生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_生理活性物質の検出方法
出願番号:2010167993
年次:2012
IPC分類:G01N 33/531,G01N 33/543


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藤本 健太郎 JP 2012026955 公開特許公報(A) 20120209 2010167993 20100727 生理活性物質の検出方法 住友ベークライト株式会社 000002141 藤本 健太郎 G01N 33/531 20060101AFI20120113BHJP G01N 33/543 20060101ALI20120113BHJP JPG01N33/531 BG01N33/543 501J 9 OL 8 本発明は、抗体結合性生理活性物質の検出方法に関する。 生理活性物質の検出方法としては、ELISAや抗体チップなどの抗原抗体反応を利用した測定方法が一般的に行われている。 ELISAや抗体チップは、測定対象の生理活性物質と、該生理活性物質と特異的に結合する抗体とを反応させることにより検出する方法であり、夾雑物を含むサンプル中から特定の生理活性物質のみを効率よく検出することができる。 検出系としては、吸光測定、化学発光、蛍光、放射性による検出するRIAなどがある。 ELISA、抗体チップのシグナル検出において、シグナル対ノイズ比(S/N比)を向上させることが重要である。ノイズが増加する原因としては、生理活性物質の担体への非特異的な吸着が挙げられる。 ノイズを下げる方法としては、抗体を固相化した後にブロッキングと呼ばれる操作で非特異吸着を防止する方法や、非特異吸着を低減するようなポリマーを担体表面に塗布する方法などが挙げられる(特許文献1)。しかし、使用する生理活性物質によって最適なブロッキング条件、ポリマー塗布条件が異なるなどといった問題点があり、ノイズを下げる万能な方法が求められている。 一方、シグナルを上げる方法としては、抗体濃度を上げる、反応時間を長くするなどが挙げられる。 しかし一般的に、抗体は貴重で高価であることから、濃度を上げることは実際の使用上困難であることが多く、また、反応時間を長くすることも効率を考えると好ましくない。特開2006−126166 本発明は、シグナル/ノイズ比の優れた生理活性物質の検出方法を提供することを目的とする。 本発明は、(1)免疫分析に用いる生理活性物質試料希釈液であって、物質保護剤と界面活性剤を同時に含む水溶性溶液であることを特徴とする生理活性物質希釈液、(2)前記物質保護剤が、タンパク質である(1)記載の生理活性物質希釈液、(3)前記タンパク質が、動物性アルブミンまたは遺伝子組み換えアルブミンである(2)記載の生理活性物質希釈液、(4)前記界面活性剤が、陰イオン性界面活性剤である(1)記載の生理活性物質希釈液、(5)前記陰イオン性界面活性剤が、ドデシル硫酸ナトリウム塩である(4)記載の生理活性物質希釈液、(6)(1)記載の水溶性溶液が、水溶性緩衝液からなる(1)記載の生理活性物質固定化溶液、(7)前記水溶性緩衝液が、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、HEPES緩衝液のうちいずれかである(6)記載の生理活性物質固定化溶液、(8)前記生理活性物質希釈液中のアルブミン(A)とドデシル硫酸ナトリウム塩(B)の重量比率(A/B)が2以上、より好ましくは、2以上20以下である(1)〜(7)いずれか記載の生理活性物質固定化溶液、(9)免疫分析において、抗原希釈液に、(1)〜(8)いずれか記載の生理活性物質希釈液を用いる生理活性物質希釈方法、 である。 本発明によると、シグナル/ノイズ比の優れた生理活性物質の検出方法を提供することができる。 以下、本発明の抗体結合性生理活性物質の検出方法について説明する。 抗体結合性生理活性物の検出において、検出感度に直結するシグナル対ノイズ比を改善することが本発明の主たる目的である。この目的を達成するための方法としては、抗体と生理活性物質との反応性を向上させる、生理活性物質の担体への非特異的吸着を抑制する、ことがある。 本発明の効果は、物質保護剤と界面活性剤を同時に含む水溶性溶液の生理活性物質試料希釈液を用いることで達成される。 該物質保護剤は、合成ポリマーや生体由来物質を使用することができる。生体由来物質では、物質保護の効果が確認されている、タンパク質が好適に使用できる。 前記タンパク質は、特に限定はしないが、アルブミン、ゼラチン、カゼインが好適であり、アルブミンが安定性、効果の点で最も好適である。 本発明で使用するアルブミンとしては、たとえば、動物性アルブミンが挙げられる。なかでも、入手のし易さからウシ血清アルブミンが好適である。 また、遺伝子組換えアルブミンも用いることができる。 