生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_チタンと酸化ジルコニウムを複合化した生体適合材料
出願番号:2010058313
年次:2011
IPC分類:A61K 6/04,A61L 27/00


特許情報キャッシュ

渡津 章 尾口 仁志 JP 2011190218 公開特許公報(A) 20110929 2010058313 20100315 チタンと酸化ジルコニウムを複合化した生体適合材料 独立行政法人産業技術総合研究所 301021533 尾口 仁志 510071909 須藤 政彦 100102004 渡津 章 尾口 仁志 A61K 6/04 20060101AFI20110902BHJP A61L 27/00 20060101ALI20110902BHJP JPA61K6/04A61L27/00 L 7 1 OL 8 4C081 4C089 4C081AB01 4C081BA17 4C081BB08 4C081CF12 4C081CG02 4C081CG03 4C081DA16 4C081DC15 4C089AA06 4C089AA09 4C089BA05 4C089BB01 4C089BB07 本発明は、チタンと酸化ジルコニウムを複合化した生体適合材料に関するものであり、更に詳しくは、チタン又はチタン合金に対して酸化ジルコニウムの比率が20%以下で、直径200ミクロン以下の球形粉体の酸化ジルコニウム球を用いることにより複合材料表面に酸化ジルコニウム球の断面が露出している生体適合材料に関するものである。本発明は、チタンと酸化ジルコニウム球を複合化することによって、インプラントしての機械的性質と生体適合性を向上及び調整できる生体適合化成形体に関する新技術・新製品を提供するものである。本明細書において、%は、体積%である。 医用材料においては、高齢化社会を迎え、体内の様々な部位の骨代替材料、インプラントの必要性が高まっている。また、骨代替材料は、高齢者に限らず、事故などにより、骨欠損を生じた子供や成人にも必要とされている。そのため、個々に必要な機械的性質や形状など求められる性能も多様化し、使用部位や個人にあわせた材料設計を行うことが望ましく、より高性能なインプラントが求められている。 一般に、材料を高性能化する場合、生体適合性や機械的性質などを高性能化することはもちろん、使用部位によって必要とされる多様な性能への対応が余儀なくされることから、自由度の高い材料設計を行なえるものであることが望ましい。 チタン及びチタン合金は比強度が高く、耐食性に優れ、生体適合性もあることから、航空機などの構造材料や医用材料などに用いられている。一方、セラミックスにおいても、様々な用途で医用材料として用いられているが、機械的性質として、一般的に伸びが出ないため、もろい傾向があり、靱性が必要で、比較的大きなインプラントでは、チタンほど使用されていない。 チタン及びチタン合金を高性能化する場合、生体適合性や機械的性質などを高性能化することはもちろん、使用部位によって必要とされる多様な性能への対応が余儀なくされ、自由度の高い材料設計を行うことが望ましい。 セラミックスである酸化ジルコニウムは、エネルギー的に安定で、反応や溶出などの危険性が低く、生体適合性に優れているということが一般的に知られている。また、酸化ジルコニウムは、大変硬い材料であり、このような性質が、必要な硬組織周辺や医用器具などで大変有用である。 しかしながら、安定性が高いことで、融点なども高温(約2700℃)となるため、焼結性が高くなく、比較的大きいインプラントは作りにくい。また、酸化ジルコニウムは、硬いため、削るなどの加工がしにくく、形状付与が難しい。酸化ジルコニウムは、このような現実的な部品とすることの形状付与が困難なことなどのため、比較的高価である。 チタンと酸化ジルコニウムを複合化するためには、単純には、チタンに、酸化ジルコニウムをコーティングするなどの手段が考えられる(特許文献1)が、酸化ジルコニウムを、硬く伸びにくいセラミックスでコーティングすると、母体の金属の変形についていけないため、大きく負荷がかかるところなどで、且つ、表面で大きい弾性変形が起こるような部位では、当然、亀裂が生じる危険がある。