生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_胃の中に安全に硫化水素ガスを発生させる方法並びに該方法に用いられる健康食品並びに医薬品
出願番号:2010057577
年次:2011
IPC分類:A23L 1/30,A61K 31/19,A61K 31/22,A61K 35/56,A61P 11/00,A61P 11/12,A61P 9/00,A61P 9/10,A61P 39/02,A61P 17/00,A61P 19/02,A61P 17/04,A61P 1/10,A61P 3/10,A61P 1/16,A61P 25/00,A61P 43/00


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小坂 誠夫 JP 2011188805 公開特許公報(A) 20110929 2010057577 20100315 胃の中に安全に硫化水素ガスを発生させる方法並びに該方法に用いられる健康食品並びに医薬品 株式会社ユウコーエンタープライズ 501340720 西島 綾雄 100067758 小坂 誠夫 A23L 1/30 20060101AFI20110902BHJP A61K 31/19 20060101ALI20110902BHJP A61K 31/22 20060101ALI20110902BHJP A61K 35/56 20060101ALI20110902BHJP A61P 11/00 20060101ALI20110902BHJP A61P 11/12 20060101ALI20110902BHJP A61P 9/00 20060101ALI20110902BHJP A61P 9/10 20060101ALI20110902BHJP A61P 39/02 20060101ALI20110902BHJP A61P 17/00 20060101ALI20110902BHJP A61P 19/02 20060101ALI20110902BHJP A61P 17/04 20060101ALI20110902BHJP A61P 1/10 20060101ALI20110902BHJP A61P 3/10 20060101ALI20110902BHJP A61P 1/16 20060101ALI20110902BHJP A61P 25/00 20060101ALI20110902BHJP A61P 43/00 20060101ALI20110902BHJP JPA23L1/30 ZA61K31/19A61K31/22A61K35/56A61P11/00A61P11/12A61P9/00A61P9/10 101A61P39/02A61P17/00A61P19/02A61P17/04A61P1/10A61P3/10A61P1/16A61P25/00A61P9/10A61P43/00 121 6 1 OL 7 4B018 4C087 4C206 4B018MD01 4B018MD04 4B018MD09 4B018ME04 4C087AA01 4C087AA02 4C087BB04 4C087CA47 4C087NA05 4C087NA14 4C087ZA02 4C087ZA36 4C087ZA45 4C087ZA59 4C087ZA72 4C087ZA75 4C087ZA96 4C087ZC35 4C206AA01 4C206AA02 4C206DA07 4C206DB03 4C206DB43 4C206NA05 4C206NA14 4C206ZA02 4C206ZA36 4C206ZA45 4C206ZA59 4C206ZA72 4C206ZA75 4C206ZA96 4C206ZC35 本発明は胃の中に安全に硫化水素ガスを発生させる方法並びに該方法に用いられる健康食品並びに医薬品に関する。 硫化水素ガスは、火山性のガスで致死量は800〜1000ppmとされ、猛毒である。細胞内のミトコンドリア内チトクロームオキシターゼのFe(3+)と結合し、酵素を阻害、細胞呼吸を障害し、低酸素症、中枢神経系細胞の直接障害を引き起こすとされる(非特許文献1参照)。この硫化水素ガスの吸収は、肺、消化管から容易に行われる。