生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_塩素又は臭素の定量方法
出願番号:2010118737
年次:2011
IPC分類:G01N 21/73


特許情報キャッシュ

寺尾 俊昭 加岳井 敦 JP 2011220991 公開特許公報(A) 20111104 2010118737 20100524 塩素又は臭素の定量方法 住友金属鉱山株式会社 000183303 小池 晃 100067736 伊賀 誠司 100096677 藤井 稔也 100106781 野口 信博 100113424 祐成 篤哉 100150898 寺尾 俊昭 加岳井 敦 JP 2010067925 20100324 G01N 21/73 20060101AFI20111007BHJP JPG01N21/73 4 1 OL 12 2G043 2G043AA01 2G043BA06 2G043CA03 2G043DA02 2G043DA05 2G043EA08 2G043GA07 2G043GB01 2G043GB09 2G043KA03 2G043KA05 塩素及び臭素は、単体、塩化物又は臭化物などの化合物として海水や土壌、生体内など広く環境中に存在している。また、これらハロゲン化物は、各種工業用薬品、医薬品、香料、染料、顔料等の原料及び中間生成物として幅広い用途で用いられている。 一方で、塩素及び臭素は、金属を腐食する腐食物質であり、半導体を始め電子部品に残留しないことが重要である。このため、部品メーカーでは、塩素及び臭素の管理には十分な注意を払っている。 従来、塩素及び臭素を測定する方法としては、化学発光法(例えば、特許文献1参照。)や一旦ハロゲン化イオンとした後に測定する比色法、イオンクロマトグラフ法が知られている(JIS K0102:2008)。 しかしながら、これらの方法は、高感度であるが、汎用性が高い方法とは言い難いものである。例えば、比色法は、金属イオンなどが溶液を着色するという妨害を受け、金属イオンの測定を困難にさせる。 また、イオンクロマトグラフ法では、金属イオンが分離カラムや装置内に吸着するといった問題が発生し、共存成分が多量の場合には、塩化物イオン及び臭化物イオンのピークに共存成分の妨害を受けるといった問題も発生する。 更に、化学発光法は、反応溶液のpHに制約があり、pHが中性から大きく外れた酸性溶液又はアルカリ性溶液を測定するためには、pH調整やそれによって生じる沈殿物等の除去など煩雑な操作を必要とする。 これらの方法に対して、近年、実用レベルの定量下限を有する誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP発光分光分析装置)が普及してきている。 元来、この装置によるICP発光分光分析法は、金属成分の分析手法として汎用性が高く普及している手法である。ICP発光分光分析法では、塩素や臭素の測定を可能にするため、ICP発光分光分析装置の光学系にフッ化カルシウムを使用する。これにより、ICP発光分光分析法では、120nm〜180nmの範囲となる真空紫外領域で波長透過率が高くなり、発光強度が高い測定が可能となる。 分離やpH調整を必要としない誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP発光分光分析法)による塩素や臭素の測定は、従来の手法よりも若干感度が悪く、数百μg/lから数mg/lの範囲が定量下限となっている。 ところで、電子部品に残留するハロゲン元素を低減させ、管理しようとする動きは、製品だけではなく、製造工程や原料まで踏み込んで考えられており、このような観点等から塩素や臭素の定量下限を更に下げたいというニーズが常態化している。 従来法である化学発光法、比色法及びイオンクロマトグラフ法に比べ、前処理が簡便なICP発光分光分析法の定量下限を更に下げるためには、溶液中の塩素及び臭素を濃縮する必要がある。しかしながら、微量な塩素及び臭素を濃縮することは、測定誤差を増大させる要因ともなり、実際上は行われていないのが現状である。 前処理が簡便なICP発光分光分析法において、測定誤差を増大させることなく、塩素や臭素の定量下限を下げることが求められている。特開2001−281152号公報 そこで、本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、前処理が簡便なICP発光分光分析法において、測定誤差を増大させることなく、塩素や臭素の定量下限を下げることができる塩素又は臭素の定量方法を提供することを目的とする。 