生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_乳酸菌を用いた抗変異原性物質の生産方法
出願番号:2009510866
年次:2013
IPC分類:C12P 1/04,A61K 35/74,A61P 35/00,C12R 1/25,C12R 1/225


特許情報キャッシュ

藤田 稔 中山 雅晴 中村 泰輝 井上 喬博 JP 5210299 特許公報(B2) 20130301 2009510866 20080418 乳酸菌を用いた抗変異原性物質の生産方法 株式会社喜源バイオジェニックス研究所 507091521 田村 爾 100116687 杉村 純子 100098383 藤田 稔 中山 雅晴 中村 泰輝 井上 喬博 JP 2007109656 20070418 20130612 C12P 1/04 20060101AFI20130527BHJP A61K 35/74 20060101ALN20130527BHJP A61P 35/00 20060101ALN20130527BHJP C12R 1/25 20060101ALN20130527BHJP C12R 1/225 20060101ALN20130527BHJP JPC12P1/04 ZA61K35/74 GA61P35/00C12P1/04 ZC12R1:25C12P1/04 ZC12R1:225 C12P 1/04 CA/BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特開平11−221071(JP,A) 特開平10−276770(JP,A) 特開2001−275658(JP,A) 特開2001−278794(JP,A) Biotechnol. Lett. (2001) vol.23, no.19, p.1583-1589 J. Dairy Res. (2002) vol.69, no.2, p.335-341 2 NPMD NITE BP-333 NPMD NITE BP-334 JP2008057623 20080418 WO2008130036 20081030 24 20101227 池上 文緒 本発明は、乳酸菌を用いた抗変異原性物質の生産方法に関し、特に乳酸菌を貧栄養媒体中等に懸濁放置することで抗変異原性物質を生産する方法に関するものである。 一般に、乳酸菌が有する整腸作用に関しては広く認知されており、食品としてはヨーグルト等、医薬品としては整腸剤等として既に多くの製品が市場に流通している。 特に最近では、プロバイオティクス(生菌効果)、プレバイオティクス(腸内在住乳酸菌への活性効果)、バイオジェニクス(乳酸菌菌体や乳酸菌生産物質等による効果)等の概念の下に、乳酸菌が上記整腸効果以外にも様々な機能を有することが明らかとなってきている。 この乳酸菌の整腸効果以外の機能として、例えば、GABA生産による高血圧予防(非特許文献−1)、菌体摂取による免疫バランスの改善によるアレルギー症状の緩和(非特許文献−2)、主たる生産物である乳酸によるピロリ菌排除効果(非特許文献−3)等が提案されている。 また、乳酸菌によるガンの予防効果も数多く報告されており、特に大腸ガンに関しては、少なくとも動物レベルにおいては、実験的に確立されつつあるのが現状である。 かかる乳酸菌による大腸ガンの予防効果のメカニズムに関しては様々な説が存在し、例えば、いわゆる悪玉善玉菌仮説は、乳酸菌生菌剤や乳酸菌生産物質等の摂取が腸内のpHを低下させること等により、腸内細菌叢の構成菌種のうちのビフィダス菌等の善玉菌を増殖させ、ウエルシュ菌等の悪玉菌を排除する結果、腸内環境が改善され、その結果大腸ガンの発生が減少することを提唱するものである。 また、他の説としては、核酸等の菌体内成分、ムラミルジペプチド等の菌体壁成分及び菌体外多糖等の乳酸菌菌体構成成分の各々が、種々のTLR(トールライクレセプター)等を介して腸管粘膜の免疫系を活性化するため、その結果として発生初期段階にある微小ガン細胞が活性マクロファージ等によって排除され、大腸ガンの予防に繋がることを提唱するものがある。 更にまた、他の説としては、摂取された乳酸菌が、腸内腐敗産物として生じるニトロソアミン等の発ガン性物質や食物由来の変異原物質等をその菌体表面に吸着させ、そのまま糞便と共に体外へ排出する結果、大腸ガンの発生を抑制することを提唱するものがある。この説に基づき、菌体への変異原の吸着作用により強い抗変異原性を示すとされるいくつかの乳酸菌株が、これまでに特許公報に於いて公開されている(特許文献−1、2、3、4、5)。 更に上記説のほかに、乳酸菌が抗ガン性物質を生産することによって、より直接的に大腸ガンの発生を未然に防ぐことを提唱する説もあり、例えば、ヨーグルトの研究からこの物質の存在を疑わせる現象もいくつか報告されているが、いずれも確定したものではなく、また大腸ガンを予防する物質の特定には至っていない。 その他にも諸説あり、これら全てのメカニズムが様々な程度に関連しつつ大腸ガンの予防に働いていると推測される(非特許文献−4、5、6、7、8、9、10)。 このように、現在に至るまで、これらの乳酸菌による大腸ガン予防効果の有効成分やメカニズムは未だはっきり確定されておらず、当然ながら、乳酸菌が抗変異原性物質を保有、或いは生産している確実な証拠も提出されていない。更に、これら乳酸菌の抗変異原性物質を有効に生産、抽出する方法に至っては、全く提案されていないのが現状である。Hayakawa K. et al. Effect of a gamma-aminobutyric acid-enriched dairy product on the blood pressure of spontaneously hypertensive and normotensive Wistar-Kyoto rats. Br. J. Nutr. 2004, 92. 411-417Sashihara T. et al. An analysis of the effectiveness of heat-killed lactic acid bacteria in alleviating allergic diseases. J. Dairy Sci. 2006, 89. 2846-2855Coconnier M.H. et al Antagonistic activity against Helicobacter infection in vitro and in vivo by the human Lactobacillus acidophilus strain LB. Appl. Environ. Microviol. 1998, 64. 4573-4580Lin DC. Probiotics as functional foods. Nutr. Clin. Pract. 2003, 18. 497-506Ljungh A. and Wadstrom T. Lactic acid bacteria as probiotics. Curr. Issues Intest. Microbiol. 2006, 7. 73-89Geier MS. et al. Probiotics, prebiotics and synbiotics:a role in chemoprevention for colorectal cancer? 2006, 5. 1265-1269Hosono A. and Kashina T. Antimutagenic properties of Lactic acid-cultured milk on chemical and fecal mutagens. J. Dairy Sci. 1986, 69. 