生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_香味又は香気の劣化抑制剤
出願番号:2009523618
年次:2014
IPC分類:C11B 9/00,A61K 8/97,A61Q 11/00,A61Q 13/00,A23L 1/22,A23L 1/221,A23L 1/226


特許情報キャッシュ

有馬 剛 増田 秀樹 JP 5624764 特許公報(B2) 20141003 2009523618 20080710 香味又は香気の劣化抑制剤 小川香料株式会社 591011410 結田 純次 100127926 竹林 則幸 100140132 新井 信輔 100106769 有馬 剛 増田 秀樹 JP 2007183923 20070713 20141112 C11B 9/00 20060101AFI20141023BHJP A61K 8/97 20060101ALI20141023BHJP A61Q 11/00 20060101ALI20141023BHJP A61Q 13/00 20060101ALI20141023BHJP A23L 1/22 20060101ALI20141023BHJP A23L 1/221 20060101ALI20141023BHJP A23L 1/226 20060101ALI20141023BHJP JPC11B9/00 ZC11B9/00 JA61K8/97A61Q11/00A61Q13/00 102A23L1/22 ZA23L1/221 ZA23L1/226 B C11B1/00〜C11B15/00 A23L1/00〜A23L1/48 A61K8/00〜A61K8/99 A61Q11/00〜A61Q13/00 JSTPlus(JDreamIII) JST7580(JDreamIII) 特開平05−041970(JP,A) 特開平06−247959(JP,A) 特開平07−303450(JP,A) 特開昭62−294032(JP,A) 特開2002−095415(JP,A) 特開2006−001909(JP,A) 特開2002−338990(JP,A) 特開2004−018613(JP,A) 特開2003−096486(JP,A) 特開2004−016061(JP,A) 特開2002−000244(JP,A) 特開2007−319140(JP,A) 特開2007−006758(JP,A) 特開2004−018756(JP,A) 特開2004−016059(JP,A) 特開2006−036980(JP,A) 特開2003−038144(JP,A) 高砂香料時報,,復刊第133号,,P.6〜P.14 日本農芸化学会2007年度(平成19年度)大会講演要旨集 (2007.03.05) P.166, 3A06p06,P.166, 3A06p06 18 JP2008062449 20080710 WO2009011271 20090122 19 20110523 安藤 達也 本発明は、日常生活において人が口に入れるもの、例えば飲料や食品あるいは歯磨き剤、口臭防止剤のような口腔衛生剤あるいは経口的に服用する医薬品(以下併せて「経口組成物」と称する)、香料、香粧品等に広く適用することができる香味又は香気の劣化抑制剤および香味又は香気劣化抑制方法に関するものである。 一般に飲料や食品等の味と香気は食欲の増進や減退に大きく影響するため、その香味は各種栄養成分と同様に食生活において重要な要素と考えられる。また、化粧品や石けん、シャンプー等のトイレタリー製品に付された香気はその基材臭をマスクすると共に、使用者や周囲の人に快い感覚を与え、化粧品等における重要な要素となっている。 しかしながら、飲食品、化粧品等の香味、香気成分は不安定なものが多く、酸素、光、熱等により徐々に劣化し、製造、流通、保存等の各段階で本来の香味、香気の消失、もしくは異味異臭(劣化臭)が発生することもよく知られている。 シトラールは、レモン様香気、香味を有し、飲食品や化粧品等の製品にシトラス感、フレッシュ感を付与する重要な成分である。酸性条件下ではシトラールは環化、酸化、水和、異性化等の反応を起こし、種々のオフフレーバー成分を生成することが知られている〔Peter Schieberle and Werner Grosch; J. Agric. Food Chem., Vol.36, 797-800(1988)〕。 オフフレーバー成分の中でもp−メチルアセトフェノン及びp−クレゾールは特に強い劣化臭を有しており、製品の著しい品質低下を招く。 従来、こうした香味、香気の劣化を抑制するために、アスコルビン酸等各種の酸化防止剤や光劣化防止剤の添加が提唱されている(非特許文献1参照)。 シトラールの劣化抑制に関してはロズマリン酸、シソ、ペパーミントといった植物抽出物等を添加する方法が開示されている(特許文献1〜11参照)。 また、カテキン類やテアフラビン類等茶起源の成分を添加することによるシトラールの劣化抑制方法についても報告されている(特許文献12〜14参照)。 