生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_電気化学式COセンサ
出願番号:2009207994
年次:2011
IPC分類:G01N 27/416,G01N 27/30


特許情報キャッシュ

望月 計 堀米 宏規 井上 智弘 JP 2011058917 公開特許公報(A) 20110324 2009207994 20090909 電気化学式COセンサ 矢崎総業株式会社 000006895 東京瓦斯株式会社 000220262 フィガロ技研株式会社 000112439 中村 信雄 100145908 西澤 一生 100135714 益頭 正一 100136711 望月 計 堀米 宏規 井上 智弘 G01N 27/416 20060101AFI20110301BHJP G01N 27/30 20060101ALI20110301BHJP JPG01N27/46 331G01N27/30 B 3 1 OL 10 本発明は、電気化学式COセンサに関する。 従来、電気化学式COセンサには、燃料電池作動型と定電位電解型とがある。燃料電池作動型は、Nafion(登録商標)膜で代表されるパーフルオロスルホン酸構造を持つ膜(PEM膜)にPt(白金)が担持された電極をホットプレス等で圧着し、これにより作製したMEA(膜電極複合体)がセンサとして利用されている。このセンサは、精度が高く、また湿度の影響も受けにくい特徴を有している(例えば特許文献1参照)。 一方、定電位電解型は、電解液に硫酸を使用している。このため、湿度が低い条件下では精度が高いが、高温高湿雰囲気中では湿度の影響によって誤差が大きくなる特性がある。よって、業務用厨房などの比較的高温高湿の環境下では、燃料電池作動型のCOセンサを用いた方がCOガス濃度をより精度良く検出することができる。特開2005−276642号公報 しかし、燃料電池作動型のCOセンサのように、白金という希少金属を電極に使用することは、資源面、コスト面、CO2の環境面上問題である。そこで、単純に電極に使用する白金量を減らしたとしても、センサ感度に影響を及ぼしてしまい、感度上問題が発生してしまう。 本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、電極に使用する白金量を低減しつつも、感度の悪化を防止することが可能な電気化学式COセンサを提供することにある。 本発明の電気化学式COセンサは、一酸化炭素雰囲気に晒されるアノード電極と、前記アノード電極に対向して設けられたカソード電極と、前記アノード電極と前記カソード電極とに挟まれた固体電解質膜と、前記アノード電極が一酸化炭素雰囲気に晒されることにより前記アノード電極及び前記カソード電極間を流れる電流の値を計測する電流計測部と、前記電流計測部により計測された電流値に基づいて一酸化炭素濃度を判断する濃度判断部と、を備え、前記アノード電極と前記カソード電極とは白金を担持すると共に、前記アノード電極の白金担持量は前記カソード電極の担持量よりも少なくされていることを特徴とする。 この電気化学式COセンサによれば、アノード電極の白金担持量はカソード電極の担持量よりも少なくされている。ここで、本件発明者らはカソード電極の白金担持量を変化させずにアノード電極の白金担持量を少なくしても、一酸化炭素の検出感度にはほぼ変化がないことを見出した。このため、アノード電極の白金担持量をカソード電極の担持量よりも少なくすることで、電極に使用する白金量を低減しつつも、感度の悪化を防止することができる。 また、本発明の電気化学式COセンサは、前記アノード電極の白金担持量は0.015mg/cm2以上0.3mg/cm2未満であることが好ましい。 この電気化学式COセンサによれば、アノード電極の白金担持量は0.015mg/cm2以上0.3mg/cm2未満である。ここで、アノード電極の白金担持量は0.015mg/cm2未満であると検出感度の低下を招き、0.3mg/cm2以上であると白金担持量が多くなり、コスト面等で問題が発生する。よって、アノード電極の白金担持量を0.015mg/cm2以上0.3mg/cm2未満とすることで、電極に使用する白金量を低減しつつも、感度の悪化を適切に防止することができる。 また、本発明の電気化学式COセンサは、前記カソード電極の白金担持量は0.3mg/cm2以上であることが好ましい。 この電気化学式COセンサによれば、カソード電極の白金担持量は0.3mg/cm2以上である。ここで、カソード電極の白金担持量は0.3mg/cm2未満であると検出感度の低下を招いてしまう。よって、カソード電極の白金担持量は0.3mg/cm2以上とすることで、感度の悪化を適切に防止することができる。 本発明によれば、電極に使用する白金量を低減しつつも、感度の悪化を防止することができる。本発明の実施形態に係る電気化学式COセンサの原理図である。本発明の実施形態に係る電気化学式COセンサの構成図である。電流密度と一酸化炭素濃度との相関を示すグラフである。アノード電極又はカソード電極の一方の白金担持量を一定とし、他方の白金担持量を変化させたときの感度を示すグラフである。アノード電極及びカソード電極の双方の白金担持量を変化させたときの感度を示すグラフである。 