タイトル: | 再公表特許(A1)_組換えヒト骨形成タンパク質−2凍結乾燥製剤 |
出願番号: | 2010064967 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | A61L 27/00,A61K 38/00,A61K 9/19,A61K 47/12,A61K 47/20,A61P 19/00,A61K 47/04,C12N 15/09 |
長屋 昌宏 洲鎌 和茂 ジーバルト ウォルター JP WO2012029148 20120308 JP2010064967 20100901 組換えヒト骨形成タンパク質−2凍結乾燥製剤 株式会社オステオファーマ 506354630 高島 一 100080791 土井 京子 100125070 鎌田 光宜 100136629 田村 弥栄子 100121212 山本 健二 100122688 村田 美由紀 100117743 小池 順造 100163658 當麻 博文 100174296 長屋 昌宏 洲鎌 和茂 ジーバルト ウォルター A61L 27/00 20060101AFI20131001BHJP A61K 38/00 20060101ALI20131001BHJP A61K 9/19 20060101ALI20131001BHJP A61K 47/12 20060101ALI20131001BHJP A61K 47/20 20060101ALI20131001BHJP A61P 19/00 20060101ALI20131001BHJP A61K 47/04 20060101ALI20131001BHJP C12N 15/09 20060101ALN20131001BHJP JPA61L27/00 GA61K37/02A61K9/19A61K47/12A61K47/20A61P19/00A61K47/04C12N15/00 A AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW 再公表特許(A1) 20131028 2012531619 21 4B024 4C076 4C081 4C084 4B024AA01 4B024BA80 4B024CA01 4B024CA09 4B024CA11 4B024CA20 4B024DA03 4B024DA06 4B024DA07 4B024DA09 4B024EA04 4B024GA11 4B024HA01 4B024HA11 4C076AA29 4C076BB32 4C076BB40 4C076CC09 4C076DD41 4C076DD43 4C076DD57 4C076FF33 4C076GG07 4C076GG47 4C081AB04 4C081BC04 4C081CD28 4C081CE11 4C081DA16 4C084AA03 4C084BA01 4C084CA53 4C084DB60 4C084MA05 4C084MA44 4C084NA02 4C084ZA96 本発明は、改善された保存安定性を有するヒト骨形成タンパク質−2変異体凍結乾燥製剤に関する。詳細には、N末端にアラニン残基が付加されたヒト骨形成タンパク質−2の凍結乾燥製剤に関する。 骨形成タンパク質−2(Bone Morphogenetic Protein−2;以下「BMP−2」と記載)は、トランスフォーミング増殖因子β(TGF−β)スーパーファミリーに属するタンパク質であり、骨の形成、器官の形成(歯、心臓、目、軟骨などの形成)などの重要な生物学的役割を担っている。BMPにはいくつかのメンバーが知られており、いずれのメンバーも、3個のジスルフィド結合(「システインノット」と呼ばれる)と1個の分子間ジスルフィド結合を形成する、高度に保存されたシステイン残基をもつ。BMP−2は、1分子あたり1個のシステインノット、1個のα−ヘリックス、少なくとも4個のβ−シートで構成され、これによってモノマーはダイマーを形成することができる。すなわちBMP−2は、活性型として単一のBMP−2からなるホモダイマーの形態をとる。 BMP−2は、哺乳動物細胞内で糖鎖修飾を受けた不活性型ホモダイマーの前駆体BMP−2タンパク質として合成され、細胞外に分泌されてからプロテアーゼによってプロセシングされて活性型ホモダイマーの成熟タンパク質となる。この活性型ホモダイマーBMP−2タンパク質は、BMPのI型又はII型受容体のリガンドとして該受容体に結合し、これによって細胞内にBMP−2のシグナルが伝達される。 BMP−2を製造するためには、一般的な遺伝子組換え技術が使用される。ベクターを介してBMP−2をコードするDNAを原核又は真核生物細胞に導入し、該細胞中で該DNAを発現、翻訳して組換えBMP−2を得ることができる(特許文献1、2および3、ならびに非特許文献l)。