タイトル: | 公開特許公報(A)_多官能モノマー、これを用いた樹脂組成物 |
出願番号: | 2010096317 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | C08F 20/10,C08J 7/04,C08F 2/46,C07C 69/54 |
堀口 尚文 小木 聡 JP 2011225708 公開特許公報(A) 20111110 2010096317 20100419 多官能モノマー、これを用いた樹脂組成物 日本化薬株式会社 000004086 堀口 尚文 小木 聡 C08F 20/10 20060101AFI20111014BHJP C08J 7/04 20060101ALI20111014BHJP C08F 2/46 20060101ALI20111014BHJP C07C 69/54 20060101ALI20111014BHJP JPC08F20/10C08J7/04 AC08F2/46C07C69/54 Z 7 OL 9 4F006 4H006 4J011 4J100 4F006AA35 4F006AB43 4F006BA02 4F006CA01 4F006CA08 4F006EA03 4H006AA01 4H006AA03 4H006AB46 4H006BN10 4J011QA23 4J011SA16 4J011UA01 4J011VA01 4J011WA02 4J011WA05 4J011WA06 4J100AL63P 4J100AL63Q 4J100AL63R 4J100CA01 4J100CA05 4J100CA23 4J100DA48 4J100FA03 4J100FA18 4J100JA01 4J100JA44 本発明はペンタエリスリトールとジメチロールプロピオン酸及び不飽和モノカルボン酸を1段階でエステル化し得られる多官能モノマー(A)に関する。更に本多官能モノマー(A)を含むエネルギー線硬化型樹脂組成物、該組成物を用いたハードコート用組成物、コーティング用組成物、保護膜用組成物、エネルギー線硬化型樹脂組成物、フォトレジストインキ用組成物等のインキ用組成物、絶縁層用組成物、接着剤及びそれらの硬化物、更には該硬化物を有する物品に関する。 不飽和基を持つ感光性モノマーは単官能モノマーから多官能モノマーに至るまで様々な構造のものが市販されており、塗料、接着剤、電子機器用部品などを中心に広い分野で使用されている。 感光性モノマーに要求される特性は、感度、耐熱性、耐光性、耐湿性、機械的特性、透明性、接着性など様々なものが挙げられるが、一般に高感度な多官能モノマーは粘度が高く、熱硬化系と比較した場合硬化収縮において特に改善が望まれている。 低硬化収縮という特性向上の為に、特許文献1ではオキシラン環構造を持つシルフェニレン化合物が提案されている。 特許文献2及び特許文献3では開始剤に連鎖延長剤、次いで連鎖停止剤を反応させて得られる高分子が提案されている。該高分子を合成する際は、まず開始剤に連鎖延長剤を反応させ、さらに連鎖停止剤を用いて2段階以上で得られている。従って開始剤の水酸基は連鎖延長剤で延長され、連鎖延長剤の水酸基が連鎖停止剤に反応して、高分子が得られている。特開2004−323442号公報特表平7−504219号公報特表2000−511219号公報 本発明は、高感度でありながら低粘度かつ低硬化収縮であることを特徴とする多官能モノマーを提供することにある。 本発明者は、ペンタエリスリトールとジメチロールプロピオン酸及び不飽和モノカルボン酸を1段階でエステル化し得られる多官能モノマー(A)が高感度でありながら低粘度かつ低硬化収縮であることを見出し、本発明を完成するに至った。 本発明の一つは、ペンタエリスリトールとジメチロールプロピオン酸及び不飽和モノカルボン酸を1段階でエステル化し得られる多官能モノマー(A)である。 本発明の一つは、前記多官能モノマー(A)を含有するエネルギー線硬化型樹脂組成物である。該樹脂組成物は更に、光重合開始剤を含有していてもよい。 本発明の一つは、皮膜形成用材料又は絶縁材料として用いられる前記樹脂組成物である。 本発明の一つは、前記樹脂組成物にエネルギー線を照射して得られる硬化物である。 本発明の一つは、前記硬化物を有する物品である。 本発明の多官能モノマー(A)はペンタエリスリトールの水酸基にジメチロールプロピオン酸と不飽和モノカルボン酸が反応した構造を有し、高い感度を持ちながら、硬化収縮が低い。本発明の多官能モノマー(A)はペンタエリスリトールの水酸基全てにジメチロールプロピオン酸が反応してジメチロールプロピオン酸の水酸基に不飽和モノカルボン酸が反応した高分子とは異なり、分岐鎖は該高分子ほど伸長しない。