タイトル: | 公開特許公報(A)_シャンプー組成物 |
出願番号: | 2010053619 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | A61K 8/73,A61Q 5/02 |
吉見 知明 JP 2011184405 公開特許公報(A) 20110922 2010053619 20100310 シャンプー組成物 サイエンスラボ株式会社 510066695 特許業務法人三枝国際特許事務所 110000796 吉見 知明 A61K 8/73 20060101AFI20110826BHJP A61Q 5/02 20060101ALI20110826BHJP JPA61K8/73A61Q5/02 5 OL 8 4C083 4C083AC241 4C083AC242 4C083AC301 4C083AC302 4C083AD321 4C083AD322 4C083AD641 4C083AD642 4C083CC38 4C083EE07 4C083EE10 本発明は、頭髪及び頭皮の洗浄に有用な、シャンプー組成物に関する。 従来、頭髪及び頭皮の洗浄に用いるシャンプー組成物としては、主としてイオン性界面活性剤を洗浄剤成分として含有するものが知られている。そして、イオン性界面活性剤としては、具体的には、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両イオン性界面活性剤が知られている。 シャンプー組成物としては、例えば、特許文献1の請求項1には、「(A)アニオン界面活性剤、および両性界面活性剤とから選ばれた少なくとも1種と、(B)水不溶性植物繊維材料を分解し、抽出して製造された水溶性ヘミセルロースとを必須成分として含有するシャンプー組成物。」が記載されている。このシャンプー組成物は、(A)成分であるアニオン界面活性剤及び両性界面活性剤が洗浄剤成分であり、頭髪及び頭皮の皮脂等の汚れを吸着することにより洗浄する。また、特許文献1には、任意成分として、キトサンを保湿剤として添加しても良いことが記載されている(特許文献1の[0016]段落)。 上記従来のシャンプー組成物は、イオン性界面活性剤を洗浄剤成分とするため、十分に泡立つとともに洗浄性が良好である。しかしながら、イオン性界面活性剤は皮膚刺激性があるため敏感肌の使用者にとっては頭皮荒れや皮脂の過剰除去(乾燥化)の原因となる。 上記問題を改善するために、界面活性剤を非イオン性界面活性剤に代替することが提案されているが、非イオン性界面活性剤は洗浄性及び泡立ち性がともに不十分であるため、代替材料としては不十分と考えられている。特開平5−194158号公報 本発明は、十分な洗浄性を有し、皮膚刺激性が低減されたシャンプー組成物を提供することを主な目的とする。 本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、キトサン、水及び非イオン性界面活性剤を含有する、キトサン溶液であるシャンプー組成物において、キトサン濃度を特定範囲に設定した場合には、以外にもキトサンが洗浄成分として作用し、皮膚刺激性が低減されたシャンプー組成物となることを見出し、本発明を完成するに至った。 即ち、本発明は、下記のシャンプー組成物に関する。1.平均分子量が20000〜700000のキトサン、水及び非イオン性界面活性剤を含有する、キトサン溶液であるシャンプー組成物であって、前記キトサン溶液中の前記キトサンの濃度が40mg/l以上であることを特徴とするシャンプー組成物。2.前記キトサン溶液中の前記キトサンの濃度が40〜9000mg/lである、上記項1に記載のシャンプー組成物。3.前記キトサンの平均分子量が30000〜200000である、上記項1又は2に記載のシャンプー組成物。4.前記キトサン溶液が、乳酸、酢酸及びL−アスコルビン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する、上記項1〜3のいずれかに記載のシャンプー組成物。5.頭髪及び頭皮を洗浄する際に、前記キトサン濃度が40〜90mg/lとなるように、希釈して用いる、上記項1〜4のいずれかに記載のシャンプー組成物。 以下、本発明のシャンプー組成物について詳細に説明する。 本発明のシャンプー組成物は、平均分子量が20000〜700000のキトサン、水及び非イオン性界面活性剤を含有するキトサン溶液であって、前記キトサン溶液中の前記キトサンの濃度が40mg/l以上であることを特徴とする。 上記特徴を有する本発明のシャンプー組成物は、イオン性界面活性剤を必須成分として含有しないために従来品と比して皮膚刺激性が低減されている。