タイトル: | 公表特許公報(A)_ウシ類と他の動物における炎症を処置するための薬学的組成物および方法 |
出願番号: | 2009542867 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | A61K 31/455,A61K 9/08,A61K 47/10,A61K 47/06,A61K 47/14,A61K 47/12,A61K 47/22,A61K 47/16,A61K 47/20,A61K 47/34,A61P 29/00,A61K 45/00,A61P 15/00,A61P 27/02,A61P 11/00,A61P 1/04 |
メドウズ, チェイニー フリーハーフ, キース アラン シモンズ, ロバート ディー. ワインガーテン, アラン ジェイ. JP 2010513500 公表特許公報(A) 20100430 2009542867 20071218 ウシ類と他の動物における炎症を処置するための薬学的組成物および方法 シェーリング−プラウ・リミテッド 503442097 山本 秀策 100078282 安村 高明 100062409 森下 夏樹 100113413 メドウズ, チェイニー フリーハーフ, キース アラン シモンズ, ロバート ディー. ワインガーテン, アラン ジェイ. US 60/870,907 20061220 A61K 31/455 20060101AFI20100402BHJP A61K 9/08 20060101ALI20100402BHJP A61K 47/10 20060101ALI20100402BHJP A61K 47/06 20060101ALI20100402BHJP A61K 47/14 20060101ALI20100402BHJP A61K 47/12 20060101ALI20100402BHJP A61K 47/22 20060101ALI20100402BHJP A61K 47/16 20060101ALI20100402BHJP A61K 47/20 20060101ALI20100402BHJP A61K 47/34 20060101ALI20100402BHJP A61P 29/00 20060101ALI20100402BHJP A61K 45/00 20060101ALI20100402BHJP A61P 15/00 20060101ALI20100402BHJP A61P 27/02 20060101ALI20100402BHJP A61P 11/00 20060101ALI20100402BHJP A61P 1/04 20060101ALI20100402BHJP JPA61K31/455A61K9/08A61K47/10A61K47/06A61K47/14A61K47/12A61K47/22A61K47/16A61K47/20A61K47/34A61P29/00A61K45/00A61P15/00 171A61P27/02A61P11/00A61P1/04 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MT,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SV,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW US2007025808 20071218 WO2008082507 20080710 22 20090805 4C076 4C084 4C086 4C076AA11 4C076BB31 4C076CC04 4C076CC10 4C076CC15 4C076CC16 4C076CC17 4C076DD34 4C076DD37 4C076DD38 4C076DD39 4C076DD40 4C076DD41 4C076DD45 4C076DD46 4C076DD52 4C076DD55 4C076DD60 4C076EE23 4C076FF12 4C076FF34 4C084AA19 4C084MA63 4C084NA11 4C084ZA33 4C084ZA59 4C084ZA66 4C084ZA81 4C084ZB11 4C086AA01 4C086AA02 4C086BC17 4C086MA63 4C086NA11 4C086ZA33 4C086ZA59 4C086ZA66 4C086ZA81 4C086ZB11 本発明は、動物における炎症を処置するための組成物および方法に関する。より具体的には、本発明は、動物における非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の経皮投与に関する。 本明細書中に引用されているすべての特許、出願、公表されたもの、試験方法、およびその他の物質は、参照により本明細書に組み込まれる。 炎症は、外傷、または物理的、化学的、生物学的な媒介物による他の異常な刺激に反応して、その異常な刺激を克服するのを助ける目的で起こる過程である。炎症には、局所的な組織の反応と形態的な変化、外傷を引き起こしている物質の破壊または除去、ならびに修復および/または治癒の開始が含まれる。活発な炎症の基本的な徴候には、発赤、発熱、腫脹、疼痛、および機能の減退または喪失が含まれる。このような徴候は局所的におよび/または全身的に現れ得る。 炎症反応の目的は、宿主が異常な刺激を克服するのを助けることであるが、一方、炎症エピソードは有害な作用も与え得る。短期的には、発熱があり疼痛を有する動物は、餌や水の摂取が減少することがあり、このことは負のエネルギーバランスまたは脱水症状に関連する問題を生じる危険をきたし得る。さらに、炎症エピソードの中には、長期に及ぶ残存損傷、瘢痕化、機能減退を残し得るものがある。 例えば、ウシ呼吸器疾患(BRD)は、乳牛および肉牛の両方において生じ、世界中の蓄牛産業への経済的損失の主要原因の1つである。経済的損失は、過度の致死率、処置および予防のコスト、ならびに生産性の低下(臨床的または不顕性BRDの乳牛は、健康な動物のようには体重が増加せず、またはミルクを生産せず、およびBRDの肉牛は、体重の増加がより少なく、飼料効率が低減し、屠殺時により低品質の生肉をしばしば生じる)に帰する。屠殺時に観察される肺の病変と体重増加の低減との間の直接的な相関性は、不顕性BRD感染のウシ類において確立されてきた。BRDの病因因子は、マンヘイミア・ヘモリチカ(Mannheimia haemolytica)、パスツレラ・マルトシダ(Pasteurella multocida)およびヒストフィラス・ソムニー(Histophilus somni)のような細菌生物である。