従って本発明の多官能モノマー(A)を含む本発明の樹脂組成物は、ハードコート、コーティング、保護膜、インキ、絶縁層、接着剤又はフォトレジストインキに好適である。 本発明の多官能モノマー(A)はペンタエリスリトールとジメチロールプロピオン酸及び不飽和モノカルボン酸を1段階でエステル化して得ることが出来る。 ペンタエリスリトールとジメチロールプロピオン酸と不飽和モノカルボン酸を1段階でエステル化する場合、各原料の仕込み割合に特段の限定はないが、仕込み割合を変えることで本発明の多官能モノマー(A)の特性を調整することができる。例えば、高感度かつ硬化収縮が低いという特性を本発明の多官能モノマー(A)において最も発揮せしめるには、ペンタエリスリトール1モル当量に対してジメチロールプロピオン酸を通常0.3〜3.0モル当量、不飽和モノカルボン酸は通常4.3〜7.0モル当量程度を反応させる。なお、好ましくは、ペンタエリスリトール1当量に対して不飽和モノカルボン酸は4.3〜6.0モル当量、ジメチロールプロピオン酸は0.3〜2.0モル当量をそれぞれ反応させる。不飽和モノカルボン酸の反応量が4.3〜6.0モル当量の場合、感度が優れたものとなる。ペンタエリスリトールに対してジメチロールプロピオン酸を2.0〜3.0モル当量反応させた場合、高感度且つ低硬化収縮といった特性を得ることができるが、本発明の多官能モノマー(A)の粘度はやや高いものとなる。ペンタエリスリトールに対して3.0モル当量を超えるジメチロールプロピオン酸を反応させると、ジメチロールプロピオン酸が溶剤に対しての溶解性が低い為、安定して多官能モノマー(A)を得ることが難しくなる。ペンタエリスリトール1.0当量に対してジメチロールプロピオン酸の反応量が0.3モル当量を下回る場合、感度は低下し、硬化収縮も大きくなってしまう。 不飽和モノカルボン酸は分子中に不飽和結合を有し、エステル化反応が可能なものであれば特に限定はない。具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、更にこれらをカプロラクトン変性した物などが挙げられるが特にこれらに限定されるものではない。 本発明の多官能モノマー(A)の合成においては通常、溶剤を用いるが、その使用量は使途により適宜調整すればよく、また、溶剤は、1種類を単独で用いることもできるし、2種類以上を併せて用いることもできる。 該溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラメチルベンゼン等の芳香族系炭化水素溶剤、ヘキサン、オクタン、デカン等の脂肪族系炭化水素溶剤及びそれらの混合物である石油エーテル、ホワイトガソリン、ソルベントナフサ等が挙げられる。 該溶剤としてはエステル系溶剤でもよく、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のアルキルアセテート類、γ−ブチロラクトン等の環状エステル類、エチレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルモノアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルモノアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート、ブチレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート等のモノ若しくはポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルモノアセテート類、グルタル酸ジアルキル、コハク酸ジアルキル、アジピン酸ジアルキル等のポリカルボン酸アルキルエステル類等が挙げられる。 該溶剤としてはエーテル系溶剤でもよく、例えば、ジエチルエーテル、エチルブチルエーテル等のアルキルエーテル類、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル類、テトラヒドロフラン等の環状エーテル類等が挙げられる。 該溶剤としてはケトン系溶剤でもよく、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等が挙げられる。 エステル化反応時には、反応を促進させるために酸触媒を使用してもよく、該触媒を使用する場合、その使用量は反応物の総量に対して通常0.1〜10質量%程度である。その際の反応温度は通常60〜150℃であり、反応時間は通常5〜60時間である。 該触媒としては、例えば、硫酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などの酸触媒などが挙げられるが、酸触媒であれば特に限定される物ではない。 