生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_過カルボン酸濃度測定方法
出願番号:2009511913
年次:2009
IPC分類:G01N 31/00,G01N 21/78


特許情報キャッシュ

兒島 幸子 古田 太郎 笠井 俊夫 蔡 徳七 JP 4359336 特許公報(B2) 20090814 2009511913 20080425 過カルボン酸濃度測定方法 サラヤ株式会社 000106106 山田 卓二 100101454 田中 光雄 100081422 石野 正弘 100098280 竹内 三喜夫 100100479 川端 純市 100125874 兒島 幸子 古田 太郎 笠井 俊夫 蔡 徳七 JP 2007141053 20070425 20091104 G01N 31/00 20060101AFI20091015BHJP G01N 21/78 20060101ALI20091015BHJP JPG01N31/00 VG01N21/78 Z G01N 31/00 G01N 21/78 JSTPlus(JDreamII) 特開平11−125599(JP,A) 特開平06−130051(JP,A) 特開2003−294694(JP,A) 特開平01−197653(JP,A) 6 JP2008058024 20080425 WO2008133321 20081106 11 20090115 白形 由美子 本発明は、過カルボン酸と過酸化水素を含む平衡混合物において、過カルボン酸の濃度のみを測定する方法に関する。 過カルボン酸(特に過酢酸)と過酸化水素を含む平衡混合物は、種々の酸化反応や、医療,食品,及び環境分野などにおける消毒など、幅広い分野で用いられている。特に、消毒目的で使用される場合、その効力を維持するために使用下限濃度が定められていることが多いが、過カルボン酸化合物は一般に不安定であるため、経時的に濃度が減少する。よって、正確な過カルボン酸濃度が常に把握されていることが望ましい。 しかし、過カルボン酸は多くの場合、過カルボン酸とカルボン酸,過酸化水素,水との平衡混合物として存在するものであり、過カルボン酸と過酸化水素の2種類の過酸化合物は、同様の性質(つまり酸化力)を有するため、その分別定量は難しい。 現在、行われている定量法としては、次のようなものが挙げられる。滴定方法としては、過カルボン酸と過酸化水素の酸化力の違いを利用して、硫酸セリウムや過マンガン酸カリウムで過酸化水素を、チオ硫酸ナトリウムで過カルボン酸(例えば過酢酸)を分別定量する方法があるが、同時に両者を定量することはできない。 また、過カルボン酸および過酸化水素のヨウ化カリウムとの反応速度に違いがあることを用いる定量方法も知られている。この方法は、ヨウ化カリウムを加えて発生するヨウ素をチオ硫酸ナトリウムで還元するもので、或る2点の時間とその各時間に発生したヨウ素を還元するのに必要なチオ硫酸ナトリウム量の関係から、過カルボン酸と過酸化水素を同時に分別定量することができるとされている。以下、これをヨウ素滴定法と呼ぶ(例えば、非特許文献1参照)。さらに、この方法の改良を企図した滴定方法も提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、これらの方法は、測定操作方法が複雑であり、専用の器具やスペースも必要で、また、測定結果を得るのに時間が掛かるものであるため、簡易な方法であるとは言い難い。更に、モリブデンやマンガンなど、環境中への排出量が規制されている化合物(PRTR物質)の使用が必要となるという問題もある。 また、電気化学的な手法を用い、電位差滴定によって過カルボン酸と過酸化水素を同時に分別定量ができるとされた定量方法も提案されている(例えば、特許文献2,3参照)。しかしながら、これらの方法では、多くの場合、装置が大掛かりで高価なものになる、という難点がある。 最も安価で簡易であり、多くの現場で用いられる方法としては、試験紙を用いる方法がある。これは、発色剤を固着した試験紙を被検溶液に浸漬し、その発色程度で濃度を判別する方法である。しかし、色覚による判断であるため、正確な濃度を数値として得ることはできない。また、その判断基準はあいまいであり、試験者によって判別結果が異なることが、しばしば問題となる。特許第3170526号公報特許第3813606号公報特開2006−242629号公報アナリスト(The Analyst)、ロイヤルソサイエティ・オブ・ケミストリ(Royal Society of Chemistry)発行、1962年8月、第87号、第653頁 以上のように過カルボン酸濃度測定法は幾つかあるが、簡便で迅速かつ正確な測定方法は、なかなか見当たらないのが実情である。 