界面活性剤は、生化学に用いられる一般的なイオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤を用いることができる。 イオン性界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、ドデシル硫酸ナトリウム、N−ドデカノイルサルコシン酸ナトリウムなどが挙げられる。なかでも、ドデシル硫酸ナトリウムが好適である。 非イオン性界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、Tween20、Tween80、TritonX−100、Nonidet P−40、BriJ58などが挙げられる。 また、前記のイオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤の複数種を混合したものであっても良い。 水溶性溶液としては、pHの安定性の面から緩衝液であることが好ましい。水溶性緩衝液としては、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、HEPES緩衝液が挙げられるが、なかでもリン酸緩衝液が好適である。 物質保護剤、界面活性剤はそれぞれ、生理活性物質の非特異的な結合を防ぐことが期待され、ノイズの低減につながる。しかし、ノイズの低減とともに、シグナルも低減するという問題があった。 本発明では前記問題を、物質保護剤と界面活性剤を混合することによって解決した。即ち、ノイズを低減しつつ、シグナルを増加させることができた。物質保護剤と界面活性剤は任意の比率で混合することができるが、物質保護剤(A)と界面活性剤(B)の重量比率(A/B)が2以上である場合に顕著な効果が見られ、重量比率(A/B)が2以上であることが好ましい。また、重量比率(A/B)が2以上20以下である場合に特にS/N比が高く、生理活性物質希釈液として好適である。 本発明において使用する担体の形状に特に限定はしないが、96穴や384穴に代表されるマイクロタイタープレート状のもの、スライドガラスに代表される基板状のもの、あるいはシート状のもの、及びそれらの複合体が挙げられる。 本発明において生理活性物質は、特に限定されるものではないが、生体内から取り出した体液検体(尿、血液、血漿、血清、組織液、リンパ液、腹水)、臓器抽出液、細胞抽出液細胞の培養上清、前記液成分からの精製物質または遺伝子組み換えタンパク質などが挙げられる。 以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、この発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。(実施例1) 担体に、サーモフィッシャーサイエンティフィック製Nuncマキシソープ96穴プレート(品番:464394)を用いた。(一次抗体の固定化)一次抗体であるラビット由来抗Profilin 1抗体(アブカム製Ab50668)を1μg/mLの濃度になるようにPBSで希釈し、前記担体に100μL/ウェルずつ分注し、4℃で一晩静置した。また同時に、ノイズ測定用にPBSのみを100μL/ウェルずつ分注したウェルも用意した。その後、0.01wt%の界面活性剤Tween20を添加したPBSを用いて室温で洗浄を行った。(ブロッキング) 前記洗浄後の担体に、1wt%のBSA(ウシ血清アルブミン;シグマアルドリッチ製)を溶解したPBSを100μL/ウェルずつ分注し、37℃で1時間静置した。その後、0.01wt%の界面活性剤Tween20を添加したPBSを用いて室温で洗浄を行った。(固定化抗体と抗原との反応) 次に、前記洗浄後の担体に、抗原であるProfilin 1精製タンパク(アブカム製ab87760)を添加し1000ng/mL濃度とした溶液を100μL/ウェルずつ分注し、37℃で1.5時間静置することで抗原抗体反応を実施した。希釈には、BSA(ウシ血清アルブミン;シグマアルドリッチ製)およびSDS(ドデシル硫酸ナトリウム塩;和光純薬工業製)を表1に示した各濃度になるようにPBSに溶解させたものを用いた。 反応後、0.01wt%の界面活性剤Tween20を添加したPBSを用いて室温で洗浄を行った。(抗原と二次抗体との反応) 次に、前記担体表面に0.4μg/mLの濃度(溶媒:PBS)に調製した二次抗体である予めビオチン標識化したラビット由来抗Profilin 1抗体(アブカム製Ab50667)溶液を100μL/ウェルずつ分注し、37℃で1時間静置することで抗原抗体反応を実施した。反応後、0.01wt%の界面活性剤Tween20を添加したPBSを用いて室温で洗浄を行った。(ビオチン−アビジン反応) 次に前記担体表面に、ストレプトアビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ(GE Healthcare製)をPBSで1000分の1濃度に希釈調製した溶液を100μL/ウェルずつ分注し、37℃で30分間静置することでビオチン−アビジン反応を実施した。