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タイトル:特許公報(B2)_モノリシッククロマトグラフィーカラム用被膜
出願番号:2009549786
年次:2013
IPC分類:G01N 30/88,G01N 30/60,B01J 20/281,C09D 181/02,C09D 7/12


特許情報キャッシュ

カブレラ ペレツ, カリン クレーアー,クラウス ノイロート,ヴィリ JP 5208971 特許公報(B2) 20130301 2009549786 20080119 モノリシッククロマトグラフィーカラム用被膜 メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 591032596 Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung 葛和 清司 100102842 カブレラ ペレツ, カリン クレーアー,クラウス ノイロート,ヴィリ DE 102007008360.4 20070216 20130612 G01N 30/88 20060101AFI20130527BHJP G01N 30/60 20060101ALI20130527BHJP B01J 20/281 20060101ALI20130527BHJP C09D 181/02 20060101ALI20130527BHJP C09D 7/12 20060101ALI20130527BHJP JPG01N30/88 201GG01N30/60 ZG01N30/88 201XB01J20/26 LC09D181/02C09D7/12 G01N 30/00−30/96 特表2003−530571(JP,A) 特表2003−504460(JP,A) 6 EP2008000401 20080119 WO2008098659 20080821 2010521654 20100624 14 20110118 赤坂 祐樹 本発明は、モノリシッククロマトグラフィーカラムの被膜とその製造ならびにそれについての使用に関する。 粒状吸着剤を含む従来のクロマトグラフィーカラムの生産のために、充填材料を、正確にぴったりの端部を有するステンレススチールまたはプラスチック管中に導入する。この結果、吸着剤床が、カラムのジャケットと密に接触し、粒子が、カラムの断面全体にわたり均一に散布される。 次世代のクロマトグラフィーカラムは、現在シリカモノリスで構成されており、それらはカスタマイズされた細孔系を用いた、特殊な分離問題のためのゾルゲルプロセスによって生産することが可能である。クロマトグラフィーにこれらのモノリスを採用することを可能にするため、第二段階でそれらは溶媒耐性ならびに圧力安定な素材を用いて被覆されなければならない。 例えばWO 94/19 687 AおよびWO 95/03 256 Aに開示されているように、粒状の吸着剤がこのようなモノリシック吸着剤で置換されている場合には、圧力安定性および液密性(liquid-tight)吸着剤の被覆を作成する問題が発生する。これらの生産の間、モノリシック吸着剤は収縮し得、したがってこれらは最初の形状のままでない場合がある。これは、無機モールディングと有機モールディングの両方の形態に同等に該当する。したがって、これらは、実際の生産の後、新たな液密性および圧力安定性被覆を有しなければならない。このような方法によってのみ、試料および溶出液が、吸着剤を通ってのみ輸送されることが保証される。 モノリシック吸着剤を液密性被覆するための支持の可能性は、DE 197 26 164に記載されている。これらは、例えば、圧力安定性プラスチック、例えばPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)または繊維補強PEEKでの被覆を含む。しかし、このタイプの材料でモノリシック吸着剤を被覆する試みは、重要である被覆の機械的安定性のみではないことを示した。 HPLCのためのモノリシックカラムの品質は、一方において分離効率(N/m)により、および他方においてピーク対称により表すことができる。良好な分析カラムは、70,000〜100,000N/mの分離効率を有する。理想的な場合において、ピーク形状は、ガウスベル形に相当する。この対称的な形状からの逸脱は、「フロンティング(fronting)」または「テーリング(tailing)」をもたらす。