タイトル: | 公表特許公報(A)_光分配ファイバのための分散および非線形補償器 |
出願番号: | 2009513470 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | H01S 1/02,G02B 6/032,G02B 6/02,G02B 6/00,G01N 21/35 |
フィシュテル、グレッグ スチャ、グレッグ ジムダルズ、デイビッド ウィリアムソン、スティーブン JP 2009540546 公表特許公報(A) 20091119 2009513470 20070601 光分配ファイバのための分散および非線形補償器 ピコメトリクス、エルエルシー 505409166 特許業務法人浅村特許事務所 110000855 浅村 皓 100066692 浅村 肇 100072040 清水 邦明 100091339 林 鉐三 100094673 大日方 和幸 100159525 畑中 孝之 100138346 岩見 晶啓 100147658 フィシュテル、グレッグ スチャ、グレッグ ジムダルズ、デイビッド ウィリアムソン、スティーブン US 60/810,440 20060602 H01S 1/02 20060101AFI20091023BHJP G02B 6/032 20060101ALI20091023BHJP G02B 6/02 20060101ALI20091023BHJP G02B 6/00 20060101ALI20091023BHJP G01N 21/35 20060101ALN20091023BHJP JPH01S1/02G02B6/20 ZG02B6/16G02B6/00 376ZG01N21/35 Z AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MT,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SV,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW US2007070211 20070601 WO2007143542 20071213 14 20081226 2G059 2H150 2G059AA01 2G059EE01 2G059EE02 2G059EE12 2G059GG01 2G059GG04 2G059GG08 2G059HH01 2G059JJ05 2G059JJ17 2G059JJ19 2G059JJ20 2G059KK01 2H150AB03 2H150AC17 2H150AE03 2H150AE33 2H150AE40 2H150AF28 2H150AG02 2H150AG04 2H150AG13 2H150AH38関連出願の相互参照 本出願は米国暫定出願、「光分配ファイバ用の分散および非線形補償器(DISPERSION AND NONLINEAR COMPENSATOR FOR OPTICAL DELIVERY FIBER)、出願番号第60/810,440号、2006年6月2日出願、の利益をクレームし、その全体をここに援用する。 本発明は光ファイバを通して送り出されるパルスの持続時間を制御するシステムに関するものである。 光源が発生させるフェムト秒範囲の超短光パルスは光ファイバ・ケーブルによりテラヘルツ発生器に転送される。テラヘルツ送信器は、短い光パルスで照射されるとテラヘルツ範囲(10GHzから50THz)の電磁放射線を発生させる材料を含む。これらの材料は主として2つの大きなカテゴリに入る。すなわち、光導電テラヘルツ発生器と、非線形光発生器とである。前者のカテゴリでは、入射光子は正孔および電子の電気キャリヤを発生させ、電気キャリヤは材料の中の電圧ポテンシャルにより加速される。電圧ポテンシャルは外部から印加し、または半導体内の表面ポテンシャルにより内部に存在し、またはデンバー(Dember)効果と呼ばれる正孔と電子の移動度の違いにより生じる。