この硫化水素ガスは、呼吸器から吸入すると気管支・肺へ至り、先の毒性を現し、量により死に至るとされる。一方、硫化水素ガスは火山性のガスなので、温泉に硫化水素を含有するものがある。環境省自然局での「療養泉の泉質の分類」では、単純硫黄温泉・硫化水素型と分類されている。温泉療法も「温泉浴」と「飲泉」があり、前者は温泉への入浴で、後者は温泉を服用することで薬理的効用を得るものである(非特許文献2参照)。換気の悪い浴室では硫黄水素ガス500ppm以上で中毒を起こすことがよくある。このガスは「痰の湯」といわれ、慢性気管支炎(閉塞性肺疾患)、慢性気管支拡張の去痰に用いられていましたが、個人により刺激が強い場合があるので現在では一般的には用いられていない。硫黄水素ガスは炭酸ガスと同じように末梢毛細血管、細小動脈、心臓の冠状動脈、脳動脈を拡張させるので動脈硬化症、しもやけ、レーノー症などに有効とされている。硫黄には、解毒作用があるので、金属中毒、薬物中毒にも用いられる。慢性皮膚病や関節疾患には硫黄代謝に異常が見られるところから、これらの疾患にも有効とされている。また硫黄泉は、皮膚の角質を軟化溶解するので、皮膚掻痒症、角化症、慢性湿疹、慢性膿皮症、疥癬に有効とされている。その他、硫黄泉は腸の運動を促すので便秘症にまた高血糖を下げる働きがあるので水中運動と併用して糖尿病に用いられている。このように、硫黄泉は、飲用により消化管から容易に吸収され硫化水素の薬効が認められ、これに関する学術発表も相次いでいる。硫化水素の効能として、海外の論文では、抗炎症作用の報告がある(非特許文献3参照)。更に、硫化水素の効用については、肝臓疾患に用いる動物実験の報文もある(非特許文献4参照)。また、中枢神経系、循環器系、高血圧などへの影響に関する報文もある(非特許文献5参照)。厚生労働省医政局指導課ホームページhttp://www.kanagawa.med.or.jp/200508.pdf植田理彦著「温泉の効用と医学への応用」日本薬剤師会雑誌第53巻第3号平成13年3月号65〜71ページJL Wallace Hydrogen sulfide-releasing anti-inflammatory drugs Trend in Pharmacological Sciences,28(10)551-556Fiorucci S.et.al The third gas:H2S regulates perfusion pressure in both the isolated and perfused normal rat liver and in cirrhosis Hepatology 42(3)539-548Chen CQ, Xin H, Zhu YZ Hydrogen sulfide: third gaseous trnsmitter, but with great pharmacological potencial. Acta Pharmacol. Sin.28(11)17091716 上記に説明したところから明らかなように、硫化水素には極めて重要な薬効が認められる。海外では動物実験で胃内での硫化水素の発生を硫化水素ナトリウム(NaHS・nH2O)で行っている文献も見当るが、この物質も取り扱いには注意を要するものであり、安全性に問題がある。硫化水素ナトリウム(NaHS・nH2O)は、飲み込むと、胃酸により硫化水素を生じ、おう吐、頭痛、チアノーゼ、呼吸抑制、血圧低下、循環系の虚脱、肺水腫、意識不明、けいれんなどの硫化水素と同様の症状を現す。これは硫化水素ナトリウムと胃酸の反応が素早く起こり、硫化水素中毒を起こすと考えられる。 本発明の主たる目的は、従来健康食品として用いられている安全性に問題のない物質を用いて胃の中に硫化水素を発生させる方法を提供することである。 また、本発明の他の目的は、胃の中に硫化水素を発生させることができる健康食品を提供することである。 また、本発明の他の目的は、胃の中に硫化水素を発生させることができる医薬品を提供することである。上記目的を達成するため、本発明は、硫化水素水より強い酸からなる物質と、水素ガスを吸蔵させた造礁サンゴカルシウムとを胃酸と反応させ、胃の中に安全に硫化水素ガスを発生させることができるようにしたものである。 また本発明は、前記硫化水素水より強い酸からなる物質が、乳酸オリゴマーであることを特徴とする。 