本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、塩素や臭素を濃縮することなく、塩素又は臭素の発光強度を増加させる方法を見出した。 即ち、本発明に係る塩素又は臭素の定量方法は、塩素又は臭素を含有する溶液に酸化剤を添加し、上記塩素又は上記臭素を気化させ、気化した上記塩素又は上記臭素を誘導結合プラズマ発光分光分析装置にて定量することを特徴とする。 本発明では、塩素又は臭素が含有された溶液に酸化剤を添加して、溶液中の塩素又は臭素を酸化して気化することで、塩素又は臭素が誘導結合プラズマ発光分光分析装置のプラズマに導入されやすくなり、塩素又は臭素の導入量を多くすることができる。これにより、本発明では、定量誤差を増大させることなく、塩素又は臭素の定量下限を下げることができる。このような本発明では、簡便且つ迅速に塩素又は臭素の定量が可能となるため、塩素又は臭素が添加又は混入された系に対して幅広く用いることができ、応用展開が可能である。本発明を適用した塩素又は臭素の定量方法に用いられる誘導結合プラズマ発光分光分析装置の概略図である。実施例1〜実施例4、比較例1における過マンガン酸カリウムの濃度の違いよる発光強度の測定結果を示すグラフである。実施例3、実施例5〜実施例8におけるアルゴンの流量の違いよる発光強度の測定結果を示すグラフである。実施例9〜実施例13、比較例2におけるニクロム酸カリウム水溶液の濃度の違いよる発光強度の測定結果を示すグラフである。実施例12、実施例14〜実施例18におけるアルゴンの流量の違いよる発光強度の測定結果を示すグラフである。実施例19〜実施例23、比較例3における過マンガン酸カリウムの濃度の違いよる発光強度の測定結果を示すグラフである。 以下、本発明を適用した塩素又は臭素の定量方法について、図面を参照して詳細に説明する。 本発明を適用した塩素又は臭素の定量方法は、図1に示す誘導結合プラズマ発光分析装置1(ICP発光分光分析装置1)による塩素又は臭素の定量において、定量下限を下げることができ、溶液中に含まれる塩素又は臭素の含有量が微量であっても精確に定量することができる。 この塩素又は臭素の定量方法では、塩素又は臭素が含有された溶液の試料2をポンプ3で汲み上げ、試料供給管4を経て、混合管5に供給し、また酸化剤を含有する溶液6もポンプ7で汲み上げ、溶液供給管8を経て、混合管5に供給する。混合管5では、試料2に酸化剤を含有する溶液6が添加され、試料2と溶液6とが混合される。 この混合管5には、溶液6が添加された試料2にアルゴン等の混合ガスを供給するガス供給管9が接続されている。混合管5では、酸化剤を含有する溶液6が添加された試料2に、ガス供給管9からアルゴン等の混合ガスが供給され、試料2に混合ガスが混合される。混合ガスが混合された試料2は、混合管5と接続されているチャンバー10に供給される。 この塩素又は臭素の定量方法では、混合管5内において、塩素や臭素が含有された試料2に酸化剤を含有する溶液6が添加されたことによって、酸化剤によって試料2中の塩素又は臭素が酸化され、例えば下記式(1)〜式(3)に示す反応が生じ、気化した塩素(Cl2)や臭素(Br2)が発生する。気化した塩素又は臭素は、混合されたアルゴン等の混合ガスによって試料2に対する溶解量が低下するため、チャンバー10に供給されると、気化した塩素又は臭素と、溶液の試料2とが分離され、気化した塩素又は臭素はチャンバー10内の気相中に移行する。 例えば酸化剤として過マンガン酸又は二クロム酸を用いた場合には、下記の式(1)又は式(2)に示すように、試料2中のBr−をBr2に酸化し、下記の式(3)に示すように、試料2中のCl−をCl2に酸化する反応が生じる。酸化剤の種類は、酸化する対象によって決まり、Cl−をCl2に酸化するには、過マンガン酸溶液、臭素酸溶液が適当であり、Br−をBr2に酸化するには、過マンガン酸溶液、塩素水、次亜塩素酸溶液、亜塩素酸溶液、塩素酸溶液、ヨウ素酸溶液、過酸化水素水、二クロム酸溶液が適当である。 酸化剤は、塩素又は臭素が含有された試料2に添加した後の試料2中における酸化剤濃度が0.01質量%以上、20質量%以下となるように添加する。0.01質量%以上、20質量%以下とすることによって、試料2中のCl−又はBr−がCl2又はBr2になるために必要な酸化剤の量が不足せず、また試料2の比重が高くならず、十分に混合でき、測定値のばらつきを抑えることができるため、測定結果が安定となる。 