しかしながら、飲食品や化粧品等の香味、香気の劣化は、香味、香気成分自身が酸素、光、熱等により変化することに加え、飲食品や化粧品等に含まれる油脂、たんぱく質、糖類、アミノ酸類、有機酸類等の各成分の酸化、分解、異性化、重合等の数多くの反応も関与する複合的な要因により引き起こされるものである。このため上記従来技術を用いても、なお劣化の抑制効果が不十分な場合があり、さらに効果の高い劣化抑制技術が求められていた。「特許庁公報 周知・慣用技術集(香料)第1部」1999年1月29日 p141〜147特表2002−507887号公報特開平11−137224号公報特開平11−169148号公報特開2001−346558号公報特開2002−244号公報特開2002−180081号公報特開2002−255778号公報特開2002−330741号公報特開2002−338990号公報特開2003−82384号公報特開2003−79335号公報特開2003−96486号公報特開平9−227456号公報特開2005−171116号公報 本発明が解決しようとする課題は、複雑な要因により引き起こされる飲食品や化粧品等の香味、香気の劣化に対し、従来技術よりもさらに効果の高い劣化抑制剤を提供することである。 本発明者らは、加熱によるシトラールの劣化とその抑制方法について詳細に検討した結果、茶類抽出液成分を酸化酵素で処理することによって得られる生成物がシトラール由来の非常に強い劣化臭原因物質であるp−クレゾール及びp−メチルアセトフェノンの生成抑制に顕著な効果を示すことを見出した。 すなわち、本発明は、茶類抽出液成分を酸化酵素で処理することによって得られる生成物を有効成分とする香味又は香気の劣化抑制剤である。そして、茶類抽出液成分が茶(カメリア シネンシス)の葉、茎、芽から水、極性有機溶媒又はこれらの混合物で抽出された各種溶解成分であること、茶類が不発酵茶、発酵茶、半発酵茶及び後発酵茶の茶葉、茎及び芽であること、酸化酵素がポリフェノールオキシダーゼであること、香味又は香気がシトラス調であること、そして香味又は香気がシトラールに基づくものであることを特徴とする香味又は香気の劣化抑制剤である。 また、本発明は、上記香味又は香気の劣化抑制剤を含有する香料、経口組成物、香粧品である。 さらに、本発明は、上記香味又は香気の劣化抑制剤を添加することによる香料、経口組成物又は香粧品の香味又は香気の劣化抑制方法である。 本発明の劣化抑制剤を香料や飲食品等に添加することにより、熱や光による香味、香気の劣化を抑制することができる。特にシトラールの劣化に対しては顕著な効果を有し、シトラールに由来する劣化臭原因物質であるp−クレゾール及びp−メチルアセトフェノンの生成を抑制し、シトラス調のフレッシュな香味、香気を維持できる。 また、天然物由来の食品用途向け香味・香気劣化抑制剤として現在使用されているポリフェノール主体の抗酸化物質と比べてポリフェノール含有量が低量なので、最終製品の風味に及ぼす影響が少なく、苦渋味を軽減できる。さらに、沈殿や着色の軽減もできる。抽出例1における茶抽出液酸化酵素処理物の紫外線吸収スペクトル。抽出例2における紅茶抽出物の紫外線吸収スペクトル。抽出例1における茶抽出液酸化酵素処理物のサイズ排除クロマトグラム。横軸は保持時間。縦軸は分子量。抽出例2における紅茶抽出物のサイズ排除クロマトグラム。横軸は保持時間。縦軸は分子量。標準液の較正曲線データ。横軸は保持時間。縦軸は分子量の対数値。 以下、本発明をさらに詳細に説明する。(1)原材料 本発明に使用する茶抽出液成分は、ツバキ科の常緑樹である茶(カメリア シメンシス;Camellia sinensis)の葉、茎、芽に対して、水又は極性有機溶媒を用いて抽出することによって得ることが出来る。 茶は品種、産地を問わず使用することができ、生茶葉又は飲料用として前処理を施した茶葉(不発酵茶、半発酵茶、発酵茶、後発酵茶)のいずれも利用してもよい。 また、抽出に用いる有機溶媒は含水物であっても良く、極性有機溶媒としては、アルコール、アセトン、酢酸エチル等が挙げられる。中でも人体への安全性と取扱易さの点から水またはエタノール、プロパノール、ブタノールのような炭素数2〜4の脂肪族アルコールが好ましく、特に水又はエタノール又はこれらの混合物(1〜95%のエタノール水溶液)が望ましい。抽出に用いる溶媒の量は任意に選択できるが、一般には上記原材料1重量部に対し溶媒量2〜200重量部を使用する。(2)抽出方法 抽出方法としては、溶媒の種類、量等により種々の方法を採用することができる。例えば前記原材料を溶媒中に入れ、浸漬法又は加熱還流法で抽出することができる。なお浸漬法による場合は加熱条件下、室温又は冷却条件下のいずれであってもよい。 また抽出成分の収率の向上や抽出後の分離精製工程を効率よく行うために、抽出中、もしくは抽出後の溶液に対してペクチナーゼ、セルラーゼ、タンナーゼなどの加水分解酵素を用いてもよい。 次いで、溶媒に不溶な残渣を除去して抽出液を得るが、残渣除去方法としては遠心分離、濾過、圧搾等の各種固液分離手段を用いることができる。