タイトル: | 公開特許公報(A)_顔料分散剤および着色組成物 |
出願番号: | 2010027058 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | C09B 19/00,C09B 67/20,C09B 67/46,C09D 17/00,C09D 11/02,C07D 498/22,C09B 67/14 |
古澤 孝仁 北村 健一 JP 2011162662 公開特許公報(A) 20110825 2010027058 20100210 顔料分散剤および着色組成物 東洋インキSCホールディングス株式会社 000222118 古澤 孝仁 北村 健一 C09B 19/00 20060101AFI20110729BHJP C09B 67/20 20060101ALI20110729BHJP C09B 67/46 20060101ALI20110729BHJP C09D 17/00 20060101ALI20110729BHJP C09D 11/02 20060101ALI20110729BHJP C07D 498/22 20060101ALI20110729BHJP C09B 67/14 20060101ALI20110729BHJP JPC09B19/00C09B67/20 LC09B67/46 AC09D17/00C09D11/02C07D498/22C09B67/14 8 OL 16 4C072 4J037 4J039 4C072AA01 4C072AA07 4C072BB04 4C072BB08 4C072CC04 4C072CC12 4C072EE07 4C072FF03 4C072GG06 4C072JJ03 4C072UU04 4J037CB28 4J037DD24 4J037EE02 4J037FF15 4J037FF23 4J039AB08 4J039AB09 4J039AE04 4J039BE01 4J039BE22 4J039CA07 4J039EA15 4J039GA03 4J039GA09 本発明は、印刷インキ、塗料、プラスチックを始めとした着色組成物等に広く使用できるジオキサジンバイオレット誘導体、および、誘導体の製造法に関する。更には、前記ジオキサジンバイオレット誘導体を用いた顔料分散剤および着色組成物に関する。ジオキサジンバイオレット(C.I.Pigment Violet 23)は深みのある青味紫色顔料で、着色力が大きく、良好な耐光性、耐熱性を有する高級顔料であり、様々な着色組成物に使用されている。しかしながらジオキサジンバイオレットの様に広い縮合環を骨格に持つ顔料は構造上一般的にスタッキングを起こしやすく、凝集が強固であるため分散は容易ではない。その結果としてジオキサジンバイオレットを用いて印刷インキ等の分散体を製造した場合、分散時の流動性や経時分散安定性、インキとしての着色力、展色した際の塗面の光沢等の面で問題がある。 こうした課題を解決するためにジオキサジンバイオレットの分散性向上のために様々な手法がこれまでに開発されてきた。その中でもジオキサジンバイオレット分子に対し様々な置換基を導入することで合成される顔料誘導体を分散剤として用いる手法は、分散性向上という面で最も優れたものである。これまでにも特許文献1、2等でジオキサジンバイオレットをスルホン化した誘導体が開示され実用化されている。また、特許文献3ではジオキサジンバイオレットにアミンが結合した塩基性の誘導体が開示されている。 しかしながらこうした顔料誘導体を用いた顔料組成物は分散性やそれに起因する諸特性に関しては非常に良好なものの、水や各種溶剤、プラスチック等への溶出性が高く、そのことが着色組成物として問題となる場合があった。例えばグラビアインキやフレキソインキにおいては印刷物の耐熱水ブリード性等の耐レトルト性に問題があり、包装材料向けのインキとしては使用が限定的であった。インクジェットインキにおいてはインキに顔料誘導体が溶解し、印刷がにじむという問題が発生する。塗料においても顔料誘導体を用いるとブリードが大きくなるという欠点があり耐ブリード性が要求される用途では使用されない。プラスチックにおいてもプラスチック着色物に接触した物質に色移りするマイグレーションの問題やプラスチック着色物製造過程で装置に色移りするプレートアウトの問題を生じる。オフセットインキに関しては顔料誘導体が水との親和性が高いため印刷の際に用いる湿し水によりインキが容易に乳化され易く、地汚れ等の印刷トラブルを引き起こす原因となる。特開昭56−81371号公報特許3337234号公報特開昭56−118462号公報 本発明は上記の現状を鑑みてなされたものであり、ジオキサジンバイオレットを分散する際に良好な分散性を有しつつ、グラビアインキのブリードの問題に代表される、着色組成物から外部の物質への溶出の問題がないジオキサジンバイオレット誘導体を提供することを目的とする。 本発明者はジオキサジンバイオレット誘導体の構造とその製法に関して鋭意検討した結果、上記課題を解決するジオキサジンバイオレット誘導体を見出すに至った。