タイトル: | 特許公報(B2)_ビタミンB12の安定化 |
出願番号: | 2009553947 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | A61K 31/714,A61K 47/10,A61K 31/662,A61P 43/00,A61P 3/02,A61K 9/08 |
イーリス・ヘープ ハンス−ロルフ・タテッラ JP 5558838 特許公報(B2) 20140613 2009553947 20080307 ビタミンB12の安定化 バイエル・インテレクチュアル・プロパティ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング 512137348 Bayer Intellectual Property GmbH 青山 葆 100062144 山田 卓二 100101454 松谷 道子 100106518 岩崎 光隆 100067035 橋本 諭志 100146259 イーリス・ヘープ ハンス−ロルフ・タテッラ DE 102007012644.3 20070316 20140723 A61K 31/714 20060101AFI20140703BHJP A61K 47/10 20060101ALI20140703BHJP A61K 31/662 20060101ALI20140703BHJP A61P 43/00 20060101ALI20140703BHJP A61P 3/02 20060101ALI20140703BHJP A61K 9/08 20060101ALI20140703BHJP JPA61K31/714A61K47/10A61K31/662A61P43/00 121A61P3/02 104A61K9/08 A61K 31/714 A61K 9/08 A61K 31/662 A61K 47/10 A61P 3/02 A61P 43/00 CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) 西独国特許第00951162(DE,B) 特開2000−095676(JP,A) 国際公開第2005/002589(WO,A1) 7 EP2008001819 20080307 WO2008113483 20080925 2010521507 20100624 11 20110301 瀬下 浩一 本発明は、ビタミンB12およびブタノールを含む製剤、および、ビタミン類を安定化するためのブタノールの使用に関する。 ビタミン類はあまり安定ではなく、例えば保存中に分解が観察されることが、一般的に知られている。これは、いわゆるビタミンB類にも、明示的にはビタミンB12にも当てはまる。この理由で、ビタミン類およびビタミンB12の安定化の主題について、非常に多くの研究がある。この問題の簡潔な解決法は、例えば、ビタミンB12をその分解を促進する物質から分離することである。かくして、例えば、JP200612486は、個別の部分的製剤が存在する3部からなる溶液を記載している。例えばEP416773に記載の通り、ビタミンB12は、液体製剤中のみならず、錠剤または顆粒剤中でも安定化される。しかしながら、ビタミンB12の安定化に関する研究の殆どは、液体製剤に関するものである。そのような溶液は、カプセルを充填するのにも使用され(FR1472901)、あるいは、それらの溶液は、さらなる安定化のために凍結乾燥される(JP63313736)。すぐに使用できるビタミンB12溶液には、鉄塩の添加により安定化されたものがある(FR1285213、GB902377)。これらの溶液は、同様に、EDTA(エチレンジアミンテトラ酢酸、US2939821またはGB822127)を含み得る。アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩も、ビタミンB12を安定化する効果を有すると言われている(US2566123)。ビタミン類は、アミノ酸(US2748054)の使用により、または、シクロデキストリン類(JP4049239)により、そして、硫酸アンモニウム(US2778771)により、ヨウ化ナトリウム(JP41007474)、シアン化カリウム(GB692968)、マレイン酸(JP64011864)、チオプロピオン酸(US2579679)、グルコノラクトン(ES247522)、レシチン類(JP55049313)、尿素(JP43010862)により、または、システインとの脂肪酸エステル(US2662048)により、もしくは、抗酸化剤(DE25222187)、および、いわゆるキレート化剤(WO97/31620)により、実施することもできる。