タイトル: | 公開特許公報(A)_ビニルピロリドン系重合体 |
出願番号: | 2009255460 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | C08F 226/10,C08F 220/26,A61L 26/00,A61K 8/81,A61Q 19/00,A61Q 5/06,A61Q 17/04 |
安村 和成 岩井 邦浩 JP 2011099062 公開特許公報(A) 20110519 2009255460 20091106 ビニルピロリドン系重合体 株式会社日本触媒 000004628 安村 和成 岩井 邦浩 C08F 226/10 20060101AFI20110422BHJP C08F 220/26 20060101ALI20110422BHJP A61L 26/00 20060101ALN20110422BHJP A61K 8/81 20060101ALN20110422BHJP A61Q 19/00 20060101ALN20110422BHJP A61Q 5/06 20060101ALN20110422BHJP A61Q 17/04 20060101ALN20110422BHJP JPC08F226/10C08F220/26A61L25/00A61K8/81A61Q19/00A61Q5/06A61Q17/04 5 OL 12 4C081 4C083 4J100 4C081AC04 4C081CA062 4C081CA081 4C081CC01 4C083AD071 4C083AD091 4C083CC01 4C083CC07 4C083CC19 4C083CC31 4C083CC32 4C083DD08 4C083EE03 4C083EE17 4C083FF01 4J100AA02R 4J100AA03R 4J100AB01R 4J100AB02R 4J100AB04R 4J100AG04R 4J100AL03R 4J100AL08R 4J100AL29Q 4J100AL31Q 4J100AQ08P 4J100CA04 4J100CA05 4J100DA02 4J100DA03 4J100DA04 4J100DA25 4J100DA30 4J100FA03 4J100FA04 4J100FA19 4J100FA28 4J100JA01 4J100JA03 4J100JA05 4J100JA07 4J100JA13 4J100JA15 4J100JA61 本発明は、ビニルピロリドン系重合体に関する。より詳しくは少なくともN−ビニルピロリドンとα−ヒロドキシアルキルアクリル酸エステルとを重合したビニルピロリドン系重合体に関する。 N−ビニルピロリドンと水酸基含有単量体との共重合体は、代表的にはN−ビニルピロリドンと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの共重合体(以下「NVP/HE(M)A共重合体」と称することもある)が提案されている。親水性のピロリドン基とイソシアネート等の架橋剤と反応しうる水酸基とを併せ持つといった利点を有することから、NVP/HE(M)A共重合体は耐水性と親水性とを兼ね備えた膜を得させる硬化性樹脂組成物の原料ポリマー等として有用である。例えば、N−ビニルアミド単位を有する重合体と、活性水素と反応する官能基を2個以上有する化合物と、多価金属化合物とを必須成分として含む硬化性樹脂組成物(特許文献1参照)における好ましい重合体として利用されている。特開2003−286381 NVP/HE(M)A共重合体では、エステル結合を介して水酸基を有する単量体であるヒドロキシエチル(メタ)アクリレート単位をを構成単位として有する。エステル結合は貯蔵時に加水分解が発生し、一部の水酸基がエチレングリコールとして遊離してしまう場合があった。したがって重合時に導入した水酸基の一部が加水分解により遊離し、カルボキシル基に変化してしまうため、水酸基価の維持には工夫が必要であった。 本発明は、上記従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、貯蔵安定性に優れ、使用時においても製造時と同等の水酸基価を有するビニルピロリドン系重合体を提供することにある。 本発明者は上記課題を解決するべく、鋭意検討を行った。その結果、少なくともN−ビニルピロリドン(以下、本発明ではNVPと称する場合がある。)と一般式(1)で表される不飽和化合物(以下、本発明ではα−ヒロドキシアルキルアクリル酸エステルと称する場合がある。)