2237-2242Sudarshan R. et al. Effects of hydrolysis of milk glycerides on the antimutagenicity of a hexane extract of milk. J. Dairy Sci. 1998, 81. 664-671Wollowski I. et al. Bacteria used for the production of yogurt inactivate carcinogens and prevent DNA damage in the colon of rats. J. Nutr. 1999, 129. 77-82Wollowski I. et al. Protective role of probiotics and prebiotics in colon cancer. Am. J. Clin. Nutr. 2001, 73.451S-455S特許第3209784号公報特許第2825761号公報特開平08−056650号公報特開平10−276770号公報特開平11−113564号公報 乳酸菌生菌を投与してガンの予防効果を発揮させる場合の最大の問題点は、投与された乳酸菌が多くの場合胃や小腸で死滅してしまうことにあり、かかる乳酸菌の死滅を防ぐためには、数多くの乳酸菌菌株のスクリーニング試験を行って、胃酸や腸液、胆汁酸などに耐性を有する菌株を選別したり、遺伝子組み換え等の手法を用いて消化液耐性乳酸菌を作製したり、或いは腸溶解性のカプセル等に充填して投与したりする必要がある。 このような形で選別された消化液耐性菌であっても、これらが定着するか否かは不確定であり、これまでプロバイオティクスとして発売された乳酸菌は、短時間、胃や大腸に留まることは可能であっても、長期にわたって定着するものはほとんど存在しない。従ってこれら生菌を摂取することでガン予防を試みる場合は、生菌を毎日相当量摂取し続ける必要があり、また、定着期間が短期間であることから、これらの乳酸菌が定着先で十分な代謝活動を行っているかどうかは不明である。 また、従来の抗変異原性を有する新規乳酸菌株は、菌体そのもの、或いは菌体破砕物等が抗変異原性を有するといわれている物であり、これらの乳酸菌により生成される抗変異原性物質を提供するものではない。これら抗変異原性を有する従来の乳酸菌株の殆どは、その作用機序として菌体への変異原の吸着作用を提唱するものであり、従って、当該乳酸菌を利用するには、菌体そのもの、或いは菌体破砕物として摂取する必要があった。 一方で、乳酸菌生産物質と称されているものや乳酸菌の培養上清液等は、これらの中にガンの予防に効果的な物質が存在するか否か、試験管レベルにおいてすら明確にされておらず、その作用機序に関する説明においては、乳酸菌によって生産された何らかの物質がビフィダス菌等の善玉菌の増殖を促し、それが腸内環境の改善に繋がり、間接的にガンの発生を抑制するという仮説に依拠するケースが殆どであるが、上記したように、この説も未だ確立されていないのが現状である。 ヨーグルトを含む乳酸菌培養液中に抗変異原性物質を検出し、これを生産しようとする試みは従来しばしば行われてきたが、未だ実現されていない。その最大の理由は、乳酸菌培養液の極めて複雑な組成にあることは明らかである。特に、乳酸菌が生産する各種の有機酸、並びに培地組成中に存在する各種アミノ酸が、エームズテストに代表される抗変異原性検出の為の各種の試験法に大きな影響を与える。これらを排除するために限外濾過法、透析膜法、ゲル濾過法、各種クロマトカラム法等を用いることができるが、同時に当該抗変異原性物質も排除してしまう結果となる場合が多く、或いは逆に、培地由来の抗変異原性物質を検出し、擬陽性の結果となることも多い。同時に、これら夾雑物の排除方法も、極めて手間とコストのかかるものである。 従って、本発明目的は、上記問題点を解決し、極めて簡便な方法で、乳酸菌の菌体から、各種発ガン性物質に対抗する可溶性の抗変異原性物質を大量に生産することができる、経済的に有利な生産方法を提供するものである。 特に肉や魚の焦げの部分に多く含まれ、少量でも極めて強力な発ガン性を有する食物由来の発ガン性物質であるヘテロサイクリックアミン類(heterocyclic amines;HCA)等に対して有効な、乳酸菌由来の抗変異原性物質の生産方法を提供する。 本発明者らは、鋭意研究の結果、乳酸菌生菌体を、通常使用される細菌用培地等と異なり、生理食塩水、リン酸緩衝下生理食塩水(PBS)、クエン酸緩衝液、蒸留水、イオン交換水等に代表される、貧栄養媒体、或いは無栄養媒体に懸濁し、これを例えば中低温で中長期、或いは煮沸処理等による高温で短期に処理することによって、乳酸菌が発ガン性物質、特に食物由来の発ガン性物質であるヘテロサイクリックアミン類(heterocyclic amines;HCA)等に対する抗変異原性物質群や、活性酸素種に対する抗酸化物質群が、懸濁媒体中に生成されることを見出し、本発明に到達した。 さらには、これら乳酸菌の生菌を、凍結乾燥法、乾熱乾燥法、減圧乾燥法、噴霧乾燥法等の任意の方法を用いて、一度乾燥させ、これを上記媒体中に懸濁させれば、室温において瞬間的にHCA等に対する抗変異原性物質群や、活性酸素種に対する抗酸化物質群が懸濁媒体中に生産生成されることを見出した。また、上記乾熱乾燥法や減圧乾燥法においては、加熱により当該菌は死滅するが、当該抗変異原性物質群の生成には全く影響がないことも見出した。 また、これら乳酸菌の生菌を乾燥させなくとも、菌株によっては、これを各種塩溶液に懸濁するだけで、塩濃度に応じて、瞬間的に抗変異原性物質を溶液中に生産することを見出した。 なお、これらの乳酸菌菌体を従来法である超音波処理や酵素処理、或いはビーズやプレスによる破砕等の方法で物理的に破砕した後に、当該破砕物を蒸留水等に懸濁することによっても、上記活性が懸濁液中に得られるものである。 すなわち、本発明の請求項1記載の乳酸菌を用いた抗変異原性物質の生産方法は、乳酸菌を貧栄養媒体または無栄養媒体中に懸濁放置することを特徴とする方法である。 本発明の乳酸菌を用いた抗変異原性物質の生産方法においては、乳酸菌は、ラクトバシラス・プランタルムKK−2503株菌またはラクトバシラス・アリメンタリウスKN−15株菌等であり、抗変異原性物質はヘテロサイクリックアミン類等に対する抗変異原性物質である。 また請求項2記載の乳酸菌を用いた抗変異原性物質の生産方法は、請求項1記載の乳酸菌を用いた抗変異原性物質の生産方法において、貧栄養媒体または無栄養媒体は、カルシウム塩及びマグネシウム塩無添加リン酸緩衝下生理食塩水(PBS(−))、カルシウム塩及びマグネシウム塩添加リン酸緩衝下生理食塩水(PBS(+))、リン酸緩衝液、KH2PO4/NaOH緩衝液、Tris/HCl緩衝液、クエン酸緩衝液、クエン酸/NaOH緩衝液、クエン酸/クエン酸ナトリウム緩衝液、HEPES緩衝液、ホウ酸ナトリウム/HCl緩衝液、ホウ酸/NaOH緩衝液、ホウ酸ナトリウム/NaOH緩衝液、炭酸ナトリウム/炭酸水素ナトリウム緩衝液、炭酸水素ナトリウム/NaOH緩衝液、マレイン酸HNa/NaOH緩衝液、マレイン酸/Tris/NaOH緩衝液、フタル酸HK/NaOH緩衝液、カコジル酸ナトリウム/HCl緩衝液、酢酸/酢酸ナトリウム緩衝液、酢酸/NaOH緩衝液、コハク酸/NaOH緩衝液、酒石酸/NaOH緩衝液、イミダゾール/HCl緩衝液、ビシン/NaOH緩衝液、グリシン/NaOH緩衝液、Na2HPO4/NaOH緩衝液、NaOH/KCL緩衝液、希塩酸溶液、リチウム塩溶液、ナトリウム塩溶液、カリウム塩溶液、マグネシウム塩溶液、カルシウム塩溶液、食塩水、希塩酸溶液、希硫酸溶液、イオン交換水、蒸留水、純水、超純水、天然水、井戸水、水道水、ミネラル添加水、ビタミン添加水、スポーツイオン飲料等からなる群より選ばれることを特徴とする方法である。 