しかし、BRD感染においては、死または病的状態を生じる肺損傷は、侵襲している病原体に対する宿主の過度の炎症反応にしばしば起因する。短期的には、発熱があり疼痛を有する動物は、採餌が減少し、飲水も減少する。さらに、宿主の組織に対して長期にわたる損傷が起こり、BRD感染が除かれた後ですら生産性の長期にわたる低下をもたらす。 ウシ乳房炎は、乳業が直面する最もコストのかかる生産における疾患であると考えられており、年間数億ドルが費やされている。ウシ乳房炎は、典型的には、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、レンサ球菌(Streptococcus)種、および大腸菌(Escherichia coli)のような感染性病原体によって引き起こされる。感染に応答して、乳腺が、温感、疼痛、発赤、腫脹、および障害された機能で特徴付けられる炎症過程に入る。冒された動物は、しばしば発熱し、採餌が減少し、水を飲むのも減少する。急性炎症期においては乳生産量が一時的に減少し、残りの乳分泌期におけるその後の乳生産量は残存炎症損傷のために減少する。 ウシ類に加えて、他の種も同様に、種々の原因で引き起こされる短期および長期にわたる炎症エピソードの作用の影響を受けやすい。種または原因となる病原体にかかわらず、炎症によってもたらされる損傷は、好中球および他の炎症細胞が冒された組織を破壊することとして展開する。細胞膜が損傷を受けて、アラキドン酸が放出される。アラキドン酸は、種々のプロスタグランジンおよび他のエイコサノイドの形成のための基質である。これらの生物学的活性物質の放出は、さらなる炎症損傷や病変を引き起こす炎症反応を駆動するのに重大な意味を持つ。非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)はアラキドン酸カスケードを阻害して炎症を効果的に調節する。 NSAIDの使用は、ヒト医療や獣医学医療における炎症過程の管理の中核である。冒されている種または臓器系もしくは原因によらず、炎症の薬理学的調節は、疼痛を有しまたは発熱のある動物に対して、冒されているその動物に採餌や飲水を可能にし、それにより回復への可能性を増加させ、生活の質の重要な利益をもたらす。さらに、NSAIDの使用は、長期の機能減退を生じる過剰の損傷を低減し、それによって家畜生産者に経済的な利益をもたらす。 フルニキシンメグルミンは、FINADYNE(登録商標)およびBANAMINE(登録商標)(両方ともSchering−Plough Animal Health Corporationより入手可能)の活性成分である。これは、大型動物の獣医学医療における主要なNSAIDの1つとして現れたが、ウシ類におけるBRDおよび乳房炎の補助的治療の第1選択のNSAIDである。フルニキシンメグルミンは、BRDおよび乳房炎の処置のための抗生物質を併用する使用に関して精力的に研究されてきた。 フルニキシンメグルミンおよびフルニキシン塩基は共に非常に脂質溶解度が低い。伝統的には、皮膚の脂質層を越えて送達させるには、化合物は適度の脂質溶解度を有することが必要である。フルニキシンメグルミンは、その望ましくない溶解度特性のために、そのものを有効な経皮液体調製物に処方することに関してやりがいのある問題が存在する。 フルニキシンメグルミンは、現在、ウシ類においては注射器と針を用いる静脈内注射用に処方されており、このことは幾つかのやりがいのある問題を提起する。針では、鋭利な生物廃棄物質の蓄積と廃棄、取扱者に針が突き刺さる危険、および処置を受ける動物に不快感を与えることに関してやりがいのある問題が存在する。また、静脈内注射のための要件は、適切な投与に関してある程度の技術的専門知識が必要である。ウシ類に対してフルニキシンメグルミンを適切に投与するためのこれらの要件の結果として、必要としている動物の中には、針廃棄物を減量し、取扱者を保護するために、または技術的な制約のために処置されないこともあり得る。 したがって、こうした問題に対処するため、経皮薬剤送達のための調合物のような、改良された調合物や投与法に対する必要性が存在する。しかし、経皮調合物に至る試みにおいて直面する困難の1つは、薬剤送達に関して、皮膚は「ブラックボックス」とこれまで言われてきたという事実である。これは、表皮を通しての薬剤の浸透および下部の層への分配の機構に関する知識の欠如のためである。現在まで、そうした特性についての境界は明らかにされてはいない。そのため、どのような化合物が経皮的に送達できるかを予測するのは非常に困難であった。1つの化合物の送達に有効な経皮システムは、他の化合物に対してはほとんど常に有効ではなく、1つの種において働くシステムやデバイスは、他の種においてはほとんど普遍的に有効ではない。さらに、角質層障壁の存在のために、皮膚を通しての物質の移動は、急速で大量の全身性の吸収のためには通常あまりに遅い。このことが、市販の人体用経皮生産物においては、即時の薬剤送達に対して設計されたものが、皆無とは言わないまでも、ほとんどないという理由を説明している。 したがって、一方で、動物にとって処置に伴う疼痛とストレス、および注射部位の組織の損傷の可能性を最小限にしながら、炎症を寛解させるために、それを必要としている動物に対して、取扱者が安全に使い易くフルニキシンを投与するための方法を提供する、安定な経皮液体調製物に対する必要性が存在する。 本発明は、ウシ類および他の動物へのフルニキシンおよび他のNSAIDの送達のための改善された調製物と方法を提供することにより、この必要性を満たすものである。 したがって、動物に対する経皮投与のための薬学的に許容される調製物およびその使用法が開示される。かかる調製物は、フルニキシンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒系を含む薬学的に許容される担体系、および2つの浸透促進剤の組合せを含む。本発明の必要に応じた局面において、経皮液体調製物は、水、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ジメチルイソソルビドまたはトリアセチンのような安定化剤または粘度低下剤を含み得る。 本発明の1つの好ましい局面は、 a)フルニキシンまたはその薬学的に許容される塩、 b)第1のおよび第2の皮膚浸透促進剤、ならびに c)1種または複数の一次の非プロトン性溶媒(aprotic primary solvent) を含む、経皮液体調製物を含む。 本発明の第2の好ましい局面は、1種または複数の追加の溶媒または担体(本明細書では、「第2の」または「二次の」溶媒または媒体と呼ぶ)を経皮液体調製物にさらに含むことができる。 