ところで、過カルボン酸と過酸化水素を含む平衡混合物の場合、多くの用途においては、有効成分は過カルボン酸である。そこで、本発明は、過カルボン酸と過酸化水素を含む平衡混合物において、過カルボン酸濃度のみを容易で迅速かつ正確に定量できる方法を提供することを、主目的としてなされたものである。 本発明に係る測定方法は、上記課題を解決するために、過カルボン酸と過酸化水素を含む平衡混合物にヨウ化カリウムを加えてヨウ素を発生させ、これを透過する光量を測定することにより、過カルボン酸濃度を定量することを特徴としたものである。 本発明において、測定試料中の好ましい過カルボン酸濃度は0.01〜50ppmであるが、これ以上の過カルボン酸濃度の溶液であっても、この濃度範囲になるように希釈して用いることができる。上記範囲外では測定値の誤差が大きくなり、実際の過カルボン酸濃度と差異が生じることがある。 また、本発明においては、測定試料のpH範囲は、1<pH<6であることが好ましい。pH6以上では発生したヨウ素量が徐々に減少し、一方、pH1以下では共存する過酸化水素がヨウ化カリウムと反応してヨウ素を生成し、徐々にヨウ素量が多くなるため、正確な過カルボン酸濃度を得ることが難しくなるからである。 更に、本発明においては、測定試料中のヨウ化カリウム量は、過カルボン酸モル数の2〜60倍、より好ましくは3〜30倍、最も好ましくは3〜15倍である。測定試料中のヨウ化カリウム量が過カルボン酸モル数の2倍より少なければ、過カルボン酸と反応する必要量に不足し、一方、60倍よりも多い場合は、共存する過酸化水素がヨウ化カリウムと反応してヨウ素を生成し、徐々にヨウ素量が多くなるため、正確な過カルボン酸濃度を得ることが難しくなるからである。 また更に、本発明においては、測定に用いる光の波長範囲は440〜600nmであることが好ましい。440nmより短波長では、350nm付近に吸収極大を持つポリヨウ化物イオンのピークと重なり、一方、600nmより長波長では、吸収が弱いため、正確な過カルボン酸濃度を得ることが難しくなる可能性があるからである。 本発明方法によって定量することができる過カルボン酸としては、ヨウ化カリウムと反応して、速やかにヨウ素を発生するようなものであれば、如何なるものでも定量することが可能である。このような過カルボン酸のなかでは、過酢酸が最も広く利用されており、本発明方法によって過酢酸濃度を容易かつ迅速に定量することができる。 また、光源を発光ダイオード(LED)とし、この光源から発光され測定試料を透過した透過光をフォトダイオードで検出し、この検出結果に基づいて過カルボン酸濃度を求めることにより、小型で安価な過カルボン酸濃度測定装置を実現することが可能である。 本発明によれば、過カルボン酸と過酸化水素を含む平衡混合物中において、過酸化水素の影響を受けずに過カルボン酸濃度のみを正確に測定することができる。また、光量測定によるため、少量のサンプル量で容易かつ迅速に定量することができる。さらに、微量のヨウ化カリウムからヨウ素を発生させて着色するため、従来のような特別な発色剤や試薬は不要であり、環境面でもクリーンな分析方法を提供することができる。実施例1において、ヨウ素滴定法から計算した測定試料中の過酢酸濃度と440、470、600nmでの紫外可視分光光度計による吸光度の対応を表すグラフである。実施例1において、ヨウ素滴定法から計算した測定試料中の過酢酸濃度と波長470nmのLED/フォトダイオード法による測定電圧の対応を表すグラフである。実施例4において、ヨウ素滴定法から計算した測定試料中の過プロピオン酸濃度と波長470nmのLED/フォトダイオード法による測定電圧の対応を表すグラフである。実施例5において、ヨウ素滴定法から計算した測定試料中の過酢酸濃度と波長470nmのLED/フォトダイオード法による測定電圧の対応を表すグラフである。実施例6において、pHが3〜6のヨウ化カリウム溶液を用いて過酢酸を測定した時の測定電圧の経時変化を表すグラフである。実施例6において、pHが1〜3のヨウ化カリウム溶液を用いて過酸化水素を測定した時の測定電圧の経時変化を表すグラフである。実施例7において、ヨウ化カリウム溶液濃度を変えて過酢酸を測定した時の吸光度の経時変化を表すグラフである。本発明の実施形態に係る過カルボン酸濃度の測定に用いる測定装置の全体斜視図である。上記測定装置の要部を概略的に示す説明図である。