タイトル: | 特許公報(B2)_発酵ブロス中のプロテアーゼ結晶の可溶化 |
出願番号: | 2009553115 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | C12N 9/54 |
ヤコブセン,スネ ハンセン,キム ウーレ カースガール,スベン JP 5453116 特許公報(B2) 20140110 2009553115 20080306 発酵ブロス中のプロテアーゼ結晶の可溶化 ノボザイムス アクティーゼルスカブ 500586299 青木 篤 100099759 石田 敬 100077517 福本 積 100087871 古賀 哲次 100087413 渡辺 陽一 100117019 中村 和広 100108903 中島 勝 100141977 ヤコブセン,スネ ハンセン,キム ウーレ カースガール,スベン EP 07104220.4 20070315 20140326 C12N 9/54 20060101AFI20140306BHJP JPC12N9/54 C12N 9/54 C12N 15/00−15/90 PubMed Science Direct JSTPlus(JDreamII) JMEDPlus(JDreamII) JST7580(JDreamII) 特開平04−066086(JP,A) TIBTECH,1990年,Vol.8,p.88-93 Biochem.,2001年,Vol.40,p.10634-10639 Prot. Express. Purifi.,2006年,Vol.47,p.144-151 Biochem. Mol. Biol. Int.,1995年,Vol.35, No.4,p.899-912 Biotechnol. Appl. Biochem.,1998年,Vol.28,p.207-213 20 EP2008052732 20080306 WO2008110498 20080918 2010521146 20100624 10 20110222 吉田 知美 本発明は、発酵ブロス中のプロテアーゼ結晶、及び/又はプロテアーゼ沈殿物の改良された可溶化方法を提供する。 産業用プロテアーゼの発酵収率は、過去数年で劇的に上回っている。その収率は、現在、結晶、及び/又は沈殿物として存在する発酵ブロス中のプロテアーゼの60%を超えるくらい高い。 多くの方法が、この問題を解決するか、又は最小限におさえるために適用されている、例えば、培養ブロスのpHが9.5〜13.0のpHに調整されるUS 6,316、240を参照のこと。 当該発明者は、発酵ブロス中のプロテアーゼ結晶、及び/又はプロテアーゼ沈殿物の80%超を可溶化することが可能であることを発見し、そこで、我々は: 発酵ブロス中のプロテアーゼ結晶、及び/又はプロテアーゼ沈殿物の可溶化方法であって、以下のステップ: a)上記発酵ブロスを100〜2000%(w/w)希釈し; b)二価塩を加え;そして c)上記発酵ブロスのpH値をpH5.5より低いpH値に調整する、を含んで成る前記方法を主張する。 詳細な説明 プロテアーゼ プロテアーゼ結晶、及び/又はプロテアーゼ沈殿物、及び/又は発酵ブロス中の細胞塊/不溶性物質に結合したプロテアーゼが、本発明によって可溶化できる。好ましい態様において、プロテアーゼはズブチリシン(subtilisin)である。 ズブチリシンは、Asp32、His64、及びSer221(ズブチリシンBPN’ナンバリング)で構成された触媒の三アミノ酸を使用するセリンプロテアーゼである。それには、NC-IUBMB酵素分類:EC 3.4.21.62に属すあらゆる酵素が含まれる。 ペプチダーゼ分類法によると、ズブチリシンは、クランSB、ファミリーS8、MEROPS ID:S08.001と説明できる。 ズブチリシンは、例えば、Barrett et al. 1998. Handbook of proteolytic enzymes. Academic press, p. 289-294に記載されている。 プロテアーゼ活性は、問題のプロテアーゼの特異性に関係するペプチド結合を含め、基質を利用するあらゆるアッセイを使用して計測され得る。アッセイpH及びアッセイ温度もまた、問題のプロテアーゼに適合させる。 本発明のプロテアーゼの起源、及び/又は本発明による使用に対する制限はない。これにより、プロテアーゼという用語には、天然又は野生型プロテアーゼだけでなく、プロテアーゼ活性を示すその突然変異体、変異体、フラグメントなどのすべて、並びにシャッフル・プロテアーゼ(shuffled proteases)及びコンセンサス・プロテアーゼなどの合成プロテアーゼも含まれる。