とを共重合した重合体が、前記課題を一挙に解決しうることを見出し、本発明を完成した。(式中、R1およびR2は、同一もしくは異なる基であって、水素原子または有機残基を示す。) すなわち、本発明は、少なくともN−ビニルピロリドンと、上記一般式(1)で表される不飽和化合物とから得られることを特徴とする重合体である。 本発明にかかる重合体はN−ビニルピロリドンを1質量%以上99.9質量%以下と、前記一般式(1)で表される不飽和化合物を0.1質量%以上99質量%以下と、その他の共重合可能な単量体を0質量%以上98.9質量%以下とを重合して得られる重合体であることが好ましい。さらに本発明にかかる重合体はN−ビニルピロリドンと前記一般式(1)で表される不飽和化合物との質量比が、N−ビニルピロリドン/前記一般式(1)で表される不飽和化合物として50/50以上99.9/0.1以下である重合体であることが好ましい。 本発明にかかる重合体はゲルパーミエーションクロマトグラフィー法にて測定される重量平均分子量が1000〜1000000であることが好ましい。さらに本発明にかかる重合体は重合体1kg当りの水酸基価が8.6*10−3〜8.5mol/kgであることが好ましい。 本発明ではN−ビニルピロリドンと前記一般式(1)で表される不飽和化合物とを重合した結果、貯蔵安定性に優れ、長期の保存にも関わらず水酸基価が一定であるビニルピロリドン系重合体を得ることが可能となった。 本発明によれば、N−ビニルピロリドンとα−ヒロドキシアルキルアクリル酸エステルとを重合した結果、貯蔵安定性に優れ、長期の保存にも関わらず水酸基価が一定であるビニルピロリドン系重合体を得ることが可能となる。さらに本発明のビニルピロリドン系重合体は低着色性、熱安定性にも優れ、特に耐水性の要求される架橋塗膜に有用であることが見出された。 本発明は、少なくともN−ビニルピロリドンと、下記一般式(1)で表される不飽和化合物とから得られることを特徴とする重合体である。本発明では必須成分であるN−ビニルピロリドン、および下記一般式(1)で表される不飽和化合物の2成分の重合体でも良く、上記2成分以外の「その他の共重合可能な単量体」を含んだ重合体であっても良い。(式中、R1およびR2は、同一もしくは異なる基であって、水素原子または有機残基を示す。) 本発明で用いるNVPは市販されているものを使用可能である。NVPは市販品をそのまま用いてもよく、蒸留・晶析といった精製を行なっても良い。 一般式(1)中、R1およびR2は、同一もしくは異なる基であって、水素原子または有機残基である。一般式(1)中、R1およびR2の例である有機残基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。一般式(1)で示される不飽和化合物としては、具体的には、例えば、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸イソプロピル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸ノルマルブチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸ターシャリーブチル等が挙げられる。これらの中でも特に、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルおよび2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチルが好ましい。これらの単量体は1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。 本発明の重合体中、N−ビニルピロリドンは1質量%以上99.9質量%以下の配合で重合することが好ましく、5質量%以上99質量%以下がより好ましい。さらに好ましくは10質量%以上95質量%以下であり、最も好ましくは15質量%以上90質量%以下である。 本発明の重合体中、一般式(1)で表される不飽和化合物は0.1質量%以上99質量%以下の配合で重合することが好ましく、1質量%以上95質量%以下がより好ましい。さらに好ましくは5質量%以上90質量%以下であり、最も好ましくは10質量%以上85質量%以下である。 また本発明の重合体中、その他の共重合可能な単量体は0質量%以上98.9質量%以下の配合で重合することが好ましく、0質量%以上90質量%以下がより好ましい。さらに好ましくは0質量%以上80質量%以下であり、最も好ましくは0質量%以上70質量%以下である。 