生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_ソフトコンタクトレンズ用眼科組成物
出願番号:2010080401
年次:2011
IPC分類:A61K 31/164,A61K 31/07,A61P 27/04,A61K 47/10,A61K 9/08


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石井 玲子 菅藤 寿裕 奥村 隆 JP 2011213599 公開特許公報(A) 20111027 2010080401 20100331 ソフトコンタクトレンズ用眼科組成物 ライオン株式会社 000006769 石井 玲子 菅藤 寿裕 奥村 隆 A61K 31/164 20060101AFI20110930BHJP A61K 31/07 20060101ALI20110930BHJP A61P 27/04 20060101ALI20110930BHJP A61K 47/10 20060101ALI20110930BHJP A61K 9/08 20060101ALI20110930BHJP JPA61K31/164A61K31/07A61P27/04A61K47/10A61K9/08 2 OL 10 4C076 4C206 4C076AA12 4C076BB24 4C076CC10 4C076CC23 4C076DD07 4C076DD09 4C076DD22Z 4C076DD23 4C076DD38 4C076DD49 4C076EE23 4C076FF11 4C076FF14 4C076FF15 4C076FF16 4C076FF61 4C206AA01 4C206AA02 4C206CA10 4C206GA05 4C206GA25 4C206MA03 4C206MA05 4C206MA37 4C206MA78 4C206NA05 4C206ZA33 本発明は、ソフトコンタクトレンズ装着時の眼の乾燥感を改善する眼科組成物に関する。詳しくは、ビタミンAとパンテノールを含有するソフトコンタクトレンズ用眼科組成物に関するものである。 コンタクトレンズの装着によって、乾き目、疲れ目、かゆみ、充血などの様々なトラブルが眼に生ずる。特にソフトコンタクトレンズの場合は、装用性が良好であるために、長時間の装着が可能であり、眼の乾燥感を訴えることが多い。そこで、脂溶性ビタミンを配合した乾燥感改善用の眼科組成物(特許文献1参照)等が開示されているが、効果が充分ではなかった。 また、従来から角膜の生理機能賦活化を目的としたアミノ酸配合のコンタクトレンズ用点眼剤や、レンズの濡れ性を改善したり、異物感や痒みの解消を目的として清涼化剤を配合したソフトコンタクトレンズ用点眼剤(特許文献2、3参照)等が開示されているが、ソフトコンタクトレンズ装着時に特有の目の乾きや疲れに対しては満足できるものではなかった。特開2001−158734号公報特開平11−130667号公報特開平11−180858号公報 本発明は、ソフトコンタクトレンズ装着時の眼の乾燥感を改善する眼科組成物を提供することを課題とする。 本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、(A)ビタミンA、(B)パンテノール、(C)非イオン界面活性剤及び多価アルコールを含有することにより、ソフトコンタクトレンズ装着時における眼の乾燥感が改善することを知見し、本発明を完成するに至った。 従って本発明は、下記ソフトコンタクトレンズ用眼科組成物を提供する。[1].(A)ビタミンA、(B)パンテノール、(C)非イオン界面活性剤及び多価アルコールを含有し、実質的に防腐剤を含まないソフトコンタクトレンズ用眼科組成物。[2].pHが5.5〜8である、請求項1記載のソフトコンタクトレンズ用眼科組成物。 本発明により、ソフトコンタクトレンズ装着時の眼の乾燥感を改善できるソフトコンタクトレンズ用眼科組成物を提供できる。 本発明で使用されるビタミンAとしては、ビタミンA、レチノールパルミチン酸エステル、酢酸レチノール、ビタミンA油が挙げられる。好ましいものとして、レチノールパルミチン酸エステルが挙げられる。レチノールパルミチン酸エステルは、通常1g中に100万〜180万国際単位(以下I.U.と略記する)を含むものが市販されており、具体的にはDSMニュートリションジャパン(株)製レチノールパルミチン酸エステルがある。 ビタミンAは、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができ、その含有量は、眼科組成物全量に対して、0.001〜0.5w(質量)/v(体積)%(以下、w/v%と表記する)、好ましくは0.002〜0.2w/v%、更に好ましくは0.004〜0.1w/v%である。 