生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_にきび用外用剤組成物
出願番号:2010105408
年次:2011
IPC分類:A61K 31/05,A61Q 19/00,A61K 8/34,A61K 8/86,A61P 17/10,A61K 9/08,A61K 47/10,A61K 47/34,A61K 47/12,A61K 31/60,A61P 43/00


特許情報キャッシュ

後藤 肇 石川 聡之 田中 光 吉野 輝彦 JP 2011231082 公開特許公報(A) 20111117 2010105408 20100430 にきび用外用剤組成物 ライオン株式会社 000006769 小島 隆司 100079304 重松 沙織 100114513 小林 克成 100120721 石川 武史 100124590 後藤 肇 石川 聡之 田中 光 吉野 輝彦 A61K 31/05 20060101AFI20111021BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20111021BHJP A61K 8/34 20060101ALI20111021BHJP A61K 8/86 20060101ALI20111021BHJP A61P 17/10 20060101ALI20111021BHJP A61K 9/08 20060101ALI20111021BHJP A61K 47/10 20060101ALI20111021BHJP A61K 47/34 20060101ALI20111021BHJP A61K 47/12 20060101ALI20111021BHJP A61K 31/60 20060101ALI20111021BHJP A61P 43/00 20060101ALI20111021BHJP JPA61K31/05A61Q19/00A61K8/34A61K8/86A61P17/10A61K9/08A61K47/10A61K47/34A61K47/12A61K31/60A61P43/00 121 2 OL 13 4C076 4C083 4C086 4C206 4C076AA12 4C076BB31 4C076CC32 4C076DD09E 4C076DD37E 4C076DD38E 4C076DD38G 4C076DD38X 4C076FF15 4C076FF17 4C076FF56 4C076FF63 4C083AC101 4C083AC102 4C083AC121 4C083AC122 4C083AC181 4C083AC182 4C083AC302 4C083AC312 4C083AC471 4C083AC472 4C083AC482 4C083AC532 4C083AC542 4C083AC682 4C083AD042 4C083AD532 4C083BB04 4C083DD23 4C083DD27 4C083EE01 4C083EE10 4C083EE14 4C086AA01 4C086AA02 4C086DA17 4C086MA02 4C086MA05 4C086NA05 4C086ZA90 4C086ZC75 4C206AA01 4C206AA02 4C206CA17 4C206MA03 4C206MA05 4C206MA37 4C206MA83 4C206NA02 4C206NA03 4C206NA05 4C206ZA90 4C206ZC75 本発明は、にきび用外用剤組成物に関する。 にきびや手指の殺菌を目的とした外用剤には、クリーム、乳液、液剤等があり、これらの中でも液剤は、広く塗布できる上べたつきが少ないため、広範に用いられている。 ところで、殺菌成分の中でイソプロピルメチルフェノール(以下、IPMPと略すことがある。)は、塩化ベンザルコニウムのようなカチオン性殺菌成分と比較して抗菌スペクトルが広い特徴を有することから、殺菌消毒剤やにきび治療薬に用いられている。 しかし、IPMPは水への溶解性が極めて低いため、従来は各種界面活性剤の配合やエタノールの配合により可溶化させていた。例えば、口腔用組成物として提案されている液剤では、IPMPの配合量が少ないので、HLBの高い界面活性剤のみで可溶化させていたが、にきび治療における有効量を配合すると、低温で析出してしまうという問題があった。エタノールを可溶化剤として加えることで、IPMPの析出は改善されるが、エタノールを可溶化に必要な配合量とすると、高濃度のエタノールにより使用時及び使用後に皮膚刺激感を伴うので、できるだけエタノールの使用量を抑えてIPMPを可溶化した外用剤が望まれていた。 なお、本発明に関連する先行技術文献としては、下記のものが挙げられる。特開2009−149568号公報特開2009−184951号公報 本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、殺菌成分としてイソプロピルメチルフェノールを含有するにきび用外用剤組成物に、エタノールを多量に配合することなく、低温での外観安定性に優れ、皮膚刺激感を抑制したにきび用外用剤組成物を提供することを目的とする。 本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、IPMPの可溶化剤として界面活性剤の添加だけでは解決できなかった凍結復元時に出現するIPMPの析出を、エタノールを高濃度に配合することなく、1,3−ブチレングリコールとグリセリンとを特定比率で配合することにより解決することができ、しかも皮膚刺激感を抑えたにきび用外用剤組成物が得られることを見出し、本発明をなすに至った。 従って、本発明は、下記にきび用外用剤組成物を提供する。請求項1: (A)イソプロピルメチルフェノール0.2〜1.0質量%、(B)1,3−ブチレングリコール、(C)グリセリン、及び(D)HLB15以上の非イオン性界面活性剤を含有し、{(B)+(C)}/(A)で表される(A)成分に対する(B)及び(C)成分の合計量の含有質量比が40以上であり、(B)/(C)で表される(C)成分に対する(B)成分の含有質量比が1.5〜3.5の範囲であり、かつ(E)エタノールの含有割合が10質量%以下であることを特徴とするにきび用外用剤組成物。請求項2: 更に、(F)サリチル酸を含有し、pHが2〜5の範囲である請求項1記載のにきび用外用剤組成物。 本発明によれば、低温でも高い外観安定性を有し、しかも皮膚刺激が抑制されたにきび用外用剤組成物を提供することができる。 