以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る電気化学式COセンサの原理図である。電気化学式COセンサ1は、アノード電極10と、カソード電極20と、固体電解質膜30と、電流計測部40とを有している。 アノード電極10は、一酸化炭素雰囲気に晒されており、カーボンにより構成されている。カソード電極20は、アノード電極10に対向して設けられており、アノード電極10と同様にカーボンにより構成されている。また、アノード電極10及びカソード電極20には白金が担持されている。固体電解質膜30は、イオン導電性を有する固体であって、具体的には膜が用いられている。この固体電解質膜30はアノード電極10とカソード電極20とに挟まれて配置されている。 電流計測部40は、アノード電極10が一酸化炭素に晒されることにより、アノード電極10及びカソード電極20間を流れる電流の値を計測するものである。具体的にアノード電極10とカソード電極20とには以下のような原理で電流が流れる。 まず、アノード電極10が一酸化炭素雰囲気に晒されると、アノード電極10に供給される水と共に以下の反応が起こる。CO+H2O→CO2+2H++2e−・・・・(1) そして、発生した水素イオンは固体電解質膜30中を移動し、カソード電極20に到達する。また、発生した電子は固体電解質膜30を介することなく電流計測部40を介してカソード電極20に移動する。そして、カソード電極20において以下の反応が起こる。1/2O2+2H++2e−→H2O・・・・・(2) 従って、トータルでは以下の反応が起こるといえる。CO+1/2O2→CO2・・・・(3)このように、電気化学式COセンサ1では一酸化炭素を二酸化炭素に変換することとなり、この過程において発生した電子の移動、すなわち電流の値を電流計測部40にて検出することとなる。さらに、電子の発生量はアノード電極10に晒される一酸化炭素の濃度に依存する。このため、電流計測部40の検出値に基づいて一酸化炭素の濃度を判断できることとなる。 図2は、本発明の実施形態に係る電気化学式COセンサの構成図である。図2に示すように、本実施形態に係る電気化学式COセンサ1は、図1に示したアノード電極10、カソード電極20、固体電解質膜30及び電流計測部40に加えて、濃度判断部50と、ハウジング60と、拡散制御板70とを備えている。 濃度判断部50は、電流計測部40により計測された電流値に基づいて一酸化炭素の濃度を判断するものである。図3は、電流密度と一酸化炭素濃度との相関を示すグラフである。図3に示すように、一酸化炭素濃度は電流密度に対して比例する関係にある。このため、濃度判断部50は、電流計測部40により計測された電流値から電流密度を求め、この電流密度から一酸化炭素濃度を判断する。 ハウジング60は、アノード電極10、カソード電極20及び固体電解質膜30等を覆う筐体であって、複数のガス導入孔60aが形成されている。このガス導入孔60aは、一酸化炭素を含む気体を導入してアノード電極10に導く役割を果たす。拡散制御板70は、ハウジング60のガス導入孔60a形成側とアノード電極10との間に介在され、導入した一酸化炭素を含む気体を拡散してアノード電極10に導くものである。 以上のような電気化学式COセンサ1では、アノード電極10の白金担持量がカソード電極20の白金担持量よりも少なくされている。これにより、本実施形態に係る電気化学式COセンサ1は感度を悪化させることなく、電極に使用する白金量が少なくなっている。以下、この点について説明する。 まず、白金を担持した電極では水素の交換電流密度が酸素よりも6桁近く大きい。このため、アノード電極10では式(1)に示すように水素の交換電流密度が重要であることから、アノード電極10に担持される白金量を少なくすることができる。一方、カソード電極20では式(2)に示すように酸素の交換電流密度が重要であることから、カソード電極20に担持される白金量を少なくし過ぎると、反応できなくなる可能性があり、担持される白金量を少なくすると感度の悪化を招く可能性がある。従って、アノード電極10の白金担持量をカソード電極20の白金担持量よりも少なくすることにより、感度を悪化させることなく、電極に使用する白金量を少なくすることができる。 ここで、実際の燃料電池では一酸化炭素の被毒によって触媒となる白金の量を少なくすることが困難なことがあるが、アノード電極10及びカソード電極20について酸素雰囲気下で使用する場合には白金量を低下させても感度に問題がなく、上記のようにアノード電極10の白金担持量を少なくすることで、コスト面等で有利な電気化学式COセンサ1を提供できることとなる。 次に、グラフを参照しつつ、具体的な白金担持量と白金担持量に応じた感度とを説明するが、これに先立って、感度測定にあたり使用される電気化学式COセンサ1の具体的構成を説明する。 固体電解質膜30は以下のようにして作製した。まず、プロトン導電膜として市販のNafion117を用意し、Nafion117の膜の有機物を除去するため、3wt%過酸化水素溶液で1hr煮沸した後、蒸留水で1hr煮沸を行った。その後、0.5MH2SO4水溶液中で1hr活性化処理を行い、蒸留水で1hr煮沸洗浄したものを固体電解質膜30とした。 電極10,20は以下のようにして作製した。まず、カーボンクロス上に46.5wt%Pt/C触媒(田中貴金属製)を担持した。