カラム本体およびピーク対称の固有の分離効率は、溶媒密性密封のためのポリマーで被覆した後の、クロマトグラフィー使用試験においてそれ以上変化してはならない。 不適切な被覆の場合において、ポリマーは、わずかなデッドスペースのみを残すカラム体に寄りかからない。最初から、カラムは、カラム体/ポリマー界面を通っての試料の一層迅速な通過の結果として、プレピーク(pre-peak)または少なくとも「ピークフロンティング」を示す。 不適切なポリマーでの被覆はまた、尚最初のクロマトグラフィー試験において良好な分離効率およびピーク対称をもたらし得るが、さらなる使用において2つの品質パラメータにおける変化/悪化をもたらす。 1つの現象は、被覆の微孔性構造による、カラムを移動相中に貯蔵した(例えば、アセトニトリル/水、60/40中での4週間の貯蔵)際の、ピークテーリングの増大である。他の現象は、被覆の形状の変化による分離効率の同時の減少に伴うピークフロンティングの増大であり得る。 これらの好ましくない現象が一方でポリマーの自然収縮特性および他方で溶媒の膨潤特性により生じ得ることが、過去の思想中にあった。例えばシリカゲル製の、堅く、脆い無機モールディングの被覆は、特に問題になる。ポリマー(例えばPEEK)は、高い加工温度においてモールディング上に溶融するため、これは、最初にこれに強力に接着する。ポリマーを冷却する際に、ポリマーの「移動」(収縮)が発生し、一方モールディングは、この寸法において依然として堅い。応力が蓄積する。ポリマーが次に溶媒と接触する場合には、これは後者を吸収し、膨潤する。長さ方向および横断方向に蓄積した応力は、弛緩される。この結果、わずかな損傷が、界面において多孔性シリカゲル本体に発生する。この固有の移動により、シリカゲルに強力に接着するポリマーは、界面におけるシリカゲルの「引きずり」により、穴の形成を生じる。この結果、分離効率の減少および極端な場合においては強力なピークフロンティングが生じる。 ピークテーリングの増加はまた、クロマトグラフィープロセスの間の制御されていない追加の拡散プロセスを生じる、ポリマー被覆における微孔性構造により、説明することができる。 EP 0 990 153Aは、繊維強化PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)製の適当な断面を持った管をモノリスへ挿入することによって、この問題を解決することを試みている。その繊維強化PEEKは、後処理として350℃から400℃の範囲の温度でのオーブンにおいて溶解され、被覆されたモノリスの表面と直接接触する。 しかし、ピーク対称性(テーリングとフロンティング)に関連する問題は、本法で生産された被覆されたモノリシッククロマトグラフィーカラムの使用において依然残されており、上記の問題が解決されていないことを意味している。 EP 0 990 153Aで述べられているように、被膜を溶解するための熱処理の間中、PEEKは多孔モノリスの多孔構造内へ“流れ込む”と考えられている。PEEKは異なった化学構造、ならびに最終産物の大部分を占めるとされる修飾されたシリカゲルモノリスに対して異なった物理的特性を有しており、これはとりわけ望ましくない振る舞いの一因と考えられている。使用中、末端領域の多孔構造部にPEEKが“流れ込む”ことは、非特異的な相互作用中心を生じ、それはPEEKから発せられ被分析物と接触する。被分析物の化学構造によっては、この結果はピークテーリングやフロンティングの原因となる。 さらには、被覆の間にモノリスとPEEKの間で非常に強力な接着が発生し、それは2つの素材が被覆過程の後には分離できないことを意味している。PEEKの溶解後に冷却される間に末端領域に余分な力も引き起こし、結果的にひび割れやインターフェース間にデッドスペースを生じ、フロンティングの原因となる。 付け加えて、PEEK被膜はオーブン温度約400℃でモノリス上に溶解される。この温度は重要であり、PEEKの融点(約340℃)の約55℃高い。これらの温度条件は、RP(RP=reversed phase(逆相))表面誘導体化後のC−18鎖を含むモノリスに対して悪影響を及ぼす。この表面誘導体化は約200℃まで安定である。それよりも高温では、C−18鎖は次第に焼き払われ、シラノール基がシリカゲルモノリス表面に次第に形成される。特に塩基性化合物の分離において、シラノール基はテーリングの原因となる。 