タイトル: | 公開特許公報(A)_迅速な加水分解予測方法 |
出願番号: | 2010041209 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | G01N 5/04,G01N 33/15 |
後藤 晃範 森 浩俊 JP 2011174904 公開特許公報(A) 20110908 2010041209 20100226 迅速な加水分解予測方法 杏林製薬株式会社 000001395 後藤 晃範 森 浩俊 G01N 5/04 20060101AFI20110812BHJP G01N 33/15 20060101ALI20110812BHJP JPG01N5/04 EG01N33/15 Z 11 1 OL 11 本発明は製剤中の化学物質の安定性を、迅速に評価する方法に関する。 一般に医薬品の安定性試験は、加速条件(40℃/75%RH)で6ヶ月、長期保存条件(25℃/60%RH)で24ヶ月という非常に長期に渡る試験が行われている。また、製剤の安定性改善やスケールアップに伴い数種の候補処方が検討されると、安定性試験が多数並行して行われることになり、開発費用が多大に発生するため、製剤処方開発の初期段階で安定性予測をすることが重要となる。 製剤処方開発の初期段階における安定性予測に応用できる方法として、熱測定装置を用いた安定性予測法が報告されている(特許文献1、2)。一般的に、熱測定装置を用いて加水分解反応の評価を行う場合には、湿度制御装置を用いて、熱測定装置の加熱炉内湿度を制御しつつ、加温することが知られている。特開平8−145918公報特開2000−074809公報本発明が解決しようとする一つの課題は、高温で加水分解反応を行うことを可能にし、化学物質の安定性を迅速に評価する方法を確立することにある。従来報告されていた、湿度制御装置を用いて湿度制御をしつつ熱測定装置を用いて安定性を測定する場合には、排気部分の結露のため、80℃程度までしか昇温できなかった。しかし、より迅速に加水分解反応を評価するためには、より高温下で評価する必要があった。そのため、より高温下、好ましくは100℃より高い温度まで昇温し、加水分解反応を行える方法を確立することが課題であった。 本発明者らは、より高温下で加水分解反応を行うために、熱測定装置を用いた安定性予測方法を検討した。その結果、湿度制御装置を用いることなく、室温から35℃の水温の水を通過させたガスを熱測定装置の加熱炉に導入し加熱することにより、100℃より高い温度にすることができ、より迅速に加水分解反応を評価することが出来ることを見出し、本発明を完成した。 すなわち、本発明は、以下の発明を包含する。[1] 100℃より高い温度での加水分解反応の測定法であって、以下の工程からなる方法。(工程1)室温から35℃の水温の水を通過させたガスを、熱測定装置の反応炉に導入する。(工程2)80℃、90%RHの条件で24時間分解させた時の組成物中での分解物の量が3%未満である化合物を含有する組成物を、熱測定装置の加熱炉に設置し、熱測定装置の加熱炉内温度を100℃より高い設定温度に加熱して分解反応をさせる。(工程3)加熱炉から試料を取り出し、分解物量を定量する。[2]工程1におけるガスが窒素ガスである、[1]に記載の方法。[3]工程1における水温が25℃から35℃である、[1]または[2]に記載の方法。[4]工程2における組成物が、原薬と添加剤のみからなる組成物である、[1]から[3]の何れかに記載の方法。[5]原薬と添加剤の重量比が、1:1から1:50である、[4]に記載の方法。[6] 化合物の残存率を予測する方法であって、以下の工程からなる方法。(工程1)室温から35℃の水温の水を通過させたガスを、熱測定装置の反応炉に導入する。(工程2)80℃、90%RHの条件で24時間分解させた時の分解物の量が3%未満である化合物を含有する組成物を、熱分析装置の加熱炉に設置し、熱分析装置の加熱炉内温度を100℃より高い設定温度に加熱して分解反応をさせる。(工程3)加熱炉から試料を取り出し、分解物量を定量することにより残存率を計算する。(工程4)異なる加熱炉内温度で、工程2および工程3を3回以上繰り返す。(工程5)得られた複数の残存率を用いて反応速度式および/または反応速度定数を算出する。(工程6)アレニウスプロットにより回帰直線および/または回帰直線式を得て、残存率を予測する。