更に、使用部位によっては、生体と比較して、硬くなりすぎたりすることで、コーティング部分の破損や生体そのものの損傷も懸念される。 従来、チタンと酸化ジルコニウムを用いた複合材料については、特定範囲の組成形状を有し、かつ水酸基を有する金属酸化物から構成される被膜によって高い生体活性を発現可能な複合材料として、酸化チタン、シリカ及び酸化ジルコニウムの複合酸化物からなる金属酸化物膜(特許文献1)や、基材の接着強度を高め、生体活性に優れ、アパタイト結晶の核形成を誘起しうる表面組成と構造を有する表面組成と構造を有する複合材料として、下地層を構成する主成分が酸化ケイ素、酸化チタン及び酸化ジルコニウムから選ばれた多層膜(特許文献2)、などが提案されている。特開2006−522788号公報特開2004−123484号公報特開2005−297435号公報西田義則著「金属基複合材料入門」第9頁、コロナ社出版 2001年 このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、生体適合性や機械的性質を高性能化することができ、自由度の高い材料設計を行うことを可能とする生体適合材料を開発することを目標として鋭意研究を重ねた結果、酸化ジルコニウムの比率が20%以下で、直径200ミクロン以下の球形粉体からなる酸化ジルコニウム球を用いてチタンと酸化ジルコニウムの複合材料を作製することにより所期の目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。 本発明は、酸化ジルコニアを用いて、生体適合性や機械的性質などを高性能化すると共に、自由度の高い材料設計性を残しつつ、チタン及びチタン合金を高性能化することを可能とする生体適合材料を提供することを目的とするものである。また、本発明は、生体適合性を高めると共に、機械的性質や形状付与などに対して材料設計の自由度が高い材料を提供することを目的とするものである。 上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。(1)チタンと酸化ジルコニウムの複合化材料であって、チタン表面に酸化ジルコニウム球の断面が露出している構造を有し、生体適合性を有することを特徴とする生体適合材料。(2)チタンと酸化ジルコニウムの複合材料であり、1)酸化ジルコニウムの比率は0超〜20%の範囲であり、2)用いる酸化ジルコニウムは直径200ミクロン以下の球形粉体であり、3)複合材料表面に酸化ジルコニウム球の断面が露出している、前記(1)に記載の生体適合材料。(3)チタンが、純チタン、チタン合金、又はこれらの酸化物の1種或いは2種以上の混合物である、前記(1)又は(2)に記載の生体適合材料。(4)前記(1)又は(2)に記載の生体適合材料で成形体の表面の少なくとも1部が形成されている生体適合化成形体。(5)前記(4)に記載の生体適合化成形体よりなることを特徴とするインプラント。(6)前記(4)に記載の生体適合化成形体よりなることを特徴とする医用材料。(7)成形体が、歯冠、歯科補綴物又は人工歯根であって、軟組織又は生体骨に接する部分に生体適合材料で生体適合性を付与した、前記(4)に記載の生体適合化成形体。 次に、本発明について更に詳細に説明する。 本発明は、チタンと酸化ジルコニウムの複合材料であり、(1)酸化ジルコニウムの比率は20%以下で、(2)用いる酸化ジルコニウムは直径200ミクロン以下の球形粉体であり、(3)複合材料表面に酸化ジルコニウム球の断面が露出している、ことを特徴とする生体適合材料である。酸化ジルコニウムとチタンの表面を作製すると、その表面が一様に作用し、良好な生体適合性を示すことを本発明者らは見いだしており(実施例参照)、本発明では、この新しい効果を付与することが可能となる。 本発明のチタンと酸化ジルコニウムの複合材料は、酸化ジルコニウムの比率は20%以下で、用いる酸化ジルコニウムは、直径200ミクロン以下の球形粉体であり、複合材料表面に酸化ジルコニウム球の断面が露出していることを特徴とするものである。 