本発明で使用されるパンテノ−ル及びその誘導体としては、眼科用に使用することが出来るパンテノ−ル及びその誘導体が含まれる。具体的には、パンテノール、パンテチン、パンテテインパントテニールアルコール、パントテニールエチルエーテルがあげられる。上記中、パンテノール(例えば、富士薬品工業(株)製)が安定性に関して特に好ましい。安定性を損なわない範囲で、パントテン酸を含有することもできる。 パンテノールは、眼科組成物全量に対して、0.001〜10w/v%が好ましい。より好ましくは、0.01〜5w/v%である。 本発明で使用される非イオン界面活性剤は、ビタミンAの可溶化及びソフトコンタクトレンズへの吸着を抑制する成分として配合される。非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン(以下、POEともいう。)ポリオキシプロピレン(以下、POPともいう。)グリコールが挙げられる。具体的には、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、日光ケミカルズ(株)製HCO−40、HCO−50、HCO−60など、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートは、日光ケミカルズ(株)製TO−10、TO−10MVなどが挙げられる。 ポリオキエチレンポリオキシプロピレングリコールは特に限定されるものではなく、医薬品添加物規格(薬添規)に記載されたものを用いることができる。エチレンオキシドの平均重合度は4〜200が好ましく、20〜200がより好ましく、プロピレンオキシドの平均重合度は5〜100が好ましく、20〜70がより好ましく、ブロック共重合体でもランダム重合体でもよい。具体的には、ユニルーブ70DP−950B(日油(株)製)等のポリオキシエチレン(200)ポリオキシプロピレン(70)グリコール、ポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)グリコール(プルロニックF127、別名ポロクサマー407)等、ポリオキシエチレン(120)ポリオキシプロピレン(40)グリコール(プルロニックF−87)、プロノン#188P(日油(株))等のポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール(プルロニックF−68、別名ポロクサマー188)、ポリオキシエチレン(42)ポリオキシプロピレン(67)グリコール(プルロニックP123、別名ポロクサマー403)、プロノン#235P(日油(株))等のポリオキシエチレン(54)ポリオキシプロピレン(39)グリコール(プルロニックP85)、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール(プルロニックL−44)、テトロニック等が挙げられる。中でも、ポリオキシエチレン(200)ポリオキシプロピレン(70)グリコール、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリオキシエチレン(54)ポリオキシプロピレン(39)グリコールが好ましい。 非イオン界面活性剤の組成物中の配合量は、通常、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートは、0.01〜0.5w/v%であり、好ましくは0.05〜0.3w/v%である。 ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールは、0.4〜5.0w/v%であり、0.5〜3w/v%が好ましく、1.0〜2w/v%がより好ましい。 非イオン界面活性剤の組成物中の配合量が少ないと、ビタミンAの可溶化が困難となり、多いとビタミンAの保存安定性が低下する。 本発明で使用される多価アルコールは、ビタミンAのソフトコンタクトレンズへの吸着を抑制する成分として配合される。多価アルコールとしては、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。特に好ましくは、プロピレングリコール、グリセリンである。多価アルコールの組成物中の配合量は、好ましくは0.01〜10w/v%、より好ましくは0.05〜5.0w/v%の範囲である。この範囲であれば、ビタミンAのソフトコンタクトレンズへの吸着を抑制できる。 本発明の眼科組成物は、塩化ベンサルコニウムやソルビン酸などの防腐剤を配合しなくても、二次汚染に耐えうるものであり、前記成分の他、眼科組成物に配合する各種成分を、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。