生命科学関連特許情報

タイトル:再公表特許(A1)_新規認知機能障害治療剤
出願番号:2010055419
年次:2012
IPC分類:A61K 31/40,C07D 207/333,A61P 25/28,A61P 25/08,A61P 5/18,A61P 25/00,A61P 1/16,A61P 3/08,A61P 13/12,A61P 9/10,A61P 9/04,A61P 9/00,A61P 31/04,A61P 19/08,A61P 21/04,A61P 5/14,A61P 35/00,A61P 25/32,A61P 43/00


特許情報キャッシュ

角山 弘嘉 迫田 桂子 岩村 善博 池田 篤史 土田 敦之 JP WO2010110440 20100930 JP2010055419 20100326 新規認知機能障害治療剤 大日本住友製薬株式会社 000002912 田村 恭生 100068526 鮫島 睦 100100158 品川 永敏 100126778 森本 靖 100150500 角山 弘嘉 迫田 桂子 岩村 善博 池田 篤史 土田 敦之 JP 2009077120 20090326 A61K 31/40 20060101AFI20120907BHJP C07D 207/333 20060101ALI20120907BHJP A61P 25/28 20060101ALI20120907BHJP A61P 25/08 20060101ALI20120907BHJP A61P 5/18 20060101ALI20120907BHJP A61P 25/00 20060101ALI20120907BHJP A61P 1/16 20060101ALI20120907BHJP A61P 3/08 20060101ALI20120907BHJP A61P 13/12 20060101ALI20120907BHJP A61P 9/10 20060101ALI20120907BHJP A61P 9/04 20060101ALI20120907BHJP A61P 9/00 20060101ALI20120907BHJP A61P 31/04 20060101ALI20120907BHJP A61P 19/08 20060101ALI20120907BHJP A61P 21/04 20060101ALI20120907BHJP A61P 5/14 20060101ALI20120907BHJP A61P 35/00 20060101ALI20120907BHJP A61P 25/32 20060101ALI20120907BHJP A61P 43/00 20060101ALI20120907BHJP JPA61K31/40C07D207/333A61P25/28A61P25/08A61P5/18A61P25/00A61P1/16A61P3/08A61P13/12A61P9/10 101A61P9/04A61P9/10A61P9/00A61P31/04A61P19/08A61P21/04A61P5/14A61P35/00A61P25/32A61P43/00 121 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW 再公表特許(A1) 20121004 2011506153 24 4C069 4C086 4C069AC07 4C069BB02 4C069BB22 4C086AA01 4C086AA02 4C086BC05 4C086MA01 4C086MA04 4C086NA14 4C086ZA01 4C086ZA06 4C086ZA15 4C086ZA16 4C086ZA36 4C086ZA41 4C086ZA45 4C086ZA75 4C086ZA81 4C086ZA94 4C086ZA96 4C086ZB26 4C086ZB35 4C086ZC06 4C086ZC21 4C086ZC39 4C086ZC75 本発明は、認知機能障害(Cognitive impairment)、さらに詳しくは認知症(Dementia)の新規な予防および/または治療のための剤および医薬組成物に関する。更に詳細には、脳内移行性が高く、アミロイドβ低下作用および認知機能改善作用を有し、安全性の高い認知機能障害、特にアルツハイマー型認知症の新規な予防および/または治療のための剤および医薬組成物に関する。 アルツハイマー型認知症は、例えば神経原線維化、神経老人斑、神経萎縮、樹状突起剪定および神経細胞死を含めた種々の病状を特徴とする進行性神経変性疾患である。これまでに試みられたアルツハイマー型認知症治療戦略は、神経伝達物質の補充を標的としてきたが、これらは短期間の病状緩和をもたらす可能性があるものの、神経変性および神経細胞死を防止することはない。したがって、アルツハイマー型認知症と関連した神経変性に伴う炎症および神経細胞死を防止し、かつ長期的に症状を軽減させる治療法が必要である。 アミロイドβの線維化および沈着はアルツハイマー型認知症に特異的であり、アルツハイマー型認知症の他の症状に先行する。従って脳内のアミロイドβの量を低下させる作用機序を有するアルツハイマー型認知症治療剤の開発が進められているが、現在に至っても本疾患の根治療法を担う医薬品は得られていない。 現在、アミロイドβ産生抑制剤やアミロイドβ免疫療法など、複数の作用機序のアルツハイマー型認知症に対する根本療法剤が開発されつつある。