この生体適合化材料は、酸化ジルコニウム粉末とチタン粉末を混合して成型した後、焼結し、表面を研磨することで作製することができ、粉末混合比を変えることによって、所定の機械的強度を得ることができる。チタンに比べて、酸化ジルコニウムは、非常に高い硬さを持つので、酸化ジルコニウム比を上げることによって、複合化材料は、当然、硬くなる。 このことにより、すべてをこの材料とするか、あるいは、この材料を、これらの性質を必要とするところに部分的に配置する生体適合化成形体を作製し、使用することが好ましい。例えば、人工歯根と歯冠を考えた場合、この材料を、硬さを調整したいところに配置することも効果的であり、生体内にあって、生体適合性を付与すべきところに配置することが好ましい。また、歯冠、軟組織、皮質骨は、それぞれで、生物学的特性が異なるため、それぞれ組み合わせて使用すれば、更に本複合体の使用方法としては好ましい。 一般に、複合化材料においては、複合則により、マトリックス材料に入れる材料の割合により特性が変化する。そして、例えば、ある限界まで、すなわち、同じ分散状態を保っていて、欠陥が生じず、同じ効果を示すところまでは、材料を入れれば入れるほど特性が上がっていく場合もあり得る。しかし、本発明のチタンと酸化ジルコニウムの複合材料については、複合表面にすることで、これまでの概念では予想できなかった、新しい生体適合性が現出するといえるものである。本発明では、酸化ジルコニウムの比率は、好適には、0超〜20%の範囲である。 酸化ジルコニウムの割合を変えると、複合材料全体の機械的強度が当然変化する。そして、複合表面に硬さと生体適合性が付与される場合の「硬さ」については、硬さは、複合表面において、すごく硬い酸化ジルコニウムとそこそこの硬さのチタンがそれぞれ露出しているので、硬さが違う物が表面に存在する状態となり、硬い物が多いほど、硬くなるといえる。全体として見る場合、表面の硬さについては、チタン以上で、酸化ジルコニウム以下であるといえる。 本発明により、次のような効果が奏される。(1)本発明の生体適合材料は、チタン基材料であるため、形状付与が容易であり、酸化ジルコニウムの比率による複合則(非特許文献1)により、機械的強度の設計の自由度が高い。(2)このような複合則により、機械的強度を変化させ、更に、これを焼結条件でも変化させることができる。(3)また、同じく複合則により、表面のチタンとジルコニウムの複合表面に硬さと生体適合性が付与される。本発明の生体適合材料を用いて細胞培養試験を行った後の細胞(実施例3)の写真を示す。 次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。 チタン(JIS2種)に、酸化ジルコニウム(200ミクロン以下の球形粒子)を1〜10%添加した試料を、粉末(100μm以下)混合し、1t以内の圧粉成形をした後、熱焼結によって、500℃から1200℃にて、直径5〜20mm、長さ0.5〜20mmの大きさの生体適合材料を作製した。材料には、亀裂がなく、研磨すると、金属光沢を発した。表面には酸化ジルコニウム粒子の断面が露出していた。 酸化ジルコニウム(200ミクロン以下の球形粒子)を1〜10%添加した試料を、粉末(100μm以下)混合し、型に入れて1t以下で成形した後、熱焼結ないしプラズマ焼結によって、500℃から1000℃で、直径2〜5mm、5〜20mmの人工歯根を作製した。試料には、亀裂がなく、研磨すると、金属光沢を発した。表面には酸化ジルコニウム粒子の断面が露出していた。 酸化ジルコニウム(200ミクロン以下の球形粒子)を1〜10%添加した試料を、粉末(100μm以下)混合し、型に入れて1t以下で成形した後、熱焼結ないしプラズマ焼結によって、500℃から1000℃の範囲で、直径5〜20mm、長さ0.5〜20mmの大きさの生体適合材料を作製した。試料には亀裂などがなく、研磨すると金属光沢を発した。表面には酸化ジルコニウム粒子の断面が露出していた。その材料にて、細胞培養試験を行ったところ、図1に示す様に、良好な細胞接着や培養状況を示す高い生体適合性を示した。 