タイトル: | 公開特許公報(A)_皮脂溶解剤及びこれを含有する皮膚外用剤 |
出願番号: | 2010077577 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | A61K 8/97,A61Q 19/00,A61Q 19/10 |
赤田 美奈 杉原 聡子 JP 2011207819 公開特許公報(A) 20111020 2010077577 20100330 皮脂溶解剤及びこれを含有する皮膚外用剤 株式会社ノエビア 000135324 赤田 美奈 杉原 聡子 A61K 8/97 20060101AFI20110922BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20110922BHJP A61Q 19/10 20060101ALI20110922BHJP JPA61K8/97A61Q19/00A61Q19/10 2 OL 6 4C083 4C083AA121 4C083AA122 4C083AC022 4C083AC102 4C083AC122 4C083AC132 4C083AC172 4C083AC352 4C083AC422 4C083AC532 4C083AD662 4C083BB51 4C083CC02 4C083CC23 4C083DD30 4C083DD41 4C083EE11 本発明は、オレンジ油、ベルガモット油、ローマカミツレ油、ローズマリー油の4種の精油を併用した皮脂溶解剤、及びこれを含有する皮膚外用剤に関する。 近年、乾燥や角栓の詰まりによる毛穴の目立ちに関する悩みは、特に若い女性を中心に増加している。毛穴の目立ちを解決するためには、ファンデーションやコンシーラーなどを用いて皮膚を覆い隠すという手段もあるが、それだけでは根本的な解決とはならず、またその効果も充分であるとは言えない。一方、クレンジング剤やパック剤などを用いた物理的な角栓の除去による解決では、より皮脂溶解作用の高い有効成分を含有する皮膚外用剤の開発が求められていた。 例えば、角栓の除去を目的としたものとしては、粘着成分を含有するパック剤およびシート状パック剤に角栓を吸着させ、粘着剤とともに剥離させる方法(特許文献1、2参照)が開示されているが、これらの方法では皮膚に対する刺激が強いため、肌への負担が大きかった。一方、皮膚に対する刺激の少ない方法としては、油性成分の皮脂溶解性を利用して角栓の除去を行うものとして、常温液状油分にノニオン性界面活性剤や水を配合したメイク落とし(特許文献3参照)や、ラウロイルサルコシンのエステルを利用して角栓の脂質を溶解させ吸引などの処置により除去する方法(特許文献4参照)等がこれまでにも開示されている。特開平5−97627号公報特願平10−178147号公報特開2006−225266号公報特開2005−97147号公報 このように、油性成分の皮脂溶解性を利用した角栓の除去を目的として、様々な油性成分が応用されている。しかし、油性成分の中でも、植物を原料として得られる精油は香りを付与するために用いられることが一般的であり、皮脂溶解性の機能はあまり知られていなかった。ましてや、複数の精油を組み合わせることによって皮脂溶解性が相乗的に向上することは明らかにされていなかった。 本発明者らは、オレンジ油、ベルガモット油、ローマカミツレ油、ローズマリー油の4種の精油を組み合わせて用いることにより、それぞれの精油を単独で使用したときよりも、皮脂溶解性が相乗的に向上することを見出し、さらに検討を重ねて本発明を完成させるに至った。 すなわち、本発明は、オレンジ油、ベルガモット油、ローマカミツレ油、ローズマリー油の4種の精油を併用した皮脂溶解剤、及びこれを含有する皮膚外用剤に関する。 本発明によれば、オレンジ油、ベルガモット油、ローマカミツレ油、ローズマリー油の4種の精油を組み合わせて用いることにより、皮脂溶解性が相乗的に向上した皮脂溶解剤、及びこれを含有する皮膚外用剤を提供することができる。 本発明で用いるオレンジ油は、ミカン科ミカン属植物であるスウィートオレンジ(Citrus sinensis)やビターオレンジ(Citrus aurantium)の果皮を圧搾・抽出して得られる精油である。