しかしながら、アミロイドβ産生抑制剤としてのγセクレターゼ阻害剤などは、作用機序が酵素阻害であるため、生体内の他の基質の切断も阻害し、副作用などを惹き起こす可能性が高い。 具体的には、γセクレターゼはNotchなどのアミロイドβ以外の他のタンパク質の切断にも関与しており、正常マウスにγセクレターゼ阻害剤を投与すると、Notchシグナル抑制によって造血系や腸管粘膜に障害が起こることが報告されている(非特許文献1)。 アミロイドβに対する免疫療法は、アルツハイマー型認知症患者においては、ミクログリアによるFc受容体を介したアミロイドβの貪食促進作用などにより、神経病理の異常を改善することが予想される。しかし、現状では、副作用として6%のケースに髄膜脳炎が認められている(非特許文献2)。その髄膜脳炎を除けば、抗体療法はアルツハイマー型認知症の病状進展を改善することが報告されている(非特許文献3)。したがって、アミロイドβのミクログリアによる貪食分解促進の作用機序をもった薬剤は、アルツハイマー型認知症治療薬として期待できる。 最近になり、糖尿病患者が新たにアルツハイマー型認知症に罹患するリスクはそれ以外の患者の約2倍と高いことが報告されている(非特許文献4) また、PPARγ作動薬は、炎症性サイトカインの抑制、βセクレターゼの抑制、βアミロイドを分解するIDE(インスリン分解酵素)の低下抑制、アミロイドβのクリアランスの亢進などを介して、アルツハイマー型認知症の進行を阻害していることが報告されている(非特許文献5)。 更に、PPARγ作動薬として知られるロシグリタゾンについて、軽度から中等度のアルツハイマー型認知症患者を対象とした6カ月間のロシグリタゾン投与の臨床試験報告によると、ApoEε4-非保因アルツハイマー型認知症患者では、高用量であるロシグリタゾン8 mg投与患者において認知機能の改善効果が認められている(非特許文献6)。 しかしながら、ロシグリタゾンは市販後調査報告などで、体液貯留(末梢性浮腫)の発現頻度が高いことが示され、うっ血性心不全を含めた心臓発作のリスク上昇に加え、糖尿病性黄斑浮腫の発症や悪化などの副作用があることが指摘されている(非特許文献7)。 また、PPAR作動薬としては、この他、PPARα/γ活性化作用を有するヘテロアリール骨格を有する誘導体が報告されている(特許文献1)。国際公開第2005/012245号パンフレットWong G.T. et al: J. Biological. Chemistry, 279, 13, 12876, 2004Schenk D. et al:NatRev. Neurosci., 3, 824, 2002Hock C. et al:Neuron, 38, 547, 2003Ott A. et al:Neurology, 53, 1937, 1999Jiang Q. et al: CNS Drugs, 22, 1, 2008Risner M.E. et al: Pharmacogenomics J., 6, 246, 2006Singh S. & Loke Y.K.: Expert Opin. Drug Saf., 7, 579, 2008 本発明は、認知機能障害(Cognitive impairment)、さらに詳しくは認知症(Dementia)、特にアルツハイマー型認知症の予防および/または治療に有用であり、かつ副作用のない剤、医薬組成物およびそれらの使用、並びに予防、治療方法を提供することにある。 発明者らは、鋭意検討を行った結果、上記特許文献1に記載するPPARα/γ活性化作用を有するヘテロアリール誘導体が、アミロイドβ低下作用と認知機能改善作用とを併せ持ち、なおかつ副作用が少ないという、医薬として実用化する上で極めて有用である特質を有することを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち本発明は以下の通りである。[1] 2-メチル-2-[(4-{(1E)-3-[2-(4-メチルベンゾイル)-1H-ピロール-1-イル]プロパ-1-エン-1-イル}ベンジル)オキシ]プロピオン酸またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含有する、認知機能障害の予防および/または治療のための剤または医薬組成物。[2] 認知機能障害が、神経変性性認知障害、脳血管性認知症、外来性の原因による認知障害、またはそれらの混合型認知症である、[1]記載の認知機能障害の予防および/または治療のための剤または医薬組成物。[3] 認知機能障害が、アルツハイマー型認知症である、[1]記載の認知機能障害の予防および/または治療のための剤または医薬組成物。[4] 認知機能障害が、アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症との混合型認知症である、[1]記載の認知機能障害の予防および/または治療のための剤または医薬組成物。[5] 認知機能障害が、非アルツハイマー型認知症である、[1]記載の認知機能障害の予防および/または治療のための剤または医薬組成物。