[7] 工程1におけるガスが窒素ガスである、[6]に記載の方法。[8] 工程1における水温が25℃から35℃である、[6]または[7]に記載の方法。[9]工程6において予測する残存率が、加速条件下または長期保存条件下における残存率である、[6]から[8]の何れか一つに記載の方法。[10]工程2における組成物が、原薬と添加剤のみからなる組成物である、[6]から[9]の何れかに記載の方法。[11]原薬と添加剤の重量比が、1:1から1:50である、[10]に記載の方法。 本発明により、加湿下で熱測定装置の加熱炉内温度を高温にすることができ、化学物質の加水分解の評価をより迅速に行うことができるようになった。また、湿度制御装置等の特別な装置も必要なく、操作も簡便である。本発明の方法では、高温下での相対湿度は低いが、驚くべきことに、相対湿度に依存せず、加水分解反応を評価することができる。したがって、本発明の方法によれば、迅速に組成物中の原薬の安定性が評価でき、医薬組成物開発初期における添加剤の配合適格性が判断できる。本発明に係る装置の概略図参考例1における熱分析の結果実施例4において作成した回帰直線 本明細書において「雰囲気ガス」とは、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガス、または空気を意味する。本発明は加水分解反応による分解物を測定する方法であるから、副反応を防止する観点から、窒素ガスまたはアルゴンガスなどの不活性ガスが好ましく、更に好ましくは窒素ガスである。 本明細書において「熱測定装置」とは、試料を所望の温度に保温する機能と試料の温度、試料の熱吸収・放出の変化、重量変化を精度よく測定できる装置を意味する。さらに、加熱炉に水蒸気や窒素ガスなどの所望の雰囲気ガスを流すことができ、熱分析測定が精度よく行える装置であればなおよい。具体的には、例えば示差走査熱量計、熱量計、微少熱量計、示差熱測定装置、示差熱−熱重量同時測定装置、熱重量分析装置、熱機械測定装置、動的熱機械測定装置などをあげることができる。 本明細書において「熱測定装置の加熱炉」とは、試料を加熱する炉のことであり、任意の雰囲気ガスを流せる炉を意味する。 本明細書において「80℃、90%RHの条件で24時間分解させた時の組成物中での分解物の量が3%未満の化合物」とは、現存の調湿できる熱測定装置の上限温度及び湿度で分解させた時に安定性予測に最適な分解率の下限まで分解できない化合物を意味する。 本明細書において「100℃より高い設定温度」の「設定温度」は、試料により上限温度がある。その上限温度までの間で、任意に設定できる。操作の簡便性を考慮すると、10℃ごと、或いは5℃ごとに設定するのが好ましい。なお、上限温度については、下記の方法により、試料ごとに測定する。本明細書において「加速条件」とは、医薬品の安定性試験のために汎用されている、40℃/75%RHの条件を意味する。 本明細書において「長期保存条件」とは、医薬品の安定性試験のために汎用されている、25℃/60%RHの条件を意味する。 本明細書において「反応速度式」および「反応速度定数」とは、分解率が時間の関数で表される数式を意味する。本明細書において「アレニウスプロット」とは、温度を絶対温度Tに換算してその逆数をX軸に取り、反応速度定数の自然対数をY軸にとってプロットしたものを意味する。本明細書において「回帰直線」および「回帰直線式」とは、最小二乗法により一次の式に近似したものを意味し、回帰直線式とは近似した直線を表す数式を意味する。本明細書において「原薬」とは、医薬品の活性成分を意味する。(加熱温度の上限の決定) 本発明における加熱温度は、外挿したい温度と同じ分解反応が起きている温度である必要がある。すなわち、本発明の目的の一つは、加速条件や長期保存条件における組成物中の残存率を予測することにあるので、高温下でのみ起こり、室温付近では起こらないような分解反応は避ける必要がある。したがって、TG(熱重量分析)において急激な増量又は減量、DTA(示差熱分析)において急激な発熱又は吸熱が生じる温度を確認し、その温度未満で分解させる必要がある。(分解物量の測定法) 本発明における、100℃より高い温度での加水分解による分解物量の測定法は、以下の工程からなる。(工程1)室温から35℃の水温の水を通過させたガスを、熱測定装置の加熱炉に導入する。