これらの成分としては、緩衝剤、粘稠剤、pH調整剤、等張化剤、安定化剤、清涼化剤、薬物、水等が挙げられる。これらは、それぞれ1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができ、適量を配合することができる。 緩衝剤としては、例えば、ホウ酸又はその塩(ホウ砂等)、クエン酸又はその塩(クエン酸ナトリウム等)、リン酸又はその塩(リン酸一水素ナトリウム等)、酒石酸又はその塩(酒石酸ナトリウム等)、グルコン酸又はその塩(グルコン酸ナトリウム等)、酢酸又はその塩(酢酸ナトリウム等)、各種アミノ酸等 (イプシロン−アミノカプロン酸、アスパラギン酸カリウム、アミノエチルスルホン酸、グルタミン酸、グルタミン酸ナトリウム等)、トロメタモール等が挙げられる。中でも、良好な防腐力を有する点から、トロメタモールが好ましい。さらに、トロメタモールの防腐力を向上させるために、ホウ酸、ホウ砂を併用することが好ましい。緩衝剤の含有量は、眼科組成物中0.001〜10w/v%が好ましく、より好ましくは0.01〜5w/v%である。 粘稠剤としては、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸ナトリウム、ポリアクリル酸、カルボキシビニルポリマー等が挙げられる。粘稠化剤の配合量は、例えば、0.001〜10w/v%、好ましくは0.001〜5w/v%、さらに好ましくは0.01〜3w/v%である。 pH調整剤としては、無機酸又は無機アルカリ剤を使用することが好ましい。例えば、無機酸としては(希)塩酸が挙げられる。無機アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。この中でも、塩酸、水酸化ナトリウムが好ましい。本発明の眼科組成物のpH(20℃)は、4.0〜9.0が好ましく、より好ましくは5.0〜8.0であり、さらに好ましくは5.5〜8.0である。なお、pHの測定は20℃でpH浸透圧計(HOSM−1,東亜ディーケーケー(株))を用いて行う。pH調整剤の配合量は、例えば、0.00001〜10w/v%、好ましくは0.0001〜5w/v%、さらに好ましくは0.001〜3w/v%である。 等張化剤としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム等が挙げられる。等張化剤の配合量は、例えば、0.001〜5重慮%、好ましくは0.01〜3w/v%、さらに好ましくは0.1〜2w/v%である。 安定化剤としては、例えば、エデト酸、エデト酸ナトリウム水和物、シクロデキストリン、亜硫酸塩、ジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。防腐力をさらに向上させるため、エデト酸及び/またはその塩を含有することが好ましい。安定化剤の配合量は、例えば、0.001〜5w/v%、好ましくは0.01〜3w/v%、さらに好ましくは0.1〜2w/v%である。 清涼化剤としては、例えば、メントール、カンフル、ボルネオール、ゲラニオール等が挙げられる。清涼化剤の含有量は、眼科組成物中、化合物の総量として、0.0001〜5w/v%が好ましく、0.001〜2w/v%がより好ましく、0.005〜1w/v%がさらに好ましく、0.007〜0.8w/v%が特に好ましい。 薬物(薬学的有効成分)としては、例えば、他のビタミン類(例えば、塩酸ピリドキシン、酢酸トコフェロール)、充血除去剤(例えば、塩酸ナファゾリン、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸フェニレフリン、エピネフリン、塩酸エフェドリン、dl−塩酸メチルエフェドリン、硝酸テトラヒドロゾリン、硝酸ナファゾリン等)、消炎・収斂剤(例えば、メチル硫酸ネオスチグミン、ε−アミノカプロン酸、アラントイン、塩化ベルベリン、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、塩化リゾチーム、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸アンモニウム、グリチルレチン酸、サリチル酸メチル、トラネキサム酸、アズレンスルホン酸ナトリウム等)、抗ヒスタミン剤(例えば、塩酸イプロヘプチン、塩酸ジフェンヒドラミン、ジフェンヒドラミン、塩酸イソチペンジル、マレイン酸クロルフェニラミン等)、アミノ酸(例えば、L−アスパラギン酸カリウム、L−アスパラギン酸マグネシウム、アミノエチルスルホン酸等)、サルファ剤、殺菌剤(例えば、イオウ、イソプロピルメチルフェノール、ヒノキチオール等)、局所麻酔剤(例えば、リドカイン、塩酸リドカイン、塩酸プロカイン、塩酸ジブカイン等)、抗アレルギー剤(例えば、クロモグリク酸ナトリウム等)を適宜配合することができる。 