タイトル: | 公開特許公報(A)_ジスルフィド結合を有するベンゾオキサジン化合物およびその製造法 |
出願番号: | 2010100801 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | C07D 265/16 |
佐藤 奈央 石川 和憲 遠藤 剛 川口亜星・ウイリアム JP 2011231027 公開特許公報(A) 20111117 2010100801 20100426 ジスルフィド結合を有するベンゾオキサジン化合物およびその製造法 横浜ゴム株式会社 000006714 吉田 俊夫 100066005 吉田 和子 100114351 佐藤 奈央 石川 和憲 遠藤 剛 川口亜星・ウイリアム C07D 265/16 20060101AFI20111021BHJP JPC07D265/16 3 1 OL 6 4C056 4C056AA02 4C056AB01 4C056AC02 4C056AD03 4C056AE02 4C056AF01 4C056DA01 4C056DB01 4C056DC02 本発明は、ジスルフィド結合を有するベンゾオキサジン化合物およびその製造法に関する。さらに詳しくは、熱や光で開裂し、ラジカルを生成することのできるジスルフィド結合を有するベンゾオキサジン化合物およびその製造法に関する。 特許文献1には、ベンゾオキサジン環を有する化合物、エポキシ樹脂、芳香族アミン硬化剤およびプロトン酸のエステルを含有するベンゾオキサジン樹脂組成物が記載されており、このベンゾオキサジン樹脂組成物は、それを強化繊維基材に含浸させたプリプレグ、このプリプレグを硬化させた繊維強化複合材料等に用いられると記載されている。 このベンゾオキサジン樹脂組成物中のベンゾオキサジン環を有する化合物の一例として、ビス(3,4-ジヒドロ-3-フェニル-2H-1,3-ベンゾオキサジン)モノスルフィドが挙げられてはいるが、対応するジスルフィド化合物については従来知られていない。特開2008−94961号公報Bull. Chem. Soc. JP. 41巻 2082〜6頁 (1968) 本発明の目的は、熱や光で開裂し、ラジカルを生成することのできるジスルフィド結合を有するベンゾオキサジン化合物およびその製造法を提供することにある。 本発明によって、一般式(ここで、R1はヘテロ原子を有してもよい、炭素数1〜18のアルキル基、アリール基または炭素数1〜18のアルキル基で置換されたアリール基である)で表わされるジスルフィド結合を有するベンゾオキサジン化合物が提供される。 上記一般式〔I〕において、R1がフェニル基であるジスルフィド結合を有するベンゾオキサジン化合物は、一般式で表わされるビス(4-ヒドロキシルフェニル)ジスルフィドを、ヘキサヒドロ-1,3,5-トリフェニル-1,3,5-トリアジンおよびホルムアルデヒドと反応させることによって製造される。 本発明によって、新規化合物であるジスルフィド結合を有するベンゾオキサジン化合物が提供される。このジスルフィド結合を有するベンゾオキサジン化合物は、熱や光で-S-S-結合が開裂し、ラジカルを生成させるので、アクリル系樹脂や二重結合を有する各種ゴムの改質剤、粘着付与剤等として有用である。これに対して、既存のモノスルフィド結合を有する化合物は、モノスルフィドに反応性がないので、樹脂やゴムの変性剤としては使用できない。実施例で得られた反応生成物の1H-NMRスペクトルである実施例で得られた反応生成物の13C-NMRスペクトルである 前記一般式〔I〕において、、R1がフェニル基であるジスルフィド結合を有するベンゾオキサジン化合物は、一般式〔II〕で表わされるビス(4-ヒドロキシルフェニル)ジスルフィドを、ヘキサヒドロ-1,3,5-トリフェニル-1,3,5-トリアジンおよびホルムアルデヒドと反応させることによって製造される。 この反応の出発原料の一つであるビス(4-ヒドロキシルフェニル)ジスルフィドは公知の化合物であり、例えば非特許文献1に記載されている。出発原料の他の一つであるヘキサヒドロ-1,3,5-トリフェニル-1,3,5-トリアジンは、アニリンにメチレン基を形成させるパラホルムアルデヒドを反応させることにより得られる。これらの各出発原料と共にホルムアルデヒドが用いられ、ホルムアルデヒドとしては、一般にパラホルムアルデヒドが、オキサジン環のメチレン基形成のために用いられる。 これらの各出発原料は、理論的にはビス(4-ヒドロキシルフェニル)ジスルフィド 3モルに対し、ヘキサヒドロ-1,3,5-トリフェニル-1,3,5-トリアジンが2モル、ホルムアルデヒドが6モルの割合で反応に用いられる。