タイトル: | 公表特許公報(A)_前立腺特異抗原の倍加時間を延長させるためのザクロ抽出物の使用方法 |
出願番号: | 2009500616 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | A61K 36/18,A61P 35/00 |
ライカー,ハーリー JP 2009530313 公表特許公報(A) 20090827 2009500616 20070315 前立腺特異抗原の倍加時間を延長させるためのザクロ抽出物の使用方法 ポム ワンダフル エルエルシー 507388409 POM WONDERFUL, LLC 柳田 征史 100073184 佐久間 剛 100090468 ライカー,ハーリー US 60/782,437 20060315 A61K 36/18 20060101AFI20090731BHJP A61P 35/00 20060101ALI20090731BHJP JPA61K35/78 CA61P35/00 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MT,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SV,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW US2007064112 20070315 WO2007106909 20070920 13 20081117 4C088 4C088AB12 4C088AC04 4C088BA08 4C088NA14 4C088ZA81 4C088ZB26関連出願の説明 本願は、ここに参照することにより本願に援用される、2006年3月15日出願の米国仮特許出願第60/782,437号の利益を主張するものである。 本発明は、一般に、前立腺特異抗原の倍加時間を延長させることによる、前立腺癌の治療のためのザクロ抽出物及びその使用方法に関する。 食用植物中の植物化学物質は、抗酸化を通じて、また、遺伝子−栄養素相互作用を介して、癌を予防する利益を有する可能性がある。ザクロ果汁はポリフェノール性のフラボノイドの豊富な供給源であることが示されている。ザクロ果汁は、主として水溶性のタンニン及びプロアントシアニンであるフラボノイドの含量が高いことから、目覚しい抗酸化特性を有している。 前立腺癌は、最も一般的な侵襲性の悪性腫瘍であり、米国男性の癌に関する死亡原因のうち2番目に多く、多くの西洋諸国においても似たような傾向にある。前立腺癌の生物学的攻撃性は腫瘍の大きさと直接関係しており、腫瘍容積は、血清の前立腺特異抗原(PSA)に比例する。年齢が最も一般的な危険因子であり、前立腺癌の症例の70%近くが、65歳以上の男性に発症している。男性のPSA濃度が高くなるにつれ、癌が存在する可能性も高くなる。しかしながら、最近の研究では、PSA濃度が4.0ng/ml未満の男性に前立腺癌が発見された。PSA上昇試験では、ほとんどの男性が癌を有していないことが判明している。すなわち、PSA濃度が上昇したことにより生検を受けた男性の25〜30%しか、実際には前立腺癌を有していない。前立腺の生検は、前立腺癌のさらなる診断に用いられる主な方法である。 局所的な前立腺癌を治療するために外科手術または放射線治療を受ける患者の多くは、治療後にPSA濃度の上昇を経験する。使用する方法の1つは、PSA濃度の経時変化に基づいた、PSA速度の測定である。PSA濃度の急激な上昇は、癌の疑いを惹起させる。前立腺全摘出術または局所的な前立腺癌の放射線治療後の患者のPSA濃度の上昇速度が、癌の攻撃性及び増殖速度と関連していることが知られており、したがって、急激なPSAの上昇は、患者の臨床転帰が悪いことと関係し、逆もまた同様である。非治療の前立腺癌患者の研究では、倍加時間が短い患者は、臨床病期が進行し、また組織学的悪性度が高くなることが判明した一方で、倍加時間が長い患者では、臨床転帰はより好ましく、遅延された治療において悪性度の低い腫瘍が見られた。ホルモン治療及び放射線治療を併用して治療した前立腺癌の男性では、治療後のPSA倍加時間≦8ヶ月が悪性の臨床転帰と関係し、生存低下についての早期代理マーカーとなるであろう。 さまざまな研究により、多様な癌細胞系における種々のザクロ組成物についての、抗増殖効果及びアポトーシス促進効果を含む、インビトロにおける癌の化学的予防特性について報告された。