[6] 認知機能障害が、さらに、統合失調症、うつ病、双極性うつ病、糖尿病、多動症、クロイツフェルト・ヤコブ病、クレペリン病、ハレルフォルデン・スパッツ病、脊髄小脳変性症、進行性ミオクロヌスてんかん、進行性核上麻痺、粘性水腫、副甲状腺疾患、ウィルソン病、肝疾患、低血糖症、癌の遠隔症候、クッシング症候群、尿毒症、動脈硬化症、脳動脈硬化症、慢性脳循環不全症、脳出血、脳梗塞、脳塞栓、くも膜下出血、慢性硬膜下出血、仮性球麻痺、大動脈弓症候群、ビンスワンガー病、動静脈奇形-閉塞性血栓性動脈炎、低酸素症、無酸素症、正常圧水頭症、ウェルニッケ・コルサコフ症候群、ペラグラ、マルキアファーヴァ・ビニャミ病、ビタミン B12欠乏症、金属、有機化合物、一酸化炭素、毒物もしくは薬物による障害、脳腫瘍、開放性及び閉鎖性頭部外傷、バンチー症候群、熱発作、感染症、細菌性髄膜炎、真菌性髄膜炎、脳炎、進行性多巣性白質脳症、ベーチェット症候群、クールー病、梅毒、多発性硬化症、筋ジストロフィー症、ウィップル病、収容所症候群、播種性紅斑性狼瘡、心停止、エイズ脳症、甲状腺機能低下症、下垂体機能低下症、または慢性アルコール中毒によるものである、[1]記載の認知機能障害の予防および/または治療のための剤または医薬組成物。[7] 認知機能障害が、軽度認知機能障害である、[1]記載の認知機能障害の予防および/または治療のための剤または医薬組成物。[8] さらに単一製剤中に他の認知機能障害の予防および/または治療薬の少なくとも1つを含有する、[1]記載の認知機能障害の予防および/または治療のための剤または医薬組成物。[9] 他の認知機能障害の予防および/または治療薬が、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、NMDA受容体拮抗薬、シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害薬、静注用ヒト免疫グロブリン製剤、5-HT6受容体拮抗薬、LTB4受容体拮抗薬、ヒトモノクローン抗体、およびアミロイドβ産生阻害剤からなる群から選ばれる、[8]記載の認知機能障害の予防および/または治療のための剤または医薬組成物。[10] 2-メチル-2-[(4-{(1E)-3-[2-(4-メチルベンゾイル)-1H-ピロール-1-イル]プロパ-1-エン-1-イル}ベンジル)オキシ]プロピオン酸またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と、他の認知機能障害の予防および/または治療薬の少なくとも1つとを組合せて含む、認知機能障害の予防および/または治療のための剤または医薬組成物。[11] 他の認知機能障害の予防および/または治療薬が、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、NMDA受容体拮抗薬、シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害薬、静注用ヒト免疫グロブリン製剤、5-HT6受容体拮抗薬、LTB4受容体拮抗薬、ヒトモノクローン抗体、およびアミロイドβ産生阻害剤からなる群から選ばれる、[10]記載の認知機能障害の予防および/または治療のための剤または医薬組成物。[12] 2-メチル-2-[(4-{(1E)-3-[2-(4-メチルベンゾイル)-1H-ピロール-1-イル]プロパ-1-エン-1-イル}ベンジル)オキシ]プロピオン酸またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物が、他の認知機能障害の予防および/または治療薬と共に同時にまたは逐次的に投与される、[10]記載の認知機能障害の予防および/または治療のための剤または医薬組成物。[13] 2-メチル-2-[(4-{(1E)-3-[2-(4-メチルベンゾイル)-1H-ピロール-1-イル]プロパ-1-エン-1-イル}ベンジル)オキシ]プロピオン酸またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の治療的有効量をそれを必要とする患者に投与することを特徴とする、認知機能障害の予防および/または治療方法。[14] 2-メチル-2-[(4-{(1E)-3-[2-(4-メチルベンゾイル)-1H-ピロール-1-イル]プロパ-1-エン-1-イル}ベンジル)オキシ]プロピオン酸またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の治療的有効量を、他の認知機能障害の予防および/または治療薬の治療的有効量と共に同時にまたは逐次的に投与することを特徴とする、[13]記載の認知機能障害の予防および/または治療方法。[15] 2-メチル-2-[(4-{(1E)-3-[2-(4-メチルベンゾイル)-1H-ピロール-1-イル]プロパ-1-エン-1-イル}ベンジル)オキシ]プロピオン酸またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を有効成分とする、認知機能障害の予防および/または治療に使用するための医薬組成物。[16] 他の認知機能障害の予防および/または治療薬と併用する、[15]記載の認知機能障害の予防および/または治療に使用するための医薬組成物。 本発明の化合物は、優れた認知機能改善作用を有し、さらにアルツハイマー型認知症の原因物質とされている脳内のアミロイドβの量を低下させる根本療法的な作用も併せ持つ。このため、本発明の化合物は、既存のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤などのアルツハイマー型認知症の対症療法剤とは異なる、新規なアルツハイマー型認知症治療薬として有用である。 