生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_イバブラジンおよび薬学的に許容され得る酸とのその付加塩の新たな合成方法
出願番号:2010076767
年次:2010
IPC分類:C07D 223/16,A61P 9/04,C07B 53/00,A61K 31/55,C07B 61/00


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ジャン−ルイ・ペリヨン エメ・デサンジュ ベルナール・セルキズ JP 2010241808 公開特許公報(A) 20101028 2010076767 20100330 イバブラジンおよび薬学的に許容され得る酸とのその付加塩の新たな合成方法 レ ラボラトワール セルヴィエ 500287019 津国 肇 100078662 齋藤 房幸 100116919 ジャン−ルイ・ペリヨン エメ・デサンジュ ベルナール・セルキズ FR 09/01556 20090331 C07D 223/16 20060101AFI20101001BHJP A61P 9/04 20060101ALI20101001BHJP C07B 53/00 20060101ALI20101001BHJP A61K 31/55 20060101ALN20101001BHJP C07B 61/00 20060101ALN20101001BHJP JPC07D223/16 ZA61P9/04C07B53/00 GA61K31/55C07B61/00 300 7 OL 23 4C034 4C086 4H006 4H039 4C034DQ03 4C086AA04 4C086BC32 4C086GA16 4C086ZA36 4H006AA02 4H006AC82 4H039CA71 4H039CF40 本発明は、式(I):で示されるイバブラジンまたは3−{3−[{[(7S)−3,4−ジメトキシビシクロ[4.2,0]オクタ−1,3,5−トリエン−7−イル]メチル}(メチル)アミノ]プロピル}−7,8−ジメトキシ−1,3,4,5−テトラヒドロ−2H−3−ベンゾアゼピン−2−オン、薬学的に許容され得る酸とのその付加塩、およびその水和物の合成方法に関する。 イバブラジン、および薬学的に許容され得る酸とのその付加塩、より詳細にはその塩酸塩は、非常に価値のある薬理学的および治療的特性、特に徐脈特性を有しており、それにより、これらの化合物は、狭心症、心筋梗塞および付随する律動障害のような、心筋虚血の種々の臨床的状況の処置または予防において、そしてまた律動障害、特に上室性律動障害を含む種々の病態において、そして心不全において有用になっている。 イバブラジンおよび薬学的に許容され得る酸とのその付加塩、より詳細にはその塩酸塩の調製および治療的使用は、欧州特許明細書EP 0 534 859に記載されている。この特許明細書は、式(II):で示される化合物から出発し、これを還元反応に付して、式(III):で示される化合物を得、これを式(IV):で示される化合物に変換し、これを分割して、式(V):で示される化合物を得、これを式(VI):で示される化合物と反応させて、式(VII):で示される化合物を得、その接触水素化によってイバブラジンを得、次いで、これをその塩酸塩に変換する、塩酸イバブラジンの合成を記載している。 この合成経路の不利益は、それが0.5%のみのオーダーの収率でイバブラジンを生じることである。 この化合物の薬学的価値を考慮すると、良好な収率でイバブラジンを生じる効果的な合成方法によってそれを得ることができることが重要であった。 本発明は、ラセミ型または光学活性型の、式(VIII):で示される化合物の合成方法であって、ラセミ型または光学活性型の、式(II):で示される化合物を、式(IX):で示される化合物と、遷移金属またはランタニドの塩の存在下、溶媒中で反応させて、ラセミ型または光学活性型の、式(X):で示される化合物を得、これを、水素化物供与剤の作用によって式(VIII)の化合物に変換することを特徴とする方法に関する。 本発明の好ましい実施態様では、式(II)の化合物は光学活性型にあり、より詳細には立体配置(S)のものである。次いで、水素化物供与剤との式(X)の化合物の反応の生成物は、式(VIII)の化合物の特定の場合である式(I):で示されるイバブラジンであり、これを、場合により、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、アスコルビン酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸およびショウノウ酸から選ばれる薬学的に許容され得る酸とのその付加塩に、そしてその水和物に変換してもよい。 本発明の別の好ましい実施態様では、式(II)の化合物は、ラセミ型にある。次いで、式(X)の化合物の水素化物供与剤との反応に、ラセミ型で得られる式(VIII)の化合物の光学分割の工程を続けて、式(I):で示されるイバブラジンを得、これを、場合により、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、アスコルビン酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸およびショウノウ酸から選ばれる薬学的に許容され得る酸とのその付加塩に、そしてその水和物に変換してもよい。 