生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_エスコートタンパク質の治療ターゲティング
出願番号:2009537308
年次:2010
IPC分類:A61K 39/395,A61P 31/12


特許情報キャッシュ

デュアン,ロクサンヌ キンチ,マイケル ゴールドブラット,マイケル JP 2010509403 公表特許公報(A) 20100325 2009537308 20071113 エスコートタンパク質の治療ターゲティング ファンクショナル・ジェネティクス・インコーポレーテッド 509133377 FUNCTIONAL GENETICS,INC. 津国 肇 100078662 束田 幸四郎 100113653 齋藤 房幸 100116919 デュアン,ロクサンヌ キンチ,マイケル ゴールドブラット,マイケル US 60/858,361 20061113 A61K 39/395 20060101AFI20100226BHJP A61P 31/12 20060101ALI20100226BHJP JPA61K39/395 DA61K39/395 SA61P31/12 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MT,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SV,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW US2007084512 20071113 WO2008063996 20080529 11 20090709 4C085 4C085AA13 4C085AA14 4C085BB11 4C085CC21 4C085CC23 4C085EE01 4C085EE03関連出願の相互参照 本出願は、米国特許法第119条(e)項により、その全体が参照により本明細書により組み入れられる、2006年11月13日に提出された米国仮特許出願第60/858,361号の利益を主張する。発明の分野 本発明は、一般に、ウイルス感染の治療的処置のための、そして特に、ウイルス感染に供されるか、またはウイルス感染に感受性の哺乳動物ホストのための、方法および組成物に関するものである。本発明は、ウイルス自体のターゲティングではなく、むしろウイルスの出芽を、すなわち、感染細胞からのウイルスの放出を担うエスコートタンパク質のターゲティングにより、ウイルス感染が予防、阻害または軽減されうるという認識にある。エスコートタンパク質に特異的な抗体の投与または生成によりこれらのエスコートタンパク質を阻害することによって、ウイルスの出芽を阻害または防止し、故に疾患を予防することができる。細胞に閉じこめられたウイルス因子(viral agent)は、細胞と共に死滅し、除去される。背景 ウイルスおよびそれに関連するウイルス性疾患は、共通の伝播方法をもつ。ウイルス自体は、体内の少数の細胞に感染する。いったん細胞内に入ると、ウイルスの核酸であるDNAまたはRNAは、その細胞の装置を引き継いで自己のコピーを多数作り出す。1個の感染細胞またはかなりの数の感染細胞は、たとえヒトであろうと哺乳類の罹患動物を本来自ら病気にすることはない。それどころか、病気とみなされるものを導く、体全体へのウイルスの大規模な分布を招くのは、感染細胞表面からのウイルスのその後の放出である。発熱、脱力感、苦痛および痛みおよび疼痛、下痢および脱水などを含む、ウイルス感染の症状として認識されるのは、この数百万のウイルスコピーの侵入と闘うための一連の身体の細胞的防御および化学的防御である。ウイルス感染、特に確認される症状は、寄生虫感染または他の弱いウイルス、細菌などを含む第2の因子による日和見感染をしばしば導くおそれがある。 少数の治療薬または処置しか、ウイルス性疾患と闘うために役立たない。抗生物質などは、ウイルス性疾患に無効なだけでなく、他の場合に身体が行使しうる防御メカニズムを阻害することによって、おそらくその疾患を悪化させる。一般に、一組の症状がウイルス感染による疾患を反映していると確認されると、または感染性ウイルス自体が確認されると、処置は、侵入物に対処するために身体の免疫系を支援することに依存する。解熱薬および鎮痛薬を含む緩和剤、水分補給ならびに休息が、主要な支援策である。身体は、孤立無援であることから、数々のレトロウイルスを含む多数のウイルスに直面すると、困難を乗り切るには十分でないおそれがある。 いくつかの場合では、ウイルス自体に焦点を当てたワクチンまたは治療薬が調製されうる。