このような遺伝子操作されたプロテアーゼは、当該技術分野で広く知られているように、例えば、部位特異的突然変異誘発法によって、(PCR反応におけるプライマーの1つとして所望の突然変異を含むPCR断片を使用する)PCR法によって、又はランダム変異導入法によって調製できる。コンセンサス・タンパク質の調製は、例えば、EP 897985に記載されている。 好ましいズブチリシンは、ズブチリシンCarlsberg、ズブチリシンBPN′、ズブチリシン147、ズブチリシン309、及びズブチリシン168から成る群から選択されるズブチリシンである。 好ましい市販のズブチリシンには、ALCALASE(商標)、SAVINASE(商標)、ESPERASE(商標)、EVERLASE(商標)、OVOZYME(商標)、CORONASE(商標)、POLARZYME(商標)、及びKANNASE(商標)(Novozymes A/S);MAXATASE(商標)、MAXACAL(商標)、MAXAPEM(商標)、PROPERASE(商標)、PURAFECT(商標)、PURAFECT OXP(商標)、FN2(商標)、FN3(商標)、及びFN4(商標)(Genencor International Inc.);並びにBLAP X(商標)(Henkel)が含まれる。 多くのプロテアーゼ、特にズブチリシンは、(pH5.5より低い、特にpH5.0より低い)低いpHにて不安定であることが知られている。この事実が、本発明を非常に驚くべきものにしている:着目のプロテアーゼ結晶、及び/又はプロテアーゼ沈殿物を含んで成る発酵ブロスのpHを、pH5.5より低いpH値に調整し、そうすると、100%の回収が達成される(pH4.5の上清中で100%の活性がある実施例1、及びpH4.2の上清中で100%の活性がある実施例2を参照のこと)。 微生物 本発明によるプロテアーゼは、微生物から得ることができる。 その微生物は、単細胞微生物、例えば、原核生物であるか、又は非単細胞微生物、例えば、真核生物であるかもしれない。有用な単細胞の細胞は、これだけに制限されることなく、バチルス属の細胞(Bacillus cell)、例えば、バチルス・アルカロフィルス(Bacillus alkalophilus)、バチルス・アミロリキファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・ブレビス(Bacillus brevis)、バチルス・サーキュランス(Bacillus circulans)、バチルス・クラウジイ(Bacillus clausii)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バチルス・ファーマス(Bacillus firmus)、バチルス・ラウタス(Bacillus lautus)、バチルス・レンタス(Bacillus lentus)、バチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・パミルス(Bacillus pumilus)、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)、及びバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis);又はストレプトマイセス属の細胞(Streptomyces cell)、例えば、ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)若しくはストレプトマイセス・ムリヌス(Streptomyces murinus)を含めたグラム陽性細菌、あるいは、E.コリ(E. coli)及びシュードモナス属(Pseudomonas sp.)などのグラム陰性細菌などの細菌細胞である。 好ましい態様において、細菌宿主細胞は、バチルス・レンタス細胞、バチルス・リケニホルミス細胞、バチルス・ステアロサーモフィルス細胞、又はバチルス・ズブチリス細胞である。 前記微生物は、真菌細胞であってもよい。本明細書中では、「真菌」には、子嚢菌門、担子菌門、ツボカビ門、及び接合菌門、並びに卵菌門、及びすべての不完全菌類(mitosporic fungi)が含まれる。子嚢菌門の代表的グループには、例えば、ニューロスポラ属(Neurospora)、ユウペニシリウム属(Eupenicillium)(=ペニシリウム属(Penicillium))、イメリセラ属(Emericella)(=アスペルギルス属(Aspergillus))、ユーロチウム属(Eurotium)(=アスペルギルス属)、及び以下で列挙する真正酵母(true yeasts)が含まれる。