特に、本発明の化合物は、現在糖尿病治療薬として臨床で使用されているPPARγ作動薬よりも、脳内移行性が高いことが、マウスの脳内濃度と末梢血中濃度の比から見出された(実施例1)。 また、臨床で使用されているロシグリタゾンやピオグリタゾンなどのPPARγ作動薬は高い頻度で体液貯留がみられ、その結果末梢性浮腫といった副作用の発現が知られている。さらに、PPARγ作動薬による体液貯留発現をモニターする一つの指標としてヘマトクリット値が用いられている。そこで、マウスへの投与実験を行ったところロシグリタゾンやピオグリタゾンがヘマトクリット値を減少させたのに対して、本発明の化合物は、ヘマトクリット値に有意な変化を認めなかった(実施例5)。したがって、本発明の化合物は、現在臨床で使用されているPPARγ作動薬とは異なり、副作用が軽減され安全性が高いことが期待できる。すなわち、本発明の化合物は、アルツハイマー型認知症などに罹患している患者に対して、長期にわたって安全に投与できることが期待される。 また、アルツハイマー型認知症のモデルマウスである、APP変異トランスジェニックマウスを用いた試験において、本発明の化合物の投与により、脳内のアミロイドβ1-42量およびアミロイドβ1-40量の値が低下することが認められ(実施例2)、脳内アミロイドβ量の低下作用が認められた。さらに、ミクログリア初代培養系を用いた試験において、アミロイドβの貪食作用機序に関与する、スカベンジャー受容体CD36の増加作用が認められた(実施例3)。したがって、本発明の化合物は、脳内のアミロイドβを貪食、分解することで脳内アミロイドβ量を低下させる薬理作用を持つことが分かる。 加えて、アルツハイマー型認知症のモデルマウスである、APP変異トランスジェニックマウスを用いた試験において、本発明の化合物の投与により、すくみ反応(%)の増加が認められ、認知機能改善作用が認められた(実施例4−1)。また、炎症惹起により誘発される神経機能障害の側面を捉えるアルツハイマー型認知症動物モデル(例えば炎症性惹起物質であるリポ多糖類(Lipopolysaccharide(LPSと略す))誘発認知機能障害モデルなど)においても、本発明の化合物は用量依存的な認知機能改善作用を示した(実施例4−2)。これは、既存の認知症治療剤であるアセチルコリンエステラーゼ阻害剤などとは異なる作用機序であり、本発明の化合物はアルツハイマー型認知症などの認知症の治療薬として新たな可能性を有している。 さらに、アルツハイマー型認知症の患者の脳内中で、認知機能に関与する神経伝達物質の一つであるアセチルコリン量の低下が生じることが知られている。また、スコポラミンはムスカリン性アセチルコリン受容体拮抗薬であって、動物やヒトにおいて記憶障害を引き起こすことが知られている。そこで、ラットにスコポラミンを投与することにより認知機能障害を誘発させたモデルにおいて、本発明の化合物の投与により、既存のPPARγ作動薬ロシグリタゾンよりも強い認知機能改善作用を示した。 したがって、本発明の化合物は、副作用が少ないため安全マージンが大きく、また脳内移行性が既存剤よりも優れており、且つ強い薬効が期待できる新規アルツハイマー型認知症治療薬となる可能性を有している。 さらに、本発明の目的を損なわない範囲で、例えば、既存の認知症治療薬であるドネペジルなどのアセチルコリンエステラーゼ阻害剤、またはメマンチンなど、他の薬物と併用することもできる。すくみ反応(%)の増加を指標とする恐怖条件づけ文脈学習試験(実施例4−1)における、APP変異トランスジェニックマウスへの化合物Aの投与による認知機能改善作用を示すグラフである。交替行動率の改善率(%)を指標とする炎症惹起物質誘発認知機能障害モデルにおける、化合物A投与群(2A)およびロシグリタゾン投与群(2B)の認知機能改善作用を示すグラフである。受動的回避反応の移動潜時(秒)の増加を指標とするスコポラミン誘発認知機能障害モデルにおける、化合物A投与群(3A)およびロシグリタゾン投与群(3B)の認知機能改善作用を示すグラフである。 以下に、本発明をさらに詳細に説明する。 2-メチル-2-[(4-{(1E)-3-[2-(4-メチルベンゾイル)-1H-ピロール-1-イル]プロパ-1-エン-1-イル}ベンジル)オキシ]プロピオン酸(以下化合物Aと称する)は、次の式で表され、国際公開第2005/012245号パンフレットに記載された化合物(実施例3B)である。化合物Aは、当該特許文献に記載の方法にて製造することができる。また、化合物Aの水素原子の1つまたは複数が重水素で適宜置換されていてもよい。 薬学的に許容される塩としては、例えばジエタノールアミン塩、エチレンジアミン塩もしくはN−メチルグルカミン塩等の有機塩基との塩、カルシウム塩もしくはマグネシウム塩等のアルカリ土類金属との塩、またはリチウム塩、カリウム塩もしくはナトリウム塩等のアルカリ金属との塩等の無機塩基との塩も挙げられる。 また、本発明には、本発明の化合物の水和物またはエタノール溶媒和物等の有機溶媒との溶媒和物も含まれる。さらに、本発明は、本発明の化合物のあらゆる形態の結晶形のものも包含する。 本発明の化合物は、予防、治療に使用する場合に、製剤(例えば、医薬組成物)として、経口的または非経口的(例えば、静脈内、皮下、もしくは筋肉内注射、局所的、経直腸的、経皮的、脊髄内的または経鼻的)に投与することができる。経口投与のための製剤としては、例えば、錠剤、カプセル剤、丸剤、顆粒剤、散剤、液剤、懸濁剤などが挙げられ、非経口投与のための製剤としては、例えば、注射用水性剤、もしくは油性剤、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、エアロゾル剤、坐剤、貼付剤などが挙げられる。