1950年代以来、戦略は、ホストの体内に循環性ウイルスを誘導するために「死滅した」形態もしくは不活化形態のウイルスを調製することに、またはウイルス性侵入物との結合に有効な抗血清(抗体)に、焦点を当てた。どの戦略も全く有効なわけではなかった。この大部分は、ウイルスが突然変異することによって活性な因子(結合因子、典型的には抗体)の中和効果を回避できることが原因であり、その因子は、受動型の投与(生きた病原体にも有効な免疫応答を誘導する、無害または不活性な病原体の投与による能動免疫)によって、またはウイルスターゲットに対して作製された有効力価の抗体の投与によって生成する。ウイルスは、エピトープを脱落または付加し、その核酸タンパク質(nuclear protein)、特に(存在する場合は)コートタンパク質の配列を変えることによって、以前は有効であったウイルスであることを避けることができる。 ウイルスは、一般に出芽と呼ばれる過程によって、最初に感染した細胞から繁殖することが発見された。この過程では、ウイルスは最初に細胞に侵入し、次に、侵入された細胞内で自己の複数のコピーを生成する。侵入された細胞は、身体自体の過程によって最終的に除去される。ウイルスのコピーが細胞を離れない限り、ウイルスのコピーは、他の細胞で感染過程を反復することができず、故にウイルス感染に起因する疾患に伴う症状または状態を生まない。同様に、潜伏ウイルスが少数の細胞に長期間存在するおそれがあり、その間、患者はどの点から見ても健康で、少数の細胞に閉じ込められた初回ウイルス感染は、健康上のリスクを提起しないか、またはそのように感染した哺乳動物に不都合さえも起こさない。本当の疾患が始まるのは、ウイルスのコピーが細胞から脱出するとき、すなわち出芽として知られている過程である。 出芽は、エスコートタンパク質と呼ばれる一連のタンパク質およびタンパク質複合体を「ハイジャック」することにより行われ、エスコートタンパク質はウイルスを細胞膜に運搬し、ポケットを作るのを助け、そのポケットを通ってウイルスは細胞から脱出する。エスコートタンパク質は、その細胞の細胞質に常在し、健常な過程では、細胞内および細胞間伝達に行き先を定めた多様な細胞合成産物が細胞膜を通過することを助ける。これらのエスコートタンパク質は、典型的には細胞外に存在せず、存在が短命であり、ウイルスの出芽時に唯一利用される。FACS分析は、ウイルス出芽に伴う時期にこれらのタンパク質が細胞表面に濃縮されることを示している。 ウイルス性疾患と戦うための改良された治療システムは、多くが求める目標である。ウイルスの間に途方もない区別があり、これらのウイルスに突然変異能があるとすると、所与のウイルス科の中であっても、そして、それらの科の間では言うまでもなく、ウイルスをターゲティングする戦略または薬剤は、ただの一つも広く有効である見込みはない。ウイルス感染によるヒトおよび商業動物の死亡に関するコストを計算しなくても、生産性および商業製品の途方もない損失、ならびにウイルス医療に年間投入される保健医療および支援における何十億ドルというコストは、ウイルス感染の処置のための改良された戦略が必要であることを明白にする。発明の概要 ウイルスの出芽と共にのみ細胞表面に出現するエスコートタンパク質ファミリーの同定は、ウイルス性疾患の治療的処置における新しい改良されたターゲットを提供する。循環抗体および関係するリガンドによるこれらのエスコートタンパク質の正確なターゲティング。エスコートタンパク質の結合は、ウイルスが出芽するか、または細胞から出る能力を効果的に阻害する。これは、今度は感染を中和し、ウイルスは感染細胞に閉じ込められ、その細胞が死滅すると身体から排除される。同定されたエスコートタンパク質ファミリーには、以下のタンパク質が含まれる:TSG101(aka VPS23)、NEDD4、VPS28、VPS28p、STP22、VPS37C、Aip1(aka Alix)、Hrs、Vps4BおよびALG2。本発明の実施では、治療有効量、すなわちホストの体内の感染細胞からのウイルス出芽を阻害するのに十分な量が、生成または投与される。これらは、(抗体反応を誘導するためにホストにエスコートタンパク質の免疫原性「模倣体」またはそのタンパク質自体を投与することによって)生成しうるし、例えば慢性感染に関連して感染源に曝されることによって、可能性のある感染に応答して予防的または偶発的に提供されうる(受動投与)。投与は、例えば大規模なインフルエンザの罹患を予防するために、季節的に予測することもできるし、RSVなどの所与のウイルスに特に感受性の群に選択的に投与することもできよう。