すなわち、本発明は、一分子中にスルホ基を一個または二個有するジオキサジンバイオレット誘導体であって、一分子中にスルホ基を一個有する誘導体(A)と一分子中にスルホ基を二個有する誘導体(B)との重量比が(A):(B)=100:0〜50:50であることを特徴とするジオキサジンバイオレット誘導体に関する。 また、本発明は、上記ジオキサジンバイオレット誘導体の製造方法であって、スルホン化能のない媒体中でジオキサジンバイオレットとスルホン化剤を反応させてスルホン化を行う工程を含むジオキサジンバイオレット誘導体の製造方法に関する。また、本発明は、上記ジオキサジンバイオレット誘導体の製造方法であって、メタンスルホン酸中でジオキサジンバイオレットと硫酸を反応させてスルホン化を行う工程を含むジオキサジンバイオレット誘導体の製造方法に関する。また、本発明は、上記誘導体からなる顔料分散剤に関する。また、本発明は、上記誘導体を含有するジオキサジンバイオレット顔料に関する。また、本発明は、顔料と、樹脂と上記誘導体からなる顔料分散体に関する。また、本発明は、上記誘導体を含有するグラビアインキに関する。また、本発明は、上記誘導体を含有するフレキソインキに関する。 本発明のジオキサジンバイオレット誘導体を用いることで、従来成し遂げることが難しかった、良好な分散性を有し、しかも誘導体の溶出の問題の生じない分散体が製造できる。更にこの分散体は特にグラビアインキやフレキソインキに用いることで、低粘度、高着色力、高光沢といった性能を実現しつつブリードが少なく耐レトルト性に優れたインキを製造できる。また、インクジェットインキにおいては低粘度、高い分散安定性、高着色力、高光沢といった性能を実現しつつ、にじみが少なく画像再現性の良いインキが実現できる。塗料においては低粘度、高着色力、高光沢といった性能を有しながらも、ブリードアウトの問題のない塗料を製造できる。着色プラスチックでは高着色力、易分散であり、しかもマイグレーションやプレートアウトの問題のないプラスチックを製造できる。オフセットインキにおいては乳化適性に問題がなく、印刷適性の高いインキを実現できる。 以下本発明の詳細について説明する。 本発明のように、一分子中にスルホ基を一個または二個有するジオキサジンバイオレット誘導体であって、一分子中にスルホ基を一個有する誘導体(A)と一分子中にスルホ基を二個有する誘導体(B)との重量比が(A):(B)=100:0〜50:50であることを特徴とするジオキサジンバイオレット誘導体は現在に至るまで検討されてこなかった。スルホン酸をジオキサジンバイオレット骨格に有する誘導体は、置換基数1個の誘導体(A)と置換基数2個の誘導体(B)の存在比が規定されていないものであればこれまでで既に公知とされている。しかしその製法として公知とされているものはジオキサジンバイオレットを硫酸、クロロ硫酸などでスルホン化するというものである。こうした公知の製法に関しても本発明者は検討を行ったが、工業化可能な製法では置換基数2個の誘導体(B)が主となり、A:Bが50:50よりAの含有量が多いような、本特許で請求する組成を有する顔料誘導体を製造することはできない。 その原因はジオキサジンバイオレットが、銅フタロシアニンやキナクリドン等のその他の顔料骨格と比べ著しく反応性が高いからである。銅フタロシアニンやキナクリドン等で同様の顔料誘導体を製造する場合は98%硫酸あるいは更に硫酸の濃度が高い発煙硫酸に顔料を溶解させて反応させる。こうした激しい反応条件でも両顔料は反応性が高くないため数時間程度の時間をかけてゆっくりと反応し、所望の置換基数の顔料誘導体が得られる。 一方ジオキサジンバイオレットの場合、98%硫酸に溶解させると溶解と同時にスルホン化が進行し、数分でほぼすべての分子が置換基数2個の誘導体Bまで反応してしまう。そこで反応性を下げるために硫酸に水を加えて硫酸の反応性を落とし、下記の比較例1のように92%程度の濃度の硫酸を用いて反応をさせることになるが、この程度の濃度の硫酸ではジオキサジンバイオレットは殆ど溶解せず、固液反応の様式で反応が進行する。こうした系ではジオキサジンバイオレットの溶解が反応の律速段階となり、原料のジオキサジンバイオレットから置換基数1個の誘導体Aへの反応は遅い。しかしひとたびスルホン化され置換基数1個の誘導体Aとなると、すでに溶解状態にあるため、すぐにスルホン化され置換基数2個の誘導体Bとなる。そのためこうした反応系では置換基数2個の誘導体Bが主成分となるのである。 本発明の誘導体のようにA:Bが50:50よりAの含有量が多いような顔料誘導体の製造には、スルホン化能のない媒体中でジオキサジンバイオレットとスルホン化剤を反応させてスルホン化を行う工程を有する誘導体の製造法が必要である。この反応系ではジオキサジンバイオレットの溶解性や溶剤中での分散性を下げることなくスルホン化を温和な条件で行うことができる。こうした反応条件はこれまで検討されてきた硫酸を反応溶媒とした反応系では実現することのできないものである。本反応方法によりこれまで工業的に達成することが不可能であった、A:Bが50:50よりAの含有量が多いような、本特許で請求する組成を有する顔料誘導体を製造することができる。 