酸化ジルコニウム(200ミクロン以下の球形粒子)を1〜10%添加した試料を、粉末(100μm以下)混合と熱焼結ないしプラズマ焼結によって、500℃から1000℃の範囲で、焼結時間1〜10minにて、直径210〜20mm、長さ0.5〜20mmの大きさの生体適合材料を作製した。試料には亀裂などがなく、研磨すると金属光沢を発した。表面には酸化ジルコニウム粒子の断面が露出していた。その材料にて、HGE−15cellsを用いて細胞培養試験を行った。図1のように、酸化ジルコニウムやチタンの違いにかかわらず、細胞が良好に培養され、良好な高い生体適合性を示した。表1に、酸化ジルコニウム5%の材料の引っ張り試験における機械的強度と伸びの関係を示す。 チタンと酸化ジルコニウムは別の物質であり、生体への反応は同一ではない。生体親和性において、チタン表面にある酸化チタン層については、細胞との反応が酸化ジルコニウムと比較して優位になり、チタン部分のみに優先的に細胞培養されるなど、偏る傾向が出るなどして、一般には、有効面積が限られることが想定される。本複合面では、異なる物質が混在している表面にもかかわらず、全体的に同様の、細胞の分化、増殖が認められた。つまり、本発明の生体適合材料では、広い生体との有効反応面積を有することで、生体適合面積が大きく、優れた生体適合性を示すことができる。 以上詳述したように、本発明は、チタンと酸化ジルコニウムを複合化した生体適合材料に係るものであり、本発明により、優れた生体適合性をもち、安定な材料で作製されている、従来の生体適合性材料の部分の多くに適用できるチタンに酸化ジルコニウムを複合化した新しい生体適合材料を適用することができる。本発明の生体適合材料は、生体適合性と硬さが必要とされるインプラントや医用材料への応用が可能であり、従来、セラミックスが必要だったものや、金属でなければならなかった部位へ利用することができる。本発明の材料は、従来製品と比べて、振動特性や電気・熱伝導度も異なるため、超音波や振動を利用した医用現場や、電気や熱を使用するような医用現場での選択性を広げることができる。また、インプラントにおいてもテーラーメイドが必要となってきており、そのような場合に、選択性の高いこの材料は適応幅が広い生体適合材料として有用である。 チタンと酸化ジルコニウムの複合化材料であって、チタン表面に酸化ジルコニウム球の断面が露出している構造を有し、生体適合性を有することを特徴とする生体適合材料。 チタンと酸化ジルコニウムの複合材料であり、1)酸化ジルコニウムの比率は0超〜20%の範囲であり、2)用いる酸化ジルコニウムは直径200ミクロン以下の球形粉体であり、3)複合材料表面に酸化ジルコニウム球の断面が露出している、請求項1に記載の生体適合材料。 チタンが、純チタン、チタン合金、又はこれらの酸化物の1種或いは2種以上の混合物である、請求項1又は2に記載の生体適合材料。 請求項1又は2に記載の生体適合材料で成形体の表面の少なくとも1部が形成されている生体適合化成形体。 請求項4に記載の生体適合化成形体よりなることを特徴とするインプラント。 請求項4に記載の生体適合化成形体よりなることを特徴とする医用材料。 成形体が、歯冠、歯科補綴物又は人工歯根であって、軟組織又は生体骨に接する部分に生体適合材料で生体適合性を付与した、請求項4に記載の生体適合化成形体。 【課題】チタンと酸化ジルコニウム球を複合化することによって、インプラントしての機械的性質と生体適合性を向上、調整できる生体適合化成形体を提供する。【解決手段】チタンと酸化ジルコニウムの複合材料であり、1)酸化ジルコニウムの比率は20%以下で、2)用いる酸化ジルコニウムは直径200ミクロン以下の球形粉体であり、3)複合材料表面に酸化ジルコニウム球の断面が露出している、ことを特徴とする生体適合材料。【効果】チタンと酸化ジルコニウム複合化材料からなる新しい生体適合材料を提供することができる。【選択図】図1


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る

特許公報(B2)_チタンと酸化ジルコニウムを複合化した生体適合材料