また本発明は、胃の中に硫化水素ガスを安全に発生させる健康食品であって、硫化水素水より強い酸からなる物質と、水素ガスを吸蔵させた造礁サンゴカルシウムとから成り、これらを同時に口中に摂取できる形態としたことを特徴とする。 また本発明は、前記健康食品において、前記硫化水素水より強い酸からなる物質が、乳酸オリゴマーであることを特徴とする。 また本発明は、胃中に硫化水素ガスを安全に発生させる医薬品であって、硫化水素水より強い酸からなる物質と、水素ガスを吸蔵させた造礁サンゴカルシウムとから成り、これらを同時に口中に摂取できる形態としたことを特徴とする。 また本発明は、前記医薬品において、前記硫化水素水より強い酸からなる物質が乳酸オリゴマーであることを特徴とする。 本発明は、人体に無害な食品又は薬品が分泌される胃酸と反応して胃内で硫化水素をゆっくりと発生させるので呼吸器に殆ど影響を与えずに体内に硫化水素ガスを安全に発生させることができる。本発明の実験結果を示す、硫化水素発生特性グラフである。 L-乳酸(L-Lactic acid,propanoic acid2-hydroxy[CAS50-21-5])は、縮合してエステルを形成する性質があり、通常は単量体の乳酸とエステル化した乳酸縮合物の平衡混合物になっている。化学式は通の通りである。 このL−乳酸に熱と圧力をかけ、さらに真空にした容器で平衡状態を右にして、エステル化した乳酸縮合物を得ることができる。この縮合物を、以下乳酸オリゴマー、別名:環状重合乳酸、略号CPLという。乳酸オリゴマーは、悪性腫瘍細胞増殖抑制作用や血糖低下作用等の効果があり、医薬品や健康食品として注目されている。医薬品としては、免疫機能調整剤や細胞賦活剤等が知られている。食品添加物の造礁サンゴカルシウム(サンゴカルシウム)は、風化造礁サンゴ粒を加工したものである。風化造礁サンゴ粒は、造礁サンゴの骨格が長い年月の間に風化し、波の作用で侵蝕され、塊または粒状になって海底に沈積したものである。この風化して堆積した物が風化造礁サンゴ粒であり、これを食用に加工したものが一般に造礁サンゴカルシウムと呼ばれている。このサンゴカルシウムには、造礁サンゴや貝、有孔虫などが形成した炭酸カルシウムや炭酸マグネシウム、その他微量ミネラルが含まれ、多様なミネラル組成を誇っている。本実施形態では、造礁サンゴカルシウムに水素ガスを吸蔵させている。 上記乳酸オリゴマーと、水素ガスを吸蔵させた上記造礁サンゴカルシウムと、溶出試験第1液とを混ぜたところ硫化水素(H2S)ガスが発生した。上記溶出試験第1液は、15改正日本薬局方に規定された一般試験法の崩壊試験法、溶出試験法に使われる試薬であり、15改正日本薬局方規定で、溶出試験第1液は次のように規定されている。塩化ナトリウムNaCl[K8150、特級]2.0gを塩酸HCl[K8180、特級]7.0ml及びイオン交換樹脂処理した水に溶かして1000mLとする。この液は無色透明でそのpHは約1.2である。乳酸オリゴマーと水素ガスを吸蔵させた食品添加物の造礁サンゴカルシウムに上記溶出試験第1液(これを疑似胃酸とする)を混ぜると硫化水素ガスが発生するということは、ヒトが乳酸オリゴマーと水素ガスを吸蔵させた造礁サンゴカルシウムを摂取した際に、胃内部で、これらの物質が胃酸と反応して硫化水素ガスを発生することを意味する。胃の中で発生した硫化水素ガスは消化管から容易に体内に吸収され、細胞膜を自由に通過する。胃の内部に発生した硫化水素ガスは呼吸器に殆ど影響を与えないので毒性は現れない。乳酸オリゴマーと、造礁サンゴカルシウムに水素ガスを吸蔵させたものと、疑似胃酸とを反応させた実験結果を表1,表2に示す。表中、HBCPLとは、水素吸蔵造礁サンゴカルシウムを含有する乳酸オリゴマーのことである。 上記実験では、図1に示すように、硫化水素は20分を極大として、相当の量が発生したが、反応は徐々に起こるために、毒性のある硫化水素も、飲泉のように安全に薬効が期待できる。実験結果から明らかなように、2時間あまりで発生した硫化水素の合計量は721μL(0.721ml)であり、かなりの量が出てくることが分かる。硫化水素(H2S)の致死濃度は約300ppmで、このガスを1時間吸うと死に至ると言われている。0.721mlの硫化水素を2.5Lの空気で薄めると約300ppmとなる。