本発明の第1と第2の局面において、第1の皮膚浸透促進剤は、経皮液体調製物の約2%〜約20%の量で存在し得る一方で、第2の皮膚浸透促進剤は、経皮液体調製物の約2%〜約50%の量で存在し得る。特に、1つの第1の皮膚浸透促進剤が、メントールであり、キシレン、D−リモネン、ミリスチン酸イソプロピル、プロピレングリコールジカプリラート/ジカプラート、デカン酸、デシルアルコール、オレイン酸、またはそれらの混合物は、第2の皮膚浸透促進剤の具体的な例である。 本明細書中に記載されている経皮液体調製物に含まれる薬剤の量は、約1%〜約20重量%の量(フルニキシンの遊離酸を基準にして計算)で存在することができ、一次の非プロトン性溶媒の量は、広く約5〜約90重量%とし得る。特に、本発明において有用な一次の非プロトン性溶媒は、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、乳酸エチル、および、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、またはジプロピレングリコールモノエチルエーテルのようなグリコールエーテル類であり、二次の溶媒の具体的な例としては、エタノール、イソプロピルアルコール、およびベンジルアルコールが含まれる。 本発明の別の局面では、炎症状態を処置する方法が提供される。これらの方法の幾つかは、上で記載した経皮調製物の有効量を、それを必要とするウシ科(例えば、雌牛)などの哺乳類と同様な動物に投与することを含む。 本発明の組成物は、必要に応じて、フルニキシン以外の他のNSAIDならびに、例えば、抗菌物、生殖ホルモン、成長促進物または他の生理学的介入物、抗不安作用化合物、抗ヒスタミン物、免疫刺激物、ワクチンなどの他の活性な薬学的成分も含んでもよい。 本発明の別の局面では、経皮液体調製物をプレスインボトル式適用具(press−in bottle application device)に組み込むことを含む経皮フルニキシン液体調製物を投与するための、およびそれを必要とする動物に経皮液体調製物の有効量を投与するための方法を提供する。 本発明の本質は、前記のおよび他の目的、以下で明らかになる本発明の利点ならびに特徴と共に、以下の本発明の詳細な記載および添付した特許請求の範囲を参照することにより明確に理解し得る。実施例2において行われたテスト結果を示すグラフである。ここでは、Banamine(登録商標)(フルニキシンメグルミン)の2.2mg/kgの1回のIV投与(破線で結んだダイヤモンド)後のフルニキシン(遊離酸)の平均血漿中濃度(−1SD)の経時変化が、5mg/kgの本発明の組成物の1回の経皮投与(+1SD、実践で結んだ四角)と比較されている。実施例4において行われたテスト結果を示すグラフである。ここでは、Banamine(登録商標)(フルニキシンメグルミン)の2.2mg/kgの1回の筋肉内注射(IM、実線)または皮下注射(SC、破線)後のフルニキシン(遊離酸)の平均血漿中濃度の経時変化が、5mg/kgの本発明の組成物の1回の経皮投与(±1SD、実践で結んだ四角)と比較されている。実施例6に記載の実験において行われたテスト結果を示すグラフである。ここでは、異なる皮膚浸透促進剤でのいくらかの相違を示すために、フルニキシンメグルミンの3つの異なる経皮調製物を5mg/kgでの投与後の、フルニキシン(遊離酸)の平均血漿中濃度のデータが示されている。実施例7に記載の実験において行われたテスト結果を示すグラフである。ここでは、自然発生のウシ呼吸器疾患における経皮フルニキシンメグルミン(遊離酸)の解熱効力が示されている。抗菌剤に加えて経皮フルニキシンを0mg/kg(プラセボ)、2.5mg/kg、または5mg/kgでの処置後の平均体温の変化(±1SD)が示されている。実施例8において行われたテスト結果を示すグラフである。ここでは、本発明の組成物を2.5mg/kgでの1回の経皮投与の後の、フルニキシン(遊離酸)の平均血漿中濃度(±1SD)の経時変化が示されている。 全身性の抗炎症活性を与える目的に関し、経皮ルートによる投与によって、全身循環中にフルニキシンまたはその薬学的に許容される塩の有効濃度を達成することが可能であることが見出された。これには、ポアオン(pour−on)、スポットオン(spot−on)、噴霧、浸漬、塗付けなどを含む種々のタイプの送達を包含し得る。 本発明は、動物に対して、特に、雌牛のような哺乳類に対して、全身的な抗炎症(抗発熱および鎮痛を含む)活性を与えるためのNSAID生産物に関する。本発明は、送達のための改善された組成物および方法によって、フルニキシンが皮膚を通して効果的に拡散し、さらに迅速な吸収のために下部の層の中に分配され得ることを示す。本発明の薬物動態パラメーターは、対照である筋肉内注射可能な調合物で得られるものに匹敵するものであることが見出された。得られた高Cmaxと短いTmaxの値は、十分な薬剤量が高流動率をもって皮膚の障壁を通して運ばれたことを示す。時間−血漿中濃度の曲線下面積(AUC)が広いことは、全身的循環への活性種の吸収が完全であることを示す。薬物動態のデータは、皮膚の障壁を通しての浸透ならびに、現在の調合物からの組織への分配が高効率であることを示している。 また、選択した浸透促進剤を同時に使用すると、それらが相乗的に働いて全身の活性の増強を与えることも見出された。実際、2つの浸透促進剤の組合せは、1つの浸透促進剤を単独で使う場合に比べて有意に優れていることが示されている。本発明の組成物は、感染症、手術、外傷または他の原因に伴う炎症を防止または減少させるのに使用し得る。 本明細書中で使用される場合、以下の用語は、他に示されない場合、以下の意味を有すると理解されるべきである。 「経皮適用」および/または「経皮液体調製物」は、通常、活性成分および調合物賦形剤を含む組成物を、外部から、動物の表面に、すなわち、皮膚、毛皮などに、適用すること、ならびに処置されている動物の皮膚層を通して吸収されるのに十分な時間を与えることにより、薬学的に活性な成分を少なくとも部分的に皮膚を通して送達することを可能にする公知の方法をすべて包含することを意図している。投与の方法は、ポアオン、スポットオン、噴霧、浸漬、塗付け、または当業者に自明の他の方法を含む。 「ポアオン」は、好適な薬学的に活性な成分の有効量を外部から限局した部位に適用することによって、薬学的に活性な成分の有効量が、冒されている領域または全身分布もしくは、冒されている領域または全身分布への薬学的に活性な成分の送達を促進する部位への拡散が可能となるような、投与のルートを包含することを意図している。 