酸化剤が含有された溶液6が添加された試料2に混合する混合ガスには、アルゴン、窒素、酸素、ヘリウムのうち1種類以上を含むガスを用いる。混合ガスは、ガス状の塩素又は臭素の試料2に対する溶解量を低下させ、チャンバー10内の気相への放出を促進させ、測定感度の向上及び測定値の安定化に寄与する。 混合ガスの導入量は、プラズマの安定性の観点から、0.1L/分以上、1.5L/分以下の流量とすることが好ましく、0.1L/分以上、0.4L/分以下の流量とすることが更に好ましい。混合ガスとしては、上記4種類のガスを使用できるが、ICP発光分光分析装置1のプラズマが安定するガスを用いることが必要である。通常、混合ガスの流量が0.4L/分以下ならば、プラズマへの影響は小さいが、ガス流量が0.4L/分よりも大きい場合には、ICP発光分光分析装置1の性能によってプラズマへの影響は異なるので、ICP発光分光分析装置1の性能によって流量を適宜調整する。 チャンバー10内では、混合ガスによってガス状の塩素又は臭素の気相への放出が促進され、ガス状の塩素又は臭素がプラズマトーチ11へ送られる。この塩素又は臭素の定量方法では、試料2中の塩素又は臭素をガス状にしてチャンバー10内の気相に放出する。試料2に酸化剤を添加することによって生成した塩素又は臭素は、揮発性を有するため、チャンバー10内で容易にガスとなる。 これに対して、試料2に酸化剤を添加しない場合には、揮発性の塩素又は臭素が生成されず、不揮発性のCl−やBr−の状態で存在するため、チャンバー10内ではほとんど気体とならない。したがって、酸化剤を添加しない場合と比較すると、本定量方法では、プラズマトーチ11に送られる塩素又は臭素の量が多くなる。また、この塩素や臭素の定量方法では、ネブライザを用いることなくガス状の塩素又は臭素を発生させることができるため、簡易且つ迅速に塩素や臭素を定量することができる。 プラズマトーチ11には、チャンバー10からガス状の塩素や臭素が混合ガスと共に供給され、外部からプラズマガスと補助ガスが供給される。プラズマトーチ11では、供給されたプラズマガスにより生成したプラズマ炎12中にガス状の塩素又は臭素が導入されて、塩素又は臭素が励起して発光する。なお、プラズマトーチ11に導入されなかった試料2は、ドレイン13から排出される。 ICP発光分光分析装置1の測定波長は、最も発光強度が大きい134.7nm(塩素の場合)、154.1nm(臭素の場合)に設定するのが好ましいが、これに限定されるものではなく、適宜好ましい測定波長で測定を行う。通常のICP発光分光分析法では、プラズマ炎12への分析元素の導入量が、ICP発光分光分析装置に導入された導入量の数%程度である。一方、本発明を適用した塩素又は臭素の定量方法では、塩素又は臭素をガス状にしてプラズマ炎12へ導入することによって、プラズマ炎12への導入量がチャンバー10内に導入された導入量の50%以上とすることができ、プラズマ炎12への導入量を増加させることができ、発光強度を増加させることができる。これにより、この塩素又は臭素の定量方法では、定量下限を数十μg/lから数百μg/lの範囲に大幅に下げることができ、試料2中に含まれる微量の塩素及び臭素も精確に定量することができる。この塩素又は臭素の定量方法では、塩素又は臭素を濃縮することなく定量できるため、定量誤差の発生も抑制できる。また、この塩素又は臭素の定量方法では、簡便且つ迅速に塩素又は臭素の定量が可能となるため、塩素又は臭素が添加又は混入された系に対して幅広く用いることができ、応用展開が可能である。 以下、本発明を適用した具体的な実施例について、実験結果をもとに詳細に説明する。先ず、酸化剤に過マンガン酸カリウムを用い、この酸化剤の濃度の違いによる塩素の発光強度について評価する。 <実施例1> 実施例1では、塩素が含有された溶液との混合後の濃度が0.01質量%となるように調整した過マンガン酸カリウム水溶液を酸化剤溶液とし、この酸化剤溶液を塩化物イオン濃度が10mg/lとなるように塩化ナトリウムを溶解して調整した溶液の試料に添加し、これに混合ガスのアルゴンを混合して、ICP発光分光分析装置にて、134.7nmの測定波長で発光強度を測定した。 測定に使用したICP発光分光分析装置は、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製のSPS3520UVである。また、混合ガスのガス流量は、0.4L/分とした。 