そのような量に相当するということである。 本発明の商品化に際しては、水素吸蔵造礁サンゴカルシウムと乳酸オリゴマーとは、これらを服用したとき、同時に胃酸と反応する形態とすることが望ましく、そのためこれらを同一の飲用カプセルに封入するか、あるいは、乳酸オリゴマーに水素吸蔵造礁サンゴカルシウムを含有させるようにして、これらを同時に摂取できる形態とする。また、本発明は、健康食品としても、また医薬品としても商品化が可能である。硫化水素の酸解離定数Kaは、ka=1.3×10−7mol/L;pKa=6.89であり、いわゆる弱酸になる。従って、これより強い酸は、乳酸オリゴマーの代わりに、水素ガスを吸蔵させた造礁サンゴカルシウムと共に摂取した際に、胃内部で胃酸と反応して硫化水素ガスを発生する。 本発明は、硫化水素ガスの薬効が得られる健康食品並びに薬品に利用できる。硫化水素水より強い酸からなる物質と、水素ガスを吸蔵させた造礁サンゴカルシウムとを胃酸と反応させ、胃の中に安全に硫化水素ガスを発生させることができるようにしたことを特徴とする胃の中に安全に硫化水素ガスを発生させる方法。前記硫化水素水より強い酸からなる物質が、乳酸オリゴマーであることを特徴とする請求項1に記載の胃の中に硫化水素ガスを発生させる方法。胃の中に安全に硫化水素ガスを発生させる健康食品であって、硫化水素水より強い酸からなる物質と、水素ガスを吸蔵させた造礁サンゴカルシウムとから成り、これらを同時に口中に摂取できる形態としたことを特徴とする健康食品。前記硫化水素水より強い酸からなる物質が、乳酸オリゴマーであることを特徴とする請求項3に記載の胃の中に硫化水素ガスを発生させる健康食品。胃の中に安全に硫化水素ガスを発生させる医薬品であって、硫化水素水より強い酸からなる物質と、水素ガスを吸蔵させた造礁サンゴカルシウムとから成り、これらを同時に口中に摂取できる形態としたことを特徴とする医薬品。前記硫化水素水より強い酸からなる物質が乳酸オリゴマーであることを特徴とする請求項5に記載の胃の中に硫化水素ガスを発生させる医薬品。 【課題】健康食品として用いられている安全性に問題のない物質を用いて胃の中に硫化水素を発生させる方法、胃の中に硫化水素を発生させることができる健康食品、医薬品を提供。【解決手段】硫化水素水より強い酸からなる物質と、水素ガスを吸蔵させた造礁サンゴカルシウムとを胃酸と反応させ、胃の中に硫化水素ガスを発生させる。前記硫化水素水より強い酸からなる物質は、乳酸オリゴマーである。硫化水素水より強い酸からなる物質と水素ガスを吸蔵させた造礁サンゴカルシウムはこれらを同時に口中に摂取する。前記硫化水素水より強い酸からなる物質は、乳酸オリゴマーが好適である。【選択図】図1


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特許公報(B2)_胃の中に安全に硫化水素ガスを発生させる方法並びに該方法に用いられる健康食品並びに医薬品

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タイトル:特許公報(B2)_胃の中に安全に硫化水素ガスを発生させる方法並びに該方法に用いられる健康食品並びに医薬品
出願番号:2010057577
年次:2013
IPC分類:A23L 1/30,A61K 31/19,A61K 31/22,A61K 35/56,A61P 11/00,A61P 11/12,A61P 9/00,A61P 9/10,A61P 39/02,A61P 17/00,A61P 19/02,A61P 17/04,A61P 1/10,A61P 3/10,A61P 1/16,A61P 25/00,A61P 43/00