この電荷の動きは一般に、テラヘルツ範囲の1サイクルまたは半サイクルの放射線から成る電磁界を発生させる。 第2のカテゴリのテラヘルツ発生器は非線形の光学的方法を用いてテラヘルツ放射線を発生させる材料から成る。これらの材料は非線形磁化率χ(2),χ(3),χ(4)を有する。入力光パルスはこれにより式 PNL=χ(i )(E)i で記述される偏光状態を発生させる。ただし、PNLは材料の非線形偏光状態、Eは入射光パルスの電界である。 一般に、二次非線形性χ(2)を用いて、誘導された偏光振幅をレーザ・パルスの電界の振幅の2乗に比例するようにする。この方法は、起こる種々の物理的プロセスを記述する多くの名により知られている。起こることが知られている効果をいくつか挙げると、逆フランツ・ケルディッシ(Franz−Keldysh)効果、電界誘導光整流、シュタルク(Stark)効果、チェレンコフ(Cherenkov)放射などがある。以下では、これらの効果を総称して光整流と呼ぶことにする。なぜなら、科学文献では、全ての効果を含むものとしてこの用語が一般に使われているからである。 高いコントラストの100フェムト秒より短いパルスをレーザから光ファイバを用いて光発生器に送り出すには、光ファイバの分散を補償しなければならない。分散は、光パルスが光ファイバの長さを進むときに、異なる波長または色の光がファイバを異なる速度で進むために、光パルスの持続時間が長くなることである。この現象は、光ファイバに用いられるシリカの屈折率の周波数依存性およびファイバの形により生じる結果である。 屈折率とその結果の周波数依存性の物理的起源は材料構造内の共鳴である。多くの光学材料は、スペクトルの紫外線部分に1つと赤外線の中程に1つの強い共鳴吸収を有する。このため、群速度分散(GVD)は、スペクトルの紫外線部分および可視部分で正になり、スペクトルの近赤外部分で負になる。GVDは波長に関する屈折率の二次導関数に関係する。正のGVDは、長波長の光パケットが短波長の光パケットより速く光ファイバを通って進む条件である。負のGVDは逆の条件で、短波長の光パケットは長波長の光パケットより速く光ファイバを通って進む。 分散の補償に加えて、光のパワーが高いときにはファイバ内の自己位相変調を制御しなければならない。自己位相変調(SPM)は、屈折率が光ファイバまたは他の材料内で光の強さと共に増加することにより起こる効果である。ファイバが光パルスを運んでいるとき、SPMはパルス・エネルギーと時間的プロフィールとに依存する。常にそうではないが、一般にSPMはパルスの帯域幅を拡げる効果がある。SPMにより分散補償の問題は複雑になる。SPMが存在すると分散の管理は単なる線形ではなくて非線形の現象になり、システム内の各点でのパルスの強さおよび形を考慮に入れなければならない。J.V.ラッド(Rudd)の米国特許第6,320,191号に述べられているように、ファイバ分配システムが分配ファイバの前に分散補償を行う場合は特にそうである。 したがって、システム内のSPMの影響をできるだけ小さくすることが一般に好ましい。この場合は、SPMは実際には光の帯域幅を狭くするので、分配ファイバの末端での最小パルス持続時間を制限する。光のパワーが増加するに従ってこの効果は顕著になり、ファイバを通して送り出すことができる光パワーの大きさを実際的に制限する。一般に単モード・ファイバでは、この効果は帯域幅が顕著に劣化を始める前に、送り出す光パワーを数ミリワット(80MHzの繰返しで)に制限する。他方で、SPMは全体のパルス圧縮を可能にするので、そのスペクトル拡大効果を有利に用いることができる。すなわち、分散を適当に調整してSPMによる追加の帯域幅を最適に圧縮した場合は、入力パルスより短い出力パルスを得ることができる。 また、偏光感度は、光導電アンテナの性能が最適になるように考慮しまた訂正すべきの特性である。光導電アンテナ(送信器または受信器用の)の応答性およびDC光電流は入射レーザ・パルスの偏光に依存し、最大30%の偏光コントラスト比を有することがある。