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タイトル:特許公報(B2)_がん免疫療法用細胞の製造方法
出願番号:2009540061
年次:2012
IPC分類:A61K 35/14,A61P 35/00


特許情報キャッシュ

倉持 恒雄 JP 4953403 特許公報(B2) 20120323 2009540061 20081105 がん免疫療法用細胞の製造方法 倉持 恒雄 507365282 特許業務法人グローバル知財 110000822 倉持 恒雄 JP 2007287291 20071105 20120613 A61K 35/14 20060101AFI20120524BHJP A61P 35/00 20060101ALI20120524BHJP JPA61K35/14 ZA61P35/00 A61K 35/14 JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) BIOSIS(STN) CAplus(STN) EMBASE(STN) MEDLINE(STN) 特開2001−314183(JP,A) 特開平05−219945(JP,A) 吉田憲史他,NKR-P1A(CD161)モノクロ-ナル抗体を用いたヒト機能型NKT細胞増殖方法の検討,日本癌学会学術総会記事,2005年 8月15日,Vol.64th,p.56,W-101 磯野法子他,CD3抗体固相化の相違によるNK細胞増殖能の相違,日本癌学会総会記事,2002年 8月25日,Vol.61,p.130,1563 EXLEY,M. et al,CD161 (NKR-P1A) costimulation of CD1d-dependent activation of human T cells expressing invariant V alpha 24 J alpha Q T cell receptor alpha chains,J Exp Med,1998年,Vol.188, No.5,p.867-876 5 JP2008070127 20081105 WO2009060865 20090514 13 20111104 遠藤 広介 本発明は医薬組成物及び医薬組成物の製造方法に関する。詳しくは、免疫療法用の医薬組成物、及び免疫療法用の医薬組成物の製造方法に係るものである。 現在、がんの治療法は、手術、化学療法(抗がん剤治療)、放射線療法が主流となっているが、抗がん剤による治療、放射線による治療は副作用の問題があり、近年、副作用のないがんの第4の治療法として免疫細胞療法が注目されている。現在実施されている免疫療法は、患者のリンパ球あるいはナチュラルキラー(NK)細胞のみを活性化及び増殖し、患者に点滴注射によって戻すという方法である。 また、近年、免疫系を構成するリンパ球の1つとして、新たにナチュラルキラーT(NKT)細胞が発見され、注目されている。NKT細胞は、健常人でもヒト末梢血リンパ球に0.3〜0.5%程度しか存在しない細胞であり、T細胞受容体(TCR:抗CD3抗体と反応する受容体)とNK細胞マーカー(CD161分子)の両方を併せ持ち、種属にただ一種類しかないMHC(主要組織適合抗原系:個々の細胞の特徴を提示する抗原系)様分子であるCD1dによってがん細胞から提示されるがん抗原を認識し、がんを攻撃し殺傷することが明らかになっている。また、NKT細胞を活性化及び増殖させるには、糖脂質α―ガラクトシルセラミド(α―GalCer)が不可欠であることが知られている。 また、特許文献1には、特定のα―ガラクトシルセラミドが骨髄細胞の増殖促進効果を有している点が見出され、特定の式で示されるα―ガラクトシルセラミドの1種または2種類以上を有効成分として含有する骨髄細胞増殖促進剤が開示されている。即ち、特許文献1には、単核球画分を培地で調製し、前記骨髄細胞増殖促進剤と、調製された単核球画分を加えて培養する方法が記載されている。