前述したように、BMP−2は、活性型となるために、ダイマー構造を形成する必要があるが、このとき正しいジスルフィド結合の形成とともに正しい立体配置にフォールディングされねばならない(特許文献4)。 組換えBMP−2を、原核生物細胞を使用して製造した場合、真核生物細胞を使用するときと異なり、生成される組換えタンパク質は糖鎖をもたない。BMPメンバーの多くはたとえ糖鎖がなくても生物活性を保持することが知られているが、BMP−2は比較的疎水性の高いタンパク質であることから、糖鎖のない組換えBMP−2は凝集を起こし易く、また、弱酸性域から中性域の水に対する溶解性が悪いという欠点をもつ。また前述したように、BMP−2が活性をもつためには、正しくフォールディングされたダイマーを形成しなければならないので、原核生物細胞を使用して組換えBMP−2を製造する場合、BMP−2を製造する工程および医薬品に製剤化する工程において、BMP−2をいかに安定化するかが課題となっている。 大腸菌で発現される遺伝子組換えタンパク質はN末端の読み始めのアミノ酸残基をMetにしなければならないが、このMetは切れたり切れなかったりするため、組換えBMP−2のN末端配列をMet−Alaにすること(非特許文献1)で完全にN末端のMetが切断されてN末端が均一にAlaで始まる遺伝子組換えBMP−2を得ることができる。このAla−BMP−2はBMP−2と同様にホモダイマーを形成し、受容体結合活性やin vitroでの標的細胞へのALP誘導活性、in vivoでの骨誘導活性を有する。 このような、「N末端にアラニン残基が付加された、活性型ヒト骨形成タンパク質−2ホモダイマー」は、N末端の構造が均一なため、医薬品用有効成分として工業生産した場合に品質管理上のメリットがある。 ところで、原核生物細胞を使用して、上記「N末端にアラニン残基が付加された、活性型ヒト骨形成タンパク質−2ホモダイマー」を製造したこと、ならびにその蒸留水中における凍結乾燥品については、非特許文献1に記載されている。しかしながら当該凍結乾燥品の水や生理食塩水への溶解性は悪く、医薬品製剤として満足できるものではなかった。国際公開WO2002/013,840号パンフレット国際公開WO2006/125,868号パンフレット国際公開WOl999/18,196号パンフレット欧州特許第433,225号R・Ruppertetal.,Eur,JBiochem、237:295−302(1996) 上記背景技術の欄で述べたように、原核生物細胞で産生された組換えヒトBMP−2は、凝集し易くかつ中性領域のpHの水又は緩衝水溶液に対する溶解性が非常に低いという欠点があり、これがBMP−2製剤の実用化のための1つの障害になっている。その反面、そのような組換えBMP−2は糖鎖を含まないために、培養自体が容易であるとともに増殖能に優れた原核生物細胞を使用することによって大量に製造できるという利点がある。また、異種真核生物細胞で作られた組換えヒトBMP−2の場合にみられるようなヒト型糖鎖と異なる炭水化物が、人体に及ぼすネガティブな影響を考慮する必要がないという利点もある。しかし、糖鎖を含まない組換えヒトBMP−2には、凝集性や溶解性の課題に加えて、貯蔵時の活性低下および沈殿形成を含めた貯蔵安定性や、生体内で骨の再生や修復というBMP−2の持続的効能に関して解決すべき課題が多く存在している。 従って本発明は、上記課題のなかで特に組換えBMP−2の凝集性、溶解性および貯蔵安定性の課題が解決されたBMP−2製剤の提供を主な目的とする。本発明はまた、当該BMP−2製剤の製造方法および当該BMP−2製剤を含む骨の再生又は治療用キットを提供することを目的とする。 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、N末端にアラニン残基が付加された活性型ヒト骨形成タンパク質−2ホモダイマー(以下、「Ala−BMP−2」と記載する)を強酸溶液に溶解し、凍結乾燥製剤として調製することにより、優れた再溶解性および保存安定性が達成されることを見出した。本発明者らは、このような知見に基づいてさらに研究を重ねた結果、前記凍結乾燥製剤が純水に対する溶解性に優れていることを確認し、本発明を完成した。 すなわち本発明は以下の通りである。