光ファイバが送り出す偏光はレーザ光源の偏光およびファイバ複屈折に依存する。光を遅い軸に沿って運ぶという偏光制御を行うのでなければ、複屈折の低いファイバは偏光状態をより急速に混合する。複屈折が高いほどファイバの偏光混合は少ないが、偏光を制御しなければ、速い軸と遅い軸に進むパルス・エネルギーがテラヘルツ送信器に到着する時間は異なる。偏光制御法は、コネクタへのキーの使用と、ファイバ終端での回転波長板の使用と、ストレス複屈折を発生させる能動的あるいは手動的方法の使用とを含む。 超短パルス・レーザ(USPL)光源の選択はシステムの大きさおよび重さに実質的な関係を有する。Ti:サファイア・レーザはTHzの発生および検出に一般に用いられているが、大きくて重く、また水冷する必要がある。これはTi:サファイア・レーザの非効率な多段の性質のためであり、固体レーザのダイオード・ポンピングの後に周波数逓倍を行い、最後にTi:サファイア結晶を周波数逓倍光でポンピングする必要がある。 小型のUSPL源(直接ダイオード・ポンピングを可能にする希土類ドープのファイバ・レーザまたは固体レーザなど)を用いれば、大きさおよび重さを大幅に減少させることができる。かかるシステムは水冷を必要とせず、非常に大きな壁プラグ効率を有し、またTi:サファイア・レーザよりはるかに小型で軽い。1060nm付近の波長で動作するYb:ファイバ・レーザは経済的で小型の短レーザ・パルス源として特に魅力がある。Yb:ファイバ・レーザはTi:サファイア・レーザよりはるかに高い平均パワー・レベルに達する能力も有する。Ti:サファイア・レーザは一般に最高でも1ワットの平均パワーに達するだけであるが、モードロックのYb:ファイバ・レーザはフェムト秒のパルスを発生させて、数十ワットの、更には100ワット以上の平均パワー・レベルに達することができる。 特に関心があるのは、商用のパッケージ化システムのパルス・レーザによりテラヘルツ電磁放射線を発生させることである。実験室環境などでの従来の応用では、空間を通してほとんど分散効果なしにレーザを光切換え素子に直接当てることができる。かかるシステムを商業的に用いるには、工業的に強くしまたパッケージ化するようにしなければならない。室内環境の自由空間内で伝播するレーザ・パルスは対象物または人間により偏向するので、大気効果のために劣化する。自由空間の光パルス分配は工業的環境の条件に左右されるので利用できない。 従来技術の欠点を克服するため、光ファイバを通して送り出されるパルスの持続時間を制御するシステムをここに述べる。このシステムは光パルスを送り出すよう構成された光ファイバを含む。補償器をこの光ファイバに光学的に結合して、光パルスが光ファイバを通って伝播するときに生じる光パルスの分散を補償する。光学的に誘導されたテラヘルツ装置をこの補償器に光学的に結合する。この光学的に誘導されたテラヘルツ装置はテラヘルツ放射線を送信または受信するよう構成する。一般に、補償器は光結晶ファイバまたは回折格子である。回折格子を用いる場合は、回折格子は一般にボリューム(volume)ブラッグ回折格子またはチャープド(chirped)ブラッグ回折格子である。 本発明の更なる目的、特徴、利点は、添付の図面を参照して以下の説明およびクレームを考慮すれば明らかになる。 図1はテラヘルツ電磁放射線の放射および検出システム10の概略図を示す。このシステムは、50−100MHzの繰返し率を持つ1060nmのサブ200フェムト秒パルスを作るイッテルビウムのモードロックのファイバ発振器を備えて第1のアイソレータ14に結合する光源12を含む。ファイバ・レーザ発振器は好ましい光源12であるが、他の短パルス源も用いてよい。例えば、モードロックのErドープのファイバ・レーザ、衝突パルス・モードロックの(CPM)レーザ、Ti:サファイア・レーザ、高いエネルギーに増幅されるシード・パルスから成る増幅Ti:サファイア・レーザ、モードロックのNdドープのガラス・レーザ、任意のクロム・ドープのホストに基づくモードロックのレーザ、LiCaFまたはLiSrAlFまたはLiSrGaAlFまたはメガヘルツの繰返しでフェムト秒出力パルスを作る任意のレーザ源などであるが、これらに限定されるものではない。 