本発明の組成物は、(A)イソプロピルメチルフェノール0.2〜1.0質量%、(B)1,3−ブチレングリコール、(C)グリセリン、及び(D)HLB15以上の非イオン性界面活性剤を含有し、{(B)+(C)}/(A)で表される(A)成分に対する(B)及び(C)成分の合計量の含有質量比が40以上であり、(B)/(C)で表される(C)成分に対する(B)成分の含有質量比が1.5〜3.5の範囲であり、かつ(E)エタノールの含有割合が10質量%以下であるにきび用外用剤組成物である。[(A)イソプロピルメチルフェノール(IPMP)] イソプロピルメチルフェノールは、本発明のにきび用外用剤組成物の有効成分であり、殺菌剤として配合する。イソプロピルメチルフェノールは、湿疹、皮膚炎、にきび等の細菌や真菌等の菌による悪化が懸念される疾病に有効な殺菌剤であり、特ににきび治療に有効である。 にきび治療に有効な(A)成分の配合量は、にきび用外用剤組成物全体に対して0.2〜1.0質量%が好ましく、0.3〜1.0質量%がより好ましく、0.3〜0.8質量%がさらに好ましい。0.2質量%未満だと殺菌効果が弱くなり、1.0質量%を超えると、皮膚刺激等が生じる。0.2〜1.0質量%であれば、にきび治療に有効な殺菌力を得ることができる。[(B)1,3−ブチレングリコール] 1,3−ブチレングリコールは、IPMPの析出防止、可溶化剤、湿潤剤として配合する。1,3−ブチレングリコールは、保湿効果や抗菌作用、溶解性を有する液状成分であり、乳液やクリーム、軟膏剤など様々な医薬品や化粧品に、保湿剤や溶剤、粘度低下剤、香料などとして配合される。本発明品が医薬品に該当する場合は、医薬品添加物規格に適合するものを、医薬部外品や化粧品に属する場合は、医薬部外品原料規格に適合するものを用いる。 (B)成分の配合量は、本発明のにきび用外用剤組成物全体に対して5〜40質量%が好ましく、より好ましくは8〜30質量%である。(B)成分の配合量が少なすぎるとイソプロピルメチルフェノールが低温で析出し易くなる場合があり、多すぎると皮膚に塗布した後にべたつきを感じる場合がある。[(C)グリセリン] グリセリンは、IPMPの析出防止、可溶化剤、湿潤剤として配合する。グリセリンは、三価のアルコールで毒性が極めて低く、吸湿性を有する液状成分である。保湿効果を有し、医薬品や化粧品では主に保湿・湿潤剤や保水剤として配合されるほか、粘度低下剤、皮膚保護剤、溶剤などとしても配合される。本発明品が医薬品に該当する場合は、医薬品添加物規格に適合するものを、医薬部外品や化粧品に属する場合は、医薬部外品原料規格に適合するものを用いる。 (C)成分の配合量は、本発明のにきび用外用剤組成物全体に対して2〜20質量%が好ましく、より好ましくは3.5〜15質量%である。(B)成分の配合量が少なすぎるとイソプロピルメチルフェノールが低温で析出し易くなる場合があり、多すぎると皮膚に塗布した後にべたつきを感じる場合がある。 ここで、(B)及び(C)成分の合計含有量は、本発明のにきび用外用剤組成物全体中8〜50質量%が好ましく、より好ましくは12〜45質量%、更に好ましくは15〜45質量%である。 また、{(B)+(C)}/(A)で表される、(A)成分に対する(B)及び(C)成分の含有質量比は、40以上であり、好ましくは40〜300、より好ましくは40〜230の範囲である。40未満であると(A)成分の低温安定性が悪化し、多すぎると使用後にべたつきが生じる場合がある。 更に、(B)/(C)で表される、(C)成分に対する(B)成分の含有質量比は1.5〜3.5の範囲であり、好ましくは1.5〜3.0である。1.5未満でも、3.5を超えても(A)成分の低温安定性が悪化する。[(D)HLB15以上の非イオン性界面活性剤] 非イオン性界面活性剤は、IPMPの可溶化剤として配合する。本発明で用いる非イオン性界面活性剤は、そのHLB値が15以上であることが必要であり、好ましくは17〜20である。HLB値が低すぎると(A)成分のIPMPを十分に可溶化することができなくなる。 このような非イオン性界面活性剤として、例えば、ポリオキシエチレン(EO10〜60)アルキル(炭素数12〜22)エーテル、ポリオキシエチレン(EO10〜20)ポリオキシプロピレン(PO4〜30)アルキル(炭素数12〜16)エーテル等のエーテル型非イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレン(EO20)ソルビタン脂肪酸(炭素数12〜18)エステル、ポリオキシエチレン(EO6〜60)ソルビット脂肪酸(炭素数12〜18)エステル、ポリオキシエチレン(EO80〜100)硬化ヒマシ油、ポリエチレングリコール(EO25〜55)脂肪酸(炭素数12〜18)エステル等のエステル型非イオン性界面活性剤等を挙げることができる。これらの中でも特に、ポリオキシエチレン(EO10〜60)アルキル(炭素数12〜22)エーテル、ポリオキシエチレン(EO80〜100)硬化ヒマシ油、ポリエチレングリコール(EO25〜55)脂肪酸(炭素数12〜18)エステル等が好適である。より具体的には、ポリオキシエチレン(21)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(25)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(15)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(23)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(30)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(40)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ベヘニルエーテル、ポリオキシエチレン(30)ベヘニルエーテル、ポリオキシエチレン(80)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(100)硬化ヒマシ油、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(40EO)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(55EO)、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、モノパルミチン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン等を挙げることができ、更に、これらの中でも特に、ポリオキシエチレン(21)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(25)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(23)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(30)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(30)ベヘニルエーテル、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(40EO)等がより効果的である。 