本発明の誘導体はジオキサジンバイオレット一分子中にスルホ基を一つのみ有する誘導体(A)を含有するものである。スルホ基を二つ有する誘導体(B)や他の物質を含有してもよいが、A:Bの重量比が50:50以上にBの重量比が高い場合には各種分散体からの溶出性の問題が顕著に起こるためA:Bの比が50:50〜100:0の範囲であることが必要である。更にBの割合を減少させれば分散特性を低下させることなく耐溶出性を向上させることが出来るので、A:Bの比が67:33〜100:0の範囲であること、更には80:20〜100:0の範囲であることがなお望ましい。AとBの重量比は液相クロマトグラフィーで測定することが出来る。 一つのジオキサジンバイオレット誘導体中でのAやBの占める割合に関しては特に規定しないが、顔料誘導体としての分散特性改善効果を発揮するためには誘導体中にAとBの合計量が重量比で5%以上であることが必要であり、望ましくは20%以上である。 誘導体のスルホ基の対イオンとしては水素イオン、アンモニウムイオン、少なくとも1つがアルキル基で置換されているアンモニウムイオン、または1〜3価の金属イオンである。その中でも金属イオンとしてはナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛などが望ましい。 また本誘導体の形態は本発明では制限されないが、粉体や、水を含有したプレスケーキ状のもの、樹脂との混合物など何らかの加工が為されていてもよい。また他のジオキサジンバイオレット顔料と混合し、顔料としてあってもよい。その場合の混合割合は特に規定しないが、顔料誘導体としての分散特性改善効果を発揮するためには本誘導体の割合が0.1%以上であることが必要であり、望ましくは1%以上である。 本発明の誘導体は顔料と樹脂と、必要であれば溶剤、その他添加剤などと混合・分散し、顔料分散剤としてあってもよい。顔料分散体中の混合割合は、本発明の誘導体:顔料:樹脂=0.2〜40重量%:1〜90重量%:5〜90重量%の範囲が望ましい。顔料の種類としては公知の顔料すべてを用いることができるが、その中でも広い縮合環を骨格に持つ顔料、具体的にはジオキサジンバイオレット、フタロシアニン、キナクリドン等が望ましく、最も望ましくはジオキサジンバイオレットである。樹脂としては公知の樹脂すべてを用いることができる。また本発明の顔料分散体は上記3成分を混合したものであっても、分散機等を用いて分散したものであってもよい。 本発明の誘導体は、印刷インキ、塗料組成物、プラスチック着色組成物などの各種分散体に使用することができる。ここで、印刷インキとはオフセットインキ、グラビアインキ、フレキソインキ、インクジェット用インキ等の印刷インキ全般を表わす。 オフセットインキには用途や乾燥方式に応じて枚葉インキ、オフセット輪転用インキ、新聞インキ、UVインキ等が主なものとして挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。 オフセットインキは、本発明の顔料誘導体と顔料、オフセットインキ用ビヒクルを混合、分散することで製造できる。オフセットインキ用ビヒクルとは、例えば、ロジン変性フェノール樹脂、石油樹脂、アルキッド樹脂またはこれら乾性油変成樹脂等の樹脂と、必要に応じて、アマニ油、桐油、大豆油等の植物油と、n−パラフィン、イソパラフィン、アロマテック、ナフテン、α−オレフィン等の溶剤から成るものであって、それらの混合割合は、ビヒクル成分の合計重量を基準(100重量%)として、樹脂:植物油:溶剤=10〜50重量%:0〜30重量%:20〜60重量%の範囲が好ましい。オフセットインキには、必要に応じて、インキ溶剤、ドライヤー、レベリング改良剤、増粘剤、顔料分散剤等の公知の添加剤を適宜配合することができる。 グラビアインキまたはフレキソインキは、本発明の顔料誘導体と顔料、グラビアインキ用ビヒクルまたはフレキソインキ法ビヒクルを混合、分散することで製造できる。ビヒクルは樹脂と溶剤から成るものであって、それらの混合割合は、ビヒクル成分の合計重量を基準(100重量%)として、樹脂:溶剤=5〜50重量%:50〜95重量%の範囲が好ましい。 樹脂としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、石灰化ロジン、ライムロジン、ロジンエステル、マレイン酸樹脂、ギルソナイト、ダンマル、セラック、ポリアミド樹脂、ビニル樹脂、ニトロセルロース、環化ゴム、塩化ゴム、エチルセルロース、酢酸セルロース、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、スチレンアクリル樹脂、アルキッド樹脂等が挙げられる。溶剤としては、例えば、n−ヘキサン、トルエン、クロルベンゾール等の炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、グリセリン等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、乳酸エチル、アセト酢酸エチル等のエステル系溶剤、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチルエーテル等のエーテル系溶剤、あるいは水等が挙げられる。 