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_チタンと酸化ジルコニウムを複合化した生体適合材料
出願番号:2010058313
年次:2014
IPC分類:A61K 6/04,A61K 6/027,A61C 5/08,A61C 8/00,A61C 13/08,A61L 27/00


特許情報キャッシュ

渡津 章 尾口 仁志 JP 5552698 特許公報(B2) 20140606 2010058313 20100315 チタンと酸化ジルコニウムを複合化した生体適合材料 独立行政法人産業技術総合研究所 301021533 尾口 仁志 510071909 須藤 政彦 100102004 渡津 章 尾口 仁志 20140716 A61K 6/04 20060101AFI20140626BHJP A61K 6/027 20060101ALI20140626BHJP A61C 5/08 20060101ALI20140626BHJP A61C 8/00 20060101ALI20140626BHJP A61C 13/08 20060101ALI20140626BHJP A61L 27/00 20060101ALI20140626BHJP JPA61K6/04A61K6/027A61C5/08A61C8/00A61C13/08A61L27/00 L A61K 6/00−6/10 A61C 8/00 A61C 13/08 A61L 27/00 CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII) 高橋秀直,歯科用傾斜機能材料の研究 チタン‐アパタイト,チタン‐ジルコニア傾斜材の強度特性 ,歯科材料・器械,1993年,Vol.12,No.5,Page.595-612 6 2011190218 20110929 7 20121122 鶴見 秀紀 本発明は、チタンと酸化ジルコニウムを複合化した生体適合材料に関するものであり、更に詳しくは、チタン又はチタン合金に対して酸化ジルコニウムの比率が20%以下で、直径200ミクロン以下の球形粉体の酸化ジルコニウム球を用いることにより複合材料表面に酸化ジルコニウム球の断面が露出している生体適合材料に関するものである。本発明は、チタンと酸化ジルコニウム球を複合化することによって、インプラントしての機械的性質と生体適合性を向上及び調整できる生体適合化成形体に関する新技術・新製品を提供するものである。本明細書において、%は、体積%である。 医用材料においては、高齢化社会を迎え、体内の様々な部位の骨代替材料、インプラントの必要性が高まっている。また、骨代替材料は、高齢者に限らず、事故などにより、骨欠損を生じた子供や成人にも必要とされている。そのため、個々に必要な機械的性質や形状など求められる性能も多様化し、使用部位や個人にあわせた材料設計を行うことが望ましく、より高性能なインプラントが求められている。 一般に、材料を高性能化する場合、生体適合性や機械的性質などを高性能化することはもちろん、使用部位によって必要とされる多様な性能への対応が余儀なくされることから、自由度の高い材料設計を行なえるものであることが望ましい。 チタン及びチタン合金は比強度が高く、耐食性に優れ、生体適合性もあることから、航空機などの構造材料や医用材料などに用いられている。一方、セラミックスにおいても、様々な用途で医用材料として用いられているが、機械的性質として、一般的に伸びが出ないため、もろい傾向があり、靱性が必要で、比較的大きなインプラントでは、チタンほど使用されていない。 チタン及びチタン合金を高性能化する場合、生体適合性や機械的性質などを高性能化することはもちろん、使用部位によって必要とされる多様な性能への対応が余儀なくされ、自由度の高い材料設計を行うことが望ましい。 セラミックスである酸化ジルコニウムは、エネルギー的に安定で、反応や溶出などの危険性が低く、生体適合性に優れているということが一般的に知られている。また、酸化ジルコニウムは、大変硬い材料であり、このような性質が、必要な硬組織周辺や医用器具などで大変有用である。 しかしながら、安定性が高いことで、融点なども高温(約2700℃)となるため、焼結性が高くなく、比較的大きいインプラントは作りにくい。