これらの非イオン性界面活性剤は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。なお、単独ではHLB値が15未満の非イオン性界面活性剤であっても、上記例示の非イオン性界面活性剤を併用して、界面活性剤全体としてのHLB値が15以上となるように調整して使用することができる。 (D)成分の配合量は、にきび用外用剤組成物全体に対して0.5〜5.0質量%が好ましく、1.3〜3.0質量%がより好ましい。0.5質量%未満であると(A)成分を十分に可溶化することができない場合があり、5.0質量%を超えると皮膚刺激等が発生する可能性がある。[(E)エタノール] 本発明のにきび用外用剤組成物にエタノールを配合する場合、IPMPの可溶化剤として配合する。本発明のにきび用外用剤組成物中のエタノールの含有量は10質量%以下(10〜0質量%)、好ましくは8質量%以下、特に6質量%以下、とりわけ4質量%以下であり、少量のエタノールを添加することで、良好な使用感を維持したまま低温安定性をより改善することができる。エタノールの添加量が10質量%を超えると皮膚刺激等が発生する。エタノールとしては、変性、未変性にかかわらず使用することができるが、本発明品が医薬品に該当する場合は、日本薬局方に適合するものを、医薬部外品や化粧品に属する場合は、医薬部外品原料規格に適合するものを用いる。具体的には、甘糟化学産業(株)製の無水エタノール、三菱化学(株)製の一般アルコール95度合成無変性、信和アルコール(株)製の政府所定エタノール等を好適に使用することができる。[(F)サリチル酸] 本発明の組成物にはサリチル酸を配合することができる。サリチル酸は、角化した角層を剥離する作用を有する薬物として配合する。また、殺菌作用もあり、にきび治療に有効である。本発明の組成物は低温安定性に優れるが、サリチル酸を更に加えることでたとえIPMPの安定性が低下して析出したとしても、本発明のにきび用外用剤組成物のにきび治療効果を維持することができる。従来、角層剥離・溶解剤として、イオウ、レゾルシン、ベンゾイルパーオキサイド、サリチル酸等が用いられており、特にサリチル酸は、角層剥離・溶解作用に加えて、殺菌作用、抗炎症作用等を有しており、二重盲験臨床試験においても、尋常性ざ瘡に対する治療効果が確認され、にきび治療薬の有効成分として広く用いられている。 (F)成分の配合量は、特に制限されるものではないが、本発明の目的を考慮すれば、本発明のにきび用外用剤組成物全体に対して0.1〜10質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましく、0.2〜1.0質量%が特に好ましい。(F)成分の濃度が低すぎると、十分な治療効果を得ることが困難な場合がある。[その他の成分] 本発明のにきび用外用剤組成物は、上記成分の他、にきび用外用剤組成物(液剤)に配合できる各種任意成分、例えば、高分子化合物、pH調整剤、キレート剤、防腐剤、香料、色素等を、本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。これらは1種を単独で又は2種以上を適宜組み合わせて適量を用いることができる。 高分子化合物としては、水又は低級アルコール/水の混合溶媒系に可溶な高分子化合物が好ましく、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルメロース、クロスカルメロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体、部分α化澱粉などの加工澱粉、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、クロスポビドン、ポリエチレングリコール、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム、グアーガム、ローカストビーンガム、プルラン、ゼラチン、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム等が挙げられる。高分子化合物の配合量は、にきび用外用剤組成物の設定粘度により適宜選定されるが、にきび用外用剤組成物中に0.01〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.05〜5質量%である。 pH調整剤としては、塩酸、リン酸、ホウ酸等の無機酸、乳酸、酒石酸、クエン酸等の有機酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トロメタミン等の各種アミン類、リン酸水素カリウム、リン酸水素ナトリム等のリン酸塩、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム等の有機塩類等が挙げられる。ジイソプロパノールアミン及びトリイソプロパノールアミン、トリエタノールアミンは、特に酸性薬物を使用した場合のpH安定性が良好であるため、好ましい。pH調整剤の配合量は、設定pHにより適宜選択することができる。 キレート剤としては、ピロリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、グルコン酸塩、エデト酸塩等が挙げられる。キレート剤の配合量は、にきび用外用剤組成物中に好ましくは0.001〜5質量%、より好ましくは0.01〜5質量%とする。 防腐剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、安息香酸類、パラベン類、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ソルビン酸及びその塩類、ホウ酸、ホウ砂等が挙げられる。好ましくはジブチルヒドロキシトルエン、クエン酸及びその塩類を使用する。防腐剤の配合量は、にきび用外用剤組成物中に好ましくは0.005〜5質量%、より好ましくは0.01〜1質量%とする。 色素は、酸性染料、塩基性染料、酸化染料、顔料等、外用剤(化粧品、医薬品)に使用可能な色素を、任意に使用可能である。