タイトル: | 公開特許公報(A)_クロセチン製剤の製造方法 |
出願番号: | 2010169915 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | A23L 1/27,C09B 23/00,C09B 61/00,C09B 67/46,C07C 57/13 |
定野 晋 JP 2012029585 公開特許公報(A) 20120216 2010169915 20100729 クロセチン製剤の製造方法 理研ビタミン株式会社 390010674 定野 晋 A23L 1/27 20060101AFI20120120BHJP C09B 23/00 20060101ALI20120120BHJP C09B 61/00 20060101ALI20120120BHJP C09B 67/46 20060101ALI20120120BHJP C07C 57/13 20060101ALN20120120BHJP JPA23L1/27C09B23/00 BC09B61/00 AC09B67/46 AC07C57/13 2 OL 9 4B018 4H006 4H056 4B018MA07 4B018MA08 4B018MB03 4H006AA01 4H006AA03 4H006AB10 4H056CA01 4H056CC04 4H056CD01 4H056FA01 本発明は、クロセチン製剤の製造方法に関する。 クロセチンは、クチナシ(梔子)の果実、サフランの柱頭の乾燥物より抽出されるクロシンをアルカリや酵素を用いて加水分解することにより得られる。クロシンは水溶性であり、我が国ではクチナシ黄色素の主色素成分として広範囲な食品の着色に利用されているが、クロセチンは水に不溶である。そのため、クロセチンはクロシンよりも色調的に優れているにもかかわらず、その利用には制限が伴っていた。 このような状況の下、水に良く分散し、水性食品の着色料として好適なクロセチン製剤の製造方法を提供することを目的とし、クロセチンを、糖類を含有する水溶液中に分散してその平均粒子径を0.5〜5μmとし、得られた分散液を乾燥することを特徴とする粉末状クロセチン製剤の製造方法などが提案されている(特許文献1参照)。 しかし、上記製剤を用いて透明な飲食品(例えば、ペットボトル飲料など)を着色すると、該製剤に由来する沈殿物が肉眼で容易に確認できる程度に生じる場合があるため、上記方法は必ずしも満足できるものではなかった。特開2006−335859号公報 本発明は、飲料を着色した場合に生じる沈殿を抑制し得るクロセチン製剤の製造方法を提供することを課題とする。 本発明者は、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、クロセチンを含有する製剤を調製する際に、マイクロフルイダイザーなどの高圧式均質化処理機を用いて該製剤の粒子径を一定の範囲内に調整することにより、得られた製剤を用いて着色した飲料の沈殿が抑制されることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。 即ち、本発明は、[1].下記式で表されるクロセチンを、糖類を含有する水溶液中に分散して分散液を調製する際に、該分散液の粒子径をメジアン径で0.5μm未満とすることを特徴とするクロセチン製剤の製造方法、[2].前記調整は、高圧式均質化処理機を用いて行うことを特徴とする[1]に記載のクロセチン製剤の製造方法、を提供するものである。 本発明の製造方法により得られるクロセチン製剤を用いて着色した飲料は、沈殿が抑制されたものである。 本発明で用いられるクロセチンは、式で表される化合物である。このクロセチンは、通常、カロテノイド系の黄色色素であるクロシン(クロセチンのジゲンチオビオースエステル)を加水分解することにより得られる。クロシンは、アカネ科クチナシ(Gardenia augusta MERRIL var.grandiflora HORT.,Gardenia jasminoides ELLIS)の果実、サフランの柱頭の乾燥物などに含まれるが、クロシンを得るための工業的原料としてはクチナシの果実が好ましく用いられる。 本発明において、上記植物基原からクロシンを抽出する方法に制限はなく、例えば、粉砕されたクチナシの乾燥果実から水またはアルコール(例えば、メタノール、エタノールなど)、或いはそれらの混合液を用いて抽出するなどの公知の方法が用いられる。抽出条件は、例えば水・アルコール混合液を用いた場合、室温(約0〜30℃)〜50℃で約1〜18時間が好ましく、約30〜40℃で約2〜4時間がより好ましい。