他方、非イオン性界面活性剤を含有することにより、洗浄成分であるキトサンを高濃度且つ均一に溶解・含有することができる。洗浄成分であるキトサンは、頭髪及び頭皮の洗浄に用いる際、約1〜100倍に希釈され、キトサン濃度が40〜90mg/lの範囲で頭髪及び頭皮の汚れ(皮脂)を効率的に吸着・除去することができる。本発明のシャンプー組成物は、頭髪及び頭皮を洗浄する際に、約1〜100倍(キトサン濃度が40〜90mg/l)に希釈されて用いられることを前提としており、このキトサン濃度において、有効成分のキトサンが皮脂等の汚れを効率的に吸着・除去する。 本発明のシャンプー組成物は、平均分子量が20000〜700000のキトサン、水及び非イオン性界面活性剤を含有するキトサン溶液である。 上記キトサンは、甲殻等の外骨格に多く存在するキチンを脱アセチル化して得られるものであり、公知又は市販品を使用することができる。脱アセチル化の度合いは限定的でないが、一般的には60%以上が好ましい。 上記キトサンの平均分子量は、通常20000〜700000程度、好ましくは30000〜200000程度、より好ましくは40000〜80000程度である。20000未満であると皮脂等の汚れを吸着除去する効果が衰えるか又は発揮しなくなる。また、700000を超えると、キトサン溶液の調製が難しくなる。 本発明におけるキトサンの平均分子量は、ゲルパーミッションクロマトグラフによって測定されるものである。具体的には、例えば、装置としてWaters 2695 HPLCを用い、カラム:Shodex OHpax SB-804 HQ(8mmφ×300mm)、排除限界分子量:1000000、測定温度:40℃、試料注入:オートサンプラー20μl、移動相:0.1M酢酸+0.1M酢酸ナトリウム水溶液 1.0 ml/min、検出器:Waters 2410 示差屈折計、データ処理:Waters Millenium32、標準物質:プルラン及びD(+)-グルコース、とする条件下で測定されるものである。 キトサン溶液中のキトサンの濃度は、40mg/l以上とし、好ましくは40〜9000mg/lである。かかるキトサン濃度であれは、本発明のシャンプー組成物を頭髪及び頭皮の洗浄に用いる際、約1〜100倍に希釈され、キトサン濃度が40〜90mg/lの範囲となり、頭髪及び頭皮の汚れ(皮脂)を効率的に吸着・除去することができる。希釈濃度の上限は、一般的な洗髪の際に髪を濡らした場合を想定して設定している。なお、キトサン溶液中のキトサン濃度を当初から40〜90mg/lの範囲で設定する場合には、希釈せず頭髪及び頭皮の洗浄に使用することができる。 希釈された際のキトサン濃度が40mg/l未満の場合には、汚れの吸着・除去効率が十分に得られないおそれがある。また、キトサンによる汚れの吸着・除去効果の最適濃度範囲が40〜90mg/lである観点から希釈時(洗浄時)のキトサン濃度の上限値を90mg/lとしている。キトサンによる汚れの吸着・除去能力には最適濃度範囲(40〜90mg/l)があり、最適濃度範囲から外れると少なくても多くても効果は得られない。これは、キトサン濃度が過剰であるとキトサンどうしが吸着し合うことにより、汚れを吸着するためのキトサン本来の能力が低下するためである。 上記キトサン溶液は、キトサン懸濁液とは洗浄効果が大きく異なる。即ち、本発明では、キトサン溶液は、キトサンが水に均一に溶解していることにより、キトサン分子が皮脂等の汚れを効率的に吸着することができる。キトサン分子が溶けずに単に水に懸濁・分散しているだけでは皮脂等の汚れ除去効果は得られない。本発明では、キトサン溶液中のキトサン濃度が前記範囲内にあることが重要である。 上記キトサン溶液は、必要に応じて乳酸、酢酸及びL−アスコルビン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸を含んでもよい。平均分子量20000〜700000のキトサンは、水に溶けにくいが、キトサン溶液の調製に際して酸を使用することにより、キトサンが水に溶けやすくなる。なお、本発明のシャンプー組成物に酸成分を含むことは、キトサン溶液の調製のし易さに起因するものであり、酸を含むことは必須ではない。 また、キトサン溶液には、pH調整剤を含有していてもよい。前記のように、キトサン溶液の調製に際して酸を使用した場合、pHを中性付近とすることを目的として、pH調整剤を使用できる。このようなpH調整剤としては、例えば、炭酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。