(3)酸化酵素処理 本発明に適用する酸化酵素としてポリフェノールオキシダーゼやペルオキシダーゼなどを挙げることができ、ポリフェノールオキシダーゼの利用が好適である。 具体的には、ラッカーゼ(EC 1.10.3.2)、カテコラーゼ(EC 1.10.3.1)、チロシナーゼ(EC1.14.18.1)などが挙げられ、これらをそれぞれ単独で又は2種以上を併用することができる。これらの酵素の由来については特に制限は無く、例えば茶類をはじめとする各種植物由来、動物由来、細菌由来のものが挙げることができる。 これらの中で、特にラッカーゼは産業用酵素としての汎用性、実績もあり、その酸化能も高いため好ましく使用できる。例えば市販されている「ラッカーゼ ダイワ Y120(商品名)」(大和化成株式会社製)や「Denilite II S(商品名)」(ノボザイムズ ジャパン株式会社製)など使用することができる。また、酵素は必ずしも精製する必要はなく、粗酵素の状態でも使用できる。 酵素の使用量に関しては、使用する酵素量を、有効な酵素タンパク質の量で換算した場合、茶抽出液中の固形分100gに対して0.001〜5gであり、好ましくは0.01〜0.5gである。 酵素処理における反応温度は約0〜90℃、好ましくは約25〜75℃の範囲で、反応時間は約5分〜48時間、好ましくは約10分〜6時間作用させる方法を例示することができる。 また、酵素処理後は、50%以上エタノール水溶液中で30分間以上、加熱還流して酵素を失活処理することが好ましい。(4)精製処理 上記酸化酵素処理液は、さらに脱色、脱臭等の精製処理を施すなどして利用することも可能である。精製処理には活性炭、アルミナ、シリカゲルや多孔性のスチレン−ジビニルベンゼン共重合体からなる合成樹脂吸着剤、メタクリル酸エステル系多孔性重合樹脂、ゲル型合成吸着剤などが使用できる。 精製用の合成樹脂吸着剤としては、例えば三菱化学株式会社製「ダイヤイオンHP−20(商品名)」、「ダイヤイオンSP−70(商品名)」やオルガノ株式会社製「アンバーライトXAD−2(商品名)」、アマシャム ファルマシア バイオテク株式会社製「セファデックスLH−20(商品名)」などが使用できる。また、以上の群から選ばれる1種または2種以上の処理を組み合わせてもよい。(5)製剤化 上記酸化酵素処理液もしくはその精製物は、そのまま劣化抑制剤として飲食品等に配合できるが、以下のように調製して使用することもできる。 例えば、水、アルコール、グリセリン、プロピレングリコール等の(混合)溶剤に適当な濃度で溶解させて(具体的には、水/エタノール、水/エタノール/グリセリン、水/グリセリン等の混合溶剤)液剤とする。またはデキストリン、シュークロース、ペクチン、キチン等を加えることもでき、これらをさらに濃縮してペースト状とすることもできる。 また、各溶液に賦形剤(デキストリン等)を添加し噴霧乾燥によりパウダー状にすることも可能である。さらに上記液剤を乳化剤とともに油脂等に添加して分散させることにより、油溶性の液剤とすることもでき、用途に応じて種々の剤形を採用することができる。 本発明の劣化抑制剤は香料、経口組成物、香粧品等の製造過程で適宜添加することができる。 添加量については、添加対象の種類により異なるが、香料、経口組成物、香粧品等に対し、固形分換算で0.001〜100ppmの添加量が適当である。対象製品が経口組成物の場合には、本来の香味にほとんど影響を及ぼさせないという観点からは0.01〜30ppm、特に0.1〜10ppmが好ましい。 また、香味劣化抑制効果を高めるのを目的として、本発明の劣化抑制剤と遷移金属イオンを併用して用いることもでき、特に人体への安全性の観点から鉄イオンが好ましい。鉄イオンの供給源としては特に制限はなく、金属鉄、鉄塩類、ヘム鉄等を使用することができる。具体的には塩化鉄、クエン酸鉄、グルコン酸鉄、乳酸鉄、ピロリン酸鉄、硫酸鉄、ヘム鉄等を挙げることができる。 また、劣化抑制力を高めるため本発明の劣化抑制剤と一般に使用されているL−アスコルビン酸、酵素処理ルチン、エンジュ抽出物、ぶどう種子抽出物、ローズマリー抽出物、緑茶抽出物等の酸化防止剤を適宜配合し、さらに金属と基質との反応により生じる着色などを防止するためクエン酸、グルコン酸、酒石酸、フィチン酸、ピロリン酸、ポリリン酸等の金属封鎖剤と混合することも可能である。 本発明において香味とは、飲食品等の経口組成物の嗅覚で感じる香りと、口腔から鼻腔に抜けた部分で感じる風味を合わせたものをいう。香味には飲食品等の経口組成物が本来有している香味と、香料を添加することにより経口組成物に付与された香味の両方を含む。香気とは香粧品等に香料を添加することにより付された、主に嗅覚で感じる香りをいう。 本発明の劣化抑制剤は種々の香味・香気の劣化に有効であるが、好ましくはシトラス調の香味・香気の劣化に対して有効である。 特にシトラールに基づく香味・香気の劣化に対しては有効で、シトラール由来の非常に強い劣化臭原因物質であるp−メチルアセトフェノン(桂皮臭)及びp−クレゾール(薬品臭)の生成抑制に顕著な効果を有する。 