特許第3088461号明細書 しかしながら、特許文献1に記載の骨髄細胞増殖促進剤が増殖する骨髄細胞は単球であり、NK細胞及びリンパ球の2種類の細胞を略同時に、若しくは、NKT細胞、NK細胞及びリンパ球の3種類の細胞を略同時に、しかも容易に活性化及び増殖させるかどうか不明であった。 本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、NK細胞及びリンパ球の2種類の細胞を略同時に、若しくは、NKT細胞、NK細胞及びリンパ球の3種類の細胞を略同時に、しかも容易に活性化及び増殖する、がん免疫療法用細胞の製造方法を提供することを目的とする。 上記の目的を達成するために、本発明のがん免疫療法用細胞は、固相化された抗ヒトCD3モノクローナル抗体と、固相化された抗ヒトCD161モノクローナル抗体と、リンパ球培地とによって培養されたリンパ球混合物を含有する。 ここで、上記リンパ球混合物は、少なくともナチュラルキラー(NK)細胞及びリンパ球の2種類の細胞を含有するものであることが好ましい。NK細胞及びリンパ球の2種類の細胞を略同時に容易に活性化及び増殖することができるからである。 また、より好ましくは、上記リンパ球混合物は、少なくともナチュラルキラーT(NKT)細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞及びリンパ球の3種類の細胞を含有するものである。NKT細胞、NK細胞及びリンパ球の3種類の細胞を略同時に容易に活性化及び増殖することができるからである。 ここで、固相化された抗ヒトCD3モノクローナル抗体と、固相化された抗ヒトCD161モノクローナル抗体と、リンパ球培地とによってリンパ球混合物を培養するため、固相化された抗ヒトCD3モノクローナル抗体及び固相化された抗ヒトCD161モノクローナル抗体の組み合わせにより、NK細胞及びリンパ球の2種類の細胞を略同時に、若しくは、NKT細胞、NK細胞及びリンパ球の3種類の細胞を略同時に、活性化及び増殖することができる。 また、本発明のがん免疫療法用細胞において、リンパ球混合物が、末梢血から分離した末梢血リンパ球の集合物である場合、採血が容易で患者に苦痛を与えることがほとんどなく、末梢血からリンパ球混合物を分離する際に煩雑な手間がかからず、更に、血液を冷蔵保存で輸送できる。 また、本発明のがん免疫療法用細胞において、リンパ球培地が、1000U/mlのインターロイキン―2を含有する場合、細胞の活性化及び増殖を促進することができる。 また、上記の目的を達成するために、本発明のがん免疫療法用細胞の製造方法は、固相化された抗ヒトCD3モノクローナル抗体及び固相化された抗ヒトCD161モノクローナル抗体の存在下で、リンパ球培地に、ナチュラルキラー(NK)細胞及びリンパ球の2種類の細胞を含有するリンパ球混合物を加えて、前記2種類の細胞を、顆粒球コロ二一刺激因子の非存在下で略同時に共培養し共培養し活性化及び増殖させる。 また、本発明のがん免疫療法用細胞の製造方法は、固相化された抗ヒトCD3モノクローナル抗体及び固相化された抗ヒトCD161モノクローナル抗体の存在下で、リンパ球培地に、ナチュラルキラーT(NKT)細胞,ナチュラルキラー(NK)細胞及びリンパ球の3種類の細胞を含有するリンパ球混合物を加えて、前記3種類の細胞を、顆粒球コロ二一刺激因子の非存在下で略同時に共培養し活性化及び増殖させる。 ここで、固相化された抗ヒトCD3モノクローナル抗体及び固相化された抗ヒトCD161モノクローナル抗体の存在下で、リンパ球培地にリンパ球混合物を加えるため、固相化された抗ヒトCD3モノクローナル抗体及び固相化された抗ヒトCD161モノクローナル抗体の組み合わせにより、NK細胞及びリンパ球の2種類の細胞を略同時に、若しくは、NKT細胞、NK細胞及びリンパ球の3種類の細胞を略同時に、活性化及び増殖することができる。 