「組成物」、「調合物(formulation)」および/または「調製物(preparation)」は、本明細書で開示された特定成分を、本明細書で開示された特定量で含む生産物だけでなく、本明細書で開示された特定成分の組合せから、直接的にまたは間接的に、本明細書で開示された特定量になるような任意の生産物を包含することを意図している。および 「有効量」は、感染または疾患の特定の症状を緩和するために必要とされる投与量である。 本発明の第1の局面に従えば、経皮液体調製物は、治療上の有効量のフルニキシンまたはその薬学的に許容できる塩、第1のおよび第2の皮膚浸透促進剤、ならびに一次の非プロトン性溶媒を含む。 本発明の調合物において、フルニキシンの濃度は、経皮液体調製物の約1〜約20重量%(フルニキシンの遊離酸の含量に基づいて)、または特には、約5%〜約15重量%であり、または特には、約7.5%〜約12.5%の量を有し、または特には、約9〜約11重量%の量を有し得る。フルニキシンは、調合物の中に、薬学的に許容できる塩として導入することが可能であり、その場合には、その塩の濃度は、好ましいフルニキシンの濃度を維持するように調整される。 フルニキシンの薬学的に許容できる塩は、好ましくはフルニキシンメグルミンである。フルニキシンメグルミンは、BRDおよび乳房炎の処置における使用のために、世界的規模で現在認められている。これは炎症状態の処置のための獣医学的治療の主軸となってきた。フルニキシンメグルミンは、例えば、ISP(Wayne、NJ)より商業的に入手できるし、または当該分野で公知の方法、例えば、米国特許第3,337,570号、第3,478,040号および第3,839,344号に記載されている方法に従って作製され得る。 本発明の経皮液体調製物はまた、第1の皮膚浸透促進剤(dermal preparation enhancer)を含む。本発明の特定の実施形態では、第1の皮膚浸透促進剤は、経皮液体調製物の、約2〜約20%w/vの量で、特には、約5〜約15%w/v、または特には、約7.5〜約12.5%w/vの量で存在する。 好適な第1の皮膚浸透促進剤の非限定的な例としては、メントール、カンファー、d−リモネン、ネロリドール、1−8シネオールおよびそれらの混合物などのテルペノイドが含まれるが、これらに限定されない。特に、第1の皮膚浸透促進剤はメントールであって、10%w/vの量で用いられる。 第2の皮膚浸透促進剤もまた本発明の経皮液体調製物中に存在する。第2の皮膚浸透促進剤は、経皮液体調製物の、特には、約2〜約50%w/vの量で、特には、約5〜約30%w/v、または特には、約7.5〜約12.5%w/vの量で存在する。 好適な第2の皮膚浸透促進剤の非限定的な例としては、第2のテルペノイド、プロピレングリコールまたはグリセロールの飽和または不飽和脂肪酸エステルまたはジエステル、飽和または不飽和脂肪酸、飽和または不飽和脂肪アルコールおよびそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。 特には、第2の皮膚浸透促進剤は、10%w/vの量で使用し、キシレン、D−リモネン、ミリスチン酸イソプロピル、プロピレングリコールジカプリラート/ジカプラート、デカン酸、デシルアルコール、オレイン酸、またはそれらの混合物である。特には、第2の皮膚浸透促進剤は、プロピレングリコールジカプリラート/ジカプラート、および/またはキシレン、および/またはD−リモネン、および/またはミリスチン酸イソプロピルである。 本発明の1つの特定の調合物においては、第1の皮膚浸透促進剤はメントールであり、第2の皮膚浸透促進剤は、プロピレングリコールジカプリラート/ジカプラート、および/またはキシレン、および/またはD−リモネン、および/またはミリスチン酸イソプロピルである。 特には、第1の皮膚浸透促進剤の第2の皮膚浸透促進剤に対する比は、約4:1〜約1:4である。 第1と第2の皮膚浸透促進剤の組合せは、フルニキシンまたはその薬学的に許容できる塩の全身性の生物学的利用能において、皮膚浸透促進剤のただ1種を単独で使用した場合に比較して、相乗的な増加をもたらすことが見出された。記載したように、および、例えば、実施例6に記載しおよび図3に示したように、第1の皮膚浸透促進剤(実施例6ではメントール)が、第2の皮膚浸透促進剤(実施例6ではキシレン)と組み合わせて使用された場合、フルニキシンの血漿中への取り込みは有意に増加する。 本発明の経皮液体調製物はまた、一次の非プロトン性溶媒を含有する。本発明の特定の調合物では、一次の非プロトン性溶媒は、経皮液体調製物の、約5%〜約90重量%の量で、特には、約10〜約60重量%で、または特には、約20〜約50重量%の量で存在する。 好適な一次の非プロトン性溶媒の非限定的な例としては、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、および/またはそれらの混合物などのピロリドン溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、DMSO、アセトン、グリセロールホルマール、乳酸エチル、ならびに、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、またはジプロピレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル、もしくはそれらの混合物のような非プロトン性溶媒を含むが、これらに限定されない。特には、一次の非プロトン性溶媒は、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、それらの混合物などである。 他の薬学的に許容できる二次の媒体または溶媒が、本発明の調合物の中に存在してもよい。好適な二次の媒体または溶媒の非限定的な例としては、水、エタノール、イソプロパノール、1,2−プロパンジオール、グリセリン、ベンジルアルコール、ジメチルイソソルビド、トリアセチン、プロピレングリコール、乳酸エチル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、またはジプロピレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル、および約200から400の間の平均分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)が含まれるがこれらに限定されない。特に、二次の媒体または溶媒には、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、および約200から約400の間の平均分子量を有するPEG、トリアセチン、ジメチルイソソルビド、エタノール、および水、ならびにこれらの組合せが含まれる。