また、エステル化反応時には熱重合禁止剤を使用してもよい。該熱重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2−メチルハイドロキノン、ハイドロキノン、ジフェニルピクリルヒドラジン、ジフェニルアミン、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン等が挙げられる。 本発明においてエネルギー線硬化型樹脂組成物とは、活性エネルギー線によって容易に硬化するものを示す。ここで活性エネルギー線の具体例としては、紫外線、可視光線、赤外線、X線、ガンマー線、レーザー光線等の電磁波、アルファー線、ベータ線、電子線等の粒子線等が挙げられる。本発明の好適な用途を考慮すれば、これらのうち、紫外線、レーザー光線、可視光線、または電子線が好ましい。 本発明のエネルギー線硬化型樹脂組成物は本発明の多官能モノマー(A)を含むエネルギー線硬化型樹脂組成物である。本発明の多官能モノマー(A)以外の成分に特段の限定はなく、目的に応じて、適宜、成分は選択される。 本発明のエネルギー線硬化型樹脂組成物には樹脂組成物中に90質量%を上限にその他の成分を加えることもできる。その他の成分としては、光重合開始剤、溶剤、他のモノマー・オリゴマー類、無機充填剤、有機充填剤、シランカップリング剤、粘着付与剤、消泡剤、レベリング剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、染料等を適宜使用することができる。これらその他の成分は、それぞれ1種類を単独で用いることもできるし、2種類以上を併せて用いることもできる。下記に使用しうるその他の成分を例示する。 光重合開始剤の具体例としては、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;アセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−フェニルプロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシンクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン等のアセトフェノン類;2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフエノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、4,4’−ビスメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド類等の公知一般のラジカル型光反応開始剤が挙げられる。 この他、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤、過酸化ベンゾイル等の熱に感応する過酸化物系ラジカル型開始剤等を併せて用いても良い。開始剤は、1種類を単独で用いることもできるし、2種類以上を併せて用いることもできる。 溶剤としては本発明の多官能モノマー(A)を合成する際に用いられる溶剤、及びその他の溶剤が本発明においては使用可能である。溶剤は、1種類を単独で用いることもできるし、2種類以上を併せて用いることもできる。 本発明において用いられ得る非反応性化合物とは、反応性の低い、或いは反応性の無い液状若しくは固体状のオリゴマーや樹脂であり、(メタ)アクリル酸アルキル共重合体、液状ポリブタジエン、ジシクロペンタジエン誘導体、飽和ポリエステルオリゴマー、キシレン樹脂、ポリウレタンポリマー、ケトン樹脂、ジアリルフタレートポリマー(ダップ樹脂)、石油樹脂、ロジン樹脂、フッ素系オリゴマー、シリコン系オリゴマーなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。 (メタ)アクリル酸アルキル共重合体としては繰り返し単位に(メタ)アクリル酸のアルキルエステル又は(メタ)アクリル酸の酸型を含むものである。例えば、degussa.社製のオイドラギットL100−55、オイドラギットL100、オイドラギットS100、互応化学工業(株)製のプラスサイズL−8011などが挙げられる。 飽和ポリエステルオリゴマーとしては、例えば、上記のジオール化合物と上記の二塩基酸又はその無水物との反応物であるポリエステルジオールと、(メタ)アクリル酸の反応物等が挙げられる。 本発明において用いられ得る無機充填剤としては、例えば、二酸化珪素、酸化珪素、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、タルク、カオリンクレー、焼成クレー、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、水酸アルミニウム、酸化アルミニウム、ガラス、雲母、硫酸バリウム、アルミナホワイト、ゼオライト、シリカバルーン、ガラスバルーン、等を挙げることができる。