なお、本明細書において、上記した方法により生産された当該抗変異原性物質群を以下、「乳酸菌が保持する抗変異原性物質群、Antimutagenic Substances of Lactic Acid Bacteria」と称して、以下、「AMS−LAB(エームズラブ)」と略する。 本発明の乳酸菌を用いた抗変異原性物質の生産方法は、乳酸菌の生菌体を貧栄養媒体または無栄養媒体に懸濁し、例えば、中低温で中長期、高温で短期の条件で放置するか、或いはこれら乳酸菌の生菌を、凍結乾燥法、乾熱乾燥法、減圧乾燥法、噴霧乾燥法等の任意の方法で、一度乾燥させ、これを上記媒体に懸濁することにより、或いは菌株によっては、乾燥させなくとも単に湿菌を各種塩溶液に懸濁することにより、極めて簡便な方法で各種発ガン性物質、特に食物由来の発ガン性物質であるHCA類に対する抗変異原性物質を大量に懸濁液中に生産することができるとするものである。したがって、経済的にも安価な抗変異原性物質を、大量に生産することができるものである。 更に、AMS−LAB中には抗酸化能を有する分画が存在するため、抗酸化物質としての効果も期待できる。図−1−1及び1−2は、それぞれKN−15及びKK−2503のPBS(−)懸濁液中での放置温度とHCAに対する抗変異原活性の関係を表す図である。図−2−1及び2−2は、それぞれKN−15及びKK−2503のPBS(−)懸濁液中に於ける、50℃並びに98℃での放置温度のHCAに対する抗変異原活性の関係を表す図である。図−3−1及び3−2は、それぞれKN−15及びKK−2503と各種緩衝液での懸濁とHCAに対する抗変異原活性の関係を示す図である。図−4−1及び4−2は、それぞれKN−15及びKK−2503の乾燥菌体のPBS(−)懸濁液中での、乾燥法の違いによるHCAに対する抗変異原活性の関係を表す図である。図−5−1及び5−2は、それぞれKN−15及びKK−2503の乾燥菌体と湿菌体の、PBS(−)懸濁液並びに蒸留水懸濁中でのHCAに対する抗変異原活性の関係を表す図である。図−6−1及び6−2は、それぞれKN−15及びKK−2503の乾燥菌体の食塩水懸濁液中での、食塩濃度の違いによるHCAに対する抗変異原活性の関係を表す図である。図−7−1及び7−2は、それぞれKN−15及びKK−2503のAMS−LAB/PBS(−)の耐消化液の程度を表す図である。図−8−1及び8−2は、KN−15のAMS−LAB凍結乾燥品の、DMH投与CD1マウスに対する肝臓細胞核と大腸粘膜細胞核に対する防御作用を、コメットアッセイによって示した結果図である。図−9−1及び9−2は、乳酸菌標準株のHCAに対する抗変異原活性の関係を表す図である。9−1は生菌をPBS(−)中に懸濁後に50℃で30分放置したもの、9−2は生菌を凍結乾燥後に0.8質量%の食塩水に懸濁、攪拌したものを試料としたものである。図10は、大腸菌に代表される腸内グラム陰性菌群の標準株と黄色ブドウ球菌の、HCAに対する抗変異原活性の関係を表す図である。試料は、これらの生菌を凍結乾燥後に0.8質量%の食塩水に懸濁、攪拌したものを用いた。 本発明の乳酸菌を用いた抗変異原性物質の生産方法の一つは、乳酸菌を貧栄養媒体または無栄養媒体中に懸濁放置する方法である。 すなわち、乳酸菌を、貧栄養または無栄養で、高温や低温下におくことで、抗変異原性物質群(AMS−LAB)を簡便に生産することができることとなる。 他の本発明の乳酸菌を用いた抗変異原性物質の生産方法は、乳酸菌を乾燥させた後に、これらの貧栄養媒体または無栄養媒体中に懸濁する方法である。すなわち、任意の方法により菌体を乾燥させ、これを上記媒体に懸濁すれば、瞬間的に懸濁液中に、AMS−LABを生産することができる。 まず、本発明の乳酸菌を用いた抗変異原性物質の生産方法に用いることができる乳酸菌について説明する。 本発明に用いることのできる乳酸菌は、特に限定されず、入手できる乳酸菌であれば任意のものを使用することができるが、特にラクトバシラス・プランタルムやラクトバシラス・アリメンタリウス乳酸菌、更に特に好ましくはラクトバシラス・プランタルム KK−2503(Lactobacillus plantarum KK-2503:以下「KK−2503」と称す)並びにラクトバシラス・アリメンタリウス KN−15(Lactobacillus alimentarius KN-15:以下「KN−15」と称す)が好適に使用できる。 これらの乳酸菌KK−2503及びKN−15は、本発明者らが伝統的発酵食品である漬物から分離した乳酸菌株であり、微生物の寄託の国際的承認に関するブタペスト条約に基づき、国際寄託当局である独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)[Incorporated Administrative Agency National Institute of Technology and Evaluation Patent Microorganisms Depositary (NPMD)]に国際寄託されており、寄託についての受託証及び生存に関する証明書の詳細は以下のものである。(1)ラクトバシラス・プランタルム KK−2503(Lactobacillus plantarum KK-2503:KK-2503) 受託番号;NITE BP−334 受託日;2007年3月13日 受領及び受託;2007年3月13日(原寄託日)に受領した受領番号NITE AP−334のI欄(ラクトバシラス・プランタルム KK−2503:受託番号 NITE P-334)の微生物を受託 移管請求の受領;2007年3月13日(原寄託日)に寄託されたNITE P−334からブタペスト条約に基づく寄託への移管請求を2008年3月4日(移管日)に受領 生存試験の結果;2008年3月7日に上記国際寄託当局により、生存試験が実施され、当該微生物の生存が確認された。 (2)ラクトバシラス・アリメンタリウス KN−15(Lactobacillus alimentarius KN-15:KN-15) 受託番号;NITE BP−333 受託日;2007年3月13日 受領及び受託;2007年3月13日(原寄託日)に受領した受領番号NITE AP−333のI欄(ラクトバシラス・アリメンタリウス KN−15:受託番号 NITE P-333)の微生物を受託 移管請求の受領;2007年3月13日(原寄託日)に寄託されたNITE P−333からブタペスト条約に基づく寄託への移管請求を2008年3月4日(移管日)に受領 生存試験の結果;2008年3月7日に上記国際寄託当局により、生存試験が実施され、当該微生物の生存が確認された。 これらの好適に使用できるKK−2503及びKN−15の2種の菌株は、本発明者等が市販の漬け物等から分離同定した121株の乳酸菌株の中から、後述するエームズテストによる選抜試験の結果選択した、特に抗変異原性活性が高い菌株であり、本発明において特に有効に使用することができるものである。 かかるラクトバシラス・プランタルム KK−2503(受託番号 NITE BP−334)並びにラクトバシラス・アリメンタリウス KN−15(受託番号 NITE BP−333)の分離手段は、以下の通りである。