また、酸化ジルコニウムは、硬いため、削るなどの加工がしにくく、形状付与が難しい。酸化ジルコニウムは、このような現実的な部品とすることの形状付与が困難なことなどのため、比較的高価である。 チタンと酸化ジルコニウムを複合化するためには、単純には、チタンに、酸化ジルコニウムをコーティングするなどの手段が考えられる(特許文献1)が、酸化ジルコニウムを、硬く伸びにくいセラミックスでコーティングすると、母体の金属の変形についていけないため、大きく負荷がかかるところなどで、且つ、表面で大きい弾性変形が起こるような部位では、当然、亀裂が生じる危険がある。更に、使用部位によっては、生体と比較して、硬くなりすぎたりすることで、コーティング部分の破損や生体そのものの損傷も懸念される。 従来、チタンと酸化ジルコニウムを用いた複合材料については、特定範囲の組成形状を有し、かつ水酸基を有する金属酸化物から構成される被膜によって高い生体活性を発現可能な複合材料として、酸化チタン、シリカ及び酸化ジルコニウムの複合酸化物からなる金属酸化物膜(特許文献1)や、基材の接着強度を高め、生体活性に優れ、アパタイト結晶の核形成を誘起しうる表面組成と構造を有する表面組成と構造を有する複合材料として、下地層を構成する主成分が酸化ケイ素、酸化チタン及び酸化ジルコニウムから選ばれた多層膜(特許文献2)、などが提案されている。特開2006−522788号公報特開2004−123484号公報特開2005−297435号公報西田義則著「金属基複合材料入門」第9頁、コロナ社出版 2001年 このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、生体適合性や機械的性質を高性能化することができ、自由度の高い材料設計を行うことを可能とする生体適合材料を開発することを目標として鋭意研究を重ねた結果、酸化ジルコニウムの比率が20%以下で、直径200ミクロン以下の球形粉体からなる酸化ジルコニウム球を用いてチタンと酸化ジルコニウムの複合材料を作製することにより所期の目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。 本発明は、酸化ジルコニアを用いて、生体適合性や機械的性質などを高性能化すると共に、自由度の高い材料設計性を残しつつ、チタン及びチタン合金を高性能化することを可能とする生体適合材料を提供することを目的とするものである。また、本発明は、生体適合性を高めると共に、機械的性質や形状付与などに対して材料設計の自由度が高い材料を提供することを目的とするものである。 上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。(1)チタンと酸化ジルコニウムの複合材料からなる生体適合材料であって、1)該複合材料に対する酸化ジルコニウムの比率は0超〜20%の範囲であり、2)当該酸化ジルコニウムは直径200ミクロン以下の球形粉体であり、3)複合材料を構成するチタン表面に酸化ジルコニウム球の断面が露出している構造を有し、4)複合材料の表面の硬さがチタン以上で酸化ジルコニウム以下の硬さであり、5)生体適合性を有し、異なる物質が混在している複合材料の表面全体に生体との有効反応面積が存在することを特徴とする生体適合材料。(2)チタンが、純チタン、チタン合金、又はこれらの酸化物の1種或いは2種以上の混合物である、前記(1)に記載の生体適合材料。(3)前記(1)に記載の生体適合材料が、成形体の表面の少なくとも1部に配置されていることを特徴とする生体適合化成形体。(4)前記(3)に記載の生体適合化成形体よりなることを特徴とするインプラント。(5)前記(3)に記載の生体適合化成形体よりなることを特徴とする医用材料。(6)成形体が、歯冠、歯科補綴物又は人工歯根であって、軟組織又は生体骨に接する部分に生体適合材料が配置されている、前記(3)に記載の生体適合化成形体。 次に、本発明について更に詳細に説明する。 