従って、本発明の目的は、被覆されたモノリシッククロマトグラフィーカラムの完成後、使用上ピークフロンティングやテーリングの原因となるデッドスペースをほとんど残さない被膜を提供することにある。本発明のさらなる目的は、安定したポリマー素材とモノリシッククロマトグラフィーカラムの特性に悪影響を与えないモノリスを被覆するプロセスのいずれも提供することにある。 その目的は、ポリフェニレンスルフィドを含む被膜であり、デッドスペースをほとんど残さない熱プラスチックを用いて被覆されたモノリシックモールディングによる本発明に従うことで達成される。 特に、本発明に記載の目的は、デッドスペースのほとんどない繊維強化熱プラスチックを用いて被覆されたモノリシックモールディングによって達成することにある。特に、繊維強化ポリフェニレンスルフィドは被膜の製造にとって特に適していることが証明されている。 本発明に従って被覆されたモノリシックモールディングは、被膜の製造に使用されるプラスチックが、溶融状態においてMVR法により80〜180ml/10分の粘度をもつ場合、特に良好な性質を示すことが知られている。これは繊維強化ならびに非繊維強化被膜のいずれにも適用されている。特に、この要求はポリフェニレンスルフィドによって満たされるということが、実験により知られている。 炭素繊維はプラスチック被膜の繊維強化にとって特に適していると証明されている。それゆえ、本出願は炭素繊維強化プラスチックを用いて被覆されたモノリシックモールディングに関する。 繊維強化プラスチックで被覆された当該モノリシックモールディングは、クロマトグラフィーカラムとして特に良い特性を有している。 被覆されたモノリシックモールディングの製造のための本発明におけるプロセスは、以下に述べられているプロセスを含む: a)1〜50重量%の炭素繊維はポリフェニレンスルフィド顆粒に添加されており、その混合物は射出成形装置を用いて筒、管およびわずかに大きな内径を持つ半殻に成形されている、 b)被覆されるモールディングは、筒、管および2つの半殻に導入されている、 c)筒、半殻あるいは管は、溶解および圧着あるいは延伸によりモールディングの表面に確実に接着されている。 本発明は、同様に少なくとも2種の物質のクロマトグラフィーによる分離のための繊維強化可塑材料を用いて被覆された当該モノリシックモールディングの使用に関する。 様々な種類のポリマー材料を用いた実験ならびに使用試験により、特にこのタイプのポリマーを用いると溶解時において低粘度を有するという改善された特性を持つ製品を製造することが可能であるということを示している。 理想的には、モノリシック吸着剤のための被膜は以下に示す要求を満足する:−クロマトグラフィー中の従来の溶媒、例えばアセトニトリル、MeOH、水、ジオキサン、ヘプタンなどに対して溶媒安定である(その理由は、移動相が、これらの成分の1種または2種以上からなるからである);−機械的に安定であって、比較的高い流量における問題を伴わずに、一層迅速なクロマトグラフを実施することが可能である。比較的高い流量において、背圧がカラム内に蓄積する。ポリマーは、200barまでの背圧においても、この形状を変化させてはならない;−デッドスペースをほとんど残さないモノリシックカラム本体と密接に接触して、ポリマー/カラム本体界面における制御されていない溶出流による分離効率の低下および物質ピークまたはプレピークのフロンティングを回避する;−孔非保有であって、被覆の微孔における制御されていない拡散プロセスによる物質ピークの不利なテーリングを回避する。 特に、被膜に用いるポリマーの粘度は、ほとんどデッドスペースのないモノリシックモールディングとの密な接触を達成するのに非常に重要であるということが知られている。被膜の適した機械的安定性は、ポリマーと混合可能な繊維を用いた繊維強化によって達成される。これに関する実験は、ポリマーと混合可能な繊維を用いて強化される場合、低い粘度を持つ適したポリマーは、必須な化学的ならびに機械的安定性を有する被膜へと変換することが可能であり、ならびに可能な限りデッドスペース無くポリマーをモノリスへ塗布することが可能であるということを示している。 最初は良好な性質を示すモノリシッククロマトグラフィーカラムのための繊維強化被膜を製造するために、溶融状態で低い粘度を持つ様々なポリマーを使用することは可能であるが、本目的の高い要求はごく僅かのものしか満たさないということが知られている。 