成分としては、リモネンやシトラールなどを含有しており、特にリモネンが90%以上を占める。 本発明で用いるベルガモット油は、ミカン科ミカン属植物であるベルガモット(Citrus aurantium bergamia)の果実または果皮を圧搾・抽出して得られる精油であり、特に果実から得られるベルガモット果実油が好ましく用いられる。成分としては、l−リナロールやl−酢酸リナリルなどを含有している。 本発明で用いるローマカミツレ油は、キク科ローマカミツレ属植物であるローマカミツレ(Anthemis nobilis)の花から水蒸気蒸留法により得られる精油である。成分としては、アンゲリカ酸エステルやチグリン酸エステルなどを含有している。 本発明で用いるローズマリー油は、シソ科マンネンロウ属植物であるローズマリー(Rosmarinus officinalis)の葉と花から水蒸気蒸留法により得られる精油である。成分としては、シネオールやカンファーなどを含有している。 オレンジ油、ベルガモット油、ローマカミツレ油、ローズマリー油の4種の精油を混合した精油ミックスは、それぞれの精油を単独で用いるときよりもはるかに優れた皮脂溶解作用を有し、皮脂溶解剤及びこれを含有する皮膚外用剤として利用することができる。 オレンジ油、ベルガモット油、ローマカミツレ油、ローズマリー油の4種の精油を混合した精油ミックスを含有する皮脂溶解剤は、それぞれの精油を単独で含有する皮脂溶解剤よりも、はるかに優れた皮脂溶解作用を発揮する。 本発明による皮脂溶解剤は、オレンジ油、ベルガモット油、ローマカミツレ油、ローズマリー油の4種の精油を混合した精油ミックスを有効成分として含む限り、その形態及びその他成分の配合の有無等については、なんら制限されない。形態については、液状、ペースト状、ゲル状、固体状、粉末状等の任意の形態を、その用途等に応じて選択でき、その形態とするために必要なビヒクル(賦形剤)、溶剤、その他の一般的な添加剤(酸化防止剤、着色剤、分散剤等)を任意に含むことができる。 本発明における皮膚外用剤とは、化粧料、医薬部外品、外用医薬品等の、皮膚に外用される全ての外用組成物を意味しており、特に毛穴ケア用皮膚外用剤として有用である。 本発明の毛穴ケア用皮膚外用剤の具体例としては、オイルジェル状毛穴洗浄料、オイルクレンジング、オイル状シートマスクなどが例示できる。 皮膚外用剤には、オレンジ油、ベルガモット油、ローマカミツレ油、ローズマリー油の4種の精油を含有する皮脂溶解剤の他に、その用途と必要に応じて、医薬品、医薬部外品、皮膚化粧料、及び洗浄料等に通常配合される任意の成分、例えば水、油性成分、保湿剤、粉体、色素、乳化剤、可溶化剤、ゲル化剤、洗浄剤、紫外線吸収剤、抗炎症剤、増粘剤、pH調整剤、キレート剤、薬剤(薬効成分)、香料、樹脂、防菌防かび剤、抗酸化剤、アルコール類等を適宜配合することができる。さらに、本発明の効果を損なわない範囲において、他の保湿剤、抗老化剤、抗酸化剤、痩身剤、美白剤、抗炎症剤、免疫賦活剤、あるいはオレンジ油、ベルガモット油、ローマカミツレ油、ローズマリー油の4種の精油を適当な濃度で混合した精油ミックス以外の、精油または/及びその他植物あるいはその抽出物との併用も可能である。 オレンジ油、ベルガモット油、ローマカミツレ油、ローズマリー油の4種の精油を含有する皮脂溶解剤の皮膚外用剤への配合量は、種類や目的等によって調整することができるが、効果や安定性などの点から、全量に対して、固形分換算で、0.0001〜10.0質量%が好ましく、より好ましくは、0.001〜5.0質量%であり、一層好ましくは0.01〜5質量%である。 以下にオレンジ油、ベルガモット油、ローマカミツレ油、ローズマリー油の4種の精油を含有する皮脂溶解剤の調製例、皮脂溶解効果を評価するための試験方法、皮膚外用剤としての処方例についてさらに詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれによってなんら限定されるものではない。 [精油ミックス(皮脂溶解剤)] オレンジ油、ベルガモット油、ローマカミツレ油、ローズマリー油の各精油について、オレンジ油:ベルガモット油:ローマカミツレ油:ローズマリー油=1:1:1:1の割合で混合し、精油ミックスとした。 オレンジ油、ベルガモット油、ローマカミツレ油、ローズマリー油、及び上記精油ミックスを用いて、それぞれの精油について皮脂溶解効果の比較評価を行った。 <人工皮脂を用いた皮脂溶解効果の評価> 精油ミックスおよび4種の精油それぞれの皮脂溶解効果の比較評価を、以下に示す方法により行った。 皮脂の成分組成(見城勝(2004).皮脂測定から見た皮脂組成の季節変動と肌状態・肌質の関係,FRAGRANCE JOURNAL,第32巻3号,31−32参照)をもとに人工皮脂を作成した。作成した人工皮脂に対して0.04質量%となるようにオイルレッドを加え着色した。1.5mLのマイクロチューブに、着色した人工皮脂を20mg測りとり、小型微量遠心機(PMC−060、TOMY社製)マイクロチューブの底に落とした。その上にトリエチルヘキサノイン(TIO)のみ、TIOに4種の精油それぞれまたは精油ミックスを10容量%となるように混合したもの、及び4種の精油それぞれを100μLずつ入れた。2分間放置後、上澄みを回収し、マルチプレートリーダー(パワースキャンHT、DSファーマバイオメディカル社製)を用いて吸光度を測定した。波長はオイルレッドの吸収が見られた520nmで測定を行った。試験はそれぞれ3回行い、平均値を測定値とした。評価には実際の測定値から溶媒の吸光度を差し引いた値を用いた。 各精油の10容量%TIO溶液の結果を表1に、各精油のみの結果を表2に示す。 表1、2より明らかなように、精油ミックスを添加した人工皮脂は、4種の精油をそれぞれ単独で添加した人工皮脂よりもはるかに多く溶解していることが認められることから、優れた皮脂溶解効果を発揮する。 続いて、上記調製方法で得られた精油ミックスを配合した皮膚外用剤の処方例を示す。[実施例1]オイルジェル状毛穴洗浄料(1)精製水 9.5(質量%) (2)グリセリン 7.0(3)ソルビトール 6.3(4)モノオレイン酸ポリグリセリル 11.0(5)トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 64.75(6)d−δ−トコフェロール 0.1(7)精油ミックス 0.05(8)フェノキシエタノール SP 0.5(9)メッキンス M 0.5(10)無変性アルコール 95° 1級 0.3製法:全成分を混合し均一化する。[実施例2]オイルクレンジング(1)スクワラン 5.0(質量%)(2)パルミチン酸2−エチルヘキシル 9.0(3)メドフォーム油 5.0(4)2−エチルヘキサン酸セチル 45.0(5)d−δ−トコフェロール 0.04(6)ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリル 19.72(7)イソステアリン酸PEG−5グリセリル 12.5(8)イソステアリン酸PEG−10グリセリル 1.0(9)精製水 1.0(10)1,3−BG 0.2(11)ジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウム液 0.02(12)ラウリン酸ポリグリセリル−10 1.5(13)精油ミックス 0.02製法:全成分を混合し均一化する。[実施例3]オイル状シートマスク(1)オリーブ油 35.0(質量%)(2)流動パラフィン 49.8(3)パルミチン酸イソプロピル 15.0(4)酢酸トコフェロール 0.1(5)精油ミックス 0.1製法:(1)〜(5)を混合し均一化したものを、不織布に浸潤させる。 実施例1〜実施例3に示した皮膚外用剤は、高い皮脂溶解作用を有する組成物であった。 オレンジ油、ベルガモット油、ローマカミツレ油、ローズマリー油の4種の精油を含有する皮脂溶解剤。 請求項1に記載した皮脂溶解剤を含有してなる皮膚外用剤。 【課題】 皮脂溶解剤及びこれを含有する皮膚外用剤を提供する。【解決手段】 オレンジ油、ベルガモット油、ローマカミツレ油、ローズマリー油の4種の精油を併用した皮脂溶解剤、及びこれを含有する皮膚外用剤【選択図】 なし