生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_ウイルス不活化作用を持つ抗菌組成物
出願番号:2010163772
年次:2012
IPC分類:A01N 65/06,A01P 3/00,A01P 1/00,A01N 25/02,A01N 37/02,A61L 9/01,A61K 33/14,A61K 36/00,A61P 31/02,A61P 31/04,A61P 31/10,A61P 31/12,A61P 17/00


特許情報キャッシュ

宇田川 進一 大槻 公一 高桑 弘樹 常國 良太 佐藤 俊之 JP 2012025678 公開特許公報(A) 20120209 2010163772 20100721 ウイルス不活化作用を持つ抗菌組成物 株式会社バイオシールドサイエンス 508171859 学校法人 京都産業大学 504322611 高田 幸彦 100074631 宇田川 進一 大槻 公一 高桑 弘樹 常國 良太 佐藤 俊之 A01N 65/06 20090101AFI20120113BHJP A01P 3/00 20060101ALI20120113BHJP A01P 1/00 20060101ALI20120113BHJP A01N 25/02 20060101ALI20120113BHJP A01N 37/02 20060101ALI20120113BHJP A61L 9/01 20060101ALI20120113BHJP A61K 33/14 20060101ALI20120113BHJP A61K 36/00 20060101ALI20120113BHJP A61P 31/02 20060101ALI20120113BHJP A61P 31/04 20060101ALI20120113BHJP A61P 31/10 20060101ALI20120113BHJP A61P 31/12 20060101ALI20120113BHJP A61P 17/00 20060101ALI20120113BHJP JPA01N65/06A01P3/00A01P1/00A01N25/02A01N37/02A61L9/01 RA61K33/14A61K35/78 BA61P31/02A61P31/04A61P31/10A61P31/12A61P17/00 101A61K35/78 Y 5 OL 7 4C080 4C086 4C088 4H011 4C080AA04 4C080AA06 4C080BB02 4C080BB03 4C080BB05 4C080CC01 4C080HH03 4C080HH06 4C080KK03 4C080LL04 4C080LL05 4C080MM31 4C080NN14 4C086AA01 4C086AA02 4C086HA02 4C086HA09 4C086MA02 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上述の二酸化塩素を主成分とする抗菌組成物は、人体に対する安全性が天然の抗菌組成物よりも劣る上、人を不快にさせる塩素臭があるため、これを広範囲の、人の生活空間に放出させるにはあまり向いていない。また、天然物から作られる木酢液や竹酢液は、一般的に化学的に合成される抗菌組成物よりも、人体に対する安全性は比較的高いものの、作製方法によっては必ずしも安全とは言えない。さらに、木酢液や竹酢液を用いて広範囲の人の生活空間を抗菌したいと考えても、それらの臭気に満ちた空間は、とても人が心地良く生活できる環境とは言えない。なお、燻液のように人によっては悪い香りがしないものもあるが、室内に強烈な臭いが立ち込めるため、やはり心地良い生活環境を維持するには無理がある。加えて、上述の各抗菌組成物は製造が複雑なため非常に高価であり、ウイルス、細菌、カビ(真菌)等に対して、広範囲の生活空間を日常的に抗菌するには無理がある。食品添加物である酢酸や食酢は安価に購入でき、ある程度の抗菌効果は期待できるが、酢酸特有の臭いが不快である。 従って、本発明の目的は、ウイルス、細菌、カビ(真菌)等に対して、十分な抗菌効果を与えると同時に、人間やペットが誤って口にしてしまっても致命的な危険を伴わず、広範囲の生活空間に放出しても人に不快感を与えず、かつ製造方法が極めて単純な安価な抗菌組成物を提供することにある。 