本発明の劣化抑制剤は経口組成物、香料、香粧品等に特に制限なく使用できるが、具体例としては下記のものが挙げられる。 経口組成物の例としては、飲料、菓子類、油脂及び油脂加工食品、乳、乳製品、口腔衛生剤などが挙げられるが、より具体的には下記のものを挙げることができる。 飲料の例としては、コーヒー、紅茶、清涼飲料、乳酸菌飲料、無果汁飲料、果汁入り飲料、栄養ドリンクなどが挙げられ、特にシトラス系の炭酸飲料、果汁、果汁飲料、乳性飲料、茶飲料等に好適である。 菓子類の例としては、ゼリー、プリン、ババロア、キャンディー、ビスケット、クッキー、チョコレート、ケーキ類などが挙げられ、特にシトラール含有のヨーグルト、ゼリー、アイスクリーム等の冷菓、キャンディー、水飴、ガム等に好適である。 油脂及び油脂加工食品の例としては、食用油脂(動物性油脂、植物性油脂)、マーガリン、ショートニング、マヨネーズ、ドレッシング、ハードバターなど、さらに、即席(フライ)麺類、とうふの油揚(油揚、生揚、がんもどき)、揚かまぼこ、てんぷら、フライ、スナック類(ポテトチップス、揚あられ類、かりんとう、ドーナッツ)、調理冷凍食品(冷凍コロッケ、エビフライ等)などが挙げられる。 乳、乳製品等の例としては、乳として生乳、牛乳、加工乳等、乳製品としてクリーム、バター、バターオイル、濃縮ホエー、チーズ、アイスクリーム類、ヨーグルト、練乳、粉乳、濃縮乳等などが挙げられる。 口腔衛生剤の例としては、歯磨、うがい薬、口中清涼剤、口臭防止剤などが挙げられる。 香料の例としては、香料原料(精油、エッセンス、コンクリート、アブソリュート、エキストラクト、オレオレジン、レジノイド、回収フレーバー、炭酸ガス抽出物、合成香料)およびそれらを含有する香料組成物などが挙げられ、特にシトラールを含有するシトラス系香料に好適である。 香粧品の例としては、香水、化粧品、洗剤、石鹸、シャンプー、リンス、入浴剤、芳香剤等が挙げられ、特にシトラールを含有するシトラス調の香りを有する香粧品に好適である。(「特許庁公報 周知慣用技術集(香料)」参照) 以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例の記載に限定されるものではない。〔抽出例1〕 乾燥した緑茶葉100gに、水を2000g加え1時間加熱還流した。不溶物を濾過により除去した後、濾液(固形分量は1.5〜2.5%)に対してラッカーゼ(大和化成株式会社製「ラッカーゼ ダイワ Y120(商品名)」)を0.04g添加し、55℃で4時間反応させた。 この酵素処理溶液を濃縮した後、95%エタノール溶液を300g添加し30分間、加熱還流し、酵素失活処理を行った。 溶液を−15℃で冷却後、不溶物を濾過により除去した後、減圧濃縮、凍結乾燥を行い、濃暗褐色の粉末16.9g(以下「茶抽出液酸化酵素処理物」と呼ぶ)を得た。 この抽出物の物性は以下のとおりである。 a)紫外線吸収スペクトルを図1に示す(測定濃度:10ppm、希釈溶剤:70%エタノール溶液)。 λmax:203nm、267nm b)溶解性:水に可溶、50〜70%エタノールに易溶、エタノールに不溶〔抽出例2〕 紅茶葉50gに50%エタノール水溶液500gを加え、1時間加熱還流した。不溶物を濾過により除去した後、濾液を減圧濃縮、凍結乾燥し褐色の粉末(以下「紅茶抽出物」という)15.1gを得た。 この抽出物の物性は以下のとおりである。 a)紫外線吸収スペクトルを図2に示す(測定濃度:10ppm、希釈溶剤:70%エタノール溶液)。 λmax:205nm、273nm b)溶解性:水に可溶、50〜70%エタノールに易溶、エタノールに不溶 試験例および実施例において、香味・香気劣化抑制剤として現在使用されている抗酸化物質である以下の試薬、天然抽出物を使用した。 1)L−アスコルビン酸: ナカライテスク(株)製のL(+)−アスコルビン酸を使用した。 2)ルチン: ナカライテスク(株)製の「α−GルチンP(商品名)」を使用した。 3)クロロゲン酸: 和光純薬(株)製のクロロゲン酸を使用した。 4)緑茶抽出物: 三井農林(株)製の「ポリフェノンKN(商品名)」を使用した。 5)ローズマリー抽出物: 三菱化学フーズ(株)製の「RMキーパーSF(商品名)」を使用した。 6)ブドウ種子抽出物: キッコーマン(株)製の「グラヴィノール−F(商品名)」を使用した。〔試験例1〕 上記の「茶抽出液酸化酵素処理物」をレモン風味飲料に添加し、p−クレゾール、p−メチルアセトフェノンの生成抑制効果を検討した。 砂糖100g、クエン酸1g、シトラールを含有するレモン香料1.5g、及び本発明品1gを50%エタノール水溶液100gに溶解したものを1g添加し、精製水で全量を1000gに調整した。 同様に「L−アスコルビン酸」、「ルチン」、「クロロゲン酸」、「ローズマリー抽出物」、「ブドウ種子抽出物」、「緑茶抽出物」、及び抽出例2の「紅茶抽出物」の濃度をそれぞれ2ppmとなるように添加し、試料を調製した。