生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_ホスホジエステラーゼ5阻害剤とイカリソウを含有する医薬組成物。
出願番号:2010143425
年次:2011
IPC分類:A61K 36/29,A61K 45/00,A61P 43/00,A61P 15/10


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角田 健司 井 紀孝 鳥住 保博 JP 2011026306 公開特許公報(A) 20110210 2010143425 20100624 ホスホジエステラーゼ5阻害剤とイカリソウを含有する医薬組成物。 第一三共ヘルスケア株式会社 306014736 竹元 利泰 100161160 石橋 公樹 100146581 矢口 敏昭 100115750 今村 真有 100153039 中村 有希子 100160462 児玉 博宣 100164460 角田 健司 井 紀孝 鳥住 保博 JP 2009150731 20090625 A61K 36/29 20060101AFI20110114BHJP A61K 45/00 20060101ALI20110114BHJP A61P 43/00 20060101ALI20110114BHJP A61P 15/10 20060101ALI20110114BHJP JPA61K35/78 GA61K45/00A61P43/00 121A61P15/10A61P43/00 111 9 OL 8 4C084 4C088 4C084AA19 4C084MA02 4C084NA05 4C084NA14 4C084ZA811 4C084ZC022 4C084ZC202 4C084ZC751 4C088AB63 4C088AC01 4C088BA07 4C088MA02 4C088NA05 4C088NA14 4C088ZA81 4C088ZC75本発明は、ホスホジエステラーゼ5阻害剤とイカリソウ(本明細書中、「イカリソウ」と「インヨウカク」とは同意義を示す)を含有する、主として陰茎勃起機能不全治療用又は改善用医薬組成物に関する。ホスホジエステラーゼ(以下、PDEと称す)は、サイクリックAMP(以下、cAMPと称す)やサイクリックGMP(以下、cGMPと称す)のリン酸エステルを加水分解する酵素であり、これまでに11種のPDEが存在することが判っている。細胞の機能が損なわれた状態では多くの場合、PDE活性が亢進しており、結果的にcGMPやcAMPが不足した状態になることが推定され、PDEを阻害する薬剤はこれらを増加させるのに有用である。PDEの1種であるPDE5については陰茎海綿体や肺組織に豊富に存在する酵素であり、陰茎勃起に関与することが知られている。勃起の機序は、これまでの公知文献を統合すると、以下のように説明できる。性的刺激により、陰茎海綿体にある末梢神経の神経型一酸化窒素合成酵素(nNOS)によって生成した一酸化窒素(NO)が、陰茎海綿体のグアニル酸シクラーゼを活性化してcGMPが合成される。cGMP濃度上昇とともに陰茎海綿体の平滑筋が弛緩して陰茎動脈から血液が流入してくる。陰茎海綿体への血液流入により陰茎体積・寸法の増大と、内圧上昇による陰茎硬化が惹起される。これに伴い陰茎静脈が圧迫されるようになり陰茎海綿体からの血液流出も抑制され、勃起が完結する。その後、射精の完了又は性的刺激の減弱によってNO供給が途絶えてくると、陰茎海綿体に存在するPDE5によりcGMPが分解され、陰茎動脈からの血液流入が止まり、やがて勃起前の状態に戻る。 ストレス等による交感神経の緊張による陰茎動脈収縮による海綿体血液流入の遮断、nNOSの活性低下、グアニル酸シクラーゼ活性の低下、PDE5活性の亢進、等のいずれか又はこれらが複合して起こると、陰茎が勃起しなかったり、勃起しても持続しなかったりして、性交が行えなくなる。このような病態を勃起不全、勃起機能障害あるいは勃起障害と言うが、心理的な配慮から、最近では、英名Erectile Dysfunctionの略名表示である「ED」が広く用いられるようになってきた。 近年、PDE5阻害剤が見いだされ、ED治療に革命がもたらされた。これは、陰茎海綿体のcGMP分解酵素であるPDE5の活性を阻害し、陰茎の末梢NO神経によってもたらされる陰茎海綿体内のcGMP量を維持・増大させ、陰茎海綿体内圧上昇(勃起)状態を持続させるものである(例えば、非特許文献1参照)。PDE5阻害剤がEDに悩む患者の大部分を救った。 