物(2−1))0.4396gを入れ、そこにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)60gを加え溶解した。溶液を5℃に冷却し、そこにシクロブタンテトラカルボン酸二無水物(MMDA(A−16))1.0871gおよびピロメリット酸二無水物(PMDA(A−1))1.2091gを加え、NMP5gを加えた。反応液を室温まで昇温し、12時間攪拌した。そこにエチレングリコールモノブチルエーテル(BC)30gを加え、ポリアミック酸濃度5重量%の溶液を得た。溶液の25℃粘度は35mPa・secであった。この溶液をワニスAとした。このワニス中のポリアミック酸の重量平均分子量は42,000であった。[実施例4〜17] ジアミンおよび酸二無水物を表1に記載した通り代えた以外は実施例3と同様の操作で、ポリアミック酸濃度5重量%、25℃粘度35mPa・secのワニスを得た。調製したワニスに含まれるポリマーのモノマー組成と重量平均分子量の測定値を、実施例3も含めて表1に示した(カッコ内はモル%)。[実施例18]<黒レベル測定用セル作製> サンプル瓶にワニスAを1.0g計り取り、NMP/BC=1/1(重量比)を加え1.67gとした。透明ガラス基板上に、このポリアミック酸濃度約3重量%の溶液を滴下し、スピンナー法により塗布した(2,000rpm、15秒)。塗布後、基板を80℃で3分間加熱し溶剤を蒸発させた後、230℃のオーブン中で20分間加熱処理した。この加熱処理により形成された膜厚約70nmのポリイミド膜をラビング処理した(押し込み;0.3mm、ステージ送り速度;60m/sec、回転数;1000rpm、ラビング布;YA−18−R(レーヨン))。この配向膜を超純水中で5分間超音波洗浄してから120℃のオーブン中で30分間乾燥した。配向膜を形成した面を内側にしてラビング方向が逆平行になるように2枚のガラス基板を対向配置させた後、25μmのギャップ剤を含んだエポキシ硬化剤でシールし、ギャップ25μmのアンチパラレルセルを作製した。このセルに、下記の液晶組成物Aを注入し、注入口を光硬化性封止剤で封止した。次いで、110℃で30分間加熱処理を行い、液晶表示素子を作製した。得られたセルを用いて黒レベルを測定したところ、電圧の測定値は1,070μVであった。<液晶組成物A>[実施例19〜32] ワニスAをワニスB〜ワニスOに代えた以外は実施例18に記載の方法に準じて黒レベル測定用セルを作製した。ただし、ワニスHを用いて作製したセルに関しては、そのポリイミド膜にはラビング処理は行わず、液晶組成物Bを注入した。黒レベルの測定結果を実施例18の結果と共に表2に示した。<液晶組成物B> 作製したセルの全てで良好な黒レベルが観測された。[実施例33]<プレチルト角および電気特性測定用セルの作成> サンプル瓶にワニスAを1.0g計り取り、NMP/BC=1/1(重量比)を加え1.67gとした。このポリアミック酸濃度約3重量%の溶液を透明ガラス基板上に滴下し、スピンナー法により塗布した(2,000rpm、15秒)。塗布後、基板を80℃で3分間加熱し溶剤を蒸発させた後、230℃のオーブン中で20分間加熱処理した。この加熱処理により形成された膜厚約70nmのポリイミド膜をラビング処理した(押し込み;0.3mm、ステージ送り速度;60m/s、回転数;1000rpm、ラビング布;YA−18−R(レーヨン))。この配向膜を超純水中で5分間超音波洗浄してから、120℃のオーブン中で30分間乾燥した。7μmのギャップ剤を一方の配向膜上に散布した。これともう1枚の基板を配向膜面を内側にしてラビング方向が逆平行になるように対向配置させた後、エポキシ硬化剤でシールし、ギャップ7μmのアンチパラレルセルを作製した。このセルに液晶組成物Aを注入し、注入口を光硬化性封止剤で封止した。次いで、110℃で30分間加熱処理を行い、液晶表示素子を作製した。