これらの製剤は、従来公知の技術を用いて調製され、医薬分野において通常使用される無毒性かつ不活性な担体もしくは添加剤を含有することができる。 本発明の化合物の用量は、個々の化合物により、また患者の疾患、年齢、体重、性別、症状、投与経路等により変化するが、通常は成人(体重50 kg)に対して、化合物Aを、0.001〜4000 mg/日、好ましくは0.01〜400 mg/日、より好ましくは0.1〜40mg/日、最も好ましくは0.5〜20mg/日を1日1回または数回、例えば2ないし3回に分けて投与する。また、数日〜数週に1回投与することもできる。 また、本発明の化合物を含有する医薬組成物は更に、本発明の目的を損なわない範囲で、単一製剤中などに既存の認知機能障害の予防または治療薬を含んでもよい。更に、本発明の化合物は、本発明の目的を損なわない範囲で、既存の他の認知機能障害の予防または治療薬と組み合わせて(同時にまたは逐次的に)投与することができる。既存の他の認知機能障害の予防または治療薬としては、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤(例えば、ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン、タクリンなど)、NMDA受容体拮抗薬(例えばメマンチン、ネラメキサンなど)が挙げられる。さらには、シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害薬(例えばセレコキシブなど)、静注用ヒト免疫グロブリン製剤(例えばガンマガードなど)、5-HT6受容体拮抗薬(例えばPF-5212365など)、LTB4受容体拮抗薬(例えばイコサペント酸エチルなど)、ヒトモノクローン抗体(例えばバピネオズマブ、ソラネズマブなど)、アミロイドβ産生阻害剤(例えばセマガセスタット、BMS-708163など)などが挙げられるが、これらに限定されない。 用語「認知機能障害」は、主に後天的な脳の器質的な病変によって生じる精神機能の衰退、あるいは崩壊を指すが、原因疾患は多岐にわたる。成因により、認知機能障害は脳血管性認知症と神経変性性認知障害、外来性の原因による認知障害に分類される。これらはときに同時に発症する場合があり、混合型認知症と呼ぶ。特に、後述のアルツハイマー型認知症と脳血管性認知症との混合型認知症が挙げられる。また、認知機能障害には、各種認知症に進行しうる前駆段階である軽度認知機能障害(Mild. Cognitive Impairment: MCI)を含む。 脳血管性認知症とは、脳の血管障害、脳梗塞および脳出血が原因によって起こる認知症を指す。 神経変性性の認知機能障害の代表にはアルツハイマー型認知症および非アルツハイマー型認知症が挙げられる。 非アルツハイマー型認知症については例えば、レビー小体型認知症、神経原変性繊維変化型認知症、パーキンソン(Parkinson)病、ハンチントン(Huntington)舞踏病、前頭側型認知症(ピック(Pick)病、進行性皮質下グリオーシス(PSG)、運動ニューロン疾患を伴う初老期認知症(ALS-D)、前頭葉変性型認知症、第17番染色体に連鎖する前頭葉型認知症・パーキンソンニズム(FTDP-17))、グリアタングル型(Dementia with glial tangles:進行性核上麻痺(PSP)、皮質基底核変性症(CBD))、嗜銀顆粒性疾患群(argyrophilic grain disease)、皮質下核に病変の主座を有する認知症(ハンチントン舞踏病、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)、視床変性症)および分類困難な変性認知症が知られている。 さらに外来性の原因により引き起こされる認知機能障害としては例えば、統合失調症、うつ病、双極性うつ病、糖尿病、多動症(Attention deficit hyperactivity disorder)、クロイツフェルト・ヤコブ(Creutzfeldt-Jakob)病、クレペリン(Kraepelin)病、ハレルフォルデン・スパッツ(Hallervorden-Spatz)病、脊髄小脳変性症、進行性ミオクロヌスてんかん、進行性核上麻痺、粘性水腫、副甲状腺疾患、ウィルソン(Wilson)病、肝疾患、低血糖症、癌の遠隔症候、クッシング(Cushing)症候群、尿毒症、動脈硬化症、脳動脈硬化症、慢性脳循環不全症、脳出血、脳梗塞、脳塞栓、くも膜下出血、慢性硬膜下出血、仮性球麻痺、大動脈弓症候群、ビンスワンガー(Binswanger)病、動静脈奇形-閉塞性血栓性動脈炎、低酸素症、無酸素症、正常圧水頭症、ウェルニッケ・コルサコフ(Wernicke-Korsakoff)症候群、ペラグラ、マルキアファーヴァ・ビニャミ(Marchiafava-Bignami)病、ビタミン B12欠乏症、金属、有機化合物、一酸化炭素、毒物もしくは薬物による障害、脳腫瘍、開放性及び閉鎖性頭部外傷、バンチー症候群、熱発作、感染症、細菌性髄膜炎、真菌性髄膜炎、脳炎、進行性多巣性白質脳症、ベーチェット(Behcet)症候群、クールー(Kuru)病、梅毒、多発性硬化症、筋ジストロフィー症、ウィップル(Whipple)病、収容所症候群、播種性紅斑性狼瘡、心停止、エイズ脳症、甲状腺機能低下症、下垂体機能低下症、または慢性アルコール中毒によるものが挙げられる。 