上記測定装置の制御分析部の構成を概略的に表すブロック構成図である。 10 過カルボン酸濃度測定装置 11 動力部 12 計量部 13 制御分析ユニット 20 電源 21 発光部 24 切換スイッチ 25 発光素子(LED:発光ダイオード) 30 試料収容部 31 受光部 32 受光素子(フォトダイオード) 34 電圧測定部 41 制御部 45 分析部 46 比較演算部 47 メモリ部 以下、本発明に係る過カルボン酸濃度測定方法の実施形態について説明する。 実施例を挙げての説明に先立って、まず、本発明の測定方法を実施するための測定装置について説明する。 図8は本実施形態に係る過カルボン酸濃度の測定に用いる測定装置の全体斜視図、また、図9は該測定装置の要部を概略的に示す説明図である。 これらの図に示すように、本実施形態に係る測定装置10は、その主要な構成要素として、電源20を備えた(又は外部電源に接続される)動力部11と、測定試料(過カルボン酸と過酸化水素を含む平衡混合物)を注入する注入部12bを備えた計量部12と、動力部11および計量部12を制御すると共に測定試料の濃度を定量する制御分析ユニット13と、を備えている。 計量部12は、上記注入部12bから注入された測定試料を収容する例えば筒状の試料収容部30と、該試料収容部30の一側(図9では左側)に配置された発光部21と、試料収容部30を挟んで上記発光部21と対向配置された受光部31とを備えている。上記試料収容部30は、耐薬品性があり且つ光透過性が高い材料で製作されることが好ましく、本実施形態では、例えばガラス製とした。この代わりとして、例えばアクリル樹脂,塩化ビニル樹脂あるいはPET樹脂など、ある程度以上の光透過性と耐薬品性を備える材料であれば、如何なるものでも使用可能である。 上記発光部21は、試料収容部30内に収容された測定試料に向けて所定波長の光を発光するもので、発光回路22を介して電源20に接続された複数の光源25(発光素子)を備えている。これら発光素子25は、それぞれ波長が異なる光を発光する例えば高輝度LED(発光ダイオード)で構成され、好ましくは、試料収容部30の長手軸と平行に配列されている。発光回路22は所定の抵抗23及び切換スイッチ24(例えば、公知のロータリスイッチ)を備えており、各発光素子25はそれぞれ切換スイッチ24に切換可能に接続され、制御分析ユニット13からの制御信号に応じて、光源として使用する発光素子25を切り換えることができるようになっている。 上記受光部31は、発光部21から発光され上記試料収容部30及びその内部の測定試料を透過した光を受光するもので、例えばシリコン(Si)フォトダイオードで構成された受光素子32を備えている。この受光素子32は、好ましくは、試料収容部30の長手軸と平行に、且つ、全ての発光素子25について、各発光素子25を光源とする透過光を受光し得る範囲にわたって配置されている。また、受光素子32には、試料収容部30及び測定試料を透過する光をフォトダイオードで受光した時に発生する電圧を測定する電圧測定部34が、受光回路33を介して接続されており、該電圧測定部33の測定結果は、制御分析ユニット13に信号入力される。尚、かかる電圧測定部34は、受光センサの受光時における電圧変化を検出する従来公知の構成を利用したものである。 図10は、上記制御分析ユニット13の構成を概略的に表すブロック構成図である。この図に示されるように、制御分析ユニット13は、電源20のON/OFF及び供給電力量などを制御する電源制御部42と、切換スイッチによる光源(発光素子25)の切換状態を制御する光源制御部43等を有する制御部41を備えている。また、制御分析ユニット13は、上記電圧測定部34からの測定結果が信号入力される比較演算部46を有する分析部45を備えている。尚、上記制御分析ユニット13は、好ましくは、マイクロコンピュータを主要部として構成され、電源20,切換スイッチ24及び電圧測定部34などに信号授受可能に接続されている。 該分析部45には、比較演算部46に信号授受可能に接続されたメモリ部47が備えられている。該メモリ部47には、各種の測定試料(過カルボン酸と過酸化水素を含む平衡混合物)毎に、それぞれ波長が異なる光について、測定試料を透過する光をフォトダイオードで受光した時に発生する電圧値と濃度との相関データが、読み出し可能に記憶されている。尚、かかるメモリ部47は、外部メモリとして、制御分析ユニット13の外部に設けるようにしてもよい。 