式(II)の化合物と式(IX)の化合物との間の反応を実施するために使用され得る遷移金属またはランタニドの塩の中で、限定するものではないが、塩化銅(I)、臭化銅(I)、ヨウ化銅(I)、トリフルオロメタンスルホン酸イットリウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸ランタン(III)、トリフルオロメタンスルホン酸プラセオジム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸ネオジム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸サマリウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸ユウロピウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸ガドリニウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸テルビウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸ジスプロシウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸ホルミウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸エルビウム(III)およびトリフルオロメタンスルホン酸ルテチウム(III)に言及し得る。 好ましい式(II)の化合物と式(IX)の化合物との間の反応を実施するために使用される遷移金属塩は塩化銅(I)である。 式(II)の化合物と式(IX)の化合物との間の反応を実施するために使用され得る溶媒の中で、限定するものではないが:− アルコール性溶媒、特にメタノール、エタノールおよびイソプロパノール;− ジメチルスルホキシド(DMSO);− N,N−ジメチルホルムアミド(DMF);− N−メチルピロリドン(NMP)に言及し得る。 好ましい式(II)の化合物と式(IX)の化合物との間の反応を実施するために使用される溶媒はメタノールである。 式(X)の化合物の式(VIII)の化合物への変換を実施するために使用され得る水素化物供与剤の中で、限定するものではないが、ナトリウムテトラボロヒドリド、シアノ水素化ホウ素ナトリウムに、そしてまたボラン−モルホリンおよびボラン−ジメチルアミン錯体に言及し得る。 好ましい式(X)の化合物の式(VIII)の化合物への変換を実施するために使用される水素化物供与剤はナトリウムテトラボロヒドリドである。 式(X)の化合物の式(VIII)の化合物への変換を実施するために使用され得る溶媒の中で、限定するものではないが:− アルコール性溶媒、特にメタノール、エタノールおよびイソプロパノール;− N,N−ジメチルホルムアミド(DMF);− N−メチルピロリドン(NMP)に言及得る。 ラセミ型または光学活性型の、式(X)の化合物は、化学または製薬産業における、特にイバブラジン、薬学的に許容され得る酸とのその付加塩およびその水和物の合成における合成中間体として有用な新たな生成物であり、そのようなものとして、それは本発明の不可欠の部分を形成する。 以下の実施例は、本発明を例証する。使用する略語のリストIR:赤外線実施例1:3−{3−[[(3,4−ジメトキシビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエン−7−イル)メチル](メチル)アミノ]プロピル}−7,8−ジメトキシ−1,3,4,5−テトラヒドロ−2H−3−ベンゾアゼピン−2−オン工程1:N−[3−(7,8−ジメトキシ−2−オキソ−1,2,4,5−テトラヒドロ−3H−3−ベンゾアゼピン−3−イル)プロピル]−3,4−ジメトキシ−N−メチルビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエン−7−カルボキシイミダミド 窒素下で、3,4−ジメトキシビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエン−7−カルボニトリル2g(10.6mmol)をメタノール10mLに溶解する。得られた溶液に、塩化銅(I)(純度99%)1.3g(12.7mmol、1.2当量)を加える。次いで、メタノール20mLに溶解した7,8−ジメトキシ−3−[3−(メチルアミノ)プロピル]−1,3,4,5−テトラヒドロ−2H−3−ベンゾアゼピン−2−オン4.6g(15.9mmol、1.5当量)を滴下する。還流での加熱を24時間実施する。銅塩を脱複合体化(decomplex)するために、0℃までの冷却を実施し、濃塩酸をpHが2になるまで加え、そして撹拌を10分間実施する。次いで、20%水酸化ナトリウム水溶液を加えることによって、pHを8にする。水相を、ジクロロメタンで抽出し、MgSO4で乾燥させ、ろ過し、次いで蒸発乾固する。21%の出発アミンと混合して35%の予想された生成物を含有する褐色の油状物6.4gを得る。この油状物を、精製することなしに続く工程において使用する。工程2:3−{3−[[(3,4−ジメトキシビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエン−7−イル)メチル](メチル)アミノ]プロピル}−7,8−ジメトキシ−1,3,4,5−テトラヒドロ−2H−3−ベンゾアゼピン−2−オン 工程1で得られた生成物6.4gを、メタノール65mLに溶解する。次いで、ナトリウムテトラボロヒドリド481mg(12.7mmol、1.2当量)を25℃で加える。周囲温度で一晩、撹拌を実施する。20%水酸化ナトリウム水溶液26mLおよびジクロロメタン100mLを加え、そして激しい撹拌を15分間実施する。有機相を、水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、ろ過し、次いで蒸発乾固する。油状物6.6gを得、これをシリカ300g上のフラッシュクロマトグラフィー(溶離剤=ジクロロメタン/エタノール/NH4OH:90/10/1)によって精製する。標記生成物1.6gを油状物の形態で得、これは周囲温度で結晶化する。収率=33%(2工程にわたる)IR(純粋):ν=1633, 831, 672cm-1。