タイトル: | 公開特許公報(A)_ストレス低減食品 |
出願番号: | 2010160501 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | A23L 1/30,A61P 25/20,A61P 3/02,C07D 471/04,A61K 31/4745 |
池本 一人 中野 昌彦 JP 2012019739 公開特許公報(A) 20120202 2010160501 20100715 ストレス低減食品 三菱瓦斯化学株式会社 000004466 永井 隆 100117891 池本 一人 中野 昌彦 A23L 1/30 20060101AFI20120106BHJP A61P 25/20 20060101ALI20120106BHJP A61P 3/02 20060101ALI20120106BHJP C07D 471/04 20060101ALN20120106BHJP A61K 31/4745 20060101ALN20120106BHJP JPA23L1/30 ZA61P25/20A61P3/02C07D471/04 102A61K31/4745 3 OL 7 4B018 4C065 4C086 4B018MD18 4B018ME14 4B018MF02 4C065AA19 4C065BB04 4C065CC09 4C065DD02 4C065EE02 4C065HH08 4C065JJ01 4C065KK08 4C065LL04 4C065PP01 4C086AA02 4C086AA10 4C086CB05 4C086MA01 4C086MA04 4C086NA14 4C086ZA05 4C086ZC21本発明は、ストレス、疲労感を低減させ、睡眠の質を改善する方法並びにそのための食品に関し、少なくともピロロキノリンキノンを経口投与する方法および食品素材を含有してなる食品に関する。ストレス、疲労感は社会生活を送る上で過度に生じることは生活の質を低下させる要因になるため、その低減させる方法が求められている。また、睡眠は人の生活に不可欠であり、ストレス、疲労との関連も強いと考えられている。そのため、睡眠の質の向上は求められている。特に人においては脳機能が発達しているため、これらの要素の改善に関して、その主観的な評価で高くなければ改善できたと実感できない。ピロロキノリンキノン(以下、PQQと略す。)は1979年に、ニコチンアミド(ピリジンヌクレオチド)とフラビンに次ぐ3番目の酸化還元補酵素として細菌から見つかった有機分子であり、カルボキシル基が3つある水溶性の物質である。また、ビタミンB2(リボフラビン)と同様のキノン骨格を、左側の部分はビタミンB6に類似した化学特性を持っている。式(1)にその化学構造を示す。PQQは新しいビタミンの可能性があることが提案されて(例えば、非特許文献1参照)注目を集めている。このPQQ類は、有機化学的合成法(非特許文献2)および発酵法(特許文献1)などにより製造することが可能である。PQQはアルカリ金属塩で提供されることが多く、特にジナトリウム塩の固体として提供される。有効性に関して、動物を対象とした学習・記憶能力に関する研究や記憶能力の保持に関する研究(神経成長因子NGF増強作用)や抗酸化作用、ミトコンドリア賦活作用、アルドース還元酵素阻害などの研究が行われている。人に対する有効性の一つとして、中高年者に対する脳機能改善効果が示唆されている。PQQには神経系改善、脳栄養・構成成分補給、抗ストレス作用などが期待されているが、現段階において臨床試験での科学的実証データは得られていない。特開平1−218597号公報nature,vol422, 24April, 2003, p832JACS、第103巻、第5599〜5600頁(1981)本発明の課題は、ストレス、睡眠の質、疲労に関する主観的な面での改善を行う食品を提供することを課題とした。本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、PQQを含む食品を提供する以下の方法により解決できることを見出した。(1)ストレス、疲労感を低減させ、睡眠の質を改善するピロロキノリンキノンを含む食品。