N−メチルピロリドン中の溶液でさえDE3337304に記載され、その中でビタミンB12は安定であると言われている。いくつかの研究では、ビタミンB12は、多価アルコール類の使用により安定化される(JP2311417、JP63313736、JP05124967、FR1263794、JP04−235925、JP2000−319186またはHU150885)。ビタミンB12の安定化のためのアルコール類の使用は、一般的に、JP2005247800、WO2005/094842、WO02/02145、BE576619またはJP02145521で提唱されている。US2005074443は、ビタミンB12を安定化するための長鎖アルコール類を記載している。しかしながら、ビタミンB12自体も、今度は他の物質を安定化するために使用される(JP2001−048780、JP2005−015368)。 従って、JP46−15320では、等張性のためにプロピレングリコールが用いられ、鎮痛剤としてベンジルアルコールが用いられる。実際の安定化は、デキストリンおよびゼラチンにより達成される(親水性高分子)。JP45−011919では、アルコール類のプロピレングリコール、ベンジルアルコール、マンニトールまたはグリセロールが、5,6−ジメチルベンゾイミダゾリルコバミド補酵素の安定化のために記載されている。 ブタノールの使用によりビタミンB12を安定化する可能性のある方法が見出された。JP2005247800は、ビタミンB12を安定化するためのアルコール類に言及しているが、例えばそれに含まれるクロロブタノールは、特にこの場合に使用される溶液には適さず、それどころか、有害である。同様に、JP46−15320またはJP45−011919に含まれるベンジルアルコールは、本明細書で記載する製剤には、際だって不利である。なぜなら、ベンジルアルコールは全ての動物により代謝され得るわけではなく(EMEA, Committee for veterinary medicinal products, summary report, benzyl alcohol, 1997)、ベンジルアルコールを含む製剤は、ブタノールを含む製剤ほど幅広く用いることができないからである。 本発明は、以下のものに関する:・ビタミンB12およびブタノールを含む製剤。・医薬を製造するための、そのような製剤の使用。・ビタミンB12を安定化するためのブタノールの使用。・ビタミンB12の安定性が改善されたビタミンB12の製剤を製造するための、ブタノールの使用。(該当する記載なし) ビタミンB12は、狭義には、しばしばシアノコバラミンを意味するが、総称のビタミンB12に同様に包含される他の化合物もある;これらは、また、コバラミン類と呼ばれる。本明細書では、用語ビタミンB12は、一般的に、ヒトおよび/または動物の体内で補酵素として作用するか、または、対応する補酵素の形態に変換され得る全ての化合物を意味すると企図する。これらのビタミンB12化合物は、共通して、中心原子として三価のコバルトを含み、D−リボフラノース3−ホスフェートを介してアルファ−グリコシド結合している5,5−ジメチルベンゾイミダゾール残基を含む、コーリン(Corrin)構造を有する。殆どのコバラミン類は、1つの軸の置換基においてのみ相互に異なる。ビタミンB12として用いることができる化合物の例は:シアノコバラミン(軸の置換基=CN)、アクオコバラミン(aquocobalamin)(B12a、軸の置換基=−O+H2)、ヒドロキソコバラミン(B12b、軸の置換基=−OH)、ニトリトコバラミン(nitritocobalamin)(B12c、軸の置換基=−NO2)、5'−デオキシアデノシルコバラミン(deoxyadenosylcobalamin)(補酵素B12、軸の置換基=5'−デオキシアデノシル)およびメチルコバラミン(メチルB12、軸の置換基=−CH3)である。アデノシルコバラミンおよびメチルコバラミンは、実際に活性のある形態(補酵素の形態)であり、アクオコバラミンおよびヒドロキソコバラミンは、同様に体内で生じる貯蔵形態である。 好ましい実施態様によると、本発明による製剤は、薬理的に許容し得るホスホン酸誘導体をさらに含む。本発明により用いることができる薬理的に許容し得るホスホン酸誘導体は、通常、代謝賦活薬および強壮剤として特に生産用動物および家畜に適する有機化合物である。言及し得る好ましい例は、長期にわたり知られており、とりわけミネラル補給(リン)のために使用される、化合物ブタホスファン(butaphosphan)およびトルジンホス(toldimfos)である。 ブタホスファンは、化学名(1−ブチルアミノ−1−メチル)エチルホスホン酸を有し、構造式を有する。 ブタホスファンは、通常、遊離酸として用いられる。 