幾つかの研究は、前立腺癌細胞系におけるザクロ組成物の効果についての調査であった。Lanskyらの研究では、種々のザクロ混合物について、マトリゲル(Matrigel(商標))上のヒト前立腺腺癌PC−3の侵襲及び増殖の抑制、及び、侵襲性に関連するホスホリパーゼA−2発現の抑制が観察された。Malikらの研究では、ザクロ果実抽出物における、サイクリンキナーゼ阻害剤−サイクリン−サイクリン依存性キナーゼ(cdk)情報伝達経路における調節を介した、細胞増殖の抑制、及び、その後のPC−3のアポトーシスについて報告された。Malikらの研究では、アンドロゲン感受性ヒト前立腺CWR22Rvl細胞を移植した胸腺欠損ヌードマウスへのザクロ果実抽出物の投与が、血清の前立腺特異抗原濃度の大幅な低下と同時に、腫瘍増殖の顕著な抑制を生じることについても報告された。ザクロの、ヒト前立腺癌細胞系におけるインビトロでの抗腫瘍活性、及び、CWR22Rvl細胞のインビボでの異種移植についての結果は、単に、ヒト前立腺癌のインビボでの治療における、癌の化学的予防及び癌の化学治療効果の可能性を示唆しているに過ぎない。 Albrechtらの研究では、PC−3、ヒト前立腺癌LNCaP、及び、ヒト前立腺癌DU145の各ヒト癌細胞系における細胞増殖、細胞周期分布、アポトーシス、遺伝子調節、及び腫瘍増殖に対する、ザクロ抽出物のインビトロでの抗腫瘍活性が観察されたのに対し、正常な前立腺上皮細胞(hPrEC)では、悪影響が顕著に少なかった。Albrechtらの研究では、ザクロ抽出物を皮下注射された胸腺欠損ヌードマウスにおける、インビボでの異種移植片PC−3の腫瘍増殖に対する強力な阻害作用もまた観察された。ザクロ抽出物の投与がヒト前立腺癌に対する抗腫瘍活性を有しているか否かは判明していないことから、ザクロ抽出物の皮下注射についての、ヌードマウスにおけるインビボでの異種移植片PC−3の増殖阻害の観察では、ヒト被験体における前立腺癌のインビボでの治療の有効性は立証されていない。 ザクロ組成物の潜在的な治療効果を評価するためには、臨床評価に先駆けて、インビトロでの試験及びインビボでの動物試験が必要とされる。抗癌剤についての多くの人体試験では、臨床試験における臨床効果の決定的な評価にまでは進行しておらず、有効性及び耐容性について、抗癌治療法を取得し、立証するためには、インビトロ及びインビボでの研究を、研究施設から人体における臨床試験へと転換することが必要である。本発明以前に、ザクロ果汁を前立腺癌の治療の第二相試験へと進行させた先行技術試験は無かった。新規制癌剤の第二相試験の目的は、その薬剤が特定の種類の腫瘍に対して十分な活性を有しているか否かを判断し、その薬剤のさらなる開発を正当化せしめることである。 本発明は、患者によるザクロ果汁の消費が前立腺癌の治療に使用可能であることの発見に基づくものである。本発明に先駆けて、さまざまなザクロ組成物が、多種多様な、インビトロでのヒト前立腺癌細胞系の治療、及び、インビボでの、胸腺欠損ヌードマウスに異種移植されたヒト前立腺癌細胞系の治療において、癌に対する化学的予防特性を有することが観察されている。しかし、本発明が見出されるまでは、任意の投与経路によるヒト患者における前立腺癌の治療が有効であるか否かは不明であった。 本発明は、前立腺癌を有する被験体を、治療に有効な量のザクロ果実抽出物を含む組成物で治療する方法を提供する。ザクロ抽出物は、ザクロの果汁抽出物、ザクロの内皮または外皮抽出物、またはそれらの混合物であって差し支えない。 本発明の実施の形態に従って、ザクロ果汁を、前立腺手術または放射線治療後に血清PSAが上昇した被験者の治療に使用してもよい。本発明は、前立腺癌の外科手術または放射線治療を受けた後の、PSA濃度の上昇を伴う被験体においてインビボでのPSA倍加時間の延長の効果を示す、ザクロ果汁治療の有効性について説明する。ヒト前立腺癌細胞系のインビトロでの治療を目的として、毎日ザクロ果汁を投与された被験体由来の血清が抗増殖性及びアポトーシス促進性の作用を示すという観点からの方法を提供する、本発明の別の実施の形態を通じて、ザクロ果汁の癌に対する化学的予防特性をさらに証明する。本発明の他の目的、特徴及び利点は、詳細な説明から、当業者に明らかとなるであろう。しかしながら、詳細な説明及び特定の実施例は、本発明の好ましい実施の形態を示すものであるが、例証として示すのであって限定されることは意図していないものと理解されたい。