実施例2:3−{3−[{[(7S)−3,4−ジメトキシビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエン−7−イル]メチル}(メチル)アミノ]プロピル}−7,8−ジメトキシ−1,3,4,5−テトラヒドロ−2H−3−ベンゾアゼピン−2−オン塩酸塩 上記実施例で得られたラセミ化合物2.1gを、Chiralpak(登録商標)AD相(粒径20μm)2.1kgを充填した60cm×60mmカラムで分離する。使用する溶離剤は、50mL/分の流速でのエタノール/アセトニトリル/ジエチルアミンの混合物(容量比10/90/0.1)である。付随した紫外検出器を、280nmの波長で使用する。立体配置(R)の鏡像異性体0.95gを白色の泡状物の形態で、次いで立体配置(S)の鏡像異性体0.95gをこれもまた白色の泡状物の形態で得る。 次いで、立体配置(S)の鏡像異性体の塩酸塩を、特許明細書EP 0 534 859に記載された手順(実施例2、工程E)に従うことによって得る。 ラセミ型または光学活性型の、式(VIII):で示される化合物の合成方法であって、ラセミ型または光学活性型の、式(II):で示される化合物を、式(IX):で示される化合物と、遷移金属またはランタニドの塩の存在下、溶媒中で反応させて、ラセミ型または光学活性型の、式(X):で示される化合物を得、これを、水素化物供与剤の作用によって式(VIII)の化合物に変換することを特徴とする方法。 式(II)の化合物が立体配置(S)のものであり、そして水素化物供与剤との式(X)の化合物の反応の生成物が、式(VIII)の化合物の特定の場合である式(I):で示されるイバブラジンであり、これを、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、アスコルビン酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸およびショウノウ酸から選ばれる薬学的に許容され得る酸とのその付加塩に、そしてその水和物に変換してもよいことを特徴とする、請求項1記載の合成方法。 式(II)の化合物がラセミ型にあり、そして式(X)の化合物の水素化物供与剤との反応に、ラセミ型で得られる式(VIII)の化合物の光学分割の工程を続けて、式(I):で示されるイバブラジンを得、これを、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、アスコルビン酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸およびショウノウ酸から選ばれる薬学的に許容され得る酸とのその付加塩に、そしてその水和物に変換してもよいことを特徴とする請求項1記載の合成方法。 式(II)の化合物と式(IX)の化合物との間の反応を実施するために使用される遷移金属またはランタニドの塩が、塩化銅(I)、臭化銅(I)、ヨウ化銅(I)、トリフルオロメタンスルホン酸イットリウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸ランタン(III)、トリフルオロメタンスルホン酸プラセオジム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸ネオジム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸サマリウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸ユウロピウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸ガドリニウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸テルビウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸ジスプロシウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸ホルミウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸エルビウム(III)およびトリフルオロメタンスルホン酸ルテチウム(III)から選ばれることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項記載の合成方法。 式(II)の化合物と式(IX)の化合物との間の反応を実施するために使用される溶媒が、アルコール性溶媒、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミドおよびN−メチルピロリドンから選ばれることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項記載の合成方法。 式(X)の化合物の式(VIII)の化合物への変換を実施するために使用される水素化物供与剤が、ナトリウムテトラボロヒドリド、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、ボラン−モルホリン錯体およびボラン−ジメチルアミン錯体から選ばれることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項記載の合成方法。 ラセミ型または光学活性型の、式(X):で示される化合物。 【課題】イバブラジンの新規合成法の提供。【解決手段】式(I):で示されるイバブラジン、および薬学的に許容され得る酸とのその付加塩の合成方法。ラセミ型または光学活性型の構造部分を遷移金属またはランタニドの塩の存在下、溶媒中で反応させてこれを水素化物供与剤の作用によって式(I)の化合物に変換する。【選択図】なし1. Title of the Invention2. Detailed Description of the Invention1. Claims1. Abstract2. Representative Drawing None