本発明の重合体中、N−ビニルピロリドンと前記一般式(1)で表される不飽和化合物との質量比が、N−ビニルピロリドン/前記一般式(1)で表される不飽和化合物として50/50以上99.9/0.1以下で重合することが好ましく、55/45以上99/1以下がより好ましい。さらに好ましくは60/40以上95/5以下であり、最も好ましくは65/35以上90/10以下である。 本発明の重合体はゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)にて測定される重量平均分子量が1000〜1000000であることが好ましく、1000〜500000がより好ましい。さらに好ましくは1000〜300000であり、最も好ましくは1000〜100000である。 本発明の重合体は重合体1kg当りの水酸基価が8.6*10−3〜8.5mol/kgであることが好ましく、8.6*10−2〜8.2mol/kgがより好ましい。さらに好ましくは0.43〜7.7mol/kgであり、最も好ましくは0.86〜7.3mol/kgである。 本発明の重合体はN−ビニルピロリドンと、上記一般式(1)で表される不飽和化合物以外の「その他の共重合可能な単量体成分」を重合することも好ましい形態である。「その他の共重合可能な単量体成分」は(メタ)アクリル酸系単量体、(メタ)アクリレート系単量体、芳香族系単量体、シアン系単量体、ビニル系単量体等が挙げられ、共重合が可能であれば特に限定されない。好ましく(メタ)アクリレート系単量体、芳香族系単量体、ビニル系単量体であり、より好ましくは(メタ)アクリレート系単量体、ビニル系単量体である。具体的例としてはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸エステル;スチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン等の芳香族系単量体;メチルビニルケトン、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル等のビニル系単量体が挙げられる。なお、酢酸ビニル系単量体はケン化を行うことも好ましい実施形態である。 本発明の重合体はフィケンチャー法にて測定されるK値が10〜100であることが好ましく、10〜90がより好ましい。さらに好ましくは10〜80であり、最も好ましくは10〜70である。 本発明のビニルピロリドン系重合体の製造方法は、N−ビニルピロリドンとα−ヒロドキシアルキルアクリル酸エステルとを含む単量体成分を重合するものである。好ましくは、NVPが1〜99.9質量%、α−ヒロドキシアルキルアクリル酸エステルが0.1〜99質量%であり、より好ましくは、NVPが15〜90質量%、α−ヒロドキシアルキルアクリル酸エステルが10〜85質量%である。NVPとα−ヒロドキシアルキルアクリル酸エステルの相互割合が前記範囲であれば、貯蔵安定性に優れた重合体を得させることができる。NVPが前記範囲よりも多いと(α−ヒロドキシアルキルアクリル酸エステルが前記範囲よりも少ないと)、得られる共重合体において架橋剤との反応性が高いというα−ヒロドキシアルキルアクリル酸エステルに由来する利点が発現されにくくなり、逆に、NVPが前記範囲よりも少ないと(α−ヒロドキシアルキルアクリル酸エステルが前記範囲よりも多いと)、ゲル化が起こりやすくなり得られる共重合体が水不溶分の多いものとなったり、NVP由来の親水性が十分に発揮されなくなってしまう恐れがある。 前記単量体成分は、NVPおよびα−ヒロドキシアルキルアクリル酸エステルを必須とするものであるが、そのほかに、NVPと共重合可能な単量体(その他の共重合可能な単量体)をも含有するものであってよい。その他の共重合可能な単量体としては、特に限定されることなく、具体的には、例えば、(1)(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル類;(2)(メタ)アクリルアミド、及び、N−モノメチル(メタ)アクリルアミド、N−モノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体類;(3)(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の塩基性不飽和単量体;(4)ビニルホルムアミド、ビニルアセトアミド、ビニルオキサゾリドン等のビニルアミド類;(5)(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基含有不飽和単量体;(6)無