[1]Ala−BMP−2と強酸とを含有する溶液を凍結乾燥してなる、凍結乾燥製剤;[2]強酸が、塩酸、クエン酸、トリフルオロ酢酸およびメシル酸からなる群から選択される少なくとも一種である、[1]に記載の凍結乾燥製剤;[3]25℃における強酸のpHが0.2〜5.1である、[1]または[2]に記載の凍結乾燥製剤;[4]以下の工程:(1)原核生物でAla−BMP−2を産生する工程;(2)(1)で得られたAla−BMP−2を強酸溶液に溶解させる工程;および(3)(2)で得られた強酸溶解液を凍結乾燥する工程;を含む、Ala−BMP−2を含有する凍結乾燥製剤の製造方法;[5]強酸が、塩酸、クエン酸、トリフルオロ酢酸およびメシル酸からなる群から選択される少なくとも一種である、[4]に記載の方法;[6]以下の工程:(1’)Ala−BMP−2を強酸溶液に溶解させる工程;および(2’)(1’)で得られた強酸溶解液を凍結乾燥する工程;を含む、Ala−BMP−2の溶解性を向上させる方法;[7]強酸が、塩酸、クエン酸、トリフルオロ酢酸およびメシル酸からなる群から選択される少なくとも一種である、[6]に記載の方法;[8]Ala−BMP−2と強酸とを含有する溶液を凍結乾燥してなる凍結乾燥製剤、およびリン酸カルシウム系骨補填材をそれぞれ別個の容器に含んでなる、骨再生または骨治療用キット。 本発明により、Ala−BMP−2の凝集性、溶解性および保存安定性の課題が同時に解決される。これによって、Ala−BMP−2が骨の再生および治療のために使用可能になる。 従来BMP−2は、pH4付近で溶解しやすいことがよく知られており、純水で透析されたBMP−2の凍結乾燥製剤は酸性溶液を用いれば容易に溶解する。しかしながら、このような凍結乾燥製剤は純水に対しては溶解しにくく、生理食塩水には溶解しない。したがって、実際の医療現場での使用を考慮するとこれらの溶媒に対する溶解性に優れているBMP−2製剤が不可欠であった。 本発明の凍結乾燥製剤は、純水への溶解性(再溶解性)が極めて良好であり、このことからBMP−2の手術中における用事調製が必要とされる場合にも、迅速に注射用水等に溶解してBMP−2製剤を製造することができる。また、得られた再溶解液は粘度が低く、作業性にも優れたものである。 さらに、本発明の凍結乾燥製剤は、医療現場で通常使用されている溶媒(注射用水等)に容易に溶解させることが可能であるため、生体にとって安全性の高い特定の溶媒を用意する必要がなく、利便性やコスト面においても優れたものである。 以下、本発明について説明する。(I)骨形成タンパク質−2 「BMP−2」は、BMPファミリー又はGDFファミリーに属し、BMP−2のI型およびII型受容体への結合活性を有し、かつ骨形成を誘導する能力、或いは骨の再生および修復能力を有する(これらをまとめて、以下「BMP−2活性」と記載する)。 本発明におけるBMP−2の動物種としては特に限定されないが、好ましくはヒトである。 本発明の「Ala−BMP−2」は、N末端にアラニン残基が付加された活性型ヒトBMP−2ホモダイマーである。 Ala−BMP−2は、上記背景技術の欄で述べたように、BMP−2と同様に、システインノットと呼ばれる3個のジスルフィド結合と、1個の分子間ジスルフィド結合とを形成する、高度に保存されたシステイン残基をもつ。Ala−BMP−2は、1分子あたり1個のシステインノット、1個のα−ヘリックス、少なくとも4個のβ−シートで構成され、これによってモノマーはダイマーを形成することができる。Ala−BMP−2はBMP−2と同様にホモダイマーを形成し、活性型となる。 前述のとおり、BMP−2は哺乳動物細胞内では糖鎖修飾を受けた不活性型ホモダイマーの前駆体BMP−2として合成されたのち、細胞外に分泌されてからプロテアーゼによってプロセシングされて活性型ホモダイマーの成熟タンパク質となる。 ヒトBMP−2のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は、GenBank(NCBI、米国)に登録されており、登録番号(AccessionNumber)はNM_001200である。 特に本発明のAla−BMP−2は、ヒトBMP−2ホモダイマーのアミノ酸配列のN末端にそれぞれアラニン残基が付加された、糖鎖が付加されていないタンパク質である。各モノマー(成熟型ヒトBMP−2)の配列は、配列番号1の第2残基から第115残基の114残基分に相当する。 本発明のBMP−2としては、上記の構造を持つ限りその製法は特に限定されないが、例えば、Ala−BMP−2を製造する場合は、N末端にメチオニン残基を付加したMet−Ala−BMP−2をコードする遺伝子(配列番号2)を、原核生物で発現することにより製造することができる。なお発明者らは、この方法で製造した組換えAla−BMP−2は、N末端アミノ酸配列が全てAlaであることを確認している。 本発明のBMP−2は、ベクターを介する遺伝子組換え技術を用いて作製することができる。例えばAla−BMP−2を製造する場合は、ベクターには、例えばMet−Ala−BMP−2をコードするDNAやAla−BMP−2をコードするDNAに、分泌シグナル配列を付加したDNAの他に、制御配列、選択マーカー配列などを含ませることができる。 