(工程2)80℃、90%RHの条件で24時間分解させた時の組成物中での分解物の量が3%未満である化合物を含有する組成物を、熱測定装置の加熱炉に設置し、熱測定装置の加熱炉内温度を100℃より高い設定温度に加熱して分解反応をさせる。(工程3)加熱炉から試料を取り出し、分解物量を定量する。工程1は、水分を含んだガスを熱測定装置の加熱炉に導入する工程である。本工程においては、通常の雰囲気ガス流路中にガス洗浄瓶などを組み込み、雰囲気ガスを水に通すことにより加湿する。このガス洗浄瓶等は、水浴中で室温から35℃に加温して一定温度に保つ。水浴の温度は、25℃から35℃であることが好ましく、30℃であることが更に好ましい。工程2は、試料を熱分解装置の加熱炉内で分解させる工程である。試料を熱測定装置内で保温するときに使用する試料容器の材質は、試料と化学反応せず、しかも測定する温度範囲内で変質しないものがよく、例えば、金属、ガラス、テフロン(登録商標)、グラファイトなどがあげられる。熱伝導率の高い材質が好ましく、例えばアルミニウム製の試料容器が好ましい。また、試料の反応性が高い場合は、例えば白金製の試料容器を用いるとよい。試料容器の形状は、試料の保温に用いる熱測定装置に使用できるものであればよい。試料容器へ量り込む試料の量は、使用する熱測定装置の試料容器の大きさによるが、操作性を考慮すると通常1mgから100mgであり、熱伝導率の誤差を考えると通常5mgから20mgが好ましい。本発明の方法では、まず、試料を量り込んだ上記のような試料容器を熱測定装置内に置き、試料の温度を測定しながら試料を保温する。熱測定装置により、試料の温度に加えて、試料の熱吸収・放出、重量などの変化を経時的に測定しながら保温することが好ましい。各温度における試料の保温時間は、分解率Y(%)が、3%<Y<50%の範囲となるよう設定する。具体的には、熱測定装置内の条件が平衡に達し試料が一定温度になるまでの時間や保温時間の測定誤差等を考慮すると、保温時間は2時間以上であることが好ましい。保温時間を2時間以下にする必要がある場合には、熱測定装置の加熱炉を予め保温温度に保持しておき、該加熱炉へ試料の入った試料容器を入れるとよい。工程3は、分解物量を測定する工程である。このようにして試料を保温した後、該試料中の目的物質を定量する。定量法としては正確かつ精度の高い方法であればよく、試料の性質により適宜選択できる。具体的には各種のクロマトグラフ法、電気泳動法、分光分析法、滴定法などをあげることができる。(化合物の残存率を予測する方法)加速条件または長期保存条件における化合物の残存率を予測する方法は、以下の工程からなる。(工程1)室温から35℃の水温の水を通過させたガスを、熱測定装置の加熱炉に導入する(工程2)80℃、90%RHの条件で24時間分解させた時の分解物の量が3%未満である化合物を含有する組成物を、熱測定装置の加熱炉に設置し、熱測定装置の加熱炉内温度を100℃より高い設定温度に加熱して分解反応をさせる(工程3)試料を取り出して分解物量を定量することにより、残存率を計算する(工程4)異なる加熱炉内温度で、工程2および工程3を一定温度下で3回以上繰り返す。温度も3点以上の一定温度で繰り返す。(工程5)得られた複数の残存率を用いて反応速度式を選択し、反応速度定数を算出する(工程6)アレニウスプロットにより回帰直線および/または回帰直線式を得て、残存率を予測する。工程1から工程3までは、上記の「分解物量の測定法」とほぼ同様である。工程3において、分解物量から残存率を計算する点のみ異なる。なお、化合物残存率予測に際しては、別の温度における化合物残存率を複数測定する必要があるため、工程2および工程3を、温度を変更して繰り返す必要がある(工程4)。かかる測定は、該温度の範囲を広く取るほど、また、数多くの温度において実施するほど残存率の予測の精度を高めることができる。このような試料の保温と温度等の測定は各温度における各分解時間について1回以上行い、繰り返し行なうと、残存率の予測の精度を更に高めることができる。工程5は、反応速度式および反応速度定数を算出する工程である。反応速度式としては、例えばn次反応速度式(nは、0以上の実数)、Janderの式、Weibullの式、拡散律速の式、Avramiの式、Prout-Tompkinsの速度式などがあり、個々の試料中の目的物質の分解に最も良く合う式を選択することができる。