(2)使用するピロロキノリンキノンがナトリウム塩であることを特徴とする(1)に記載の食品(3)1日の投与量が5から60mgである(1)又は(2)に記載の食品。本発明により、主観的なストレス、睡眠の質と睡眠時間、ネガティブな心理状態や疲労が改善されることを可能とする。POMS結果OSA結果PSQI−j結果QQL結果本発明で使用するPQQはフリー体、アルカリ金属塩であればよく特に限定されない。入手しやすい、フリー体、ジナトリウム体、ジカリウム体が使用しやすい。好ましくはナトリウム塩、より好ましくはジナトリウム塩が手に入れやすく、使用しやすい。摂取形態は、ハードカプセル、ソフトカプセルのような錠剤、またはドリンク剤、ゲル状ドリンクのような形態で直接摂取するだけでなく、さまざまな形態の食品とともに摂取することが可能である。具体的にはパン、ご飯、クッキー、チョコレート、ポテトチップス、ケーキのような洋菓子、ぼた餅のような和菓子、アイスクリーム、かき氷のような冷菓のような加工食品に混合しても使用できる。PQQの1日の摂取量は5から60mgである。これより少ないと効果を実感できない可能性が高く、多すぎる場合は効果とコストのバランスが悪くなる。より好ましくは10から40mgである。本発明の特徴として勤労者の主観として改善を実感できる点ですぐれている。バイオマーカーを指標にするストレス改善剤は使用者の実感と一致しないことも多く、継続的な使用に結びつかない危険性がある。本発明で達成される効果は不安、緊張、抑うつ、怒り・敵意、披露、混乱の環状の低下であり、活気の上昇であり、人生活における快適で好ましい状態に近づく。また、睡眠に関する主観的な評価として起床時眠気、入眠と睡眠維持、疲労回復、睡眠時間において改善される。これらは生活の質を向上させる状態に近づけることから非常に好ましい。PQQのこうした効果の発現の理由についてははっきりとしないが神経細胞や脳機能の改善があることから、本発明者は高次の脳機能である人の感情面を脳機能の改善に伴ってストレスのない状態のすることで好ましい状態の導いている可能性があると考えている。もしくはミトコンドリアの活性化に関する機能を有していることから、この機能により身体的な状態が改善されやすくなって、それに伴い主観的な面での効果を実感できているのではないかと考えている。以下、本試験は、「ヘルシンキ宣言(2004年東京注釈追加版)」の精神に則り、常に被験者の人権保護に配慮し、「疫学研究に関する倫理指針(2004年文部科学省・厚生労働省告示1号)」に準拠し、本試験実施計画書に従って実施した。本発明を実施例及び比較例を以てさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に依って限定されるものではない。 実験方法摂取前検査の結果から試験の目的に適した以下の基準を満たす登録被験者17名を選択した。 被験者の選択基準1)年齢が20歳以上60歳未満の男女2)勤労者(フルタイム)3)事前検査時のAISの点数が6点以上の者4)事前検査時のPOMSの疲労尺度のTスコアが50点以上、活気尺度のTスコアが50点以下の者本試験で使用した試験食品及び1日摂取量及び有効成分その他の組成・含量等を以下に示す。原材料:ピロロキノリンキノン二ナトリウム塩形状・包装:ハードカプセル、アルミ袋(35粒/袋)提供者:三菱瓦斯化学株式会社1粒あたりのピロロキノリンキノン二ナトリウム塩の摂取量:20mg検査日直近の勤務日の朝は、起床直後にOSA睡眠調査票MA版(OSA)への記入も合わせて行った。試験食品、摂取期間中日誌を配布し、試験食品の摂取および摂取期間中日誌の記録を開始させた。試験食品は、1日1回朝食後に、1粒を、コップ1杯の水またはぬるま湯とともに摂取した。摂取した時刻と錠数を日誌に記録した。規定量を当日に摂取できなかった場合は、翌日に持ち越して摂取しないこととした。摂取期間は8週間(56日間)とした。摂取開始から1週目(8日目)、2週目(15日目)、4週目(29日目)および8週目(57日目)の休日に来院させ、各種質問紙への記入を実施した。摂取開始から7、14、21、28、35、42、48、56日目の勤務日には、起床直後にOSAに記入した。PQQを投与する前の状態を比較例とし、PQQの投与後の状態を実施例とする。実施例1 比較例1 POMSPOMSは、65の質問項目で構成され、気分や感情を評価する質問紙として米国で開発された。