グラビアインキまたはフレキソインキには、必要に応じて、例えば硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、アルミナホワイト、クレー、シリカ、シリカホワイト、タルク、珪酸カルシウム、沈降性炭酸マグネシウム等の体質顔料の他、補助剤として、可塑剤、紫外線防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、顔料分散剤等の公知の添加剤を適宜配合することができる。 インクジェットインキは、本発明の顔料誘導体と顔料、インクジェットインキ用ビヒクルを混合、分散することで製造できる。インクジェットインキ用ビヒクルは、樹脂や活性剤と溶剤から成るものであって、それらの混合割合は、ビヒクル成分の合計重量を基準(100重量%)として、樹脂:溶剤=1〜10重量%:90〜99重量%の範囲が好ましい。樹脂としては、アクリル、スチレン−アクリル、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、フッ素樹脂等の水に溶解する樹脂および水に分散性のエマルションないしコロイダルディスパージョン樹脂が挙げられる。これらの樹脂には、必要に応じアンモニア、アミン、無機アルカリ等の中和剤が加えられる。また、溶剤としては、例えば、水、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、置換ピロリドン等が挙げられる。また、インクジェットインキの乾燥性を速める目的で、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類も使用できる。またヘッドでの乾燥を抑制するためにグリセリン等のアルコール類も使用できる。さらに、インクジェットインキには、防腐剤、浸透剤、キレート剤や、顔料の分散安定性を向上させるためにアニオン、非イオン、カチオン、両性イオン活性剤、顔料分散剤を配合することができる。 塗料は、本発明の顔料誘導体と顔料、塗料用ビヒクルを混合、分散することで製造できる。塗料用ビヒクルは、樹脂と溶剤から成るものであって、それらの混合割合は、ビヒクル成分の合計重量を基準(100重量%)として、樹脂:溶剤=5〜45重量%:55〜95重量%の範囲が好ましい。 樹脂としては、例えば、ニトロセルロース、アルキド樹脂、アミノアルキド樹脂、アクリル樹脂、アミノアクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、フッ化ビニル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。溶剤としては、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系、ハロゲン化炭化水素系、アルコール系、ケトン系、エステル系、エーテル系、エーテル・アルコール系、エーテル・エステル系の有機溶剤、水等が挙げられる。 塗料には本発明の効果を阻害しない範囲内で他の有機顔料、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、アルミナホワイト、クレー、シリカ、シリカホワイト、タルク、珪酸カルシウム、沈降性炭酸マグネシウム等の体質顔料の他、補助剤として硬化剤、硬化促進剤、難燃剤、沈降防止剤、たれ防止剤、造膜助剤、防腐剤、塗膜の付着性向上のためのシランカップリング剤、防黴剤、消泡剤、粘性調整剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、凍結防止剤、可塑剤、pH調整剤、抗菌剤、光安定剤、つや消し剤、酸化防止剤、顔料分散剤、顔料誘導体等の公知の添加剤を適宜配合することができる。 プラスチック組成物は、本発明の顔料誘導体と顔料、プラスチック用樹脂を混合、分散することで製造できる。プラスチック用樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、αオレフィンとアクリル酸またはマレイン酸との共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレンとアクリル酸または無水マレイン酸との共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等のビニル樹脂、ホルマル樹脂やブチラール樹脂等のアセタール樹脂、ポリアクリロニトリルやメタクリル樹脂等のアクリル樹脂、ポリスチレンやアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体等のスチロール樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート等のポリエステル樹脂、6−ナイロン等のナイロン、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、セルロース樹脂等がある。 