そして、比較演算部46に電圧測定部34からの測定データが信号入力されると、測定対象の試料についての相関データが読み出され、この相関データと電圧測定部34からの測定データとを比較し、所要の演算を行うことにより、測定対象試料の濃度を得ることができる。こうして得られた濃度は、出力部48を介して測定装置10のディスプレイ等の表示部(不図示)や、プリンタ等の記録装置(不図示)などに出力されるようになっている。 次に、上記測定装置10を用いて行う過カルボン酸の濃度測定について、実施例を参照しながら説明する。<実施例1> 実施例1では、サラヤ(株)製の過酢酸6%消毒液(商品名:アセサイド)を蒸留水で20倍に希釈したものを試験液として用いた。試験液の過酢酸濃度をヨウ素滴定法により求めたところ、過酢酸0.356%となった。この試験液0.1〜0.2mL(ミリ・リットル)に240mg/Lのヨウ化カリウム溶液を加えて、全量を20mLとした(測定試料)。これを混合させた後、波長がそれぞれ430nm,440nm,470nm,600nmの光を用いて吸光度を測定した。その測定結果を図1に示す。この吸光度は、公知の紫外可視分光光度計にて測定したものである。 また、上記測定装置10において波長470nmの発光素子25(LED)を光源とし、測定試料を透過する光を受光素子32(フォトダイオード)で受光した時に発生する電圧を測定した結果を、図2に示す。 図1に示した測定結果に対応する回帰式およびその相関係数R2は、以下の通りであった。 ・波長430nm:y=1.5636x+0.1389 (R2=0.9758) ・波長440nm:y=1.6740x+0.0909 (R2=0.9927) ・波長470nm:y=1.5436x+0.0079 (R2=0.9978) ・波長600nm:y=0.0928x−0.0009 (R2=0.9980) 以上のように、図1の測定結果に対応する回帰式の相関係数R2は、波長440nmの場合で0.9927、波長470nmの場合で0.9978、波長600nmの場合で0.9980となり、これらの場合には優れた直線性が得られることが分かるが、波長430nmの場合にはR2=0.9758となり、直線性が低下した。 一方、図2に示す通り、発光素子25(LED)と受光素子32(フォトダイオード)を用いた本実施形態の測定装置10においても、測定結果に対応する回帰式の相関係数R2=0.9950となり、測定試料中の過酢酸濃度と測定結果の間には、吸光度の場合(図1参照)と同様に、優れた直線関係が得られることが確認できた。 従って、本実施形態の測定装置10を用いて、各種の測定試料(過カルボン酸と過酸化水素を含む平衡混合物)毎に、それぞれ波長が異なる光源25(発光ダイオード:LED)について、測定試料を透過する光をフォトダイオード32で受光した時に発生する電圧値と濃度との関係を示す相関データを採取し、かかる相関データを多数蓄積してメモリ部47に格納しておき、測定試料の種類および使用光源に応じて、対応したデータをメモリ部47から読み出して比較演算に用いればよい。 本実施形態の測定装置10を用いて、所定波長の発光素子25(LED)を光源とし、測定試料を透過する光を受光素子32(フォトダイオード)で受光した時に発生する電圧を測定し、この測定値に基づいて測定試料の濃度を得る方法を、以下においては、適宜、「LED/フォトダイオード法」と称することとする。<実施例2> 実施例2では、実施例1の試験液に蒸留水を適量加えて異なる4濃度の過酢酸溶液を調製し(サンプル1〜4)、ヨウ素滴定法によって過酢酸濃度をそれぞれ2回ずつ定量した。 また、サンプル1〜4を0.2mLとって240mg/Lのヨウ化カリウム溶液を加えて全量を20mLとし(測定試料)、発光ダイオード(波長:470nm)/フォトダイオードを用いて発生電圧をそれぞれ2回ずつ測定した。サンプル毎に、この測定電圧と図2に示した回帰式「y=−0.0119x+0.9326」から、各サンプル中の過酢酸濃度を計算した。表1に示すように、ヨウ素滴定法とLED(470nm)/フォトダイオード法による測定結果は、極めて近い値を示した。〔表1〕 表1 ヨウ素滴定法とLED/フォトダイオード法による過酢酸濃度測定結果の比較<実施例3> 実施例3では、サラヤ(株)製の過酢酸6%消毒液(商品名:アセサイド)を蒸留水で20倍に希釈したものを試験液として用いた。試験液0.2mLに、1%過酸化水素水0〜1mLおよび240mg/Lのヨウ化カリウム溶液を加えて20mLとし(測定試料)、LED(470nm)/フォトダイオード法でそれぞれ3回ずつ測定した。図2の近似直線に基づいて、試験液中の過酢酸濃度を計算した結果を表2に示す。