これらの無機充填剤には、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコネート系カップリング剤などを添加、反応させるなどの方法により、ハロゲン基、エポキシ基、水酸基、チオール基の官能基を持たせることもできる。 本発明において用いられ得る有機充填剤としては、例えば、ベンゾグアナミン樹脂、シリコーン樹脂、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリオレフィン樹脂、エチレン・アクリル酸共重合体、ポリスチレン、アクリル共重合体、ポリメチルメタクリレート樹脂、フッ素樹脂、ナイロン12、ナイロン6/66、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂などを挙げることができる。 本発明において用いられ得るシランカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトレメトキシシラン又はγ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等のチタネート系カップリング剤;アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウム系カップリング剤;アセチルアセトン・ジルコニウム錯体等のジルコニウム系カップリング剤、などを挙げることができる。 本発明において用いられ得る粘着付与剤、消泡剤、レベリング剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤及び染料は、公知慣用のものであれば如何なるものも、その硬化性、樹脂特性を損なわない範囲で、特に制限無く使用することができる。 本発明のエネルギー線硬化型樹脂組成物を得るには、上記した各成分を混合すればよく、混合の順序や方法は特に限定されない。 本発明において皮膜形成用材料とは、基材表面を被覆することを目的として利用されるものである。具体的な用途としては、グラビアインキ、フレキソインキ、シルクスクリーンインキ、オフセットインキ等のインキ材料、ハードコート、トップコート、オーバープリントワニス、クリヤコート等の塗工(コーティング)材料、ラミネート用、光ディスク用他各種接着剤、粘着剤等の接着材料、フォトレジスト、ソルダーレジスト、エッチングレジスト、マイクロマシン用レジスト等に用いられるレジストインキ、又は保護膜等がこれに該当する。さらには、皮膜形成用材料を一時的に剥離性基材に塗工しフイルム化した後、本来目的とする基材に貼合し皮膜を形成させる、いわゆるドライフイルムも皮膜形成用材料に該当する。 本発明において絶縁材料とは、基材上に該組成物の皮膜層を形成させ、電子回路やその部品などにおいて、対象とする2箇所の間で電気抵抗が大きく電圧を掛けても電流が流れない状態にするエネルギー線硬化型樹脂組成物を指す。具体的な用途としては、フレキシブル配線板のオーバーコート材や多層基板の層間絶縁膜、半導体工業における固体素子への絶縁膜やパッシベーション膜の成型材料、及び半導体集積回路や多層プリント配線板等の層間絶縁材料、基板保護のために用いられるソルダーレジスト等にも好適に用いられる。 本発明のエネルギー線硬化型樹脂組成物を皮膜形成用材料又は絶縁材料として用いる際には、各種塗膜を形成させる。この塗膜を形成させる方法に特に限定はないが、グラビア等の凹版印刷方式、フレキソ等の凸版印刷方式、シルクスクリーン等の孔版印刷方式、オフセット等の平版印刷方式、ロールコーター、ナイフコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スピンコーター等の各種塗工方式においても好適に使用することができる。また、成形方法についても特に限定は無いが、加圧成形方式、射出成形方式、押出成形方式等の各成形方式について好適に使用することが出来る。 本発明においてエネルギー線を照射して得られる硬化物とは前記エネルギー線を本発明のエネルギー線硬化型樹脂組成物に照射して硬化せしめたものである。 以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、実施例中特に断りがない限り、「部」は質量部を示す。 合成例1 ディーンスターク管を取り付けた攪拌容器にペンタエリスリトール20部、アクリル酸53.0部、ジメチロールプロピオン酸19.7部、ハイドロキノン0.265部、硫酸2.65部を仕込み、トルエン中100℃で脱水エステル化反応を行う。