6つの尺度{不安-緊張(T-A)、抑うつ(D)、怒り-敵意(A-H)、活気(V)、疲労(F)、混乱(C)}から構成され、被験者のネガティブな感情とポジティブな感情を多角的に評価できる。POMS短縮版は、65項目版POMSから質問項目を30に削減し、被験者負担を減らし、取り扱いを簡便にしたものであるが、65項目版と比較して信頼性は高く、65項目版と同様の結果が得られることが検証されている。質問項目ごとに、その項目が表す気分になることが過去1週間に「まったくなかった」(0点)から「非常に多くあった」(4点)までの5段階(0〜4点)のいずれか一つを選択する。全30項目を5項目ずつに分類し、尺度ごとに合計点を算出し素点とする。素点から、年代と性別による得点の分布を考慮した補正を行い、標準化得点(Tスコア)を算出する。Vは数値が高いほど、それ以外の尺度は数値が低いほど、気分・感情の状態が良いことを示す。POMSの65項目版1)ではTスコアの評価の目安として、Vが40点以上かつその他の5尺度が60点以下を「健常」、V以外の5尺度の一つ以上が75点以上を「専門医の受診を考慮する必要あり」、それ以外を「他の訴えと合わせ、専門医を受診させるか否かを判断する」としている。ただし、気分・感情は被験者の属性や置かれている状況に影響を受けるので、結果の解釈は慎重に行う必要がある。なお、各尺度の内容は以下の通り。本試験では、POMSの定法に従い、被験者の回答から6つの下位尺度の素点を集計し、Tスコアを算出した。その結果を以下図1に示す。POMSのTスコアはT-Aが63.4、Dが62.0、A-Hが63.7、Vが35.5、Fが68.8、Cが65.4であり、POMSプロファイルも典型的な下に尖った逆氷山型を示していることから、高ストレス状態にあったと推測された。各被験者には試験期間中に転職、勤務内容および勤務時間に大きな変化がなかったこと、また家庭環境の変化、近親者の病気や生死等の極端なストレスイベントがなかったことから、試験期間を通したワークストレスや日常生活におけるストレスは日常範囲内で概ね一定であったと評価できる。試験の結果は、ストレスや疲労の主観的評価であるPOMSは、VとFが2wで有意な改善がみられ、次いでT-A、D、A-Hが4wに、Cが8wに有意に改善した。V、F、T-A、D、A-Hはその後も改善方向に推移が続き、8wではT-Aは51.8、Dは53.5、A-Hは52.4、Vは43.9、Fは55.8、Cは54.7であった。各尺度のTスコアは、65項目版POMSの評価の目安1,2)に当てはめると、0wの「他の訴えと合わせ、専門医を受診させるか否かを判断する」状態から、8wには「健常」の範囲に改善した。POMSプロファイルをみると、0wでは典型的な「下に尖った逆氷山型」であったが、疲労(F)が軽減し活気(V)が上昇し、それに伴って不安(T-A)やイライラ感(A-H)、抑うつ感(D)などのネガティブな感情が低減しており、ストレス状態が緩和されたことがうかがえる。実施例2 比較例2 OSAOSA睡眠調査票は、小栗らが開発した健康成人の睡眠感を評価する質問紙である。OSA睡眠質問票MA版は、小栗らのOSA睡眠調査票第2版をもとに、山本らが中高年・高齢者でも簡単に施行可能な質問紙として開発した調査用紙である。OSA睡眠調査票MA版は20の質問項目から構成される。実施方法は、朝の覚醒直後に各質問項目が示す状態について、「非常に(ある)」「やや(ある)」「やや(ない)」「非常に(ない)」の4段階で最も当てはまるものに回答する。20の質問項目は、質問ごとに重み付けをして点数換算した後、2〜4項目ごとに5つの因子{因子I(起床時眠気)、因子II(入眠と睡眠維持)、因子III(夢み)、因子IV(疲労回復)、因子V(睡眠時間)}に分類し、各因子の平均値を算出し、Zc値とする。Zc値の計算プログラムは、国立精神・神経センター 精神保健研究所 老人精神保健部からインターネット上に公開されている(http://www.ncnp.go.jp/nimh/rojin/OSA.htm)。いずれの項目も数値が高いほど状態が良いことを示す。なお、各因子の内容は以下の通り。本試験ではOSAの定法に従い、被験者の回答から5つの因子のZc値を算出した。