世界初のPDE5阻害剤(シルデナフィルクエン酸塩)が発売された当初、NO供与剤である狭心症治療薬(ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド等の硝酸薬)との併用による死亡事故が多数報告されたため、現在では両者は併用禁忌となっている。この理由は、NO供与剤がcGMPの産生を刺激し、PDE5阻害剤がcGMPの分解を阻害することにより、cGMPの増大を介するNOの降圧作用が増強するためとされている。現在では、cGMPを増加させる薬剤、降圧剤、α遮断薬等は併用注意喚起がなされている(例えば、非特許文献2参照)。 一方、イカリソウはメギ科イカリソウ属の多年草植物で、イカリソウ、キバナイカリソウ、トキワイカリソウ、バイカイカリソウ、ホザキノイカリソウが用いられ、主成分としてイカリインやビタミンE等が含まれる。漢方では精気を益す薬物とされ、強精・強壮薬としてインポテンツ、不妊、腰膝軟弱、遺精、倦怠感、健忘症などに用いられている(以上、例えば、非特許文献3参照)。また、OTC医薬品では滋養強壮生薬としてドリンク剤などに配合されている(例えば、非特許文献4参照)。 現在のところ、イカリソウの有効成分のイカリインが用量依存的にPDE5及びPDE4の阻害作用を有することが記載されている(非特許文献5参照)。更に、イカリインのもつ二つの糖をヒドロエチル残基で置換したイカリイン誘導体は、イカリインの80倍のPDE5活性を示し、陽性対照のシルデナフィル活性に匹敵することが報告されている(非特許文献6参照)。 これまでに、イカリソウとPDE5阻害剤との組み合わせについては知られておらず、当該併用による薬理作用については示唆もされていない。医療用医薬品集 2009年版 JAPIC 2008バイアグラ添付文書 第14版 ファイザー 2008天然薬物辞典 廣川書店 1986OTCハンドブック2008−09 SDIC 2008Asian J Androl, 5 2003 p.15-18J Nat Prod, Vol.71 No.9 2008 p.1513-1517 EDに悩む人は若年よりも圧倒的に中高年であり、狭心症薬や降圧薬の服用率が高い年代であるため、PDE5阻害剤の恩恵に浴せない患者がでてくるという課題があった。そこで、副作用の少ない低用量でのPDE5阻害剤投与で、充分かつ優れた陰茎勃起機能を発現する医薬組成物を提供することが、本発明の課題である。 本発明者らはかかる課題を解決するために、数多くの併用成分につき試行錯誤を繰り返しながら、今日まで鋭意研究を進めてきた。その結果、PDE5阻害剤に生薬のイカリソウを併用すると、PDE5阻害剤の勃起作用が著しく増強されることを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、以下に記すとおりである。(1)ホスホジエステラーゼ5阻害剤とイカリソウとを有効成分として含有する医薬組成物。 さらに、本発明の好適な態様としては、以下に示す発明が挙げられる。(2)陰茎勃起機能不全治療用又は陰茎勃起機能不全改善用である(1)に記載の医薬組成物。(3)ホスホジエステラーゼ5阻害剤投与において得られる陰茎勃起作用を、イカリソウを含有させることによって増強させるための(1)に記載の医薬組成物。(4)ホスホジエステラーゼ5阻害剤投与において得られる陰茎勃起持続時間を、イカリソウを含有させることによって持続延長させるための(1)に記載の医薬組成物。(5)ホスホジエステラーゼ5阻害剤が、シルデナフィル、バルデナフィル、タダラフィル、ウデナフィル及びそれらの薬理上許容される塩からなる群から選択される1である、(1)−(4)から選択されるいずれか1項に記載の医薬組成物。(6)ホスホジエステラーゼ5阻害剤が、シルデナフィルクエン酸塩、バルデナフィル塩酸塩水和物、タダラフィル又はウデナフィルである、(1)−(4)から選択されるいずれか1項に記載の医薬組成物。(7)ホスホジエステラーゼ5阻害剤が、シルデナフィルクエン酸塩である、(1)−(4)から選択されるいずれか1項に記載の医薬組成物。 また、本発明は、以下に示す発明も包含する。(8)ホスホジエステラーゼ5阻害剤とイカリソウを同一の医薬組成物中に含有する(1)−(7)から選択されるいずれか1項に記載の医薬組成物の製造方法。(9)陰茎勃起機能不全治療用又は陰茎勃起機能不全改善用医薬組成物を製造するための、ホスホジエステラーゼ5阻害剤とイカリソウの使用。(10)ホスホジエステラーゼ5阻害剤とイカリソウを同時に、順次又は別個に投与する方法。