担子菌門の例に、キノコ、さび菌類(rusts)、及び黒穂菌類(smuts)が含まれる。ツボカビ門の代表的グループには、例えばカワリミズカビ(Allomyces)、コウマクノウキン(Blastocladiella)、ボウフラキン(Coelomomyces)、及び水生菌類(aquatic fungi)が含まれる。卵菌門の代表的グループには、例えば、ワタカビ(Achlya)などのミズカビ(Saprolegniomycetous)水生菌類(ミズカビ)が含まれる。不完全菌類の例には、アスペルギルス属、ペニシリウム属、カンジダ属(Candida)、及びアルタネリア(Alternaria)が含まれる。接合菌門の代表的グループには、例えば、クモノスカビ(Rhizopus)及びケカビ(Mucor)が含まれる。 真菌宿主細胞は、酵母細胞であってもよい。本願明細書において使用される「酵母」には、子嚢菌類酵母(Endomycetales)、担子菌類酵母、及び不完全真菌(Fungi Imperfecti)に属する酵母(Blastomycetes)が含まれる。子嚢菌類酵母は、スパーモフトラセー(Spermophthoraceae)科及びサッカロマイセス(Saccharomycetaceae)科に分けられる。後者には、4つの亜科、シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomycoideae)亜科(例えば、シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属)、ナドソニオイデ(Nadsonioideae)、リポミコイデアエ(Lipomycoideae)亜科、及びサッカロマイセス(Saccharomycoideae)亜科(例えばクルイベロミセス(Kluyveromyces)、ピキア(Pichia)、及びサッカロマイセス(Saccharomyces)属)がある。担子菌類酵母には、ロイコスポリジウム(Leucosporidim)属、ロドスポリジウム(Rhodosporidium)属、スポリジオボラス(Sporidiovolus)属、フィロバシジウム(Filobasidium)属、及びフィロバシジエラ(Filobasidiella)属が含まれる。不完全菌に属する酵母は、2つの科、スポロボロミセス(Sporobolomycetaceae)科(例えば、スポロボロミセス(Sorobolomyces)属及びブレラ(Bullera)属)、並びにクリプトコッカス(Cryptococcaceae)科(例えば、カンジダ(Candida)属)に分けられる。 他の態様において、真菌宿主細胞は、糸状菌細胞である。 宿主細胞はまた、哺乳動物細胞、昆虫細胞、又は植物細胞などの真核生物であってもよい。 発酵ブロス 本発明は、工業規模のあらゆる発酵、例えば、少なくとも50リットル、好ましくは少なくとも500リットル、より好ましくは少なくとも5,000リットル、よりいっそう好ましくは少なくとも50,000リットルの培地を有するあらゆる発酵にも有用である。 着目のプロテアーゼを産生する微生物は、当該技術分野で知られているいずれかの方法によって発酵させることができる。発酵培地は、例えば、WO 98/37179に記載の最少培地であってもよく、又は発酵培地は、複合窒素源及び炭素源を含んで成る複合培地であってもよい。ここで、前記複合窒素源は、WO 2004/003216に記載のとおり、部分的に加水分解され得る。 発酵は、バッチ法、繰り返しバッチ法、フェドバッチ法、繰り返しフェドバッチ法、又は連続発酵法として実施できる。 フェドバッチ法では、発酵開始前に、1又は複数の構造成分、及び/又は触媒成分を含んで成る化合物を全く加えないか又はその一部しか培地に加えず、そして、1又は複数の構造成分、及び/又は触媒成分を含んで成る化合物の、それぞれ、全部又は残りの部分を、発酵過程中に供給する。供給用に選ばれた化合物は、発酵過程へと一緒に供給されても、互いに別個に供給されてもよい。 繰り返しフェドバッチ法又は連続発酵法では、発酵中、完全な出発培地が追加的に供給される。出発培地は、(単回若しくは複数回の)構造成分供給と一緒に供給されても、それとは別に供給されてもよい。繰り返しフェドバッチ法では、バイオマスを含んで成る発酵ブロスの一部が一定の時間間隔で取り出されるのに対して、連続法では、発酵ブロスの一部の取り出しが連続的に起こる。その結果、発酵過程には、回収された発酵ブロスの量に相当する新鮮培地の一部が補給される。 