本発明の精神から逸脱することなく、本発明の範囲内で多くの変更及び修正が行われるであろうし、本発明は、こういった修正物及び等価物のすべてを含むものである。 本発明の1つの態様は、前立腺癌患者の治療方法を提供する。本方法には、治療に有効な量のザクロ抽出物を含む組成物を患者に投与する工程が含まれる。 本発明の目的では、ザクロ抽出物は、ザクロ果実全体、またはザクロ果実の任意の構成要素からの抽出物であって構わない。本発明の抽出物の調製に使用して差し支えないザクロ果実の構成要素の例としては、限定はしないが、ザクロ果実の果汁、種子、及び内皮と外皮が挙げられる。本発明の1つの実施の形態では、抽出物はザクロ果実全体の果汁抽出物である。本発明の別の実施の形態では、抽出物はザクロ果実の内皮または外皮に由来する。本発明のさらなる実施の形態では、抽出物はザクロ全体またはザクロの任意の構成要素の2種類以上の抽出物の混合物である。「植物化学物質」という用語は、ザクロ中の天然化学物質、及びこれらの化合物の反応生成物及び代謝産物を総称するものであり、これらは、人間の健康に薬効を有すると考えられている。このような植物化学物質の例としては、限定はしないが、ポリフェノール、エストロゲン及び植物性エストロゲンが挙げられる。「ポリフェノール」という用語は、一般に、ザクロ中の天然化合物の一種のことを称し、フェノール及びポリフェノールが含まれる。フェノールは、その構造が単一のフェノール単位から構成される化合物の種類である。アルコールと似ているが、フェノールは、芳香環が酸素と密接に結合し、酸素と水素の間の結合が比較的緩いことにより、比較的酸性度が高いということを含めた、独特の特性を有している。この群のフェノール性化合物の例としては、エラグ酸及び没食子酸が挙げられる。ポリフェノールは、1つ以上のフェノール基の存在によって特徴付けられる化合物群である。ポリフェノールとしては、タンニン(例えば、エラジタンニン及びガロタンニン)、フラボノイド(例えば、アントシアニン及びイソフラボン)及びスチルベン(例えば、レスベラトロル)が挙げられる。「ザクロ果汁」という用語は、ザクロの仮種皮から実質的に得られる果汁のことをいう。「ザクロ固形物」という用語は、ザクロの果皮、内膜及び種子のいずれか1つまたはそれらの組合せのことをいう。 ザクロ果実全体からの果汁を含む、抽出物の調製方法は、参照することにより本願に援用される、"METHODS OF USING POMEGRANATE EXTRACTS FOR CAUSING REGRESSION IN LESIONS DUE TO ARTERIOSCLEROSIS"と題される米国特許第6,977,089号、及び、"PROCESSES FOR EXTRACTING PHYTOCHEMICALS FROM POMEGRANATE SOLIDS AND COMPOSITIONS AND METHODS OF USE THEREOF"と題される米国特許出願第11/137,248号の各明細書に記載されている。一般に、ザクロ中の天然のザクロ抽出物及び果汁を調製する可能ないずれの方法も使用して差し支えない。本発明の目的では、果汁を天然の濃度から濃縮してもよいし、希釈してもよい。果汁にザクロの他の構成要素抽出物を混合して、有効性を高めてもよい。 ザクロの構成要素、すなわち、種子、内皮または外皮からの抽出物を、単独で使用してもよいし、果汁と組み合わせて使用してもよい。例えば、ザクロの種子、内皮または外皮を水で希釈し、その抽出物を破砕、圧搾、または大規模なボルテックスによって調製して差し支えない。抽出物の不溶性物質を、抽出物の水溶性の上清から分離してもよい。抽出物の任意の油状脂質画分も使用して構わないが、本発明の目的には、抽出物の上清を使用することが好ましい。ザクロの構成要素からの抽出物を濃縮または希釈してもよく、あるいは、互いに、またはザクロ果汁抽出物と、混合して差し支えない。 本発明の1つの実施の形態に従って、(a)内皮、外皮、及び種子を含むザクロ果実全体を破砕及び圧搾し、果汁成分及び不溶性の副産物成分を取得し、(b)前記不溶性の副産物成分から前記果汁成分を分離する、各工程を有してなる方法によって、本発明の抽出物を調製して差し支えない。限定はしないが、水またはアルコールなどの水性媒体に不溶性の副産物成分を再懸濁し、さらに破砕、圧搾、及び混合して、可溶性部分及び不溶性部分を得てもよい。次に、可溶性部分を不溶性部分から分離し、本発明の構成要素の抽出物を生産して差し支えない。