特に実験は、ポリフェニレンスルフィドの使用により仮想的にデッドスペースが無く、それゆえ被覆されたクロマトグラフィーカラムの元来の性状は仮想的に変化しない、適切なプロセスでモノリス表面に塗布しうる被膜の製造を可能にすることを示している。 被膜として繊維強化PPS(=polyphenylene sulfide(ポリフェニレンスルフィド))で作られた当該プラスチックの筒を使用することで、フロンティングならびにテーリングの問題もまた大幅に低減させることが可能である。 本発明において好適であるのは高温耐性を有する熱可塑性PPSから製造されたプラスチックの筒である。この可塑剤は一般式(SC6H4)nを有するポリマーである。一般的に、PPSは工業的に硫酸ナトリウムと1,4−ジクロロベンゼンとの重縮合によって製造される。そしてPPSは部分的に結晶特性を有していることが、プロセスの間、溶解されなければならない理由である。その構造の結果として、このPPSはモノリシッククロマトグラフィーカラムのプラスチック被膜の製造において、例えばEP 0 990 153Aで用いられているPEEK(polyether ether ketone(ポリエーテルエーテルケトン))より適している。特に、用いられるPPSは、例えばPEEKと比較して、以下の特性によって区別される:−より短い繰り返し単位、1/3短い−高い結晶含有率、約80%−それ故、射出成形された管は光沢がある−PPSは“フラッシング”効果を示す、すなわち非常に積極的に流れ込む−PPSは比較的低い分子量を有する−PPSは若干低い粘度を有する。 しかし、純粋なプラスチックを含む被膜であっても、分離効率とピーク対称性への要求を満たすことが知られている。しかしながら、追加実験は、機械的安定性という点で、繊維強化プラスチックの管を用いた場合では、その機械的安定性をより改善することが可能であるということを示している。 それ故、予め適切な断面積を有する管に成形された繊維強化PPSを用いて、プラスチック被膜が製造されている。様々な繊維の添加は性状を改善するが、好ましくは炭素繊維強化PPSが使用される。それはこの形式の繊維はこのプラスチックと混合可能である上、望みの使用においてデッドスペースがほとんど無く、高い化学的、特に高い機械的要求に耐えうる液体耐性と圧力安定性のある被膜へと変換可能だからである。 この点において、デッドスペースをほとんど残さない被覆は、本発明において、モノリシックモールディングと被覆との間のデッドスペースが、これが、クロマトグラフィーカラムの分離効率に悪影響を及ぼさない程度に小さいことを意味する。 例えばクロマトグラフィー目的のための吸着剤として用いられるように、有機および無機モールディングならびにまた無機/有機混成モールディングを、本発明の被覆を用いて被覆することができる。クロマトグラフィー分離のために、モールディングを、分離エフェクターで修正することができるが、これは、一般的に、これらの他の特性に影響を有しない。本発明の被覆は、堅く、可撓性ではないモールディングに適する。脆い無機モールディングを、WO 94/19 687、WO 95/03 256またはWO 98/29 350に開示されているように、また本発明に従ってほとんどデッドスペースを残さずに被覆することができる。 これらの不都合自体はEP 0 990 153Aで述べられているように、繊維素材、無機材料もしくは顔料のような安定剤、例えばチョーク、タルク、マイカもしくは二酸化ケイ素のような無機酸化物を添加することによって克服される。これらの添加物は被膜の機械的安定性をももたらす。 特にその不都合は発明に従うと、安定剤として繊維素材、例えばガラスもしくは特に炭素繊維を含むPPSを用いることで避けることができる。ポリマーの自然膨張もしくは収縮特性の低減に加えて、当該繊維は機械的安定性において特に効果的な増大を示す。ポリマー内における炭素繊維含有量は達成可能な安定性にとって非常に重要ではあるが、炭素繊維強化PPSは本発明に記載の目的に特に適していることが証明されている。 安定剤としてプラスチックに繊維を加えるほどもろくなる。発明にしたがって使用されるプラスチックは、重量パーセントで50%まではモノリシッククロマトグラフィーカラムの被膜に変換するのに十分な柔軟性があるということがわかっている。重量パーセントでたった1%の炭素繊維の添加はPPS被膜の特性に対して明らかな利点が見受けられる。