生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_マスリン酸を有効成分とする抗アレルギー剤
出願番号:2010108480
年次:2011
IPC分類:A61K 31/56,C07J 63/00,A61P 37/08


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福光 聡 間 和彦 JP 2011236150 公開特許公報(A) 20111124 2010108480 20100510 マスリン酸を有効成分とする抗アレルギー剤 日本製粉株式会社 000231637 田所 義嗣 100130661 福光 聡 間 和彦 A61K 31/56 20060101AFI20111028BHJP C07J 63/00 20060101ALI20111028BHJP A61P 37/08 20060101ALI20111028BHJP JPA61K31/56C07J63/00A61P37/08 1 OL 8 4C086 4C091 4C086AA01 4C086AA02 4C086DA08 4C086MA01 4C086MA04 4C086NA14 4C086ZB13 4C091AA06 4C091BB02 4C091CC03 4C091DD03 4C091DD13 4C091EE04 4C091FF02 4C091FF06 4C091GG03 4C091GG05 4C091HH01 4C091JJ03 4C091KK01 4C091LL03 4C091LL06 4C091MM01 4C091NN01 4C091PA02 4C091PA12 4C091QQ05 4C091QQ15 本発明は、マスリン酸を有効成分とする抗アレルギー剤に関する。 マスリン酸は、オリーブ果肉や葉に豊富に含まれているトリテルペン類の一種であることが報告されており、基礎研究では、ガン細胞を用いた発ガン抑制作用が報告されている(例えば非特許文献1参照)。 また、難消化性デキストリンと、コロソリン酸、マスリン酸、トルメンティック酸及びそれらの薬学的に許容される塩からなる群より選ばれる少なくとも一つとを有効成分として含有する血糖値上昇抑制剤としての使用が知られている(例えば特許文献1参照)。 また、マスリン酸を含有する皮膚の美白用飲食物又は経口美白剤としての使用が知られている(例えば特許文献2参照)。特開2006−347967号公報国際公開2002 /043736号パンフレット「ザ ジャーナル オブ ニュートリション (The Journal of Nutrition)」、(米国)、「アメリカン ソサイエティー オブ ニュートリショナル サイエンス (American Society of Nutritional Sciences)」、2006年、136号、p. 2553−2557 近年、国内のアレルギー患者数は年々増加している。 現在、問題視されているアレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎(通年性・花粉症)などは、体内に入り込んだ異物を除去するために働く免疫システムが異常反応を起こすもので、I型アレルギーと呼ばれ、アレルゲンが体内へ侵入後、ただちに反応を示す即時型である。 アレルギーの全貌はいまだ十分に解明されておらず、軽度の患者は一般用医薬品やサプリメントで対応するケースも多いため、アレルギー改善訴求食品素材への注目度は高まってきている。 従って、本発明の目的は日常的に安心して摂取できる抗アレルギー剤を提供することである。 本発明者らは、オリーブを処理して得られるマスリン酸化合物に着目し、鋭意研究を重ねた結果、マスリン酸が優れた抗アレルギー作用をもつことを見出し、本発明を完成させるに至った。 特にオリーブの果肉、オリーブの葉、オリーブオイル絞りかす、エキストラバージンオリーブオイルを処理して得られるマスリン酸は、植物由来であることから安全性が高い。 従って、本発明はマスリン酸を有効成分として含有することを特徴とする抗アレルギー剤である。 本発明のマスリン酸を有効成分とする抗アレルギー剤により、花粉やハウスダストなどのアレルゲンによって引き起こされるアレルギーを軽減することができる。マスリン酸標準品のHPLC測定結果である。マスリン酸含有オリーブ抽出物のHPLC測定結果である。