以下に本発明を、参考例、実施例および試験例により、さらに具体的に説明するが、本発明はもとよりこれに限定されるものではない。尚、以下の参考例および実施例において示された化合物名は、必ずしもIUPAC命名法に従うものではない。なお、記載の簡略化のために略号を使用することもあるが、これらの略号は前記記載と同義である。また本発明の化合物については化合物Aと記載した。実施例1(脳内移行性) 方法:マウス(C57BL/6J:雌性、11週齢、各時点3例)に、化合物Aまたはロシグリタゾンを10 mg/kgの用量で非絶食条件下、単回経口投与し、投与後6時間まで経時的に脳および血漿を採取して、血漿及び組織中濃度を測定した。また、各時点における血漿及び組織中濃度の平均値を基に、それぞれの消失半減期(t1/2及び)および組織中時間-濃度曲線下面積(AUC0-6hr)を算出した。 結果:化合物A投与後の脳内移行性を表す脳/血漿中AUC0-6hr比(Kp値)は、化合物Aで0.154となり、ロシグリタゾンの0.0451と比較すると、3.4倍高い値を示した。この結果より、化合物Aは、ロシグリタゾンと比べて脳内移行性が高いことが認められた。また、いずれの化合物においても脳と血漿のt1/2が大きく変化しないことから、各化合物の脳内濃度は、血漿中濃度と平行して減少することが認められた(表1)。実施例2(脳内アミロイドβ低下作用) 15から16ヶ月齢のスウェーデン型APP変異トランスジェニックマウス(雌性、Taconic Farms, Inc.)に10 週間、化合物A(86 mg/kg/日)を混餌投与した後、脳を採取し、大脳皮質および海馬中のグアニジン可溶性アミロイドβを総(total)アミロイドβとしてELISAにて定量した。 アルツハイマー型認知症では脳内のアミロイドβが増加しており、アルツハイマー型認知症の原因物質といわれているが、化合物Aは脳内(海馬もしくは大脳皮質)における主要なアミロイドβ成分であるアミロイドβ1−40およびアミロイドβ1−42を低下させる作用が認められた。さらに特に神経毒性の強いアミロイドβ1−42については海馬および大脳皮質の両方で抑制したことから、化合物Aはアルツハイマー型認知症の進行を抑制することが示唆された(表2)。実施例3(アミロイドβ低下作用の根拠となる作用機序) ラット新生仔由来のミクログリア細胞(住友ベークライト)に化合物A(0.5 μM、5 μM)を添加した培養液中で24時間培養した後、細胞より総RNAを抽出し、リアルタイムRT-PCR法によりスカンベンジャー受容体であるCD36の転写物量を測定し、同時に測定したグリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素(GAPDH)の転写物量に対する相対量を求めた。各処理条件におけるCD36転写レベルを比較する目的で、化合物の溶媒として用いたDMSOを添加した培養液中で24時間培養した細胞を1とした場合の比を算出した。 その結果、化合物Aは5 μMの濃度でCD36の転写物量の増加を誘導することが明らかになった(表3)。 アルツハイマー型認知症では、進行に伴い脳内にアミロイドβが増加する。従って、化合物Aはミクログリアにおけるアミロイドβの貪食分解を促進することでアルツハイマー型認知症の進行を抑制できることが示唆された。実施例4−1(APP変異トランスジェニックマウスにおける認知機能改善作用) 実施例2と同じ15から16ヶ月齢のスウェーデン型APP変異トランスジェニックマウス(雌性、Taconic Farms, Inc.)に10週間化合物A(86 mg/kg/日)を混餌投与した後、恐怖条件づけ文脈学習試験(contextual fear conditioning)試験(Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 104, 5161, 2006)を行い、すくみ反応を指標とした認知機能評価を行った。有効性の評価は統計的に有意なすくみ反応(%)の増加が認められた場合、認知機能改善作用を有すると判断した。スウェーデン型APP変異トランスジェニックマウス無処置群は野生型(Wild Type)マウスに対して認知機能が有意に低下していたが、化合物A投与群では無処置群に対して認知機能が有意に改善した(表4および図1)。実施例4−2(炎症惹起物質誘発認知機能障害モデルにおける認知機能改善作用) リポ多糖類(Lipopolysaccharide(LPS))はアルツハイマー型認知症の脳内の炎症状態を実験的に誘導すると知られており、アルツハイマー型認知症の炎症による認知障害を再現する優れた病態モデルと考えられる(Neurosci. Res., 61, 113, 2008)。 本実施例において、4週齢のSlc:ddYマウス(雄性、日本エスエルシー)にLPS(Eschenchia coli 055:B5, SIGMA)を5 μg/マウス (1mg/ml液を2.5 μlずつ両側)脳室内(i.c.v)投与したところ、処置4日後にY-maze試験において空間認知障害(交替行動率の低下)が惹起された。化合物A(10, 30, 100 mg/kg, p.o., n=14-16)またはロシグリタゾン(1, 3, 10 mg/kg, p.o., n=8)をLPS処置前30分、1,2,3日後、およびY-maze試験1時間前に投与して、認知機能障害改善作用について評価した。