また、50−100MHzの繰返し率は種々の理由からテラヘルツ測定に最適であるが、光源12の繰返し率は厳密ではなく、数ヘルツから数GHzまでの任意の範囲でよい。光源12はファイバ13に結合し、ファイバ13は第1のアイソレータ14に結合する。結合方法は、突合せ結合、ファイバ・スプライシング、GRINレンズ結合、非球面レンズ結合、または任意の他の低損失結合方法でよい。 第1のアイソレータ14はファイバ増幅器16に結合する。好ましいファイバ増幅器16は20dB利得以上の1段イッテルビウム増幅器であるが、光源12の波長で動作する任意の増幅器を用いてよい。増幅器16は第2のアイソレータ18に結合し、アイソレータ18はファイバ・スプリッタ20に結合する。ファイバ・スプリッタ20は光信号を、送信器30を含む送信器アーム24と、受信器32を含む受信器アーム26との間に分割する。好ましい実施の形態では、ファイバ・スプリッタ20はパワーの50%以上を送信器アーム24に向け、最小でも数十ミリワットを受信器アーム26に向けて、全ての光構成素子損失を受けた後で0.5mWから5mWのパワーを受信器アーム26から出すようにする。 受信器アーム26は光遅延装置28を含む。これは受信器32と送信器30とに達するパルスの間のタイミングを変え、受信器32と送信器30との間に介在する対象物を通して受信器32に達する時間領域波形を特徴付けるものである。または、光遅延装置28は送信器アーム24内に置いてもよい。 送信器アーム24および受信器アーム26は偏光コントローラ34,36をそれぞれ含む。偏光コントローラ34,36の説明は米国特許第4,389,090号に書かれている。この特許全体をここに援用する。送信器アーム24および受信器アーム26は、偏光コントローラ34,36にそれぞれ光学的に結合する標準タイプまたは偏光保持タイプの標準の単モード・ファイバ38,40をそれぞれ更に含む。または、単モード・ファイバ38,40はラージ・モード・エリア(large−mode−area)光ファイバでよい。 各単モード・ファイバ38,40に結合器42,44がそれぞれ結合する。一般に、これらの結合器42,44はファイバ・スプライシング結合を用いるが、任意の適当な光結合方式を用いてよい。結合器42,44に補償器46,48がそれぞれ光学的に結合する。ここから、補償器46,48はレンズまたは直接結合方式を介して送信器30および受信器32にそれぞれ光学的に結合する。 好ましい実施の形態では、補償器46,48は中空コア光結晶ファイバ(PCF)であって、標準のファイバ内で生じた分散と逆の符号の分散を加える。または、補償器46,48は回折格子などの自由空間素子でよい。この回折格子はボリューム・ブラッグ回折格子またはチャープド・ファイバ・ブラッグ回折格子でよい。ボリューム・ブラッグ回折格子は特に魅力的である。なぜなら、配列が簡単でパワー処理能力が高く、また数十メートル(実際には数cm程度の長さ)のSMFを補償するよう製作することができるからである。ボリューム・ブラッグ回折格子は一般に反射結合構造に用いられる。しかし原理的には、透過型にも用いるよう設計し製作することができる。配列を簡単にするには透過結合構造が好ましい。補償器46,48は調整可能な補償器と共に固定の補償器でもよい。固定の補償器はPCFファイバ、ボリューム・ブラッグ回折格子、またはチャープド・ブラッグ回折格子でよい。 図4Aおよび図4Bは、送信および反射の結合構造を用いる後置補償器の例46aおよび46bをそれぞれ示す。後置補償器46aはレンズ62および回折格子64を含む。好ましくは、回折格子64はチャープド・ブラッグ・ボリューム回折格子である。レンズ62はPCFファイバ60を回折格子64に光学的に結合する。光信号66aはPCFファイバ60から出て回折格子64に入る。 図4Bは反射結合構造を用いる後置補償器46bを示す。