香料は、天然香料や合成香料を、特に制限なく使用することができる。例えば、天然香料としてはペパーミント油、スペアミント油、ジャスミン油、レモン油、オレンジ油、ライム油、マンダリン油、ローズ油、ローズマリー油などの植物性香料が挙げられる。合成香料としてはモノテルペン類、ジテルペン類、セスキテルペン類等、具体的にはゲラニオール、リナロール、シトロネロール、ネロール、リモネン、ピネン、カンフェン、シトラール、シトロネラール、シネオール、クルクメン、ヒノキ酸、ヒノキオール、フィトール等が挙げられる。色素及び香料の配合量は、にきび用外用剤組成物中に好ましくは0.0001〜5質量%、より好ましくは0.0001〜1質量%とする。[pH] 本発明のにきび用外用剤組成物のpHは、(F)サリチル酸を配合した場合の角層剥離、溶解作用及び皮膚刺激性の観点から、2〜5がより好ましく、2〜4が更に好ましい。pH2より酸性領域とすると皮膚刺激を起こす場合があり、pH5よりアルカリ領域にするとサリチル酸の効果が発揮されにくい場合がある。なお、本発明において、pHは、日本薬局方一般試験法、pH測定法により測定した値である。[粘度] 本発明のにきび用外用剤組成物は、特にローション剤等の液剤であることが好ましく、水等の溶媒の含有量は、にきび用外用剤組成物全体の30〜90質量%が好ましい。この場合、本発明のにきび用外用剤組成物の粘度は、0.5〜50,000mPa・sが好ましく、より好ましくは0.5〜1,000mPa・sであり、更に好ましくは0.5〜500mPa・sである。粘度が低すぎると液が垂れる等使用性が悪くなる場合があり、高すぎるとボトルから液が出難くなったり、患部に伸ばし難くなったりする場合がある。なお、本発明において、粘度は、日本薬局方一般試験法粘度測定法、第2法回転粘度計法に従って測定した25℃における値である。[製造方法] 本発明のにきび用外用剤組成物の製造方法としては、日本薬局方製剤総則ローション剤に準じて製造することができるが、(A)IPMPを(D)界面活性剤に溶解し、(B)1,3−ブチレングリコールと(C)グリセリンと精製水を混合した液に加えて溶解することが好ましい。溶解した液は、メンブランフィルター(例:MILLIPORE(株)製OMNIPOREメンブランフィルターJHWP04700)でろ過することが好ましい。(E)エタノールを配合する場合は、(A)及び(D)成分と一緒に溶解させることが好ましく、更に、(F)サリチル酸を配合する場合も(A)及び(D)成分と共に溶解させることが好ましい。 本発明のにきび用外用剤組成物を充填する容器は、任意の容器(ボトル、缶、ジャー等)とすることができるが、その材質は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(高密度ポリエチレン:HDPE、低密度ポリエチレン:LDPE)、ガラス、ポリスチレン、エバール等の樹脂、アルミニウム等の金属から選ばれることが好ましく、PET、PP、ガラスがより好ましい。 以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。 [実施例1〜27、比較例1〜9] 表2〜5に記載した配合割合でにきび用外用剤組成物を下記方法で調製した。〈調製方法〉 表2〜5に記載した配合成分量を図り取った。(C)グリセリン、(B)1,3−ブチレングリコール、精製水を混合して均一に溶解し、別に、(A)イソプロピルメチルフェノールと(D)界面活性剤を均一に溶解させたものを加え均一になるまで撹拌した。MILLIPORE(株)製OMNIPOREメンブランフィルターJHWP04700でろ過し、本発明のにきび用外用剤組成物を得た。〈−5℃安定性〉 調製したサンプル50mLを透明なガラス瓶に入れ、−5℃で1ヶ月保存後に、5℃に移し半日後に外観を以下の評価基準で評価した。5℃で僅かに沈殿が認められたサンプルは、常温(15〜25℃、以下同じ)に移して半日後に下記評価基準に従って外観を評価した。○以上を合格とした。結果を表2〜5に併記する。評価基準 ◎:製造直後品と同等で、無色透明な液 ○:ビンの底に僅かに沈殿が認められるが、常温に移すと沈殿が消える状態(問題なし) △:ビンの底に僅かに沈殿が認められ、常温に移しても沈殿は消えない ×:ビンの底に明らかに沈殿が見られる状態〈凍結復元性〉 調製したサンプル50mLを透明なガラス瓶に入れ、−20℃中に24時間保存し、その後5℃中に24時間保存した。これを6回繰り返した後の5℃での、あるいは常温での外観を以下の評価基準で評価した。○以上を合格とした。結果を表2〜5に併記する。評価基準 ◎:5℃で製造直後品と同等で、無色透明な液 ○:5℃でビンの底に僅かに沈殿が認められるが、常温に移すと沈殿が消える状態(問 題なし) △:5℃でビンの底に僅かに沈殿が認められ、常温に移しても沈殿は消えない ×:5℃及び常温でビンの底に沈殿が見られる状態〈皮膚刺激感〉 使用感は、使用中・使用後の皮膚刺激感で評価した。 サンプルを市販コットン(ビューティーアップコットン:(株)資生堂製、5.5×7cm(実測))に、適量(約2mL)をとり、評価パネラー(10名)の頬に3分間押し当てた。押し当てている間(使用中)の使用感・皮膚刺激感(ヒリヒリ・ピリピリ感)、及び頬からはずした直後から5分後まで(使用後)の使用感・皮膚刺激感(ヒリヒリ・ピリピリ感)を官能で評価した。評価基準で点数付けし、押し当てている間と使用後との10名の評点の平均値から、下記の判定基準の表を元に判定した。○以上を良好と判断した。結果を表2〜5に併記する。−は安定性が不合格等の理由で評価を行わなかったことを示す。評価基準 5点:非常に感じる 4点:かなり感じる 3点:少し感じる 2点:やや感じる 1点:全く感じない判定基準〈殺菌評価〉 にきび原因菌への効果を検証するために、殺菌作用の評価を行った。 殺菌作用の測定法としてにきび菌に対する最小発育阻止濃度(MIC)を、液体培地希釈法により求めた。即ち、GAM broth(変法GAMブイヨン「ニッスイ」:日水製薬(株)製)にて、1〜64倍まで希釈し、P.acnes懸濁液5μLを加え、36℃で3日間嫌気培養し、菌の発育の有無を肉眼で観察した。結果を製剤の希釈倍率で示す。倍率が大きいほど最小発育阻止濃度が低く、即ち殺菌作用が高い。−の記載欄は、未実施を示す。 殺菌評価は、実施例2,7,9〜13のにきび用外用剤組成物について実施した。結果を表2,3に併記する。 (A)イソプロピルメチルフェノール0.2〜1.0質量%、(B)1,3−ブチレングリコール、(C)グリセリン、及び(D)HLB15以上の非イオン性界面活性剤を含有し、{(B)+(C)}/(A)で表される(A)成分に対する(B)及び(C)成分の合計量の含有質量比が40以上であり、(B)/(C)で表される(C)成分に対する(B)成分の含有質量比が1.5〜3.5の範囲であり、かつ(E)エタノールの含有割合が10質量%以下であることを特徴とするにきび用外用剤組成物。 更に、(F)サリチル酸を含有し、pHが2〜5の範囲である請求項1記載のにきび用外用剤組成物。 【課題】殺菌成分としてイソプロピルメチルフェノールを含有するにきび用外用剤組成物に、エタノールを多量に配合することなく、低温安定性に優れ、皮膚刺激感を抑制したにきび用外用剤組成物を提供すること。【解決手段】(A)イソプロピルメチルフェノール0.2〜1.0質量%、(B)1,3−ブチレングリコール、(C)グリセリン、及び(D)HLB15以上の非イオン性界面活性剤を含有し、{(B)+(C)}/(A)で表される(A)成分に対する(B)及び(C)成分の合計量の含有質量比が40以上であり、(B)/(C)で表される(C)成分に対する(B)成分の含有質量比が1.5〜3.5の範囲であり、かつ(E)エタノールの含有割合が10質量%以下であるにきび用外用剤組成物。【選択図】なし


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特許公報(B2)_にきび用外用剤組成物

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タイトル:特許公報(B2)_にきび用外用剤組成物
出願番号:2010105408
年次:2014
IPC分類:A61K 31/05,A61K 31/60,A61K 9/08,A61K 47/10,A61P 17/10


特許情報キャッシュ

後藤 肇 石川 聡之 田中 光 吉野 輝彦 JP 5556339 特許公報(B2) 20140613 2010105408 20100430 にきび用外用剤組成物 ライオン株式会社 000006769 小島 隆司 100079304 重松 沙織 100114513 小林 克成 100120721 石川 武史 100124590 後藤 肇 石川 聡之 田中 光 吉野 輝彦 20140723 A61K 31/05 20060101AFI20140703BHJP A61K 31/60 20060101ALI20140703BHJP A61K 9/08 20060101ALI20140703BHJP A61K 47/10 20060101ALI20140703BHJP A61P 17/10 20060101ALI20140703BHJP JPA61K31/05A61K31/60A61K9/08A61K47/10A61P17/10 A61K31/00〜31/80 9/00〜 9/47 47/00〜47/48 特開2007−308430(JP,A) 特開2010−138122(JP,A) 2 2011231082 20111117 13 20130121 平井 裕彰 本発明は、にきび用外用剤組成物に関する。 にきびや手指の殺菌を目的とした外用剤には、クリーム、乳液、液剤等があり、これらの中でも液剤は、広く塗布できる上べたつきが少ないため、広範に用いられている。 ところで、殺菌成分の中でイソプロピルメチルフェノール(以下、IPMPと略すことがある。)は、塩化ベンザルコニウムのようなカチオン性殺菌成分と比較して抗菌スペクトルが広い特徴を有することから、殺菌消毒剤やにきび治療薬に用いられている。 しかし、IPMPは水への溶解性が極めて低いため、従来は各種界面活性剤の配合やエタノールの配合により可溶化させていた。例えば、口腔用組成物として提案されている液剤では、IPMPの配合量が少ないので、HLBの高い界面活性剤のみで可溶化させていたが、にきび治療における有効量を配合すると、低温で析出してしまうという問題があった。エタノールを可溶化剤として加えることで、IPMPの析出は改善されるが、エタノールを可溶化に必要な配合量とすると、高濃度のエタノールにより使用時及び使用後に皮膚刺激感を伴うので、できるだけエタノールの使用量を抑えてIPMPを可溶化した外用剤が望まれていた。 なお、本発明に関連する先行技術文献としては、下記のものが挙げられる。特開2009−149568号公報特開2009−184951号公報 本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、殺菌成分としてイソプロピルメチルフェノールを含有するにきび用外用剤組成物に、エタノールを多量に配合することなく、低温での外観安定性に優れ、皮膚刺激感を抑制したにきび用外用剤組成物を提供することを目的とする。 本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、IPMPの可溶化剤として界面活性剤の添加だけでは解決できなかった凍結復元時に出現するIPMPの析出を、エタノールを高濃度に配合することなく、1,3−ブチレングリコールとグリセリンとを特定比率で配合することにより解決することができ、しかも皮膚刺激感を抑えたにきび用外用剤組成物が得られることを見出し、本発明をなすに至った。 従って、本発明は、下記にきび用外用剤組成物を提供する。請求項1: (A)イソプロピルメチルフェノール0.2〜1.0質量%、(B)1,3−ブチレングリコール、(C)グリセリン、及び(D)HLB15以上の非イオン性界面活性剤を含有し、{(B)+(C)}/(A)で表される(A)成分に対する(B)及び(C)成分の合計量の含有質量比が40以上であり、(B)/(C)で表される(C)成分に対する(B)成分の含有質量比が1.5〜3.5の範囲であり、かつ(E)エタノールの含有割合が0〜10質量%であることを特徴とするにきび用外用剤組成物。請求項2: 更に、(F)サリチル酸を含有し、pHが2〜5の範囲である請求項1記載のにきび用外用剤組成物。 本発明によれば、低温でも高い外観安定性を有し、しかも皮膚刺激が抑制されたにきび用外用剤組成物を提供することができる。 本発明の組成物は、(A)イソプロピルメチルフェノール0.2〜1.0質量%、(B)1,3−ブチレングリコール、(C)グリセリン、及び(D)HLB15以上の非イオン性界面活性剤を含有し、{(B)+(C)}/(A)で表される(A)成分に対する(B)及び(C)成分の合計量の含有質量比が40以上であり、(B)/(C)で表される(C)成分に対する(B)成分の含有質量比が1.5〜3.5の範囲であり、かつ(E)エタノールの含有割合が0〜10質量%であるにきび用外用剤組成物である。[(A)イソプロピルメチルフェノール(IPMP)] イソプロピルメチルフェノールは、本発明のにきび用外用剤組成物の有効成分であり、殺菌剤として配合する。