多様な投与プロトコールを考えることができる。 多くの場合に、感染細胞からのウイルス粒子の脱出が確実に阻害されるために最も有効な処置は、一つの多価因子またはエスコートタンパク質結合因子の「カクテル」の投与に基づくであろう。詳細な説明 エスコートタンパク質は、ウイルスの出芽と共に細胞表面に出る。したがって、エスコートタンパク質は、循環中の因子に、他にない唯一の貴重な瞬間に接近することができる。エスコートタンパク質(一つまたは複数)に結合する抗体をホストに投与すること、またはホスト内で生成させることは、ウイルスの出芽を阻害する故に、ウイルス性疾患を阻害または予防する方法を提供し、その方法は、ウイルスの構造または特性に依存しないことから、突然変異が原因の有効性喪失を受けない。これらのエスコートタンパク質の構造は、これらが細胞内で果たす機能に特異的に結び付いていることから、経時的に顕著な変化が起こることは予想されない。しかし、同じ理由によって、これらのエスコートタンパク質は、ホストの至る所に存在し、可能性があることには一部の高度に分化した細胞を除いて事実上あらゆる細胞に存在するものの、これらのタンパク質は、ウイルスの出芽のため以外に細胞表面に存在しないことから、細胞表面または体内の構造に抗体が無差別に結合することはなかろう。この効果は、弱まらないであろうし、かつ、治療剤(その最も純粋な形態では抗体)がウイルス性疾患に関連をもたないターゲットに結合することにより「治療」がウイルス性疾患よりも悪くされる、ということも起こらないであろう。 これらのエスコートタンパク質に対する抗体を調製できることは十分に確証されている。NEDD4に対する抗体は広く入手可能である。例えば、マサチューセッツのCell Signaling Technologiesからの抗体2740は市販されている。カリフォルニアのSanta Cruz Biotechnologyは、VPS28、ALIX、VPS28、VPS4BおよびALG−2に対する抗体を含む、多数のこれらエスコートタンパク質に対する抗体を市販している。TSG−101は、おそらくこれらのエスコートタンパク質の中で最もよく研究されている。TSG101遺伝子のタンパク質産物は、マウス線維芽細胞におけるその機能的不活性化を伴う可逆的異常増殖によってもともと同定された(Li, L. & Cohen, S. N., 1996, Cell 85, 319-329)。それ以来、このタンパク質およびその遺伝子を研究するために多種多様な努力が捧げられた。例えば、共に参照により本明細書に組み入れられる第5,679,523号および第6,835,816号を参照されたい。Santa Cruz Biotechnology(SBCT)および他の28業者がTSG101に対する抗体を製造および販売している。本明細書において開示および請求されている本発明の譲受人であるメリーランドのFunctional Genetic, Inc.は、インフルエンザ、HIV、RSVおよびエボラを含むウイルス性疾患の阻害に有効であると実証された完全ヒト抗体CB−8およびウサギ抗体4−8A4を含む、多数のTSG101ターゲティング抗体を開発し、広範囲にわたる本発明の有効性を実証している。Functional Geneticsは、ブダペスト条約の条件による寄託が完了するまで、他者への抗体の拡散およびその商業的使用を制限する条件で、第三者に妥当な量の抗体を利用できるようにするつもりである。 したがって、上記抗体は、ヒトへの治療的投与に適すると保証されていないが、これらのタンパク質に対する抗体の生成は十分に確証されているため、特異的な抗体、特に一つまたは複数のエスコートタンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体は明白である。通常は従来のハイブリドーマ技法(肝細胞などの抗体発現細胞と不死の骨髄腫細胞との融合)を使用して調製される、そのような抗体を改変する方法も同様に周知である。ヒトの治療、したがって一般に哺乳動物の治療に使用するために適したモノクローナル抗体(mAb)を、従来のハイブリドーマ系により調製されたmAbから提供する方法の詳細な解説は、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第6,054,561号に示されている。 重要なことに、代替戦略は、哺乳類のターゲットまたはホストに免疫応答を誘導することを伴う。多様な接種技法が当業者に公知である。上記に認められるように、これらのエスコートタンパク質は、循環中のタンパク質ではなく、かつ、一般に哺乳動物の免疫反応系に提示もされない。