<KK−2503の分離手段> 分離は、基本的に岡田らの方法(乳酸菌の科学と技術:学会出版センター)に準じて実施した。 具体的には、糠漬け用糠床中の糠を適当量採取し、滅菌PBS(−)で1/10に希釈後、100μlをGYP白亜寒天培地(組成は前記文献記載のものと同じ)に接種し、これを30℃、48時間好気的に培養した。培地の透明環の発現を指標として集落を釣菌し、これをさらに同培地に接種し、単集落を形成させた。同操作を再度繰り返した後、得られた単集落をさらに釣菌し、これをMRS液体培地に接種し、30℃、24時間培養した。これを1,500Gで20分遠心して菌体を回収し、10%DMSO加新鮮滅菌MRS液体培地に2倍に濃縮して再浮遊させ、これを1ml滅菌バイアルに分注し、−80℃で凍結保存した。 なお、使用時には解凍して用いる。<KK−15の分離手段> 分離は、基本的に岡田らの方法(乳酸菌の科学と技術:学会出版センター)に準じて実施した。 具体的には、市販の糠漬けキュウリをホモジナイズし、滅菌PBS(−)で1/10に希釈後、100μlをGYP白亜寒天培地(組成は前記文献記載のものと同じ)に接種し、これを30℃、48時間好気的に培養した。培地の透明環の発現を指標として集落を釣菌し、これをさらに同培地に接種し、単集落を形成させた。同操作を再度繰り返した後、得られた単集落をさらに釣菌し、これをMRS液体培地に接種し、30℃、24時間培養した。これを1,500Gで20分遠心して菌体を回収し、10%DMSO加新鮮滅菌MRS液体培地に2倍に濃縮して再浮遊させ、これを1ml滅菌バイアルに分注し、−80℃で凍結保存した。 なお、使用時には解凍して用いる。 また、当該KK−2503菌株の菌学的性質の表1に、KN−15菌株の菌学的性質を、表2に示す。 以上の諸性質から、KK−2503の乳酸菌はラクトバシラス属に属する菌であると考えられ、糖の発酵性の結果に基づく菌種同定データベースであるアピラボソフト(日本ビオメリュー社)で同定を行ったところ、82.6%の確率でラクトバシラス・プランタルム、17.3%の確率でラクトバシラス・ペントーザスに属するものと同定された。これをさらに当該微生物の有する16SリボソームRNAの全塩基配列を解析(国際塩基配列データベース(GenBank/DDBJ/EMBL))したところ、ラクトバシラス・プランタルム並びにラクトバシラス・ペントーザスの両者にのみ強い相同性が得られた(99.9%)。 以上の結果を総合的に判断すると、KK−2503の乳酸菌は、ラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)に属する微生物であると考えられ、この微生物を、上記したように、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに受託し、受託番号NITE BP−334を得た。 また、上記諸性質から、KN−15の乳酸菌はラクトバシラス属に属するものと考えられ、当該微生物の有する16SリボソームRNAの500の塩基配列を解析(国際塩基配列データベース(GenBank/DDBJ/EMBL)したところ、ラクトバシラス・アリメンタリウスに強い相同性が観られ(98.5%)、さらに近隣結合法により分子系統樹を作製した結果、ラクトバシラス・アリメンタリウスとのみクラスターを形成した。従って、KN−15の乳酸菌は、ラクトバシラス・アリメンタリウス(Lactobacillus alimentarius)に属する微生物であると考えられ、上記したように、この微生物を、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに受託し、受託番号NITE BP−333を得た。 次に、本発明の方法に用いることができる貧栄養媒体または無栄養媒体について説明する。 本発明の方法においては、AMS−LABの生産には、乳酸菌を下記PBS(−)や蒸留水等の様な貧栄養媒体または無栄養媒体に懸濁することが必要である。乳酸菌培養液をそのまま用いても構わないが、その場合は先に述べたように、夾雑物の多さから、当該物質の検出並びに抽出が極めて困難となる。従って、蒸留水やイオン交換水等の様な媒体を基本とし、これに各種塩、特に、ナトリウム塩やマグネシウム塩等のような陽イオン性物質が適度に含まれているものが望ましい。 本件発明に用いることができる懸濁媒体は上記事項を満たす限りにおいて任意のものを使用できるが、その後の処理を考慮すると、そのまま食してヒトに安全であるものが望ましい。更に、食塩成分の一つであるナトリウム、又は食物に多く含まれるカリウム、マグネシウム等の陽イオンがある程度含まれているものが望ましい。一方で、蒸留水に懸濁しても加熱すれば活性を示す乳酸株は多く、また、加熱が無くとも乾燥させれば単に蒸留水に懸濁するだけで活性を示す乳酸菌株も存在することから、これらのイオンが含まれていなくても構わない。 本発明に用いることができる懸濁媒体としては、例えば、PBS(−)、PBS(+)、リン酸緩衝液、KH2PO4/NaOH緩衝液、Tris/HCl緩衝液、クエン酸/NaOH緩衝液、クエン酸/クエン酸ナトリウム緩衝液、HEPES緩衝液、ホウ酸ナトリウム/HCl緩衝液、ホウ酸/NaOH緩衝液、ホウ酸ナトリウム/NaOH緩衝液、炭酸ナトリウム/炭酸水素ナトリウム緩衝液、炭酸水素ナトリウム/NaOH緩衝液、マレイン酸HNa/NaOH緩衝液、マレイン酸/Tris/NaOH緩衝液、フタル酸HK/NaOH緩衝液、カコジル酸ナトリウム/HCl緩衝液、酢酸/酢酸ナトリウム緩衝液、酢酸/NaOH緩衝液、コハク酸/NaOH緩衝液、酒石酸/NaOH緩衝液、イミダゾール/HCl緩衝液、ビシン/NaOH緩衝液、グリシン/NaOH緩衝液、Na2HPO4/NaOH緩衝液、NaOH/KCL緩衝液、リチウム塩溶液、ナトリウム塩溶液、カリウム塩溶液、マグネシウム塩溶液、カルシウム塩溶液、各種濃度の食塩水、希塩酸溶液、希硫酸溶液、イオン交換水、蒸留水、純水、超純水、水道水、井戸水、天然水等であるが、ヒトが摂取して安全なものであれば、どのような媒体にでも乳酸菌生菌体を懸濁し、これを健康のために利用することが可能である。 すなわち、媒体の種類は上記に列記したものに限られる必要はなく、各種の無機質、例えば鉄分等を含む適当な濃度の水溶液や、各種ビタミン類、例えばビタミンCやビタミンB群等の適当濃度水溶液等も利用できる。さらに、これらに適当濃度の甘味料を加えても利用することが可能である。従って、上記各種無機イオンに適当な濃度のビタミン類や甘味料を加えた各種スポーツ飲料もまた、懸濁媒体として利用することが可能である。 また、該懸濁媒体は、後述するように、その後のエームズテスト等による試験を行うことを考慮に入れると、緩衝液の場合は、塩強度やpHへの配慮が必要である。 また、ビタミンCやカルシウム等はエームズテストに強く影響を及ぼすため、試験を行うときは添加物の影響も考慮に入れる必要がある。さらに、上記各種懸濁媒体と用いる乳酸菌株との相性の点も考慮に入れ、必要に応じてその都度適性試験を行うべきである。 次いで、上記した抗変異原性を確認する試験の一つである抗変異原性試験(Ames test;エームズテスト)について説明する。 該エームズテストは、ヒスチジン合成能を失ったネズミチフス菌(Salmonella typhimurium TA98等)に発ガン性物質等を接触させることによってネズミチフス菌の突然変異体への変換を促し、この突然変異によってヒスチジン合成能を再獲得した同菌による集落を最小グルコース寒天培地上で検出することによって、発ガン性物質の存在と程度を検出する試験方法である。 