化合物の溶媒として0.5%メチルセルロース溶液を用いた。 有効性の評価は統計的に有意なすくみ反応(%)の増加が認められた場合、認知機能改善作用を有すると判断した。 化合物A投与群において30および100 mg/kgの用量で有意な交替行動率の改善作用が認められた(表5および図2A)。 ロシグリタゾン投与群においては3および10 mg/kgの用量で有意な交替行動率の改善作用が認められた(表6および図2B)。実施例5(副作用としての体液貯留発現に関する測定試験) 4週齢のC57BL/6Jマウス(雄性、日本クレア)に26週間高脂肪食(D12492、Research Diet Inc.)を負荷することにより肥満糖尿病を惹起した。ロシグリタゾン (0.1、0.3、1、3、10 mg/kg、n=8)または化合物A(3, 10, 30, 100 mg/kg、n=8)を8週間、1日1回経口投与した後、副作用(体液貯留)の指標としてヘマトクリット値を測定した(表7および表8)。化合物の溶媒として0.5%メチルセルロース溶液を用いた。 ロシグリタゾン投与群において、0.3 mg/kg以上の用量にて、ヘマトクリット値の有意な低下が認められた。 一方、化合物A投与群においては、最高用量の100 mg/kgにおいてもヘマトクリット値に有意な変化を認めなかった(表8)。 化合物Aはロシグリタゾンと異なり、副作用(体液貯留)を誘発しなかった。すなわち、化合物Aは薬効用量付近においてヘマトクリット値に影響を与えないので、臨床において安全マージンが既存剤よりも優れていることが期待できる。実施例6(スコポラミン誘発認知機能障害モデルにおける認知機能改善作用) スコポラミンはムスカリン性アセチルコリン受容体拮抗薬で、動物やヒトにおいて記憶障害を引き起こすことが知られている。そのため、アルツハイマー治療薬の効果を評価するためにスコポラミン誘発認知機能障害モデルは受動的回避反応試験を含む多くの認知機能評価試験で用いられている(Eur. J. Pharmacol., 383, 231, 1999)。本実施例では、化合物Aおよびロシグリタゾンのスコポラミン誘発認知機能障害ラットにおける認知機能改善作用について受動的回避反応試験を用いて、薬効を検討した。 化合物A(3、10、30 mg/kg)、ロシグリタゾン(1、3、10 mg/kg)を受動的回避反応試験の訓練60分前に経口投与した。訓練30分前にスコポラミン(0.5 mg/kg)もしくは生理食塩水を腹腔内投与した。訓練時、ラットを明室に入れ、10秒間探索させた。続いて明室と暗室の間のドアを開け、ラットが暗室に進入するとドアを閉め、3秒後に電撃ショック(0.5 mA、3秒間)を与えた。受動的回避反応試験は訓練の24時間後に行った。明室にラットを入れてラットが明室に留まる時間(移動潜時)を最大300秒まで観察して記録した。スコポラミン投与群とスコポラミン+被験薬物投与群について比較し、受動的回避反応試験の移動潜時についてダネット(Dunnett’s)多重比較検定を有意水準両側5 %にて実施した。有意な移動潜時(秒)増加が認められた場合、認知機能改善作用を有すると判断した。また、化合物の溶媒として0.5%メチルセルロース溶液を用いた。 その結果、化合物Aは3〜30 mg/kgの経口単回投与において用量依存的かつ統計学的に有意な(10、30 mg/kg)認知機能改善作用を示した(表9および図3)。一方、ロシグリタゾンは1〜10 mg/kg (p.o.)において、有意な移動潜時(秒)増加が認められなかった(表10および図3)。したがって、化合物Aは単回経口投与において、既存のPPARγ作動薬ロシグリタゾンよりも強い認知機能改善作用が認められた。 本発明の化合物は、臨床において優れた脳内アミロイドβ量の低下作用と認知機能の改善が期待できる。また本発明の化合物により、安全性が高い、認知機能障害、特にアルツハイマー型認知症の予防および/または治療のための剤、医薬組成物、および予防、治療方法を提供することができる。 2-メチル-2-[(4-{(1E)-3-[2-(4-メチルベンゾイル)-1H-ピロール-1-イル]プロパ-1-エン-1-イル}ベンジル)オキシ]プロピオン酸またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含有する、認知機能障害の予防および/または治療のための剤または医薬組成物。 認知機能障害が、神経変性性認知障害、脳血管性認知症、外来性の原因による認知障害、またはそれらの混合型認知症である、請求項1記載の認知機能障害の予防および/または治療のための剤または医薬組成物。 認知機能障害が、アルツハイマー型認知症である、請求項1記載の認知機能障害の予防および/または治療のための剤または医薬組成物。 認知機能障害が、アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症との混合型認知症である、請求項1記載の認知機能障害の予防および/または治療のための剤または医薬組成物。 認知機能障害が、非アルツハイマー型認知症である、請求項1記載の認知機能障害の予防および/または治療のための剤または医薬組成物。 