制御配列には、例えば、プロモーター、エンハンサー、ターミネーター、複製開始点、シャイン−ダルガルノ(SD)配列などが含まれる。プロモーターの例としては、ファージ由来のT3プロモーター、T5プロモーター、T7プロモーター、SP6プロモーター、PLプロモーター、PRプロモーターなど、細菌由来の1acプロモーター、trpプロモーター、アルカリプロテアーゼプロモーター、α−アミラーゼプロモーターなどが挙げられる。また、選択マーカーには、例えば薬剤耐性遺伝子(アンピシリン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子等)などが含まれる。 上記ベクターとしては、例えばプラスミド、ファージなどが挙げられ、より具体的にはpBR系、pUC系、pBluescript、バクテリオファージなどである。 本発明のBMP−2を生産するための宿主細胞は、好ましくは、原核生物細胞であり、これには例えば大腸菌、枯草菌、シュードモナス属細菌などの細菌、好ましくは大腸菌が含まれる。 原核生物細胞の培養は、大腸菌、枯草菌、シュードモナス属細菌などの公知の培養条件で行うことができる。炭素源、窒素源、微量元素などを含む最適pHの液体培地中、細胞に適した培養温度および培養時間にて培養を行う。炭素源には、例えばデンプン、ふすま、グルコース、ラクトース、スクロースなどが含まれる。また、窒素源には、例えば酵母エキス、ペプトン、魚肉エキス、尿素、アンモニウム塩、アミノ酸類などが含まれる。無機塩および微量元素には、例えば鉄イオン、銅イオン、亜鉛イオン、マグネシウムイオン、カリウムイオン、ナトリウムイオン、マンガンイオン、カルシウムイオンなどの金属イオンなどが含まれる。培養温度は、通常、20〜40℃の範囲内である。 本発明のBMP−2は、形質転換した宿主細胞を破壊し抽出した液から回収することができる。組換えタンパク質が細胞外に分泌可能に遺伝子操作した場合には、培地から目的のタンパク質を回収することもできる。次いで回収したタンパク質をリフォールディングし精製処理にかける。精製は、ヘパリン親和性クロマトグラフィーなどのアフィニティクロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、HPLC、塩析、透析、限外ろ過、電気泳動、等電点電気泳動などを用いて行うことができる。これによりBMP−2を得ることができる。またAla−BMP−2を回収する場合の一つの例として、非特許文献1に記載のAla−BMP−2回収方法を参照することもできる。(II)BMP−2凍結乾燥製剤 本発明の凍結乾燥製剤は、活性型BMP−2のN末端にアラニン残基が付加されたタンパク質と強酸とを含有する溶液を凍結乾燥してなる、安定性に優れたBMP−2凍結乾燥製剤である。 なかでも、本発明の凍結乾燥製剤として好ましくは、Ala−BMP−2と強酸とを含有する溶液を凍結乾燥することで、強酸によって安定化されたAla−BMP−2を有効成分として含む、安定性に優れたBMP−2凍結乾燥製剤である。以下、本発明の好適例である「Ala−BMP−2凍結乾燥製剤」について記載する。 本発明のAla−BMP−2凍結乾燥製剤の製造に際しては、第一に、上述のように原核生物によりAla−BMP−2を産生しこれを回収する。当該「(1)原核生物でAla−BMP−2を産生する工程、およびAla−BMP−2の回収方法」は、前記のとおりである。 第二に、回収したAla−BMP−2を直接強酸溶液に溶解するか、回収したAla−BMP−2を強酸溶液に対して限外濾過または透析する、あるいは回収したAla−BMP−2をゲルろ過操作するなどして、Ala−BMP−2の強酸溶液を調製する。この「(2)Ala−BMP−2産生工程(1)で得られたAla−BMP−2を強酸溶液に溶解させる工程」について、以下詳述する。 強酸溶液としては、塩酸水溶液、トリフルオロ酢酸(TFA)水溶液、メシル酸水溶液、リン酸水溶液、硫酸水溶液、クエン酸水溶液等の強酸水溶液が挙げられ、好ましくは揮発性が高く、かつその強酸塩の吸湿性が低いような強酸水溶液であり、より好ましくは塩酸水溶液、クエン酸水溶液、トリフルオロ酢酸水溶液、メシル酸水溶液であり、最も好ましくは塩酸水溶液である。 強酸溶液のpHは測定環境(例えば装置、水、温度など)によって幾分変動はあるが、25℃で測定したとき、約0.2以上約5.1以下、好ましくは0.2以上4.6以下であり、より好ましくは、3.7以上4.6以下である。pHが0.2よりも低い(つまり、酸性域側)と、後の凍結乾燥操作によって得られる凍結乾燥体を再溶解した場合にpHが低すぎて取扱いが不便になる恐れがあり、またAla−BMP−2の溶解度が低下する場合や、Ala−BMP−2自体が分解してしまう場合がある。