上述と同様に、レンズ62は光ファイバ60を回折格子64に光学的に結合する。しかし図4Bが図4Aと異なるところは、逆反射体68が光信号66bを反射して、回折格子64を通して1/4波板70に、最後にビーム・スプリッタ72に戻すことである。 また、分配ファイバに対する分散補償素子の順序を変えて用いてよい。例えば、図1に戻って、補償器46,48は標準の単モード・ファイバ38,40の前に置いてもよく、または1個の補償器をスプリッタ20または光増幅器16の前に置いてもよい。設計の柔軟性および分散の調整性を高めるため、分散補償は分配ファイバのいくつかの部分の間に散在させた複数の分散補償素子を用いて行ってよい。分配ファイバのいくつかの部分は標準の単モード・ファイバでも偏波面保存ファイバでもよい。或る応用では、送信器アーム24と受信器アーム26とは異なる長さの分配ファイバを有してよい。この場合は、PCFファイバまたは他の分散補償素子の長さはそれぞれのアーム内の分配ファイバ分散を適切に補償するよう独立に製作しまた調整してよい。 100フェムト秒より短い光パルス光源12の好ましい波長は600−1000ナノメートルである。かかる波長では、優れた単モード光ファイバは正のGVDを有する。中空コア・ファイバの正確な補償特性は、複数のファイバ長さおよび材料の分散特性に適合しまた打ち消すように構成してよい。例えば、1060nmで、クリスタル・ファイバ社の中空コア・ファイバHC−1060−2は−120ps/nm/kmの分散を有するが、コーニング社のHI−1060標準ファイバは約+45ps/nm/kmの分散を有する。したがって、中空コア・ファイバは、長さ比が1:2.7のときにHI−1060ファイバを補償することができる。 光パルスが補償器46を出ると光パルスはテラヘルツ送信器30に当たり、送信器30は1サイクルまたは半サイクルの電磁放射線を出す。好ましい実施の形態はテラヘルツ送信器30として光導電素子を用いて、電子・正孔対およびインパルス電流を発生させる。光導電素子は、pn接合ダイオード、ピン・フォトダイオード、金属・半導体・金属フォトダイオード、点接触フォトダイオード、ヘテロ接合フォトダイオード、簡単な半導体などでよく、これらは任意の半導体素子で製作してよい。例えば、低温成長GaAs(LT−GaAs)、半絶縁GaAs、シリコン(結晶質またはイオン埋込み)オン・サファイアSOS、InP、InGaAs、または任意の他の光能動素子を含むが、これらに限定されない。InGaAsやInAsなどのバンドギャップ幅の小さい半導体は長い波長のレーザ・パルス(1060nm付近)により活動化する可能性がある。LT−InGaAsから形成された光導電アンテナ素子をテラヘルツ送信器30用またはテラヘルツ受信器32用に用いてよく、800nmだけでなく1060nmまたはその付近の短レーザ・パルスで活動化してよい。 別の方法は、テラヘルツ送信器30の光導電素子の前に第2高調波を発生させる結晶を用いて、光導電素子をレーザの半波長および光分配システムで駆動することである。これにより、1060nmのYb:ファイバ、または1560nmのEr:ファイバなどの長い波長のレーザ源を多数の従来技術の光導電アンテナ材料と共に用いることができる。第2高調波の発生はKDP,KTP,BBO,LBOなどの結晶(ただし、これらに限定されない)を用いて達成することができる。低パワーの光パルスをより効率的に変換するには、PPLN(Periodically Polled Lithium Niobate)または他の周期的にポールされる材料などの擬似位相整合結晶(quasi−phase-matched crystal)を用いるとよい。 テラヘルツ・パルスを発生させるのに用いる光導電素子は、米国特許第5,420,595号に概説されている種類のものでもよい。この特許全体をここに援用する。この格子型のデバイスを支配する物理特性は光導電および非線形の光物理特性に関係し、B.I.