本発明は、チタンと酸化ジルコニウムの複合材料であり、(1)酸化ジルコニウムの比率は20%以下で、(2)用いる酸化ジルコニウムは直径200ミクロン以下の球形粉体であり、(3)複合材料表面に酸化ジルコニウム球の断面が露出している、ことを特徴とする生体適合材料である。酸化ジルコニウムとチタンの表面を作製すると、その表面が一様に作用し、良好な生体適合性を示すことを本発明者らは見いだしており(実施例参照)、本発明では、この新しい効果を付与することが可能となる。 本発明のチタンと酸化ジルコニウムの複合材料は、酸化ジルコニウムの比率は20%以下で、用いる酸化ジルコニウムは、直径200ミクロン以下の球形粉体であり、複合材料表面に酸化ジルコニウム球の断面が露出していることを特徴とするものである。 この生体適合化材料は、酸化ジルコニウム粉末とチタン粉末を混合して成型した後、焼結し、表面を研磨することで作製することができ、粉末混合比を変えることによって、所定の機械的強度を得ることができる。チタンに比べて、酸化ジルコニウムは、非常に高い硬さを持つので、酸化ジルコニウム比を上げることによって、複合化材料は、当然、硬くなる。 このことにより、すべてをこの材料とするか、あるいは、この材料を、これらの性質を必要とするところに部分的に配置する生体適合化成形体を作製し、使用することが好ましい。例えば、人工歯根と歯冠を考えた場合、この材料を、硬さを調整したいところに配置することも効果的であり、生体内にあって、生体適合性を付与すべきところに配置することが好ましい。また、歯冠、軟組織、皮質骨は、それぞれで、生物学的特性が異なるため、それぞれ組み合わせて使用すれば、更に本複合体の使用方法としては好ましい。 一般に、複合化材料においては、複合則により、マトリックス材料に入れる材料の割合により特性が変化する。そして、例えば、ある限界まで、すなわち、同じ分散状態を保っていて、欠陥が生じず、同じ効果を示すところまでは、材料を入れれば入れるほど特性が上がっていく場合もあり得る。しかし、本発明のチタンと酸化ジルコニウムの複合材料については、複合表面にすることで、これまでの概念では予想できなかった、新しい生体適合性が現出するといえるものである。本発明では、酸化ジルコニウムの比率は、好適には、0超〜20%の範囲である。 酸化ジルコニウムの割合を変えると、複合材料全体の機械的強度が当然変化する。そして、複合表面に硬さと生体適合性が付与される場合の「硬さ」については、硬さは、複合表面において、すごく硬い酸化ジルコニウムとそこそこの硬さのチタンがそれぞれ露出しているので、硬さが違う物が表面に存在する状態となり、硬い物が多いほど、硬くなるといえる。全体として見る場合、表面の硬さについては、チタン以上で、酸化ジルコニウム以下であるといえる。 本発明により、次のような効果が奏される。(1)本発明の生体適合材料は、チタン基材料であるため、形状付与が容易であり、酸化ジルコニウムの比率による複合則(非特許文献1)により、機械的強度の設計の自由度が高い。(2)このような複合則により、機械的強度を変化させ、更に、これを焼結条件でも変化させることができる。(3)また、同じく複合則により、表面のチタンとジルコニウムの複合表面に硬さと生体適合性が付与される。本発明の生体適合材料を用いて細胞培養試験を行った後の細胞(実施例3)の写真を示す。 次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。 チタン(JIS2種)に、酸化ジルコニウム(200ミクロン以下の球形粒子)を1〜10%添加した試料を、粉末(100μm以下)混合し、1t以内の圧粉成形をした後、熱焼結によって、500℃から1200℃にて、直径5〜20mm、長さ0.5〜20mmの大きさの生体適合材料を作製した。材料には、亀裂がなく、研磨すると、金属光沢を発した。表面には酸化ジルコニウム粒子の断面が露出していた。 酸化ジルコニウム(200ミクロン以下の球形粒子)を1〜10%添加した試料を、粉末(100μm以下)混合し、型に入れて1t以下で成形した後、熱焼結ないしプラズマ焼結によって、500℃から1000℃で、直径2〜5mm、5〜20mmの人工歯根を作製した。試料には、亀裂がなく、研磨すると、金属光沢を発した。