また、本発明のがん免疫療法用細胞の製造方法において、固相化された抗ヒトCD3モノクローナル抗体及び固相化された抗ヒトCD161モノクローナル抗体の存在下で、リンパ球培地にリンパ球混合物を加えて培養した後、リンパ球混合物を含んだリンパ球培地を、非固相化抗ヒトCD3モノクローナル抗体及び非固相化抗ヒトCD161モノクローナル抗体の存在下で、別のリンパ球培地に加える場合、細胞への過剰な刺激を与えることで生じるアポトーシス(細胞死)を抑えることができる。 本発明に係るがん免疫療法用細胞は、NK細胞及びリンパ球の2種類の細胞、若しくは、NKT細胞、NK細胞及びリンパ球の3種類の細胞が増殖及び活性化したものである。 本発明に係るがん免疫療法用細胞の製造方法は、NK細胞及びリンパ球の2種類の細胞を略同時に、若しくは、NKT細胞、NK細胞及びリンパ球の3種類の細胞を略同時に、しかも容易に活性化及び増殖することができる。 以下、本発明の実施の形態について説明する。 まず、本発明の方法により増殖及び活性化させる3種類の細胞のうち特にNKT細胞(Vα24+Vβ11+細胞)は、前述のように健常人の末梢血中でも0.3〜0.5%と極めて微量にしか存在せず、強い抗腫瘍作用、抗アレルギー作用、自己免疫疾患抑制作用、臓器移植後の拒絶反応抑制作用などを有することが知られる細胞である。 また、NKT細胞は細胞膜表面にNK細胞マーカーであるCD161分子と、CD3分子が会合したT細胞受容体を共有している。ヒトのNKT細胞は、T細胞受容体がVα24+Vβ11+の配列を有している。それ故に、ヒトのNKT細胞は抗CD3抗体と抗CD161抗体と結合すると活性化し、増殖することができる。リンパ球は、T細胞(Tリンパ球)とも呼ばれ細胞膜表面にT細胞受容体(CD3分子)を有し、抗CD3抗体と結合すると活性化し、増殖することができる。NK細胞は細胞膜表面にCD161分子を発現し、抗CD161抗体と結合すると活性化し、増殖することができるが、T細胞受容体を持っていないので抗CD3抗体とは結合することは無く、抗CD3抗体によって活性化及び増殖することはない。 このようなNKT細胞 (Vα24+Vβ11+細胞)、NK細胞及びリンパ球を本発明において増殖及び活性化するには、出発物質としてリンパ球混合物を用いる。 また、リンパ球混合物は、生体から採取可能なリンパ球の集合であり、末梢血リンパ球、臍帯血リンパ球、リンパ節リンパ球、腫瘍内浸潤リンパ球、がん性腹水・がん性胸水浸潤リンパ球等がある。リンパ球混合物は生体の各部から採血、バイオプシー(生体穿刺)、ドレナージ (排液法)、手術等の方法によって採取することができる。リンパ球を含む細胞混合物は目的に応じた方法によって処理し、比重1.077のリンパ球分離用試薬によってリンパ球混合物として分離することができる。 このリンパ球混合物からNKT細砲を単離させて使用することも可能であるが、手間を簡略化するなどの理由で、リンパ球混合物の状態で使用するのが最適である。 リンパ球混合物中のNKT細胞(Vα24+Vβ11+細胞)、NK細胞、リンパ球だけを単離して使用することもできるが、高価な機器を必要とすること、高度な技術が必要なこと、単離に多大な時間と経費を費やす必要があり、特定の施設でしかできないという理由で好ましくない。 なお、免疫療法用細胞医薬組成物に、NKT細胞(Vα24+Vβ11+細胞)、NK細胞及びリンパ球が活性及び増殖されたリンパ球混合物を利用する場合には、このリンパ球混合物は、投与される患者自身の細胞であることが望ましい。 また、このリンパ球混合物を培養するための培地であるリンパ球培養液としては、従来からリンパ球の細胞培養に用いられているRPMI−1640を基盤として作成されている各種の培養液が利用可能である。 また、細胞の初期培養用及び二次培養用のリンパ球培養液には、1000U/ml(1000単位/ml)のインターロイキン2(IL−2)を含有させるのが好ましい。