タイトル: | 公開特許公報(A)_分光光度計、及びその性能測定方法 |
出願番号: | 2010033182 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | G01J 3/10,G01J 3/02,G01N 21/27 |
戸辺 早人 佐藤 洋一 石田 浩康 和久井 隆行 JP 2011169718 公開特許公報(A) 20110901 2010033182 20100218 分光光度計、及びその性能測定方法 株式会社日立ハイテクノロジーズ 501387839 ポレール特許業務法人 110000350 戸辺 早人 佐藤 洋一 石田 浩康 和久井 隆行 G01J 3/10 20060101AFI20110805BHJP G01J 3/02 20060101ALI20110805BHJP G01N 21/27 20060101ALN20110805BHJP JPG01J3/10G01J3/02 CG01N21/27 F 6 1 OL 8 2G020 2G059 2G020AA03 2G020AA04 2G020AA05 2G020CB32 2G020CB34 2G020CB42 2G020CB43 2G020CB55 2G020CC02 2G020CC48 2G020CD03 2G020CD13 2G020CD22 2G020CD34 2G020CD37 2G020CD39 2G059AA02 2G059EE01 2G059EE12 2G059GG03 2G059GG08 2G059HH01 2G059HH02 2G059HH03 2G059JJ05 2G059JJ14 2G059JJ23 2G059JJ24 2G059KK01 2G059MM05 2G059MM09 2G059MM10 2G059MM14 2G059MM17 2G059NN02 2G059NN05 本発明は、測定光となる光束を発出する光源にキセノンフラッシュランプを用いた分光光度計に係り、特にその性能を測定し確認するに好適な分光光度計の構成、及びその性能測定方法に関する。 分光光度計では測定の確かさを確認するために装置使用者(管理者)が定期的に性能管理を行っている。性能を試験する方法としてはJAIMAS 0001 紫外・可視分光光度計の性能表示方法(日本分析機器工業会)、JIS K0115 吸光光度分析通則(日本工業標準調査会)に規定されている。 その試験項目の中には、「波長正確さ」と「分解」が規定されている。「波長正確さ」は重水素放電管又は低圧水銀ランプを光源とした分光器から出射される単色光のうち、実際の最大光強度の波長と装置の設定波長の差(かたより)を波長で表す。または、波長校正用光学フィルタを用いて透過率の極小点の波長と設定波長の差(かたより)を波長で表すものとされている。「分解」は、重水素放電管又は低圧水銀ランプを光源とした分光器から出射される単色光のスペクトル幅の波長で表す。または、ある物質(例:ベンゼン蒸気)の吸収スペクトルを測定した時、近接した吸収ピークを分離できる程度を近接ピーク間の波長差で表すものとされている。 今までの分光光度計は、測定光となる光束を発出する光源に重水素放電管およびハロゲンランプを使用しており、「波長正確さ」の測定を行う際は予め装置に装着されて測定に使用している重水素放電管の輝線スペクトル波長(486.0nm,656.1nm)について、測定された最大光強度の波長との差を求め波長正確さを測定している。また、「分解」の測定を行う際も重水素放電管の輝線スペクトル波長(486.0nm,656.1nm)を測定し、最大光強度の1/2となる波長を長短両波長側に求め、そのときの波長差を求め分解を測定している。 一方、分光光度計の光源としてキセノンフラッシュランプを用いることが、例えば特許文献1に記載されている。この特許文献1では、キセノンフラッシュランプのスペクトルのうち、特定の輝線を用いて装置の較正チェックを行うことが記載されている。しかし、重水素放電管等が装着されていないため、この重水素放電管等を用いた「波長正確さ」及び「分解」の測定はできない。 