これらの二次の媒体または溶媒は、調合物の最大約80重量%までを含んでよい。その二次の媒体または溶媒は、約10%〜約75重量%を含んでよい。特に、二次の媒体または溶媒は、調合物の、約20%〜約40重量%を含む。 1種または複数のかかる二次の媒体または溶媒の添加は、経皮適用に好適な特性を持つ生産物を得るために、調合物の粘度を変えるに好適であり得る。 本発明の経皮液体調製物はまた、必要に応じて、第2の薬学的に活性な化合物、または他の治療的なクラスの薬物、例えば、抗菌剤、抗炎症剤、オキシトシン、生殖ホルモン、成長促進化合物、生理学的介入化合物、抗不安作用化合物、抗ヒスタミン剤、免疫刺激剤、およびワクチンなどを含んでもよい。普通の技術者ならば理解できるように、本明細書に記載のフルニキシンを基礎とした経皮調合物に、多種の薬学的に活性な化合物/作用物質を含み得る。含み得る薬剤のタイプに関しての唯一の制限は、第2の作用物質が経皮的に投与されるフルニキシンまたはその薬学的に許容できる塩と有意に相互作用してはならず、またはその活性を有意に減少させてはならないことである。 好適な薬学的に活性な化合物の非限定的なリストとしては、NSAIDおよびコルチコステロイドのような抗炎症剤、抗生物質、解熱剤(anti−pyretic)、鎮痛剤などのカテゴリーに入るものが含まれる。1つの特定の局面においては、経皮調合物は、抗生物質のクロラムフェニコールおよびチアムフェニコールのフッ素含有類縁体のような抗生物質を含むが、これらは、クロラムフェニコールおよびチアムフェニコールに対して感受性および抵抗性のある両種の生物体に対して抗生物質活性を有することが示されている。Schafer, T. W.ら、「Novel Fluorine-Containing Analogs ofChloramphenicol and Thiamphenicol: Antibacterial and Biological Properties」、inCURRENT CHEMOTHERAPY AND INFECTIOUS DISEASE PROCEEDINGS OF THE 11.sup.TH ICCAND THE 19.sup.TH ICAAC AMERICAN SOCIETY OF MICROBIOLOGY、1980年、444〜446頁を参照されたい。そうした化合物の例およびその製造法は米国特許第4,235,892号に記載され特許請求されている。 好適なNSAIDとしては、制限されることなく、アセメタシン、アセチルサリチル酸(アスピリン)、アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、ブクロキシ酸、カルプロフェン、セレコキシブ、クリダナク、デラコキシブ、ジクロフェナク、ジフルニサル、ジピロン、エトドラク、フェノプロフェン、フェンチアザク、フィロコキシブ、フルブフェン、フルフェナム酸、フルフェニサール、フルニキシン、フルプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、インドプロフェン、イソキシカム、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、ミロプロフェン、ナブメトン、ナプロキセン、ニフルム酸、オキサプロジン、オキセピナク、フェニルブタゾン、ピロキシカム、ピルプロフェン、プラノプロフェン(pramoprofen)、スドキシカム、スリンダク、スプロフェン、テポキサリン、チアプロフェン酸、チオピナク、トルフェナム酸、トルメチン、トリオキサプロフェン、ジドメタシン、またはゾメピラク、これらの薬学的に許容できる塩およびこれらの混合物が含まれる。しかし、特に好ましいのは、フルニキシンである。なぜなら、BRDと乳房炎に対し安全で有効な使用歴が確立されているからである。好適な抗菌剤(animicrobial)としては、アミノグリコシド、ベータラクタム、セファロスポリン、フルオロキノロン、リンコサミド、マクロライド、スルフォンアミドと強化スルフォンアミド、テトラサイクリン、およびクロラムフェニコールのフッ素含有類縁体などの群からの化合物が含まれるがこれらに限定されない。好適な成長促進剤としては、ソマトトロピンおよびゼラノールが含まれるがこれらに限定されない。好適な抗不安作用化合物としては、NOP−1受容体作用薬、NK−1受容体拮抗薬、ベンゾジアゼピンおよびフェノチアジンが含まれるがこれらに限定されない。好適な抗ヒスタミン剤としては、ジフェンヒドラミンおよびトリペレナミンが含まれるがこれらに限定されない。 所望により、他の成分を本発明の組成物に加えてもよい。かかる成分としては、防腐剤、キレート剤、抗酸化剤、および粘度調節剤が含まれる。例示的な防腐剤としては、p−ヒドロキシ安息香酸メチル(メチルパラベン)、およびp−ヒドロキシ安息香酸プロピル(プロピルパラベン)が含まれるがこれらに限定されず、当業者に公知の適当量で加えられる。例示的なキレート剤としては、エデト酸二ナトリウムおよびEDTAが含まれるがこれらに限定されない。例示的な抗酸化剤としては、ブチルヒドロキシアニソール、アスコルビン酸およびモノチオグリセロールナトリウムが含まれるがこれらに限定されず、当業者に公知の適当量で加えられる。好適な粘度調節剤としては、水、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ジメチルイソソルビド、トリアセチン、またはグリセロールが含まれるがこれらに限定されず、当業者に公知の適当量で加えられる。 本発明の調合物における任意の活性成分の分解を防ぐために、少なくとも1つの安定剤の添加が有利であることが判明した。クエン酸およびマレイン酸が本発明において有用な安定剤の例である。 本発明の調合物における任意の活性成分の分解を防ぐために、pH調節剤が有利であることが判明した。 作用物質または任意の他の賦形剤の量は、送達する投与容量または調合物の物理的な特性を変えるために変化させてもよい。第2の薬学的にまたは治療に活性な作用物質の量は、経皮生物学的利用能および調合物中の他の作用物質との薬理学的相乗作用に依存し、有効に調整される。 いくつかの特定の実施局面では、本発明に従う経皮調合物は、注射可能なBanamine(登録商標)(フルニキシンメグルミン)で観察されたのと同様の血漿プロファイル(短期間での活性の発現と24時間以内の血漿からの消失)を有する。本発明の調合物では、短期間で活性が発現することから、動物は臨床的徴候の急速な回復から利益を受ける。また、本発明の調合物は、24時間以内に血漿中から消失するので、処置動物からのミルクや肉を販売する前の保留時間がより短かくてすむ。 