低濃度のIL−2よりも1000U/mlのIL−2を含有させることにより、細胞の増殖率及び活性度を向上することができるからである。 また、IL−2は細胞の増殖及び活性化に影響を与えることが知られているサイトカイン(細胞から遊離される免疫物質)であり、人工的にも合成できることから、本発明においても使用できる。 また、α−ガラクトシルセラミドを用いた実験系で、がん患者のリンパ球を培養する際、G−CSF(顆粒球コロ二一刺激因子)を含有させることによりNKT細胞の増殖を改善できることが報告されているが、本発明においては、わざわざG−CSFを使用しなくても、容易に培養することができ、活性度及び増殖率を向上することが期待できる。 なお、本発明において、リンパ球混合物に抗原提示細胞(がん抗原をNKT細胞、NK細胞、リンパ球に伝達する細胞)を加えてもよいが、ここでは、抗原提示細胞を加えない培養方法を使用するのが好適である。本発明は、抗原提示細胞を加えなくても細胞の増殖及び活性化に与える影響は少なく、これによりリンパ球培養方法の手間を簡略化することができるからである。 一方、本発明の初期培養及び二次培養で細胞を増殖及び活性化する方法で使用する培養容器は、リンパ球培養液及びリンパ球混合物を収容可能な容器本体に、抗CD3抗体及び抗CD161抗体が二重固相化された固相化培養容器を使用する。さらに培養を継続する場合は、抗CD3抗体や抗CD161抗体で固相化されていない非固相化培養容器(CO2透過バッグ)内で培養を継続することを特徴とする。 また、初期培養及び二次培養のための培養容器本体としては、特に限定されるものではなく、硬質樹脂製容器、軟質樹脂製可撓性容器、ガラス製容器などが使用可能である。 また、抗CD3抗体及び抗CD161抗体は、この容器本体のリンパ球培養液及びリンパ球混合物と接する接液表面の少なくとも一部、好ましくは全部に固相化されるのがよい。 固相化に使用される抗CD3抗体は、NKT細胞、T細胞表面のT細胞受容体に会合して存在するCD3分子が特異的に反応する抗体である。 また、CD3分子は、T細胞受容体と共に抗原提示細胞のMHC(主要組織適合抗原系:がん細胞の表面に発現する抗原で、T細胞にがん細胞を認識させ、がん細胞の排除に関わる免疫反応を開始させる)分子及び抗原を認識して細胞内に伝達するために機能する分子であり、抗CD3抗体によりNKT細胞、T細胞に刺激が与えられることにより、細胞の増殖及び活性化が引き起こされる。 また、固相化に使用される抗CD161抗体は、NKT細胞表面やNK細胞表面に存在するNKR−P1A(CD161)分子が特異的に反応する抗体である。このCD161抗体はNKT細胞及びNK細胞の表面マーカーとして知られているが、NKT細胞表面のCD161分子とのリガンド(配位子または結合部位)は未だ明らかではない。しかし、抗CD161抗体でNKT細胞、NK細胞を刺激することにより、NKT細胞、NK細胞の活性化に影響を与える。 また、培養容器には、これらの抗CD3抗体と抗CD161抗体との両方を固相化させる必要がある。一方だけでは、NKT細胞は増殖及び活性化できないからである。 次に、固相化の方法について説明する。抗CD3抗体を培養容器に固相化するには、例えば、滅菌されたリン酸緩衝液(PBS)を用い抗CD3抗体を1μg/mlの濃度となるように調整し、この抗体を培養容器に注入し、24時間室温で静置した後、適量のリン酸緩衝液で余分な抗体を洗浄することにより抗CD3抗体を固相化する。 その後、滅菌されたリン酸緩衝液で抗CD161抗体を10μg/mlの濃度となるように調整し、この抗体を培養容器に注入し、24時間室温で静置した後、適量のリン酸緩衝液で余分な抗体を洗浄することにより抗CD161抗体を固相化する。このような固相化方法は特に限定されるものではなく、適宜選択することが可能である。 