LC-MSによって観察されたマスリン酸の分子イオン種(正イオン)[M+Na+CH3CN]+ m/z 536の分析チャートLC-MSによって観察されたマスリン酸の分子イオン種(負イオン)[M−H]− m/z 471 の分析チャートβ‐ヘキソサミニダーゼ遊離率(コントロールを100%とした場合)の測定結果である。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明において使用するマスリン酸は、化学式(1)で示されるトリペルテン類の1種である。 マスリン酸は、化学合成によって得ることができるほか、オリーブから公知の方法で抽出、精製して得ることができる。 例えば、乾燥したオリーブや搾油工程で発生するオリーブオイル絞りかすなどを原料として使用できる。 さらに、オリーブ乾燥物をn−ヘキサン等の脂溶性有機溶媒で油分を除去した脱脂物でも使用できる。 使用するオリーブの品種には特に限定はなく、国内産、外国産などの産地、栽培用、搾油用を問わず使用できる。 本発明で使用するマスリン酸は、これらの原料からマスリン酸が抽出可能な低級アルコール(例えば、エタノール、メタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールなど)又はその含水アルコールでマスリン酸を抽出し、必要であれば、ケン化処理、中和を行い、吸着剤としてオクタデシルシリカ(ODS)、シリカゲル、合成吸着剤などを使用して、分画、精製することで得ることができる。 マスリン酸精製画分を濃縮乾固したものは、茶褐色の粉末状であり、純度が高いほど白色粉末となり、含水アルコールなどに溶解する。 I型アレルギー反応は、抗原特異的なIgEとIgE特異的な高親和性Fcレセプターをもつ肥満細胞や好塩基球が関わっている。 肥満細胞や好塩基球の表面に結合しているIgEが抗原によって架橋されると、肥満細胞や好塩基球は活性化され、ヒスタミンやβ−ヘキソサミニダーゼなどの細胞内顆粒内容物が放出される。この現象を脱顆粒とよび、この脱顆粒を防ぐことがアレルギー発症を抑えるために必要である。 本発明のマスリン酸を有効成分とする抗アレルギー剤は、脱顆粒の際にヒスタミンなどの化学物質と共に放出されるβ−ヘキソサミニダーゼの活性を抑制し、I型アレルギーを抑制することができる。 投与量は、投与方法と患者の年齢、病状や一般状態などによって変化し得るが、大人では通常、1日当たり有効成分として0.1〜500mg/kgが適当である。 本発明のマスリン酸を有効成分とする抗アレルギー剤は、一般食品や健康食品に配合することができ、また、食品添加物の成分とすることもできる。 本発明のマスリン酸を有効成分とする抗アレルギー剤を配合する食品は特に限定されず、例えば食パン、菓子パン、パイ、デニッシュ、ドーナツ、ケーキ等のベーカリー食品、うどん、そば、中華麺、焼きそば、パスタ等の麺類、天ぷら、コロッケ等のフライ類、カレー、シチュー、ドレッシング等のソース類、ふりかけ類、かまぼこ等の練り製品、ジュース等の飲料、スナック菓子、米菓、飴、ガム等の菓子類を挙げることができる。 以下本発明を実施例により具体的に説明する。[抽出精製] オリーブオイル絞りかす250gを乾燥(60℃、3時間)し、n−ヘキサンにより脱脂した後、含水90%(v/v)メタノールにより還流抽出(70℃、3時間)した。 抽出液をろ過し、ろ液を濃縮後、水に分散させ吸着剤として合成吸着剤アンバーライトXAD4(オルガノ株式会社)200gを使用してマスリン酸画分を精製した。 抽出物(マスリン酸の純度は、32.6%)1.6gが得られた。 マスリン酸含有量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で、分子量は、液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS)で確認した。 HPLCによるマスリン酸、マスリン酸含有オリーブ抽出物の保持時間は4.96分で確認した。 図1は、マスリン酸標準品(純度98%)、図2はマスリン酸含有オリーブ抽出物のHPLCの測定結果である。 LC-MSによるマスリン酸標準品、マスリン酸含有オリーブ抽出物の正負同時スキャン測定の結果、検出された分子量関連イオンは、マスリン酸標準品、抽出物ともに[M+Na+CH3CN]+ m/z 536、[M−H]− m/z 471であった。 図3は、LC-MSによって観察されたマスリン酸の分子イオン種(正イオン)[M+Na+CH3CN]+ m/z 536 、図4は、LC-MSによって観察されたマスリン酸の分子イオン種(負イオン)[M−H]− m/z 471 のチャートである。