反応開始から10時間後に反応液を水洗、1%NaOH水溶液で洗浄し、次いで洗浄水が中性になるまで水洗を行った。水洗後の溶液をロータリーエバポレーターを用いて減圧下に溶媒を留去し、多官能モノマー(A−1)を約83部得た。 このようにして得られた多官能モノマー(A−1)の質量平均分子量は760、粘度は2500mPa・sであった。GPCの測定条件は以下の通りである。機種:TOSOH HLC−8220GPCカラム:TSKGEL Super HZM−N溶離液:THF(テトラヒドロフラン); 0.35ml毎分、温度40℃検出器:示差屈折計分子量標準:ポリスチレンまた、粘度は東機産業製E型粘度計にて、25℃、10〜100rpmの条件で測定した。 多官能モノマー(A−1)とDPHA(日本化薬製ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)、DPHA−40H(ジペンタエリスリトールペンタアクリレートにHDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)が結合したウレタン骨格を持つモノマー)それぞれに光重合開始剤と溶剤としてメチルエチルケトンを加えた組成物を表1の内容で調製した。 表1 組成物A 組成物B 組成物A−1 5gDPHA 5gDPHA−40H 5gメチルエチルケトン 5g 5g 5gIrg.184* 0.25g 0.25g 0.25g注*Irg.184(イルガキュアー184):チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン) 得られた組成物をバーコーター(No.20)を用いて易接着処理ポリエステルフィルム(東洋紡(株)製:A−4300、膜厚188μm)に塗布し、80℃の乾燥炉中に1分間放置後、空気雰囲気下で120W/cmの高圧水銀灯を用い、ランプ高さ10cmの距離から5m/分の搬送速度で紫外線を照射し、硬化皮膜(3〜4μm)を得た。試験例 得られた硬化皮膜につき、下記項目の評価を行い、その結果を表2に示した。(鉛筆硬度) JIS K 5400に従い、鉛筆引っかきを用いて、塗工フィルムの鉛筆硬度を測定した。即ち、測定する硬化皮膜を有するポリエステルフィルム上に、鉛筆を45度の角度で、上から1kgの荷重を掛け5mm程度引っかき、傷の付き具合を確認した。5回測定を行い、傷なしの回数を数える。 評価 5/5:5回中5回とも傷なし 0/5:5回中全て傷発生(カール) 測定する硬化皮膜を有するポリエステルフィルムを5cm×5cmにカットし、80℃の乾燥炉に1時間放置した後、室温まで戻した。水平な台上で浮き上がった4辺それぞれの高さを測定し、平均値を測定値(単位:mm)とした。この時、基材自身のカールは0mmであった。 表2評価結果試験サンプル 鉛筆硬度3H カール 組成物A 4/5 4 組成物B 5/5 8 組成物C 4/5 7 本発明の多官能モノマー(A−1)を用いた組成物Aは組成物B、Cと比較して同等レベルの硬度を持ちながら、カール高さが半分程度であり、硬化収縮が少ないことがわかる。 本発明の多官能モノマー(A)を含む本発明の樹脂組成物は硬化収縮が低く、その硬化物は硬度に優れている。このことから、本発明の樹脂組成物はハードコート、コーティング、保護膜、インキ、絶縁層、接着剤又はフォトレジストインキに好適である。ペンタエリスリトールとジメチロールプロピオン酸及び不飽和モノカルボン酸を1段階でエステル化し得られる多官能モノマー(A)。1当量のペンタエリスリトールに0.3〜3.0モル当量のジメチロールプロピオン酸及び4.3〜7モル当量の不飽和モノカルボン酸を1段階でエステル化し得られる請求項1に記載の多官能モノマー(A)。請求項1又は請求項2に記載の多官能モノマー(A)を含有することを特徴とするエネルギー線硬化型樹脂組成物。更に、光重合開始剤を含有する請求項3に記載のエネルギー線硬化型樹脂組成物。皮膜形成用又は絶縁材料である、請求項3又は請求項4に記載のエネルギー線硬化型樹脂組成物。請求項2〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物にエネルギー線を照射して得られる硬化物。請求項6に記載の硬化物を有する物品。 【課題】本発明は、高感度でありながら低粘度かつ低硬化収縮であることを特徴とする多官能モノマーを提供することにある。【解決手段】本発明者は、ペンタエリスリトールとジメチロールプロピオン酸及び不飽和モノカルボン酸を1段階でエステル化し得られる多官能モノマー(A)を使用することにより、それを含む樹脂組成物は前記課題を解決することを見出した。【選択図】なし