次に、このように二重固相化した培養容器を用いてNKT細胞、NK細胞、リンパ球を同時に増殖及び活性化させる方法について説明する。 本発明ではリンパ球混合物をリンパ球培養液と共に培養容器内に収容して培養する。ここでは、前記のように調製されたリンパ球培養液にリンパ球混合物を混合して浮遊(分散)させた状態で、培養容器内に収容して37℃のCO2インキュベータの中で静置することにより行う。 このとき、リンパ球培養液中のリンパ球混合物の濃度を、1×107〜1.5×107(1000〜1500万)個/mlに調整するのが好適である。また、特に限定されるものではないが、抗体が固相化された培養容器の接液面の面積に対して均一水平となるようにリンパ球培養液を収容するのが好適である。 そして、この培養容器を5%CO2濃度、37℃の条件下のインキュベータ内で、5〜6日間静置することにより初期培養及び二次培養を行う。 この培養過程では、全期間を抗CD3抗体及び抗CD161抗体が固相化された同一の培養容器において培養を行うことも可能である。このように培養期間の全てで細胞膜表面のCD3分子及びCD161分子に刺激を与えていても、NKT細胞、NK細胞、リンパ球を安全確実に増殖及び活性化することができる。 一方、培養期間の初期例えば5〜6日間、抗CD3抗体及び抗CD161抗体が固相化された培養容器において培養を行った後、リンパ球混合物を含むリンパ球培養液を、抗CD3抗体及び抗CD161抗体が固相化されていない非固相化培養容器に移して培養を継続し、NKT細胞、NK細胞及びリンパ球を増殖及び活性化することも可能である。この非固相化培養容器としては、CO2透過バッグ以外にも固相化培養容器の容器本体と同様のものを使用してもよい。 このようにすれば、細胞への過剰な刺激を防止してアポト一シス(細胞死)を抑えて、更にNKT細胞、NK細胞及びリンパ球を同時に増殖及び活性化することができる。また、初期培養及び二次培養により増殖及び活性化された、NKT細胞、NK細胞及びリンパ球の全部または一部を別の培養容器に取り出して更に増殖させる際、その培養容器に抗CD3抗体及び抗CD161抗体を固相化する手間を省くことができる。 本発明で使用する培養方法は、抗CD3抗体及び抗CD161抗体を用いることによって、NKT細胞であるVα24+Vβ11+細胞、NK細胞及びリンパ球を同時に、かつ容易に増殖及び活性化できる。しかも、細胞を増殖及び活性化する際、それぞれの細胞を単離する手間を省くことができ、技術的に3種類の細胞を同時に、かつ容易に増殖及び活性化することができる。また、本発明で使用する培養方法は、NKT細胞(Vα24+Vβ11+細胞)及びNKT細胞の一部であってNKT細胞と同様に抗腫瘍作用、免疫調整作用を有するVα24+Vβ11−細胞をも高い増殖率で活性化することができる。 Vα24+Vβ11−細胞は、NKT細胞(Vα24+Vβ11+細胞)と同様に膜表面にCD161分子を保有しており、NKT細胞同様に高い増殖率で活性化できる。これは、抗CD161抗体がVα24+細胞のCD161分子に対する共有刺激因子(co−Stimulator)として作用したためと考えられる。また、抗CD161抗体がVα24+Vβ11−細胞を増殖及び活性化する過程は、NKT細胞(Vα24+Vβ11+細胞)を増殖及び活性化する過程と同一のためと考えられる。 また、本発明で使用する培養方法では、NKT細胞を特異的に活性化させるα−ガラクトシルセラミド(α−GalCer)を用いることなく、抗CD3抗体と抗CD161抗体を用いてNKT細胞(Vα24+Vβ11+細胞)及びVα24+Vβ11−細胞(NKT細胞の一部)を増殖及び活性化できる。その原因として、T細胞の膜表面に存在するCD4、CD8分子がそれぞれMHCクラスII分子とMHCクラスI分子の共有レセプター(coreceptor)として存在するように、Vα24+NKT細胞のCD161分子が細胞を増殖及び活性化に導くCD1dを直接認識することができる共有レセプターか、或いはCD161分子のリガンド(共有結合部)がCD1dそのものであるためであると考えることができる。 