この溶液を70℃にて10分間殺菌後、缶に充填しレモン風味飲料を作成した。 50℃にて7日間、恒温槽中で保管した。各レモン風味飲料中のp−クレゾール及びp−メチルアセトフェノンの生成量を高速液体クロマトグラフィーにて測定した。 表1にそれぞれの試料のp−クレゾール、p−メチルアセトフェノンの生成量を、無添加50℃、7日間保管品でのp−クレゾール、p−メチルアセトフェノンの生成量を100として相対値で示した。〔試験例2〕 試験例1のレモン風味飲料について、習熟したパネル10名にて官能評価した。対照レモン風味飲料として本発明の茶抽出液酸化酵素処理物あるいは酸化防止剤無添加の冷蔵保管品(評価点:1点に設定)と、本発明の茶抽出液酸化酵素処理物あるいは酸化防止剤無添加の50℃、7日間保管品(評価点:5点に設定)を使用し、各レモン風味飲料の香味の劣化度を評価した。その結果を表1に示す。 なお、表1の官能評価平均点は以下の基準で採点した各パネルの平均値である。 採点基準は、異味及び異臭(p−クレゾール様(薬品臭)、p−メチルアセトフェノン様(桂皮様))に関し以下の評価基準による。 非常に強く感じる:5点 強く感じる :4点 感じる :3点 若干感じる :2点 感じない :1点 表1により、本発明の茶抽出液酸化酵素処理物をレモン風味飲料に添加することにより、L−アスコルビン酸、ルチン、クロロゲン酸、ローズマリー抽出物、ブドウ種子抽出物、緑茶抽出物、紅茶抽出物の添加品と比べ、p−クレゾール及びp−メチルアセトフェノンの生成量が顕著に低下することがわかった。 表1から明らかなように、茶抽出液酸化酵素処理物をレモン風味飲料に添加することにより、p−クレゾール様及びp−メチルアセトフェノン様の劣化臭を抑制できた。抑制効果はL−アスコルビン酸、ルチン、クロロゲン酸、ブドウ種子抽出物、緑茶抽出物、紅茶抽出物よりも顕著に高かった。〔試験例3〕 分子量分布測定 抽出例1の「茶抽出液酸化酵素処理物」および抽出例2の「紅茶抽出物」について、サイズ排除クロマトグラフィーにて分子量分布測定を行った。 「茶抽出液酸化酵素処理物」および「紅茶抽出物」のクロマトグラムをそれぞれ図3および図4に示す。また、分子量分布の測定結果を表2に示す。 測定機器と測定条件は以下のとおりである。 機器:Waters 2690 カラム:Asahipak GS−320+620+220(7.6mm i.d. ×10mm)+(7.6mm i.d. ×500mm)×2 溶離液:蒸留水+0.05%アジ化ナトリウム 流速:1mL/min 検出器:RI (Refractive Index) 検出器、PDA (Photo Diode Array) 検出器 注入量:100μL カラム温度:40℃ 分子量分布は下記の標準溶液を用いて作成した較正曲線(図5)から求めた。 標準液1:プルラン水溶液(プルランMW 800000、100000、20000、6000、ブドウ糖の各0.01%混合溶液) (Polymer Laboratories社製) 標準液2:ポリエチレングリコール水溶液(PEG MW 10000、4000、2000、600、ブドウ糖の各0.01%混合溶液) (Shodex社製) 表2から、茶抽出液酸化酵素処理物は紅茶抽出物に比べ、分子量10000以上の成分がかなり多く含まれていることがわかった。〔試験例4〕 総ポリフェノール含量の測定 本発明の茶抽出液酸化酵素処理物と既存の抗酸化素材の総ポリフェノール含量を、Folin-Denis法を用いて以下のとおり測定した。 この方法は、タンニン様化合物のフェノール性水酸基がアルカリ溶液中でモリブテン酸を還元することで生じる青色を比色定量するものである。 各試料を純水で50ppm、25ppm、12.5ppm、6.25ppmになるように調整したものを100μl用意し、そこに下記のFolin-Denis試薬を100μlずつ加えて2分間攪拌した後3分間室温にて静置した。次いで、10%(W/V)炭酸水素ナトリウム溶液を100μlずつ加え、2分間攪拌してから暗所で1時間反応させた。さらに、マイクロプレートリーダーで655nmの吸光度を測定し、タンニン酸を用いた検量線により各試料のポリフェノール濃度を算出した。 Folin-Denis試薬の調製: タングステン酸ナトリウム100g、リンモリブテン酸20g、リン酸50ml、水750mlを混合し、2時間、加熱還流し、放冷後、水を加え全量を1000mlとする。結果を表3に示す。 表1より、茶抽出液酸化酵素処理物はレモン風味飲料の劣化抑制に最も高い効果を示すことが明らかになったが、表3より、茶抽出液酸化酵素処理物中のポリフェノール含量は既存の抗酸化剤中のそれと比較すると、低いことがわかった。つまり、本発明の茶抽出液酸化酵素処理物は、既存の香味劣化抑制剤のようなポリフェノール主体の抗酸化作用とは異なるメカニズムによって香味又は香気の劣化抑制作用を発揮するものと推測される。〔試験例5〕 (100%オレンジ飲料) バレンシアオレンジ5倍濃縮果汁40gに蒸留水160gを添加し混合した。