このため、キセノンフラッシュランプを用いた分光光度計では、キセノンフラッシュランプの輝線スペクトル波長(229nm,248nm,485nm,529nm,823nm,882nm)、または、公的検査機関で個々に吸収スペクトルが値付けされたネオジウムフィルタ(例:441.1nm,472.9nm 他7波長)、またはホルミウムフィルタ(例:279.3nm,287.6nm 他7波長)の光学フィルタを用いて「波長正確さ」等を測定している。特表2000-505555号公報 光源が重水素放電管とハロゲンランプの分光光度計を使用してきた使用者は、過去の蓄積データとの照合が必要となることから、従来通りの重水素放電管または低圧水銀ランプの輝線スペクトル波長で「波長正確さ」等の確認も行いたいと考えている。 しかし、測定光となる光束を発出する光源にキセノンフラッシュランプを使用している分光光度計では、重水素放電管等が装着されていないため確認はできない。しかも、キセノンフラッシュランプのパルス点灯に対して、重水素放電管又は低圧水銀ランプは連続点灯で使用する光源のため、単純に光源を配置しただけでは測定に使用することはできない。その理由は、外部光または検知器温度ドリフトの影響を取り除くために、パルス点灯の場合は消灯時に光強度のゼロレベルを測定、点灯時に測定に使用する光束の光強度を測定して、その差分を測定の光強度としている。 このため、連続点灯している光源をそのまま分光器に入射させても、キセノンフラッシュランプを使用した分光光度計では光強度の測定には対応できない。また、公的検査機関で個々に吸収スペクトルが値付けされた光学フィルタは高価であり、かつ、光学フィルタは分解1nmで値付けされたものが一般的で、装置固有の分解が1nmを超える分光光度計の場合、その装置に適合したフィルタを手に入れることは容易ではない。 また、「分解」の測定でも装置固有の分解に応じた近接した吸収スペクトルを有する物質が手に入らない問題がある。また、キセノンフラッシュランプでは「分解」測定に使用したい輝線スベクトルに近接線が多いため、装置の分解が3nmを超える分光光度計の場合、近接線の影響を受けて、最大光強度の1/2となる波長を長短両波長側に求め、そのときの波長差を求め分解を測定する方法では正確な「分解」を測定できない。 本発明はこのような従来技術に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、測定光となる光束を発出する光源にキセノンフラッシュランプを使用している分光光度計において、低圧水銀ランプを用い、過去の蓄積データとの照合が可能な性能測定を行うことの出来る分光光度計、及びその性能測定方法を提供することにある。 光源にキセノンフラッシュランプを使用している分光光度計には、重水素放電管又は低圧水銀ランプは装着されておらず、連続点灯している光源を分光器に入射させても光強度のゼロレベルを測定ができない。また、連続点灯用の重水素放電管又は低圧水銀ランプは、消灯して再度点灯すると光強度が安定するまでの時間(およそ5〜20分間)、ドリフトする特性を持っているため、パルス点灯させて分光器に入射させても安定した測定ができない。 そこで、本発明の特徴は、光源にキセノンフラッシュランプを使用している分光光度計において、キセノンフラッシュランプと分光器との間の光束上に低圧水銀ランプを設置可能とすると共に、この低圧水銀ランプからの光束を遮光及び透過するシャッター機構を分光光度計に備えたところにある。 そして、その性能測定に際しては、キセノンフラッシュランプと分光器との間の光束上に低圧水銀ランプを配置し、この低圧水銀ランプを点灯した状態で当該低圧水銀ランプからの光束を遮光及び透過し、この遮光及び透過時の光強度を光検出手段で夫々検出することで、低圧水銀ランプの輝線を用いた性能測定を可能にしたところにある。 本発明によれば、光源にキセノンフラッシュランプを使用している分光光度計において、低圧水銀ランプを用いた性能測定が可能な分光光度計、及びその測定も容易な方法を実現することができることから、過去の蓄積データとの照合も可能な分光分析を行うことができる。