一方でpHが5.1よりも高い(つまり、中性域側)と、Ala−BMP−2が溶解しない恐れがある。 例えば、このようなpH領域の塩酸水溶液を調整する場合の塩酸濃度としては、0.01mM〜330mMの濃度範囲から選択することができる。また、このような濃度範囲の塩酸水溶液は、製薬上許容可能な塩酸を、滅菌水で希釈することによって作製することができる。 強酸溶液中のAla−BMP−2の濃度は、沈殿を生じず溶解可能な範囲であれば特に制限されないが、通常1mg/ml〜20mg/ml、好ましくは1mg/ml〜15mg/ml、より好ましくは1mg/ml〜5mg/mlである。 上記濃度又はpH範囲に調整された100倍体積量の強酸溶液を攪拌しながら、これにAla−BMP−2を少量ずつ加えてAla−BMP−2強酸溶液を作製する。このとき、強酸溶液の温度は、約0℃〜約30℃、好ましくは約4℃〜約20℃、より好ましくは約4℃〜約10℃である。 Ala−BMP−2強酸溶液は、単にAla−BMP−2を強酸溶液に加えることによって作製してもよいが、これをさらに限外濾過工程や透析工程に付すことによって作製することが好ましい。限外濾過や透析の方法は、自体公知のものを適用することができる。 例えば、Ala−BMP−2強酸溶液の希釈と濃縮を3回程度繰り返す限外濾過工程を経て、Ala−BMP−2を強酸溶液に溶解させることができる。希釈方法と濃縮方法としては、自体公知の方法を適用することができる。 またAla−BMP−2強酸溶液は、例えば、上記濃度またはpH範囲に調製された100倍体積量の強酸溶液に対し3回程度透析を行うことで作成することもできる。また、透析の際の条件設定は当業者であれば適宜設定することが可能である。 上記溶解工程に続いて、得られたAla−BMP−2強酸溶液から水を除去する凍結乾燥工程に処する。当該(3):溶解工程(2)で得られた強酸溶解液を凍結乾燥する工程について、以下詳述する。 凍結乾燥工程は、Ala−BMP−2強酸溶液を凍結したのち、真空下で水分を蒸発させる工程を含む。凍結乾燥の方法は従来公知の手法を採用することができ、公知の凍結乾燥装置を使用してもよい。また、冷却トラップ、多岐管、コック、乾燥瓶、ポンプ等の各装置を組み合わせて凍結乾燥装置としてもよい。これらの装置は、例えばTAITEC社から商業的に入手可能である。 このようにして、Ala−BMP−2強酸溶液を凍結乾燥することで、凍結乾燥体が得られる。以下、この凍結乾燥体のことを「Ala−BMP−2凍結乾燥製剤」などと記載する。 本発明のAla−BMP−2凍結乾燥製剤は安定性に優れ、凍結乾燥を行っても実質的にBMP−2活性を損なうことがない。従って、本発明の凍結乾燥製剤は、通常製剤等に含まれる賦形剤や安定化剤等を添加する必要がなく、Ala−BMP−2の凍結乾燥体そのものであってもよい。しかしながら、本発明の効果を損なわない限り他の成分の添加を制限するものではない。 他の成分として、例えば賦形剤を添加する場合、従来公知のものから適宜選択することができ、スクロース、トレハロース、ラフィノース、マンニトール、デキストラン等の糖、アルギニン、ヒスチジン、グリシン、セリン、プロリン等のアミノ酸が例示される。さらに、界面活性剤や機能性物質(例、タンパク質、核酸など)を添加してもよい。 本発明におけるAla−BMP−2は、原核生物細胞(好ましくは大腸菌)で製造されることを特徴とするため、糖鎖を含まないタンパク質である。そして本発明の方法で製造されたAla−BMP−2凍結乾燥製剤は、45℃以下、好ましくは4〜25℃、さらに好ましくは4℃又は5℃の低温下で3ヶ月以上にわたって安定に保存することができる。特に本発明のAla−BMP−2凍結乾燥製剤は、凍結乾燥固体の形態で3ヶ月間冷蔵(5℃)保存又は冷凍保存しても、安定に保存することができ、実質的に失活しない。 ここで「安定に保存」とは、電気泳動測定(後述の実施例参照)によりタンパク質の分解が実質的に認められない状態であって、そして/または、Biacore測定(GE Heal thcare;後述の実施例参照)によりBMPレセプターであるactivine type IIB receptor(ActRIIB)への結合能が実質的に保持された状態で保存されることを意味する。当該安定性の確認は、逆相HPLC(例えば、C4カラム;移動相A,0.1%TFA;移動相B,100%アセトニトリル;流速,1ml/min;グラジエント,0%Aから100%B,20min)によって行うことも可能である。 また好ましくは、「安定に保存」とは、さらに骨誘導活性などのBMP活性を実質的に保持された状態で保存されることを意味する。 