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特許公報(B2)_イバブラジンおよび薬学的に許容され得る酸とのその付加塩の新たな合成方法

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タイトル:特許公報(B2)_イバブラジンおよび薬学的に許容され得る酸とのその付加塩の新たな合成方法
出願番号:2010076767
年次:2012
IPC分類:C07D 223/16,A61K 31/55,A61P 9/00,C07B 53/00,C07B 57/00,C07B 61/00


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ジャン−ルイ・ペリヨン エメ・デサンジュ ベルナール・セルキズ JP 5107381 特許公報(B2) 20121012 2010076767 20100330 イバブラジンおよび薬学的に許容され得る酸とのその付加塩の新たな合成方法 レ ラボラトワール セルヴィエ 500287019 津国 肇 100078662 齋藤 房幸 100116919 ジャン−ルイ・ペリヨン エメ・デサンジュ ベルナール・セルキズ FR 09/01556 20090331 20121226 C07D 223/16 20060101AFI20121206BHJP A61K 31/55 20060101ALN20121206BHJP A61P 9/00 20060101ALN20121206BHJP C07B 53/00 20060101ALN20121206BHJP C07B 57/00 20060101ALN20121206BHJP C07B 61/00 20060101ALN20121206BHJP JPC07D223/16 ZA61K31/55A61P9/00C07B53/00 GC07B57/00 370C07B61/00 300 C07D 223/00 A61K 31/00 A61P 9/00 C07B 53/00 − 61/00 CAPLUS/REGISTRY(STN) 特開2005−298480(JP,A) 特開2005−330263(JP,A) 特開平5−213890(JP,A) 7 2010241808 20101028 10 20100521 中西 聡 本発明は、式(I):で示されるイバブラジンまたは3−{3−[{[(7S)−3,4−ジメトキシビシクロ[4.2,0]オクタ−1,3,5−トリエン−7−イル]メチル}(メチル)アミノ]プロピル}−7,8−ジメトキシ−1,3,4,5−テトラヒドロ−2H−3−ベンゾアゼピン−2−オン、薬学的に許容され得る酸とのその付加塩、およびその水和物の合成方法に関する。 イバブラジン、および薬学的に許容され得る酸とのその付加塩、より詳細にはその塩酸塩は、非常に価値のある薬理学的および治療的特性、特に徐脈特性を有しており、それにより、これらの化合物は、狭心症、心筋梗塞および付随する律動障害のような、心筋虚血の種々の臨床的状況の処置または予防において、そしてまた律動障害、特に上室性律動障害を含む種々の病態において、そして心不全において有用になっている。 イバブラジンおよび薬学的に許容され得る酸とのその付加塩、より詳細にはその塩酸塩の調製および治療的使用は、欧州特許明細書EP 0 534 859に記載されている。この特許明細書は、式(II):で示される化合物から出発し、これを還元反応に付して、式(III):で示される化合物を得、これを式(IV):で示される化合物に変換し、これを分割して、式(V):で示される化合物を得、これを式(VI):で示される化合物と反応させて、式(VII):で示される化合物を得、その接触水素化によってイバブラジンを得、次いで、これをその塩酸塩に変換する、塩酸イバブラジンの合成を記載している。 この合成経路の不利益は、それが0.5%のみのオーダーの収率でイバブラジンを生じることである。 この化合物の薬学的価値を考慮すると、良好な収率でイバブラジンを生じる効果的な合成方法によってそれを得ることができることが重要であった。 本発明は、ラセミ型または光学活性型の、式(VIII):で示される化合物の合成方法であって、ラセミ型または光学活性型の、式(II):で示される化合物を、式(IX):で示される化合物と、遷移金属またはランタニドの塩の存在下、溶媒中で反応させて、ラセミ型または光学活性型の、式(X):で示される化合物を得、これを、水素化物供与剤の作用によって式(VIII)の化合物に変換することを特徴とする方法に関する。 本発明の好ましい実施態様では、式(II)の化合物は光学活性型にあり、より詳細には立体配置(S)のものである。次いで、水素化物供与剤との式(X)の化合物の反応の生成物は、式(VIII)の化合物の特定の場合である式(I):で示されるイバブラジンであり、これを、場合により、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、アスコルビン酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸およびショウノウ酸から選ばれる薬学的に許容され得る酸とのその付加塩に、そしてその水和物に変換してもよい。 本発明の別の好ましい実施態様では、式(II)の化合物は、ラセミ型にある。次いで、式(X)の化合物の水素化物供与剤との反応に、ラセミ型で得られる式(VIII)の化合物の光学分割の工程を続けて、式(I):で示されるイバブラジンを得、これを、場合により、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、アスコルビン酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸およびショウノウ酸から選ばれる薬学的に許容され得る酸とのその付加塩に、そしてその水和物に変換してもよい。 