これに抽出例1の茶抽出液酸化酵素処理物を2ppmとなるように添加し、ガラス容器に充填後、殺菌(70℃、10分間)し、100%オレンジ飲料を作製した。得られた100%オレンジ飲料は、習熟したパネルによる評価の結果、異味異臭がなく良好な風味であった。 同様に「L−アスコルビン酸」、「ルチン」、「クロロゲン酸」、「ローズマリー抽出物」、「ブドウ種子抽出物」、「緑茶抽出物」、及び抽出例2の「紅茶抽出物」の濃度をそれぞれ2ppmとなるように添加し、試料を調製した。これらの試料を熱虐待のため50℃にて7日間、恒温槽中で保管した。 熱虐待後、習熟したパネル10名にて官能評価した。対照100%オレンジ飲料として本発明の茶抽出液酸化酵素処理物あるいは酸化防止剤無添加の冷蔵保管品(評価点:1点に設定)と、本発明の茶抽出液酸化酵素処理物あるいは酸化防止剤無添加の50℃、7日間保管品(評価点:5点に設定)を使用し、各100%オレンジ飲料の香味の劣化度を評価した。その結果を表4に示す。 なお、表4の官能評価平均点は以下の基準で採点した各パネルの平均値である。採点基準は、異味及び異臭(イモ臭、スパイス臭)に関し以下の評価基準による。 非常に強く感じる:5点 強く感じる :4点 感じる :3点 若干感じる :2点 感じない :1点 表4から明らかなように、茶抽出液酸化酵素処理物を100%オレンジ飲料に添加することにより、イモ臭及びスパイス臭の劣化臭を抑制できた。抑制効果はL−アスコルビン酸、ルチン、クロロゲン酸、ローズマリー抽出物、ブドウ種子抽出物、緑茶抽出物、紅茶抽出物よりも顕著に高かった。〔試験例6〕 (殺菌乳酸菌飲料) 発酵乳原液(全固形分54%、無脂乳固形分4%)20gに蒸留水を加えて合計100gとなるように希釈した。さらにレモン香料0.1g及び抽出例1の茶抽出液酸化酵素処理物を2ppmとなるように添加し、ガラス容器に充填後、殺菌(70℃、10分間)し、殺菌乳酸菌飲料を作製した。こうして得られた殺菌乳酸菌飲料は、習熟したパネルによる評価の結果、異味異臭がなく良好な風味であった。 同様に「L−アスコルビン酸」、「ルチン」、「クロロゲン酸」、「ローズマリー抽出物」、「ブドウ種子抽出物」、「緑茶抽出物」、及び抽出例2の「紅茶抽出物」の濃度をそれぞれ2ppmとなるように添加し、試料を調製した。 これらの試料を光虐待のため15000ルクス、5℃、12時間、光安定性試験器の中で光(蛍光灯)照射を行った後、習熟したパネル10名にて官能評価した。対照試料として本発明の茶抽出液酸化酵素処理物あるいは酸化防止剤無添加の蛍光灯未照射品(評価点:1点に設定)と、本発明の茶抽出液酸化酵素処理物あるいは酸化防止剤無添加の15000ルクス、5℃、7日間蛍光灯照射品(評価点:5点に設定)を使用し、各殺菌乳酸菌飲料の香味の劣化度を評価した。その結果を表5に示す。 なお、表5の官能評価平均点は以下の基準で採点した各パネルの平均値である。 採点基準は、異味及び異臭(漬物臭、金属臭)に関し以下の評価基準による。 非常に強く感じる:5点 強く感じる :4点 感じる :3点 若干感じる :2点 感じない :1点 表5から明らかなように、茶抽出液酸化酵素処理物を殺菌乳酸菌飲料に添加することにより、漬物臭及び金属臭の劣化臭を抑制できた。抑制効果はL−アスコルビン酸、ルチン、クロロゲン酸、ローズマリー抽出物、ブドウ種子抽出物、緑茶抽出物、紅茶抽出物よりも顕著に高かった。〔試験例7〕 (ガム) ガムベース50gにハーブ香料0.5gと抽出例1の茶抽出液酸化酵素処理物を5ppmとなるように添加した後ニーダーを使用して練り、成型後完成させた。こうして得られたガムの風味は、習熟したパネルによる評価の結果、異味異臭を感じさせることのない良好なものであった。 同様に「L−アスコルビン酸」、「ルチン」、「クロロゲン酸」、「ローズマリー抽出物」、「ブドウ種子抽出物」、「緑茶抽出物」、及び抽出例2の「紅茶抽出物」の濃度をそれぞれ5ppmとなるように添加し、試料を調製した。 これらの試料を光虐待のため15000ルクス、5℃、7日間、光安定性試験器の中で光(蛍光灯)照射を行った後、習熟したパネル10名にて官能評価した。対照試料として本発明の茶抽出液酸化酵素処理物あるいは酸化防止剤無添加の蛍光灯未照射品(評価点:1点に設定)と、本発明の茶抽出液酸化酵素処理物あるいは酸化防止剤無添加の5℃、15000ルクス、7日間蛍光灯照射品(評価点:5点に設定)を使用し、各試料の香味の劣化度を評価した。その結果を表6に示す。 なお、表6の官能評価平均点は以下の基準で採点した各パネルの平均値である。 採点基準は、異味及び異臭(エグ味、ゴム臭)に関し以下の評価基準による。 非常に強く感じる:5点 強く感じる :4点 感じる :3点 若干感じる :2点 感じない :1点 表6から明らかなように、茶抽出液酸化酵素処理物をガムに添加することにより、エグ味、ゴム臭の劣化臭を抑制できた。抑制効果はL−アスコルビン酸、ルチン、クロロゲン酸、ローズマリー抽出物、ブドウ種子抽出物、緑茶抽出物、紅茶抽出物よりも顕著に高かった。