また、培養期間中には、NKT細胞が増殖及び活性化されてインターフェロンγ(IFN−γ)等のサイトカインが産生される。 以上のようにして培養することにより、NKT細胞(Vα24+Vβ11+細胞)、NK細胞、リンパ球が同時に増殖及び活性化されたリンパ球混合物(培養混合物)を得ることができる。 このようにして得られたリンパ球混合物(培養混合物)は、燐酸緩衝液(PBS)で洗浄後、NKT細胞またはNKT細胞を含有する混合物として種々の用途に使用することができる。 また 免疫療法用細胞医薬の用途に使用する場合には、培養容器から取り出されたリンパ球混合物(培養混合物)は250mlの燐酸緩衝液(PBS)により2〜3回遠心及び洗浄され、100mlの生理食塩水に浮遊させて輸液等の薬液とすればよい。 また このような薬液の、NKT細胞の濃度は、リンパ球混合物全量基準で5〜40%、NK細胞の濃度は、リンパ球混合物全量基準で25〜60%、リンハ球の濃度は、リンパ球混合物全量基準で30〜60%程度とするのが好ましい。 そして、この免疫療法用細胞医薬を患者に投与することにより、増殖及び活性化されたNKT細胞(Vα24+Vβ11+細胞)及びNK細胞、リンパ球の安定した抗腫瘍作用、抗アレルギー作用、自己免疫疾患抑制作用、臓器移植後の拒絶反応抑制作用によって優れた治療効果を期待できる。 以下、実施例について説明する。 (リンパ球混合物) がん患者15名(肺がん5名、肝臓がん4名、結腸がん2名、胃がん1名、悪性リンパ腫1名、乳がん1名、前立腺がん1名、病期:ステージ(Stage)II〜IV)の末梢血を採血し、比重1.007のリンパ球分離用試薬にて遠心分離することにより、それぞれの患者毎に別々にリンパ球混合物サンプルを作成した。 (リンパ球培養液の調製) RPMI−1640を基盤にした培養液に、1000U/mlのIL−2を含有させたリンパ球培養液を調製した。 (モノクローナル抗体) 抗ヒトCD3抗体としてUCTH−1(BDバイオサイエンス社製)、抗ヒトCD161抗体として191.B8(イムノテック社製)を用いた。NKT(Vα24+Vβ11+)細胞、Vα24+Vβ11−細胞のフローサイトメトリ解析のためにFITC標識抗Vα24抗体C15(イムノテック社製)、PE標識抗Vβ11抗体C21(イムノアック社製)をそれぞれ用いた。T細胞(ヘルパー/インデューサーT細胞)の解析にはFITC標識抗CD4抗体、PE標識抗CD29抗体、NK細胞の解析にはPE抗CD16抗体、FITC標識抗CD57抗体(BDバイオサイエンス社製)を用いた。 (固相化培養容器の作製) 予め、底部内表面積が75cm2と225cm2のフラスコに抗CD3抗体及び抗CD161抗体で固相化処理を施して固相化フラスコを作製した。 固相化処理は、1μg/mlに調整した抗CD3抗体をフラスコに注入し、24時間室温にて静置した後、余分な抗体をリン酸緩衝液で洗い流すことにより行なった。次に、10μg/mlになるように調整した抗CD161抗体をフラスコに注入し、さらに24時間室温にて静置した後、5℃の冷蔵庫に保存し、使用時に余分な抗体をリン酸緩衝液で洗い流して使用した。 (実施例1) 前述の15名のがん患者のリンパ球混合物を用い、これらのサンプルを細胞数1×107〜1.5×107/ml(1000〜1500万個/ml)になるように調整した後、1000U/mlのIL−2を含むリンパ球培養液50mlに浮遊させ、75cm2のフラスコにて4〜5日間培養した(初期培養)。二次培養は、4〜5日後に225cm2のフラスコに細胞を移し200mlの培養液中で1〜2日間培養した。初期培養及び二次培養には抗CD3抗体UCTH−1、抗CD161抗体191.B8を用いて固相化したフラスコを使用した。