本発明のAla−BMP−2凍結乾燥製剤は、上記条件で安定に保存されるだけでなく、たとえ凍結融解しても実質的に失活せず、完全なBMP活性(例えば、骨誘導活性)を保持するし、また、40℃で保存した場合であっても実質的にBMP活性が失われることがない。 以上のように、本発明の方法で製造されたAla−BMP−2凍結乾燥製剤は、改善された保存安定性を有する。 また本発明のAla−BMP−2凍結乾燥製剤は、当該凍結乾燥製剤を水で再溶解して凍結乾燥前の体積に復元したときのpH範囲が、通常3以上5以下、好ましくは3.7以上4.6以下であるという特徴も有している。このpH範囲のAla−BMP−2水溶液を得、これを後述する骨補填材に含浸させることによってAla−BMP−2が骨充填材を形成するリン酸カルシウムに吸着し、骨疾患部位に埋め込んだ場合に骨再生能を有する骨補填材が得られやすくなる点で、本発明のAla−BMP−2凍結乾燥製剤は極めて有用であるといえる。 ところで従来のAla−BMP−2凍結乾燥製剤は、水や生理食塩水への溶解性が低く(凝集しやすく)、またBMPとしての安定性にも欠けていた(非特許文献1参照)。したがって従来のAla−BMP−2凍結乾燥製剤には、その溶解性や安定性を高めるべく各種の添加剤を加える必要があった。 しかしながら本発明のAla−BMP−2凍結乾燥製剤には、各種の添加剤、例えば、糖類、タンパク質、界面活性剤、アミノ酸などの安定化剤、或いはグリシン緩衝水溶液などの緩衝剤といった物質を敢えて加えなくとも、溶解性や安定性が保たれているという特徴も有する。そのため、本発明の方法で製造されたAla−BMP−2凍結乾燥製剤は、実質的に凝集を起こし難く高い保存安定性を有する点で従来のAla−BMP−2凍結乾燥製剤よりも極めて有用である。 本発明のAla−BMP−2凍結乾燥製剤の製造方法のうち、強酸溶液への溶解工程(2)および強酸溶解液の凍結乾燥工程(3)は、併せてAla−BMP−2の溶解性を向上させる方法に含まれる必須の工程であるともいえる。 即ち本発明は、以下の工程:(1’)Ala−BMP−2を強酸溶液に溶解させる工程;および(2’)(1’)で得られた強酸溶解液を凍結乾燥する工程;を含む、Ala−BMP−2の溶解性を向上させる方法をも提供するものである。 また本発明のAla−BMP−2凍結乾燥製剤の製造方法のうち、強酸溶液への溶解工程(2)および強酸溶解液の凍結乾燥工程(3)は、併せてAla−BMP−2の保存安定性を向上させる方法に含まれる必須の工程であるともいえる。 即ち本発明は、以下の工程:(1’’)Ala−BMP−2を強酸溶液に溶解させる工程;および(2’’)(1’’)で得られた強酸溶解液を凍結乾燥する工程;を含む、Ala−BMP−2の保存安定性を向上させる方法をも提供するものである。 本発明のAla−BMP−2凍結乾燥製剤は、使用時に再溶解用溶液を添加して製剤を再溶解することができる。再溶解用溶液としては、水(例、注射用水、滅菌水、静菌水)、水溶液(例、生理食塩水)、緩衝溶液(例、酢酸緩衝水溶液、フタル酸緩衝水溶液、グリシン緩衝水溶液)等を使用することができる。本発明の凍結乾燥製剤は、これらの再溶解用溶液に対して優れた溶解性を有し、短時間で必要に応じたAla−BMP−2水溶液を調製することができる。さらに、このようなAla−BMP−2水溶液も十分なBMP−2活性を保持しており、優れた骨再生および治療効果を発揮し得るものである。 当該Ala−BMP−2水溶液を、後述する骨充填材に含浸させることによってAla−BMP−2が骨充填材を形成するリン酸カルシウム成分に吸着し、骨疾患部位に埋め込んだ際に骨再生能を有する骨補填材が得られやすくなる。これによって骨折部位や骨欠損部位での骨再生または骨治療が可能になる。(III)骨再生用医薬製剤 本発明はさらに、Ala−BMP−2凍結乾燥製剤を含有する、医薬製剤を提供する。 本発明の医薬製剤は本発明のAla−BMP−2凍結乾燥製剤を含有するので、従来のBMP凍結乾燥製剤よりも高い保存安定性を有する。したがって、通常の医薬製剤に用いられる賦形剤、担体、添加剤などは実質的に不要であり、そのまま医療用途に使用可能である。しかしながら本発明の医薬製剤には必要に応じて、製薬上許容される、賦形剤、担体、添加剤、他の骨誘導活性を有する薬剤、骨疾患治療剤などの物質を加えることも可能である。 本発明の医薬製剤は、BMP−2活性、特にBMP−2が持つ骨誘導活性をそのまま有するため、骨の再生、修復又は治療に使用され得る。そして骨の再生のためには、骨形成タンパク質(BMP)、幹細胞および骨再生の足場(骨補填材)が必要である。 骨再生の足場(骨補填材)としては、例えばポリ乳酸(PLA)、ポリラクチルグリコレート(PLGA)、PLA−PEG、PLGA−PEG(ここでPEGは、ポリエチレングリコールを表す)などの合成ポリマー、ヒアルロン酸、コラーゲン、アテロコラーゲンなどの天然高分子、ヒドロキシアパタイト、β−リン酸三カルシウム(β−TCP)、α−TCPなどのリン酸カルシウムなどが挙げられる。 