選択した速度式から各温度における反応速度定数を算出する。工程6は、回帰直線式を得て、残存率を予測する工程である。保温中の試料の温度を絶対温度Tに換算してその逆数を横軸にとり、該温度における反応速度定数kの自然対数を縦軸にとって各点をプロットする。このプロットより最小二乗法等で回帰分析を行い、回帰直線を得る。得られた回帰直線式より予測したい温度(例えば、加速条件であれば40℃、長期保存条件であれば25℃)へ外挿し、目的の温度での反応速度定数を求める。その後、工程6で選択した反応速度式に反応速度定数、目的の分解率又は保存期間を代入して予測する。(配合適格性の評価方法)原薬と添加剤の配合適格性を評価する場合には、原薬と添加剤のみからなる混合物を、上記の(分解物量の測定方法)や(化合物の残存率の予測方法)に従って、評価する。本工程において、添加剤の量は原薬によって適宜選択でき、原薬と添加剤の重量比は1:1〜1:50であることが好ましい。(実施例) 以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。(参考例1)熱測定装置(TG-DTA、セイコーインスツルメンツ製、TG/DTA6200)の雰囲気ガス流路中の流量計とTG-DTA装置の間にガス洗浄瓶を組み込み、ガス洗浄瓶の中には水を入れた。このガス洗浄瓶は水浴で30℃に保温した(図1)。ファモチジンと結晶セルロースを1:9の割合で混合し、試料として用いた。試料を上記の熱測定装置により、測定条件1の条件で100℃〜150℃の範囲で10℃毎、3時間ずつ加温した。結果を図2に示す。この温度範囲においてDTA曲線に吸熱もしくは発熱の反応は認められなかったが、150℃においてTG曲線に減少傾向が認められた。これは急激な分解反応によるものだと考えられるが、通常の温度範囲では起こりえない反応の可能性があるので、試料を分解させる温度の上限を140℃に設定した。<測定条件1>試料容器:オープン型アルミパン雰囲気ガス:加湿窒素雰囲気ガス流量:100mL/分温度プログラム:階段状昇温法(試料温度を100℃で3時間保持したのち、50℃/分で10℃昇温しては一定温度に3時間保温するステップを150℃に達するまで繰り返した後、100℃に降温して3時間保温した。)熱分析装置(TG-DTA、セイコーインスツルメンツ製、TG/DTA6200)の雰囲気ガス流路中の流量計とTG-DTA装置の間にガス洗浄瓶を組み込み、ガス洗浄瓶の中には水を入れた。このガス洗浄瓶は水浴で30℃に保温した(図1)。ファモチジンと結晶セルロースを1:9の割合で混合し、試料として用いた。試料を本発明による熱分析装置により、測定条件2の条件で120℃に加温した。加温時間は15、20、25時間とした。加温中にTGもしくはDTAに有意な変化は認めなかった。加温後の試料を測定条件3の条件で高速液体クロマトグラフィーにより定量した。その結果を表2に示す。<測定条件2>試料容器:オープン型アルミパン雰囲気ガス:加湿窒素雰囲気ガス流量:100mL/分温度プログラム:室温から120℃まで50℃/分で昇温し、120℃を加温時間だけ保持した。<測定条件3>移動相A:20mMリン酸二水素ナトリウム溶液移動相B:液体クロマトグラフィー用メタノール移動相の送液:移動相A及びBの混合比を表1のように変え,濃度勾配制御した実施例1で用いたものと同様の熱分析装置により、実施例1で用いたものと同様の試料を用いて、測定条件4の条件で130℃に加温した。加温時間は10、15、20時間とした。加温中にTGもしくはDTAに有意な変化は認めなかった。以下実施例1と同様に高速液体クロマトグラフィーにより定量した。その結果を表2に示す。<測定条件4>試料容器:オープン型アルミパン雰囲気ガス:加湿窒素雰囲気ガス流量:100mL/分温度プログラム:室温から130℃まで50℃/分で昇温し、130℃を加温時間だけ保持した。実施例1で用いたものと同様の熱分析装置により、実施例1で用いたものと同様の試料を用いて、測定条件5の条件で140℃に加温した。加温時間は3、4.5、6時間とした。加温中にTGもしくはDTAに有意な変化は認めなかった。以下実施例1と同様に高速液体クロマトグラフィーにより定量した。その結果を表2に示す。