抽出操作は通常複数回繰り返される。 本発明において、クチナシからの抽出液を更に吸着樹脂処理或いは膜分離処理し、ゲニポサイドなどのイリドイド配糖体を除去しクロシンの濃度を高めることが、好ましく行われる。 クロシンの加水分解は定法に従って行われてよく、通常、酸、アルカリ或いは適当な加水分解酵素の作用で行われる。ここで酸としては、例えば塩酸、硫酸およびリン酸などが挙げられ、アルカリとしては例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムなどが挙げられる。また加水分解酵素としては、β−グルコシダーゼなどが挙げられる。 工業的には、クロシンの加水分解がアルカリによる加水分解であるのが好ましい。また、上記加水分解は、攪拌および/または加熱下で行われてもよい。好ましくは攪拌下、約20〜70℃、好ましくは約40〜60℃に加熱し、約1〜24時間、好ましくは約3〜5時間行われる。このようにして、加水分解することにより、その分解が促進され得る。 クロシンの加水分解がアルカリによる加水分解である場合、通常、加水分解終了後、反応液に塩酸、硫酸またはリン酸などの無機酸、もしくはクエン酸などの有機酸の水溶液を適量加え、液性をpH約4.0以下、好ましくはpH約1.0〜3.0にするか、または反応液を塩酸、硫酸またはリン酸などの無機酸、もしくはクエン酸などの有機酸の水溶液に加え、液性をpH約4.0以下、好ましくはpH約1.0〜3.0にすることで、クロセチンを析出させる。その後、クロセチンを析出させた混合液を、遠心分離するか或いはろ紙もしくはろ布に通してろ過することにより、クロセチンをペースト状の固形物として回収できる。 また、クロシンの加水分解が酸による加水分解である場合、通常、加水分解と同時にクロセチンが析出するため、反応液は懸濁液として得られる。反応終了後、得られた懸濁液を、遠心分離するか或いはろ紙もしくはろ布に通してろ過することにより、クロセチンをペースト状の固形物として回収できる。 このようにして得られたクロセチン(ペースト状の固形物)には、通常、酸、中和塩および原料由来の不純物が固形物表面に付着しているため、該不純物を除去する目的で、洗浄処理が行われる。該処理は、例えば、上記ペースト状の固形物を十分量の水を用いて水洗するなど、公知の方法を用いて行ってよい。次に、例えば棚式の通風乾燥機または真空乾燥機などを用いて、好ましくは窒素ガスの雰囲気下約50℃を越えない温度で乾燥し、固形物に残留する水を除去してもよい。 本発明に係るクロセチンとしては、上記ペースト状の固形物を水洗したもの、または水洗したものを乾燥したものが好ましく用いられるが、更に、これらクロセチンを精製した精製クロセチンを用いてもよい。ここで、クロセチンを精製する方法に制限は無く、例えばカラムクロマトグラフィー、再結晶など自体公知の方法が用いられる。 本発明で用いられる糖類としては特に制限はなく、例えばブドウ糖、果糖、ガラクトースなどの単糖、麦芽糖、乳糖、蔗糖などの二糖、澱粉、加工澱粉、アミロース、アミロペクチン、デキストリン、シクロデキストリンなどの多糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオースおよびマルトヘキサオースなどのマルトオリゴ糖などの少糖、アラビアガム、カラギナン、カラヤガム、寒天、キサンタンガム、グアーガム、タマリンドシードガム、トラガントガム、ペクチンおよびローカストビーンガムなどの多糖類、ソルビトール、マンニトール、マルチトールまたは還元水飴などの糖アルコールなどが挙げられ、好ましくは多糖類などである。 本発明になるクロセチン製剤の製造方法としては、糖類を含有する水溶液中にクロセチンを分散して分散液を調製する際に、該分散液の粒子径(メジアン径)を約0.5μm未満とするものであれば特に限定されないが、例えば下記の方法1又は2により製造することができる。[方法1] 水洗したクロセチン(ペースト状の固形物)を水に懸濁して得た懸濁液を、室温(約0〜30℃)〜100℃、好ましくは約45〜65℃に加温したアラビアガムを含有する水溶液に加え、これを高圧式均質化処理機を用いて処理することにより、本発明に係るクロセチン製剤を得る。[方法2] 水洗したクロセチン(ペースト状の固形物)を水に懸濁して得た懸濁液を高圧式均質化処理機を用いて処理する。得られた処理液を、室温(約0〜30℃)〜100℃、好ましくは約45〜65℃に加温したアラビアガムを含有する水溶液に加え、攪拌機、加熱用のジャケット及び邪魔板等を備えた通常の攪拌・混合槽を用いて攪拌し、本発明に係るクロセチン製剤を得る。 