〔試験例8〕 (和風ドレッシング) 食酢150g、果糖ブドウ糖液糖50g、食塩30g、グルタミン酸ナトリウム2g、香辛料1g、増粘剤2g、乳化剤2g、コーン油400g、水362g、ユズ香料1gを混合し、攪拌均一化した。さらに抽出例1の茶抽出液酸化酵素処理物を2ppmとなるように添加し、ガラス容器に充填後、殺菌(70℃、10分間)し、和風ドレッシングを作製した。こうして得られた和風ドレッシングは、習熟したパネルによる評価の結果、本来の風味を損なうことがなく良好なものであった。 同様に「L−アスコルビン酸」、「ルチン」、「クロロゲン酸」、「ローズマリー抽出物」、「ブドウ種子抽出物」、「緑茶抽出物」、及び抽出例2の「紅茶抽出物」の濃度をそれぞれ2ppmとなるように添加し、試料を調製した。 これらを熱虐待のため30℃にて10日間、恒温槽中で保管した。 習熟したパネル10名にて官能評価した。対照試料として本発明の茶抽出液酸化酵素処理物あるいは酸化防止剤無添加の冷蔵保管品(評価点:1点に設定)と、本発明の茶抽出液酸化酵素処理物あるいは酸化防止剤無添加の30℃、10日間保管品(評価点:5点に設定)を使用し、各和風ドレッシングの香味の劣化度を評価した。その結果を表7に示す。 なお、表7の官能評価平均点は以下の基準で採点した各パネルの平均値である。 採点基準は、異味及び異臭(脂劣化臭(アルデヒド様)、金属臭)に関し以下の評価基準による。 非常に強く感じる:5点 強く感じる :4点 感じる :3点 若干感じる :2点 感じない :1点 表7から明らかなように、茶抽出液酸化酵素処理物をドレッシングに添加することにより、アルデヒド様の脂劣化臭、金属臭の劣化臭を抑制できた。抑制効果はL−アスコルビン酸、ルチン、クロロゲン酸、ローズマリー抽出物、ブドウ種子抽出物、緑茶抽出物、紅茶抽出物よりも顕著に高かった。〔試験例9〕 (化粧水)以下の処方量で配合し、常法にて化粧水を作製した。1,3−ブチレングリコール 60.0gグリセリン 40.0gオレイルアルコール 1.0gPOE(20)ソルビタンモノラウリン酸エステル 5.0gPOE(15)ラウリルアルコールエーテル 5.0g95%エタノール 100.0g香料 2.0gメチルパラペン 1.0gクチナシ黄色素 0.1g茶抽出液酸化酵素処理物の1重量%/70重量%エタノール水溶液 2.0g精製水 783.9g 得られた化粧水は、習熟したパネルによる評価の結果、異臭もなく化粧水本来の香りが保持されていた。 同様に、上記処方中の本発明の茶抽出液酸化酵素処理物の代わりに「L−アスコルビン酸」、「ルチン」、「クロロゲン酸」、「ローズマリー抽出物」、「ブドウ種子抽出物」、「緑茶抽出物」、及び抽出例2の「紅茶抽出物」の濃度をそれぞれ2ppmとなるように添加し、各試料を調製した。 これらを熱虐待のため50℃にて7日間、恒温槽中で保管した。 習熟したパネル10名にて官能評価した。対照試料として本発明の茶抽出液酸化酵素処理物あるいは酸化防止剤無添加の冷蔵保管品(評価点:1点に設定)と、本発明の茶抽出液酸化酵素処理物あるいは酸化防止剤無添加の50℃、7日間保管品(評価点:5点に設定)を使用し、各化粧水の香りの劣化度を評価した。その結果を表8に示す。 なお、表8の官能評価平均点は以下の基準で採点した各パネルの平均値である。採点基準は、異臭(薬品臭、金属臭)に関し以下の評価基準による。 非常に強く感じる:5点 強く感じる :4点 感じる :3点 若干感じる :2点 感じない :1点表8から明らかなように、茶抽出液酸化酵素処理物を化粧水に添加することにより、薬品臭、金属臭の劣化臭を抑制できた。抑制効果はL−アスコルビン酸、ルチン、クロロゲン酸、ローズマリー抽出物、ブドウ種子抽出物、緑茶抽出物、紅茶抽出物よりも顕著に高かった。〔実施例1〕 (バニラエキストラクト) バニラビーンズ10gにエタノール35gと蒸留水65gを添加し、室温暗所で4週間静置抽出した。この溶液をろ過することにより、90gのバニラエキストラクトを得た。このエキストラクト90gに茶抽出液酸化酵素処理物の1重量%/70重量%エタノール水溶液10gを添加し、本発明のバニラエキストラクトを完成させた。得られたバニラエキストラクトは、習熟したパネルによる評価の結果、異味異臭がなくバニラ本来の香味が保持されていた。〔実施例2〕 (キャンディー) 水飴141g、グラニュー糖180g、水60gを混合した後、155℃まで加熱した。その後120℃まで冷却し、クエン酸6g、シトラス香料0.6g、茶抽出液酸化酵素処理物の1重量%/70重量%エタノール水溶液0.1gを添加して成型、冷却後完成させた。得られたキャンディーは、習熟したパネルによる評価の結果、異味異臭がなく良好な風味が保持されていた。〔実施例3〕 (マーガリン) ショートニング55g、コーン油15g、30%ベータカロチン液0.1g、レシチン0.2g、乳化剤0.3gを混合し、湯煎にて80℃、10分間殺菌した。一方、水27.9g、食塩0.5g、脱脂粉乳1g、茶抽出液酸化酵素処理物の1重量%/70重量%エタノール水溶液0.1gを混ぜ湯煎で85℃まで加熱した。