実際には、多孔性の足場(例えば、穎粒、スポンジ、ブロック、ゲルなどの形態をもつ)と本発明の医薬製剤(あるいは、本発明のAla−BMP−2凍結乾燥製剤)を水溶液と共に混合し、骨の患部、例えば骨折部位、欠損部位、障害部位などに埋め込む。このことによって、足場に吸着等したAla−BMPが内在性幹細胞に作用し、幹細胞の分化誘導によって骨組織が再生される。足場が穎粒の場合には、整形外科で使用するときは3〜5mmメッシュの箭を通過する粒径サイズのものが、一方、歯科で使用するときは0.5〜1.5mmメッシュの箭を通過する粒径サイズのものが、一般に使用される。本発明の医薬製剤には、Ala−BMP−2と足場とを混合した形態、足場にAla−BMP−2を塗布した形態、足場にAla−BMP−2を吸着させた形態などが含まれる。 本発明の医薬製剤における、Ala−BMP−2凍結乾燥製剤としてのヒトでの単回臨床投与量(単回の埋植または注入)は、投与部位や欠損の大きさ、組み合わせる足場(コラーゲン、骨補填材、高分子ゲル等)によって至適量は異なるが、一般に骨補填体積1cm3あたり0.2〜3mg程度(Ala−BMP−2としての重量)であり、例えば骨補填体積が0.5〜20cm3程度の幅の場合、0.1〜60mg/患者の範囲である。しかし、当該単回臨床投与量は、患者の性別、年齢、体重、重篤度などの諸条件によって変化可能である。 本発明の医薬製剤は、骨欠損の再生や補填、骨折の早期治癒、軟骨、腱、靭帯、椎間板、半月板、歯槽骨などの骨の障害部位の再生および治療などのために使用できる。本発明の医薬製剤における有効成分であるAla−BMP−2は、骨誘導能が高く、低侵襲性であり、品質管理や供給が安定するという利点があるため、上記のような医療用途での使用が期待される。(IV)骨再生または骨治療用キット 本発明は、Ala−BMP−2凍結乾燥製剤およびリン酸カルシウム系骨補填材をそれぞれ別個の容器に含んでなる、骨の再生又は治療のためのキットを提供する。 リン酸カルシウム系骨補填材は、例えばヒドロキシアパタイト、β−TCPおよびα−TCPなどのリン酸カルシウムを主成分とする骨補填材を含むが、これらに限定されない。 本発明のキットにはさらに、使用説明書、注射用水等の再溶解用の溶液を含むシリンジ、滅菌済みトレー、滅菌済みスパチュラなどを含んでもよい。この場合、シリンジのなかでAla−BMP−2を水(水溶液)に溶解し、トレー内のリン酸カルシウム系骨補填材(穎粒)にまんべんなくふりかけ、スパチュラで混ぜ合わせる。このようなキットは、骨(再生)治療の直前にAla−BMP−2を再構成又は再溶解することを意図したものである。本発明のAla−BMP−2凍結乾燥製剤は、水(水溶液)に短時間で溶解し、得られる溶解液の粘度も低いことから、医療現場における作業効率を高めることができる点で優れている。 以下の実施例・試験例などにより本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例・試験例などによって制限されないものとする。実施例1:Ala−BMP−2の調製 Ala−BMP−2の調製は、非特許文献1に記載の方法に準じて行った。すなわち、大腸菌BL−21を利用して、Met−Ala−BMP−2(配列番号1)をコードするDNAを発現させ、既知の方法を組み合わせて用いて、封入体の回収、タンパク質のリフォールディング、ダイマーの回収の各操作を行った。4M尿素溶液に溶解したAla−BMP−2を分画分子量3500の透析チューブに入れ、下記試験例1に記載する各種酸水溶液で透析を行った(調製例1〜2、比較例1、対照資料1および2)。透析液を回収し、OD278nmで濃度を確認して限外濾過により濃縮を行った。この濃縮工程には、Amicon(登録商標)Ultra−15遠心フィルターユニット10K(ミリポア社製)を用いた。実施例2:凍結乾燥 実施例1の濃縮工程で得られた試料を回収し、OD278nmで濃度を確認した後、5mg Ala−BMP−2/1.5mlチューブとなるように分注し、−80℃で一晩以上凍結させた。凍結させた試料を、凍結乾燥装置を用いて凍結乾燥させた。試験例1:再溶解試験 実施例1に示される透析工程において、下表1に示される各種酸水溶液(透析液)を用いて、透析を行った。 各試料の透析時の様子、凍結乾燥の容易性、得られた凍結乾燥製剤の水への再溶解性を観察した。再溶解は、5mg/mlの濃度となるように凍結乾燥製剤を注射用水に溶解させて行った。 表1に示されるように、強酸水溶液で透析を行った調製例1および調製例2では、透析開始後に沈殿するものの再溶解し、凍結乾燥も容易に行うことができた。