しかしながら、加えられる繊維が少ないほど、より多くのポリマーの膨張もしくは収縮特性が表面化することがわかっている。まさにこれらの特性は繊維の添加により回避することができるので、重量パーセントにして少なくとも15%、ポリマーに繊維が含まれていることに利点がある。それ故、好ましくは重量パーセントにして15〜35%の繊維を含有しているPPS被膜が製造される。PPS被膜の製造において、特に好ましくは重量パーセントで20〜35%の繊維含有量であり;さらに好ましくは27〜33%の繊維含有量に相当するポリマーを用いることである。 モールディングを対応する繊維強化プラスチックで被覆する際に、分離効率の減少は、溶媒中に長期間貯蔵した際、または頻繁に用いた際にも、全く観察されなかったか、またはわずかに観察されたに過ぎなかった。 繊維強化PPSで被覆されたモールディングの効果的生産のために、用いるプラスチック構成は、溶融状態において特定の粘性を有しなければならない。 粘度を、自体知られている方法により決定する。 プラスチック加工工業において、熱プラスチックの粘度は、通常DIN ISO 1133に従って溶融容積率(melt volume rate)(MVR)により決定される。標準化された装置を用いる。この中心的な構成成分は、排出ノズル(内径2.06mm、長さ8.00mm)を有する加熱可能な垂直シリンダー(内径9.55mm)および位置マーキング(30.00mm、装置により読み取ることができる)を有する整合ピストンであり、これに、重量を負荷させることができる。装置は、移動したピストン経路長を測定し、時間および温度を測定するための、正確な測定システムを含有している。 本発明のカラム被覆のためのプラスチックの粘度を決定するために、DIN ISO 1133による方法を用いた: 決定を実施するために、装置を、320℃の所定の温度に予備加熱する。予備乾燥した(150℃、8時間)プラスチックまたはプラスチック化合物(10gの粉末または顆粒)を、シリンダー中に導入し、圧縮する。測定温度(320℃)に達した際に、これをさらに240秒間保持する。その後、重量(10kg)を自動的に最上部上に配置し、溶融物を、放置して流出させる。ピストン上の低い方の位置マーキングが認識された際に測定を開始し、上方のマーキングが認識された際に測定を終了する。次に、溶融容積率(MVR)を、移動したピストン経路長、測定時間間隔(2秒)ならびに既知のピストン表面積および出力から、機器ソフトウェアにより、ml/10分の通常の単位で決定する。 予備加熱時間および温度(150℃、8時間)、試料重量(6g)、測定温度(320℃)、重量(10kg)および測定時間間隔(2秒)は、特に、PPSおよびPPS化合物のMVR決定を目的とした標準値である。機器形状および待ち時間(240秒)は、DIN ISO 1133において規定されている。 プラスチックは、特にこれらの架橋度およびこれらの鎖の長さに依存して種々の粘度を有する。安定剤、例えば繊維の添加により、物質の粘性が再び修正される。これらは、これにより顕著に一層粘性になり、これは、本発明において好適であるPPS複合組成物を選択する際に、これらの観点を考慮しなければならないことを意味する。 プラスチックは、一般的に、顆粒または粉末として入手できる。本発明の被覆のために、両方の形態を用いることができる。しかし、粉末の粘度は、その後の加工段階の間に変化し得る一方、これは顆粒の場合においては、通常発生しないことに注意しなければならない。この理由の1つは、粉末が、しばしば重合バッチから直接由来し、またモノマーおよびオリゴマーの残留した内容物を含み得ることである。配合の間、モノマーはガスとしてで逃散し、後重合が発生し得る。これは、プラスチックの粘度をわずかに増大させる。 本発明のプラスチックは、特に約30重量%の繊維を加える際に、ほとんどデッドスペースを残さずに被覆するために好適であり、この場合において、これがMVR法により120ml/10分より大きい初期粘度を有することが見出された。これらを管を形成するためにまだ押し出することができるが、MVR方法によって80ml/10分より低い値を有する繊維含有プラスチック組成物はそれを混ぜ合わせた後に、これらを、しかし、多大な困難を伴ってモールディングに適用することができるだけであるように粘性がある。本発明に従って用いることができるプラスチック組成物の測定されたMVR値の上限は、本質的に加えられたPPSの量により決定される。