イソプロピルメチルフェノールは、湿疹、皮膚炎、にきび等の細菌や真菌等の菌による悪化が懸念される疾病に有効な殺菌剤であり、特ににきび治療に有効である。 にきび治療に有効な(A)成分の配合量は、にきび用外用剤組成物全体に対して0.2〜1.0質量%が好ましく、0.3〜1.0質量%がより好ましく、0.3〜0.8質量%がさらに好ましい。0.2質量%未満だと殺菌効果が弱くなり、1.0質量%を超えると、皮膚刺激等が生じる。0.2〜1.0質量%であれば、にきび治療に有効な殺菌力を得ることができる。[(B)1,3−ブチレングリコール] 1,3−ブチレングリコールは、IPMPの析出防止、可溶化剤、湿潤剤として配合する。1,3−ブチレングリコールは、保湿効果や抗菌作用、溶解性を有する液状成分であり、乳液やクリーム、軟膏剤など様々な医薬品や化粧品に、保湿剤や溶剤、粘度低下剤、香料などとして配合される。本発明品が医薬品に該当する場合は、医薬品添加物規格に適合するものを、医薬部外品や化粧品に属する場合は、医薬部外品原料規格に適合するものを用いる。 (B)成分の配合量は、本発明のにきび用外用剤組成物全体に対して5〜40質量%が好ましく、より好ましくは8〜30質量%である。(B)成分の配合量が少なすぎるとイソプロピルメチルフェノールが低温で析出し易くなる場合があり、多すぎると皮膚に塗布した後にべたつきを感じる場合がある。[(C)グリセリン] グリセリンは、IPMPの析出防止、可溶化剤、湿潤剤として配合する。グリセリンは、三価のアルコールで毒性が極めて低く、吸湿性を有する液状成分である。保湿効果を有し、医薬品や化粧品では主に保湿・湿潤剤や保水剤として配合されるほか、粘度低下剤、皮膚保護剤、溶剤などとしても配合される。本発明品が医薬品に該当する場合は、医薬品添加物規格に適合するものを、医薬部外品や化粧品に属する場合は、医薬部外品原料規格に適合するものを用いる。 (C)成分の配合量は、本発明のにきび用外用剤組成物全体に対して2〜20質量%が好ましく、より好ましくは3.5〜15質量%である。(B)成分の配合量が少なすぎるとイソプロピルメチルフェノールが低温で析出し易くなる場合があり、多すぎると皮膚に塗布した後にべたつきを感じる場合がある。 ここで、(B)及び(C)成分の合計含有量は、本発明のにきび用外用剤組成物全体中8〜50質量%が好ましく、より好ましくは12〜45質量%、更に好ましくは15〜45質量%である。 また、{(B)+(C)}/(A)で表される、(A)成分に対する(B)及び(C)成分の含有質量比は、40以上であり、好ましくは40〜300、より好ましくは40〜230の範囲である。40未満であると(A)成分の低温安定性が悪化し、多すぎると使用後にべたつきが生じる場合がある。 更に、(B)/(C)で表される、(C)成分に対する(B)成分の含有質量比は1.5〜3.5の範囲であり、好ましくは1.5〜3.0である。1.5未満でも、3.5を超えても(A)成分の低温安定性が悪化する。[(D)HLB15以上の非イオン性界面活性剤] 非イオン性界面活性剤は、IPMPの可溶化剤として配合する。本発明で用いる非イオン性界面活性剤は、そのHLB値が15以上であることが必要であり、好ましくは17〜20である。HLB値が低すぎると(A)成分のIPMPを十分に可溶化することができなくなる。 このような非イオン性界面活性剤として、例えば、ポリオキシエチレン(EO10〜60)アルキル(炭素数12〜22)エーテル、ポリオキシエチレン(EO10〜20)ポリオキシプロピレン(PO4〜30)アルキル(炭素数12〜16)エーテル等のエーテル型非イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレン(EO20)ソルビタン脂肪酸(炭素数12〜18)エステル、ポリオキシエチレン(EO6〜60)ソルビット脂肪酸(炭素数12〜18)エステル、ポリオキシエチレン(EO80〜100)硬化ヒマシ油、ポリエチレングリコール(EO25〜55)脂肪酸(炭素数12〜18)エステル等のエステル型非イオン性界面活性剤等を挙げることができる。これらの中でも特に、ポリオキシエチレン(EO10〜60)アルキル(炭素数12〜22)エーテル、ポリオキシエチレン(EO80〜100)硬化ヒマシ油、ポリエチレングリコール(EO25〜55)脂肪酸(炭素数12〜18)エステル等が好適である。より具体的には、ポリオキシエチレン(21)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(25)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(15)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(23)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(30)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(40)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ベヘニルエーテル、ポリオキシエチレン(30)ベヘニルエーテル、ポリオキシエチレン(80)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(100)硬化ヒマシ油、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(40EO)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(55EO)、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、モノパルミチン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン等を挙げることができ、更に、これらの中でも特に、ポリオキシエチレン(21)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(25)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(23)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(30)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(30)ベヘニルエーテル、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(40EO)等がより効果的である。 