あるいは、可溶性部分を果汁抽出物と組み合わせて本発明の抽出物を生産して構わない。 本発明の1つの実施の形態では、ザクロ果実全体を酵素処理して抽出及び濾過を改善してもよい。例えば、ペクチナーゼを用いて果実全体を処理し、ペクチンゲルの形成を防止して差し支えない。当技術分野で既知の他の酵素もまた、本発明の抽出物の抽出及び濾過を改善可能である限り、使用して構わない。 本発明のザクロ抽出物は、液体または固体の形態であって差し支えない。本発明の1つの実施の形態にしたがって、本発明の抽出液を凍結乾燥することにより、固形抽出物を調製してもよい。あるいは、種子、内皮または外皮、もしくは上述の任意の不溶性部分などのザクロの構成要素を直接処理して、本発明の固形抽出物を形成して差し支えない。例えば、ザクロの構成要素を乾燥し、粉末または丸薬の形態に「加工」して、本発明の固形抽出物として直接使用してもよい。 本発明の1つの実施の形態では、次の方法を用いてザクロ抽出物を調製して差し支えない。果皮、内膜及び種子のいずれか1つ、またはそれらの組合せを選択し、ザクロ固形物及び水溶液を含む混合物を形成する。次にその混合物を約15.56℃(華氏60°)〜98.89℃(華氏210°)まで、好ましくは約29.44℃(華氏85°)〜85℃(華氏185°)まで、最適には約43.33℃(華氏110°)〜71.11℃(華氏160°)まで、加熱する。混合物に、少なくともある程度ザクロ固形物が分解するのに十分な量の酵素を加え、植物組織及び/または細胞から植物化学物質を遊離させる。一旦遊離されると、植物化学物質は反応及び/または重合して新しい植物化学物質または反応生成物を創出する。残る不溶性の固形物質を混合物から除去し、植物化学物質を含む抽出物を得る。別の実施の形態では、ザクロ由来の植物化学物質を含む抽出物を提供し、本明細書に記載される治療目的に使用する。このような抽出物は、総ポリフェノール含量、特に、高分子量ポリフェノール(例えば、punicalagin)の含量が、ザクロ果汁のみで見られるよりも、著しく高いことによって特徴付けられる。このような抽出物は、本明細書に開示される方法によって入手可能であろう。 本発明のさらなる実施の形態では、ザクロ由来の植物化学物質を含む抽出物を含む、食品及び飲料を提供する。さらに好ましい実施の形態では、ザクロ由来の植物化学物質を含む抽出物を含む組成物を提供する。これらの組成物は、錠剤、懸濁液、植込錠、溶液、エマルション、カプセル、粉末、シロップ、液体組成物、軟膏、水薬、クリーム、ペースト、及びゲルの形態であって差し支えない。これらの組成物はまた、医薬品、栄養補給剤、ビタミン補給剤、食品添加剤、及び補助食品の形態であって構わない。 本発明のさらなる実施の形態では、抽出物及びザクロ果汁を含む組成物を提供する。抽出物とザクロ果汁の組合せは、ザクロ果汁単独と比較して、高い総ポリフェノール含量を有する組成物を生じるのみならず、ザクロ果汁及び抽出物に多い、広範囲の種々のポリフェノールをも提供する。別の好ましい実施の形態では、医薬品、または栄養調製物として使用するのに適した組成物を有効量で、被験体に投与することにより、被験体の病状を予防または改善する方法を提供する。これらの病状として、ポリフェノールが介在する疾病及び癌が挙げられる。 別の実施の形態では、癌細胞の増殖及び進行を調節する方法を提供し、本方法には、癌細胞の増殖を有する被験体を選択し、抽出物を含む組成物を有効量で前記被験体に投与する、各工程が含まれる。さらなる実施の形態では、前立腺癌を有する被験体の前立腺特異抗原(PSA)濃度の上昇を抑制または遅延させる方法を提供する。本方法には、前立腺癌を有する被験体を選択し、抽出物を含む組成物を有効量で前記被験体に投与する、各工程が含まれる。 本明細書に記載される発明のさまざまな実施の形態に使用される組成物は、限定はしないが、栄養補給剤、医薬品、ビタミン補給剤、食品添加剤、または補助食品を含む、さまざまな種目であって差し支えない。本発明の組成物は、限定はしないが、錠剤、懸濁液、植込錠、溶液、エマルション、カプセル、粉末、シロップ、液体組成物、軟膏、水薬、クリーム、ペースト、ゲルなどを含む、使いやすい投与形態であって差し支えない。 本発明の組成物には、担体を含めてもよい。本発明の組成物の種類に応じて、担体は、本発明の組成物の特定の種類に適合する限り、食品に適した担体または薬学的に許容できる担体であって差し支えない。食品に適した担体の例としては、限定はしないが、食品に適した賦形剤、希釈剤、及び担体が挙げられる。