その結果を以下の図2に示す。実施例3 比較例3 PSQIPSQIは米国で開発された睡眠障害のスクリーニング用に開発された質問紙で、18の質問項目からなり、睡眠の質、入眠時間、睡眠時間、睡眠効率、睡眠困難、眠剤の使用、日中覚醒困難の7つの要素から構成される。PSQI-jはPSQIの日本語版である。各構成要素のスコア(0〜3点)を加算してPSQI合計スコア(0〜21点)を算出する。得点が高いほど睡眠が障害されていると評価し、合計スコアが6点以上を睡眠障害ありと判定する。各尺度の内容は以下の通り。本試験では、PSQI-jの定法に従い、被験者の回答から合計スコアと下位尺度のスコアを計算した。その結果を以下のグラフ図3に示す。睡眠の主観的評価であるOSAでは、因子V(睡眠時間)が1wに、因子II(入眠と睡眠維持)が2wに、因子I(起床時眠気)が4wに有意に改善し、いずれもその後8wまで改善した状態が持続した。8wのスコアは、因子Iが14.26、因子IIが20.15、因子IIIが24.38、因子IVが15.75、因子Vが15.53であり、山本らが調査票開発時に精神科疾患や重篤な心臓病・腎臓病・ガン・前立腺肥大等の疾患のない26〜75歳の成人男女580名を対象に調査した際の平均値(因子I:21.0±7.5、因子II:21.1±6.8、因子III:23.3±7.4、因子IV:20.8±7.6、因子V:21.4±7.2)に近づいたことが分かる。試験食品摂取により睡眠の導入と維持が改善され、主観的な睡眠時間が延び、起床時の眠気の低減に繋がったものと推測された。同じく睡眠の自己評価であるPSQI−jでは、合計スコアと下位尺度の「睡眠の質」、「睡眠時間」および「日中の覚醒困難」が4w、「入眠時間」が8wで有意に改善した。合計スコアは0wでは10.0点と睡眠障害が疑われるレベルであったが、8wでは6.4点と睡眠障害判定のカットオフラインである6点に近づいており、睡眠の質が改善し、健康な睡眠の状態に近づいたことが示された。OSAとPSQI−jの結果はいずれも、睡眠の導入と睡眠時間および起床時や日中の眠気が、摂取期間依存的に改善したことを示している。今回、この2つの方法で同様の結果が得られたことから、試験結果の妥当性が裏付けられたと考えられる。POMS、OSA、PSQI−jといった主観的評価の結果から、試験食品摂取により睡眠の導入が向上し睡眠時間が確保されるようになり、睡眠障害状態が改善され、それに伴ってネガティブな心理状態が減退し、疲労感が軽減し、ポジティブな気分(活気)が高まったと評価できる。実施例4 比較例4 QOL調査票永田のQOL調査票の定法に従い、被験者の回答から各項目(食欲、睡眠、排便、排尿、運動、体の状態へのとらわれ、疼痛、性生活の満足感、社会的役割の遂行感、家庭生活の幸福感、生活全体の充実感)のスコアを計算した。複数回答があった場合は最大値を採用した。なお、いずれの項目も数値が低いほど状態が良いことを示す。その結果を以下図4に示す。QOLの評価では、「食欲」、「睡眠」、「身体の状態へのとらわれ」および「疼痛」が4wに改善した。ストレス、疲労、睡眠の主観的評価の結果を含めて考えると、睡眠の改善が食欲を高め、疼痛や身体の状態へのとらわれを軽減したと考えられる。本試験では、主観的評価において、睡眠の質と睡眠時間を改善すること、ネガティブな感情や疲労感を減弱させ、ポジティブな感情を高めること、食欲・睡眠・疼痛・身体の状態へのとらわれといったQOLを改善する可能性が示唆され、非常に有用な食品であると考えられた。本発明によりストレス、疲労感を低減させ、睡眠の質を改善する方法並びにそのための食品を提供することができる。また、同時に生活の質を向上させることができる食品を提供することができる。ストレス、疲労感を低減させ、睡眠の質を改善するピロロキノリンキノンを含む食品。使用するピロロキノリンキノンがナトリウム塩であることを特徴とする請求項1に記載の食品1日の投与量が5から60mgである請求項1又は2に記載の食品。 【課題】ストレス、睡眠の質、疲労に関する主観的な面での改善を行う食品を提供する。【解決手段】ストレス、疲労感を低減させ、睡眠の質を改善するピロロキノリンキノンを含む食品。使用するピロロキノリンキノンがナトリウム塩、1日の投与量が5から60mgである食品。【選択図】なし