さらに、凍結乾燥製剤に調製された調製例1および調製例2は、いずれも良好な再溶解性を示した。 一方、弱酸水溶液(0.06%酢酸)で透析を行った比較例1では、透析時および凍結乾燥工程においては調製例1と同様の挙動を呈したが、凍結乾燥製剤の再溶解性を評価したところ粘性が高く、攪拌しなければ再溶解できなかった。 また、非特許文献1に記載の従来法に従って透析を行った対照試料Xおよび対照試料Yでは、透析時に沈殿して再溶解しなかった。しかしながらこれを強酸水溶液で透析を行った後に蒸留水で透析しても、再溶解性の高い凍結乾燥製剤を得ることができた。 さらに調製例1および調製例2は、対照試料Xおよび対照試料Yよりも溶解速度が明らかに早かった。試験例2:貯蔵安定性評価(1)Ala−BMP−2の調製 実施例1に記載の方法を用いてAla−BMP−2の製造を行い、この回収を行った。このとき、限外濾過/透析濾過により0.5mM/L塩酸に置換し、Ala−BMP−2濃度を2.5mg/mlに調整した。(2)凍結乾燥 上記(1)で濃度調整された試料を回収し、直径24.5mm×53mmのバイアルに10mgとなるように分注して−50℃で一晩以上凍結させた。凍結させた試料を、凍結乾燥装置を用いて凍結乾燥させた。凍結乾燥装置は、上記実施例2で使用したものと同様である。(3)貯蔵安定性試験 貯蔵安定性に関する評価項目および評価方法については、表2に示される通りである。 評価結果を表3に示す。 表3に示されるように、いずれの保存条件下でも凍結乾燥製剤としての物性や溶解特性は損なわれることがなく、再溶解後のAla−BMP−2活性も十分保持されていた。さらに、40±2℃、相対湿度75±5%という比較的過酷な保存条件下でも物性、Ala−BMP−2活性は損なわれなかった。すなわち、本発明の凍結乾燥製剤は、優れた保存安定性を有することが示された。実施例3:Ala−BMP−2凍結乾燥製剤の製造 下記組成の溶液を10mLのバイアルに充填し、均一に混合した後、−80℃で一晩以上凍結させた。凍結させた試料を、実施例1と同様の凍結乾燥装置を用いて凍結乾燥させた。これをゴム栓で施栓し、キャップを巻き締めして、バイアル充填凍結乾燥製剤を製造した。(溶液1)Ala−BMP−2(5mg)を含有する0.1mM 塩酸 1.0mL(溶液2)Ala−BMP−2(5mg)を含有する0.5mM 塩酸 1.0mL(溶液3)Ala−BMP−2(5mg)を含有する0.1mM クエン酸 1.0mL(溶液4)Ala−BMP−2(5mg)を含有する0.1mM TFA 1.0mL(溶液5)Ala−BMP−2(5mg)を含有する0.1mM メシル酸 1.0mL 本発明により、大腸菌などの原核生物細胞で製造されたAla−BMP−2を医療目的に使用することが可能になった。Ala−BMP−2は骨の再生および治療のために有用なタンパク質であるので、医療分野においての役割が期待される。 配列番号1は、N末端にアラニン残基が付加されたヒト骨形成タンパク質−2のアミノ酸配列である。 配列番号2は、N末端にアラニン残基が付加されたヒト骨形成タンパク質−2をコードするDNAの配列である。 Ala−BMP−2と強酸とを含有する溶液を凍結乾燥してなる、凍結乾燥製剤。 強酸が、塩酸、クエン酸、トリフルオロ酢酸およびメシル酸からなる群から選択される少なくとも一種である、請求項1に記載の凍結乾燥製剤。 25℃における強酸のpHが0.2〜5.1である、請求項1または2に記載の凍結乾燥製剤。 以下の工程:(1)原核生物でAla−BMP−2を産生する工程;(2)(1)で得られたAla−BMP−2を強酸溶液に溶解させる工程;および(3)(2)で得られた強酸溶解液を凍結乾燥する工程;を含む、Ala−BMP−2を含有する凍結乾燥製剤の製造方法。 強酸が、塩酸、クエン酸、トリフルオロ酢酸およびメシル酸からなる群から選択される少なくとも一種である、請求項4に記載の方法。 以下の工程:(1’)Ala−BMP−2を強酸溶液に溶解させる工程;および(2’)(1’)で得られた強酸溶解液を凍結乾燥する工程;を含む、Ala−BMP−2の溶解性を向上させる方法。 強酸が、塩酸、クエン酸、トリフルオロ酢酸およびメシル酸からなる群から選択される少なくとも一種である、請求項6に記載の方法。 Ala−BMP−2と強酸とを含有する溶液を凍結乾燥してなる凍結乾燥製剤、およびリン酸カルシウム系骨補填材をそれぞれ別個の容器に含んでなる、骨再生または骨治療用キット。 本発明は、N末端にアラニン残基が付加された活性型ヒト骨形成タンパク質−2ホモダイマーを強酸溶液に溶解したのち凍結乾燥して得られる凍結乾燥製剤、当該製剤の製造方法、当該製剤を含む骨の再生又は治療のためのキットを提供する。配列表