[実施例1]β‐ヘキソサミニダーゼアッセイ測定試験 前記マスリン酸含有オリーブ抽出物及び前記マスリン酸標準品について、β-ヘキソサミニダーゼ遊離抑制効果を、ラット由来好塩基球細胞(RBL−2H3;好塩基球細胞、独立行政法人理化学研究所 バイオリソースセンター)から遊離されるβ-ヘキソサミニダーゼを指標とする抗アレルギー作用試験法を用いて評価した。 RBL−2H3を24穴プレートに2.5×105細胞/穴となるように細胞を播種し、24時間培養(二酸化炭素5%、37℃)後、Phosphate buffer saline(−)(PBS(−))で1回洗浄した後、DMEM培地(10%FBS)を500μl/穴となるように添加し、抗体のAntiDNP−IgE溶液(25μg/ml)を20μl入れ、2時間培養することによって、細胞を感作させた。 これをコントロール、陽性対照及び検体用とし、Blank用として抗体のAntiDNP−IgE溶液の代わりにDMEM(10%FBS)培地を20μl入れた。 前記AntiDNP−IgE溶液及び前記DMEM(10%FBS)培地を除去し、1.5ml/穴 MT Bufferで2回洗浄した。 検体にはマスリン酸又はマスリン酸含有抽出物を含むMT Buffer溶液を500μl/穴入れた。 Blank、Controlには、MT Bufferのみを500μl/穴入れた。 陽性対照には、Wortmannin溶液(5μM)を500μl/穴入れた。 これらを、37℃、二酸化炭素5%インキュベータで10分間培養した。 Blank以外には20μl/穴となるように抗原のDNP−HAS溶液(5μg/ml)を加え、良く混合し、37℃、二酸化炭素5%インキュベータで30分間培養した。 培養上清を採り、Supernatantとした。 残った細胞に520μl/穴 0.1% Triton X−100溶液を入れ、氷上で5分間静置し、溶解したものをCell lysateとした。 Supernatant, Cell lysateをそれぞれ80μl、96穴マイクロプレートにとり、37℃、5分間プレインキュベーションした。 これらに、100μl/穴 P−ニトロフェニル‐2‐アセトアミド‐2‐デオキシ‐β‐D‐グルコプラノシド(3.3mM)を加え、良く混合した後、37℃、25分インキュベーションした。 100μl/穴 グリシンバッファーを加えよく混合したのち、マイクロプレートリーダーで405nmの吸光度を測定した。 試料抽出物が405nmに吸収を持つ可能性があるため、別でSupernatant及びCell lysateを採取しておき、反応停止溶液→基質溶液の順で加えた際の吸光度を同時に測定し、以下の計算式でβ‐ヘキソサミニダーゼ放出率(%)を算出し、コントロールを放出率100%としたときのサンプル添加時の放出率(%)を算出した。β‐ヘキソサミニダーゼ放出率(%)=100×〔(S−Sc)/{(S−Sc)+(CL−CLc)}〕CL:Cell lysateの吸光度CLc:反応停止溶液→基質溶液の順で加えた際のCelllysateの吸光度S:Supernatantの吸光度Sc:反応停止溶液→基質溶液の順で加えた際のSupernatantの吸光度 結果を図5に示す。 平均値は、Blank 47.4%、Control 100.0%、Wortmannin 51.8%、オリーブ抽出物(100μg/ml) 40.4%、マスリン酸標準品(100μM)80.7%、マスリン酸標準品(200μM)73.2%、マスリン酸標準品(500μM)35.8%であった。 マスリン酸を含むオリーブ抽出物及びマスリン酸標準品はいずれも抗アレルギー効果を有することが確認できた。[実施例2]錠菓及び錠剤の製造 卵殻カルシウム108g、ピロリン酸第二鉄2g、アスコルビン酸40g、微結晶セルロース40g、還元麦芽糖280g、マスリン酸5gをミキサーによって常法により混合した後、打錠して錠菓及び錠剤を製造した。 マスリン酸を有効成分として含有することを特徴とする抗アレルギー剤。 【課題】日常的に安心して摂取できる抗アレルギー剤を提供すること。【解決手段】マスリン酸を有効成分として含有することを特徴とする抗アレルギー剤である。【選択図】なし


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特許公報(B2)_マスリン酸を有効成分とするI型アレルギーを抑制するための医薬組成物