このセルの電圧保持率は98.5%(30Hz)および90.5%(0.3Hz)であり、プレチルト角は1.2°であり、イオン密度は85pCであった。[実施例34〜47] ワニスAをワニスB〜ワニスOに代えた以外は、実施例33に記載の方法に準じて電気特性測定用セルを作製した。ただし、ワニスHを用いて作製したセルに関しては、そのポリイミド膜にはラビング処理は行わず、液晶組成物Bを注入した。電気特性およびプレチルト角の測定結果を、実施例33の結果と共に表3に示した。 作製したセルの全てで良好なVHRおよびイオン密度が観測された。[実施例48〜62]<エポキシ化合物添加剤の効果の確認> ワニスA〜Oをそれぞれサンプル瓶に1.0g秤り取り、NMP/BC=1/1(重量比)を加え1.67gとした。それにエポキシ添加剤(E1)〜(E5)のいずれか1種類を0.01g加え、十分に攪拌した。実施例17に記載の方法に準じて黒レベル測定用セルおよび電気特性測定用セルを作製した。ただし、ワニスHを用いて作製したセルに関しては、そのポリイミド膜にはラビング処理は行わず、液晶組成物Bを注入した。作製したセルを用いて、黒レベル測定、VHR測定(30Hzおよび0.3Hz)、イオン密度測定およびプレチルト角測定を行った。測定結果を表4に示した。 エポキシ化合物を添加することにより、VHRおよびイオン密度が低下することも無く、また、プレチルト角の変動も無く、かつ、黒レベルがさらに向上することが確認された。[実施例63〜77]<オキサゾリン化合物添加剤の効果の確認> ワニスA〜Oをそれぞれサンプル瓶に1.0g秤り取り、NMP/BC=1/1(重量比)を加え1.67gとした。それにオキサゾリン添加剤(F1)を0.01g加え、十分に攪拌した。実施例17に記載の方法に準じて黒レベル測定用セルおよび電気特性測定用セルを作製した。ただし、ワニスHを用いて作製したセルに関しては、そのポリイミド膜にはラビング処理は行わず、液晶組成物Bを注入した。作製したセルを用いて、黒レベル測定、VHR測定(30Hzおよび0.3Hz)、イオン密度測定およびプレチルト角測定を行った。測定結果を表5に示した。 オキサゾリン化合物を添加することにより、VHRおよびイオン密度が低下することも無く、また、プレチルト角の変動も無く、かつ、黒レベルがさらに向上することが確認された。[比較例1]化合物C1の合成<第1段階;アミドの合成> 攪拌装置、温度計、窒素導入管および滴下漏斗を装着した200mL3つ口フラスコに、市販の3−アミノ−3−エチル−n−ペンタン10.0g(86.8mmol)およびトリエチルアミン13.2g(130.2mmol)をいれ、N,N−ジメチルホルムアミド50mLに溶解した。溶液を5℃に冷却し、そこに市販の3,5−ジニトロベンゾイルクロリド18.0g(78.1mmol)をゆっくり加えた。次いで反応液を80℃まで昇温させ12時間攪拌した。放冷後、溶媒を減圧留去して粗結晶を得た。得られた粗結晶をトルエンから再結晶して、3,5−ジニトロ−N−((トリエチル)メチル)ベンズアミドを得た。収量19.6g、収率81%。<第2段階;ニトロ基の還元> オートクレーブ用反応管に、先に得られた3,5−ジニトロ−N−((トリエチル)メチル)ベンズアミド19.0g(61.4mmol)および5%パラジウム/炭素粉末を入れ、エタノール500mLを加えた。系内を水素雰囲気とし、水素圧0.5mPa、室温で24時間攪拌させた。反応液中のパラジウム/炭素粉末を除去し、溶媒を減圧留去して粗結晶を得た。得られた粗結晶をエタノールから再結晶して、3,5−ジアミノ−N−((トリエチル)メチル)ベンズアミドを得た。収量13.6g、収率89%。1H−NMR(ppm);7.42(s、−NHCO−、1H)、6.45(d、arm.H、2H)、5.90(t、arm.H、1H)、4.78(br.s、−NH2、4H)、1.41−1.45(q、−CH2−、6H)、1.04(t、−CH3、9H).