かくして得られたコーン油混合物と脱脂粉乳混合物とをそれぞれ50〜60℃まで冷却した後、混合し、氷水にて冷却しながらディスパーを用いて1,500rpmにて5分間攪拌した。その後水にて冷却しながらゴムベラで全体をよく練ってから(10℃まで冷却)、容器に移し一晩冷蔵庫で熟成させマーガリンを完成させた。得られたマーガリンは、習熟したパネルによる評価の結果、異味異臭がなくマーガリン本来の香味が保持されていた。〔実施例4〕 (口腔洗浄剤)下記処方量で配合し、常法にて口腔洗浄剤を作製した。エタノール 15.00gグリセリン 10.00gポリオキシエチレン 2.00gサッカリンナトリウム 0.15g安息香酸ナトリウム 0.05g香料 0.30gリン酸水素二ナトリウム 0.10g着色剤 0.20g茶抽出液酸化酵素処理物の1重量%/70重量%エタノール水溶液 0.10g精製水 72.10g〔実施例5〕 (アップルフレーバー) 以下に示す処方により常法にてアップルフレーバーを作製した。 ギ酸イソアミル 100g 酢酸イソアミル 100g ヘキサン酸イソアミル 60g オクタン酸イソアミル 10g ゲラニオール 10g エタノール 430g 蒸留水 290g 上記アップルフレーバー100gに茶抽出液酸化酵素処理物の1重量%/70重量%エタノール水溶液2.0gを添加し、本発明のアップルフレーバーを完成した。得られたアップルフレーバーは習熟したパネルによる評価の結果、異味異臭がなく、アップルフレーバーの香味が保持されていた。〔実施例6〕 (グレープフレーバー) 以下に示す処方により常法にてグレープフレーバーを作製した。 イソ吉草酸イソアミル 10g シンナミルアルコール 5g 酢酸エチル 60g 酪酸エチル 15g 3−メチル−3−フェニルグリシド酸エチル 10g ヘプタン酸エチル 8g アントラニル酸メチル 130g サリチル酸メチル 15g エタノール 373g 蒸留水 374g 上記グレープフレーバー100gに茶抽出液酸化酵素処理物の1重量%/70重量%エタノール水溶液1.0gを添加し、本発明のグレープフレーバーを完成した。得られたグレープフレーバーは習熟したパネルによる評価の結果、異味異臭がなく、グレープフレーバーの香味が保持されていた。 本発明の茶抽出液酸化酵素処理物は少ない添加量で熱や光による香味、香気の劣化を抑制することができ、特にシトラールの劣化に対して顕著な抑制効果を有しているので、飲食品や化粧品等に幅広く利用可能である。 不発酵茶抽出液成分をラッカーゼで処理することによって得られる生成物を有効成分とする香味又は香気の劣化抑制剤。 不発酵茶抽出液成分にラッカーゼを添加して処理する(但し没食子酸の添加を除く)ことによって得られる生成物を有効成分とする香味又は香気の劣化抑制剤。 不発酵茶抽出液成分が茶(カメリア シネンシス)の葉、茎、芽から水、極性有機溶媒又はこれらの混合物で抽出された各種溶解成分である請求項1又は2記載の香味又は香気の劣化抑制剤。 不発酵茶が緑茶葉である請求項1〜3のいずれかの項に記載の香味又は香気の劣化抑制剤。 香味又は香気がシトラス調である請求項1〜4のいずれかの項に記載の香味又は香気の劣化抑制剤。 香味又は香気がシトラールに基づくものである請求項1〜5のいずれかの項に記載の香味又は香気の劣化抑制剤。 ラッカーゼの使用量が不発酵茶抽出液中の固形分100gに対して0.01〜0.5gであり、ラッカーゼ処理における反応温度が25〜75℃の範囲で反応時間が10分〜6時間である請求項1〜6のいずれかの項に記載の香味又は香気の劣化抑制剤。 ラッカーゼ処理における反応温度が55℃で反応時間が4時間である請求項1〜7に記載の香味又は香気の劣化抑制剤。 請求項1、3〜8のいずれかの項に記載の香味又は香気の劣化抑制剤を含有することを特徴とする香料。 請求項2記載の香味又は香気の劣化抑制剤を含有することを特徴とする香料。 請求項1〜8のいずれかの項に記載の香味又は香気の劣化抑制剤を含有することを特徴とする香粧品。 請求項9又は10記載の香料を含有することを特徴とする香粧品。 請求項1〜8のいずれかの項に記載の香味又は香気の劣化抑制剤を添加することによる香料、経口組成物又は香粧品の香味又は香気の劣化抑制方法。 請求項1〜8のいずれかの項に記載の香味又は香気の劣化抑制剤を0.001〜100ppm添加することによる香料、経口組成物又は香粧品の香味又は香気の劣化抑制方法。 香味又は香気がシトラス調である請求項13又は14記載の香味又は香気の劣化抑制方法。 香味又は香気がシトラールに基づくものである請求項13〜15のいずれかの項に記載の香味又は香気の劣化抑制方法。 熱又は光による劣化臭の生成を抑制することを特徴とする請求項16記載の香味又は香気の劣化抑制方法。 劣化臭がp−クレゾール又はp−メチルアセトフェノンによる劣化臭である請求項17記載の香味又は香気の劣化抑制方法。


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