以下に具体的な該エームズテストの試験手順について、好適な乳酸菌株である上記ラクトバシラス・プランタルムKK−2503(KK−2503)及びラクトバシラス・アリメンタリウスKN−15(KN−15)を用いて詳述する。試薬 例えば、試薬類として、HCA:3-amino-1,4-dimethyl-5H-pyrido[4,3-b]indole(Trp−P−1;和光純薬工業株式会社製)及び2-amino-3,4-dimethylimidazo[4,5-f]quinoline(MeIQ;和光純薬工業株式会社製)の2種を用いるが、該HCAはあらかじめDMSO(Dimethyl Sulfoxide ;SIGMA社)に適当な濃度に溶解後分注し、−80℃で凍結保存し、これを使用時に解凍して、Trp−P−1は60μMに、MeIQは1μMに滅菌蒸留水で希釈して用いる。試料 KK−2503及びKN−15に代表される乳酸菌は、MRS培地等の乳酸菌の発育増殖に適した培地で、例えば30℃で培養するが、該培地はMRS培地に限られるものではなく、これら乳酸菌が良好に増殖しうるものであれば任意のものを用いることができる。また、培養温度は菌種、菌株によって異なるので、適宜決定することができる。 対数増殖期を過ぎ、静止期に入った段階で培養を停止する。未だ対数増殖期にある菌や静止期を大きく過ぎて減少期に入った菌を用いた場合、活性乃至は収量の減少が見られる場合がある。これも菌株、培地の種類、培地の規模、接種量、培養温度等によって変化するので、その都度適宜試験して決定するのが望ましい。 上記で調製した2種の乳酸菌株(KK−2503及びKN−15)の生菌体を、それぞれ滅菌蒸留水で2回遠心洗浄する。蒸留水は4〜10℃程度に冷却したものを用い、遠心も4〜10℃程度で行うのが望ましい。遠心時の重力は、1000〜10000G程度であればよく、可能であれば7000G以上で短時間(10分以下)で終了するのが望ましい。1000〜1500G程度で遠心する場合は、4〜10℃の低温下で遠心することが、高い活性を保持し収量を低下させない点から好ましい。 また、当該遠心洗浄を実施する場合には上記冷却した媒体を用いることが望ましく、長時間の遠心時間や高い温度等の条件で遠心洗浄を行う場合には、活性並びに収量が低下する場合があるので留意する。 試料としては、KK−2503及びKN−15に関して、それぞれ上記遠心洗浄後、培地と等量の滅菌PBS(−)、滅菌生理食塩水または滅菌蒸留水等に懸濁させ、これを適当な温度で放置する。放置後、懸濁液を上記遠心条件で遠心し、上清を採取し、これを0.2μm程度のフィルターで濾過して用いる(試料1(KK−2503、KN−15))。 他の試料としては、KK−2503及びKN−15に関して、それぞれ上記遠心洗浄後、これを乾燥させた後、培地と等量の滅菌PBS(−)、滅菌生理食塩水または滅菌蒸留水等に懸濁させる。この場合、乾燥法は、凍結乾燥法、乾熱乾燥法、減圧乾燥法、噴霧乾燥法等、どのような方法でも良い。試料として、−80℃で保存の上記乳酸菌株2種(KK−2503及びKN−15)を解凍し、これをMRS液体培地(DIFCO社)10mlに対して20μl接種し、30℃、24時間培養する。次いで、1回同培地に継代し、同温度、同時間培養し、その後、遠心、洗浄過程を経て、生菌を得る。得られた生菌を、凍結乾燥法、乾熱法、減圧乾燥法、噴霧乾燥法等によって一旦乾燥させ、これをPBS(−)等に代表される貧栄養媒体及び無栄養媒体に当初のMRS液体培地量と等量に懸濁し、得られた懸濁液をボルテックス等で30秒程度攪拌する。さらに遠心によって菌体を除去し、得られた上清液を0.2μmのフィルターで濾過し、試料とする(試料2(KK−2503、KN−15))。ネズミチフス菌 サルモネラ・チフィムリウム TA98は、財団法人 発酵研究所より入手し、−80℃で保存の菌株を解凍後、50mlの0.5質量%NaCl添加Nutrient Broth(DIFCO社)に100μlを接種し、37℃、毎分120振蕩数で12時間培養したものを用いた。S−9ミックス エームズテスト用S−9/コファクターAセットとして、オリエンタル酵母工業株式会社より購入したものを用いた。 トップアーガー、最小グルコース寒天培地、ヒスチジン及びビオチン溶液の製造方法に関しては、Ames等の方法(Maron D.M. and Ames B.N. Revised methods for the Salmonella mutagenicity test. Mutation Res. 1983, 113. 173-215)に準じて製造したものを用いた。 以下に手順を詳述する。アイスボックスにプラスチック試験管を設置し、これに上記HCA、試料、S−9ミックスを200μlずつ加え、その後、37℃、毎分120回転で反応させた。25分間の反応後、試験管を再びアイスボックスに入れて該反応を停止させた。該反応液に、培養終了後10℃に保持しておいた上記サルモネラ菌液200μl、45℃に保持しておいた上記ヒスチジン及びビオチン添加トップアーガーを4ml加え、攪拌後、上記最小グルコース寒天培地1枚につき2mlを接種した。該最小グルコース寒天培地を1試料につき2枚ずつ用いた。 これを37℃の孵卵器内で48時間培養し、生じたサルモネラ菌の復帰突然変異体の集落数を数えた(以下、「復帰突然変異体集落数」)。 陽性対照として上記試料の代わりにPBS(−)を、陰性対照として上記試料の代わりにPBS(−)と上記HCAの代わりに蒸留水を加えた試験区を設け、抗変異原性活性を、以下の式に基づいて、陽性対照に対する試料試験区の阻止率(%)として表した。 阻止率(%)=[1−{(試料試験区の復帰突然変異体集落数−陰性対照の復帰突然変異体集落数)÷(陽性対照の復帰突然変異体集落数−陰性対照の復帰突然変異体集落数)}]×100 前記上記試料1を調製する際の、KK−2503、KN−15のPBS(−)懸濁液の放置温度の違いによる前記阻止率の変化を示す。図1−1と図1−2は、それぞれKN−15とKK−2503のPBS(−)懸濁液を、当該図中に示される各温度で、24時間放置後、上記阻止率を測定したものである。放置温度の上昇に伴って、阻止率が上昇する結果が得られた。また、試料1を調製する際に、両懸濁液(KN−15とKK−2503のPBS(−)懸濁液)を50℃と98℃(煮沸水)下に30分放置した後における、上記阻止率を測定したところ、図2−1(KN−15)と図2−2(KK−2503)の結果となった。 以上の結果から、生菌を媒体に懸濁放置する方法でAMS−LABを生産するには、短期的には50℃以上の温度で放置すれば良いことが理解され、また、当該物質は、加熱に耐性であることが示された。しかしながら、例えば4℃に於いても数ヶ月に亘って長期に放置すれば確実にAMS−LABが得られ、低温長期放置法もまた、生産方法の一つとして利用できることも確認した。また、50℃で放置すれば30分以内に高い活性が得られるが、そのまま12時間〜24時間程度保持することによって結果が安定する場合もあり、以下のいくつかの実験例では、50℃で12時間放置した試料を用いて行った。 次に、試料1を調製する際の、KK−2503、KN−15の生菌懸濁液で用いる懸濁媒体の相違による抗変異原性の阻止率の変化を示す。