グリーン(Greene)他の論文、「半導体表面での遠赤外光の生成およびその分光応用(Far−infrared Light Generation at Semiconductor Surfaces and its Spectroscopic Applications)」、IEEE J.Quantum Electron,vol.28,pp.2302−2312,1992、に述べられている。この格子型のテラヘルツ送信器は、外部印加電界と共にまたは半導体・空気インターフェースによる誘導表面電界と共に動作してよい。この型の内部電界は半導体・半導体または金属・半導体境界により起こってよい。この誘導電界は材料の表面に垂直なので、任意のテラヘルツ放射線を自由空間内に放射するには、入射光パルスは非ゼロの入射角で材料に当たらなければならない。 光パルスが光導電素子に当たると電流パルスを発生させる。電流が変動すると電磁放射線を発生させる。電磁放射線の時間的形状は、入力光パルスの短さと、光導電素子に結合する金属アンテナ構造とにより決定される。好ましい実施の形態では、アンテナは双極子または蝶ネクタイの形である。この好ましい実施の形態のアンテナの形の概要は米国特許第5,729,017号に示されており、この特許全体をここに援用する。好ましいモードの放射線は50ギガヘルツから5テラヘルツであるが、この好ましい範囲の上または下の任意の電磁周波数が可能である。 光パルスが補償器48を出ると、入射電磁放射線を検出するテラヘルツ受信器32に当たる。好ましい実施の形態はテラヘルツ受信器32として電子・正孔対を過渡的に発生させる光導電素子を用いる。電子・正孔対はアンテナの導電率を高め、電磁界が入射すると電流パルスを生じる。テラヘルツ送信器30用の光導電アンテナ材料に関する上の説明はテラヘルツ受信器32にも当てはまる。 受信器32は、透過、反射、屈折、または散乱した放射線を検出するように、サンプルを囲む任意の位置に置いてよい。例えば、図2Aに示すように、1個の送信器30aが対象物50にテラヘルツ放射線を送る。受信器32a,32b,32cはテラヘルツ放射線が対象物を通るときに反射、散乱、透過するテラヘルツ放射線をそれぞれ受ける。図2Bおよび図2Cでは、送信器30dおよび受信器32dは共通のハウジング52内に収められている。送信器30dが発生させるテラヘルツ放射線は対象物54上で集束し、テラヘルツ放射線は反射して受信器32dに戻る。また、図3Aおよび図3Bに示すように、送信器30および/または受信器32は複数の送信器および/または受信器をそれぞれ含んでよいことを理解していただきたい。複数の送信器30および受信器32はスプリッタ31a,32bを介してそれぞれ信号を受ける。 図1に戻って、ファイバ分配システムは光源12からの元の光パルスを正確にまたは少なくとも近似的に送信器30および受信器32で再生する。しかし、光導電素子に当たる光パルスの立上り時間が速いほど周波数応答が広くなる。別の実施の形態では、分配システム内の分散および自己位相変調を共に制御して電磁発生および検出が最適になるようにパルスを圧縮し整形するよう設計する。 好ましい実施の形態では、送信器30および受信器32の光導電素子の偏光感度は偏光制御素子34および36をそれぞれ用いることにより対処する。他の方法がいくつかある。偏光感度を下げるために修正されたアンテナ設計を用いてよい。また、アンテナ応答は光パワーが高いと飽和して、偏光感度が下がることがある。ファイバ出力と光導電アンテナとの間に、アンテナの部分偏光感度を打ち消す向きの部分偏光素子を用いてもよい。最後に、偏光制御素子34,36またはファイバを通して送り出された光パワーを、分配ファイバ出力での偏光状態またはアンテナ光電流からのフィードバックを用いて積極的に制御してよい。 偏光に依存する伝播遅れに関しては、PCFファイバの高い複屈折も考慮しなければならない。この効果を減少させる最良の手段は、ランダムに(できれば循環的に)偏光された光をPCFファイバ内に伝播させて、その複屈折がパルスを拡げる効果を減少させることである。