しかし、組成物は、モールディング上に溶融する間に、過度に液体になってはならない。 したがって、好ましいのは、80〜210、特に好ましくは100〜180のMVRを有する粉末状PPSを用いることである。顆粒の場合において、好ましいのは、80〜210、特に好ましくは100〜180のMVRを有する材料を用いることである。 モールディングの新規な被覆のために、プラスチックを最初に配合する。即ち、添加物、例えば繊維、着色剤などを加える。これを、好ましくは、押出スクリューを介した同時加工での添加物の制御された添加により実施する。一層正確なプロセスパラメータは、当業者に知られており、ハンドブック、例えばHensen, Knappe and Potente, "Handbuch der Kunststoffextrusionstechnik" [Handbook of Plastics Extrusion Technology], Karl Hanse Verlag, (1986/1989)中に示されている。 配合の間、プラスチックの後期粘度は、添加物のタイプによって、およびいくつかの場合においてはまた添加の時間により影響される。繊維を初期の段階において加えた場合には、これらを配合の間粉末にする。例えば、6mmの初期長さを有する繊維は、配合の後に尚数μmの平均の長さを有するのみであり得る。本発明の被覆のために、加えられる繊維の長さの重要性は比較的小さい。その理由は、その後の加工段階によっても繊維が粉末にされるからである。したがって、通常は、繊維を初期の段階において加える。 約30%の繊維を配合した後に、本発明において好適である繊維強化プラスチック組成物の粘度は、典型的には、約30%の繊維を配合した後に、MVR法により80〜180ml/10分、好ましくは、MVR法により100〜150ml/10分であり、ここで上限は、非繊維強化出発材料の場合において上記のように、原則として利用可能性により決定される。 配合の後、管を、既知の方法、例えば押出または射出成形により、材料混合物から製造する。このタイプの成形方法は、知られており、例えば、教科書、例えばKnappe, Lampl and Heuel, "Kunststoffverarbeitung und Werkzeugbau" [Plastics Processing and Mould Construction], Karl Hanse Verlag (1992)により明らかにされている。管を、好ましくは射出成形方法により製造する。 モノリシックモールディングを、その後プラスチック管中に導入される。次に、管を、加温することによってモールディングと可能な限り最も近接させて接触させる。この段階は、ほとんどデッドスペースを残さずに被覆するために重要である。本発明において好適である粘性を有する材料のみを、モールディングと十分密に接合することができる。全体の長さにわたり均一な壁の厚さを有する均一な管を用いることは、この段階において有利である。 この製造工程を実施するために、例えば絶縁されたケーブルの製造から、好適な方法は、当業者に知られている。このように被覆されたモノリシック吸着剤を製造する1つの方法は、例えば、プラスチックをモールディング上に押し出すことにあり、ここで、モノリシックモールディングはクロスヘッドダイを通って管の押し出しに平行に供給される。新たに押し出された尚高温の管は、モールディングを被覆し、さらに、例えば圧力装置により、モールディングに対して押圧される。また、押し出しによって管を生産する代わりに、予め成形された管を加温することが可能である。冷却の間のこの機械的圧力および追加の焼結により、密な被覆の形成がもたらされる。また、モールディングを、内径がモールディングの外径よりわずかに大きい、予め製作された管中に導入し、次にプラスチックを、管が末端直径において離間し、モールディングを密に被覆することができるように加温することが可能である。被覆を、好ましくは上記のように、または他の変法により製造し、ここでプラスチック被覆を、射出成形プロセスにより、および単一または多重の収縮被覆(shrinking-on)により製造する。 射出成形プロセスを実行するために、例えば重量パーセントで30%の炭素繊維をPPS顆粒に添加し、その混合物は射出成形装置に供給される。その結果として得られる材料は、機械的に安定でほとんどの溶媒に対して耐性がある。 採用したPPSは約285℃の融点を持ち、それはPEEKの融点より55℃低いものである。