[比較例2〜4]<ポリアミック酸の調製> 実施例2に記載の方法に準じ、ポリアミック酸濃度5重量%、粘度35mPa・sのワニスX〜ワニスZを得た。調製したワニスを表6に示した(カッコ内はモル%)。[比較例5〜7]<黒レベル測定および電気特性測定>実施例17に記載の方法に準じ、黒レベル測定用セルおよび電気特性測定用セルを作製し、測定を行った。測定結果を表7に示した。 ジアミンC1を原料の一つとして用いた配向剤からなるセルは、黒表示特性が十分でないことがわかった。[比較例8〜10]<添加剤の効果の確認> 比較例7で得られたワニスZをサンプル瓶に1.0g秤り取り、NMP/BC=1/1(重量比)を加え1.67gとした。それにエポキシ化合物もしくはオキサゾリン化合物のいずれか1種類を0.01g加え、十分に攪拌した。実施例17に記載の方法に準じて黒レベル測定用セルおよび電気特性測定用セルを作製し、測定を行った。添加化合物および測定結果を表8に示した。 種々の化合物を添加しても、黒表示の改善は見られなかった。また、一部のセルではプレチルト角の変動が確認された。一般式(I)において、Rが下記(a)、(b)、または(c)で表されるジアミン。(式中、R0は水素またはメチル基である。)R0が水素である請求項1に記載のジアミン。式(I)中、2つのアミノ基がRで表される置換基に対し、それぞれ3位、5位に置換されている請求項1又は2に記載のジアミン。請求項1〜3のいずれかに記載の式(I)で表されるジアミンの少なくとも1種類をテトラカルボン酸二無水物と反応させて得られるポリアミック酸、ポリイミドまたは部分イミド化ポリアミック酸。請求項1〜3のいずれかに記載の式(I)で表されるジアミンの少なくとも1種類と他のジアミン(D2)との混合物をテトラカルボン酸二無水物と反応させて得られるポリアミック酸、ポリイミドまたは部分イミド化ポリアミック酸。テトラカルボン酸二無水物が以下の式(DA−20)〜式(DA−32)からなる群から選ばれる1種類以上である請求項4もしくは請求項5に記載のポリアミック酸、ポリイミドまたは部分イミド化ポリアミック酸。式(DA−20)において、G5は単結合、炭素数1〜12のアルキレン、1,4−フェニレン、または1,4−シクロヘキシレンであり;X10は独立して単結合またはCH2である。;そして、G6は独立してCHまたはNであるが、G6がNの場合はG5が単結合またはCH2であることはなく、X10が単結合であることはない。式(DA−21)において、R14は独立して水素、メチル、エチル、またはフェニルである。式(DA−22)において、環A6はシクロヘキサン環またはベンゼン環である。式(DA−23)において、G7は単結合、炭素数1から10のアルキレン、1,4−フェニレン、O、CO、S、SO2、C(CH3)2、またはC(CF3)2であり;そして、環A7は独立してシクロヘキサン環またはベンゼン環である。式(DA−24)において、R15は水素またはメチルである。式(DA−25)において、X10は単結合またはCH2であり;X11は独立してCH2、CH2CH2またはCH=CHであり;そして、vは1または2である。式(DA−26)において、X10は単結合またはCH2である。式(DA−27)において、R14は水素、メチル、エチル、またはフェニルであり;環A8はシクロヘキサン環、シクロヘキセン環またはベンゼン環であり;そして、X12は単結合、CH2またはCH(CH3)である。式(DA−28)において、W2およびW3は0または1であるが、W2=1のときはW3=1である。式(DA−30)において、X13は独立して炭素数2〜6のアルキルであり;そして、Phはフェニルを表す。式(DA−32)において、X14は独立して単結合またはCH2を表す。他のジアミン(D2)が下記式(1−1)〜(4)で表されるジアミンであることを特徴とする請求項5又は6に記載のポリアミック酸、ポリイミドまたは部分イミド化ポリアミック酸。