薬学的に許容できる担体の例としては、限定はしないが、生体適合性のある賦形剤、補助剤、添加剤、及び希釈剤が挙げられ、それによって、投与形態として利用可能な組成物を実現する。本明細書では、「薬学的に許容できる」、「生理的に耐容性の」、及びそれらの文法上の変形させた用語は、それらが組成物、担体、希釈剤および薬剤についていう場合は、同義的に用いられ、その物質が、望ましくない生理的影響を生じさせずに、哺乳動物に投与可能であることを表す。 本発明の組成物は単独で、あるいは他の生理活性成分と組み合わせて使用して差し支えない。本発明の組成物を、単独で、あるいは他の生理活性成分と組み合わせて、一般には経口投与で、所定の期間、単回投与または複数回投与にて被験体に投与して差し支えない。さまざまな投与パターンに関しては、当業者には明らかであろう。本発明の組成物の投与の用量域は、所望の効果を生じさせるのに十分な量である。用量は、望ましくない交差反応などの副作用を生じさせない程度に多い量であるべきである。一般に、用量は、年齢、体重、性別、病状、被験体における病状の範囲、ならびに意図される用途によって変化させることができる。用量は、任意の反対徴候(counter indications)、耐容性、または類縁疾患の場合には調節することができる。当業者は、これらの要因を容易に評価し、この情報に基づいて、意図する目的に使用すべき本発明の組成物の特定の有効濃度を決定することができる。 本発明の1つの実施の形態では、組成物は、ポリフェノールの用量単位あたり、少なくとも30〜3000μmolを含む用量単位でザクロ抽出物を含む。本発明の目的では、ポリフェノールは、ザクロ抽出物中に天然に存在している。ここでは、各用量単位で用いることが必要な抽出物の量のための測定マーカーとして、ポリフェノールが用いられることを理解されたい。ここでは、それらは、活性な、または、唯一活性な抽出物成分であることの指標として用いられるのではない。実際、何か他のもの、またはポリフェノールと本発明の抽出物中の他の成分との相互作用が、抽出物の活性に関与している可能性がある。 本明細書では、「用量単位」という用語は、動物の単一用量に適した、物理的に不連続な単位のことをいい、各単位は、算出された活性物質を所定の量で含み、例えば担体または賦形剤などの必要とされる希釈剤と共に、所望の治療効果を生じさせる。本発明の単位用量についての仕様は、(a)活性物質特有の性質、及び(b)これらの動物治療用の活性物質を配合する技術分野に特有の制限によって決定され、また、この制限に直接的に依存している。 本明細書では、「治療に有効な量」という用語は、投与される組成物中に含まれる本発明の抽出物の量が、本件では患者の前立腺癌の治療などである、使用目的を達成するのに十分な量であることを意味する。本発明の目的では、前立腺癌の治療は、血清前立腺特異抗原倍加時間(PSADT)の延長によって判断して差し支えない。例えば、直腸内触診、膀胱鏡検査、経直腸的超音波断層法、または前立腺の生検法を用いて、前立腺癌のステージ及び悪性度を判断してもよい。 したがって、患者の前立腺特異抗原倍加時間の延長を測定することにより、本発明の抽出物の量が治療に有効か否かを容易に判断することができる。1つの実施の形態では、本発明の抽出物の治療に有効な量は、ザクロ果実中の天然ポリフェノールを、少なくとも30〜3000μmol含む。また、ポリフェノールは、ここでも、本発明の抽出物の濃度の測定マーカーとして用いられることを理解されたい。別の実施の形態では、組成物は、コップ1杯の本発明の果汁抽出物を含む。 本発明の方法を、前立腺摘除術、放射線治療、凍結外科手術、またはホルモン治療後の患者を含む、前立腺癌患者の治療に用いて差し支えない。さらに、本発明の方法を、アポトーシスの促進、及び/または増殖の抑制による、インビトロでのヒト前立腺癌細胞系の治療、特に、LNCaP、PC−3、CWR22Rvl、またはDU145細胞の治療に使用して構わない。さらには、腫瘍原性が前立腺癌の発生と密接に関連していることから、本発明の方法を、腫瘍の転移拡散を阻止する目的で使用してもよい。 したがって、本発明の別の態様は、ザクロ果汁で治療された患者の血清で前立腺癌の細胞系を治療する方法を提供する。本方法は、アポトーシスを増大させ、及び/または癌細胞の細胞増殖を低減させる、治療に有効な量のザクロ抽出物を含む組成物を患者に投与する工程を含む。