トルジンホスは、化学名(4−ジメチルアミノ−o−トリル)ホスホン酸を有し、以下の構造式を有する。 トルジンホスは、通常、ナトリウム塩として用いる。 本発明は、遊離の有効成分およびそれらの医薬的に許容され得る塩の使用、並びに、対応する化合物またはそれらの塩の水和物および溶媒和物の使用の両方を含む。 ビタミンB12は、典型的には、本発明による医薬中で、0.00001ないし0.1%、好ましくは0.0001ないし0.05%、特に好ましくは0.001ないし0.01%の割合で用いられる。以後(断りのない限り)、百分率のデータは、パーセント(M/V)を意味する。これは、関連する物質のグラムの量/最終の溶液100mlを意味する。 ブタノールは、4個の炭素原子のアルキル鎖を有する異性体の脂肪族アルコールを表す;それらは、特に、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールおよびイソブタノールとして、直鎖または分枝状であり得る。イソブタノールおよびn−ブタノール、特にn−ブタノールが好ましい。 ブタノールは、通常、0.1ないし10%、好ましくは0.5ないし7%、特に好ましくは、1ないし5%の濃度で用いる。百分率のデータは、%(M/V)を意味する。 薬理的に活性のあるホスホン酸、例えばトルジンホス、または、特に、ブタホスファンは、本発明による医薬において、0.1ないし40%、好ましくは1ないし30%、特に好ましくは5ないし20%の割合で用いる。 本発明による製剤は、好ましくは液体であり、通常、水または水混和性物質を溶媒として含む。言及し得る例は、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール類、耐容されるアルコール類、例えばエタノールまたはベンジルアルコール、N−メチルピロリドン、炭酸プロピレン、グリコフロール(glycofurol)、ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、イソプロピリデングリセロール、または、グリセロールホルマールである。これらの溶媒は、混合して、または組合せて、用いることもできる。水をベースとする製剤が好ましく、当然、さらなる溶媒および共溶媒を含み得る。 液体製剤は、溶媒として、水または水混和性物質の他に、乳剤の形態で油も含み得る。これに関して言及し得るのは、植物油、動物油および合成油、例えば、綿実油、ゴマ油、大豆油、鎖長C12−C18の中鎖トリグリセリド、プロピレングリコールオクタノエートデカノエート、または、パラフィンである。 溶媒(または溶媒混合物)は、通常、98%まで、好ましくは90%まで、特に好ましくは87%までの濃度で存在する。溶媒の濃度は、通常、65%を超え、好ましくは75%を超え、特に好ましくは85%を超える。百分率のデータは、%(M/V)を意味する。 本発明による製剤は、また、特に、そして好ましくは、製剤が水を含む場合に、共溶媒を含み得る;共溶媒は、ある種の製剤の成分の溶解度を改善し得る。共溶媒は、通常、0.1ないし30%、好ましくは1ないし10%(百分率のデータは、各場合でM/Vである)の割合で用いる。言及し得る共溶媒の例は、医薬的に許容し得るアルコール類、ジメチルスルホキシド、乳酸エチル、酢酸エチル、トリアセチンである。上述の溶媒の混合物も、共溶媒として用いることができる。いくつかの状況では、個々の共溶媒を溶媒として用いることもできる。通常、本発明の製剤で用いられる共溶媒は、溶媒として、または、溶媒混合物中で既に使用されていないもののみである。 保存料は、液体製剤中に存在し得る。使用できる保存料の言及し得る例は、脂肪族アルコール類、例えば、ベンジルアルコール、エタノール、n−ブタノール、フェノール、クレゾール類、クロロブタノール、パラ−ヒドロキシ安息香酸エステル(特に、メチルおよびプロピルエステル)、カルボン酸、例えば、ソルビン酸、安息香酸、乳酸またはプロピオン酸の塩または遊離酸である。同様に、第四級アンモニウム化合物、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムまたは塩化セチルピリジニウム。保存料は、通常、0.001ないし5%、好ましくは0.01ないし4%の割合で用いる。本発明による製剤が、既に十分な量の保存料として働き得る成分(例えば、n−ブタノール)を含む場合、通常、さらなる割合を保存料の目的では添加しない。しかしながら、必要に応じて、他の保存料を添加することも可能である。 製剤の性質および投与の形態に応じて、本発明による医薬は、さらなる常套の医薬的に許容し得る添加物および補助剤を含み得る。言及し得る例は、以下のものである。