反応は、トルエン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等の溶媒を用い、その還流温度に約1〜6時間程度加熱することによって行われる。反応終了後は、反応に用いられた溶媒を減圧下で留去し、残渣を水酸化ナトリウム水溶液および水で洗浄して、精製が行われる。 前記一般式〔I〕において、R1はアリール基以外に炭素数1〜18のアルキル基または炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキル置換アリール基であることができ、R1がアルキル基の場合はヘキサヒドロ-1,3,5-トリフェニル-1,3,5-トリアジンの代わりに相当する1級アミンが用いられ、また、R1がアルキル置換アリール基の場合は、アニリンの代わりにアルキル置換アニリンを用いて合成されたヘキサヒドロ-1,3,5-トリス(アルキルフェニル)-1,3,5-トリアジンが他の一つの出発原料として用いられる。またこれらのR1基は、O、S、N等のヘテロ原子を有していてもよい。 次に、実施例について本発明を説明する。 参考例1 4-メルカプトフェノール4.4g(35ミリモル)のメタノール溶液約100ml中に、ヨウ素5.0g(40ミリモル)を10分間で滴下した。滴下終了後、室温条件下で30分反応させ、反応終了後溶媒を減圧条件下で留去し、残渣をトルエンに溶解させ、トルエン溶液を飽和食塩水で洗浄し、トルエン層を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、トルエンを留去した残渣をトルエン/へキサン(重量比3/4)で再結晶して精製し、ビス(4-ヒドロキシルフェニル)ジスルフィド3.4g(収率89%)を得た。生成物の融点は150〜151℃で、非特許文献1記載の融点149〜150℃と略一致した。 参考例2 アニリン1.86g(20.0ミリモル)、パラホルムアルデヒド(CH2O)n 0.60g(20.0ミリモル)およびトルエン15mlの混合溶液を、110℃で2時間加熱しながら、Dean-Starkを用いて、生成した水を留去した。残渣にトルエン15mlを加えて再結晶し、ヘキサヒドロ-1,3,5-トリフェニル-1,3,5-トリアジン1.68g(収率80%)を得た。 実施例 参考例1で得られたビス(4-ヒドロキシルフェニル)ジスルフィド0.75g(3ミリモル)、参考例2で得られたヘキサヒドロ-1,3,5-トリフェニル-1,3,5-トリアジン0.63g(2ミリモル)およびパラホルムアルデヒド(CH2O)n 0.18g(6ミリモル)を6mlのトルエン中に加え、還流温度で6時間反応させた。反応終了後、5重量%水酸化ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、残渣を酢酸エチルで再結晶することにより精製し、融点134〜135℃のビス(3,4-ジヒドロ-3-フェニル-2H-1,3-ベンゾオキサジン)ジスルフィド1.0g(収率68%)を得た。 その1H-NMRスペクトルおよび13C-NMRスペクトルは、図1〜2に示される。 一般式(ここで、R1はヘテロ原子を有してもよい、炭素数1〜18のアルキル基、アリール基または炭素数1〜18のアルキル基で置換されたアリール基である)で表わされるジスルフィド結合を有するベンゾオキサジン化合物。 R1がフェニル基である請求項1記載のジスルフィド結合を有するベンゾオキサジン化合物。 一般式で表わされるビス(4-ヒドロキシルフェニル)ジスルフィドを、ヘキサヒドロ-1,3,5-トリフェニル-1,3,5-トリアジンおよびホルムアルデヒドと反応させることを特徴とする請求項2記載のジスルフィド結合を有するベンゾオキサジン化合物の製造法。 【課題】熱や光で開裂し、ラジカルを生成することのできるジスルフィド結合を有するベンゾオキサジン化合物およびその製造法を提供する。【解決手段】一般式(R1:炭素数1〜18のアルキル基、アリール基またはアルキル基置換アリール基)で表わされるジスルフィド結合を有するベンゾオキサジン化合物が提供される。上記一般式〔I〕において、R1がフェニル基であるジスルフィド結合を有するベンゾオキサジン化合物は、ビス(4-ヒドロキシルフェニル)ジスルフィド〔II〕を、ヘキサヒドロ-1,3,5-トリフェニル-1,3,5-トリアジンおよびホルムアルデヒドと反応させることによって製造される。【選択図】図1