式(1−1)において、bは0または1であり;シクロヘキシレンにおける任意の水素はメチルで置き換えられてもよく;式(1−2)において、W1は−CH2−または−NH−であり:ここに、X1は単結合または炭素数1〜10のアルキレンであり;このアルキレンの任意の−CH2−は−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−CO−、−SO2−、1,3−フェニレン、1,4−フェニレンまたはピペラジン−1,4−ジイルで置き換えられてもよく;式(3)において、X2は単結合、−O−、−COO−、−OCO−または炭素数1〜6のアルキレンであり;R1は炭素数3〜30のアルキル、または式(a)で表される基であり;式(a)において、X3およびX4は独立して単結合または炭素数1〜4のアルキレンであり;環Bおよび環Cは独立して1,4−フェニレンまたは1,4−シクロヘキシレンであり;R2およびR3は独立してフッ素またはメチルであって、fおよびgは独立して0、1または2であり;c、dおよびeは独立して0または1であって、これらの合計は1〜3であり;R4は炭素数1〜30のアルキル、炭素数1〜30のアルコキシ、炭素数2〜30のアルコキシアルキルまたはコレステリル基であり、これらのアルキル、アルコキシおよびアルコキシアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく:ここに、X5は独立して−O−または炭素数1〜6のアルキレンであり;jは独立して0または1であり;R5は水素、炭素数2〜12のアルキルまたは炭素数2〜12のアルコキシであり;環Tは1,4−フェニレンまたは1,4−シクロヘキシレンであり;X6は単結合または炭素数1〜3のアルキレンであり;hは0または1である。他のジアミン(D2)が下記の化合物の群から選ばれる少なくとも1つである請求項5又は6に記載のポリアミック酸、ポリイミドまたは部分イミド化ポリアミック酸。(式中、R11は−CH2−、−O−または炭素数1〜4の直鎖アルキレンであり、R12は水素またはCH3であり、R13は炭素数2〜4の直鎖アルキレンであり、R14は炭素数1〜8の直鎖アルキレンであり、R15は独立して−CH2−、−(CH2)2−、または−NH−であり、R16は水素原子、または炭素数1〜10の直鎖アルキレンであり、R17は水素原子、または炭素数1〜16の直鎖アルキレンであり、R18は独立して−CH2−、−(CH2)2−または−O−である。)請求項4〜8のいずれかに記載のポリアミック酸、ポリイミドまたは部分イミド化ポリアミック酸から選ばれる少なくとも1つの重合体を含有する組成物。請求項4〜8のいずれかに記載のポリアミック酸、ポリイミドまたは部分イミド化ポリアミック酸から選ばれる少なくとも1つの重合体を含有する組成物からなる液晶配向剤。エポキシ化合物(E)を含む請求項10に記載の液晶配向剤。エポキシ化合物(E)が下記式(E1)〜(E6)で表される化合物からなる群から選ばれる1種類以上である請求項11に記載の液晶配向剤。(式中、nは1〜10の整数である。)オキサゾリン化合物(F)を含む請求項10に記載の液晶配向剤。オキサゾリン化合物(F)が下記式(F1)で表される化合物である請求項13に記載の液晶配向剤。ビスアリルナジイミド化合物(G)を含む請求項10に記載の液晶配向剤。ビスアリルナジイミド化合物(G)が下記式(G1)および(G2)で表される化合物からなる群から選ばれる1種類以上である請求項15に記載の液晶配向剤。前記、(E1)〜(E6)、(F1)、(G1)および(G2)で表される化合物からなる群から選ばれる1種類以上を含む請求項10に記載の液晶配向剤。請求項10〜17のいずれかに記載の液晶配向剤から形成された液晶配向膜。請求項10〜17のいずれかに記載の液晶配向剤からなる液晶配向膜を具備する液晶表示素子。