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和酸無水物類;(7)プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等のビニルエステル類;(8)ビニルエチレンカーボネート及びその誘導体;(9)スチレンおよびその誘導体;(10)(メタ)アクリル酸−2−スルホン酸エチルおよびその誘導体;(11)ビニルスルホン酸およびその誘導体;(12)メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;(13)エチレン、プロピレン、オクテン、ブタジエン等のオレフィン類;等が挙げられる。これら単量体のうち、N−ビニルピロリドンとの共重合性等の点からは、(1)〜(8)が特に好適である。なお、(7)のビニルエステル類は重合後にケン化することも好ましい実施態様である。前記他の単量体は、1種のみであってもよいし2種以上であってもよい。前記単量体成分が前記他の単量体をも含有する場合には、該他の単量体の含有量が全単量体成分に対して20質量%未満であることが好ましく、10質量%未満であることがより好ましい。 重合時には連鎖移動剤を使用することができる。連鎖移動剤としては、メルカプト化合物、次亜リン酸およびその塩、亜硫酸水素塩、重亜硫酸塩等が好ましく挙げられる。これらの中でも、メルカプト化合物、次亜リン酸およびその塩がより好ましい。連鎖移動剤は、1種のみであってもよいし2種以上であってもよい。前記連鎖移動剤のうちメルカプト化合物を用いる態様は、分散度の低い共重合体を容易に得ることができる点で、特に好ましい。 前記連鎖移動剤として好ましく用いうるメルカプト化合物としては、例えば、2−メルカプトエタノール、1,3−メルカプトプロパノール、1−チオグリセロール等のメルカプトアルコール、3−メルカプトプロピオン酸、メルカプトコハク酸、メルカプト酢酸等のメルカプトカルボン酸およびこれらの塩、エチル−2−メルカプトアセテート、システイン、n−ドデシルメルカプタンが挙げられ、これらの中でもメルカプトアルコールが好ましく、2−メルカプトエタノールがより好ましい。前記連鎖移動剤の使用量は、単量体成分に対して0.01質量%以上であればよいが、好ましくは、単量体成分に対して0.05〜5質量%であるのがよい。 本発明のビニルピロリドン系重合体の製造方法においては、水を反応溶媒に用いることが可能である。また炭素数1〜5のアルコールを10質量%(溶媒全量に対する割合)以上含有する溶媒(以下「特定溶媒」と称することもある)中で重合を行うことも好ましい形態である。特定溶媒の使用により、水不溶分が少なく、分散度が低い共重合体を得ることができる。なお、後述するように、溶媒を逐次添加する場合には、重合が行われている間中どの時点においても特定溶媒が溶媒全量に対して前記範囲である(言い換えれば、重合が行われている間の全ての時点において、各時点で反応系内に存在する特定溶媒がその時点で反応系内に存在する溶媒全量に対して前記範囲である)ようにすればよい。 前記炭素数1〜5のアルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、2−メチル−1−プロパノール等が挙げられる。前記炭素数1〜5のアルコールは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。前記炭素数1〜5のアルコールは、溶媒全量に対する割合で10質量%以上(言い換えれば、特定溶媒中10質量%以上)含有されておればよいが、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上含有されていることである。前記特定溶媒としての好ましい態様としては、例えば、前記炭素数1〜5のアルコールと水との混合溶媒が挙げられる。水を30質量%以上含有することが好ましく、50質量%以上含有することがより好ましい。特定溶媒中の水が30%未満であると、重合時のN−ビニルピロリドンの反応が遅くなる傾向がある。 前記特定溶媒が前記炭素数1〜5のアルコール以外の溶媒(他の溶媒)をも含む場合、該他の溶媒は、水であることが好ましい。前記特定溶媒には、水以外の他の溶媒が含有されていても勿論よいが、その場合、溶媒全量に対して10質量%以下の範囲内とすることが望ましい。