なお、シャンプー組成物は、皮膚に接触するものであるため、pHは、中性付近(例えばpH6.8〜7.2程度)であることが好ましい。 本発明のシャンプー組成物は、界面活性剤として非イオン性界面活性剤を含有する。非イオン性界面活性剤を含有することにより、9000mg/l程度という高いキトサン濃度であってもキトサンを均一に溶解することができる。また、非イオン性界面活性剤自体も洗浄成分として作用する。これに対し、従来品のようにイオン性界面活性剤であれば、キトサンとの相溶性が悪く、特にカチオン性界面活性剤を用いる場合にはキトサン濃度が40mg/l以下の濃度でもキトサンを均一に溶解することはできず、キトサンの凝集・沈降又は分離の原因となる。 非イオン性界面活性剤の含有量は限定的ではないが、シャンプー組成物100重量%中に0.01〜3重量%が好ましく、0.05〜2重量%がより好ましい。 非イオン性界面活性剤としては、具体的に、サンソフトM−12JW、エマルゲン103、レオドールTW−L120等が好ましい。サンソフトM−12JWを用いる場合には、シャンプー組成物中の含有量は1重量%程度(0.5〜1.5重量%程度)が好ましい。 本発明のシャンプー組成物は、上記必須成分以外に増粘剤などの添加剤を含んでもよい。増粘剤としては、セルロースガム、ペクチン、ヒドロシキエチルセルロース等を挙げることができる。その他、必要に応じて、合成着色料、保存料、乳化剤、酸化防止剤、漂白剤等を適宜配合することができる。 本発明のシャンプー組成物の調製方法は、上記各成分の均一な溶液が得られる限り特に限定されない。均一な溶液とするために、必要に応じて攪拌してもよく、例えば、室温で20分間〜120分間程度攪拌すればよい。 キトサンの平均分子量が大きくなり、また、キトサンの濃度が高くなるにつれて、キトサンは水に溶けにくくなり、攪拌時間が長くなる。また、前記の通り、平均分子量20000〜700000のキトサンは、水に非常に溶けにくく、単に水と混合・攪拌するだけでは、キトサン濃度が低い場合であっても、水溶液にするのに非常に長時間を要する。 このような場合、キトサン水溶液を調製する場合には、酸を使用してキトサン水溶液とすることが望ましい。 更に、前記特定濃度のキトサン水溶液の調製に際し、一旦、高濃度のキトサン溶液を調製し、これを水で希釈して所望の濃度のキトサン溶液とする場合には、高濃度のキトサン溶液を調製するに際して、酸を使用してキトサン溶液とすることが望ましい。 キトサン溶液の調製に際し、酸を使用する場合、例えば、乳酸、酢酸及びL−アスコルビン酸からなる群から選択される少なくとも1種の酸と水とを混合してpH2.0〜6.9の溶液を調製し、この溶液と平均分子量20000〜700000のキトサンとを混合して均一な溶液を得ることができる。また、必要に応じて、得られたキトサン溶液を水で希釈することにより、前記特定濃度のキトサン溶液を得ることができる。 乳酸等の酸を使用してキトサン溶液を調製する場合、酸の使用量は、キトサンの均一溶液が得られれば特に限定されない。例えば、酸を使用することにより、キトサン溶液中のキトサン濃度が2〜4重量%程度の水溶液を調製し、これを水で希釈して前記キトサン濃度範囲に設定することができる。具体的には、前記乳酸等の酸を使用することにより、通常pH2.0〜6.9程度、好ましくは、pH3.0〜4.0程度となるように調整してキトサンを水に均一に溶解させてから、これを水で希釈して本発明のキトサン溶液を調製することができる。水で希釈することによって、pHを中性付近にすることができるが、pHの調整に際し、前記pH調整剤を使用してもよい。 キトサン溶液の調製に使用するキトサンは、前記のキトサンを使用すればよい。水と混合される前のキトサンの形状は限定的でなく、塊状、粒状、粉末状等のいずれでもよい。 キトサン溶液を調製後、非イオン性界面活性剤を所定量添加し、撹拌すればよい。 本発明のシャンプー組成物は、イオン性界面活性剤を必須成分として含有しないために従来品と比して皮膚刺激性が低減されている。他方、非イオン性界面活性剤を含有することにより、洗浄成分であるキトサンを高濃度且つ均一に溶解・含有することができる。洗浄成分であるキトサンは、頭髪及び頭皮の洗浄に用いる際、約1〜100倍に希釈され、キトサン濃度が40〜90mg/lの範囲で頭髪及び頭皮の汚れ(皮脂)を効率的に吸着・除去することができる。試験例1におけるタンパク質の定性反応(ニンヒドリン反応)の測定結果を示すグラフである。 以下、試験例・比較例により本発明を詳細に説明する。 