眼科組成物中のこれらの成分の配合量は製剤の種類、薬物の種類などに応じて適宜選択され、各種成分の配合量は当該技術分野で既知である。例えば、製剤全体に対して0.0001〜30w/v%、好ましくは、0.001〜10w/v%程度の範囲から選択できる。より具体的には、各成分の含有量は、例えば眼科組成物について以下の通りである。 充血除去剤であれば、例えば、0.0001〜0.5w/v%、好ましくは、0.0005〜0.3w/v%、さらに好ましくは0.001〜0.1w/v%である。消炎・収斂剤であれば、例えば、0.0001〜10w/v%、好ましくは0.0001〜5w/v%である。抗ヒスタミン剤であれば、例えば、0.0001〜10w/v%、好ましくは0.001〜5w/v%である。アミノ酸であれば、0.0001〜10w/v%、好ましくは0.001〜3w/v%である。サルファ剤、殺菌剤であれば、例えば、0.00001〜10w/v%、好ましくは、0.0001〜10w/v%である。局所麻酔剤であれば、例えば、0.001〜1w/v%、好ましくは0.01〜1w/v%である。抗アレルギー剤であれば、例えば、0.001〜5w/v%、好ましくは0.01〜3w/v%である。 本発明の眼科組成物の使用形態としては、具体的には、ソフトコンタクトレンズ用点眼剤、ソフトコンタクトレンズ装着液、ソフトコンタクトレンズ取り外し液等が挙げられる。 本発明の眼科組成物は液状であって、その粘度は、点眼剤の場合、1〜50mPa・sが好ましく、1〜20mPa・sがより好ましく、1〜5mPa・sがさらに好ましい。なお、粘度測定は20℃でE型粘度計(VISCONIC ELD−R,東京計器(株))を用いて行う。 <製造方法> 本発明の眼科組成物の調製方法は特に問わないが、例えば、点眼剤の場合は、脂溶性ビタミン類を、まず、非イオン性界面活性剤により滅菌精製水に可溶化し、ついで高分子化合物等の各配合成分を加えてpHを調整することにより得られる。 その後、適当な容器、例えばポリエチレンテレフタレート製の容器等に無菌充填することができる。 以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。[実施例1及び比較例1〜2]<ソフトコンタクトレンズ装着による眼の乾燥感の改善> 表1に示す組成に従って常法により点眼剤を調製した。 ソフトコンタクトレンズを装着している被験者6名について、実施例1の点眼剤、比較例1及び比較例2の点眼剤を点眼し、それぞれついてソフトコンタクトレンズ装着による眼の乾燥感の改善度合いを調べた。得られた結果を以下の評価基準に従って評価した。結果を表2に示す。 (評価基準)5点:乾燥感が改善した4点:乾燥感がやや改善した3点:乾燥感が変わらない2点:乾燥感がややひどくなった1点:乾燥感がひどくなった 表2の結果から、レチノールパルミチン酸エステルを含有した比較例1を点眼した眼は乾燥感が改善されたが、これにパンテノールを配合した実施例1では、さらに乾燥感の改善が認められ、両成分を含まない比較例2を点眼した眼では乾燥感の改善はほとんど変化がなかった。これらのことより、レチノールパルミチン酸エステル及びパンテノールを含有する眼科組成物の点眼により、ソフトコンタクトレンズ装着による眼の乾燥感を改善することが確認された。 <使用原料> 実施例・比較例に使用した原料は下記の通りである。レチノールパルミチン酸エステル(DSMニュートリションジャパン株式会社、日局品)パンテノール(第一ファインケミカル株式会社、局外規品)HCO−60(日本サーファクタント工業株式会社、薬添規品)ポリソルベート80(花王株式会社、日局品)プロピレングリコール(株式会社ADEKA、日局品)[実施例2〜19]表3〜表6に示す組成に従って常法により点眼剤を調製した。 実施例2〜実施例19を点眼した場合も、眼の乾燥感が改善された。(A)ビタミンA、(B)パンテノール、(C)非イオン界面活性剤及び多価アルコールを含有し、実質的に防腐剤を含まないソフトコンタクトレンズ用眼科組成物。pHが5.5〜8である、請求項1記載のソフトコンタクトレンズ用眼科組成物。 【課題】ソフトコンタクトレンズ装着時の眼の乾燥感を改善するソフトコンタクトレンズ用眼科組成物を提供することを課題とする。【解決手段】(A)ビタミンA、(B)パンテノール、(C)非イオン界面活性剤及び多価アルコールを含有することにより、ソフトコンタクトレンズ装着時の眼の乾燥感を改善するソフトコンタクトレンズ用眼科組成物を提供できる。【選択図】なし


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