これらの非イオン性界面活性剤は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。なお、単独ではHLB値が15未満の非イオン性界面活性剤であっても、上記例示の非イオン性界面活性剤を併用して、界面活性剤全体としてのHLB値が15以上となるように調整して使用することができる。 (D)成分の配合量は、にきび用外用剤組成物全体に対して0.5〜5.0質量%が好ましく、1.3〜3.0質量%がより好ましい。0.5質量%未満であると(A)成分を十分に可溶化することができない場合があり、5.0質量%を超えると皮膚刺激等が発生する可能性がある。[(E)エタノール] 本発明のにきび用外用剤組成物にエタノールを配合する場合、IPMPの可溶化剤として配合する。本発明のにきび用外用剤組成物中のエタノールの含有量は10質量%以下(0〜10質量%)、好ましくは8質量%以下、特に6質量%以下、とりわけ4質量%以下であり、少量のエタノールを添加することで、良好な使用感を維持したまま低温安定性をより改善することができる。エタノールの添加量が10質量%を超えると皮膚刺激等が発生する。エタノールとしては、変性、未変性にかかわらず使用することができるが、本発明品が医薬品に該当する場合は、日本薬局方に適合するものを、医薬部外品や化粧品に属する場合は、医薬部外品原料規格に適合するものを用いる。具体的には、甘糟化学産業(株)製の無水エタノール、三菱化学(株)製の一般アルコール95度合成無変性、信和アルコール(株)製の政府所定エタノール等を好適に使用することができる。[(F)サリチル酸] 本発明の組成物にはサリチル酸を配合することができる。サリチル酸は、角化した角層を剥離する作用を有する薬物として配合する。また、殺菌作用もあり、にきび治療に有効である。本発明の組成物は低温安定性に優れるが、サリチル酸を更に加えることでたとえIPMPの安定性が低下して析出したとしても、本発明のにきび用外用剤組成物のにきび治療効果を維持することができる。従来、角層剥離・溶解剤として、イオウ、レゾルシン、ベンゾイルパーオキサイド、サリチル酸等が用いられており、特にサリチル酸は、角層剥離・溶解作用に加えて、殺菌作用、抗炎症作用等を有しており、二重盲験臨床試験においても、尋常性ざ瘡に対する治療効果が確認され、にきび治療薬の有効成分として広く用いられている。 (F)成分の配合量は、特に制限されるものではないが、本発明の目的を考慮すれば、本発明のにきび用外用剤組成物全体に対して0.1〜10質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましく、0.2〜1.0質量%が特に好ましい。(F)成分の濃度が低すぎると、十分な治療効果を得ることが困難な場合がある。[その他の成分] 本発明のにきび用外用剤組成物は、上記成分の他、にきび用外用剤組成物(液剤)に配合できる各種任意成分、例えば、高分子化合物、pH調整剤、キレート剤、防腐剤、香料、色素等を、本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。これらは1種を単独で又は2種以上を適宜組み合わせて適量を用いることができる。 高分子化合物としては、水又は低級アルコール/水の混合溶媒系に可溶な高分子化合物が好ましく、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルメロース、クロスカルメロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体、部分α化澱粉などの加工澱粉、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、クロスポビドン、ポリエチレングリコール、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム、グアーガム、ローカストビーンガム、プルラン、ゼラチン、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム等が挙げられる。高分子化合物の配合量は、にきび用外用剤組成物の設定粘度により適宜選定されるが、にきび用外用剤組成物中に0.01〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.05〜5質量%である。 pH調整剤としては、塩酸、リン酸、ホウ酸等の無機酸、乳酸、酒石酸、クエン酸等の有機酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トロメタミン等の各種アミン類、リン酸水素カリウム、リン酸水素ナトリム等のリン酸塩、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム等の有機塩類等が挙げられる。ジイソプロパノールアミン及びトリイソプロパノールアミン、トリエタノールアミンは、特に酸性薬物を使用した場合のpH安定性が良好であるため、好ましい。pH調整剤の配合量は、設定pHにより適宜選択することができる。 キレート剤としては、ピロリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、グルコン酸塩、エデト酸塩等が挙げられる。キレート剤の配合量は、にきび用外用剤組成物中に好ましくは0.001〜5質量%、より好ましくは0.01〜5質量%とする。 防腐剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、安息香酸類、パラベン類、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ソルビン酸及びその塩類、ホウ酸、ホウ砂等が挙げられる。好ましくはジブチルヒドロキシトルエン、クエン酸及びその塩類を使用する。防腐剤の配合量は、にきび用外用剤組成物中に好ましくは0.005〜5質量%、より好ましくは0.01〜1質量%とする。 色素は、酸性染料、塩基性染料、酸化染料、顔料等、外用剤(化粧品、医薬品)に使用可能な色素を、任意に使用可能である。香料は、天然香料や合成香料を、特に制限なく使用することができる。例えば、天然香料としてはペパーミント油、スペアミント油、ジャスミン油、レモン油、オレンジ油、ライム油、マンダリン油、ローズ油、ローズマリー油などの植物性香料が挙げられる。合成香料としてはモノテルペン類、ジテルペン類、セスキテルペン類等、具体的にはゲラニオール、リナロール、シトロネロール、ネロール、リモネン、ピネン、カンフェン、シトラール、シトロネラール、シネオール、クルクメン、ヒノキ酸、ヒノキオール、フィトール等が挙げられる。