本発明による分光光度計の一実施例に係る概略構成図である。キセノンフラッシュランプの光強度取得フローチャートである。低圧水銀ランプの光強度取得フローチャートである。 本発明の前記目的及び特徴の外、以下述べる実施では更に実用的な工夫も開示しているが、それらについては図1〜図3を参照して説明する。 図1は、本発明による分光光度計の一概略構成図である。通常の測定は、キセノンフラッシュランプ1から測定光となる光束2が発出し、凹面鏡3により光束2が集光されて分光器4に入射される。分光器4内に設けられた回折格子等からなる分光手段により、キセノンフラッシュランプ1からの光束2は任意の波長に分光し、分光器4から出射される。出射された光束2は、試料5による光の透過および吸収を受けて光検知器6に導かれる。光検知器6で検出された光は、A/D 変換器7によりデジタル処理後、中央処理装置8にデータとして送られ、光の強度値として各種演算に用いられる。即ち、冒頭で説明した「波長正確さ」及び「分解」等の演算は、この中央処理装置8で行われ、出力及び表示される。 図2は、通常の測定であるキセノンフラッシュランプ1での光強度取得フローチャートである。キセノンフラッシュランプ1を消灯した状態(ステップ21)で、光強度のゼロレベル(EZ)を測定(ステップ22)し、次にキセノンフラッシュランプ1をパルス点灯させ(ステップ23)て、光束2の光強度(E)を測定する(ステップ24)。光強度は(E)−(EZ)で求める(ステップ25)。 「波長正確さ」または「分解」を測定するときは、キセノンフラッシュランプ1を消灯するように中央処理装置8によって制御すると共に、低圧水銀ランプ9を自動または手動でキセノンフラッシュランプ1と分光器4の間の光束2上に配置する。低圧水銀ランプ9は電源10により連続点灯させて、その光束2を分光器4に入射させる。分光器4の分光手段により、低圧水銀ランプ9からの光束2は任意の波長に分光して分光器4から出射される。出射された光束2は試料5による光の透過および吸収を受けて光検知器6に導かれる。検知器6に導かれた光はA / D 変換器7によりデジタル処理後、中央処理装置8にデータを送り、光の強度値として扱う。 また、遮光板移動(回転)用モータ12と遮光板11とで、低圧水銀ランプ9からの光束を遮光及び透過するシャッター機構を構成している。すなわち、ゼロレベルを測定する時は、光束2を遮る位置に遮光板移動(回転)用モータ12で遮光板11を移動し、低圧水銀ランプ9の光強度を測定する時は光束2を遮らない位置に遮光板移動(回転)用モータ12で遮光板11を移動するように、中央処理装置8によって制御される。 図3は、「波長正確さ」または「分解」測定のために、低圧水銀ランプ9での光強度を取得するフローチャートである。キセノンフラッシュランプ1を消灯(ステップ31)し、低圧水銀ランプ9を連続点灯(ステップ32)、遮光板11を移動(回転)制御して光束2を遮る状態(ステップ33)で、光強度のゼロレベル(EZ)を測定(ステップ34)する。次に、遮光板11を移動(回転)制御して元の位置に戻し(ステップ35)、光束2を遮らない状態で低圧水銀ランプ9の光強度(E)を光検知器6で測定する(ステップ36)。このときの光強度は(E)−(EZ)で求める(ステップ37)。 「波長正確さ」の測定は、低圧水銀ランプ9の輝線スペクトル波長(253.65nm,435.84nm,546.07nm)について、測定された最大光強度の波長との差を求めることにより行う。また、「分解」の測定は、低圧水銀ランプ9の輝線スペクトル波長(253.65nm,435.84nm,546.07nm) を測定し、最大光強度の1/2となる波長を長短両波長側に求め、そのときの波長差を求めることにより行う。 以上のことから、低圧水銀ランプ9が連続点灯している状態でも、ゼロレベル(遮光状態)と低圧水銀ランプ9の光強度測定を時分割で実行することができるため、低圧水銀ランプ9を利用した「波長正確さ」または「分解」測定が可能となる。 