(11)哺乳動物に(1)−(7)から選択されるいずれか1項に記載された医薬組成物の有効量を投与することを特徴とする、陰茎勃起機能不全治療方法又は陰茎勃起機能不全改善方法。 本発明の医薬組成物を投与する際は、それぞれホスホジエステラーゼ5阻害剤を含有する医薬組成物とイカリソウを含有する医薬組成物とを同時に又は順次に投与することが出来る。「同時に」投与するとは、全く同時に投与することの他、薬理学上許される程度に相前後した時間に投与することも含むものである。その投与形態は、ほぼ同じ時間に投与できる投与形態であれば特に限定はないが、単一の医薬組成物であることが好ましい。 「順次又は別個に」投与するとは、異なった時間に別々に投与できる投与形態であれば特に限定はないが、例えば、1の組成物を投与し、次いで、決められた時間後に、他の組成物を投与する方法がある。 「治療」とは、病気又は症状を治癒させること又は改善させること或いは症状を抑制させることを意味する。 本発明により、PGE5阻害剤とイカリソウを含有する医薬組成物を性行為の約1時間前に、ほぼ同時に併用すれば、陰茎勃起作用が著しく増強され、かつ安全である。本発明により、PDE5阻害剤の含有量を減量することが可能となるので有用である。 「陰茎勃起機能不全」とは、何らかの原因により、性交に必要とされるほどの陰茎勃起が発現しなかったり、いったん勃起しても持続せず正常な性交渉が行えなかったりする状態を指し、「陰茎勃起機能不全改善」とは、このような状態を改善することをいう。 「PDE5阻害剤」とは、PDE5を阻害する作用があれば特に限定されないが、具体的には、シルデナフィルクエン酸塩、バルデナフィル塩酸塩、タダラフィル、ウデナフィル等を指す。 「イカリソウ」とはメギ科イカリソウ属の多年草植物で、イカリソウ、キバナイカリソウ、ホザキノイカリソウ、ウラジロイカリソウ等を根元から刈り取り日陰で乾燥させたものである。全草は、インヨウカク(淫羊霍)とも呼ばれ、いずれも有効成分はイカリインと考えられており、現時点では、イカリソウとインヨウカクとは明確に区別できる根拠はなく、インヨウカクはイカリソウの別名という扱いが多い。 PDE5阻害剤として、シルデナフィルクエン酸塩、バルデナフィル塩酸塩、タダラフィル、ウデナフィルは公知の化合物であり市販されているため入手できる。また、イカリソウもエキス、末、エキス末、流エキス、チンキ等が市販されており容易に入手できる。 本発明の医薬組成物の1日投与量における、PDE5阻害剤の含有量は1mg〜150mgであり、好ましくは、5mg〜100mgである。また、イカリソウの含有量はイカリソウ末、イカリソウエキス、イカリソウチンキ、イカリソウ流エキスで異なるが原生薬換算で0.5g〜200gであり、好ましくは、1g〜150gである。 これらを1日1回、性行為の約1時間前に服用する。また、肺動脈性肺高血圧症の場合は当該量を3回に分けて服用する。 なお、「順次又は別個に」投与する場合には、PDE5阻害剤及びイカリソウを性行為の約1時間前に服用することには変わりないが、別個に服用する場合でも時間間隔は30分以内が望ましい。 本発明の実施例を以下に記載するが、これらに限定されるものではない。(実施例1)咀嚼錠(成分)(表1)1錠中(mg) a b c d――――――――――――――――――――――――――――――――――――シルデナフィルクエン酸塩 25 − − −バルデナフィル塩酸塩 − 10 − −タダラフィル − − 10 −ウデナフィル − − − 100イカリソウエキス 4g 4g 4g 4gエリスリトール 3g 3g 3g 3gヒドロキシプロピルセルロース 200 200 200 200ステアリン酸マグネシウム 5 5 5 5香料 微量 微量 微量 微量――――――――――――――――――――――――――――――――――――(製法) 上記成分および分量をとり、日局製剤総則「錠剤」の項に準じて咀嚼錠を製造する。(実施例2)液剤(成分)(表2)10mL中(mg) a b c d――――――――――――――――――――――――――――――――――――シルデナフィルクエン酸塩 25 − − −バルデナフィル塩酸塩 − 10 − −タダラフィル − − 10 −ウデナフィル − − − 100イカリソウエキス 4g 4g 4g 4g蜂蜜 3g 3g 3g 3g保存剤 適量 適量 適量 適量pH調製剤 適量 適量 適量 適量精製水 残部 残部 残部 残部――――――――――――――――――――――――――――――――――――(製法) 上記成分および分量をとり、日局製剤総則「液剤」の項に準じて液剤を製造する。