〔表2〕 表2 過酸化水素量が測定値に及ぼす影響 この試験液濃度をヨウ素滴定法により定量したところ、過酢酸0.356%、過酸化水素0.446%であり、これを0.2mL用いた測定試料中では過酢酸0.0094mmol、過酸化水素0.026mmolとなる。表2に示すように、これに過酸化水素を添加して0.320mmolまで増量しても、測定値および計算した試験液中の過酢酸濃度には、殆ど影響を与えなかった。<実施例4> 実施例4では、0.03%過プロピオン酸溶液0.2〜1.5mLに240mg/Lのヨウ化カリウム溶液を加えて、全量20mLの測定試料とし、LED(470nm)/フォトダイオード法で電圧測定を行った。 図3に示すように、過酢酸以外の過カルボン酸でも、過カルボン酸濃度と測定値(電圧値:V)の間に直線関係が得られた。<実施例5> 実施例5では、過酢酸(ヨウ素滴定法により過酢酸0.355%)0.05〜1.0mLに240mg/L又は480mg/Lのヨウ化カリウム溶液を加えて、全量20mLの測定試料とした。LED(470nm)/フォトダイオード法で電圧を測定し、その測定結果を図4に示した。 過酢酸0.05〜0.3mL(測定試料中の過酢酸濃度8.9〜53ppmに相当)までは、測定試料中の過酢酸濃度(ppm)と測定値(電圧値:V)の間に直線関係が認められるが、0.4mL(測定試料中の過酢酸濃度71ppm)以上では、どちらのヨウ化カリウム濃度においても測定値(V)は直線から逸脱した。<実施例6> 実施例6では、測定試料のpHが及ぼす影響を調べた。約0.35%過酢酸0.2mLに、クエン酸とクエン酸ナトリウムを用いてpH3〜6に調整した240mg/Lのヨウ化カリウム溶液を加えて、全量20mLの測定試料とした。LED(470nm)/フォトダイオード法で電圧を測定し、測定試料調製後10分間の電圧値の変化を図5に示した。また、0.35%過酢酸0.2mL中に含まれる過酸化水素(0.4%)と同程度の濃度になるように、2%過酸化水素溶液0.05mLに、pH1〜3に調整した240mg/Lのヨウ化カリウム溶液を加えて全量20mLの測定試料とした。LED(470nm)/フォトダイオード法で電圧を10分間測定し、電圧値の変化を図6に示した。 図5より、pH3〜5では測定値が安定しているが、pH値が6になると測定値は不安定であった。また、図6より、pH値が1にまで下がると、過酸化水素がヨウ化カリウムと徐々に反応してヨウ素を発生するため、測定値は不安定であった。<実施例7> 実施例7では、ヨウ化カリウム量の影響を調べた。0.331%過酢酸溶液0.2mL(0.0094mmol)に対し2,3,15,30,60,90倍モル数のヨウ化カリウム溶液を加えて全量20mLの測定試料とした。例えば、90倍モル数では(90KI)、20mL中に0.84mmolのヨウ化カリウムを含む。470nmの吸光度を測定し、測定試料調製後の吸光度の変化を図7に示した。 ヨウ化カリウム濃度が大過剰の時、測定値は経時変化を伴うため、試験用液調製後、直ちに測定を行う必要がある。しかし、ヨウ化カリウム濃度が過酢酸の3〜15倍モル数の時は経時変化がほとんどなく、安定した測定値を得ることができた。 本発明は、過カルボン酸と過酸化水素を含む平衡混合物において、過カルボン酸の濃度のみを容易かつ迅速に測定する場合に、有効に利用することができる。 過カルボン酸と過酸化水素を含む平衡混合物において過カルボン酸濃度のみを測定する方法であって、a)平衡混合物にヨウ化カリウムを加えてヨウ素を発生させて測定試料とし、b)これを透過する光量を測定することにより、過カルボン酸濃度のみを測る、ことを特徴とする測定方法。 上記測定試料中の過カルボン酸濃度が0.01〜50ppmである、ことを特徴とする請求項1に記載の測定方法。 上記測定試料のpH値が1<pH<6の範囲である、ことを特徴とする請求項1または2に記載の測定方法。 上記測定試料中のヨウ化カリウム量が過カルボン酸モル数の2〜60倍である、ことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の測定方法。 上記測定に用いる光の波長範囲が440〜600nmである、ことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の測定方法。 過カルボン酸が特に過酢酸である、ことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の測定方法。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る