本明細書では「治療に有効な」という用語は、投与される組成物中に含まれる本発明の抽出物の量が、癌細胞のアポトーシス及び増殖に影響を与えるのに十分な量で血清中に存在することを意味する。 次の実施例は、本発明の範囲を説明することを意図しており、限定するものではない。実際、当業者は、必要以上の実験をすることなく、本明細書の教示に基づいて、さらなる実施の形態を容易に想像し、実現させることができる。方法ザクロ果汁の調製 ザクロ(ピューニカ・グラネイタム(Punica granatum)、非常に多種多様)を手で摘み、洗浄し、0℃(華氏32°)まで冷却し、タンクに貯蔵した。次に、果実を破砕し、圧搾し、ペクチナーゼで酵素処理し、ザクロ果汁及び、内皮、外皮および種子を含む副産物を得た。ペクチナーゼはペクチンのα−1,4−ガラクチュロニダーゼ(galacturonidase)結合を加水分解し、それによって、抽出及び濾過が改善され、ペクチンゲルの形成が防止される。果汁を濾過し、殺菌し、濃縮し、−18℃で保存した。 本目的では、ザクロ果汁を凍結乾燥して水分を除去し、ザクロ果汁濃縮物を得た。試験期間中毎日、100% (single strength)のザクロ果汁を得るため、ザクロ果汁濃縮物を水で1:5(v:v)に希釈した。ザクロ果汁中の総ポリフェノール濃度を、リンモリブデンリン−タングステン酸試薬(phosphomolybdic phosphotungstic acid reagents)を用いて、分光光度法で決定した。さらに高濃度のポリフェノールを有する抽出物を含む、他の果汁調製方法を使用することも可能である。試験及び臨床エンドポイントの設計 2年目に、単一施設での第二相臨床試験を行い、前立腺癌を有する被験体におけるザクロ果汁の臨床効果を決定した。試験は、反応率20%、α5%、パワー90%に基づいた有効性基準が満たされた後のサイモン2段式(Simon two-stage)の被験者48名に対して十分に行なわれた。臨床エンドポイントには、安全性、血清PSAに対する効果、及び試験的な実験施設での研究、が含まれた。毎日、経口により、1日の総ポリフェノール1.5mmolに相当する、247.9g(8オンス)のザクロ果汁で患者を治療した。ヒトにおける試験 適格な被験者は、原発性腺癌の前立腺摘除術または放射線治療前に、0.2ng/mlより大きく5ng/ml未満の血清PSAの上昇を有し、組織学的に確認された前立腺の生検で7以下のグリーソンスコア(Gleason score)を示した。ザクロ果汁での治療の直前および治療中は、被験者は血清PSAを3ヶ月間隔で追跡調査され、実験施設での研究用に血液及び尿が回収された。朝に被験者から空腹時の血液試料を採取し、凝固させ、次に遠心分離して血清を得た。血清を凍結し、分析に使用するまで−80℃で保管した。ザクロ果汁での治療前に、各血清試料の回収の合間の少なくとも1週間、血清試料のPSAを連続的に測定することによって、被験者の血清PSA濃度の上昇を確認した。継続的な有害事象の報告を通じて、安全性及び耐容性についてモニタした。細胞培養 アンドロゲン依存性LNCaP前立腺腺癌を、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC;米国バージニア州マナッサス所在)から入手した。75cm2フラスコ(Falcon Primaria社製(米国マサチューセッツ州ベッドフォード所在))内で、フェノールレッドを使用せずに、10%FBS、200IUのペニシリン、200mg/mlのストレプトマイシン、及び4nMのL−グルタミン(Omega Scientific社製(米国カリフォルニア州ターザナ所在))を補給した、RPMI−1640の培地で細胞を増殖させた。培養液を37℃に保ち、加湿した培養器内で5%CO2を補給した。細胞を、80%コンフルエントで定期的に継代し、3日ごとに新鮮な培地と交換した。本研究に使用したすべての細胞は、継代数10代〜30代であった。前立腺特異抗原のアッセイ 血清試料の連続的測定結果を、米国カリフォルニア州ロサンジェルスのDiagnostic Products社によるImmulite第3世代PSAアッセイを使用して、PSAを分析した。3ヶ月間隔で3回以上、連続的に血清PSA濃度を測定した。すべての入手可能なPSA値に最も適合し、log2を傾きで割った値として倍加時間を算出する、線形回帰分析の傾斜に基づいて、総合的なPSADTを評価した。