本発明の好ましい態様において、フェドバッチ発酵法が好まれる。 可溶化過程 本発明の方法は、未処理の発酵ブロスに対して、又は細胞及び他の固形物の除去以前を除いて、最初に、これだけに制限されることなく、例えば、温度調節、に晒された発酵ブロスに対して適用できる。従って、我々はまた、以下の: 発酵ブロス中のプロテアーゼ結晶、及び/又はプロテアーゼ沈殿物の可溶化方法であって、以下のステップ: a)上記発酵ブロスを100〜2000%(w/w)希釈し; b)二価塩を加え; c)上記発酵ブロスのpH値をpH5.5より低いpH値に調整し;そして d)着目のプロテアーゼを産生する微生物を取り出す、を含んで成る前記方法も主張する。 プロテアーゼ結晶、及び/又はプロテアーゼ沈殿物、及び/又は細胞塊/不溶性物質に結合したプロテアーゼを含んで成る発酵ブロスは、本発明に従って、100〜2000%(w/w)、好ましくは100〜1500%(w/w)、より好ましくは100〜1000%(w/w)、特に200〜700%(w/w)希釈される。 希釈媒質は、典型的には、水、問題のプロテアーゼ過程からの限外濾液、問題のプロテアーゼ過程からの水の再利用、加熱器からの復水、又は前述のもののいずれかの組み合わせ、例えば、水と限外濾液の混合物であるだろう。 二価塩、特に、カルシウム塩、及び/又はマグネシウム塩が、驚くほど優れた可溶化剤であることがわかった。好ましい二価塩は、リン酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、塩化物、例えば、塩化カルシウム又は塩化マグネシウムである。好ましい態様は、カルシウム塩である。 二価塩は、希釈した発酵ブロスの少なくとも0.01〜5%(w/w)、特に、希釈した発酵ブロスの0.01〜1%(w/w)の濃度で加えられるべきである。 二価塩の投入は、典型的には、インラインで、又は混合タンクにおいて行われるか、あるいは、当該技術分野で知られているその他の方法のいずれかによっても行われる。 二価塩に加えて、アルミン酸塩、例えば、NaAlO2、及び/又はカチオン性重合体、及び/又はアニオン性重合体などの1種類以上の凝集剤を加えることは有利である。 発酵ブロスのpHは、pH5.5より低いpH値、特に5.0より低いpH値に調整される。pH調整は、二価塩の添加前に、それと同時に、又は添加後に行われ得る。pHは、2.0〜5.5のpH値に;好ましくは2.0〜5.0のpH値に;より好ましくは3.0〜5.0のpH値に、そして、特に4.0〜5.0のpH値に調整され得る。 本発明の工程ステップ: a)発酵ブロスを100〜2000%(w/w)希釈し、 b)二価塩を加え、そして、 c)上記発酵ブロスのpH値をpH5.5より低いpH値に調整する、は、順不同でも行うことができること、例えば、ステップa)とステップb)を同時に実施できること;ステップb)とステップc)を同時に実施できること;及びステップb)をステップc)の前に実施できることに留意すべきである。 (二価塩の添加及びpH調節の後の)希釈した発酵ブロスの電導度は、好ましくは1mS/cm〜100mS/cmの範囲内にあり;より好ましくは1mS/cm〜40mS/cmの範囲内にあり;そして、特に3mS/cm〜20mS/cmの範囲内にある。電導度は、例えば、電導率計で観察できる。 希釈した発酵ブロスは、典型的には、5℃〜50℃の温度であるだろう。希釈の前、それと同時、又は希釈の後に発酵ブロスを加熱すること、又は二価塩の添加/pH調節の前、それと同時、又はその後に発酵ブロスを加熱することは有利である。 二価塩の添加及びpHの調整後に、混合が行われるだろう。混合時間は、選ばれた温度と、問題のプロテアーゼの結晶形態に依存するだろう。 本発明により、プロテアーゼ結晶、及び/又はプロテアーゼ沈殿物、及び/又は細胞塊/不溶性物質に結合したプロテアーゼの80%超が可溶化され得る;好ましくはプロテアーゼ結晶、及び/又はプロテアーゼ沈殿物、及び/又は細胞塊/不溶性物質に結合したプロテアーゼの85%超が可溶化され得る;より好ましくはプロテアーゼ結晶、及び/又はプロテアーゼ沈殿物、及び/又は細胞塊/不溶性物質に結合したプロテアーゼの90%超が可溶化され得る;特にプロテアーゼ結晶、及び/又はプロテアーゼ沈殿物、及び/又は細胞塊/不溶性物質に結合したプロテアーゼの95%超が可溶化され得る。 先に記載した可溶化過程の後に、微生物が、当該技術分野で知られている方法、例えば、これだけに制限されることなく、濾過、例えば、ドラム濾過や膜濾過、又は遠心分離などによって取り出される。 