上記高圧式均質化処理機としては、例えばクレアミックスWモーション(エムテクニック社製)、APVゴーリンホモジナイザー(APV社製)、マイクロフルイダイザー(みづほ工業社製)、アルティマイザー(スギノマシン社製)またはナノマイザー(大和製罐社製)などが挙げられる。該均質化処理機による操作条件としては、装置の仕様により異なり一様ではないが、例えば約5〜80MPaで1パス(単回数処理)又は多パス(複数回数処理)とするのが好ましい。 上記攪拌機としては、例えばTKホモミクサー(特殊機化工業社製)またはクレアミックス(エムテクニック社製)などの高速回転式分散・乳化機が好ましく用いられる。該分散・乳化機の操作条件としては、例えば実験室用の小型機では、回転数約2000〜20000rpm、攪拌時間約5〜60分間を例示できる。 上記処理により得られる分散液中のクロセチンの粒子径(メジアン径)は約0.5μm未満であることが好ましく、約0.4μm未満であることがより好ましく、約0.3μm未満であるのが更に好ましい。該粒子径が0.5μmを超えると、得られた製剤を用いて着色した飲食品の沈殿の抑制が十分でないため好ましくない。一方、該粒子径が小さすぎると、粒子が凝集し分散状態が保たれなくなり好ましくないため、その下限は、通常0.06μm程度である。 本発明に従うクロセチン製剤100質量%中には、クロセチン約0.05〜6質量%、好ましくは約0.5〜5質量%、糖類を約0.05〜60質量%、好ましくは約1〜30質量%、残余が水となるように調整するのが好ましい。また、クロセチンと糖類の比率は、約1:1〜1:10、好ましくは約1:2〜1:6となるように調整するのが好ましい。 なお、上記方法1および2により製造されるクロセチン製剤は、クロセチンが水溶液中に分散した水分散性の形態を有するものであるが、これら水分散性のクロセチン製剤を自体公知の方法により乾燥し、粉末状のクロセチン製剤としても良い。 乾燥方法としては、例えば、噴霧乾燥、ドラム乾燥、ベルト乾燥、真空乾燥あるいは真空凍結乾燥などが挙げられ、好ましくは真空凍結乾燥または噴霧乾燥である。 真空凍結乾燥に使用される装置としては特に制限は無く、自体公知の装置を使用することができる。真空凍結乾燥の方法は自体公知の方法に従って良く、例えば、水分散性のクロセチン製剤(好ましくは該製剤と適量の水及びデキストリンなどの賦形剤とを混合したもの)を−20℃以下、約−30〜−40℃にて凍結させ、得られた凍結物を約10〜100Pa程度の真空下、約30〜60℃で加熱しながら、約10〜72時間乾燥するのが好ましい。得られた凍結乾燥物を自体公知の方法により粉砕し、好ましくは篩い分けすることにより粉末状のクロセチン製剤を得ることができる。得られる粉末状のクロセチン製剤の乾燥減量は通常約5質量%以下、好ましくは約1〜3質量%である。 噴霧乾燥に使用される装置としては特に制限は無く、噴射式噴霧乾燥装置または回転円盤式噴霧乾燥装置など、公知の装置を使用することができる。また、噴霧乾燥の操作条件としては、例えば分散液を加圧ノズル式噴霧乾燥装置に供給し、熱風入口温度約120〜170℃、好ましくは約140〜150℃、排気温度約70〜140℃、好ましくは約85〜90℃の条件下で噴霧乾燥し、乾燥物をサイクロンで捕集することにより、粉末状のクロセチン製剤を得ることができる。得られる粉末状のクロセチン製剤の平均粒子径は約20〜200μm、好ましくは約60〜100μmである。また、その乾燥減量は約10質量%以下が好ましく、約7質量%以下であることがより好ましい。 本発明に従う粉末状のクロセチン製剤の好ましい実施態様の一例は、該製剤100質量%中、クロセチンを約0.1〜10質量%、好ましくは約0.2〜4質量%、糖類を約90〜99.9質量%、好ましくは約96〜99.8質量%を含む粉末である。その色価は約50〜1000が好ましく、約100〜400であることがより好ましい。 本発明において、クロセチン製剤中には、本発明の目的・効果を阻害しない範囲で、例えばグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルおよびレシチンなどの食品用乳化剤を添加してもよい。ここで、グリセリン脂肪酸エステルには、グリセリンと脂肪酸とのエステルの外、グリセリン酢酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびポリグリセリン縮合リシノール酸エステルなどが含まれる。