アポトーシスの分析 FITCで標識されたアネキシンVで細胞染色することにより、LNCaP細胞のアポトーシスの誘発を測定した。これらの細胞は、患者の治療前及び治療後の血清存在下、または不存在下のいずれかで培養された。96時間の培養後、細胞を採取し、原形質膜の外葉に外面化させたホスファチジルセリンを、アネキシンV検出キットをその使用説明書(Pharmingen, Inc.社製(米国カリフォルニア州サンディエゴ所在))に従って使用し、検出した。増殖アッセイ ファルコンフラスコ中の細胞を、0.25%トリプシン−EDTA溶液(Sigma Chemical社製)で分離させ、10℃で5分間、3000gで遠心分離し、新鮮な培地に再懸濁した。細胞の生存を、トリパンブルーの排除能から判断した。細胞増殖のアッセイは、150μlの培地/ウェルに、異なる密度で(LNCaP:1000細胞/ウェル、PC−3:2000細胞/ウェル)、96ウェルプレート(Falcon社製、53 3072)内に細胞を播種することによって行なわれた。次に細胞を37℃で24時間培養し、付着させた。付着後に培地及び非付着細胞を吸引し、前述と同一の抗生物質を補給した100μlの新鮮な培地に交換した。さらに24時間、培養増殖を続けた。次に、50μlの治療前後の血清を加え、96時間、培養増殖を継続した。対照細胞には、RMPI−1640倍地のみを与えた。細胞増殖は、CellTiter 96AQアッセイ(Promega社製(米国ウィスコンシン州マディソン所在))によって判断した。尿試料分析 ザクロ果汁での治療前後の40mlの尿試料を、Sep-Pak固相抽出カートリッジ(逆相C−18カートリッジ(Waters Millipore社製(米国所在)))を通して濾過した。カートリッジは、あらかじめ、10mlのメタノール及び10mlの水で活性化させた。次に、カートリッジを10mlの水で洗浄し、ポリフェノール画分を2mlのメタノールでカートリッジから溶出させた。試料の100mlのメタノール性画分を、液体クロマトグラフィー−タンデム質量分析によって分析した。 高速液体クロマトグラフィー(HPLC)系には、Agilent Technologies社(ドイツ国バルトブロン所在)のソフトウェアで調節する、HPLCバイナリポンプ、オートサンプラー、及び脱ガス装置で構成される一連のフォトダイオードアレイ検出器及び質量検出器が備わっていた。質量検出器は、尿試料中のザクロポリフェノールを分析するための、エレクトロスプレイイオン化(ESI)系(キャピラリー電圧4kV、乾燥温度350℃)を備えたイオン・トラップ質量分析計(Agilent社製)であった。質量検出器には、大気圧化学イオン化(APCI)系(キャピラリー電圧4kV、乾燥温度350℃、crown電圧4kA、APCI温度375℃)が備わっていた。統計 すべての統計分析にANOVA試験を行った。結果を平均±SEMとして示す。各試料のアッセイを3重測定で行った。治療前に入手した結果に対するザクロ果汁治療後のデータについて、すべての比較を示す。結果 深刻な有害事象についての報告はなく、有害事象に起因する被験者の離脱もなかった。ザクロ果汁の治療が良好な耐容性を示したことが、被験者から報告された。 平均PSA倍加時間は、治療により顕著に延長され、平均14〜26ヶ月であった(p<0.048)。平均logPSAの傾斜は、治療において、0.08から0.04に減少した(p<0.019)。被験者の治療前後のPSADTの変化の結果を図1にまとめた。約31%の患者が、5%〜85%の降下を伴うPSA濃度の減少を達成した。約82.5%の患者がPSA倍加時間の長期化を達成した。 LNCaPの増殖についてのインビトロのアッセイでは、治療後の患者の血清に、細胞増殖の減少及びアポトーシスの増大が示された(p<0.07)。図2にLNCaP細胞の増殖抑制における治療前後の血清の効果を示す。表1にLNCaP細胞のアポトーシスにおける治療前後の血清の効果を示す。 すべての参加者について、ザクロポリフェノールをLC−MSにて検出した。図3は、ザクロ果汁を経口投与された患者から得られた、治療前後の尿のLC−MS分析結果を示す。各クロマトグラムの右上端に、相対強度が示されている。 研究上、転移性疾患が進行した患者はいなかった。論考 前臨床データ及び動物データは、ザクロ果汁が前立腺癌の増殖及び進行を緩和できることを示唆している。ザクロ果汁の研究では、前立腺特異抗原(PSA)についての肯定的で非常に有益な効果が、前立腺癌のインビトロでの細胞増殖及びアポトーシスにおける、治療後の患者の血清の対応する実験室効果と共に、達成された。