前記水以外の他の溶媒としては、例えば、1−ヘプタノール等の炭素数6以上のアルコール;プロピレングリコールモノメチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のアルキレングリコールのエーテル(アセテート)類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類;ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン等の脂環式飽和炭化水素類;シクロヘキセン等の脂環式不飽和炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ジメチルスルホキシド等のスルホン酸エステル類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の炭酸エステル類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の脂環式炭酸エステル類;等が挙げられる。 前記特定溶媒の使用量については、特に限定はなく、生産性等を考慮して適宜設定すればよいが、単量体成分の濃度が10質量%以上となるようにすることが好ましい。本発明のビニルピロリドン系重合体の製造方法においては、従来公知の重合開始剤を用いることができる。前記重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、4,4’−アゾビス(4−シアノバレイック酸)等のアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキシドや過酸化水素等の過酸化物等のラジカル重合系重合開始剤;三フッ化ホウ素またはその錯体、塩化鉄(II)、ジエチル塩化アルミニウム、ジエチル亜鉛、ヘテロポリ酸、活性白土等のカチオン重合系重合開始剤;等が挙げられる。これらの中でも、アゾ系重合開始剤が重合効率の点から好ましく、特に、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートがより好ましい。重合開始剤は、1種のみであってもよいし2種以上であってもよい。 前記重合開始剤の使用量については、特に限定されないが、単量体成分に対して0.05質量%以上とすることが好ましい。より好ましくは、単量体成分に対して0.1質量%以上とするのがよい。重合開始剤の使用量が0.05質量%未満であると、未反応単量体が多量に残存する恐れがある。本発明のビニルピロリドン系共重合体の製造方法においては、前記重合開始剤とともに、適宜必要に応じて任意の助触媒、pH調節剤、緩衝剤等を用いることもできる。本発明のビニルピロリドン系共重合体の製造方法において、単量体成分、重合開始剤、溶媒(特定溶媒)、連鎖移動剤などの仕込み方法については、特に制限はないが、特に、単量体成分に関しては、前記水酸基含有(メタ)アクリレート(b)は逐次添加により反応器に投入することが好ましい。前記水酸基含有(メタ)アクリレート(b)を逐次添加ではなく一括添加すると、共重合体の組成分布の偏りが大きくなる恐れがある。具体的には、逐次添加とは、連続的な添加(例えば、一定時間をかけて滴下する態様)であってもよいし、断続的な添加(例えば、原料を複数回に分けて投入する態様)であってもよいし、両者を組み合わせた添加であってもよい。 本発明のビニルピロリドン系重合体の製造方法において、前記重合を行う際の重合温度(反応液の温度)は、50℃以上とすることが好ましく、60℃以上とすることがより好ましい。本発明のビニルピロリドン系共重合体の製造方法においては、前記重合で得られた反応液に蒸留を施すことにより、未反応の水酸基含有(メタ)アクリレートおよび溶媒中の水以外の成分(アルコールなど)を除去して水溶液を得るようにしてもよい。 本発明のビニルピロリドン系重合体は、その用途が制限されるものではなく、あらゆる用途に用いることができる。その用途の一例を挙げれば、各種無機物や有機物の分散剤、凝集剤、増粘剤、粘着剤、接着剤、表面コーティング剤、架橋性組成物等であり、より具体的には、泥土分散剤、セメント材料分散剤、セメント材料用増粘剤、洗剤用ビルダー、洗剤用色移り防止剤、重金属補足剤、金属表面処理剤、染色助剤、染料定着剤、泡安定剤、乳化安定剤、インク染料分散剤、水性インク安定剤、塗料用含量分散剤、塗料用シックナー、感圧接着剤、紙用接着剤、スティック糊、医療用接着剤、貼付剤用粘着剤、化粧パック用粘着剤、樹脂用フィラー分散剤、記録紙用コーティング剤、インクジェット紙用表面処理剤、感光性樹脂用分散剤、帯電防止剤、保湿剤、吸水性樹脂用原料、肥料用バインダー、高分子架橋剤、樹脂相溶化剤、写真薬添加剤、化粧用調剤添加剤、整髪料助剤、ヘアスプレー添加剤、サンスクリーン組成物用添加剤等であるが、その特長を最も有効に活かしうる用途としては、例えば、耐水性と親水性とを兼ね備えた膜を得させうる硬化性樹脂組成物の原料ポリマーが挙げられ、架橋塗膜等として利用される。 