1つの局面では、本発明が、例えば、フルニキシンまたはその薬学的に許容できる塩を含む薬学的に許容できる組成物を、例えば、動物に対して経皮投与で、投与することにより、炎症を処置する方法を包含するということも理解される。その組成物は、背中、耳、または乳房、好ましくは背中を含む動物の皮膚の任意の区域に、例えば、ポアオン、噴霧、または塗付けなどの様々な方法により適用できる。投与されるフルニキシンまたはその薬学的に許容される塩の量は、活性フルニキシンにして約1〜約5mg/kgである。 本発明の生産物の調合物に関する研究は、フルニキシンまたはその薬学的に許容される塩についての経皮適用後の薬物動態プロファイルが、注射可能なBanamine(登録商標)について観察されているものに可能な限り類似するようにすることに向けられた。フルニキシン100mg/mLを含む調合物が開発され、フルニキシン5mg/kgの投与量で経皮的に投与された。図1に示したデータは、フルニキシンの血漿プロファイルが、公知の効果のあるプロファイルのそれと類似していることを示した。例えば、フルニキシン約5mg/kgの1回の経皮投与後のフルニキシンの血漿中の濃度において、Tmaxが約60分で、3000ng/mlより大きいCmaxが達成された。図5に示されたデータは、フルニキシン2.5mg/kgの投与量で経皮投与後の血漿プロファイルを示している。2.5mg/kgの1回の経皮投与後、Tmaxが約90分で、約1500ng/mLのCmaxが達成された。この例(図5)では、フルニキシンの経皮溶液の生物学的利用能は50%よりも大きかった。 本発明はまた、動物における炎症状態を処置するための経皮組成物を含む。特に、その経皮組成物は、約5%〜約15重量%の第1の皮膚浸透促進剤、約2%〜約50重量%の第2の皮膚浸透促進剤、フルニキシンの遊離酸の含量に基づいて、約5%〜約15%のフルニキシンまたはその薬学的に許容される塩、約5%〜約90%の一次の非プロトン性溶媒、および最大約80%までの第2の媒体または溶媒を含む。ここで、その経皮組成物は、約5mg/kgのフルニキシン投与量でウシ科動物に経皮的に投与されたとき、フルニキシンに関して、約1600〜約4800ng/mLのCmax、および約30分〜約2時間のTmaxを示す。経皮組成物は、約2.5mg/kgのフルニキシン投与量で、ウシ科動物に経皮的に投与されたとき、フルニキシンに関して、約1000〜約2500ng/mLのCmax、および約60分〜約2時間のTmax、および50%を超える生物学的利用能を示す。 使用においてのより大きな便利さと容易さに加えて、本発明による経皮生産物を毎日1回投与することで、動物の処置に必要な注射の回数を減らし、疾患の症状の急速な緩和を与えることによって、人道的な動物のケアを促進すると考えられる。注射の回数を減らすことにより、人件費もまた顕著に減少させ得る。 本発明の組成物を調製する具体的な方法において、媒体または媒体の一部を調合容器に入れ、続いて残りの賦形剤および活性物質を加える。すべての固体が溶解するまで混合物を混合する。必要ならば、その組成物を最終の容量にするために追加の溶媒を添加してもよい。上に記載したような添加物は、容器の中に含めてもよいし、調合物の中に混合してもよい。上記の媒体、賦形剤、溶媒および添加物の添加の順序は肝要ではない。 本発明による組成物は、ウシ類に対して、一般に、1日当たり、体重1kg当たり、約1mg〜約5mgのフルニキシンで投与される。特に、本発明の組成物は、ウシ類に対して、体重1kg当たり、約2.5mgのフルニキシンで投与される。 その組成物は、1日1回投与するか、または多数回用量に分割してもよい。ある状況下では、動物を処置するのに日用量が必要である。当業者なら理解されるが、正確な用量は、処置されている状態の段階および重篤度、処置されている動物種の個々の特性に依存する。 本発明の組成物は、プレスインボトル式挿入適用具(press in bottle insert application device)(PIBA)に入れて、それを必要とする動物に対して投与してもよい。かかる器具によれば、健康管理専門家は保管ビンから(経口)注射器に容易に液体を分配できる。その組成物を投与するには、その専門家はビンを開け、プラスチックのアダプターをビンの口に差し込み、次いで経口注射器をアダプターの口に取り付ける。次に、その専門家は薬物の投与量をビンから引き出し、その投与量を投与し得る。その後、後の使用に備えてキャップをそのビンの上に戻すことができる。現時点では、動物用ポアオン生産物は、一般に、組成物のより大量の投与を必要とするため、上記の投与法は適当ではない。それゆえ、現在のポアオン生産物は投与ガン(dosing gun)または投与カップ(dosing cup)のどちらかで投与されている。かかる投与法では、少量の薬物を正確に送達するのは困難であることが分かる。したがって、PIBA適用システムを用いての本発明の投与法は、現在特許請求しているポアオン方式の液体調製物のより正確で便利な投与を可能とする。 本発明に従う組成物は、ウシ類、ウシ科動物、ブタ、他の哺乳類、および鳥に対して特に有用である。BRDの処置に加えて、本発明の組成物はまた、ウシ類における、足腐敗症、急性乳房炎、急性カタル性結膜炎(感染性角結膜炎)、急性肺炎、子宮炎、および腸炎などの炎症に伴う他の状態の処置にも適している。また、他の種における他の炎症状態も本組成物で処置することができる。かかる疾患の処置に対する投薬レジメンは、処置される種および状態に対し適切なものとすべきである。 乳房炎は、乳分泌期の雌に起こる複雑な疾患であり、乳牛およびヤギにおいては特に経済的重要性を有する。黄色ブドウ球菌、大腸菌、およびレンサ球菌種を含む、いくつかの病原体因子が関与し得る。急性型の乳房炎は、突然発症し、乳房が肥大し、触れると熱く圧痛を有し、通常は、冒された動物は発熱を有する。早急に処置が行われないと、乳房が永久的に損傷を受け、乳生産が減少するかまたは失われ得る。 現在のところ、急性乳房炎は、抗生物質、抗炎症剤、およびオキシトシンで処置される。本発明の調合物を使用することは、動物取扱者とって、安全で便利にフルニキシンを、それを必要とする動物に投与して炎症を寛解させ、一方、処置に伴う動物への疼痛やストレス、および注射部位組織の損傷の可能性を最小限にするという方法の提供になり、改善である。加えて、本発明は、注射針による危険および鋭利な生体廃棄物の処理というやりがいのある問題を克服できるので、その調合物を投与する改善された方法を与えている。そのうえ、その薬物動態学的データに基づくと、経皮フルニキシンは作用の迅速な開始を可能とする。 