一部が結晶性形態又は沈殿形態の着目のプロテアーゼを含む培養ブロスからのプロテアーゼ生成物の回収における重要なパラメーターの1つは、もちろん総合的な抽出収率であることに留意すべきである。 特定の条件下で、回収は、プロテアーゼが完全に可溶性の形態でもたらされる第1ステップ、そして、プロテアーゼが、スラッジとして一般的に知られている細胞塊や他の不溶性物質から分離される第2ステップのツーステップの過程と考えられる。第2ステップでは、スラッジへのプロテアーゼの結合は、総合的な抽出収率に対してマイナスの影響があるだろう。残念ながら、結晶性酵素又は沈殿している酵素の速い溶解に有利に働く条件は、スラッジへの酵素の結合を増加させる場合がある。 しかしながら、本発明の特定の態様を利用することによって、発酵ブロスのpHを5.5より低い値に調整し、電導度を低く(20mS/cm未満;特に15mS/cm未満に)保つことにより結晶性の又は沈殿しているプロテアーゼを最初に溶解することによって、この問題を解決できる。 プロテアーゼ結晶及びプロテアーゼ沈殿物の可溶化の後に、スラッジへのプロテアーゼの結合を低減するために、二価塩が加えられる。そのとき、電導度は、1mS/cm〜100mS/cmの範囲内に;より好ましくは1mS/cm〜40mS/cmの範囲内に;そして、特に3mS/cm〜20mS/cmの範囲内にあるだろう。そのとき、プロテアーゼは溶液の状態にあるので、プロテアーゼは、遠心分離、濾過、又はその他の知られている分離過程によってスラッジ物質から分離され得る。 さらなる態様において、溶解ステップと二価塩の添加の間に20秒〜60分のわずかな猶予が導入される、好ましくは溶解ステップと二価塩の添加の間に20秒〜45分の猶予が導入される;特に、溶解ステップと二価塩の添加の間に20秒〜30分の猶予が導入される。溶解は比較的遅い過程である。前述の詳細に従って、我々はまた: 発酵ブロス中のプロテアーゼ結晶、及び/又はプロテアーゼ沈殿物、及び/又は細胞塊/不溶性物質に結合したプロテアーゼの可溶化方法であって、以下のステップ: a)上記発酵ブロスを100〜2000%(w/w)希釈し; b)上記発酵ブロスのpH値をpH5.5より低いpH値に調整し;そして c)二価塩を加える、を含んで成り、ここで、ステップb)とステップc)の間には、20秒〜60分の猶予がある前記方法も主張する。 二価塩の添加によるスラッジからのプロテアーゼの遊離は、速い過程であり、多くの場合、例えば、遠心分離又は濾過、によるスラッジ画分からプロテアーゼを分離する前の猶予が必要ないことを意味していることに留意すべきである。 ステップb)とステップc)の間に猶予があるツーステップの過程は、回収プロセスに使用されるpHにおいて、プロテアーゼが強い正味の正電荷を持ち、そして、スラッジが正味の陰性表面荷電を持つときに、有利に適用できる。 その後の下流操作 得られたプロテアーゼは、当該技術分野で知られている方法によってさらに単離できる。例えば、プロテアーゼは、これだけに制限されることなく、さらなる濾過、例えば、限外濾過や精密濾過、抽出、スプレードライ、留去、沈殿、又は結晶化を含めた従来の手順によって回収できる。 いかなる形であっても、主張した本発明の範囲が制限されることを意図しない以下の実施例において、本発明はさらに例証される。 プロテアーゼ(ズブチリシン309)結晶の可溶化に対するpHとカルシウムの効果 ズブチリシン:ズブチリシンは、EP 0396 608 B1に記載のズブチリシン309であった。 バチルス属(Bacillus species):バチルス属は、WO 02/00907に記載のとおり挿入したズブチリシンのコピーを伴ったバチルス・リケニホルミスであった。 可溶化過程: 発酵ブロスは、6.8のpHであった。 発酵ブロスを、300%(w/w)の水で希釈した。それは、1kgの発酵ブロス(培養ブロス=CB)を3kgの水で希釈することを意味する。 8つのサンプルを取り出した。4つのサンプルでは、カルシウムを加えなかった。その他の4つのサンプルでは、未希釈の発酵ブロスに対して3%(w/w)のCaCl2(36%(w/w))を加えた。それは、希釈した発酵ブロスに対する二価塩の濃度が: [(3×0.36)/4]%=0.27%であることを意味する。 pHを、10.5;7.5;7.0;及び4.5に調整した。 pH7のサンプルを除いて、すべてのサンプルを室温にて1時間混合した。 次に、サンプルを遠心分離し、そして、遠心分離物中のプロテアーゼ活性を測定した。 結果を以下の表1に示す。 カルシウムを添加しない場合、遠心分離物中のプロテアーゼ活性は、より低いpHで減少することが、先の表1から分かった:pH10.5にてプロテアーゼ活性は66%であり;pH7.5にて活性は64%であり;そして、pH4.5にて活性は45%である。 