または、PCFファイバの速い軸および遅い軸を予め決めて、光パルスを望ましい軸に沿って優先的に放射するように、これを分配ファイバに適当に揃えまた与えてもよい。 図5では、PCFファイバ60はテラヘルツ送信器30または受信器32のファイバ・ピグテールとして働く。上に述べたPCFベースの実施の形態の延長では、PCFファイバ60を輪にして容器74内に固定して納める。容器74はテラヘルツ受信器または送信器のアンテナ76も含み、その中にPCFファイバ60を取り付ける。PCFファイバ60の入力遠端78は、単モード・ファイバまたは偏波面保存ファイバである光ファイバ80を介してレーザ信号を受ける。テラヘルツ・モジュールに入るPCFファイバ60の出力端82は、米国特許第6,816,647号の記載と同様に取り付ける。ここで、PCFファイバ60の出力端82はレンズ62を介して回折格子64に光学的に結合する。光信号66aは回折格子64を通って第2のレンズ84に進む。第2のレンズ84は光信号66aをアンテナ76に光学的に結合する。これも、テラヘルツ送信器およびテラヘルツ受信器として同様に良く働く。 或る材料や対象物は、サンプルを通りまたは反射するテラヘルツ過渡現象の周波数に依存する吸収、分散、および/または反射により特徴付けることができる。これは米国特許第5,710,430号に概説されており、この特許全体をここに援用する。図1の受信器32はサンプルにより調整された後の、テラヘルツ範囲の電磁放射線を検出する。次に受信器32は電気信号を生成し、これを任意の周知のデータ収集装置で解釈、スケーリング、および/またはディジタル化を行う。受信器32は光遅延装置28により送信器30に同期する。また本発明の一部は、発生器と受信器とを1つのモジュール内に含む単一素子トランシーバにこの技術を含める。 光ファイバ・システムを用いることにより、光パワーを複数の送信器および受信器に容易に分配することができる。これは図3Aおよび図3Bに示す追加の光ファイバ・カプラ/スプリッタを用いることにより実現することができる。かかるシステムでは、種々のテラヘルツ・チャネル間のタイミングのずれを最小にするために、また各トランシーバに送り出す光パルスをできるだけ短くするために、ファイバの長さを慎重に制御する必要がある。このようにすれば、テラヘルツ・チャネル毎に独立の分散制御を用いる必要がなくなる。 当業者が容易に認識するように、上記の説明は本発明の原理を実現する例を示すものである。この説明は本発明の範囲または応用を制限するものではなく、本発明は特許請求の範囲に規定されている本発明の精神から逸れない限り、修正、変形、および変更を行ってよいものである。分散補償に光結晶ファイバを用いるテラヘルツ・システムの概略図である。テラヘルツ測定のための種々のサンプル/検出器構成の図であって、検出器はサンプルから透過、反射、屈折、または分散されるテラヘルツ放射線を受けるよう種々の角度に置かれている。送信器と受信器とを1つのハウジング内に組み込んだテラヘルツ・システムを示す。多数の送信器ヘッドに光パワーを分配するためにファイバ・スプリッタを用いるテラヘルツ・システムを示す。多数の受信器ヘッドに光パワーを分配するためにファイバ・スプリッタを用いるテラヘルツ・システムを示す。分散後置補償器としてチャープド・ボリューム・ブラッグ回折格子を持つテラヘルツ・トランシーバ用のファイバ分配システムを示す。分散後置補償器としてチャープド・ボリューム・ブラッグ回折格子を持つテラヘルツ・トランシーバ用のファイバ分配システムを示す。テラヘルツ・モジュール内へのパルスの光結晶ファイバ分配と光結晶ファイバからのパルスを中継する集束結合構造を示す。 テラヘルツ・システム内の分散補償のためのシステムであって、 光パルスを送信するよう構成された光ファイバと、 前記光ファイバに光学的に結合し、前記光パルスが前記光ファイバを通って伝播するときに生じる前記光パルスの分散を補償するよう構成された補償器と、 アンテナを有し、前記補償器に光学的に結合し、前記アンテナを介してテラヘルツ放射線を送信または受信するよう構成された、光学的に誘導されたテラヘルツ装置と、を備える分散補償システム。 