なお、測定波長以外のICP発光分光分析装置の測定条件、例えばプラズマ出力、補助ガス流量、プラズマガス流量、測光高さ、積分時間、積分回数は、以下の表1に示すようにした。これらの測定条件は、一例であり、測定が精確に行えれば特に限定されず、適宜調整するものである。 <実施例2〜実施例4> 実施例2〜実施例4については、酸化剤濃度を表2に示すように調整したこと以外は実施例1と同様に発光強度の測定を行った。 <比較例1> 比較例1では、塩素が含有された試料に酸化剤溶液を添加しなかったこと以外は実施例1と同様に発光強度の測定を行った。 実施例1〜実施例4及び比較例1の発光強度の測定結果を表2及び図2に示す。 表2及び図2に示す結果から、比較例1は、塩素を含有する試料に酸化剤が添加されていないため、塩素が気化されず、ガス状のCl2が生成しなかったため、プラズマトーチに導入される塩素の導入量が少なくなり、発光強度が960cpsとなった。 この比較例1に対して、実施例1〜実施例4は、塩素を含有する試料に酸化剤である過マンガン酸カリウムを添加することによって、上記式(3)に示すように、Cl2が生成され、アルゴンによって、ガス状の塩素がチャンバー内の気相に移行することが促進され、プラズマトーチ内に導入される塩素の量が多くなり、発光強度が比較例1と比べて非常に高くなった。したがって、実施例1〜実施例4に示す結果から、塩素を含有する試料に酸化剤を添加することによって、ICP発光分光分析装置による塩素の定量感度を良くすることができ、塩素の定量下限を下げることができ、塩素の含有量を精確に測定できることが判る。 次に、混合ガスの流量の違いによる塩素の発光強度について評価する。 <実施例3、実施例5〜実施例8> 実施例5〜実施例8では、アルゴンの流量を表3に示すようにしたこと以外は実施例3と同様に発光強度の測定を行った。 実施例3、実施例5〜実施例8の発光強度の測定結果を表3及び図3に示す。 表3及び図3に示す結果から、酸化剤である過マンガン酸カリウム水溶液が添加された試料に対して供給するアルゴンの流量によって、得られる発光強度が異なり、0.01〜1.5L/分とすることによって、発光強度が高くなった。特に、実施例3及び実施例6に示す結果から、流量を0.1〜1L/分とすることによって、より発光強度を高くすることができることが判る。 次に、酸化剤にニクロム酸カリウム水溶液を用い、この酸化剤の濃度の違いによる臭素の発光強度について評価する。 <実施例9> 実施例9では、臭素が含有された溶液との混合後の濃度が0.01質量%となるように調整したニクロム酸カリウム水溶液を酸化剤溶液とし、この酸化剤溶液を臭化物イオン濃度が10mg/lとなるように臭化カリウムを溶解して調整した溶液の試料に添加し、これに混合ガスのアルゴンを混合して、ICP発光分光分析装置にて、154.1nmの測定波長で発光強度を測定した。測定に使用したICP発光分光分析装置は、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製のSPS3520UVである。また、混合ガスのガス流量は、0.4L/分とした。なお、測定波長以外のICP発光分光分析装置の測定条件は、実施例1と同様に表1に示すようにした。 <実施例10〜実施例13> 実施例10〜実施例13では、酸化剤の濃度を表4に示すようにしたこと以外は実施例9と同様に発光強度の測定を行った。 <比較例2> 比較例2では、臭素が含有された試料に酸化剤を添加しなかったこと以外は実施例9と同様に発光強度の測定を行った。 実施例9〜実施例13及び比較例2の発光強度の測定結果を表4及び図4に示す。 表4及び図4に示す結果から、比較例2は、臭素を含有する試料に酸化剤が添加されていないため、臭素が気化されず、ガス状のBr2が生成しなかったため、プラズマトーチに導入される臭素の導入量が少なくなり、発光強度が2580cpsとなった。 この比較例2に対して、実施例9〜実施例13は、臭素を含有する試料に酸化剤であるニクロム酸カリウム水溶液を添加することによって、上記式(2)に示すように、Br2が生成され、アルゴンによって、ガス状の臭素がチャンバー内の気相に移行することが促進され、プラズマトーチ内に導入される臭素の量が多くなり、発光強度が比較例2と比べて非常に高くなった。したがって、実施例9〜実施例13の結果から、臭素を含有する試料に酸化剤を添加することによって、ICP発光分光分析装置による臭素の定量感度を良くすることができ、臭素の定量下限を下げることができ、臭素の含有量を精確に測定できることが判る。 