培養は全期間を通じ5%CO2、37℃でのインキュベータ内で行なった。 更に、肺がんの患者(A)、胃がんの患者(B)、肝臓がんの患者(C)について、培養開始時と培養開始後6日目における上清液中のインターフェロン−γ(IFN−γ)の濃度を測定した。結果を図1に示す。図中、サンプルA〜Cそれぞれの左グラフ(白い部分)は培養開始時のIFN−γの濃度を示し、右のグラフ(黒い部分)は培養開始後6日目のIFN−γの濃度を示す。 図1から明らかなように、IFN−γの濃度が培養開始時の濃度に比べ1800〜2400倍となり、NKT細胞の増殖及び活性化によるIFN−γの産生が確認された。 (実施例2) 実施例1と同一の条件にて4〜6日間初期培養及び二次培養を実施し、その後、培養途中のリンパ球混合物が含有されているリンパ球培養液を抗CD3抗体及び抗CD161抗体で固定化されていない175U/mlのIL−2を含有する1000mlのRPMI−1640を基盤にした培養液に移して、培養液合計1200mlで培養を継続し、初期培養から合計14日間の培養を行った。 また、培養開始後4日、6日、14日目の細胞増殖率を、培養開始時(0倍)と比較して表1に示す。 表1から明らかなように、固相化された抗ヒトCD3モノクローナル抗体と、固相化された抗ヒトCD161モノクローナル抗体と、リンパ球培養液とによって培養されたリンパ球混合物は、NKT細胞、Vα24+Vβ11−細胞、NK細胞及びリンパ球の数が略同時に活性化及び増殖していることが判る。 (治療実施例) 以下、治療実施例について説明する。 (がん患者) がん患者15名(肺がん5名、肝臓がん4名、結腸がん2名、胃がん1名、悪性リンパ腫1名、乳がん1名、前立腺がん1名、病期:ステージ(Stage)II〜IV)について、本発明のがん免疫療法用細胞(免疫療法用細胞医薬)の効果を検討した。 (免疫療法用細胞医薬の製造) がん患者から採血後、上記の方法で14日間培養したリンパ球混合物を培養容器から取り出し、250mlの滅菌燐酸緩衝液(PBS)により2回遠心及び洗浄した。その後、総細胞数・NK細胞数・リンパ球細胞数、又は、総細胞数・NKT細胞数・NK細胞数・リンパ球細胞数をそれぞれ算定し、培養細胞を100mlの生理食塩液に浮遊させてテルモ分離バッグ(テルモ社製、テルフレックスT−020)に移し輸液用の薬液とした。 輸液用細胞薬液中のそれぞれの細胞数の分布を表2、表3に示す。なお、表中の細胞数の単位は、億個である。 (免疫療法用細胞医薬の投与方法) 治療は、100mlの生理食塩液に浮遊させたNK細胞及びリンパ球、若しくは、NKT細胞、NK細胞、リンパ球を静脈に点滴注射によって行なった。点滴注射を行う静脈は特に限定しない。点滴の時間は15〜30分が好適である。 (治療の日程) 採血後、2週間隔で約3ケ月かけ6回の治療を行なった。次回培養のための採血は、それぞれ2週間おきに点滴治療の前に採血した。 (治療効果の判定) 6回治療終了後、3〜4週間後にCT、MRIの撮影、腫瘍マーカー値の測定、NKT細胞数などの細胞数の測定、血液及び生化学一般検査などを行い総合的に患者の状態を判定した。 (治療効果の判定基準) 治療効果の判定はA、B、C、Dの4段階とし、以下の判定方法で行なった。 A:腫瘍が消失または25%以上縮小した。腫瘍マーカーが下がった。再発または転移の兆しがない。 B:腫瘍の大きさ及び転移の状況も不変。腫瘍マーカーが下降あるいは横ばい。生活の質(QOL)が治療前より改善された。 C:腫瘍が少しずつ増大し、腫瘍マーカーも少しずつ上昇しているが、緩やかな進行であると思われる。 D:この治療に関係なく、腫瘍が20%以上増大し、腫瘍マーカーが著しく上昇した。生活の質が低下した。 がん患者15名の治療成績を表4に示す。 CT・MRIの判定は、腫瘍の大きさを示す。 腫瘍マーカー値の↑は上昇を、↓は下降を、→は変化なしを示す。 