以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。[測定機器・方法]<固形分> ポリマー溶液をアルミカップに約1g精秤し、150℃の熱風乾燥機で1時間乾燥させる。デシケータ内で10分間冷却後、その質量を測定して、乾燥前後における重量変化を求め、下記式に基づき固形分濃度を算出する。固形分(%)=(乾燥後ポリマー質量/乾燥前ポリマー溶液質量)*100<pH> 超純水を用いて、下記実施例で得られたポリマー溶液の10%溶液を調整し、これをHORIBA製pHメーターD−51を用いて測定する。<K値> イオン交換水を用いて、下記実施例で得られたポリマー溶液の1%溶液を調整し、その液の粘度を25℃において毛細管粘度計により測定し、得られた値を用いて下記フィケンチャー法により算出する。(logηrel )/C=〔(75Ko2)/(1+1.5Ko C)〕+KoK=1000Ko ただし、Cは溶液100ml中のポリマーのg数を示し、ηrelは測定されたポリマー溶液の粘度(相対粘度;イオン交換水に対するポリマー1%溶液の粘度)、KoはK値に関連する変数を示す。<残存モノマー、2−ピロリドン> 日立ハイテク製高速液体クロマトグラフィー「Elite LaChrom」を用いて下記条件で定量する。カラム :昭和電工製「Asahipak ODP−50 4E」溶離液 :リン酸バッファーアセトニトリル水溶液 溶離液流量 :0.5ml/min カラムオーブン:40℃ 検出器 :フォトダイオードアレイ<重量平均分子量> 東ソー製高速GPCシステム「HLC−8320GPC EcoSEC」を用いて、下記条件でゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)分析を行うことにより、ポリエチレングリコール換算での重量平均分子量を求める。 カラム :昭和電工製「Shodex SB−G」、「Shodex SB−806」、「Shodex SB−804」、「Shodex SB−803」、「Shodex SB−802.5」 溶離液 :0.1M硝酸ナトリウムアセトニトリル水溶液 溶離液流量 :0.8ml/min 注入量 :100μl カラムオーブン:40℃ 検出器 :示差屈折計(RI) サンプル濃度 :0.5%<水酸基価> ブランクとして、試料の入っていないフラスコに攪拌子を入れた後、フタル化試薬(無水フタル酸444gをピリジンに溶解して3.0Lとする。無水フタル酸濃度は約1mol/L)9mlを分注器(自動分注器、平沼産業社製、UCB−100)で加えたものを3点調製する。またサンプルとして、フラスコに150℃の熱風乾燥機で1時間乾燥させたポリマー試料約0.8gを内壁に付着させないよう注意して採取し精秤した後、フラスコに攪拌子を入れ、フタル化試薬9mlを分注器(自動分注器、平沼産業社製、UCB−100)で加えて撹拌したものを3点調製する。それぞれのフラスコに蓋をつけ、表面温度115±5℃(実測値)に調節したホットプレート(井内NEO HOTPLATE HI−100型)で加熱して60分反応させる。反応中、15分に1回攪拌を行う。続いて、それぞれのフラスコに純水を60ml加えて撹拌した後、0.5mol/L−KOH溶液(和光純薬社製、容量分析用)でブランクから滴定を行う。なお、0.5mol/L−KOH溶液を添加するための分注器として、自動分注器(京都電子社製、 EBU−610−20B型)を使用し、滴定には、自動滴定装置(京都電子社製、AT−610型)を使用した。記式に従って水酸基価を算出し、結果の平均値をポリマーの水酸基価とする。水酸基価=(Vb−Vs)*N*F*56.11/SVb:ブランクの滴定量(ml)Vs:試料の滴定量(ml) N:KOH溶液の濃度(mol/l) F:KOH溶液のファクター S:試料の採取量<ガラス転移温度> 試料約10mg、昇温速度10℃/min、窒素フロー50cc/minの条件で、DSC((株)リガク社製、装置名:DSC−8230)を用いて、ASTM−D−3418に従い、30〜250℃の温度範囲において中点法で求める。[実施例1]冷却管、窒素導入ライン、温度計を設置したSUS304製重合容器に、初期仕込みとしてイオン交換水282g、イソプロピルアルコール(IPA)121g、N−ビニルピロリドン(NVP)10gを加え、攪拌しながら窒素を導入して、混合溶液内の溶存酸素を0.2ppm以下とした。