前記光学的に誘導されたテラヘルツ装置はテラヘルツ受信器であり、前記アンテナは前記補償器に光学的に結合して前記受けたテラヘルツ放射線から前記アンテナで形成された電界をサンプリングする、請求項1記載の分散補償システム。 前記補償器は光結晶ファイバであり、前記光結晶ファイバは固定の補償器である、請求項2記載の分散補償システム。 前記補償器はボリューム・ブラッグ回折格子であり、前記ボリューム・ブラッグ回折格子は固定の補償器である、請求項2記載の分散補償システム。 前記回折格子はチャープド・ブラッグ回折格子であり、前記チャープド・ブラッグ回折格子は固定の補償器である、請求項2記載の分散補償システム。 前記補償器は調整可能な補償器と共に固定の補償器を更に備える、請求項2記載の分散補償システム。 前記光ファイバは標準型または偏波面保存型の単モード光ファイバである、請求項2記載の分散補償システム。 前記光ファイバはラージ・モード・エリア光ファイバである、請求項2記載の分散補償システム。 前記テラヘルツ受信器は光切換え手段を更に備え、前記光切換え手段は光導電素子である、請求項2記載の分散補償システム。 前記アンテナは双極子または蝶ネクタイ・アンテナである、請求項2記載の分散補償システム。 前記テラヘルツ受信器はレンズで前記補償器に光学的に結合する、請求項2記載の分散補償システム。 前記テラヘルツ受信器は直接結合で前記補償器に光学的に結合する、請求項2記載の分散補償システム。 前記光ファイバに光学的に結合するイッテルビウム・ドープの、またはネオジム・ドープのモードロックのレーザを更に備え、前記イッテルビウム・ドープの、またはネオジム・ドープのモードロックのレーザは前記光パルスを作るよう構成される、請求項2記載の分散補償システム。 前記光学的に誘導されたテラヘルツ装置はテラヘルツ送信器であり、前記アンテナはテラヘルツ放射線を発生させるために前記補償器に光学的に結合する、請求項1記載の分散補償システム。 前記補償器は光結晶ファイバであり、前記光結晶ファイバは固定の補償器である、請求項14記載の分散補償システム。 前記補償器はボリューム・ブラッグ回折格子であり、前記ボリューム・ブラッグ回折格子は固定の補償器である、請求項14記載の分散補償システム。 前記回折格子はチャープド・ブラッグ回折格子であり、前記チャープド・ブラッグ回折格子は固定の補償器である、請求項14記載の分散補償システム。 前記補償器は調整可能な補償器と共に固定の補償器を更に備える、請求項14記載の分散補償システム。 前記光ファイバは標準型または偏波面保存型の単モード光ファイバである、請求項14記載の分散補償システム。 前記光ファイバはラージ・モード・エリア光ファイバである、請求項14記載の分散補償システム。 前記テラヘルツ受信器は光切換え手段を更に備え、前記光切換え手段は光導電素子である、請求項14記載の分散補償システム。 前記アンテナは双極子または蝶ネクタイ・アンテナである、請求項14記載の分散補償システム。 前記テラヘルツ受信器はレンズで前記補償器に光学的に結合する、請求項14記載の分散補償システム。 前記テラヘルツ受信器は直接結合で前記補償器に光学的に結合する、請求項14記載の分散補償システム。 前記光ファイバに光学的に結合するイッテルビウム・ドープの、またはネオジム・ドープのモードロックのレーザを更に備え、前記イッテルビウム・ドープの、またはネオジム・ドープのモードロックのレーザは前記光パルスを作るよう構成される、請求項14記載の分散補償システム。 テラヘルツ・システム内の分散補償のためのシステムであって、光パルスを送信するよう構成された光ファイバと、光ファイバに光学的に結合して光パルスが光ファイバを通って伝播するときに生じる光パルスの分散を補償するよう構成された補償器と、補償器に光学的に結合してテラヘルツ放射線を送信または受信するよう構成された光学的に誘導されたテラヘルツ装置とを備える。