そこで、本発明者らは、まず安全性の観点と人に不快感を与えないとの観点から、原料を人が飲食可能な食品添加物に限定し、添加する植物エキスも、抗菌性能を有する杉の葉に絞り、人に不快感を与える臭いを極力抑える組合せで組成され、その組成物より揮発する成分により気相にて弱毒化鳥インフルエンザウイルス、黒麹カビ、皮麹カビに対する不活化効果確認試験を行った結果、短時間で阻止することができることがわかった。すなわち、本願発明にかかる抗菌組成物を鳥インフルエンザウィルス、黒麹カビ、皮麹カビの近隣に置くことにより、ウイルスやカビを不活化させることができることが判明した。 なお、酢酸特有の臭いを抑えることと、金属等の腐食を防ぐためには、酸度をph4からph5の間に設定することが好ましい。 本発明の一つの観点に係る抗菌組成物は、最適には杉の葉の酢酸抽出成分3重量%に、重量でそのほぼ2倍量の酢酸ナトリウム7重量%を加えたものである。一般的に、杉の葉の酢酸抽出成分が3重量%未満であると、カビを抑制することが困難であり、逆に、10%を越えると塩類が結晶化し、液状の状態を保持することが困難になる。酢酸に二倍量の酢酸ナトリウムを含ませと、酢酸の持つ抗菌効果を持続したままで酢酸臭を大幅に抑える事が出来るが、多少の酢酸臭が残るため、さらに、塩化カリウムを1重量%から7重量%ほど加える事により酢酸特有の臭いを長期間おさえる事が出来る。塩化カリウムの場合も加える量が7重量%を越えると結晶化を引き起こし、好ましくない。酢酸とナトリウムやカリウムなどのミネラルの結合による抗菌力と植物の持つ抗菌力の相乗効果が生まれ、カビ(真菌)しいては様々なウイルス、細菌等に対する抗菌性を高めると同時に、消臭効果を発揮し人を心地良くさせる環境を維持する事が出来る。また、その植物の一部の成分が酢酸と反応し、他の抗菌成分に比較して環境空間への気化速度の速い酢酸の気化速度を遅延制御することができる。 本発明の抗菌組成物は液体のまま使用する事も出来るが、高分子吸収剤や寒天で固めて使用する事も出来る。高分子吸収剤で固める場合の添加量は、5重量%から10重量%が適量で、もっとも安定したのが7重量%であった。寒天で固める場合は、1重量%から3重量%が適量で、もっとも安定したのが1.2重量%であった。これよりも少ないとゲル状の抗菌剤にならないし、これよりも多いと全体が凝固して抗菌剤が蒸発し難くなる。しかし、抗菌力を増大させるため天然塩を5重量%から10重量%添加した抗菌剤の場合には、全体をゲル状にするためには、高分子吸収剤の場合でも10重量%の量を添加する必要がある。天然塩は10重量%以上加えても良いが、塩の量が多くなると、抗菌組成物をゲル状態にさせるため、添加するゲルや寒天の量が増大し、安価な抗菌組成物を提供できなくなる。また、塩を多く加えても、環境への放出量は限られ、そのほとんどがゲルや寒天とともに残渣として残るため意味がない。この意味からも海塩の量は5重量%程度が最適である。 本発明の抗菌組成物は、黒麹カビ、皮麹カビのほか、各種ウイルス、特に鳥インフルエンザウィルスに有効である。本発明の抗菌組成物は、ほぼ70重量%以上が水で、残りは杉の葉の酢酸抽出液と食品添加物なので、子供などが万一誤って飲んでしまっても、人体にほとんど有害な影響を与えることがなく、従来の抗菌組成物に比較して極めて安全である。 また、本願発明に係る抗菌組成物は、ゲル状態に加工した場合、転倒しても零れ難い上、抗菌消臭成分をゲルから徐々に自然放出する構造のため、病院、保育所など6歳以下の子供がいる場所でも安全に使用できる。また、電気的な除菌装置が使用できない、湿気の強い場所、電源のない場所、火気厳禁の場所などでも使用できるという利点がある。さらに、抗菌組成物の固形物の形状や容器の形状を様々に変更して、ゲルと大気との接触面積を調整することによって、リビングやキッチンなどの広い空間からトイレや浴室などの比較的狭い空間まで、場所を選ばずに使用できる。 さらに、本発明に係る抗菌組成物は、原料が安価である上、浸漬、攪拌、混合などの簡単な操作で作製できるので、従来の抗菌組成物に比較して極めて安価に製造することができる。