重合容器を加熱し内温を80℃とした後、NVP182g、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)41g、トリエタノールアミン(TEA)0.36g、超純水97gを混合したモノマー溶液(A1)と、ジメチル−2,2‘−アゾビスイソブチレート(和光純薬製V601)3.6gをIPA31gに溶解させた開始剤溶液(I1−1)を123分間かけて滴下した。続いて、MHMA7g、超純水5g、IPA14gを混合したモノマー溶液(B1)を60分間かけて加えた。その後、ジャケットを昇温して90分間蒸留を行い、無色透明のポリマー溶液を得た。[実施例2] 実施例1において、初期仕込みのNVPを8gに、モノマー溶液(A1)を、NVP160g、MHMA62g、TEA0.36g、超純水97gから成るモノマー溶液(A2)に、モノマー溶液(A2)を、MHMA10g、超純水5g、IPA14gから成るモノマー溶液(B2)に変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリマー溶液を得た。[比較例1] 実施例1において、MHMAを2−ヒドロキシルエチルアクリレート(HEA)に変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリマー溶液を得た。実施例1,2および比較例1で得られたポリマー溶液の物性を表1に示す。なお、表1中での残存モノマー量、2−ピロリドン量は、固形分に対する濃度を意味する。表1 実施例1,2および比較例1で得られたポリマー溶液を固形分換算で30%にイオン交換水で希釈し、保存試験前と80℃で1ヶ月間保存後で以下の評価を行った。また、住化バイエルウレタン製ブロックイソシアネートVPLS2310をイオン交換水で固形分30%に調整した液をB1とした。[評価例1]実施例1で得られたポリマー30%溶液15.6gと10gのB1の混合液を、ガラス板上に76μmのアプリケータで塗布し、150℃の熱風乾燥機で1時間乾燥した。続いて、乾燥後の塗膜に1滴のイオン交換水を落とし、キムワイプで10回または30回の耐水ラビング試験を行った。[評価例2] 評価例1で、実施例1で得られたポリマー30%溶液15.6gを、実施例2で得られたポリマー30%溶液23.5gに変更した以外は、評価例1と同様の操作を行った。[評価例3] 評価例1で、実施例1で得られたポリマー30%溶液を比較例1で得られたポリマー30%溶液に変更した以外は、評価例1と同様の操作を行った。 評価例1〜3の結果を表2に示す。表2○:塗膜外観に変化なし△:塗膜に傷がつく×:塗膜が剥がれる 以上の結果から、本発明の重合体は、貯蔵安定性に優れ、長期保存後の使用時においても製造時と同等の水酸基価を有し、重合体上の水酸基を有効に利用できることが確認された。少なくともN−ビニルピロリドンと、下記一般式(1)で表される不飽和化合物とから得られることを特徴とする重合体。(式中、R1およびR2は、同一もしくは異なる基であって、水素原子または有機残基を示す。)前記N−ビニルピロリドンを1質量%以上99.9質量%以下と、前記一般式(1)で表される不飽和化合物を0.1質量%以上99質量%以下と、その他の共重合可能な単量体を0質量%以上98.9質量%以下とを重合して得られる請求項1に記載の重合体。 前記N−ビニルピロリドンと前記一般式(1)で表される不飽和化合物との質量比が、N−ビニルピロリドン/前記一般式(1)で表される不飽和化合物として50/50以上99.9/0.1以下である請求項1又は2に記載の重合体。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法にて測定される重量平均分子量が1000〜1000000であることを特徴とする請求項1〜3何れかに記載の重合体。重合体1kg当りの水酸基価が8.6*10−3〜8.5mol/kgであることを特徴とする請求項1〜4何れかに記載の重合体。 【課題】貯蔵安定性に優れ、使用時においても製造時と同等の水酸基価を有するビニルピロリドン系重合体を提供する。【解決手段】少なくともN−ビニルピロリドンと、α−ヒロドキシアルキルアクリル酸エステルとから得られることを特徴とし、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法にて測定される重量平均分子量が1000〜1000000であり、重合体1kg当りの水酸基価が8.6*10−3〜8.5mol/kgである重合体を使用する。【選択図】なし