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小坂 誠夫 JP 5150669 特許公報(B2) 20121207 2010057577 20100315 胃の中に安全に硫化水素ガスを発生させる方法並びに該方法に用いられる健康食品並びに医薬品 株式会社ユウコーエンタープライズ 501340720 西島 綾雄 100067758 小坂 誠夫 20130220 A23L 1/30 20060101AFI20130131BHJP A61K 31/19 20060101ALN20130131BHJP A61K 31/22 20060101ALN20130131BHJP A61K 35/56 20060101ALN20130131BHJP A61P 11/00 20060101ALN20130131BHJP A61P 11/12 20060101ALN20130131BHJP A61P 9/00 20060101ALN20130131BHJP A61P 9/10 20060101ALN20130131BHJP A61P 39/02 20060101ALN20130131BHJP A61P 17/00 20060101ALN20130131BHJP A61P 19/02 20060101ALN20130131BHJP A61P 17/04 20060101ALN20130131BHJP A61P 1/10 20060101ALN20130131BHJP A61P 3/10 20060101ALN20130131BHJP A61P 1/16 20060101ALN20130131BHJP A61P 25/00 20060101ALN20130131BHJP A61P 43/00 20060101ALN20130131BHJP JPA23L1/30 ZA61K31/19A61K31/22A61K35/56A61P11/00A61P11/12A61P9/00A61P9/10 101A61P39/02A61P17/00A61P19/02A61P17/04A61P1/10A61P3/10A61P1/16A61P25/00A61P9/10A61P43/00 121 A23L,A61K 特開2007−063167(JP,A) 特開2005−126361(JP,A) 特開2006−067864(JP,A) 特開2007−223924(JP,A) 国際公開第2008/029869(WO,A1) 国際公開第2001/024802(WO,A1) 国際公開第2002/055092(WO,A1) 3 2011188805 20110929 7 20111102 高原 慎太郎 本発明は胃の中に安全に硫化水素ガスを発生させる方法並びに該方法に用いられる健康食品並びに医薬品に関する。 硫化水素ガスは、火山性のガスで致死量は800〜1000ppmとされ、猛毒である。細胞内のミトコンドリア内チトクロームオキシターゼのFe(3+)と結合し、酵素を阻害、細胞呼吸を障害し、低酸素症、中枢神経系細胞の直接障害を引き起こすとされる(非特許文献1参照)。この硫化水素ガスの吸収は、肺、消化管から容易に行われる。この硫化水素ガスは、呼吸器から吸入すると気管支・肺へ至り、先の毒性を現し、量により死に至るとされる。一方、硫化水素ガスは火山性のガスなので、温泉に硫化水素を含有するものがある。環境省自然局での「療養泉の泉質の分類」では、単純硫黄温泉・硫化水素型と分類されている。温泉療法も「温泉浴」と「飲泉」があり、前者は温泉への入浴で、後者は温泉を服用することで薬理的効用を得るものである(非特許文献2参照)。換気の悪い浴室では硫黄水素ガス500ppm以上で中毒を起こすことがよくある。このガスは「痰の湯」といわれ、慢性気管支炎(閉塞性肺疾患)、慢性気管支拡張の去痰に用いられていましたが、個人により刺激が強い場合があるので現在では一般的には用いられていない。硫黄水素ガスは炭酸ガスと同じように末梢毛細血管、細小動脈、心臓の冠状動脈、脳動脈を拡張させるので動脈硬化症、しもやけ、レーノー症などに有効とされている。硫黄には、解毒作用があるので、金属中毒、薬物中毒にも用いられる。慢性皮膚病や関節疾患には硫黄代謝に異常が見られるところから、これらの疾患にも有効とされている。また硫黄泉は、皮膚の角質を軟化溶解するので、皮膚掻痒症、角化症、慢性湿疹、慢性膿皮症、疥癬に有効とされている。その他、硫黄泉は腸の運動を促すので便秘症にまた高血糖を下げる働きがあるので水中運動と併用して糖尿病に用いられている。このように、硫黄泉は、飲用により消化管から容易に吸収され硫化水素の薬効が認められ、これに関する学術発表も相次いでいる。硫化水素の効能として、海外の論文では、抗炎症作用の報告がある(非特許文献3参照)。更に、硫化水素の効用については、肝臓疾患に用いる動物実験の報文もある(非特許文献4参照)。