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タイトル:特許公報(B2)_マスリン酸を有効成分とするI型アレルギーを抑制するための医薬組成物
出願番号:2010108480
年次:2014
IPC分類:A61K 31/56,A61P 37/08


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福光 聡 間 和彦 JP 5459710 特許公報(B2) 20140124 2010108480 20100510 マスリン酸を有効成分とするI型アレルギーを抑制するための医薬組成物 日本製粉株式会社 000231637 田所 義嗣 100130661 福光 聡 間 和彦 20140402 A61K 31/56 20060101AFI20140313BHJP A61P 37/08 20060101ALI20140313BHJP JPA61K31/56A61P37/08 A61K 31/56 CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII) 国際公開第03/039270(WO,A1) 国際公開第2007/094497(WO,A1) 特開2006−347967(JP,A) 特開2006−121949(JP,A) 特開2004−010531(JP,A) 国際公開第01/072265(WO,A1) 川島眞 外4名,“抗アレルギー剤の臨床薬理試験としてのヒスタミン試験の有用性について”,臨床薬理,日本,1995年 3月,Vol.26,No.1,P.425-426 北村正樹 外1名,薬物の副作用・相互作用“抗アレルギー薬”,耳鼻咽喉科展望,日本,1996年,Vol.39,No.6,P.688-692 出光俊郎 外2名,特集 アトピー性皮膚炎2003 論点と治療戦略の総括“抗アレルギー薬の総括”,Pharma Medica,日本,2003年 4月,Vol.21,No.4,P.63-67 1 2011236150 20111124 7 20120404 中尾 忍 本発明は、マスリン酸を有効成分とする抗アレルギー剤に関する。 マスリン酸は、オリーブ果肉や葉に豊富に含まれているトリテルペン類の一種であることが報告されており、基礎研究では、ガン細胞を用いた発ガン抑制作用が報告されている(例えば非特許文献1参照)。 また、難消化性デキストリンと、コロソリン酸、マスリン酸、トルメンティック酸及びそれらの薬学的に許容される塩からなる群より選ばれる少なくとも一つとを有効成分として含有する血糖値上昇抑制剤としての使用が知られている(例えば特許文献1参照)。 また、マスリン酸を含有する皮膚の美白用飲食物又は経口美白剤としての使用が知られている(例えば特許文献2参照)。特開2006−347967号公報国際公開2002 /043736号パンフレット「ザ ジャーナル オブ ニュートリション (The Journal of Nutrition)」、(米国)、「アメリカン ソサイエティー オブ ニュートリショナル サイエンス (American Society of Nutritional Sciences)」、2006年、136号、p. 2553−2557 近年、国内のアレルギー患者数は年々増加している。 現在、問題視されているアレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎(通年性・花粉症)などは、体内に入り込んだ異物を除去するために働く免疫システムが異常反応を起こすもので、I型アレルギーと呼ばれ、アレルゲンが体内へ侵入後、ただちに反応を示す即時型である。 アレルギーの全貌はいまだ十分に解明されておらず、軽度の患者は一般用医薬品やサプリメントで対応するケースも多いため、アレルギー改善訴求食品素材への注目度は高まってきている。 従って、本発明の目的は日常的に安心して摂取できる抗アレルギー剤を提供することである。 本発明者らは、オリーブを処理して得られるマスリン酸化合物に着目し、鋭意研究を重ねた結果、マスリン酸が優れた抗アレルギー作用をもつことを見出し、本発明を完成させるに至った。 特にオリーブの果肉、オリーブの葉、オリーブオイル絞りかす、エキストラバージンオリーブオイルを処理して得られるマスリン酸は、植物由来であることから安全性が高い。 従って、本発明はマスリン酸を有効成分として含有することを特徴とする抗アレルギー剤である。 本発明のマスリン酸を有効成分とする抗アレルギー剤により、花粉やハウスダストなどのアレルゲンによって引き起こされるアレルギーを軽減することができる。 