これらは、当然、独自に免疫原性であるはずである。免疫原性を誘導するために、これらのタンパク質をタグおよびフラッグとコンジュゲーションさせる多様な方法もまた公知である。次に、これらの内因性免疫原は、十分な循環力価の抗体性免疫応答を誘導し、ウイルス性疾患を予防または阻害する。 すでに述べたように、本発明の所望の態様では、治療剤は、抗体もしくは類似の結合リガンドの組み合わせ、または一つもしくは複数の多価(または少なくとも二価)抗体を表す。多価抗体の一例として、少なくとも一つがTsg101に対し、一つがNEDD4に対する少なくとも二つの別々のドメインを有する、二重特異性試薬(例えば抗体またはアビマー(avimer))を提供することができる。例えば、エボラVP40は、PTAPPEY後期ドメインを有し、そのうちPTAPはTSG101と結合し、PPEYはNedd4と結合する。これらのドメインは独立して作用する。しかし、TGS101およびNEDD4のノックアウト(故に、結合)は、それぞれウイルスの出芽を阻害する。これらのドメインのそれぞれに結合する抗体は、等量の一価因子よりもウイルス性疾患の阻害または予防に有効であろう。 ターゲティング実体(例えば抗体)は、治療有効性を上げるために、非限定的に以下を含む、多様な異なる改変のいずれかを備えることができよう:細胞内で機能する共有結合性毒素(化学毒素または生物毒素)、細胞表面で機能する抗体指示酵素プロドラッグ治療(またはADEPT様)技法、あるいは抗体と、毒素または有効性付与もしくは有効性強化パートナーとの融合。これらは、二重または多重特異性抗体(例えば、T細胞またはNK細胞によるターゲットの死滅をトリガーするためのCD3またはCD16のターゲティング)を含みうる。同様に、単特異性または多重特異性ターゲティングは、非限定的にミニボディー(minibody)、BiTEまたはFc融合物を含む、抗体に基づく実体(FabまたはFcドメインを有する)を用いて達成することができよう。単特異性または多重特異性ターゲティングは、非限定的にアビマー(avimer)および他のタンパク質骨格を含む、非抗体性実体により達成することができよう。非抗体性実体は、単独で、または他のエフェクターメカニズムを促進する毒素または実体(例えばリガンド)と共に、TSG1011などのエスコートタンパク質と結合することができる、抗体が注射により受動的に提供されようと、または免疫原を用いた接種により能動的に提供されようと、有効量は、身体の至る所でウイルスの出芽を阻害するために有効な範囲で提供される抗体の循環力価を支援するのに充分であり、こうしてウイルス性疾患を阻害するであろう。有効な特異性抗体力価を同定することは不可能である。有効力価は、種、個体、ウイルスの種類および抗体により変動するものである。当業者に公知の方法により、専門家は、許容される値を判定(titrate)できる。接種として、有効量は、1日に哺乳動物の体重1kgあたり約10ng〜100mg以上、好ましくは約1μg/kg/日〜10mg/kg/日の範囲でありうる。受動ワクチンとしては、または理想的な循環力価の確認を試みる場合に、1μg/ml〜約1000mg/mlの範囲の値がターゲットである。 上に挙げた戦略は、エスコートタンパク質に関連するウイルス性疾患を含む、複数の異なる病原体に適用することができると思われ、その病原体には、非限定的に、HIV−I、HIV−II、HTLV−Iおよび他のレトロウイルス;エボラ、マールブルグおよび他の出血熱ウイルス;インフルエンザの全ての株およびクレイド(H5N1、H3N2、H1N1など);呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、ヒトメタニューモウイルス(HMPV)、アデノウイルス、ライノウイルス、および他の呼吸器ウイルス(特に早産児または免疫低下児の罹患および死亡の原因になるもの);ならびにHBV、HCV、EBV、およびヘルペスウイルスを含む、慢性感染または炎症に関連する全ての他のウイルスが挙げられる。 これらの適用には、新規または既存疾患の予防または治療が含まれよう。一例は、乳児またはHIV感染者のRSV感染、および全ての患者での出血熱感染を含む、感受性集団における予防的適用である。これは、一回限りで(例えば、バイオテロ)、断続的に(例えば、曝露時または曝露時近辺での性行為感染症の予防)、または季節ベース(例えば、インフルエンザまたはRSV)で起こりうる。