表4から明らかなように、本発明のがん免疫療法用細胞を用いて、がん患者の治療を行なった結果、15名のがん患者中13名のがん患者について、病状の改善が見られた。 このように、本発明は、固相化された抗ヒトCD3モノクローナル抗体と、固相化された抗ヒトCD161モノクローナル抗体と、リンパ球培地とによってリンパ球混合物を培養するため、固相化された抗ヒトCD3モノクローナル抗体及び固相化された抗ヒトCD161モノクローナル抗体の組み合わせによりNKT細胞を活性化及び増殖することができ、また、抗ヒトCD3モノクローナル抗体によって、リンパ球混合物中のリンパ球のみを活性化及び増殖することができ、更に、抗ヒトCD161モノクローナル抗体によって、NK細胞を活性化及び増殖することができるので、NK細胞及びリンパ球の2種類の細胞を略同時に、若しくは、NKT細胞、NK細胞及びリンパ球の3種類の細胞を略同時に、しかも容易に活性化及び増殖することができる。 また、本発明のがん免疫療法用細胞は、強力な抗腫瘍作用、抗アレルギー作用、自己免疫疾患抑制作用及び臓器移植後の拒絶反応抑制作用を有するNKT細胞(Vα24+Vβ11+細胞)が、NK細胞及びリンパ球と略同時に増殖及び活性化されるので、リンパ球あるいはNK細胞のみを用いた医薬組成物の免疫療法に比べて更に効果的である。 また、リンパ球混合物が、末梢血から分離した末梢血リンパ球の集合物なので、採血が容易で患者に苦痛を与えることがほとんどなく、末梢血かリンパ球混合物を分離する際に煩雑な手間がかからず、更に、血液を冷蔵保存で輸送できる。 また、固相化された抗ヒトCD3モノクローナル抗体及び固相化された抗ヒトCD161モノクローナル抗体の存在下で、リンパ球培地にリンパ球混合物を加えて培養した後、リンパ球混合物を含んだリンパ球培地を、非固相化抗ヒトCD3モノクローナル抗体及び非固相化抗ヒトCD161モノクローナル抗体の存在下で、別のリンパ球培地に加えるので、細胞への過剰な刺激を与えることで生じる細胞死を抑えることができる。実施例1のサンプルA〜Cの培養開始時と培養開始後6日目における上清液中のインターフェロン−γ(IFN−γ)の濃度を示すグラフである。符号の説明 A 肺がんの患者 B 胃がんの患者 C 肝臓がんの患者 固相化された抗ヒトCD3モノクローナル抗体及び固相化された抗ヒトCD161モノクローナル抗体の存在下で、リンパ球培地に、ナチュラルキラー(NK)細胞及びリンパ球の2種類の細胞を含有するリンパ球混合物を加えて、前記2種類の細胞を、顆粒球コロ二一刺激因子の非存在下で略同時に共培養し共培養し活性化及び増殖させたことを特徴とするがん免疫療法用細胞の製造方法。 固相化された抗ヒトCD3モノクローナル抗体及び固相化された抗ヒトCD161モノクローナル抗体の存在下で、リンパ球培地に、ナチュラルキラーT(NKT)細胞,ナチュラルキラー(NK)細胞及びリンパ球の3種類の細胞を含有するリンパ球混合物を加えて、前記3種類の細胞を、顆粒球コロ二一刺激因子の非存在下で略同時に共培養し活性化及び増殖させたことを特徴とするがん免疫療法用細胞の製造方法。 前記リンパ球混合物が、末梢血から分離した末梢血リンパ球の集合物である請求項1又は2に記載のがん免疫療法用細胞の製造方法。 前記リンパ球培地が、1000U/mlのインターロイキン―2を含有する請求項1又は2に記載のがん免疫療法用細胞の製造方法。 固相化された抗ヒトCD3モノクローナル抗体及び固相化された抗ヒトCD161モノクローナル抗体の存在下で、リンパ球培地に前記リンパ球混合物を加えて培養した後、該リンパ球混合物を含んだリンパ球培地を、非固相化抗ヒトCD3モノクローナル抗体及び非固相化抗ヒトCD161モノクローナル抗体の存在下で、別のリンパ球培地に加える請求項1又は2に記載のがん免疫療法用細胞の製造方法。


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