また、原料として、杉の葉、酢酸、海塩などの食品添加物などを使用しているため、そのまま廃棄しても自然に帰るため、極めて地球に優しいエコロジーな製品である。 約8リットルの、最も好適な、本願発明に係る抗菌組成物を作成するためには、100グラムの杉の葉を、500ミリリットルの氷酢酸に5時間以上漬け込み、杉の葉の成分が氷酢酸に溶け込んだことが確認出来たら、氷酢酸と杉の葉を分離し、杉の葉の成分が溶け込んだ酢酸を240gほどを1番容器に取り分ける。続いて、2番容器に、塩化カリウムを320グラム、酢酸塩を560グラムを3520グラムの精製水で完全に溶かす。また、鍋に3リットル以上の精製水を入れ寒天120グラムの寒天を加え、拡散しながら80度までゆっくりと熱し、その後直ちに過熱をやめ3番容器に移し50度になるまで冷やす。その後、1番容器の中身と2番容器の中身を混ぜ、50度に冷えた3番容器の中身を混ぜる。こうして出来上がった固まる前の寒天を、容器や袋に入れて冷やして固め完成する。つまり、最も好適な、本願発明に係る抗菌組成物の製造方法は、杉の葉を氷酢酸に漬け込んだ後の杉の葉の成分を含んだ酢酸を3重量%を1番容器に取り分け。2番容器に、塩化カリウム4重量%、酢酸ナトリウム7重量%と精製水44重量%を混ぜ撹拌し完全に溶かす。加熱可能な容器に精製水37重量%以上と、寒天1.5重量%入れ、80度まで拡散しながら温め、その65度まで3番容器に移して冷やす。その後、1番容器の中身と2番容器の中身を混ぜた後、65度まで冷えた3番容器の中身を混ぜ、容器や袋に一定量計り分け、好みの容器や袋に好みの量を入れ冷えたら完成する。 寒天を使用せず高分子吸収剤を使用する場合は杉の葉を氷酢酸に漬け込んだ後の杉の葉の成分を含んだ酢酸3重量%を1番容器に取り分け。2番容器に、塩化カリウム4重量%、酢酸ナトリウム7重量%と精製水82重量%以上を混ぜ撹拌し完全に溶かした後に、1番容器の中身と2番容器の中身を混ぜ、その後高分子吸収剤と混合し好みの容器か袋に取り分けることにより作成する事が出来る。 いずれの例でも、取扱の便宜上、抗菌組成物は寒天に含ませて使用したが、原液のままでも良い。原液のままの場合には、抗菌組成物の環境への放出速度が高くなるので、さらに短期間に同一の抗菌効果が得られる。なお、放射線照射によって作製したCMC(カルボキシメチルセルロース)ゲルを使用すると、抗菌組成物の放出速度の調節が容易となり、一層好適である。 以下、本発明を幾つかの実施例(試験例)により更に詳しく説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。<実施例> ここで説明する実施例1乃至6は、いずれも杉の葉を氷酢酸によって抽出した抽出液3重量%に、酢酸ナトリウム7重量%、塩化カリウム4重量%を含む抗菌組成物の気化によるカビ不活化効果の検証試験に関するものである。試験は次のようにして行った。(1)104/mLとなるよう調製した菌液0.lmLを寒天培地に塗布し、シャーレを倒置した。(2)シャーレ蓋に抗菌組成物5gを置き、シャーレと蓋をテープでとめ密封し、29℃で培養し、寒天培地上の菌の発育の有無を確認した。(3)抗菌組成物(ゲル)と寒天培地は、各々非接触を条件とした。(4)比較対照は、シャーレ蓋に精製水5gを入れ、同様に培養した。使用培地としては、POTATO DEXTROSE AGAR を用いた。 以上の結果を表1及び表2に示す。 杉抽出酢酸3%による抗菌力では、特にカビに対し、不活化は、難しかった経緯があり杉抽出酢酸3%に添加した特定の有機塩・無機塩が、抗菌力の強化に繋がったと推測できる。酸系では、水素イオン濃度と抗菌力は、一般的に相関性を有する。酸系抗菌剤のKyoto Styleでは、pHを4.9と高めに調整するも、抗菌力は低下しなかつたことより、水素イオンによる抗菌作用よりもタンパク質変性による抗菌作用が、主に影響を及ぼしたと推測される。 次に、実施例7及び実施例8として、鳥インフルエンザウイルスを対象としたウイルスの不活化について説明する。(1)被検試料使用した抗菌組成物(被検試料)は、株式会社バイオシールドサイエンス製造のKyoto style 301であり、成分は実施例1乃至6として説明したものと同一である。