本発明者らは、オリーブを処理して得られるマスリン酸化合物に着目し、鋭意研究を重ねた結果、マスリン酸が優れた抗I型アレルギー作用をもつことを見出し、本発明を完成させるに至った。 特にオリーブの果肉、オリーブの葉、オリーブオイル絞りかす、エキストラバージンオリーブオイルを処理して得られるマスリン酸は、植物由来であることから安全性が高い。 従って、本発明はマスリン酸を有効成分として含有することを特徴とするI型アレルギーを抑制するための医薬組成物である。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明において使用するマスリン酸は、化学式(1)で示されるトリペルテン類の1種である。 マスリン酸は、化学合成によって得ることができるほか、オリーブから公知の方法で抽出、精製して得ることができる。 例えば、乾燥したオリーブや搾油工程で発生するオリーブオイル絞りかすなどを原料として使用できる。 さらに、オリーブ乾燥物をn−ヘキサン等の脂溶性有機溶媒で油分を除去した脱脂物でも使用できる。 使用するオリーブの品種には特に限定はなく、国内産、外国産などの産地、栽培用、搾油用を問わず使用できる。 本発明で使用するマスリン酸は、これらの原料からマスリン酸が抽出可能な低級アルコール(例えば、エタノール、メタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールなど)又はその含水アルコールでマスリン酸を抽出し、必要であれば、ケン化処理、中和を行い、吸着剤としてオクタデシルシリカ(ODS)、シリカゲル、合成吸着剤などを使用して、分画、精製することで得ることができる。 マスリン酸精製画分を濃縮乾固したものは、茶褐色の粉末状であり、純度が高いほど白色粉末となり、含水アルコールなどに溶解する。 I型アレルギー反応は、抗原特異的なIgEとIgE特異的な高親和性Fcレセプターをもつ肥満細胞や好塩基球が関わっている。 肥満細胞や好塩基球の表面に結合しているIgEが抗原によって架橋されると、肥満細胞や好塩基球は活性化され、ヒスタミンやβ−ヘキソサミニダーゼなどの細胞内顆粒内容物が放出される。この現象を脱顆粒とよび、この脱顆粒を防ぐことがアレルギー発症を抑えるために必要である。 本発明のマスリン酸を有効成分とする抗アレルギー剤は、脱顆粒の際にヒスタミンなどの化学物質と共に放出されるβ−ヘキソサミニダーゼの活性を抑制し、I型アレルギーを抑制することができる。 投与量は、投与方法と患者の年齢、病状や一般状態などによって変化し得るが、大人では通常、1日当たり有効成分として0.1〜500mg/kgが適当である。 本発明のマスリン酸を有効成分とする抗アレルギー剤は、一般食品や健康食品に配合することができ、また、食品添加物の成分とすることもできる。 本発明のマスリン酸を有効成分とする抗アレルギー剤を配合する食品は特に限定されず、例えば食パン、菓子パン、パイ、デニッシュ、ドーナツ、ケーキ等のベーカリー食品、うどん、そば、中華麺、焼きそば、パスタ等の麺類、天ぷら、コロッケ等のフライ類、カレー、シチュー、ドレッシング等のソース類、ふりかけ類、かまぼこ等の練り製品、ジュース等の飲料、スナック菓子、米菓、飴、ガム等の菓子類を挙げることができる。 以下本発明を実施例により具体的に説明する。[抽出精製] オリーブオイル絞りかす250gを乾燥(60℃、3時間)し、n−ヘキサンにより脱脂した後、含水90%(v/v)メタノールにより還流抽出(70℃、3時間)した。 抽出液をろ過し、ろ液を濃縮後、水に分散させ吸着剤として合成吸着剤アンバーライトXAD4(オルガノ株式会社)200gを使用してマスリン酸画分を精製した。 抽出物(マスリン酸の純度は、32.6%)1.6gが得られた。 マスリン酸含有量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で、分子量は、液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS)で確認した。 HPLCによるマスリン酸、マスリン酸含有オリーブ抽出物の保持時間は4.96分で確認した。 図1は、マスリン酸標準品(純度98%)、図2はマスリン酸含有オリーブ抽出物のHPLCの測定結果である。 LC-MSによるマスリン酸標準品、マスリン酸含有オリーブ抽出物の正負同時スキャン測定の結果、検出された分子量関連イオンは、マスリン酸標準品、抽出物ともに[M+Na+CH3CN]+ m/z 536、[M−H]− m/z 471であった。 