プラスチックには本発明の効果を阻害しない範囲内で他の有機顔料、無機顔料、ワックス、又その誘導体、重金属不活性剤、アルカリ金属、アルカリ土類金属、または亜鉛の金属石けん、ハイドロタルサイト、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤等からなる帯電防止剤、ハロゲン系、リン系または金属酸化物などの難燃剤、エチレンビスアルキルアマイド等の滑剤、酸化防止剤や紫外線吸収剤、加工助剤、充填剤、顔料分散剤、顔料誘導体等、公知のポリマー用の各種添加剤を包含することができる。要求される品質、着色作業性を満足するために、あらかじめ顔料をこれらの成分と分散処理し、粉体状のドライカラー、顆粒状のビーズカラー、液状のペーストカラー等とした後に樹脂と混合してもよい。また顔料とプラスチック、その他の上記の添加剤から構成され、顔料を高濃度に含有する、いわゆるマスターバッチを製造し、マスターバッチを使用して樹脂を着色してもよい。また本発明のプラスチック分散体をトナーとして用いてもよい。 次に本発明のジオキサジンバイオレット誘導体の代表的な製法を説明する。 本発明のジオキサジンバイオレット誘導体の代表的な製法としては、スルホン化能のない媒体中でジオキサジンバイオレットとスルホン化剤を反応させてスルホン化を行う方法が挙げられる。スルホン化能のない媒体とは、その媒体中にジオキサジンバイオレットを溶解または分散させた際にスルホン化の進行しない媒体のことである。具体的には、硝酸、リン酸やポリリン酸を始めとしたリン酸化合物、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸を始めとしたスルホン基を有する硫酸以外の化合物、酢酸、安息香酸を始めとしたカルボキシル基を有する化合物、ケイ酸類、ホウ酸等の酸類やその他の有機溶剤等が挙げられるが本発明はこの具体例には限定されない。これらの中でポリリン酸や、メタンスルホン酸等の硫酸以外のスルホン基を有する化合物が好ましく、もっとも好ましくはメタンスルホン酸である。これらの化合物を複数用いて反応溶媒としてもよい。反応に用いるスルホン化能のない媒質の量はジオキサジンバイオレットに対して重量で2倍量から100倍量が好ましく、更に好ましくは3倍量から10倍量である。 スルホン化剤としては硫酸、発煙硫酸、ピロ硫酸、クロロ硫酸、三酸化硫黄が工業的には最も望ましいが、アルキルベンゼンスルホン酸類をスルホン化剤として用いてトランススルホン化を行う反応等を用いてもよい。使用するスルホン化剤の量は、スルホン化剤の種類、反応溶媒となる酸の種類や酸の純度、反応の温度や攪拌状態、反応時間によって大きく変化するため本特許では明確に規定しないが、ジオキサジンバイオレット1モルに対し0.1モルから100モル程度が望ましい。スルホン化剤はジオキサジンバイオレットを媒体に加える前に添加してもよいし、ジオキサジンバイオレットを媒体に投入した後に添加してもよい。添加の仕方としては一気に添加してもよいし、10分から5時間程度かけて徐々に滴下してもよい。反応の制御という観点ではジオキサジンバイオレットを溶解した後徐々に滴下することが望ましい。 反応温度は0℃から100℃が望ましく、更に好ましくは0℃から60℃である。低温で反応させる方が、置換基数2つの誘導体Bに対しての置換基数1つの誘導体Aの割合を高くすることが出来るので望ましい。 上記の方法でスルホン化を行った後、精製や、必要ならばスルホ基の対イオンとなる所望の陽イオンと造塩することで本発明のジオキサジンバイオレット誘導体が製造できる。本発明は精製や造塩の方法には特に限定されない。 最も単純な精製方法としては上記の反応スラリーを水等と混合してジオキサジンバイオレット誘導体を析出させ、その後濾過水洗により酸を除く方法が挙げられる。水等との混合は単に反応スラリーを水中に徐々に投入する方法や、アスピレーターを用いて瞬間的に水と混合する方法等があり、混合効率などの面からアスピレーターを用いることが望ましい。また水などとの混合の前に反応スラリーと適量の水や硫酸、上記のスルホン化能のない酸と混合し、適度に希釈を行ってもよい。水洗時には通常の水で洗浄を行ってもよいが、酸や塩等を含有する水で洗浄してもよい。 造塩の方法に関しては上記の精製したジオキサジンバイオレット誘導体を水中に分散してスラリーとし、スルホン酸のモル数に対し0.5当量〜10当量のイオンを加えて造塩させた後、濾過、水洗を行う方法が一般的である。イオンの量としては0.5当量〜10当量で良いが、1.0当量〜3当量がより望ましい。また1価でないイオン価nを有するイオンの場合には上記のイオンの当量をそれぞれnで除したものとする。造塩を行うに当たってアルカリ成分を加え一度塩基性とした後にイオンを加えることが望ましいが、酸性や中性のスラリーにイオンを直接投入してもよい。造塩は0℃から100℃で行うことができるが、40℃から90℃が造塩のスピードの面や工程の行いやすさという面から望ましい。 