またレシチンとしては、油糧種子または動物原料から得られたもので、リン脂質を主成分とするものであれば特に制限は無く、例えば大豆レシチンおよび卵黄レシチンなど油分を含む液状レシチンから油分を除き乾燥した粉末レシチン、液状レシチンを分別精製した分別レシチン、並びにレシチンを酵素で処理した酵素分解レシチンおよび酵素処理レシチンなどが挙げられる。 本発明の製造方法により得られるクロセチン製剤は、着色料として広範囲の飲食品に利用が可能であるが、特にペットボトル(PET容器)などの透明容器に充填される飲料の着色に好適に使用することができる。 以下に本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。[クロセチンの調製] 粉砕したクチナシの乾燥果実30kgにエタノール・水混合液(50:50)60Lを加え、室温で3時間攪拌した後吸引ろ過した。ろ過後、抽出残にエタノール・水混合液(50:50)60Lを加え、室温で30分間攪拌した後吸引ろ過する操作を2回繰り返し、ろ液として計約175Lの抽出液を得た。この抽出液を、ロータリーエバポレーターを用いて約60℃、約4kPaの条件で濃縮し、濃縮物1(色価=約570)約10.5kgを得た。 得られた濃縮物1に精製水を加えて100Lとし、得られた溶液を吸引ろ過し、ろ液をアンバーライトXAD−7(オルガノ社製)50Lを充填したカラムに流速SV=0.5で通液した。続いて、精製水400Lをカラムに流速SV=0.5で通液し、排出液を廃棄した。次にエタノール・水混合液(70:30)50Lを流速SV=0.5で通液し、色素を脱着・溶出した。得られた溶出液を、エバポレータを用いて約60℃、約4kPaの条件で濃縮し、クロシンを含む濃縮物2(色価=約1600)約3.5kgを得た。 得られた濃縮物2と40質量%水酸化ナトリウム水溶液600gとを混合し、撹拌下60℃で約3.5時間加水分解反応を行った。反応終了後、反応液を4質量%リン酸水溶液15Lに加えて酸性とした後、そのまま約3時間室温で放置した。次に、析出した沈殿を遠心分離(10,000×g、10分間)により回収し、更に水5Lで洗浄し、遠心分離する操作を2回繰り返し、ペースト状の固形物であるクロセチン組成物(色価=約2000)約2750gを得た。該クロセチン組成物中のクロセチン含有量は約5.5質量%であった。 尚、上記色価は、下記の[色価測定方法]により測定した。[色価測定方法]1)測定する吸光度が0.3〜0.7の範囲になるように、試料を精密に量り、ジメチルスルホキシドに溶かして正確に100mlとする。2)その5mlを正確に量り、Kolthoff氏緩衝液(50mM Na2B4O7・10H2O−50mM Na2CO3,pH10.0)を加えて50mlとする。3)その5mlを正確に量り、Kolthoff氏緩衝液(pH10.0)を加えて50mlとする。4)その5mlを正確に量り、Kolthoff氏緩衝液(pH10.0)を加えて50mlとし、試験溶液とする。5)Kolthoff氏緩衝液(pH10.0)を対照とし、液層の長さ1cmで420nm付近の極大吸収部における吸光度Aを測定し、次式により色価を求める。[実施例1] 先に調製したクロセチン組成物(色価=約2000)685.0gを精製水436.0gで懸濁し、クロセチン懸濁液1121.0gを得た。次に3000mL容ビーカーにアラビアガム(商品名:サンアラビック;三栄薬品貿易社製)187.5g、精製水779.0gを加え、40℃に加温して溶解した後、該クロセチン懸濁液を加え均一に混合した。得られた混合液を83メッシュ篩に通した後、マイクロフルイダイザー(みづほ工業社製;L−210Zチャンバー装着)を用いて50MPaで2パス処理し、水分散性のクロセチン製剤(実施例品1)3100gを得た。得られた製剤中のクロセチンの平均粒子径は約0.34μmであった。[粒子径の測定方法] 粒子径の測定にはレーザー回折/分散粒度分布測定機(型式:LA−920;堀場製作所社製)を使用し、粒子径の大きさを体積頻度からメジアン径として算出した。クロセチンの粒子径は水を媒体として測定した。[実施例2] 先に調製したクロセチン組成物(色価=約2000)1222gを精製水778gで懸濁し、クロセチン懸濁液2000gを得た。該懸濁液を83メッシュ篩に通した後、マイクロフルイダイザー(みづほ工業社製;L−210Zチャンバー装着)を用いて50MPaで1パス処理し、処理液A1900gを得た。次に1000mL容液量計にアラビアガム(商品名:サンアラビック;三栄薬品貿易社製)93.75g、精製水389.5gを加え、40℃に加温して溶解した後、処理液A560.5gを加え均一に混合した。