図3−1(KN−15の懸濁媒体の相違による抗変異原性の阻止率)及び図3−2(KK−2503の懸濁媒体の相違による抗変異原性の阻止率)に示すように、8種類(PBS(−)、PBS(+)、リン酸緩衝液、Tris(SIGMA社、製品番号T−1503)/HCL緩衝液、HEPES(SIGMA社、製品番号H−3375)、クエン酸/NaOH緩衝液、蒸留水(DW)、生理食塩水)の懸濁媒体を用意し(蒸留水並びに生理食塩水以外は各10mMで調製)、それぞれの媒体に生菌を懸濁させて、50℃で12時間懸濁放置したところ、10mM、pH7.0〜7.4のPBS(−)に懸濁させた時に、最も強い活性乃至は収量が得られた。 ここで、使用した各懸濁媒体の組成は、以下の通りである。 また、本発明における例において使用した媒体は、以下の組成のものである。かかる媒体の使用にあたり、調製後、高圧加熱法や濾過法等により滅菌することが好ましい。 なお、特に記載した以外のすべての塩は、市販の和光純薬工業株式会社製の特級のものである。・PBS(−)NaCl 8.0gKCl 0.2gNa2HPO4 1.15gKH2PO4 0.2g これを1000mlの蒸留水に溶解した。・PBS(+)NaCl 8.0gKCl 0.2gNa2HPO4 1.15gKH2PO4 0.2g これを800mlの蒸留水に溶解した(A)。CaCl2 0.5g これを500mlの蒸留水に溶解した(B)。MgCl2・6H2O 0.5g これを500mlの蒸留水に溶解する(C)。 各々別々に滅菌し、A:B:C=8:1:1(容積比)の割合で混合した。・リン酸緩衝液 0.2MのNa2HPO4を40.5ml、0.2MのNaH2PO4を9.5ml混合し、最終的に10mMになる様に蒸留水で希釈した(pH7.4)。・Tris/HCL緩衝液 SIGMA社、製品番号T−1503のトリズマベースを蒸留水に溶解し、塩酸でpH7.2〜7.4に調整後、さらに蒸留水を加えて10mM濃度にした。・HEPES緩衝液 SIGMA社製HEPES、製品番号H−3375を10mMに蒸留水に溶解した。・クエン酸/NaOH緩衝液 無水クエン酸を蒸留水に溶解し、これを水酸化ナトリウム溶液でpH7.2〜7.4に調整後、さらに蒸留水を加えて10mMにした。・生理食塩水 塩化ナトリウムを蒸留水に0.85%(W/V)に溶解した。 次に上記試料2を調製する際における乾燥法による結果を示す。KN−15とKK−2503の上記洗浄菌体を、凍結乾燥、乾熱乾燥、減圧乾燥の方法で乾燥させた。菌体はMRS液体培地で培養後、これを等量に三分割し、各々を蒸留水で2回洗浄、遠心により菌体のみを回収し、以下の乾燥法に適用した。凍結乾燥は、菌体を−80℃で凍結後、東京理科器械株式会社製の凍結乾燥機(FREEZE DRYER FD-5N)を用い、18時間乾燥させた。乾熱乾燥においては、ヤマト科学株式会社製の乾熱乾燥機(Drying Sterilizer SH400)を用い、105℃で1時間乾燥させた。減圧乾燥法は、アズワン株式会社製の減圧乾燥機(VACUUM OVEN AVO-310)を用い、70℃で2時間乾燥させた。これらをPBS(−)中に、上記MRS液体培地に於ける濃度と同じ濃度に懸濁し、アズワン社製のTUBE MIXER TRIO TM-1を用い、2500回転で30秒攪拌した。その後、10000gで10分遠心し、上清を採取後0.2μmで濾過し、エームズテストに供した(図4−1はKN−15の結果、4−2はKK−2503の結果を示す)。この結果から、菌体を乾燥させた後にPBS(−)に懸濁すれば、瞬間的に、AMS−LABが懸濁液中に生産されることが理解される。 次に、KN−15とKK−2503の前記凍結乾燥菌体と、湿菌体(凍結乾燥処理等の乾燥処理前の菌体)との比較を行った。両者とも前記MRS液体培地で培養後、等量に二分割し、凍結乾燥菌体と乾燥させていない湿菌に分け、上記と同様にPBS(−)または蒸留水中に懸濁後、2500回転で30秒攪拌し、上清をエームズテストに供した(図5−1はKN−15の結果、5−2はKK−2503の結果を示す)。この結果から、乾燥菌体の懸濁攪拌上清は両菌株共に高い活性を示すが、湿菌のそれは低いままである事が理解された。一方、KK−2503株においては、湿菌であってもPBS(−)に懸濁すれば、瞬時に中程度の活性を示し、また、同菌の凍結乾燥菌体は、蒸留水に懸濁しても高い活性を示す事がわかった。 次に、上記KN−15とKK−2503の洗浄菌体を凍結乾燥し、これを各種濃度の食塩水に上記と同様に懸濁、攪拌し、上清の上記阻止率を測定した(図6−1はKN−15の結果、6−2はKK−2503の結果を示す)。この結果から、PBS(−)の代わりに食塩溶液を用いても、塩濃度に応じてAMS−LABが生産されることが理解された。また、KK−2503の場合は、一旦乾燥すれば、塩を含まない、例えば蒸留水等への懸濁においても、即時に活性が得られる事が理解された。 次に、上記2種の乳酸菌株(KK−2503、KN−15)を用いて得られた、各AMS−LABの一般的性質を示す。 前記2種の乳酸菌株(KK−2503、KN−15)をMRS液体培地10mlで30℃、24時間培養後、滅菌PBS(−)に1/1に懸濁し、これを50℃で12時間放置、その後遠心して菌体を排除し、0.2μmのフィルターで濾過した各上清液(AMS−LAB/PBS(−)と表す)を用いて、上記Trp−P−1とMeIQに対して、即日、エームズテストにより、以下の一連の実験を行った。 AMS−LAB/PBS(−)のエームズテストに於ける抗変異原性効果は、上記サルモネラ・チフィムリウムTA98菌に対する直接的な毒性によるものではなく、また、AMS−LAB自体の変異原性は、少なくとも上記条件で調製した試料を用いて試験を行う限りに於いては観察されなかった。 次いで、AMS−LAB/PBS(−)に1N HClを加え、pH2.5前後に調整した溶液に0.32%にペプシンを加えた後、90分、毎分120回振蕩、37℃で消化させた。更にその後、1N NaOHを加えてpH7.0前後に戻し、0.1%にパンクレアチンを加え、引き続き同条件で消化させた。次いで、20分煮沸(98℃)して消化酵素を失活させた(図7中の消化液処置)。対照として、上記消化酵素(パンクレアチンとペプシン)並びに上記pH調整剤(HClとNaOH)を加えていないAMS−LAB/PBS(−)(図7中の無処置対照)と、PBS(−)に上記消化酵素(パンクレアチンとペプシン)と上記pH調整剤(HClとNaOH)を同濃度に加えた物(図7中の消化液対照)を用意し、同条件で処置した。 これらの抗変異原活性を調べたところ、AMS−LAB/PBS(−)を消化酵素で処置しても、失活は殆ど見られなかった(図7)。 なお、以上に示してきた試験結果は、それぞれ少なくとも3回行い、3つの結果の平均値として標準偏差値と共に表現したものである。 また、以上はin vitroに於ける試験管的実験結果であるが、以下にマウスを用いたin vivoの実験結果についても説明する。 KN−15によるAMS−LAB/PBS(−)の凍結乾燥物、並びにAMS−LAB/DW(KN−15を滅菌蒸留水に懸濁後、懸濁上清から得られたAMS−LAB)の凍結乾燥物を準備し、それぞれをマウスに経口投与して、発ガン性物質による細胞核の損傷をAlkaline Single Cell Gel Electrophoresis、通称コメットアッセイで調べた。 発ガン性物質による細胞核の損傷は、その後のガン化の引き金となる現象であり、コメットアッセイの方法は基本的にSasakiらの方法(Sasaki Y.F. et al. Detection of rodent liver carcinogen genotoxicity by the alkaline single-cell gel electrophoresis(Comet)assay in multiple mouse organs(liver, lung, spleen, kidney, and bone marrow). Mutation Res. 1997, 391. 