最終的に得られたジオキサジンバイオレット誘導体のウェットケーキは大抵の場合乾燥、粉砕を行い粉体のジオキサジンバイオレット誘導体として用いられる。その際の乾燥粉砕の方法には特に制限はないが、フリーズドライ方式やスプレードライ方式等が挙げられる。またジオキサジンバイオレット誘導体をウェットケーキのまま用いてもよい。また反応によって得られた誘導体と他の顔料組成物を全工程終了後または精製、造塩、乾燥、粉砕等のいずれかの工程の途中で混合してもよい。 更に本発明のジオキサジンバイオレット誘導体は必要に応じて追加して顔料化を行ってもよい。また本発明のジオキサジンバイオレット誘導体を、ジオキサジンバイオレット顔料をはじめとする多環式の顔料と混合して顔料化を行ってもよい。顔料化法は既に既知のもの全てを用いることが出来るが、例示するとソルベント法、ソルベントミリング法、ソルベントソルトミリング法、アシッドペースト法、ドライミリング法等が挙げられる。 また本発明のジオキサジンバイオレット誘導体は、結晶成長阻害、結晶安定性付与、凝集防止、顔料組成物を着色剤として使用する際の易分散性付与、結晶安定性付与、凝集防止、着色力向上等の諸目的のため、ロジン、金属ロジン、ロジンエステル等のロジン誘導体、樹脂、活性剤、その他の顔料誘導体等をいずれかの工程中または工程後に誘導体に混合してもよい。 以下に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、実施例における「部」は、「重量部」を表す。 実施例1 メタンスルホン酸70部、22%発煙硫酸4部の混合液に対し、ジオキサジンバイオレット10部を加え、55℃で5時間反応させた。反応後1000部の水に反応スラリーを混合し、2時間撹拌を行った後濾過を行った。得られたペーストを水1000部に分散させpH9で2時間撹拌した。塩酸を追加しpH1にした後濾過を行い、ペーストを更に1%塩酸500部、0.2%塩酸500部で洗浄した。得られたペーストを乾燥、粉砕することで11部のジオキサジンバイオレット誘導体1を得た。 実施例2 実施例1の方法で得られたジオキサジンバイオレット誘導体1 10部に対しN,N’ジメチルホルムアミド1000部を加え120℃で4時間撹拌した後室温まで冷却し、濾過を行い、続けてN,N’ジメチルホルムアミドで洗浄を行った。得られた濾物をN,N’ジメチルホルムアミド1000部を加え120℃で4時間撹拌した後室温まで冷却し、濾過を行い、N,N’ジメチルホルムアミド、水で洗浄を行った後得られたペーストを乾燥、粉砕を行い6部のジオキサジンバイオレット誘導体2を得た。 実施例3 実施例2の方法で得られたジオキサジンバイオレット誘導体2 5部に対しN,N’ジメチルホルムアミド1000部を加え120℃で4時間撹拌した後室温まで冷却し、濾過を行い、続けてN,N’ジメチルホルムアミドで洗浄を行った。得られたペーストを乾燥、粉砕を行い4部のジオキサジンバイオレット誘導体3を得た。 実施例4 メタンスルホン酸50部、22%発煙硫酸6部の混合液に対し、ジオキサジンバイオレット10部を加え、40℃で8時間反応させた。反応後1000部の水に反応スラリーを混合し、2時間撹拌を行った後濾過を行った。得られたペーストを水1000部に分散させpH9で2時間撹拌した。塩酸を追加しpH1にした後濾過を行い、ペーストを更に1%塩酸500部、0.2%塩酸500部で洗浄した。得られたペーストを乾燥、粉砕することで11部のジオキサジンバイオレット誘導体4を得た。 実施例5 ポリリン酸100部、98%硫酸1.6部の混合液に対し、ジオキサジンバイオレット10部を加え、55℃で1時間反応させた。反応後1000部の水に反応スラリーを混合し、2時間撹拌を行った後濾過を行った。得られたペーストを水1000部に分散させpH9で2時間撹拌した。塩酸を追加しpH1にした後濾過を行い、ペーストを更に1%塩酸500部、0.2%塩酸500部で洗浄した。得られたペーストを乾燥、粉砕することで11部のジオキサジンバイオレット誘導体5を得た。 実施例6 実施例4と同様の条件で反応、精製、塩酸で洗浄し、得られた含水ペーストを非水分換算で11部とり、水1000部に分散させた。水酸化ナトリウムでpHを9とし、ドデシルアミン3.1部を加え、沈殿物を濾過、水洗、乾燥、粉砕し、14部のジオキサジンバイオレット誘導体6を得た。 実施例7 実施例4と同様の条件で反応、精製、塩酸で洗浄し、得られた含水ペーストを非水分換算で11部とり、水1000部に分散させた。水酸化ナトリウムでpHを9とし、硫酸アルミニウム3部を加え、沈殿物を濾過、水洗、乾燥し、11部のジオキサジンバイオレット誘導体7を得た。 比較例1 92%硫酸100部に対し、ジオキサジンバイオレット10部を加え、35℃で4時間反応させた。反応後1000部の水に反応スラリーを混合し、2時間撹拌を行った後濾過を行った。得られたペーストを水1000部に分散させpH9で2時間撹拌した。塩酸を追加しpH1にした後濾過を行い、ペーストを更に1%塩酸500部、0.2%塩酸500部で洗浄した。