図3は、LC-MSによって観察されたマスリン酸の分子イオン種(正イオン)[M+Na+CH3CN]+ m/z 536 、図4は、LC-MSによって観察されたマスリン酸の分子イオン種(負イオン)[M−H]− m/z 471 のチャートである。[実施例1]β‐ヘキソサミニダーゼアッセイ測定試験 前記マスリン酸含有オリーブ抽出物及び前記マスリン酸標準品について、β-ヘキソサミニダーゼ遊離抑制効果を、ラット由来好塩基球細胞(RBL−2H3;好塩基球細胞、独立行政法人理化学研究所 バイオリソースセンター)から遊離されるβ-ヘキソサミニダーゼを指標とする抗アレルギー作用試験法を用いて評価した。 RBL−2H3を24穴プレートに2.5×105細胞/穴となるように細胞を播種し、24時間培養(二酸化炭素5%、37℃)後、Phosphate buffer saline(−)(PBS(−))で1回洗浄した後、DMEM培地(10%FBS)を500μl/穴となるように添加し、抗体のAntiDNP−IgE溶液(25μg/ml)を20μl入れ、2時間培養することによって、細胞を感作させた。 これをコントロール、陽性対照及び検体用とし、Blank用として抗体のAntiDNP−IgE溶液の代わりにDMEM(10%FBS)培地を20μl入れた。 前記AntiDNP−IgE溶液及び前記DMEM(10%FBS)培地を除去し、1.5ml/穴 MT Bufferで2回洗浄した。 検体にはマスリン酸又はマスリン酸含有抽出物を含むMT Buffer溶液を500μl/穴入れた。 Blank、Controlには、MT Bufferのみを500μl/穴入れた。 陽性対照には、Wortmannin溶液(5μM)を500μl/穴入れた。 これらを、37℃、二酸化炭素5%インキュベータで10分間培養した。 Blank以外には20μl/穴となるように抗原のDNP−HAS溶液(5μg/ml)を加え、良く混合し、37℃、二酸化炭素5%インキュベータで30分間培養した。 培養上清を採り、Supernatantとした。 残った細胞に520μl/穴 0.1% Triton X−100溶液を入れ、氷上で5分間静置し、溶解したものをCell lysateとした。 Supernatant, Cell lysateをそれぞれ80μl、96穴マイクロプレートにとり、37℃、5分間プレインキュベーションした。 これらに、100μl/穴 P−ニトロフェニル‐2‐アセトアミド‐2‐デオキシ‐β‐D‐グルコプラノシド(3.3mM)を加え、良く混合した後、37℃、25分インキュベーションした。 100μl/穴 グリシンバッファーを加えよく混合したのち、マイクロプレートリーダーで405nmの吸光度を測定した。 試料抽出物が405nmに吸収を持つ可能性があるため、別でSupernatant及びCell lysateを採取しておき、反応停止溶液→基質溶液の順で加えた際の吸光度を同時に測定し、以下の計算式でβ‐ヘキソサミニダーゼ放出率(%)を算出し、コントロールを放出率100%としたときのサンプル添加時の放出率(%)を算出した。β‐ヘキソサミニダーゼ放出率(%)=100×〔(S−Sc)/{(S−Sc)+(CL−CLc)}〕CL:Cell lysateの吸光度CLc:反応停止溶液→基質溶液の順で加えた際のCelllysateの吸光度S:Supernatantの吸光度Sc:反応停止溶液→基質溶液の順で加えた際のSupernatantの吸光度 結果を図5に示す。 平均値は、Blank 47.4%、Control 100.0%、Wortmannin 51.8%、オリーブ抽出物(100μg/ml) 40.4%、マスリン酸標準品(100μM)80.7%、マスリン酸標準品(200μM)73.2%、マスリン酸標準品(500μM)35.8%であった。 マスリン酸を含むオリーブ抽出物及びマスリン酸標準品はいずれも抗アレルギー効果を有することが確認できた。[実施例2]錠菓及び錠剤の製造 卵殻カルシウム108g、ピロリン酸第二鉄2g、アスコルビン酸40g、微結晶セルロース40g、還元麦芽糖280g、マスリン酸5gをミキサーによって常法により混合した後、打錠して錠菓及び錠剤を製造した。 マスリン酸を有効成分として含有することを特徴とするI型アレルギーを抑制するための医薬組成物。


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