<測定条件4>試料容器:オープン型アルミパン雰囲気ガス:加湿窒素雰囲気ガス流量:100mL/分温度プログラム:室温から140℃まで50℃/分で昇温し、140℃を加温時間だけ保持した。高速液体クロマトグラフィーにより求めた残存率を各反応速度式に代入し、相関係数が最も1に近く、y切片が0に近い一次反応式を反応速度式として採用した。一次反応式から反応速度定数を算出し、アレニウスプロット(絶対温度Tの逆数を1000倍した値を横軸に取り、各温度における反応速度定数の自然対数lnkを縦軸にとってプロットした)により回帰直線(図3)及び回帰直線式(式1:y=−7.51x+6.1367)を得た。得られた式1より40℃における反応速度式を算出し、4週間保存した時の残存率を算出すると95.6%であった。(比較例1)試料を褐色ガラス瓶に入れ、40℃/75%RHで蓋をせずに4週間保存した。以下実施例1と同様に高速液体クロマトグラフィーにより定量した。その結果、残存率は95.7%であった。 比較例1の結果は実施例4で得られた数値と実質的に同一であり、本件発明の方法により、短時間で加水分解反応の予測をすることが可能であることが分かった。(比較例2)塩化カリウム飽和援用液をデシケーターの底に入れ、そのデシケーター内に試料を入れて80℃で保存した。塩化カリウム飽和援用液は相対湿度90%である。保存時間は24、48、72時間とし、以下実施例1と同様に高速液体クロマトグラフィーにより定量した。その結果を表3に示す。 比較例2の結果から、80℃における加水分解反応は分解があまり進まず、適切な分解率である3%以上の分解をさせるにはかなりの時間を要し、加速条件下での分解を迅速に予測することはできなかった。本発明は、医薬品製剤における化合物の安定性を、迅速且つ簡便に評価する方法であり、産業上有用である。 100℃より高い温度での加水分解反応の測定法であって、以下の工程からなる方法。(工程1)室温から35℃の水温の水を通過させたガスを、熱測定装置の反応炉に導入する(工程2)80℃、90%RHの条件で24時間分解させた時の組成物中での分解物の量が3%未満である化合物を含有する組成物を、熱測定装置の加熱炉に設置し、熱測定装置の加熱炉内温度を100℃より高い設定温度に加熱して分解反応をさせる(工程3)加熱炉から試料を取り出し、分解物量を定量する工程1におけるガスが窒素ガスである、請求項1に記載の方法工程1における水温が25℃から35℃である、請求項1または2に記載の方法工程2における組成物が、原薬と添加剤のみからなる組成物である、請求項1から3の何れか一項に記載の方法。原薬と添加剤の重量比が、1:1から1:50である、請求項4に記載の方法。 化合物の残存率を予測する方法であって、以下の工程からなる方法。(工程1)室温から35℃の水温の水を通過させたガスを、熱測定装置の反応炉に導入する(工程2)80℃、90%RHの条件で24時間分解させた時の分解物の量が3%未満である化合物を含有する組成物を、熱分析装置の加熱炉に設置し、熱分析装置の加熱炉内温度を100℃より高い設定温度に加熱して分解反応をさせる(工程3)加熱炉から試料を取り出し、分解物量を定量することにより残存率を計算する(工程4)異なる加熱炉内温度で、工程2および工程3を3回以上繰り返す。(工程5)得られた複数の残存率を用いて反応速度式および/または反応速度定数を算出する(工程6)アレニウスプロットにより回帰直線および/または回帰直線式を得て、残存率を予測する。工程1におけるガスが窒素ガスである、請求項6に記載の方法工程1における水温が25℃から35℃である、請求項6または7に記載の方法工程6において予測する残存率が、加速条件下または長期保存条件下における残存率である、請求項6から8の何れか一項に記載の方法。工程2における組成物が、原薬と添加剤のみからなる組成物である、請求項6から9の何れか一項に記載の方法。原薬と添加剤の重量比が、1:1から1:50である、請求項10に記載の方法。 【課題】迅速に加水分解反応を評価するためには、より高温下で評価する必要があり、80℃以上、好ましくは100℃以上の高温まで昇温し、加水分解反応を行える方法を提供する。【解決手段】室温から35℃の水温の水を通過させたガスを熱分解装置の反応炉に導入し過熱することにより、130℃程度の高温にすることができ、より迅速に加水分解反応を評価出来る。【選択図】図1