試験例1(タンパク質の定性分析(ニンヒドリン反応)) キトサン(平均分子量40000)20gを、乳酸2.4質量%水溶液(pH3.0)0.5リットル中に添加し、室温にて80分間攪拌することにより、キトサンを乳酸水溶液に溶解させ、pH調整剤として5%炭酸ナトリウム溶液20mlを添加して、4質量%のキトサン溶液を作成した。このキトサン溶液のpHは5.8であった。 上記キトサン溶液に、非イオン性界面活性剤(サンソフトM−12JW、シャンプー組成物中の濃度:1重量%)及び水を加えて、10、20、40、60、90、100及び120mg/lのシャンプー組成物(7種)を調製した。各シャンプー組成物のpHは7.0〜5.8であった。 上記シャンプー組成物(7種)について、ニンヒドリン試薬を使ってタンパク質の定性分析を実施した。なお、シャンプー組成物からはタンパク質は検出されなかった。 毎日夕方、本発明のシャンプー組成物でシャンプーした後、頭髪をドライヤーで乾燥させた。頭髪にはヘヤークリーム等は一切付けず、翌日の朝起床後、本発明のシャンプー組成物で洗髪した。これを7種類(7日間)行った。なお、本試験例では使用時のキトサン濃度と洗浄効果との関係を調べるためにシャンプー組成物は希釈せずに使用した。 洗髪で起泡した泡をビーカーに分取し、これに2%のニンヒドリン試薬を2ml添加し、ガスバーナーで加熱した。加熱後、各ビーカーの液の色を確認した。ビーカーの液の色が濃い青色を呈すれば、泡の中に、タンパク質が検出される。無色であれば、泡の中にタンパク質が検出されない。表1にその結果を示す。図1には試験例1の、ニンヒドリン反応試験の結果を示す。 なお、試験例1及び後記比較例1では、キトサンの平均分子量は、ゲルパーミッションクロマトグラフによって測定した。この測定において、試料調製:試料(キトサン)約20mgを移動相約5mlに完全に溶解後分析に供した。測定条件は下記の通りとした。 〈測定条件〉装置:Waters 2695 HPLCカラム:Shodex OHpax SB-804 HQ(8mmφ×300mm)排除限界分子量:1,000,000測定温度:40℃試料注入:オートサンプラー 20μl移動相:0.1M酢酸+0.1M酢酸ナトリウム水溶液 1.0 ml/min検出器:Waters 2410 示差屈折計データ処理:Waters Millenium32標準物質:プルラン及びD(+)-グルコース。 比較例1 キトサン(平均分子量40000)20gを、乳酸2.4質量%水溶液(pH3.0)0.5リットル中に添加し、室温にて80分間攪拌することにより、キトサンを乳酸水溶液に溶解させ、pH調整剤として5%炭酸ナトリウム溶液20mlを添加して、4質量%のキトサン溶液を作成した。このキトサン溶液のpHは5.8であった。 上記キトサン溶液に、アニオン性界面活性剤であるアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ネオペレックス GS)、シャンプー組成物中の濃度:1重量%)及び水を加えて、10、20、40、60、90、100、120mg/lのシャンプー組成物(7種)を調製しようとした。 しかしながら、界面活性剤として、アニオン性界面活性剤のネオペレックス GSを使用した場合には、プラスの電荷を持つキトサンとマイナスの電荷を持つネオペレックス GSが反応して、均一にキトサンが溶解したシャンプー液を作ることができなかった。従って、タンパク質の定性分析の実験もできなかった。 平均分子量が20000〜700000のキトサン、水及び非イオン性界面活性剤を含有する、キトサン溶液であるシャンプー組成物であって、前記キトサン溶液中の前記キトサンの濃度が40mg/l以上であることを特徴とするシャンプー組成物。 前記キトサン溶液中の前記キトサンの濃度が40〜9000mg/lである、請求項1に記載のシャンプー組成物。 前記キトサンの平均分子量が30000〜200000である、請求項1又は2に記載のシャンプー組成物。 前記キトサン溶液が、乳酸、酢酸及びL−アスコルビン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載のシャンプー組成物。 頭髪及び頭皮を洗浄する際に、前記キトサン濃度が40〜90mg/lとなるように、希釈して用いる、請求項1〜4のいずれかに記載のシャンプー組成物。 【課題】頭髪及び頭皮の洗浄に際し、十分な洗浄性を有し、皮膚刺激性が低減されたシャンプー組成物を提供する。【解決手段】平均分子量が20000〜700000のキトサン、水及び非イオン性界面活性剤を含有する、キトサン溶液であるシャンプー組成物であって、前記キトサン溶液中の前記キトサンの濃度が40mg/l以上であることを特徴とするシャンプー組成物。【選択図】なし