得られたペーストを乾燥、粉砕することで11部のジオキサジンバイオレット誘導体8を得た。 実施例8〜14、比較例2 ジオキサジンバイオレット誘導体1〜8それぞれ0.01部に対してN,N’ジメチルホルムアミド500部を加え超音波を10分かけた後120℃で1時間加熱撹拌した。顔料スラリーを冷却することなくそのままディスクフィルター(アドバンテック東洋株式会社製 DISMICR HP020AN)で必要量濾過した。得られた濾液をWaters社製逆相HPLCカラムSYMMETRYRをカラムとして用いたWaters社製液体クロマトグラフ質量分析計プラットフォームLCZで分析した。陰イオン側でm/zが667の親シグナルを有するピークを置換基を一つ有する誘導体(A)、陰イオン側でm/zが747の親シグナルを有するピークを置換基を二つ有する誘導体(B)と同定した。UV分光検出器の610nmでの吸光度の面積比をもって置換基を一つ有する誘導体(A)と置換基を二つ有する誘導体(B)の重量比とした。測定結果を表1に示す。表1 顔料組成物の調整 ジオキサジンバイオレット顔料(東洋インキ製造社製「LIONOGEN VIOLET FG−6240」)97部に対し上記のジオキサジンバイオレット誘導体1〜8を3部添加し、良く混合することでジオキサジンバイオレット顔料組成物1〜8を作成した。またジオキサジンバイオレット顔料(東洋インキ製造社製「LIONOGEN VIOLET FG−6240」)95部に対し上記のジオキサジンバイオレット誘導体1〜8を5部添加し、良く混合することでジオキサジンバイオレット顔料組成物9〜16を作成した。 実施例15〜21、比較例3、4 ジオキサジンバイオレット顔料組成物1〜8およびLIONOGEN VIOLET FG−6240 6部に対し、ポリウレタン系ワニス35部、溶剤(MEKと酢酸プロピルの混合物)49部、その他添加物10部および3mmアルミナビーズ150部を混合しペイントコンディショナーで60分間分散してグラビアインキを作成した。作成したインキの粘度をB型粘度計(60rpm)で測定した。作成したインキをバーコーターでフィルムに展色した印刷物の光沢値(60°)を測定した。またこの印刷物を白インキの印刷物に印刷面を重ね合わせて密着させ、水中に浸漬し、100℃で60分間煮沸した。白インキの印刷物上へ移行した色の濃淡を目視にて判断し、耐ブリード性を評価した。○はブリードがほとんどないレベル、△は若干ブリードが確認されるレベル、×はブリードが問題となるレベルであることを示す。結果を表2に示す。 AとBの比が50:50よりAの割合が高い誘導体、さらには67:33よりAの割合が高い誘導体、さらには80:20よりAの割合が高い誘導体を用いた場合にはブリードした色素分が少ない。また粘度や光沢といった諸特性も非常に良好であった。表2 実施例22〜28、比較例5、6 ジオキサジンバイオレット顔料組成物1〜8およびLIONOGEN VIOLET FG−6240 9部に対し、ニトロセルロール系ワニス11部、溶剤(メタノール、IPA、トルエン、酢酸エチルの混合物)75部、その他添加物5部および3mmスチールビーズ200部を混合しペイントコンディショナーで60分間分散してグラビアインキを作成した。作成したインキの粘度をB型粘度計(60rpm)で測定した。作成したインキをバーコーターでフィルムに展色した印刷物の光沢値(60°)を測定した。またこの印刷物を白インキの印刷物に印刷面を重ね合わせて密着させ、水中に浸漬し、100℃で60分間煮沸した。白インキの印刷物上へ移行した色の濃淡を目視にて判断し、耐ブリード性を評価した。結果を表3に示す。 AとBの比が50:50よりAの割合が高い誘導体、さらには67:33よりAの割合が高い誘導体、さらには80:20よりAの割合が高い誘導体を用いた場合にはブリードした色素分が少ない。また粘度や光沢といった諸特性も非常に良好であった。表3 実施例29〜35、比較例7、8 ジオキサジンバイオレット顔料組成物1〜8およびLIONOGEN VIOLET FG−6240を9部に対し、水性フレキソ系ワニス60部、水31部および3mmスチールビーズ200部を混合しペイントコンディショナーで120分間分散してフレキソインキを作成した。作成したインキの粘度をB型粘度計(60rpm)で測定した。作成したインキをバーコーターでフィルムに展色した印刷物の光沢値(60°)を測定した。またこの印刷物を白インキの印刷物に印刷面を重ね合わせて密着させ、水中に浸漬し、100℃で60分間煮沸した。白インキの印刷物上へ移行した色の濃淡を目視にて判断し、耐ブリード性を評価した。結果を表4に示す。 AとBの比が50:50よりAの割合が高い誘導体、さらには67:33よりAの割合が高い誘導体、さらには80:20よりAの割合が高い誘導体を用いた場合にはブリードした色素分が少ない。また光沢等の諸特性も良好であった。表4 実施例36〜42、比較例9、10 ジオキサジンバイオレット顔料組成物1〜8およびLIONOGEN VIOLET FG−6240 20部に対し、ニトロセルロース系ワニス12部、エタノール66部、その他添加物2部および3mmスチールビーズ200部を混合しペイントコンディショナーで60分間分散してフレキソインキを作成した。