・抗酸化剤、例えば、亜硫酸塩(亜硫酸Na、メタ重亜硫酸Na)、有機硫化物(シスチン、システイン、システアミン、メチオニン、チオグリセロール、チオグリコール酸、チオ乳酸)、フェノール類(トコフェロール類、並びに、ビタミンEおよびその誘導体、例えば、ビタミンE TPGS(d−アルファ−トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート))、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸オクチルおよびドデシル)、有機酸(アスコルビン酸、クエン酸、酒石酸、乳酸)およびそれらの塩およびエステル。通常、0.01−5、好ましくは0.05−1%を用いる。・湿潤剤、例えば、脂肪酸塩、脂肪アルキルサルフェート類、脂肪アルキルスルホネート類、直鎖アルキルベンゼンスルホネート類、脂肪アルキルポリエチレングリコールエーテルサルフェート類、脂肪アルキルポリエチレングリコールエーテル類、アルキルフェノールポリエチレングリコールエーテル類、アルキルポリグリコシド類、脂肪酸N−メチルグルカミド類、ポリソルベート類、ソルビタン脂肪酸エステル類およびポロキサマー類。通常、0.01−10%、好ましくは0.1−5%を用いる。・等張性のための物質、例えば、塩化ナトリウム、グルコースまたはグリセロール。通常、0.01−5%、好ましくは0.1−1%を用いる。・粒子形成を防止できる物質;例えば、ポロキサマー類、レシチン類、ポリビニルピロリドン類、共溶媒、抗酸化剤、例えば、二亜硫酸ナトリウム、または、錯化剤、例えば、エデト酸(editic acid)のナトリウム塩。通常、0.01−5%、好ましくは0.05−1%を用いる。・液体製剤は、投与時の局所的耐容性を改善する物質を含み得る。言及し得る例は、ラジカル捕捉剤または抗酸化剤、例えば、ビタミンEまたはビタミンC、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、システアミン、システイン、グルタチオン、チオグリコール、チオ乳酸、二亜硫酸ナトリウムまたはアセチルシステインである。錯化剤、例えば、シクロデキストリン類(例えば、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン)、ナトリウムEDTA(エチレンジアミンテトラ酢酸)、ポリビニルピロリドン、デクスパンテノール、脂肪酸の塩、例えば、カプリル酸ナトリウム、多重に荷電した金属陽イオン(例えば、Me2+またはMe3+)の塩、特に、アルカリ土類金属の塩、アミノ酸、および、このうち、特に、アルギニンまたはリジン、ポロキサマー類、ポロキサミン(poloxamine)類、溶媒または共溶媒、例えば、グリセロール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールまたはジメチルアセトアミド、デキストラン類、クレアチン、クレアチニン、酸、例えば、グルコノラクトン酸(gluconolactonic acid)、乳酸、エンボン酸(embonic acid)、クエン酸、酒石酸、ムチン酸またはヒアルロン酸、ダイズまたは卵白由来のホスファチジルコリン含量70−100%のレシチン類。通常、0.01−20%、好ましくは0.1−10%を用いる。・医薬的に許容し得る着色剤、例えば、酸化鉄、カロテノイド類など。通常、0.01−10%、好ましくは0.1−5%を用いる。 液体製剤のpHは、2−11、好ましくは3−8、特に好ましくは4−7である。pHは、必要に応じて、医薬的に許容し得る酸または塩基の添加により調節する。製剤が薬理的に活性なホスホン酸を含むならば、好ましくは塩基を添加して上記のpH値に調節する。 使用できる塩基の例は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物(例えば、NaOH、KOH;必要に応じて、それらの水溶液形態:水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液で)、または、塩基性リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、塩基性アミノ酸、例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン、オルニチン、シトルリン、ヒドロキシリジン、コリン、メグルミン、エタノールアミン類、例えばトリエタノールアミンまたは他のバッファー類(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、シクロヘキシルアミノ−1−プロパンスルホン酸)である。好ましく用いられる塩基は、NaOH、KOHまたはアルギニンである;NaOHは、必要に応じて水酸化ナトリウム水溶液として、特に好ましい。 