急性カタル性結膜炎は、目の組織の炎症によって特徴付けられる、ウシ類、ヒツジおよび他の動物における急性感染性疾患であり、鼻汁、流涙、および大量の眼性の分泌(ocular discharge)を伴う。冒された動物は、極度の不快感を示し、採餌の低下、続いて起こる体重増加の減少、および/または乳生産の低下を起こし得る。極端な事例では、永久的な失明が生じる。この疾患は、ウシ類においては、モラクセラ・ボビス(Moraxella bovis)によって引き起こされるが、特に、放牧場や肥育場にいるウシ類の間で流行しており、この疾患の管理は、蓄牛産業にとって大きな経済的重要性を有している。 足腐敗症(指趾間蜂巣炎(interdigital phlegmon))は、指趾間腔(interdigital space)の急性感染症であり、世界中で肉牛および乳牛の両方に起こる感染症である。フソバクテリウム・ネクロホラム(Fusobacterium necrophorum)が、足腐敗症の主要な原因であるが、バクテロイデス・メラニノジェニクス(Bacteroides melaninogenicus)を含む他の生物体も関与し得る。主な症状としては、疼痛、重度の歩行困難、発熱、摂食障害、および乳生産の減少が挙げられる。現在のところ、足腐敗症は抗生物質治療により処置される。推奨される治療は、5日間までの処置を含み得る。本発明の調合物の使用は、NSAIDが、足腐敗症による炎症を減少させ、その動物の感情を改善するので、有用な補助療法となる。 本発明の材料や方法は、以下に続く実施例によってさらに示される。これらの実施例は、特許請求された本発明を説明するために示したものであり、制限を加えるものではない。 本発明に従ういくつかの具体的な経皮調合物を下に示す。 (実施例1) 本発明の組成物を調製するために、媒体または媒体の一部を調合容器に入れ、残りの賦形剤および活性物質を加える。すべての固体が溶解するまでその配合物を混合する。本明細書には含まれてはいないが、詳細な記載で言及されたような添加剤も容器の中に含ませ、調合物の中に混合する。添加の順序は肝要ではなかった。 (実施例2) 実施例1で記載した生産物中のフルニキシンの薬物動態 実施例1の調合物を、1mL/20kg(5mg/kgフルニキシン)の1回の経皮適用を受けた6匹のウシを含む薬物動態試験において評価した。フルニキシン濃度測定用の血液サンプルを、投与後、0、0.5、1、1.5、2、3、4、6、8、24、および48時間後に、採取した。その結果を、Banamine(登録商標)の2.2mg/kgでのIV投与と比較して、図1に示してある。この調査は、フルニキシンを5mg/kgで投与したとき、実施例1からの調合物の薬物動態プロファイルが、Banamine(登録商標)を2.2mg/kgでIV投与したときのそれと類似しているという証拠を提供した。 (実施例3) 本明細書中の組成物の調製手順は、実施例1で行われたものと同じであった。 (実施例4) 実施例3で記載した生産物中のフルニキシンの薬物動態 1mL/20kg(5mg/kgフルニキシン)の1回の経皮適用を受けた4匹の畜牛を含む薬物動態試験において、実施例3の調合物を評価した。フルニキシン濃度測定用の血液サンプルを、投与後、0、0.5、1、1.5、2、4、6、8、および24時間後に、採取した。その結果を、Banamine(登録商標)の2.2mg/kgでの筋肉内(IM)または皮下(SC)投与と比較して、図2に示してある。この調査は、フルニキシンを5mg/kgで投与したとき、実施例3からの調合物の薬物動態プロファイルが、Banamine(登録商標)を2.2mg/kgでIMまたはSC投与したときのそれと類似しているということを示した。 (実施例5) 本明細書中の組成物の調製手順は、実施例1で行われたものと同じであった。 (実施例6) 実施例5で記載した生産物中のフルニキシンの薬物動態 1mL/20kg(5mg/kgフルニキシン)の1回の経皮適用をそれぞれに受けた6匹の畜牛を含む薬物動態試験において、実施例5の調合物を評価した。フルニキシン濃度測定用の血液サンプルを、投与後、0、0.5、1、1.5、2、4、6、8、および24時間後に、採取した。その結果を図3に示してある。図3は、他の浸透促進剤と組み合わせてメントールを使用すると、フルニキシンの血漿中への取り込みが促進されたことを示している。 実施例6は、したがって、本発明の、第1の、および第2の皮膚浸透促進剤の組合せが、皮膚浸透促進剤の1つを単独で使用する場合に比較して、フルニキシンメグルミンの全身における生物学的利用能において相乗的増加を与えるという発見を示している。 (実施例7) 自然発生のウシ呼吸器疾患における経皮フルニキシンの効力 自然発生のウシ呼吸器疾患(BRD)において、異なる投与量について解熱効力を測定するための調査において、実施例3の調合物を評価した。急性のBRDの症状を示しおよび直腸体温が≧104.5°Fである120頭の幼肉牛が選択された。120頭のすべての幼牛に対して、BRDに対して承認されている抗菌剤(Nuflor(登録商標)の2mL/15kg体重の皮下注射)で処置し、さらに実施例3に記載の調合物の2つの投与量のうちの1つ、または実施例3の調製物のうちフルニキシンを含まず他の賦形剤はすべて含むプラセボ調合物を用いて無作為に経皮治療に充てた。 処置の6時間後に幼牛の直腸体温を再度測定した。各群の幼牛における直腸体温の変化を図4にまとめて示してある。したがって、実施例7は、2.5mg/kgまたは5mg/kgの経皮用量での、実施例3に記載の調合物を用いる経皮フルニキシンの投与量が、投与の6時間後で、プラセボ処置において観察されたよりも、直腸体温においてより大きな低下を導くという発見を示している。 (実施例8) 本明細書中の組成物の調製手順は、実施例1で行われたものと同じであった。 (実施例9) 実施例8で記載した生産物中のフルニキシンの薬物動態 1mL/40kg(2.5mg/kgフルニキシン)の1回の経皮適用を受けた6頭の畜牛を含む物動態調査において、実施例8の調合物を評価した。投与後、動物をヘッドゲート(headgate)に保持して、自身のまたは仲間のウシの適用部位を舐めるのを防止した。フルニキシン濃度測定用の血液サンプルを、投与後、0、0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、4、6、8、および24時間後に、採取した。その結果を図5に示してある。これらの血漿データは、Banamine(登録商標)(SPRI SN 06482)のIV投与(2.2mg/kg)で得られたデータに基づいて、生物学的利用能を見積もるのに使った。