認知機能障害が、さらに、統合失調症、うつ病、双極性うつ病、糖尿病、多動症、クロイツフェルト・ヤコブ病、クレペリン病、ハレルフォルデン・スパッツ病、脊髄小脳変性症、進行性ミオクロヌスてんかん、進行性核上麻痺、粘性水腫、副甲状腺疾患、ウィルソン病、肝疾患、低血糖症、癌の遠隔症候、クッシング症候群、尿毒症、動脈硬化症、脳動脈硬化症、慢性脳循環不全症、脳出血、脳梗塞、脳塞栓、くも膜下出血、慢性硬膜下出血、仮性球麻痺、大動脈弓症候群、ビンスワンガー病、動静脈奇形-閉塞性血栓性動脈炎、低酸素症、無酸素症、正常圧水頭症、ウェルニッケ・コルサコフ症候群、ペラグラ、マルキアファーヴァ・ビニャミ病、ビタミン B12欠乏症、金属、有機化合物、一酸化炭素、毒物もしくは薬物による障害、脳腫瘍、開放性及び閉鎖性頭部外傷、バンチー症候群、熱発作、感染症、細菌性髄膜炎、真菌性髄膜炎、脳炎、進行性多巣性白質脳症、ベーチェット症候群、クールー病、梅毒、多発性硬化症、筋ジストロフィー症、ウィップル病、収容所症候群、播種性紅斑性狼瘡、心停止、エイズ脳症、甲状腺機能低下症、下垂体機能低下症、または慢性アルコール中毒によるものである、請求項1記載の認知機能障害の予防および/または治療のための剤または医薬組成物。 認知機能障害が、軽度認知機能障害である、請求項1記載の認知機能障害の予防および/または治療のための剤または医薬組成物。 さらに単一製剤中に他の認知機能障害の予防および/または治療薬の少なくとも1つを含有する、請求項1記載の認知機能障害の予防および/または治療のための剤または医薬組成物。 他の認知機能障害の予防および/または治療薬が、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、NMDA受容体拮抗薬、シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害薬、静注用ヒト免疫グロブリン製剤、5-HT6受容体拮抗薬、LTB4受容体拮抗薬、ヒトモノクローン抗体、およびアミロイドβ産生阻害剤からなる群から選ばれる、請求項8記載の認知機能障害の予防および/または治療のための剤または医薬組成物。 2-メチル-2-[(4-{(1E)-3-[2-(4-メチルベンゾイル)-1H-ピロール-1-イル]プロパ-1-エン-1-イル}ベンジル)オキシ]プロピオン酸またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と、他の認知機能障害の予防および/または治療薬の少なくとも1つとを組合せて含む、認知機能障害の予防および/または治療のための剤または医薬組成物。 他の認知機能障害の予防および/または治療薬が、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、NMDA受容体拮抗薬、シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害薬、静注用ヒト免疫グロブリン製剤、5-HT6受容体拮抗薬、LTB4受容体拮抗薬、ヒトモノクローン抗体、およびアミロイドβ産生阻害剤からなる群から選ばれる、請求項10記載の認知機能障害の予防および/または治療のための剤または医薬組成物。 2-メチル-2-[(4-{(1E)-3-[2-(4-メチルベンゾイル)-1H-ピロール-1-イル]プロパ-1-エン-1-イル}ベンジル)オキシ]プロピオン酸またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物が、他の認知機能障害の予防および/または治療薬と共に同時にまたは逐次的に投与される、請求項10記載の認知機能障害の予防および/または治療のための剤または医薬組成物。 2-メチル-2-[(4-{(1E)-3-[2-(4-メチルベンゾイル)-1H-ピロール-1-イル]プロパ-1-エン-1-イル}ベンジル)オキシ]プロピオン酸またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の治療的有効量をそれを必要とする患者に投与することを特徴とする、認知機能障害の予防および/または治療方法。 2-メチル-2-[(4-{(1E)-3-[2-(4-メチルベンゾイル)-1H-ピロール-1-イル]プロパ-1-エン-1-イル}ベンジル)オキシ]プロピオン酸またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の治療的有効量を、他の認知機能障害の予防および/または治療薬の治療的有効量と共に同時にまたは逐次的に投与することを特徴とする、請求項13記載の認知機能障害の予防および/または治療方法。 2-メチル-2-[(4-{(1E)-3-[2-(4-メチルベンゾイル)-1H-ピロール-1-イル]プロパ-1-エン-1-イル}ベンジル)オキシ]プロピオン酸またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を有効成分とする、認知機能障害の予防および/または治療に使用するための医薬組成物。 他の認知機能障害の予防および/または治療薬と併用する、請求項15記載の認知機能障害の予防および/または治療に使用するための医薬組成物。 本発明は、2-メチル-2-[(4-{(1E)-3-[2-(4-メチルベンゾイル)-1H-ピロール-1-イル]プロパ-1-エン-1-イル}ベンジル)オキシ]プロピオン酸またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む、アルツハイマー型認知症を中心とする認知機能障害の予防および/または治療剤を提供する。


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