作成したインキの粘度をB型粘度計(60rpm)で測定した。作成したインキをバーコーターでフィルムに展色した印刷物の光沢値(60°)を測定した。またこの印刷物を白インキの印刷物に印刷面を重ね合わせて密着させ、水中に浸漬し、100℃で60分間煮沸した。白インキの印刷物上へ移行した色の濃淡を目視にて判断し、耐ブリード性を評価した。結果を表5に示す。 AとBの比が50:50よりAの割合が高い誘導体、さらには67:33よりAの割合が高い誘導体、さらには80:20よりAの割合が高い誘導体を用いた場合にはブリードした色素分が少ない。また光沢等の諸特性も非常に良好であった。表5 実施例43〜49、比較例11、12 ジオキサジンバイオレット顔料組成物9〜16およびLIONOGEN VIOLET FG−6240 6部に対し、キシレン19部、フタルキッド133−60(日立化成製)56部、メラン20(日立化成製)28部、ジルコニアビーズ1mmΦを300gを加えスキャンデックスで90分間分散し塗料を作成した。 作成したインキの粘度をB型粘度計(60rpm)で測定した。また得られた各塗料をアプリケーターでアート紙に展色し140℃で1時間焼き付けを行った。その上に白塗料を一様に展色し、230℃で4時間静置した。白塗料中に染み出した色の濃淡を目視で確認し、耐ブリード性を評価した。ブリードが明らかに確認されるものを×、ブリードが若干存在するものを△、全く確認されないものを○とした。結果を表6に示す。 AとBの比が50:50よりAの割合が高い誘導体、さらには67:33よりAの割合が高い誘導体、さらには80:20よりAの割合が高い誘導体を用いた場合にはブリードが少なく、また粘度等諸特性も良好であった。表6 実施例50〜56、比較例13、14 ジオキサジンバイオレット顔料組成物1〜8およびLIONOGEN VIOLET FG−6240 0.8部に対し、ロジン変性フェノール樹脂ワニス3.2部を加えフーバーマーラーで分散し濃色インキを作成した。この濃色インキを、静置流動性試験器((株)豊栄精工製)を用いて常温下で測定した。数字は10分間でインキが流れた距離であり、大きくなるほど流動性がよい。またNOVOMATICS社製LITHOTRONICIIIを用いて乳化適性を測定し、一定重量のインキが取り込むことができた水の重量を最大乳化量とした。最大乳化量が高すぎると過度に印刷機上で、示し水と混合してしまうため印刷時の地汚れやドッドゲインなどの問題を起こすため好ましいとはされない物性である。以下の表7にその結果を示す。 AとBの比が50:50よりAの割合が高い誘導体、さらには67:33よりAの割合が高い誘導体を用いた場合、さらには80:20よりAの割合が高い誘導体にはブリードした色素分が少ない。また流動性など諸特性も良好であった。表7 以上のように本発明のジオキサジンバイオレット誘導体は、これまで実用化されてきたジオキサジンバイオレット誘導体と比較し、良好な分散性を有しつつもグラビアインキのブリードの問題に代表される着色組成物から外部の物質への溶出の問題が劇的に改善されている。そのため各種印刷インキ、塗料、プラスチック等の諸用途において、着色組成物から外部物質への耐溶出性を要求される用途に対しても本発明のジオキサジンバイオレット誘導体を使用することができる。一分子中にスルホ基を一個または二個有するジオキサジンバイオレット誘導体であって、一分子中にスルホ基を一個有する誘導体(A)と一分子中にスルホ基を二個有する誘導体(B)との重量比が(A):(B)=100:0〜50:50であることを特徴とするジオキサジンバイオレット誘導体。請求項1記載のジオキサジンバイオレット誘導体の製造方法であって、スルホン化能のない媒体中でジオキサジンバイオレットとスルホン化剤を反応させてスルホン化を行う工程を含むジオキサジンバイオレット誘導体の製造方法。請求項1記載のジオキサジンバイオレット誘導体の製造方法であって、メタンスルホン酸中でジオキサジンバイオレットと硫酸を反応させてスルホン化を行う工程を含むジオキサジンバイオレット誘導体の製造方法。請求項1記載の誘導体からなる顔料分散剤。請求項1記載の誘導体を含有するジオキサジンバイオレット顔料。顔料と、樹脂と、請求項1記載の誘導体とからなる顔料分散体。請求項1記載の誘導体を含有するグラビアインキ。請求項1記載の誘導体を含有するフレキソインキ。 【課題】ジオキサジンバイオレットを分散する際に良好な分散性を有しつつ、グラビアインキのブリードの問題に代表される、着色組成物から外部の物質への溶出の問題がないジオキサジンバイオレット誘導体を提供することを目的とする。【解決手段】一分子中にスルホ基を一個または二個有するジオキサジンバイオレット誘導体であって、一分子中にスルホ基を一個有する誘導体(A)と一分子中にスルホ基を二個有する誘導体(B)との重量比が(A):(B)=100:0〜50:50であることを特徴とするジオキサジンバイオレット誘導体。【選択図】なし