この調査は、調査動物の血漿中に検出されたフルニキシンが経皮吸収によるものであることを示している。また、実施例8で示した経皮調合物に対して、50%を超える生物学的利用能の推定値を与えている。 経皮液体調製物であって、 a)第1および第2の皮膚浸透促進剤、 b)一次の非プロトン性溶媒、および c)治療における有効量の、フルニキシンまたはその薬学的に許容できる塩 を含む、経皮液体調製物。 前記薬学的に許容できる塩がフルニキシンメグルミンである、請求項1に記載の経皮液体調製物。 前記第1の皮膚浸透促進剤が、前記経皮液体調製物の約2〜約20%w/vを含む、請求項1に記載の経皮液体調製物。 前記第1の皮膚浸透促進剤が、前記経皮液体調製物の約5〜約15%w/vを含む、請求項3に記載の経皮液体調製物。 前記第2の皮膚浸透促進剤が、前記経皮液体調製物の約2〜約50%w/vを含む、請求項1に記載の経皮液体調製物。 前記第1の皮膚浸透促進剤の前記第2の皮膚浸透促進剤に対する比が約4:1〜約1:4である、請求項1に記載の経皮液体調製物。 前記第1の皮膚浸透促進剤が、メントール、カンファー、d−リモネン、ネロリドール、または1−8シネオール、およびそれらの混合物からなるテルペノイドの群から選択される、請求項1に記載の経皮液体調製物。 前記第2の皮膚浸透促進剤が、テルペノイド、プロピレングリコールおよびグリセロールの飽和または不飽和脂肪酸エステルまたはジエステル、飽和または不飽和脂肪酸、飽和または不飽和脂肪アルコール、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の経皮液体調製物。 前記第2の皮膚浸透促進剤が、キシレン、D−リモネン、ミリスチン酸イソプロピル、プロピレングリコールジカプリラート/ジカプラート、デカン酸、デシルアルコール、オレイン酸、またはそれらの混合物である、請求項8に記載の経皮液体調製物。 前記経皮液体調製物が、約1〜約20重量%の活性フルニキシンを含む、請求項1に記載の経皮液体調製物。 前記一次の非プロトン性溶媒が、ピロリドン溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、DMSO、アセトン、グリセロールホルマール、乳酸エチル、グリコールエーテル、および/またはそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の経皮液体調製物。 前記グリコールエーテルが、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、および/またはジプロピレングリコールモノエチルエーテルからなる群から選択される、請求項11に記載の経皮液体調製物。 前記一次の非プロトン性溶媒が、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、および/またはそれらの混合物である、請求項11に記載の経皮液体調製物。 前記一次の非プロトン性溶媒が、経皮液体調製物の約5〜約90重量%を含む、請求項1に記載の経皮液体調製物。 前記経皮液体調製物の最大約80重量%までを含む第2の媒体または溶媒をさらに含む、請求項1に記載の経皮液体調製物。 前記第2の媒体または溶媒が、水、エタノール、イソプロパノール、1,2−プロパンジオール、グリセリン、ベンジルアルコール、ジメチルイソソルビド、トリアセチン、プロピレングリコール、グリコールエーテル類、乳酸エチル、および/またはそれらの混合物である、請求項15に記載の経皮液体調製物。 前記グリコールエーテルが、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、および/またはジプロピレングリコールモノエチルエーテルからなる群から選択される、請求項16に記載の経皮液体調製物。 第2の薬学的に活性な化合物をさらに含む、請求項1に記載の経皮液体調製物。 前記第2の薬学的に活性な化合物が、抗菌剤、抗炎症剤、オキシトシン、生殖ホルモン、成長促進化合物、生理学的介入化合物、抗不安作用化合物、抗ヒスタミン剤、免疫刺激剤、およびワクチンからなる群から選択される、請求項18に記載の経皮液体調製物。 経皮液体調製物であって、以下: a)約5%〜約15重量%の前記第1の皮膚浸透促進剤、 b)約2%〜約50重量%の前記第2の皮膚浸透促進剤、 c)遊離酸の含量を基準として、約5%〜約15%の前記フルニキシン、 d)約5%〜約90%の前記一次の非プロトン性溶媒、および e)最大約80%までの第2の媒体または溶媒 を含む、請求項1に記載の経皮液体調製物。 請求項1に記載の経皮液体調製物の有効量を、それを必要とする動物に投与することを含む、炎症状態を処置する方法。 前記投与されるフルニキシンの量が、約1〜約5mg/kgの活性含量である、請求項21に記載の方法。 第2の薬剤を、それを必要とする前記動物に投与することをさらに含む、請求項21に記載の方法。 前記第2の薬剤が、抗菌剤、抗炎症剤、オキシトシン、生殖ホルモン、成長促進化合物、生理学的介入化合物、抗不安作用化合物、抗ヒスタミン剤、免疫刺激剤、およびワクチンからなる群から選択される、請求項23に記載の方法。 前記動物の炎症状態を処置するための経皮液体調製物であって、以下: a)約5%〜約15重量%の第1の皮膚浸透促進剤、 b)約2%〜約50重量%の第2の皮膚浸透促進剤、 c)前記フルニキシンの遊離酸の含量を基準として、約5%〜約15%のフルニキシンまたはその薬学的に許容できる塩、 d)約5%〜約90%の一次の非プロトン性溶媒、および e)最大約80%までの第2の媒体または溶媒 を含み、約2.5mg/kgのフルニキシン投与量でウシ科動物に経皮的に投与したとき、フルニキシンに関して、約1000〜約2500ng/mLのCmax、約60分〜約2時間のTmax、および50%を超える生物学的利用能を示す、経皮液体調製物。 請求項1に記載の前記経皮液体調製物を投与する方法であって、以下: a)前記経皮液体調製物を、プレスインボトル式適用具中に組み込む工程、および b)前記経皮液体調製物の有効量を、それを必要とする動物に投与する工程 を含む、方法。 本発明は、動物における炎症を処置するための組成物および方法に関する。フルニキシンのような非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)を組み合わせた新規な経皮調製物が開示される。ウシ呼吸器疾患を含むウシにおける炎症状態の処置に当該調製物を使用し、投与する方法もまた開示される。a)第1および第2の皮膚浸透促進剤、b)一次の非プロトン性溶媒、およびc)処置における有効量の、フルニキシンまたはその薬学的に許容できる塩を含む経皮液体調製物。