カルシウム塩を添加した場合、遠心分離物中のプロテアーゼ活性は、低いpHほど顕著に増強されるであろう:pH10.5にてプロテアーゼ活性は65%であり;pH7.5にて活性は79%であり;そして、pH4.5にて活性は100%である。 pH10.5にて、カルシウム添加の効果がないことに留意すべきである。 プロテアーゼ(ズブチリシン309変異体)結晶の可溶化に対するpHとカルシウムの効果 ズブチリシン:ズブチリシンは、WO 00/37599に記載のズブチリシン309の変異体であった。 バチルス属(Bacillus species):バチルス属は、WO 02/00907に記載のとおり挿入したズブチリシンのコピーを伴ったバチルス・リケニホルミスであった。 可溶化過程: 発酵ブロスは、7.4のpHであった。 発酵ブロスを、300%(w/w)の水で希釈した。それは、1kgの発酵ブロス(培養ブロス=CB)を3kgの水で希釈することを意味する。 8つのサンプルを取り出した。4つのサンプルでは、カルシウムを加えなかった。その他の4つのサンプルでは、未希釈の発酵ブロスに対して3%(w/w)のCaCl2(36%(w/w))を加えた。それは、希釈した発酵ブロスに対する二価塩の濃度が: [(3×0.36)/4]%=0.27%であることを意味する。 pHを、10.5;7.5;7.0;及び4.2に調整した。 pH7のサンプルを除いて、すべてのサンプルを室温にて1時間混合した。 8つのサンプルの電導度を計測した。それらは、すべて10.5〜14.3mS/cmの範囲内にあった。 次に、サンプルを遠心分離し、そして、遠心分離物中のプロテアーゼ活性を測定した。 結果を以下の表2に示す。 カルシウム塩を添加した場合、遠心分離物中のプロテアーゼ活性は、低いpHほど顕著に増強されるであろうことが、先の表2から分かった:pH10.5にてプロテアーゼ活性は10%であり;pH7.5にて活性は65%であり;そして、pH4.2にて活性は100%である。 pH10.5にて、カルシウム添加の負の効果があることに留意すべきである。 発酵ブロス中のズブチリシン結晶、及び/又はズブチリシン沈殿物の可溶化方法であって、以下のステップ: a)上記発酵ブロスを100〜2000%(w/w)希釈し; b)二価塩を加え;そして c)上記発酵ブロスのpH値をpH5.5より低いpH値に調整する、を含んで成る前記方法。 前記ズブチリシン結晶、及び/又はズブチリシン沈殿物を、微生物から得る、請求項1に記載の方法。 前記微生物が、原核生物又は真核生物である、請求項2に記載の方法。 前記原核生物が、バチルス属の細胞である、請求項2に記載の方法。 前記発酵ブロスを、水で希釈する、請求項1に記載の方法。 前記発酵ブロスを、限外濾液で希釈する、請求項5に記載の方法。 前記希釈を、水と限外濾液の混合物で実施する、請求項1に記載の方法。 前記二価塩が、カルシウム塩、及び/又はマグネシウム塩である、請求項1に記載の方法。 前記二価塩を、希釈した発酵ブロスに対して0.01〜5%の濃度で添加する、請求項1に記載の方法。 前記pHを、2.0〜5.0のpHに調整する、請求項1に記載の方法。 前記発酵ブロスを、3.0〜5.0のpHに調整する、請求項10に記載の方法。 前記発酵ブロスを、4.0〜5.0のpHに調整する、請求項11に記載の方法。 前記発酵ブロスが、5℃〜50℃の温度である、請求項1に記載の方法。 追加的に1又は複数の他の凝集剤を、発酵ブロスに加える、請求項1に記載の方法。 前記ステップa)とステップb)を同時に実施する、請求項1に記載の方法。 前記ステップb)とステップc)を同時に実施する、請求項1に記載の方法。 前記ステップc)を、ステップb)の前に実施する、請求項1に記載の方法。 発酵ブロス中のズブチリシン結晶、及び/又はズブチリシン沈殿物、及び/又は細胞塊/不溶性物質に結合したズブチリシンの可溶化方法であって、以下のステップ: a)上記発酵ブロスを100〜2000%(w/w)希釈し; b)上記発酵ブロスのpH値をpH5.5より低いpH値に調整し;そして c)二価塩を加える、を含んで成り、ここで、ステップb)とステップc)の間に20秒〜60分の猶予がある前記方法。 前記ステップa)、b)、及びc)の後に、電導度が1mS/cm〜100mS/cmの範囲内にある、請求項1又は請求項18に記載の方法。 前記ズブチリシン結晶、及び/又はズブチリシン沈殿物、及び/又は細胞塊/不溶性物質に結合したズブチリシンの80%超が可溶化される、請求項1又は請求項18に記載の方法。