表面には酸化ジルコニウム粒子の断面が露出していた。 酸化ジルコニウム(200ミクロン以下の球形粒子)を1〜10%添加した試料を、粉末(100μm以下)混合し、型に入れて1t以下で成形した後、熱焼結ないしプラズマ焼結によって、500℃から1000℃の範囲で、直径5〜20mm、長さ0.5〜20mmの大きさの生体適合材料を作製した。試料には亀裂などがなく、研磨すると金属光沢を発した。表面には酸化ジルコニウム粒子の断面が露出していた。その材料にて、細胞培養試験を行ったところ、図1に示す様に、良好な細胞接着や培養状況を示す高い生体適合性を示した。 酸化ジルコニウム(200ミクロン以下の球形粒子)を1〜10%添加した試料を、粉末(100μm以下)混合と熱焼結ないしプラズマ焼結によって、500℃から1000℃の範囲で、焼結時間1〜10minにて、直径210〜20mm、長さ0.5〜20mmの大きさの生体適合材料を作製した。試料には亀裂などがなく、研磨すると金属光沢を発した。表面には酸化ジルコニウム粒子の断面が露出していた。その材料にて、HGE−15cellsを用いて細胞培養試験を行った。図1のように、酸化ジルコニウムやチタンの違いにかかわらず、細胞が良好に培養され、良好な高い生体適合性を示した。表1に、酸化ジルコニウム5%の材料の引っ張り試験における機械的強度と伸びの関係を示す。 チタンと酸化ジルコニウムは別の物質であり、生体への反応は同一ではない。生体親和性において、チタン表面にある酸化チタン層については、細胞との反応が酸化ジルコニウムと比較して優位になり、チタン部分のみに優先的に細胞培養されるなど、偏る傾向が出るなどして、一般には、有効面積が限られることが想定される。本複合面では、異なる物質が混在している表面にもかかわらず、全体的に同様の、細胞の分化、増殖が認められた。つまり、本発明の生体適合材料では、広い生体との有効反応面積を有することで、生体適合面積が大きく、優れた生体適合性を示すことができる。 以上詳述したように、本発明は、チタンと酸化ジルコニウムを複合化した生体適合材料に係るものであり、本発明により、優れた生体適合性をもち、安定な材料で作製されている、従来の生体適合性材料の部分の多くに適用できるチタンに酸化ジルコニウムを複合化した新しい生体適合材料を適用することができる。本発明の生体適合材料は、生体適合性と硬さが必要とされるインプラントや医用材料への応用が可能であり、従来、セラミックスが必要だったものや、金属でなければならなかった部位へ利用することができる。本発明の材料は、従来製品と比べて、振動特性や電気・熱伝導度も異なるため、超音波や振動を利用した医用現場や、電気や熱を使用するような医用現場での選択性を広げることができる。また、インプラントにおいてもテーラーメイドが必要となってきており、そのような場合に、選択性の高いこの材料は適応幅が広い生体適合材料として有用である。 チタンと酸化ジルコニウムの複合材料からなる生体適合材料であって、1)該複合材料に対する酸化ジルコニウムの比率は0超〜20%の範囲であり、2)当該酸化ジルコニウムは直径200ミクロン以下の球形粉体であり、3)複合材料を構成するチタン表面に酸化ジルコニウム球の断面が露出している構造を有し、4)複合材料の表面の硬さがチタン以上で酸化ジルコニウム以下の硬さであり、5)生体適合性を有し、異なる物質が混在している複合材料の表面全体に生体との有効反応面積が存在することを特徴とする生体適合材料。 チタンが、純チタン、チタン合金、又はこれらの酸化物の1種或いは2種以上の混合物である、請求項1に記載の生体適合材料。 請求項1に記載の生体適合材料が、成形体の表面の少なくとも1部に配置されていることを特徴とする生体適合化成形体。 請求項3に記載の生体適合化成形体よりなることを特徴とするインプラント。 請求項3に記載の生体適合化成形体よりなることを特徴とする医用材料。 成形体が、歯冠、歯科補綴物又は人工歯根であって、軟組織又は生体骨に接する部分に生体適合材料が配置されている、請求項3に記載の生体適合化成形体。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る