また、中枢神経系、循環器系、高血圧などへの影響に関する報文もある(非特許文献5参照)。厚生労働省医政局指導課ホームページhttp://www.kanagawa.med.or.jp/200508.pdf植田理彦著「温泉の効用と医学への応用」日本薬剤師会雑誌第53巻第3号平成13年3月号65〜71ページJL Wallace Hydrogen sulfide-releasing anti-inflammatory drugs Trend in Pharmacological Sciences,28(10)551-556Fiorucci S.et.al The third gas:H2S regulates perfusion pressure in both the isolated and perfused normal rat liver and in cirrhosis Hepatology 42(3)539-548Chen CQ, Xin H, Zhu YZ Hydrogen sulfide: third gaseous trnsmitter, but with great pharmacological potencial. Acta Pharmacol. Sin.28(11)17091716 上記に説明したところから明らかなように、硫化水素には極めて重要な薬効が認められる。海外では動物実験で胃内での硫化水素の発生を硫化水素ナトリウム(NaHS・nH2O)で行っている文献も見当るが、この物質も取り扱いには注意を要するものであり、安全性に問題がある。硫化水素ナトリウム(NaHS・nH2O)は、飲み込むと、胃酸により硫化水素を生じ、おう吐、頭痛、チアノーゼ、呼吸抑制、血圧低下、循環系の虚脱、肺水腫、意識不明、けいれんなどの硫化水素と同様の症状を現す。これは硫化水素ナトリウムと胃酸の反応が素早く起こり、硫化水素中毒を起こすと考えられる。 本発明の主たる目的は、従来健康食品として用いられている安全性に問題のない物質を用いて胃の中に硫化水素を発生させる方法を提供することである。 また、本発明の他の目的は、胃の中に硫化水素を発生させることができる健康食品を提供することである。 また、本発明の他の目的は、胃の中に硫化水素を発生させることができる医薬品を提供することである。上記目的を達成するため、本発明は、硫化水素水より強い酸からなる物質と、水素ガスを吸蔵させた造礁サンゴカルシウムとを胃酸と反応させ、胃の中に安全に硫化水素ガスを発生させることができるようにしたものである。 また本発明は、前記硫化水素水より強い酸からなる物質が、乳酸オリゴマーであることを特徴とする。 また本発明は、胃の中に硫化水素ガスを安全に発生させる健康食品であって、硫化水素水より強い酸からなる物質と、水素ガスを吸蔵させた造礁サンゴカルシウムとから成り、これらを同時に口中に摂取できる形態としたことを特徴とする。 また本発明は、前記健康食品において、前記硫化水素水より強い酸からなる物質が、乳酸オリゴマーであることを特徴とする。 また本発明は、胃中に硫化水素ガスを安全に発生させる医薬品であって、硫化水素水より強い酸からなる物質と、水素ガスを吸蔵させた造礁サンゴカルシウムとから成り、これらを同時に口中に摂取できる形態としたことを特徴とする。 また本発明は、前記医薬品において、前記硫化水素水より強い酸からなる物質が乳酸オリゴマーであることを特徴とする。 本発明は、人体に無害な食品又は薬品が分泌される胃酸と反応して胃内で硫化水素をゆっくりと発生させるので呼吸器に殆ど影響を与えずに体内に硫化水素ガスを安全に発生させることができる。本発明の実験結果を示す、硫化水素発生特性グラフである。 L-乳酸(L-Lactic acid,propanoic acid2-hydroxy[CAS50-21-5])は、縮合してエステルを形成する性質があり、通常は単量体の乳酸とエステル化した乳酸縮合物の平衡混合物になっている。化学式は通の通りである。 このL−乳酸に熱と圧力をかけ、さらに真空にした容器で平衡状態を右にして、エステル化した乳酸縮合物を得ることができる。この縮合物を、以下乳酸オリゴマー、別名:環状重合乳酸、略号CPLという。乳酸オリゴマーは、悪性腫瘍細胞増殖抑制作用や血糖低下作用等の効果があり、医薬品や健康食品として注目されている。