使用できる酸の例は、無機酸、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、または、有機酸、例えば、メタンスルホン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、マロン酸、アジピン酸、酒石酸、シュウ酸、フマル酸、リンゴ酸、クエン酸、コハク酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルコン酸、グルクロン酸、ガラクツロン酸、グルタル酸、ラクトビオン酸、マンデル酸、サリチル酸、アスコルビン酸、安息香酸、マレイン酸、クエン酸、オクタン酸、リノール酸、リノレン酸である。 酸または塩基の必要量は、所望のpHにより決定される。通常、酸または塩基は、0.0001ないし20%、好ましくは0.001ないし10%の割合で使用される。 酸は、0.0001ないし20%、好ましくは0.01ないし10%の割合で使用できる。 本発明の医薬は、溶媒にビタミンを分散させることにより製造できる。ビタミンを、直接、または、定量的変換のために溶媒中の原液を使用することにより、分散させることができる。実際の溶媒の他に、原液として他の溶媒を使用することも可能である。必要に応じて、薬理的に許容し得るホスホン酸誘導体を同様に溶媒に分散させる。ブタノールまたはブタノールと溶媒の混合物を添加する。共溶媒およびさらなる成分、例えば、抗酸化剤は、溶媒に添加しておいてもよく、または、後で混合してもよい。例えば塩基を用いてpHを調節する。ビタミンB12を保護するために、製造の各部および溶液の充填を、保護ガス雰囲気下で、例えば、窒素ガスを導入して、行ってもよい。 あるいは、ブタノールおよび、必要に応じて薬理的に許容し得るホスホン酸誘導体を、最初に溶媒に溶解し、次いでビタミンB12を添加してもよい。 本発明による医薬製剤は、一般的に、ヒトおよび動物での使用に適する。それらは、好ましくは、生産用および飼育用家畜、動物園、実験室および試験用の動物、および、愛玩動物において、動物の管理および動物の飼育に用いる。 生産用および飼育用家畜には、哺乳動物、例えば、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ラクダ、スイギュウ、ロバ、ウサギ、ダマジカ、トナカイ、毛皮を有する動物、例えば、ミンク、チンチラ、アライグマ、鳥類、例えば、ウズラ、ニワトリ、ガチョウ、シチメンチョウ、アヒル、ハト、および、家庭および動物園での飼育のための鳥類種が含まれる。 実験室および試験用の動物には、マウス、ラット、モルモット、ゴールデンハムスター、ウサギ、サル、イヌおよびネコが含まれる。 愛玩動物には、ウサギ、ハムスター、ラット、モルモット、マウス、ウマ、爬虫類、適当な鳥類種、イヌおよびネコが含まれる。 魚類、特に、淡水および塩水に住む、全齢の、生産用、飼育用、水族館および観賞用の魚類にも言及し得る。 愛玩動物の場合、本発明による製剤は、好ましくは、ウマ、ウサギ、ネコおよびイヌに用いる。それらは、ネコおよびイヌにおける使用に特に適する。 生産用家畜の場合、本発明による製剤は、好ましくは、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、シチメンチョウおよびニワトリに用いる。特に好ましい生産用家畜は、ウシおよびブタである。 予防的、メタ予防的(metaphylactically)または治療的使用が可能である。 本発明による液体製剤は、好ましくは、乳剤、または、特に、液剤である。 本明細書に記載の製剤は、標的生物(ヒトまたは動物)に、様々な方法で供給できる。それらは、例えば非経腸で、特に注射(例えば、皮下、筋肉内、静脈内、乳房内(intramammary)、腹腔内)により、皮膚に、経口で、直腸に、膣に、または、経鼻で投与でき、経口および非経腸投与(特に注射による)が好ましい。注射による非経腸投与が特に好ましい。 上述の物質の使用は、ビタミンB12の、特に光に対する良好な安定性を有する医薬を導く。実施例 以下の実施例の製剤は、記載した成分を注射用水または蒸留水または鉱質除去水に混合または溶解することにより製造する。シアノコバラミンを主要な混合物に定量的に導入するために、原液を使用するのが望ましい。しかしながら、これは必須ではない。溶液のpHを、酸または塩基の添加により調節できる。溶液は、窒素保護下で製造および充填する。注射用の溶液は、濾過滅菌し、適する容器に移す。重量パーセントの百分率のデータは、最終生成物の総体積を基準とする(M/V)。