次に、混合ガスの流量の違いによる臭素の発光強度について評価する。 <実施例12、実施例14〜実施例18> 実施例14〜実施例18では、アルゴンの流量を表5に示すようにしたこと以外は実施例12と同様に発光強度の測定を行った。 実施例12、実施例14〜実施例18の発光強度の測定結果を表5及び図5に示す。 表5及び図5に示す結果から、酸化剤であるニクロム酸カリウム水溶液が添加された試料に対して供給するアルゴンの流量によって、得られる発光強度が異なり、0.2〜1.0L/分とすることによって、より発光強度を高くすることができることが判る。 次に、酸化剤に過マンガン酸カリウム水溶液を用い、この酸化剤の濃度の違いによる臭素の発光強度について評価する。 <実施例19〜実施例23> 実施例19〜実施例23については、酸化剤濃度を表6に示すように調整したこと以外は実施例1と同様に発光強度の測定を行った。 <比較例3> 比較例3では、臭素が含有された試料に酸化剤溶液を添加しなかったこと以外は実施例1と同様に発光強度の測定を行った。 実施例19〜実施例23及び比較例3の発光強度の測定結果を表6及び図6に示す。 表6及び図6に示す結果から、比較例3は、臭素を含有する試料に酸化剤が添加されていないため、臭素が気化されず、ガス状のBr2が生成しなかったため、プラズマトーチに導入される臭素の導入量が少なくなり、発光強度が2230cpsとなった。 この比較例3に対して、実施例19〜実施例23は、臭素を含有する試料に酸化剤である過マンガン酸カリウム水溶液を添加することによって、上記式(1)に示すように、Br2が生成され、アルゴンによって、ガス状の臭素がチャンバー内の気相に移行することが促進され、プラズマトーチ内に導入される臭素の量が多くなり、発光強度が比較例3と比べて非常に高くなった。したがって、実施例19〜実施例23に示す結果から、臭素を含有する試料に酸化剤として、ニクロム酸カリウム水溶液の他に、過マンガン酸カリウム水溶液を添加した場合であっても、ICP発光分光分析装置による臭素の定量感度を良くすることができ、臭素の定量下限を下げることができ、臭素の含有量を精確に測定できることが判る。 以上のように、実施例1〜23に示す塩素又は臭素の定量方法では、塩素又は臭素を含有する溶液に酸化剤を添加することによって、ICP発光分光分析装置による発光強度を高くすることができ、定量感度を高くすることができ、定量下限を下げることができる。これにより、この塩素又は臭素の定量方法では、定量誤差を増大させることなく、塩素又は臭素の含有量が微量であっても、精確に塩素又は臭素の定量を行うことができる。 1 誘導結合プラズマ発光分光分析装置、2 試料、3 ポンプ、4 試料供給管、5 混合管、6 酸化剤溶液、7 ポンプ、8 溶液供給管、9 ガス供給管、10 チャンバー、11 プラズマトーチ、12 プラズマ、13 ドレイン 塩素又は臭素を含有する溶液に酸化剤を添加し、上記塩素又は上記臭素を気化させ、気化した上記塩素又は上記臭素を誘導結合プラズマ発光分光分析装置にて定量することを特徴とする塩素又は臭素の定量方法。 上記塩素を定量する場合には、過マンガン酸溶液及び/又は臭素酸溶液を上記酸化剤に用い、 上記臭素を定量する場合には、過マンガン酸溶液、塩素水、次亜塩素酸溶液、亜塩素酸溶液、塩素酸溶液、ヨウ素酸溶液、過酸化水素水、二クロム酸溶液のうち1種類以上の酸化剤を用いることを特徴とする請求項1記載の塩素又は臭素の定量方法。 上記酸化剤は、該酸化剤を添加した後の上記塩素又は上記臭素を含有する溶液中における該酸化剤の濃度が0.01質量%以上、20質量%以下の範囲となるように添加することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の塩素又は臭素の定量方法。 上記酸化剤を添加した上記塩素又は上記臭素を含有する溶液に、アルゴン、窒素、酸素、ヘリウムのうち1種類以上を含むガスを混合することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の塩素又は臭素の定量方法。 【課題】誘導結合プラズマ発光分光分析装置による塩素又は臭素を定量下限を下げる。【解決手段】塩素又は臭素を含有する溶液2に酸化剤6を添加し、塩素又は臭素を気化させ、気化した塩素又は臭素を誘導結合プラズマ発光分光分析装置1にて定量する。【選択図】図1


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