治療的適用には、活動性または急性感染(臨床症状発生の時点で)、慢性感染(例えば、HBV、HCV、HIV)を有する患者、または特定のウイルスに以前に曝露され、再出現のリスクのある患者(例えばHIVまたは他のレトロウイルス、レンチウイルス、および/またはヘルペスウイルス(帯状疱疹もしくは再発性ヘルペス感染の場合)を含みうる。 エスコートタンパク質のターゲティングの別の態様は、一つを超えるウイルスが疾患に関連する状況で生じるであろう。例えば、複数の異なる肝臓指向性ウイルス(HBV、HCV、HDVおよび/またはHIV)は、しばしば同一の個体に伝播または感染し、結果として生じる肝炎重感染は、一般に単一の感染に伴う徴候よりも消耗性の慢性肝炎を伴うことが明らかである。同様に、HIV−I感染は、HTLV−2悪性リンパ球増殖過程の発生の一因となるおそれがある。したがって、両方の原因因子に適用できると予想される一つまたは複数のエスコートタンパク質に対する介入は、個別のウイルスのターゲティングよりも有効な治療法を提供できるであろう。 本発明の別の態様は、ウイルスが他の病原体と協同して疾患を媒介する状況で生じうる。例には、ウイルス感染(インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、アデノウイルス、麻疹ウイルス、ライノウイルス、およびコロナウイルスによる)が、細菌種(例えば定住ストレプトコッカス・ニューモニアエ(Streptococcus pneumoniae)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、ヘモフィルス・インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、ナイセリア・メニンギティディス(Neisseria meningitidis)、ミコバクテリウム・ツベルキュロシス(Mycobacterium tuberculosis)、ボルデテラ・ペルツシス(Bordetella pertussis)、またはシュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa))による同時感染またはその後の感染をトリガーする呼吸器疾患または肺疾患が含まれる。同様に、中耳炎は、ウイルス(RSV、インフルエンザ(AまたはB)ウイルス、またはアデノウイルス)および細菌(Streptococcus pneumoniaeまたはHaemophilus influenzae)による協同感染に関連していた。同様に、ウイルスと細菌の混合感染は、ヒト胃腸炎に一般的である。最後に、ヘルペスウイルス(サイトメガロウイルス、HSV、HHV6、HHV7、HHV8)、エプスタイン・バーウイルス1型(EBV−1)、およびHCMV/EBV−I二重感染)の感染は、アクチノバシラス・アクチノミセテンコミタンス(Aetinobacillus actinomycetemcomitans)、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、ジアリスタ・ニューモシンテス(Dialister pneumosintes)、プレボテラ・インターメディア(Prevotella intermedia)、プレボテラ・ニグレセンス(Prevotella nigrescens)、およびトレポネーマ・デンチコラ(Treponema denticola)を含む歯周病細菌による感染および損傷と関連していた。 エスコートタンパク質の抗体ターゲティングは、ウイルス感染に直接または間接的に関連する疾患の罹患または死亡を予防または改善するためにもまた適用を有しうる。例には、呼吸器ウイルス感染(例えば、RSV、インフルエンザ、ライノウイルス、HMPVまたは小児におけるアデノウイルス関連喘息)に関連するか、またはトリガーされる喘息または喘鳴が含まれる。 同様に、エスコートタンパク質のターゲティングは、感染に関連する炎症性疾患(関節リウマチ、炎症性腸疾患、肝炎)および/または初回損傷後の不適切な修復に関連する線維性疾患を含む、他のウイルス関連疾患の損傷を最小限にすること(またはその後の修復を高めること)に有用性をもちうる。特定の例として、HHV−6、MSRV、麻疹ウイルス、およびEBVは、それぞれ多発性硬化症(MS)の発生および再発に関連していた。したがって、Tsg101の治療ターゲティングは、MSまたはMS介在性罹患もしくは死亡の発生、重症化または頻発の予防に有用でありうる。 実際に、本発明のエスコートタンパク質結合戦略は、ウイルスの性質または特性に依存せずにウイルス性疾患の阻害に適用することができる。