反応後、0.01wt%の界面活性剤Tween20を添加したPBSを用いて室温で洗浄を行った。(発色反応) 最後に、TMBペルオキシダーゼ発色液(プロメガ製)を用いて発色反応を行った。原液を100μL/ウェルずつ分注し、遮光した状態の室温で25分間静置させた。 その後、0.5N硫酸(和光純薬工業製)を100μL/ウェルずつ分注し、反応を完結させた。 発色反応を行った担体について、485nmの吸光度測定を行った。吸光度測定には、TECAN製プレートリーダーを用いた。結果を表1に示す。 一次抗体を固定化させたウェルから得られた吸光度をシグナル量、一次抗体を固定化させずにおいたウェルから得られた吸光度をノイズ量とした。また、シグナル量/ノイズ量を、S/N比として計算した。(実施例2) 担体に、住友ベークライト株式会社製ELISA用プレート(ブロッキングレスタイプ)(品番:BS−X7311)を用いた。(一次抗体の固定化)一次抗体であるラビット由来抗Profilin 1抗体(アブカム製Ab50668)を1μg/mLの濃度になるようにキットに付属の固定化液で希釈し、前記担体に100μL/ウェルずつ分注し、37℃で2時間静置した。また同時に、ノイズ測定用にPBSのみを100μL/ウェルずつ分注したウェルも用意した。その後、0.01wt%の界面活性剤Tween20を添加したPBSを用いて室温で洗浄を行った。(ブロッキング) ブロッキングは実施せずに、その後の操作を行った。(抗原抗体反応)(ビオチン−アビジン反応)(発色反応) 実施例1と同様に操作を行い、吸光度測定を行った。結果を表2に示す。(比較例1) 実施例1と同様に操作で、一次抗体の固定化及びブロッキングを実施した。 固定化抗体と抗原との反応において、BSA、SDSのいずれか一方、または両方を用いない希釈液を調製し抗原希釈液として用いた。反応条件は、実施例1に同じで行った。以降の作業は実施例1に同じで行った。(比較例2) 実施例2と同様に操作で、一次抗体の固定化及びブロッキングを実施した。 固定化抗体と抗原との反応において、BSA、SDSのいずれか一方、または両方を用いない希釈液を調製し抗原希釈液として用いた。反応条件は、実施例2と同じで行った。以降の作業は実施例2に同じで行った。表1 免疫分析結果(実施例1、比較例1)表2 免疫分析結果(実施例2、比較例2)実施例1および実施例2で同様の傾向が得られた。BSA、SDSがいずれも0wt%の場合(条件10および22)ノイズ量が大きいが、BSA濃度とSDS濃度のいずれか、あるいは両者の濃度が増加した場合、ノイズ量が低くなる。このことから、BSAおよびSDSは、生理活性物質の非特異的な結合を防止し、ノイズ量を低減させる効果があることがわかった。また、BSAとSDSの比率(BSA/SDS)によって、吸光度測定値のS/N比が大きく変動する傾向が見られた。BSA/SDSが2以上の値をとる場合、S/N比が大きくなり、更にはBSA/SDSが2以上20以下の場合、特にS/N比が大きくなる。(産業上の利用可能性) 本発明を利用することにより、シグナル/ノイズ比(S/N比)の高く抗体結合性生理活性物質の検出することができる。免疫分析に用いる生理活性物質試料希釈液であって、物質保護剤と界面活性剤を同時に含む水溶性溶液であることを特徴とする生理活性物質希釈液。前記物質保護剤が、タンパク質である請求項1記載の生理活性物質希釈液。前記タンパク質が、動物性アルブミンまたは遺伝子組み換えアルブミンである請求項2記載の生理活性物質希釈液。前記界面活性剤が、陰イオン性界面活性剤である請求項1記載の生理活性物質希釈液。前記陰イオン性界面活性剤が、ドデシル硫酸ナトリウム塩である請求項4記載の生理活性物質希釈液。請求項1記載の水溶性溶液が、水溶性緩衝液からなる請求項1記載の生理活性物質固定化溶液。前記水溶性緩衝液が、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、HEPES緩衝液のうちいずれかである請求項6記載の生理活性物質固定化溶液。前記生理活性物質希釈液中のアルブミン(A)とドデシル硫酸ナトリウム塩(B)の重量比率(A/B)が2以上、より好ましくは、2以上20以下である請求項1〜7いずれか記載の生理活性物質固定化溶液。免疫分析において、抗原希釈液に、請求項1〜8いずれか記載の生理活性物質希釈液を用いる生理活性物質希釈方法。 【課題】 本発明は、免疫反応などを用いた抗体結合性生理活性物質の検出方法に関して、シグナル/ノイズ比の優れた生理活性物質の検出方法を提供することを目的とする。【解決手段】抗体結合性生理活性物質の検出に用いる生理活性物質試料希釈液を、物質保護剤と界面活性剤を同時に含む水溶性溶液で調製することにより、抗体結合性生理活性物質の検出において、シグナル/ノイズ比(S/N比)を高くすることができた。また、その最適な混合比を見出した。【選択図】 なし


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