この低い融点は、例えばC−18鎖のようなモノリスの表面誘導体化をより損なうこと無く可能にする。 作成済みの繊維強化PPSの半殻を用いてモノリスを被覆することも可能である。その被膜はモノリス表面へ部分的な溶解ならびに適切な圧着によって供給される。 PPS製の管や半殻を用いて被覆されたモノリスはもはや典型的なフロンティングや「ニックテーリング(knicktailing)」を示さない。これらの有利な特性は長い間保持され、それ故このプラスチックは、EP 0 990 153Aに示されているこの目的のために使用される繊維強化PEEKほどクロマトグラフィー表面として使われないということが考えられている。PEEKとは対照に、PPSは高い結晶含有量である(80%に対してPEEKでは40〜50%)。 PPSの化学的構造により、このプラスチックは上で述べたPEEKほどクロマトグラフィー表面として使われない。それは分離すべき混合物と可塑性物質被膜との間の特異的相互用は重要でないことを意味している。 PEEK被膜と比較して、PPS被膜の冷却時にほとんどストレスが生じないことは、結果的に末端領域においてひびやデッドスペースがほとんど生じないと考えられている。この結果はフロンティングを顕著に小さくする。 本発明に記載した繊維強化ポリマーは多孔モノリスのためのポリマー被膜の製造に特に適しており、ここでいう多孔モノリスはSiO2、ハイブリッドSiO2、Al2O3、TiO2およびその他金属酸化物で構成され、マクロポアからメソポア、直径にして1mmから1m、好ましくは1.5mmから50mmである単峰性(monomodal)、二峰性(bimodal)、多峰性(multimodal)ポアシステムが用いられている。繊維強化PPSで被覆されたモノリシッククロマトグラフィーカラムは、特にモノリシックカラムがSiO2、ハイブリッドSiO2を含む場合に非常に良い特性が得られる。しかし、本発明によると、類似した円盤状のモノリスディスクもまた、本発明に従う方法により、類似のプラスチックで被覆することが可能である。用いられるプラスチックは、好ましくは適した繊維強化プラスチックである。 クロマトグラフィーカラムとして用いるために、本発明に従って被覆されたモノリスに、次に対応するコネクター、フィルター、シールなどを設けることができる。被覆は、吸着剤で流れを終了させるかまたは末端において突出させることができる。このタイプの設計は、粒状またはモノリシック吸着剤を含むクロマトグラフィーカラムについて知られている。 本発明に従って被覆されたモノリシック吸着剤は、優れた分離特性を示す。溶媒中に貯蔵した場合および頻繁に用いた後にも、分離効率のわずかな悪化のみが明らかであるか、または悪化は全く明らかでない。したがって、本発明の被覆は、初めて、機械的にも、そして化学的にも安定であり、ほとんどデッドスペースを残さずにモノリシックモールディングと接触させるクロマトグラフィーカラムの製造を確実にする。 本記載により、当業者は本発明を包括的に用いることが可能になる。他のコメントを伴わなくても、当業者は、上記の記載を最も広い範囲で用いることができると推測される。 何か不明確なことがある場合、それはいうまでもなく引用された刊行物および特許文献は参照されるべきである。対応して、これらの文書は本記述の開示内容の一部として扱われる。 より良い理解と発明を説明するために、本発明の保護の範囲で実施例を以下に示す。これらの実施例は、可能な変法を説明する役割も果たす。しかしながら、記述された発明の原理の一般的な妥当性のために、実施例は単独で特許出願の保護の範囲を縮小するものではない。 さらに、与えられた実施例及びその記述から連想されるいずれについても、全体の組成に基づいて常に重量で100%まで加えるだけであり、たとえより高い値が主張しているパーセント範囲に起因することができたとしてもこれを超えることはできない、ということを当業者にいうまでもない。特に明記しない限り、%データでは重量パーセントである。その割合の例外としては、体積で表されるもの、例えば溶離液で、それはある体積比で混合するのに使用される。 実施例ならびに請求項で述べられている全ての温度は、℃で与えられている。例例1: 直径4.6mm、長さ12.5mmの2本のシリカモノリスをWO94/19687およびWO95/03256(中西特許)にしたがって作成し、200℃に保った乾燥棚で最低3時間前乾燥する。