201-214)に準じて行った。以下に詳述する。試料 −80℃で保存してあるKN−15を解凍し、10mlのMRS液体培地に20μl接種後、30℃で24時間培養した。これを1度継代し、24時間後、2リットルの同培地に4ml接種、30℃で48時間培養した。4℃、1500Gで20分遠心し、冷却滅菌蒸留水或いは冷却滅菌PBS(−)で2回洗浄後、500mlの滅菌蒸留水或いは滅菌PBS(−)に濃縮懸濁した。これを、蒸留水に懸濁した場合(AMS−LAB/DW)は48時間、PBS(−)に懸濁した場合(AMS−LAB/PBS(−))は1週間、37℃で放置した。その後、前記条件で遠心し、上清を採取し、これを0.2μmで濾過後、上記凍結乾燥器を用いて乾燥し、24時間後、AMS−LAB/PBS(−)、並びにAMS−LAB/DWの凍結乾燥品を得た。試薬 発ガン物質として、ジメチルヒドラジン(1,2-dimethylhydrazine、DMH;東京化成工業株式会社)を用いた。ホモジナイズ用緩衝液組成75mM NaCl 24mM Na2EDTApH 7.5細胞溶解液組成NaCl 14.61gEDTA・2水和物 3.7224gTris 0.12114gDMSO 10mlTriton−X 1ml これらを蒸留水で100mlとする(pH 10.0)。EP緩衝液組成NaOH 12gEDTA 0.292g これらを蒸留水で1000mlにし、pHを13.0に調整した。低温溶解アガロース溶液 アガロースL(和光純薬工業株式会社製)を0.5%にPBS(−)に溶解し、分注して室温で保存した。使用直前に電子レンジでゾル化し、37℃で保持した。スライドグラス 0.75%アガロース水溶液(アガロース1500:同人化学研究所)を作製し、80℃程度にホットプレート上でビーカーに保持した。これと同時に蒸留水を入れたビーカーも同温度でホットプレート上で保持し、これにスライドグラスを入れた。 80℃の蒸留水からスライドグラスを取り出し、これを直ちにアガロース水溶液のビーカーに、スライド表面が十分に浸かるように入れ、直ちに取り出した。余分な溶液を良く落とした後、片面をペーパータオル等でアガロース水溶液をぬぐい取った。アガロース水溶液が残った面を表にして自然乾燥させ、スライドグラス上に薄いアガロース膜を作成した。 かかるスライドグラスを使用枚数分あらかじめ用意した。ヨウ化プロピジウム溶液 ヨウ化プロピジウム(和光純薬工業株式会社製)を1mg/mlの割合で蒸留水に溶解後、分注し、−28℃で保存。使用直前に解凍し、PBS(−)で20倍に希釈して用いる。動物 CD−1マウス(7週齢;雄)を日本チャールズリバー株式会社より購入し、4匹ずつ滅菌済みマウス用ケージに収容後、動物室で飼育した。飼育条件として動物室は、室温23±2℃、湿度50±10%に維持され、12時間周期で明暗が入れ替わるように設定した。購入後1週間、マウスの異常の有無を観察し、その後8週齢に達した時点で実験に供した。観察期間中は、餌はオリエンタル酵母工業株式会社より購入したMF(製品名)ペレットの自由採餌とし、飲水は水道水の自由飲水とした。実験−1 上記AMS−LAB/PBS(−)凍結乾燥品を1質量%となるように粉末MFに混ぜ、ビスケット状に整えて乾燥させたものを作製した。対照として、粉末MFのみをビスケット状にしたもの、並びに該粉末MFにAMS−LAB/PBS(−)凍結乾燥品中に含まれる量と等量の、上記組成を有するPBS(−)組成塩類を混ぜてビスケット状にしたものを作製した。 各群マウス4匹ずつとし、各々の群に上記飼料を自由採餌させた。1週間後、マウス体重1kg当たり20mgの割合に、およそ0.5mlのPBS(−)に溶解したDMH(ジメチルヒドラジン)を、胃ゾンデを用いて経口的に投与した。実験−2 上記AMS−LAB/DW凍結乾燥品をマウス1匹当たり50mg/0.5mlにPBS(−)に溶解し、これを胃ゾンデを用いてマウスに経口投与した。30分後、マウス体重1kg当たり30mgにDMHをおよそ0.5mlのPBS(−)に溶解し、同様に投与した。陽性対照群にはDMHを、陰性対照群にはPBS(−)のみを同様に投与した以外は、前記実験−1と同様に行った。コメットアッセイ DMHの投与3時間後、ジエチルエーテル(和光純薬工業株式会社)を用いて麻酔下で断頭屠殺を行い、肝臓並びに大腸を採取した。大腸はPBS(−)にて内容物を洗い流した後、速やかに縦方向に切開してスクレーパーにて粘膜を採取した。 肝臓は重量測定後、10mlの氷冷ホモジナイズ用緩衝液を満たしたポッター型ホモジナイザー容器に丸ごと入れ、均一になるまで氷冷下で800回転でホモジナイズした。 同じく大腸粘膜は5mlの氷冷ホモジナイズ用緩衝液を満たしたポッター型ホモジナイザー容器に入れ、同条件でホモジナイズした。 ホモジナイズ終了後、内容物を700Gで10分間遠心した。肝臓のホモジネートを、3回同液で洗浄した。大腸粘膜の場合は洗浄せずに用いた。 遠心終了後、細胞核数がおよそ106/ml程度のオーダーになるように、37℃で保持しておいた低温融解アガロース溶液に浮遊させた。1枚のスライドを2区画に分け、それぞれに同じ試料の浮遊液を75μl乗せ、カバーグラスで覆った(duplicate)。マウス1匹につき、肝臓試料標本、大腸粘膜試料標本それぞれ1枚ずつ作製した。 これらをステンレスバットに入れてアルミホイルで遮光し、4℃で10分間保持してアガロースを固化させた。固化後、カバーグラスを慎重に外し、スライド全面が浸るまで細胞溶解液を満たし、再び4℃で遮光しつつ保持した。 1時間後、細胞溶解液を捨て、EP緩衝液を満たしたサブマリン型泳動装置(AE−6111サブマージ・アガロース電気泳動装置;アトー株式会社)にスライドを設置した。 EP緩衝液は予め4℃で冷却してあるものを用い、泳動装置は装置ごとに遮光、氷冷しつつ用いた。スライドはEP緩衝液中で40分保持し、その後、25V、300mAで20分泳動させた。泳動終了後、スライドを0.4MのTris/HCl緩衝液(pH7.5)で3回洗浄し、メタノールで固定後、風乾した。 その後、スライドを入れた容器にヨウ化プロピジウム溶液を加え、振蕩装置上でゆっくりと振蕩しながら10分間染色し、蒸留水でリンス後、風乾してスライド標本とした。 暗室内で蛍光顕微鏡(DMLB2;LEICA社)を用いてこれを観察し、その後、CCDカメラ(DC 480;LEICA社)で画像をパソコンに取り込んだ。スライドは100倍で撮影し、蛍光の励起波長は546nm、吸収波長は590nmであった。取り込んだ画像はパソコン上でLab Works 4.0画像解析ソフトウエア(UVP社)を用いて解析し、細胞核の長さを測定した。 該細胞核はスライド1区画につき50個を測定し、2区画の平均値をマウス1匹分の値とした。細胞核長は、全体長から核の直径を差し引いた値を尾長(migration length)とし、μmで表した。結果は、分散分析(ANOVA)処置後、TukeyのHSD法で検定した。p<0.05以下を有意差有りと判定した。 その結果を図8−1(実験―1:KN−15の凍結乾燥AMS−LAB/PBS(−)1%添加MFにCD−1マウス(8週齢、雄、n=4)への1週間給餌によるDMH20mg/kg投与より誘発された大腸粘膜細胞ならびに肝臓細胞核障害に対する防御効果:尾長(migration length)(μm):★p<0.05、★★★p<0.001)、及び図8−2(実験―2:KN−15の凍結乾燥AMS−LAB/DW50mg/マウスのCD−1マウス(8週齢、雄、n=4)への単回投与によるDMH30mg/kg投与より誘発された大腸粘膜細胞ならびに肝臓細胞核障害に対する防御効果:尾長(migration length)(μm):★★★p<0.001)に示す。 