式(II)の化合物と式(IX)の化合物との間の反応を実施するために使用され得る遷移金属またはランタニドの塩の中で、限定するものではないが、塩化銅(I)、臭化銅(I)、ヨウ化銅(I)、トリフルオロメタンスルホン酸イットリウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸ランタン(III)、トリフルオロメタンスルホン酸プラセオジム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸ネオジム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸サマリウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸ユウロピウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸ガドリニウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸テルビウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸ジスプロシウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸ホルミウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸エルビウム(III)およびトリフルオロメタンスルホン酸ルテチウム(III)に言及し得る。 好ましい式(II)の化合物と式(IX)の化合物との間の反応を実施するために使用される遷移金属塩は塩化銅(I)である。 式(II)の化合物と式(IX)の化合物との間の反応を実施するために使用され得る溶媒の中で、限定するものではないが:− アルコール性溶媒、特にメタノール、エタノールおよびイソプロパノール;− ジメチルスルホキシド(DMSO);− N,N−ジメチルホルムアミド(DMF);− N−メチルピロリドン(NMP)に言及し得る。 好ましい式(II)の化合物と式(IX)の化合物との間の反応を実施するために使用される溶媒はメタノールである。 式(X)の化合物の式(VIII)の化合物への変換を実施するために使用され得る水素化物供与剤の中で、限定するものではないが、ナトリウムテトラボロヒドリド、シアノ水素化ホウ素ナトリウムに、そしてまたボラン−モルホリンおよびボラン−ジメチルアミン錯体に言及し得る。 好ましい式(X)の化合物の式(VIII)の化合物への変換を実施するために使用される水素化物供与剤はナトリウムテトラボロヒドリドである。 式(X)の化合物の式(VIII)の化合物への変換を実施するために使用され得る溶媒の中で、限定するものではないが:− アルコール性溶媒、特にメタノール、エタノールおよびイソプロパノール;− N,N−ジメチルホルムアミド(DMF);− N−メチルピロリドン(NMP)に言及得る。 ラセミ型または光学活性型の、式(X)の化合物は、化学または製薬産業における、特にイバブラジン、薬学的に許容され得る酸とのその付加塩およびその水和物の合成における合成中間体として有用な新たな生成物であり、そのようなものとして、それは本発明の不可欠の部分を形成する。 以下の実施例は、本発明を例証する。使用する略語のリストIR:赤外線実施例1:3−{3−[[(3,4−ジメトキシビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエン−7−イル)メチル](メチル)アミノ]プロピル}−7,8−ジメトキシ−1,3,4,5−テトラヒドロ−2H−3−ベンゾアゼピン−2−オン工程1:N−[3−(7,8−ジメトキシ−2−オキソ−1,2,4,5−テトラヒドロ−3H−3−ベンゾアゼピン−3−イル)プロピル]−3,4−ジメトキシ−N−メチルビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエン−7−カルボキシイミダミド 窒素下で、3,4−ジメトキシビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエン−7−カルボニトリル2g(10.6mmol)をメタノール10mLに溶解する。得られた溶液に、塩化銅(I)(純度99%)1.3g(12.7mmol、1.2当量)を加える。次いで、メタノール20mLに溶解した7,8−ジメトキシ−3−[3−(メチルアミノ)プロピル]−1,3,4,5−テトラヒドロ−2H−3−ベンゾアゼピン−2−オン4.6g(15.9mmol、1.5当量)を滴下する。還流での加熱を24時間実施する。銅塩を脱複合体化(decomplex)するために、0℃までの冷却を実施し、濃塩酸をpHが2になるまで加え、そして撹拌を10分間実施する。次いで、20%水酸化ナトリウム水溶液を加えることによって、pHを8にする。水相を、ジクロロメタンで抽出し、MgSO4で乾燥させ、ろ過し、次いで蒸発乾固する。21%の出発アミンと混合して35%の予想された生成物を含有する褐色の油状物6.4gを得る。この油状物を、精製することなしに続く工程において使用する。工程2:3−{3−[[(3,4−ジメトキシビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエン−7−イル)メチル](メチル)アミノ]プロピル}−7,8−ジメトキシ−1,3,4,5−テトラヒドロ−2H−3−ベンゾアゼピン−2−オン 工程1で得られた生成物6.4gを、メタノール65mLに溶解する。次いで、ナトリウムテトラボロヒドリド481mg(12.7mmol、1.2当量)を25℃で加える。周囲温度で一晩、撹拌を実施する。20%水酸化ナトリウム水溶液26mLおよびジクロロメタン100mLを加え、そして激しい撹拌を15分間実施する。有機相を、水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、ろ過し、次いで蒸発乾固する。