色素及び香料の配合量は、にきび用外用剤組成物中に好ましくは0.0001〜5質量%、より好ましくは0.0001〜1質量%とする。[pH] 本発明のにきび用外用剤組成物のpHは、(F)サリチル酸を配合した場合の角層剥離、溶解作用及び皮膚刺激性の観点から、2〜5がより好ましく、2〜4が更に好ましい。pH2より酸性領域とすると皮膚刺激を起こす場合があり、pH5よりアルカリ領域にするとサリチル酸の効果が発揮されにくい場合がある。なお、本発明において、pHは、日本薬局方一般試験法、pH測定法により測定した値である。[粘度] 本発明のにきび用外用剤組成物は、特にローション剤等の液剤であることが好ましく、水等の溶媒の含有量は、にきび用外用剤組成物全体の30〜90質量%が好ましい。この場合、本発明のにきび用外用剤組成物の粘度は、0.5〜50,000mPa・sが好ましく、より好ましくは0.5〜1,000mPa・sであり、更に好ましくは0.5〜500mPa・sである。粘度が低すぎると液が垂れる等使用性が悪くなる場合があり、高すぎるとボトルから液が出難くなったり、患部に伸ばし難くなったりする場合がある。なお、本発明において、粘度は、日本薬局方一般試験法粘度測定法、第2法回転粘度計法に従って測定した25℃における値である。[製造方法] 本発明のにきび用外用剤組成物の製造方法としては、日本薬局方製剤総則ローション剤に準じて製造することができるが、(A)IPMPを(D)界面活性剤に溶解し、(B)1,3−ブチレングリコールと(C)グリセリンと精製水を混合した液に加えて溶解することが好ましい。溶解した液は、メンブランフィルター(例:MILLIPORE(株)製OMNIPOREメンブランフィルターJHWP04700)でろ過することが好ましい。(E)エタノールを配合する場合は、(A)及び(D)成分と一緒に溶解させることが好ましく、更に、(F)サリチル酸を配合する場合も(A)及び(D)成分と共に溶解させることが好ましい。 本発明のにきび用外用剤組成物を充填する容器は、任意の容器(ボトル、缶、ジャー等)とすることができるが、その材質は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(高密度ポリエチレン:HDPE、低密度ポリエチレン:LDPE)、ガラス、ポリスチレン、エバール等の樹脂、アルミニウム等の金属から選ばれることが好ましく、PET、PP、ガラスがより好ましい。 以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。 [実施例1〜27、比較例1〜9] 表2〜5に記載した配合割合でにきび用外用剤組成物を下記方法で調製した。〈調製方法〉 表2〜5に記載した配合成分量を図り取った。(C)グリセリン、(B)1,3−ブチレングリコール、精製水を混合して均一に溶解し、別に、(A)イソプロピルメチルフェノールと(D)界面活性剤を均一に溶解させたものを加え均一になるまで撹拌した。MILLIPORE(株)製OMNIPOREメンブランフィルターJHWP04700でろ過し、本発明のにきび用外用剤組成物を得た。〈−5℃安定性〉 調製したサンプル50mLを透明なガラス瓶に入れ、−5℃で1ヶ月保存後に、5℃に移し半日後に外観を以下の評価基準で評価した。5℃で僅かに沈殿が認められたサンプルは、常温(15〜25℃、以下同じ)に移して半日後に下記評価基準に従って外観を評価した。○以上を合格とした。結果を表2〜5に併記する。評価基準 ◎:製造直後品と同等で、無色透明な液 ○:ビンの底に僅かに沈殿が認められるが、常温に移すと沈殿が消える状態(問題なし) △:ビンの底に僅かに沈殿が認められ、常温に移しても沈殿は消えない ×:ビンの底に明らかに沈殿が見られる状態〈凍結復元性〉 調製したサンプル50mLを透明なガラス瓶に入れ、−20℃中に24時間保存し、その後5℃中に24時間保存した。これを6回繰り返した後の5℃での、あるいは常温での外観を以下の評価基準で評価した。○以上を合格とした。結果を表2〜5に併記する。評価基準 ◎:5℃で製造直後品と同等で、無色透明な液 ○:5℃でビンの底に僅かに沈殿が認められるが、常温に移すと沈殿が消える状態(問 題なし) △:5℃でビンの底に僅かに沈殿が認められ、常温に移しても沈殿は消えない ×:5℃及び常温でビンの底に沈殿が見られる状態〈皮膚刺激感〉 使用感は、使用中・使用後の皮膚刺激感で評価した。 サンプルを市販コットン(ビューティーアップコットン:(株)資生堂製、5.5×7cm(実測))に、適量(約2mL)をとり、評価パネラー(10名)の頬に3分間押し当てた。押し当てている間(使用中)の使用感・皮膚刺激感(ヒリヒリ・ピリピリ感)、及び頬からはずした直後から5分後まで(使用後)の使用感・皮膚刺激感(ヒリヒリ・ピリピリ感)を官能で評価した。評価基準で点数付けし、押し当てている間と使用後との10名の評点の平均値から、下記の判定基準の表を元に判定した。○以上を良好と判断した。結果を表2〜5に併記する。−は安定性が不合格等の理由で評価を行わなかったことを示す。評価基準 5点:非常に感じる 4点:かなり感じる 3点:少し感じる 2点:やや感じる 1点:全く感じない判定基準〈殺菌評価〉 にきび原因菌への効果を検証するために、殺菌作用の評価を行った。 殺菌作用の測定法としてにきび菌に対する最小発育阻止濃度(MIC)を、液体培地希釈法により求めた。即ち、GAM broth(変法GAMブイヨン「ニッスイ」:日水製薬(株)製)にて、1〜64倍まで希釈し、P.acnes懸濁液5μLを加え、36℃で3日間嫌気培養し、菌の発育の有無を肉眼で観察した。結果を製剤の希釈倍率で示す。倍率が大きいほど最小発育阻止濃度が低く、即ち殺菌作用が高い。−の記載欄は、未実施を示す。 殺菌評価は、実施例2,7,9〜13のにきび用外用剤組成物について実施した。結果を表2,3に併記する。 (A)イソプロピルメチルフェノール0.2〜1.0質量%、(B)1,3−ブチレングリコール、(C)グリセリン、及び(D)HLB15以上の非イオン性界面活性剤を含有し、{(B)+(C)}/(A)で表される(A)成分に対する(B)及び(C)成分の合計量の含有質量比が40以上であり、(B)/(C)で表される(C)成分に対する(B)成分の含有質量比が1.5〜3.5の範囲であり、かつ(E)エタノールの含有割合が0〜10質量%であることを特徴とするにきび用外用剤組成物。 更に、(F)サリチル酸を含有し、pHが2〜5の範囲である請求項1記載のにきび用外用剤組成物。


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