コメットアッセイの結果から、AMS−LABは試験管内での実験においてのみ効果があるのではなく、経口的に摂取しても生体において抗変異原性を発揮すること、さらに、HCAのみならず、ジメチルヒドラジン等の他の発ガン性物質に対しても効果的であることが明らかとなった。 以上の実験は全てラクトバシラス・プランタルムKK−2503(KK−2503)及びラクトバシラス・アリメンタリウスKN−15(KN−15)を用いて行った実験であるが、以下に多くの種類の乳酸菌からAMS−LABが得られることを示す。 23種の乳酸菌種の標準株(タイプストレイン;独立行政法人 理化学研究所 バイオリソースセンターより購入)を用い、これらの生菌を10mlのMRS液体培地で30℃、或いは37℃で24時間培養後、遠心により菌体を蒸留水にて洗浄、回収し、これを10mlのPBS(−)に懸濁し、50℃で30分放置してAMS−LABを生産した試料(上記試料1の調製法に相当)、或いはこれら生菌を洗浄後凍結乾燥し、これを0.8%食塩水10mlに懸濁して作製した試料(上記試料2の調整法に相当)を用いて、エームズテストを行った結果、該各標準株の多くが、AMS−LAB活性を示すことが確認された(図9−1は湿菌を50℃で30分放置した場合の結果、9−2は凍結乾燥菌体の結果を示す)。一方で、対照として設定した大腸菌に代表されるグラム陰性菌群、並びに食中毒等の原因菌である黄色ブドウ球菌は、全く活性を示さなかった(図10)。図10は、これらの菌を30mlの0.5質量%NaCl添加NB液体培地(Difco)で37℃で24時間、毎分120振蕩数で培養し、蒸留水(DW)で洗浄後、凍結乾燥し、これを乳酸菌株の場合と同様にして0.8%食塩水に1/1に懸濁後、上清を採取して試料としたものを、エームズテストに供した結果である。 すなわち、AMS−LABの生産量、或いはAMS−LABの抗変異原活性の程度は、菌属、菌種、或いは菌株で異なるが、多くの種類の乳酸菌がAMS−LABを保持、或いは生産する一方で、その他のいわゆる「悪玉菌」と称される菌においては、その多くはこれを保持しない、と考えることができる。換言すれば、いわゆる「善玉菌」と「悪玉菌」を区別する方法において、AMS−LABの生産の有無が、極めて重要な峻別因子の一つとなりうることを示すものである。 これらの乳酸菌標準株は、ラクトバシラス・アリメンタリウスJCM−1095、ラクトバシラス・プランタルムJCM−1149、ラクトバシラス・ファーメンタムJCM−1173、ラクトバシラス・ペントーザスJCM−1558、ラクトバシラス・アリゾネンシスJCM−11125、ラクトバシラス・パラプランタルムJCM−12533、ラクトバシラス・ブレビスJCM−1059、ラクトバシラス・クルバータスJCM−1096、ラクトバシラス・ロイテリーJCM−1112、ラクトバシラス・ヘルベティカスJCM−1120、ラクトバシラス・ガッセリJCM−1131、ラクトバシラス・アシドフィルスJCM−1132、ラクトバシラス・カゼイJCM−1134、ラクトバシラス・ラムノーザスJCM−1136、ラクトバシラス・サケイJCM−1157、ラクトバシラス・サリバリウスJCM−1231、ラクトバシラス・サケイ・サブスピーシーズ・カルノーザスJCM−12491、ラクトバシラス・ケフィリJCM−5818、ラクトバシラス・パラカゼイJCM−8130、ラクトバシラス・キムチJCM−10707、リューコノストック・メゼンテロイデスJCM−9700、ラクトコッカス・ラクティスJCM−5805である。 次に、懸濁上清中に得られたAMS−LABの採取法について述べる。例えば、PBS(−)等の様な塩溶液に懸濁させた後にAMS−LABのみを抽出する場合は、これらの塩を除去する。塩の除去には、限外濾過膜法、ゲル濾過法、ODSカラムを用いる等、様々な公知の手段があるので、適宜これらを適用することができる。いずれの方法においても、例えば濾過膜等に対する吸着等、しばしばAMS−LABの損失が生じる可能性がある場合には、適宜に工夫して濾過する。 また、ODSカラムを70%エタノールで平衡化した後にAMS−LABを吸着させ、その後、50%前後のアセトニトリル/蒸留水溶液で溶出する方法を用いて、AMS-LABを採取することができることを確認した。簡便的には、イオン交換水や蒸留水、純水等に懸濁した後に加熱生産する方法を好適に用いることができる。 本発明の方法により得られたAMS−LABは、遠心して菌体を除去した後にAMS−LABを利用することも、或いは菌体の有する変異原物質吸着効果や免疫賦活効果をも期待して、菌体を排除せずにAMS−LABを利用することもできる。 さらにその後水分を除去してAMS−LABのみを抽出しても良いし、AMS−LAB及び菌体として固形化、粉体化して用いても良い。 また、得られたAMS−LABに、瞬間高温滅菌、煮沸滅菌、高圧滅菌等を施した後に利用しても、そのままで用いても良い。 また、当該AMS−LABは、蒸留水、イオン交換水、純水、食塩水、各種緩衝液、スポーツ飲料等のいわゆるアイソトニック飲料、ビタミン添加溶液等々その他、ヒトが摂取して安全なものであれば、どのような媒体にでも乳酸菌生菌体を懸濁し、これをガンの予防等、健康のために利用することが可能となる。 従って、各種の甘味料や香料等を添加して食品として用いても、各種賦形剤等を加えて抗変異原作用を有する健康食品や医薬品として開発利用することも可能となる。 乳酸菌ラクトバシラス・プランタルムKK−2503株菌(受託番号:NITE BP−334)またはラクトバシラス・アリメンタリウスKN−15株菌(受託番号:NITE BP−333)を貧栄養媒体または無栄養媒体中に懸濁放置することでヘテロサイクリックアミン類に対する抗変異原性物質を該懸濁液中に生産することを特徴とする、乳酸菌を用いた抗変異原性物質の生産方法。 請求項1記載の乳酸菌を用いた抗変異原性物質の生産方法において、貧栄養媒体または無栄養媒体は、カルシウム塩及びマグネシウム塩無添加リン酸緩衝下生理食塩水(PBS(−))、カルシウム塩及びマグネシウム塩添加リン酸緩衝下生理食塩水(PBS(+))、リン酸緩衝液、KH2PO4/NaOH緩衝液、Tris/HCl緩衝液、クエン酸緩衝液、クエン酸/NaOH緩衝液、クエン酸/クエン酸ナトリウム緩衝液、HEPES緩衝液、ホウ酸ナトリウム/HCl緩衝液、ホウ酸/NaOH緩衝液、ホウ酸ナトリウム/NaOH緩衝液、炭酸ナトリウム/炭酸水素ナトリウム緩衝液、炭酸水素ナトリウム/NaOH緩衝液、マレイン酸HNa/NaOH緩衝液、マレイン酸/Tris/NaOH緩衝液、フタル酸HK/NaOH緩衝液、カコジル酸ナトリウム/HCl緩衝液、酢酸/酢酸ナトリウム緩衝液、酢酸/NaOH緩衝液、コハク酸/NaOH緩衝液、酒石酸/NaOH緩衝液、イミダゾール/HCl緩衝液、ビシン/NaOH緩衝液、グリシン/NaOH緩衝液、Na2HPO4/NaOH緩衝液、NaOH/KCL緩衝液、リチウム塩溶液、ナトリウム塩溶液、カリウム塩溶液、マグネシウム塩溶液、カルシウム塩溶液、希塩酸溶液、希硫酸溶液、イオン交換水、蒸留水、純水、超純水、天然水、井戸水、水道水、ミネラル添加水、ビタミン添加水、スポーツイオン飲料からなる群より選ばれることを特徴とする、乳酸菌を用いた抗変異原性物質の生産方法。


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