このように本実施例によれば、測定の確かさを要求される光源にキセノンフラッシュランプを使用している分光光度計であっても、JAIMAS 0001 紫外・可視分光光度計の性能表示方法(日本分析機器工業会) に記載された試験項目の中の「波長正確さ」「分解」の試験を実現できる。 また、従来から光源が重水素放電管とハロゲンランプの分光光度計を使用してきた使用者は、従来通りの低圧水銀ランプの輝線スペクトル波長で「波長正確さ」の確認を行うことができるので、従来から蓄積してきた分析データとも照合して、分光分析を継続することが可能となる。 また、装置の分解が3nmを超える分光光度計の場合、キセノンフラッシュランプでは近接線の影響を受けて、正確な「分解」測定ができなかったが、近接線が無い低圧水銀ランプの輝線スペクトル波長を利用できるので正確な「分解」測定を行うこともできる。 以上の実施例では、シャッター機構を構成する遮光板移動(回転)用モータ12を中央処理装置8で制御することで、遮光板11の位置を移動するようにしているが、本発明はこれに限るものではなく、遮光板11のみをシャッター機構内に設けて使用者の操作で移動するようにしても良い。また、「波長正確さ」または「分解」測定のための演算を中央処理装置8で全て行うものとしているが、光検知器6の出力を数値化し、使用者のコンユータで演算する等、利用環境に応じて応用又は変形することで、本発明を利用できることは勿論である。1…キセノンフラッシュランプ2…光束3…凹面鏡4…分光器5…試料6…光検知器(フォトダイオード)7…A/D変換器8…中央処理装置9…低圧水銀ランプ10…低圧水銀ランプの電源11…遮光板12…遮光板移動(回転)用モータ光束を発出するキセノンフラッシュランプと、前記光束を任意の波長に分光して試料に照射する分光器と、前記試料を透過した光束の光強度を検出する光検出手段を備えた分光光度計において、前記キセノンフラッシュランプと前記分光器との間の光束上に低圧水銀ランプを設置可能とし、当該低圧水銀ランプからの光束を遮光及び透過するシャッター機構を備えることを特徴とする分光光度計。 請求項1において、前記シャッター機構は、前記低圧水銀ランプからの光束を遮光する遮光板と、当該遮光板を作動して前記低圧水銀ランプからの光束を遮光及び透過する駆動手段とを備えることを特徴とする分光光度計。 請求項2において、前記低圧水銀ランプからの光束を前記遮光板で遮光したときの前記光検出手段の出力、及び前記低圧水銀ランプからの光束を透過したときの前記光検出手段の出力を用いて、前記分光器の「波長正確さ」又は前記分光器の波長の「分解」を測定する手段を備えることを特徴とする分光光度計。光束を発出するキセノンフラッシュランプと、前記光束を任意の波長に分光して試料に照射する分光器と、前記試料を透過した光束の光強度を検出する光検出手段を備えた分光光度計の性能測定方法において、前記キセノンフラッシュランプと前記分光器との間の光束上に低圧水銀ランプを配置し、当該低圧水銀ランプを点灯した状態で当該低圧水銀ランプからの光束を遮光及び透過し、この遮光及び透過時の光強度を前記光検出手段で検出して性能を測定することを特徴とする分光光度計の性能測定方法。請求項1において、前記低圧水銀ランプの輝線を用いて「波長の正確さ」を測定することを特徴とする分光光度計の性能測定方法。請求項1において、前記低圧水銀ランプの輝線を用いて波長の「分解」を測定することを特徴とする分光光度計の性能測定方法。 【課題】 キセノンフラッシュランプを用いた分光光度計において、過去の蓄積データとの照合が可能な分光光度計、及びその性能測定方法を提供する。【解決手段】 通常は、キセノンフラッシュランプ1からの光束2を用い、凹面鏡3を介して分光器4で任意の波長に分光し、試料5を透過した光束を光検知器6で検出することで、分光分析を行う。性能測定を行うときは、キセノンフラッシュランプ1と分光器4との間の光束2上に低圧水銀ランプ9を配置し、シャッター機構を構成する遮光板11を作動して遮光及び透過させて光強度を検出することで、低圧水銀ランプ9の輝線スペクトルを用いた「波長正確さ」または「分解」の測定を行う。【選択図】図1