医薬品としては、免疫機能調整剤や細胞賦活剤等が知られている。食品添加物の造礁サンゴカルシウム(サンゴカルシウム)は、風化造礁サンゴ粒を加工したものである。風化造礁サンゴ粒は、造礁サンゴの骨格が長い年月の間に風化し、波の作用で侵蝕され、塊または粒状になって海底に沈積したものである。この風化して堆積した物が風化造礁サンゴ粒であり、これを食用に加工したものが一般に造礁サンゴカルシウムと呼ばれている。このサンゴカルシウムには、造礁サンゴや貝、有孔虫などが形成した炭酸カルシウムや炭酸マグネシウム、その他微量ミネラルが含まれ、多様なミネラル組成を誇っている。本実施形態では、造礁サンゴカルシウムに水素ガスを吸蔵させている。 上記乳酸オリゴマーと、水素ガスを吸蔵させた上記造礁サンゴカルシウムと、溶出試験第1液とを混ぜたところ硫化水素(H2S)ガスが発生した。上記溶出試験第1液は、15改正日本薬局方に規定された一般試験法の崩壊試験法、溶出試験法に使われる試薬であり、15改正日本薬局方規定で、溶出試験第1液は次のように規定されている。塩化ナトリウムNaCl[K8150、特級]2.0gを塩酸HCl[K8180、特級]7.0ml及びイオン交換樹脂処理した水に溶かして1000mLとする。この液は無色透明でそのpHは約1.2である。乳酸オリゴマーと水素ガスを吸蔵させた食品添加物の造礁サンゴカルシウムに上記溶出試験第1液(これを疑似胃酸とする)を混ぜると硫化水素ガスが発生するということは、ヒトが乳酸オリゴマーと水素ガスを吸蔵させた造礁サンゴカルシウムを摂取した際に、胃内部で、これらの物質が胃酸と反応して硫化水素ガスを発生することを意味する。胃の中で発生した硫化水素ガスは消化管から容易に体内に吸収され、細胞膜を自由に通過する。胃の内部に発生した硫化水素ガスは呼吸器に殆ど影響を与えないので毒性は現れない。乳酸オリゴマーと、造礁サンゴカルシウムに水素ガスを吸蔵させたものと、疑似胃酸とを反応させた実験結果を表1に示す。表中、HBCPLとは、水素吸蔵造礁サンゴカルシウムを含有する乳酸オリゴマーのことである。 上記実験では、図1に示すように、硫化水素は20分を極大として、相当の量が発生したが、反応は徐々に起こるために、毒性のある硫化水素も、飲泉のように安全に薬効が期待できる。実験結果から明らかなように、2時間あまりで発生した硫化水素の合計量は721μL(0.721ml)であり、かなりの量が出てくることが分かる。硫化水素(H2S)の致死濃度は約300ppmで、このガスを1時間吸うと死に至ると言われている。0.721mlの硫化水素を2.5Lの空気で薄めると約300ppmとなる。そのような量に相当するということである。 本発明の商品化に際しては、水素吸蔵造礁サンゴカルシウムと乳酸オリゴマーとは、これらを服用したとき、同時に胃酸と反応する形態とすることが望ましく、そのためこれらを同一の飲用カプセルに封入するか、あるいは、乳酸オリゴマーに水素吸蔵造礁サンゴカルシウムを含有させるようにして、これらを同時に摂取できる形態とする。また、本発明は、健康食品としても、また医薬品としても商品化が可能である。硫化水素の酸解離定数Kaは、ka=1.3×10−7mol/L;pKa=6.89であり、いわゆる弱酸になる。従って、これより強い酸は、乳酸オリゴマーの代わりに、水素ガスを吸蔵させた造礁サンゴカルシウムと共に摂取した際に、胃内部で胃酸と反応して硫化水素ガスを発生する。 本発明は、硫化水素ガスの薬効が得られる健康食品並びに薬品に利用できる。胃の中に硫化水素ガスを発生させる健康食品であって、硫化水素水より強い酸からなる物質と、水素ガスを吸蔵させた造礁サンゴカルシウムとから成り、前記硫化水素水より強い酸からなる物質が、乳酸オリゴマーであることを特徴とする胃の中に硫化水素ガスを発生させる健康食品。前記水素ガスを吸蔵させた造礁サンゴカルシウムと乳酸オリゴマーとを飲用カプセルに封入したことを特徴とする請求項1に記載の胃の中に硫化水素ガスを発生させる健康食品。前記乳酸オリゴマーに水素ガスを吸蔵させた造礁サンゴカルシウムを含有させたことを特徴とする請求項1に記載の胃の中に硫化水素ガスを発生させる健康食品。


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