この点に関して本出願者らは、説明される事柄が、最終的にウイルス感染を阻止することに価値がありうるものの、ウイルス感染の阻害法ではないことを詳細に述べている。それよりも、これは、ウイルス性疾患を阻害または予防する方法である。治療剤のターゲットがウイルスではなく、ウイルスが感染細胞から脱出するために依存するエスコートタンパク質であることから、ウイルス性疾患に関連する症状および状態は、そのウイルスの性質および特性に依存せずに予防される。したがって、この戦略は、ヒト、類人猿ならびにイヌおよびネコなどの獣医学的対象だけではなく、ブタおよびウシなどの商業動物を含む、哺乳類個体の処置に有効なはずである。下記のような、7種類の認められたクラスのウイルスの全てのメンバーは、この処置方法に感受性のはずである。 ウイルス感染に関連する罹患および死亡と戦う潜在的に新しい方法を提供する。ウイルスの出芽に特異的に関連するエスコートタンパク質が細胞表面に局在(露出)するときに、そのエスコートタンパク質の結合によりウイルスの出芽を阻害することによって、感染細胞からのウイルスの脱出(故に疾患の出現)が予防される。 哺乳動物におけるウイルス性疾患を阻害する方法であって、該ウイルス性疾患の原因であるウイルス因子のウイルス出芽に関連する少なくとも一つのエスコートタンパク質と結合する少なくとも一つの抗体の有効量を該哺乳動物に提供することを含む方法。 少なくとも一つの抗体が、TSG101(aka VPS23)、NEDD4、VPS28、VPS28p、STP22、VPS37C、Aip1(aka Alix)、Hrs、Vps4BおよびALG2からなる群より選択されるエスコートタンパク質に結合する、請求項1記載の方法。 少なくとも一つの第2のエスコートタンパク質に結合する少なくとも一つの第2の抗体が、哺乳動物に提供される、請求項1記載の方法。 抗体の有効な循環力価を提供するために十分な量の該抗体を哺乳動物に注射することによって、該抗体が該哺乳動物に提供される、請求項1記載の方法。 哺乳動物において免疫応答を生成する抗体を誘導する因子を該哺乳動物に接種することによって、抗体が哺乳動物に提供され、該応答により生成される抗体がエスコートタンパク質に結合する、請求項1記載の方法。 ウイルス性疾患に関連する症状が発生するのを予防するために、抗体が哺乳動物に予防的に提供される、請求項1記載の方法。 哺乳動物においてウイルス性疾患を誘導するウイルスの供給源への該哺乳動物の曝露に関連して、抗体が該哺乳動物に提供される、請求項1記載の方法。 哺乳動物がヒトである、請求項1記載の方法。 哺乳動物が、ブタ、ヒツジ、ウシ、ウマおよびヤギからなる群より選択される商業動物である、請求項1記載の方法。 抗体が、ヒトへの治療的投与に許容されるように改変されたモノクローナル抗体である、請求項1記載の方法。 哺乳動物に投与した場合に、該哺乳動物のウイルス感染細胞表面でのウイルス出芽と共に該哺乳動物に存在するエスコートタンパク質に結合する抗体の循環力価を該哺乳動物に提供する治療用組成物であって、該エスコートタンパク質への該抗体の結合が該ウイルス出芽を阻害する治療用組成物。 エスコートタンパク質に結合する抗体の有効量を含む、請求項11記載の組成物。 哺乳動物に投与した場合に、該哺乳動物に抗体生成免疫応答を誘導する免疫原の有効量を含む組成物であって、そのように発現した該抗体が、エスコートタンパク質に結合する、請求項11記載の組成物。 抗体がモノクローナル抗体である、請求項11記載の組成物。 組成物が哺乳動物に複数の抗体を有効量で提供し、該抗体のそれぞれが、異なるエスコート複合体に結合する、請求項11記載の組成物。 抗体が、少なくとも二つのエスコートタンパク質に結合する、請求項11記載の組成物。 エスコートタンパク質が、TSG101(aka VPS23)、NEDD4、VPS28、VPS28p、STP22、VPS37C、Aip1(aka Alix)、Hrs、Vps4BおよびALG2からなる群より選択される、請求項11記載の組成物。 本発明は、Tsg101などのエスコートタンパク質に対する抗体を哺乳動物ホストに提供することによる、ウイルス性疾患の阻害を提供する。これらのタンパク質は、細胞表面に出現する故に、それに対する循環抗体により結合されうる。細胞表面のエスコートタンパク質と結合することによって、ウイルス粒子の出芽は阻害される。ウイルスは、最初の細胞に感染するが、その細胞から脱出して身体全般に感染することはできない。


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