研究では尿中にザクロポリフェノールが検出されたが、これは、ザクロ果汁が身体に容易に吸収され、腎臓を経て処理されることを示唆している。 実験室試験では、インビトロにおいて患者の血清が癌細胞の増殖を低減させ、また、癌細胞のアポトーシスを増大させたことが示された。統計的有意には至らなかったが、リンパ節前立腺癌細胞系(LNCaP)の増殖についての、治療前後の患者の血清を使用したインビトロアッセイでも、細胞増殖の低減及びアポトーシスの増大(P<0.07)が示された。これは、ザクロ果汁の用量を安全に増加させられることが示唆されようことから、毒性を有しない物質にとって非常に心強い結果である。Albrechtらの研究では、ザクロ果汁画分が、LNCaP、PC−3、及びDU145のヒト癌細胞系のインビトロでの増殖を非常に抑制したことが観察された。ザクロ画分としてAlbrechtらの研究に使用された用量が、ザクロ果汁の研究で使用した用量よりも多いであろうことは、注目に値する。 本研究は、本発明の有効性のシグナルを探求したものであり、これらの結果は、そのシグナルを活性化させた:・約71%の患者が安定疾患(stable disease)であった。 ・約31%の患者でPSA濃度の減少が達成された。 ・約82.5%の患者でPSA倍加時間の延長が達成された。 治療前の倍加時間は、平均で約14ヶ月であった。ザクロ果汁で治療後の倍加時間は平均で26ヶ月であり、疾患の進行が遅延されたことを示唆した。倍加時間の変化は、P=0.0001レベルで有意であった。倍加の遅延は、転移が予想されうる濃度に達する閾値が数年間延長され、場合によっては、患者が他の原因で死亡する以前には発症しないかもしれない可能性を示している。 本発明は、その本質的な特徴を逸脱することなく、他の特定の形態に具現化することができよう。記載された実施の形態は、あらゆる点で、単に例示としてみなされるべきであり、限定とみなされるべきではない。したがって、本発明の範囲は、前述の説明よりはむしろ添付の請求の範囲によって示されている。請求項が意味し、請求項と等価の範囲内にあるすべての変更は、請求項の範囲内に包含されるべきである。ザクロ果汁治療でのPSADTの統計的かつ臨床的に有意な延期を実証する、ザクロ果汁治療前及び治療の間の一患者におけるLN(PSA)の経時プロット。治療前後の血清における、96時間後のLNCaP細胞の増殖抑制の効果。ザクロ果汁を経口投与された一患者から得た、治療前後の尿のLC−MS分析。各クロマトグラムの右上隅に相対強度を示す。 前立腺癌患者の治療における前立腺特異抗原倍加時間の延長方法であって、 内皮、外皮、及び種子を含むザクロ全体を破砕及び圧搾して、果汁成分及び不溶性の副産物成分を取得し、 前記果汁成分を前記不溶性の副産物成分から分離し、前記不溶性の副産物成分を前記果汁成分から除去して、前記果汁成分由来の抽出液、及び、前記不溶性の副産物成分由来の固形抽出物を調製し、 前記固形抽出物を治療に有効な量で含む組成物を前記患者に分配して投与し、その際に、前記組成物が前立腺特異抗原倍加時間を延長させる、各工程を有してなる手順を経てインビボ調製された固形抽出物を使用して投与することによる、前立腺癌患者の治療における前立腺特異抗原倍加時間の延長方法。 前記組成物を前記患者に投与し、 前立腺特異的抗原倍加時間を測定して前記前立腺特異的抗原倍加時間の遅延を確認する、各工程をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の方法。 前立腺癌の治療に、患者によるザクロ果汁の消費を利用して構わない。本発明以前に、さまざまなザクロ組成物が、ヒト前立腺癌細胞系のさまざまなインビトロでの治療、及び、胸腺欠損ヌードマウスに異種移植されたヒト前立腺癌細胞系のインビボでの治療において、癌に対する化学的予防特性を有することが観察されている。しかし、本発明が見出されるまでは、いかなる投与経路でもヒト患者における前立腺癌の治療の有効性があるか否かは、知られていなかった。本発明は、ザクロ果実からの抽出物を治療に有効な量で含む組成物で、前立腺癌を有する被験者を治療する方法を提供する。ザクロ抽出物は、ザクロ果汁抽出物、ザクロの内皮及び外皮からの抽出物、またはそれらの混合物であって差し支えない。ザクロ果汁を、前立腺手術または放射線治療後の血清PSAの上昇を伴う被験体の治療に用いてもよい。