前乾燥されたシリカモノリスは引き続いて繊維強化PPS管(長さ11.5cm、内径5.0mm、外径9mm)に置かれ、テフロン(登録商標)製の収縮チューブで覆われる(PPS管は30%の炭素繊維を添加したPPS顆粒から射出成形によって製作されている)。この方法で供給されたカラムはフレームにマウントされ、380〜400℃に保たれたオーブンに3〜6分間置かれた。マウントされたカラムは引き続いてオーブンから取り出され、室温において冷却されることで、テフロン(登録商標)収縮チューブからの圧力により、成形されたPPSとモノリスはデッドスペースがほとんど無く接着される。この方法で被覆されたカラムは両端で短くされ、最終的に10cmの長さにされる。カラム両端にネジ山が設けられ、適合するエンドフィッティングはネジで取り付けられる。 本方法で製作されたカラムを検討したところ、以下の結果を得た。 カラムはヘプタン/ジオキサン(95/5;v/v)と2−ニトロアニソールを用いて吸着システムで検討された。以下の分離効率とピーク対称性が得られた。例2: 直径4.6mm、長さ10mmの2本のシリカモノリスは実施例1で述べたプロセスによって繊維強化PPSを用いて被覆されている。それらは引き続いて、トルエンを溶媒とした20%N,N−ジエチルアミノヂメチルオクタデシルシランに浸され、50℃で2時間カラムオーブン内でオンカラム誘導体化された。そのカラムは、トルエンを用いてオンカラム洗浄され、オンカラム誘導体化(このときは後端キャップされている)は100%ヘキサメチルジシラザンを用いて繰り返される。その結果得られるモノリスカラムは再度トルエンと2−プロパノールで洗浄され、当業者に知られているRP−18e表面修飾が得られる。 修飾されたカラムはアセトニトリル/水(60/40;v/v)とアントラセンを用いて逆相モードでクロマトグラフィーを検討した。以下は、本方法で得られた製品によって得られた分離効率とピーク対称性の結果である。 例3: 塩基性医薬活性化合物の実施例1ならびに実施例2で述べられているモノリスクロマトグラフィーカラムと既存のPEEK被膜モノリシッククロマトグラフィーカラムでクロマトグラフィーを行った。発明にしたがって繊維強化PPSで被覆されたカラムは顕著に良好なピーク対称性を示している。PEEK被覆モノリスRP18eカラムを用いたトリプチリン(tryptyline)の分離(既存法)PEEK被覆モノリスRP18eカラムを用いたプロカインアミド(procainamide)の分離(既存法)PPS被覆モノリスRP18eカラムを用いたトリプチリンの分離(本発明)PPS被覆モノリスRP18eカラムを用いたプロカインアミドの分離(本発明) 要約すると、例に関して、テーリングならびにフロンティングの少ない物質やこれらによって改善されるピーク対称性は、繊維強化PPSを用いて被覆されたモノリシッククロマトグラフィーカラムを用いて実現され得ることに注目すべきである。 熱プラスチックで被覆されたモノリシックモールディングであり、被覆が繊維強化ポリフェニレンスルフィドを含み、MVR法により溶融状態において100〜180ml/10分の粘度をもつことを特徴とする、前記モノリシックモールディング。 繊維強化物が炭素繊維により製造されていることを特徴とする、請求項1に記載の被覆されたモノリシックモールディング。 請求項1または2に記載の被覆されたモノリシックモールディングであり、被覆が、15〜35重量%の繊維含有量を有するポリフェニレンスルフィド(PPS)製であることを特徴とする、前記被覆されたモノリシックモールディング。 請求項1〜3のいずれかに記載の被覆されたモノリシックモールディングを含むクロマトグラフィーカラム。 請求項1〜3のいずれかに記載の被覆されたモノリシックモールディングの製造方法であり、 a)1〜50重量%の炭素繊維は、ポリフェニレンスルフィドに加えられ、該混合物を筒、管あるいはわずかに大きい内径をもつ半殻に射出成形装置を用いて成形される、 b)被覆されるモールディングは、筒、管あるいは2つの半殻へと導入される、 c)筒、半殻あるいは管は、モールディングの表面に溶解および圧着あるいは延伸により確実に接着されることを特徴とする、前記方法。 請求項1〜3のいずれかに記載の被覆されたモノシリックモールディングの、少なくとも2種の物質のクロマトグラフィーによる分離への使用。


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