(2)ウイルス:鳥インフルエンザウイルスA/whistling swan/Shimane/499/83(H5N3)株1983年大槻らが島根県に飛来したコハクチョウの糞から分離した弱毒のH5亜型ウイルスを用いた。本ウイルス株はヒナを継代することにより強毒化させることに成功している。本試験に用いたウイルスの力価は、109.5EID50/0.2mlである。(3)使用鶏卵:SPF10日齢発育鶏卵栃木県青木種鶏場からSPF有精卵を購入し、京都産業大学の鳥インフルエンザ研究センターでふ卵して実験に供した。 実験方法は次の通りである。直径90mmのシャーレの中に直径60mmのシャーレを設置した。PBSで100倍に希釈したウイルス液lmlを脱月旨綿にしみ込ませ、60mmのシャーレの中に置き、90mmのシャーレに被検液を10ml入れ、シャーレを密閉し、室温(25℃)および37℃で静置し反応させた。また、陰性対照として被検液の代わりにPBSを用い、同様にウイルス液と反応させた。8、30、60または120分後、脱脂綿よリウイルス液を回収しPBSで10倍階段希釈し、10日齢発育鶏卵漿尿膜腔内に0.2 ml宛接種した。これらの発育鶏卵をさらに37℃で2日間ふ化を続行した後4℃ に一夜置いた。漿尿液を採取し、HA試験により漿尿液中のウイルスの増殖を判定した。ウイルス力価はReed and Muenchの方法により算出した。 上述の試験結果を表3に示す。陰性対照として被検液の代わりにPBSを加え、120分間で反応させた時の残存ウイルス力価は、室温(25℃)および37℃ともに104.75 EID50/ 0.20mlであった。一方、被検溶液とウイルス液を反応させた場合、室温(25℃)および37℃ともに、すべての反応時間で残存ウイルス力価は検出限界以下(≦100.5EID50/0.2ml)であつた。 以上の結果から、Kyoto style 30、1Hは5N3亜型鳥インフルエンザウイルスに対して気相で8分間以上反応させることによって、ウイルス不活化効果を示すことが明らかとなった。 なお、以上の説明では、ウイルスだけでなく、カビに対しても抑制効果が得られるように、抗菌組成物を、杉の葉を氷酢酸によって抽出した抽出液3重量%から10重量%に、酢酸ナトリウム6重量%から24重量%の割合で作製しているが、ウイルスだけを対象として抑制効果を与えるようにするのであれば、この10分の1の重量%すなわち、杉の葉を氷酢酸によって抽出した抽出液0.3重量%から1重量%に、酢酸ナトリウム0.6重量%から2.4重量%であっても良い。 杉の葉を氷酢酸によって抽出した抽出液3重量%から10重量%に、酢酸ナトリウム6重量%から24重量%を含むことから成る抗菌組成物。 請求項1に記載の抗菌組成物において、さらに1重量%から7重量%の範囲の海塩が添加されていることを特徴とする抗菌組成物。 請求項1又は2に記載の抗菌組成物において、さらに1重量%から7重量%の範囲の塩化カリウムが添加されていることを特徴とする抗菌組成物。 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の抗菌組成物において、該抗菌組成物のphが4から5の間にあることを特徴とする抗菌組成物。 杉の葉を氷酢酸によって抽出した抽出液3重量%に、酢酸ナトリウム7重量%、塩化カリウム4重量%を含むことから成る抗菌組成物。 【課題】ウイルス、細菌、カビ(真菌)等に対して、十分な不活化効果を与えると同時に、人間やペットが誤って口にしてしまっても致命的にならず、かつ製造方法が極めて単純で安価な、消臭効果を持つ抗菌組成物を提供すること。【解決手段】杉の葉茶の酢酸抽出成分3重量%に海水から水分を蒸発させた時に残るミネラルと酢酸ナトリウムを添加させた抗菌組成物である。この抗菌組成物は、例えば杉の青葉など抗菌性のある植物のエキスを酢酸で抽出し、天然塩と酢酸ナトリウムを加えて攪拌し、最後に適量のCMCゲルまたは寒天でかため室内に置いても使用できるが抗菌組成物を構成する成分が、いずれも自然界から得られ最終的に自然界に帰るという、エコロジーな抗菌組成物である。【選択図】なし


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