実施例110%ブタホスファン0.005%シアノコバラミン(ビタミンB12)3.0%n−ブタノール必要量(quantum satis)の水酸化ナトリウム100%までの注射用水 ビタミンB120.0005gを、加熱により注射用水の一部に溶解する。ブタホスファン1.0gおよびn−ブタノール0.3gを注射用水に溶解し、シアノコバラミンの原液に添加する。水酸化ナトリウムでpHを5.6(+/−0.2)に調節し、最終量を注射用水で10mlに調節する。実施例20.005%シアノコバラミン(ビタミンB12)3.0%n−ブタノール必要量の水酸化ナトリウム100%までの注射用水 ビタミンB120.0010gを、加熱により注射用水の一部に溶解する。n−ブタノール0.6gを注射用水に溶解し、シアノコバラミンの原液に添加する。水酸化ナトリウムでpHを5.6(+/−0.2)に調節し、最終量を注射用水で20mlに調節する。実施例310%ブタホスファン0.005%シアノコバラミン(ビタミンB12)2.0%n−ブタノール必要量の水酸化ナトリウム100%までの注射用水 ビタミンB120.0025gを、加熱により注射用水の一部に溶解する。ブタホスファン5.0gおよびn−ブタノール1.0gを注射用水に溶解し、シアノコバラミンの原液に添加する。水酸化ナトリウムでpHを5.6(+/−0.2)に調節し、最終量を注射用水で50mlに調節する。実施例420%ブタホスファン0.010%シアノコバラミン(ビタミンB12)3.0%n−ブタノール必要量の水酸化カリウム100%までの注射用水 ビタミンB120.0010gを、加熱により注射用水の一部に溶解する。ブタホスファン2.0gおよびn−ブタノール0.3gを注射用水に溶解し、シアノコバラミンの原液に添加する。pHを5.6(+/−0.2)に調節し、最終量を注射用水で10mlに調節する。実施例510%ブタホスファン0.005%シアノコバラミン(ビタミンB12)4.0%n−ブタノール必要量の水酸化ナトリウム100%までの注射用水 ビタミンB120.005gを、加熱により注射用水の一部に溶解する。ブタホスファン10.0gおよびn−ブタノール4.0gを注射用水に溶解し、シアノコバラミンの原液に添加する。水酸化ナトリウムでpHを5.6(+/−0.2)に調節し、最終量を注射用水で100mlに調節する。実施例615%ブタホスファン0.0075%シアノコバラミン(ビタミンB12)3.0%n−ブタノール必要量のメグルミン100%までの注射用水 ビタミンB120.00075gを、加熱により注射用水の一部に溶解する。ブタホスファン1.5gおよびn−ブタノール0.3gを注射用水に溶解し、シアノコバラミンの原液に添加する。pHをメグルミンで5.6(+/−0.2)に調節し、最終量を注射用水で10mlに調節する。実施例730%ブタホスファン0.015%シアノコバラミン(ビタミンB12)3.0%n−ブタノール必要量のアルギニン100%までの注射用水 ビタミンB120.0015gを、加熱により注射用水の一部に溶解する。ブタホスファン3.0gおよびn−ブタノール0.3gを注射用水に溶解し、シアノコバラミンの原液に添加する。pHをアルギニンで5.6(+/−0.2)に調節し、最終量を注射用水で10mlに調節する。実施例80.010%シアノコバラミン(ビタミンB12)3.0%n−ブタノール必要量のアルギニン100%までの注射用水 ビタミンB120.0010gを、加熱により注射用水の一部に溶解する。n−ブタノール0.3gを注射用水と混合し、シアノコバラミンの原液に添加する。pHをアルギニンで5.6(+/−0.2)に調節し、最終量を注射用水で10mlに調節する。光に対する安定性 本明細書に記載の製剤は、他の製剤と比較して改善された光安定性を示した。その選択された例を、下表に挙げる。結果を図1にグラフで再掲する(図1:n−ブタノールを含まない製剤[A]と、n−ブタノールを含む製剤[B、実施例1に従う]の光安定性の比較)。表1:n−ブタノールを含まない製剤(A)と、n−ブタノールを含む製剤(B)の光安定性の比較 ビタミンB12、n−ブタノールおよび薬理的に許容し得るホスホン酸誘導体を含む製剤。 液体であることを特徴とする、請求項1に記載の製剤。 ブタホスファンおよびトルジンホスから選択される薬理的に許容し得るホスホン酸誘導体を含む、請求項1または請求項2に記載の製剤。 ブタホスファンから選択される薬理的に許容し得るホスホン酸誘導体を含む、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の製剤。 医薬の製造のための、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の製剤の使用。 n−ブタノールを有効成分とするビタミンB12安定化剤。 改善されたビタミンB12安定性を有するビタミンB12の製剤を製造するための、n−ブタノールの使用。