油状物6.6gを得、これをシリカ300g上のフラッシュクロマトグラフィー(溶離剤=ジクロロメタン/エタノール/NH4OH:90/10/1)によって精製する。標記生成物1.6gを油状物の形態で得、これは周囲温度で結晶化する。収率=33%(2工程にわたる)IR(純粋):ν=1633, 831, 672cm-1。実施例2:3−{3−[{[(7S)−3,4−ジメトキシビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエン−7−イル]メチル}(メチル)アミノ]プロピル}−7,8−ジメトキシ−1,3,4,5−テトラヒドロ−2H−3−ベンゾアゼピン−2−オン塩酸塩 上記実施例で得られたラセミ化合物2.1gを、Chiralpak(登録商標)AD相(粒径20μm)2.1kgを充填した60cm×60mmカラムで分離する。使用する溶離剤は、50mL/分の流速でのエタノール/アセトニトリル/ジエチルアミンの混合物(容量比10/90/0.1)である。付随した紫外検出器を、280nmの波長で使用する。立体配置(R)の鏡像異性体0.95gを白色の泡状物の形態で、次いで立体配置(S)の鏡像異性体0.95gをこれもまた白色の泡状物の形態で得る。 次いで、立体配置(S)の鏡像異性体の塩酸塩を、特許明細書EP 0 534 859に記載された手順(実施例2、工程E)に従うことによって得る。 ラセミ型または光学活性型の、式(VIII):で示される化合物の合成方法であって、ラセミ型または光学活性型の、式(II):で示される化合物を、式(IX):で示される化合物と、遷移金属またはランタニドの塩の存在下、溶媒中で反応させて、ラセミ型または光学活性型の、式(X):で示される化合物を得、これを、水素化物供与剤の作用によって式(VIII)の化合物に変換することを特徴とする方法。 式(II)の化合物が立体配置(S)のものであり、そして水素化物供与剤との式(X)の化合物の反応の生成物が、式(VIII)の化合物の特定の場合である式(I):で示されるイバブラジンであり、これを、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、アスコルビン酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸およびショウノウ酸から選ばれる薬学的に許容され得る酸とのその付加塩に、そしてその水和物に変換してもよいことを特徴とする、請求項1記載の合成方法。 式(II)の化合物がラセミ型にあり、そして式(X)の化合物の水素化物供与剤との反応に、ラセミ型で得られる式(VIII)の化合物の光学分割の工程を続けて、式(I):で示されるイバブラジンを得、これを、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、アスコルビン酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸およびショウノウ酸から選ばれる薬学的に許容され得る酸とのその付加塩に、そしてその水和物に変換してもよいことを特徴とする請求項1記載の合成方法。 式(II)の化合物と式(IX)の化合物との間の反応を実施するために使用される遷移金属またはランタニドの塩が、塩化銅(I)、臭化銅(I)、ヨウ化銅(I)、トリフルオロメタンスルホン酸イットリウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸ランタン(III)、トリフルオロメタンスルホン酸プラセオジム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸ネオジム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸サマリウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸ユウロピウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸ガドリニウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸テルビウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸ジスプロシウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸ホルミウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸エルビウム(III)およびトリフルオロメタンスルホン酸ルテチウム(III)から選ばれることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項記載の合成方法。 式(II)の化合物と式(IX)の化合物との間の反応を実施するために使用される溶媒が、アルコール性溶媒、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミドおよびN−メチルピロリドンから選ばれることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項記載の合成方法。 式(X)の化合物の式(VIII)の化合物への変換を実施するために使用される水素化物供与剤が、ナトリウムテトラボロヒドリド、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、ボラン−モルホリン錯体およびボラン−ジメチルアミン錯体から選ばれることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項記載の合成方法。 ラセミ型または光学活性型の、式(X):で示される化合物。


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