得られた混合液を83メッシュ篩に通した後、40℃に保温しながらクレアミックス(エムテクニック社製)を用いて回転数17000rpm、12分間攪拌し、水分散性のクロセチン製剤(実施例品2)1040gを得た。得られた製剤中のクロセチンの粒子径は約0.26μmであった。[実施例3] 実施例1と同様にして調製した水分散性のクロセチン製剤223.8gと、デキストリン372.5g及び精製水1403.7gを混合した。得られた混合液を縦298mm、横435mm、高さ25mmの金属製トレイに充填し、凍結乾燥機(型式:DC500;ヤマト科学社製)を用いて、−35℃で24時間予備凍結した後、真空度13Paの条件下、棚温50℃で約27〜28時間かけて凍結乾燥した。得られた凍結乾燥物を0.5mmのスクリーンを有するピンミルを用いて粉砕し、粉末状のクロセチン粉末製剤(実施例品3)380gを得た。得られた製剤の乾燥減量は2.5質量%であった。[実施例4] 実施例2と同様にして調製した水分散性のクロセチン製剤223.8gと、デキストリン372.5g及び精製水1403.7gを混合した。得られた混合液を縦298mm、横435mm、高さ25mmの金属製トレイに充填し、凍結乾燥機(型式:DC500;ヤマト科学社製)を用いて、−35℃で24時間予備凍結した後、真空度13Paの条件下、棚温50℃で約27〜28時間かけて凍結乾燥した。得られた凍結乾燥物を0.5mmのスクリーンを有するピンミルを用いて粉砕し、粉末状のクロセチン粉末製剤(実施例品4)380gを得た。得られた製剤の乾燥減量は2.5質量%であった。[比較例1] 先に調製したクロセチン組成物(色価=約2000)342.5gを精製水217.0gで懸濁し、クロセチン懸濁液560.5gを得た。次に1000mL容液量計にアラビアガム(商品名:サンアラビック;三栄薬品貿易社製)93.75g、精製水389.5gを加え、40℃に加温して溶解した後、該クロセチン懸濁液560.5gを加え均一に混合した。得られた混合液を83メッシュ篩に通した後、40℃に保温しながらクレアミックス(エムテクニック社製)を用いて回転数17000rpm、12分間攪拌し、水分散性のクロセチン製剤(比較例品1)1040gを得た。得られた製剤中のクロセチンの粒子径は約0.77μmであった。[比較例2] 比較例1と同様にして調製した水分散性のクロセチン製剤223.8gと、デキストリン372.5g及び精製水1403.7gを混合した。得られた混合液を縦298mm、横435mm、高さ25mmの金属製トレイに充填し、凍結乾燥機(型式:DC500;ヤマト科学社製)を用いて、−35℃で24時間予備凍結した後、真空度13Paの条件下、棚温50℃で約27〜28時間かけて凍結乾燥した。得られた凍結乾燥物を0.5mmのスクリーンを有するピンミルを用いて粉砕し、粉末状のクロセチン粉末製剤(比較例品2)380gを得た。得られた製剤の乾燥減量は2.5質量%であった。[試験例] 上記実施例及び比較例で得たクロセチン製剤(実施例品1〜4並びに比較例品1及び2)1.1g、果糖ブドウ糖液糖(商品名:ハイフラクトM;日本コーンスターチ社製)14g、クエン酸(無水)(和光純薬工業社製)0.15g、クエン酸ナトリウム(無水)(和光純薬工業社製)0.06g、精製水84.69gを混合し、模擬飲料を作製した。該模擬飲料を容量50mLのペットボトル(PET容器)に50g充填した後、一晩静置し、該ペットボトルの底部を目視にて観察して発生した沈殿の程度を評価した。その結果を以下の基準に従って記号化し、表1に示した。○:ごく少量の沈殿が認められる△:少量の沈殿が認められる×:多量の沈殿が認められる 表1の結果から明らかなように、本発明の製造方法により得られるクロセチン製剤(実施例品1〜4)を用いて着色した飲料は、明らかに沈殿が抑制されたものであった。式で表されるクロセチンを、糖類を含有する水溶液中に分散して分散液を調製する際に、該分散液の粒子径をメジアン径で0.5μm未満とすることを特徴とするクロセチン製剤の製造方法。 前記調整は、高圧式均質化処理機を用いて行うことを特徴とする請求項1に記載のクロセチン製剤の製造方法。 【課題】飲料を着色した場合に生じる沈殿を抑制し得るクロセチン製剤の製造方法を提供する。【解決手段】式 【化1】で表されるクロセチンを、糖類を含有する水溶液中に分散して分散液を調製する際に、該分散液の粒子径をメジアン径で0.5μm未満とすることを特徴とするクロセチン製剤の製造方法。該調整は、高圧式均質化処理機(例えば、マイクロフルイダイザー等)を用いて約5〜80MPaで1パス(単回数処理)又は多パス(複数回数処理)により行うことが好ましい。【選択図】 なし