(試験例)陰茎勃起効果確認試験(1)被験物質 シルデナフィルクエン酸塩は市販の医療用バイアグラ錠(「バイアグラ」は、登録商標、ファイザー社製)を乳鉢ですり潰して使用した。イカリソウは市販のイカリソウエキス(松浦薬業製)を使用した。 シルデナフィルクエン酸塩は蒸留水で2mg/Kg濃度に希釈して5mL/Kg投与した。イカリソウエキスはそのまま使用して5mL/Kg(原生薬換算で、イカリソウとして25g/Kg)投与した。シルデナフィルクエン酸塩とイカリソウの合剤は、シルデナフィルクエン酸塩を10mg/Kg投与した後にイカリソウエキスを5mL/Kg投与した。(2)使用動物 JW雄性家兎16週齢を北山ラベス(株)から購入し、温度20〜26℃、湿度30〜70%、照明時間6時〜18時に制御されたウサギ飼育室内でウサギ用ブラケットテーパーケージに入れ、ウサギ飼育用飼料および水フィルターを通した水道水を自由に摂取させた。(3)試験方法 被験物質はネラトンカテーテル12号を用いて経口投与した。いずれの被験物質も投与液量は5mL/Kgである。通常、家兎のペニスは露出しておらず、勃起時に露出してくるので、被験薬投与による勃起作用は、露出した陰茎長さによって評価できる。 被験薬投与後、5、15、30、45、60、90、120及び180分の間隔にて、陰茎露出長さ(mm)をノギスによって測定した。(4)試験結果 被験薬投与後の各時間における家兎ペニス長さの測定結果を表3に示す。また、各値とも1群3匹の平均値である。(表3)ペニス長さ(mm)投与後時間 シルデナフィル イカリソウ シルデナフィル(10mg/kg)(min) (10mg/Kg) (25g/Kg) +イカリソウ(25g/kg)―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 5 0.0 0.0 0.0 15 2.7 0.0 0.6 30 3.2 0.0 5.7 45 3.8 0.0 6.3 60 1.3 0.0 4.6 90 0.0 0.0 4.3 120 0.5 0.0 2.0 180 0.0 0.0 1.0――――――――――――――――――――――――――――――――――― AUC 191 0 544 表3中、「シルデナフィル」はシルデナフィルクエン酸塩を示し、「イカリソウ」は、イカリソウエキス(括弧内数字は、イカリソウ原生薬換算)を示す。 表3の結果より、シルデナフィル単剤の勃起作用が認められた。また、イカリソウ単剤に勃起作用を有さないことが確認できた。しかし、シルデナフィルにイカリソウが併用された場合には、シルデナフィルの勃起作用が顕著に発現し、さらに持続延長するという意外な事実が判明した。なお、併用による増強効果はAUC(mm・min)で評価するとシルデナフィル単剤の2.85倍であった。ホスホジエステラーゼ5阻害剤とイカリソウとを有効成分として含有する医薬組成物。陰茎勃起機能不全治療用又は陰茎勃起機能不全改善用である請求項1に記載の医薬組成物。ホスホジエステラーゼ5阻害剤投与において得られる陰茎勃起作用を、イカリソウを含有させることによって増強させるための請求項1に記載の医薬組成物。ホスホジエステラーゼ5阻害剤投与において得られる陰茎勃起持続時間を、イカリソウを含有させることによって持続延長させるための請求項1に記載の医薬組成物。ホスホジエステラーゼ5阻害剤が、シルデナフィル、バルデナフィル、タダラフィル、ウデナフィル及びそれらの薬理上許容される塩からなる群から選択される1である、請求項1−4から選択されるいずれか1項に記載の医薬組成物。ホスホジエステラーゼ5阻害剤が、シルデナフィルクエン酸塩、バルデナフィル塩酸塩水和物、タダラフィル又はウデナフィルである、請求項1−4から選択されるいずれか1項に記載の医薬組成物。ホスホジエステラーゼ5阻害剤が、シルデナフィルクエン酸塩である、請求項1−4から選択されるいずれか1項に記載の医薬組成物。ホスホジエステラーゼ5阻害剤とイカリソウを同一の医薬組成物中に含有する請求項1−7から選択されるいずれか1項に記載の医薬組成物の製造方法。陰茎勃起機能不全治療用又は陰茎勃起機能不全改善用医薬組成物を製造するための、ホスホジエステラーゼ5阻害剤とイカリソウの使用。 【課題】安全でかつ勃起作用が増強された医薬組成物を提供すること。【解決手段】PDE5阻害剤とイカリソウを含有する医薬組成物。【選択図】なし


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