このとき、白金担持量が0.003mg/cm2から1mg/cm2となるように、各電極10,20を作製した。 さらに、固体電解質膜30と電極10,20との接合は、125℃、10MPa、10minの条件でホットプレスすることにより行った。 また、感度の測定にあたっては、上記のようにして作製された電極10,20と固体電解質膜30との結合体から、図2に示す構成の電気化学式COセンサ1を作製し、これをアクリルチャンバー内にセットして測定した。 次に、グラフを参照しつつ、具体的な白金担持量と白金担持量に応じた感度とを説明する。図4は、アノード電極10又はカソード電極20の一方の白金担持量を一定とし、他方の白金担持量を変化させたときの感度を示すグラフである。 図4に示すように、カソード電極20の白金担持量を0.3mg/cm2に固定し、アノード電極10の白金担持量を変化させた場合以下のようになる。すなわち、白金担持量が0.32mg/cm2のときの感度を「1」とした場合、感度は、白金担持量を0.21mg/cm2のときに約「0.96」となり、白金担持量が0.11mg/cm2のときに約「1」となり、白金担持量が0.03mg/cm2のときに約「1.1」となり、白金担持量が0.015mg/cm2のときに約「1」となる。また、感度は、白金担持量が0.003mg/cm2のときに約「0.28」となる。 このように、アノード電極10の白金担持量が0.3mg/cm2のときと、白金担持量が0.015mg/cm2以上0.3mg/cm2未満のときとでは、感度に殆ど差がない。このため、アノード電極10の白金担持量を0.015mg/cm2以上0.3mg/cm2未満とすることで、感度を悪化させることなく、使用する白金量を少なくすることができる。 一方、アノード電極10の白金担持量を0.3mg/cm2に固定し、カソード電極20の白金担持量を変化させた場合以下のようになる。すなわち、白金担持量が0.32mg/cm2のときの感度を「1」とした場合、感度は、白金担持量が0.21mg/cm2のときに約「0.90」となり、白金担持量が0.12mg/cm2のときに約「0.68」となり、白金担持量が0.03mg/cm2のときに約「0.58」となり、白金担持量が0.015mg/cm2のときに約「0.48」となる。さらに、感度は、白金担持量が0.008mg/cm2のときに約「0.28」となり、白金担持量が0.003mg/cm2のときに約「0.16」となる。 このように、カソード電極20については、白金担持量を少なくすると、感度の悪化を招いてしまう。従って、白金担持量は0.3mg/cm2以上であることが必要である。なお、カソード電極20の白金担持量を多くし過ぎると、コスト面等で不利となってしまう。このため、カソード電極20の白金担持量は1.0mg/cm2以下であることが望ましい。 図5は、アノード電極10及びカソード電極20の双方の白金担持量を変化させたときの感度を示すグラフである。図5に示すように、双方の白金担持量を変化させた場合、以下のようになる。 すなわち、アノード電極10及びカソード電極20の白金担持量が0.32mg/cm2のときの感度を「1」とした場合、感度は、白金担持量が0.4mg/cm2のときに約「0.92」となり、白金担持量が0.6mg/cm2のときに約「0.85」となり、白金担持量が1.0mg/cm2のときに約「0.92」となる。また、感度は、白金担持量が0.2mg/cm2のときに約「0.9」となり、白金担持量が0.1mg/cm2のときに約「0.6」となる。さらに、感度は、白金担持量が0.003mg/cm2のときに約「0.18」となる。 このように、単純にアノード電極10及びカソード電極20の双方の白金担持量を変化させたとしても、感度を悪化させることなく、使用する白金量を少なくすることが困難となる。すなわち、白金担持量0.3mg/cm2を基準とし、白金担持量を0.3mg/cm2よりも多くすると、白金担持量が多くなりコスト面等で不利となる。一方、白金担持量を0.3mg/cm2未満とすると、特に0.2mg/cm2を境として感度が悪化してしまう。 よって、本実施形態のように、アノード電極10の白金担持量をカソード電極20の白金担持量よりも少なくすることが最適といえる。なお、図5に示すように両電極の白金担持量を少なくした場合に感度が低下する理由は、カソード電極20に依存するからである。すなわち、図4を参照して説明したように、カソード電極20のみの白金担持量を低下させた場合、特に0.2mg/cm2を境として感度が悪化してしまう。これに対してアノード電極10のみの白金担持量を低下させた場合、0.015mg/cm2まで感度は悪化しない。よって、両電極の白金担持量を少なくした場合、まず、両電極の白金担持量が0.2mg/cm2になった段階で、カソード電極20に依存して感度が低下してしまう。 このようにして、本実施形態に係る電気化学式COセンサ1によれば、アノード電極10の白金担持量はカソード電極20の担持量よりも少なくされている。ここで、本件発明者らはカソード電極20の白金担持量を変化させずにアノード電極10の白金担持量を少なくしても、一酸化炭素の検出感度にはほぼ変化がないことを見出した。このため、アノード電極10の白金担持量をカソード電極20の担持量よりも少なくすることで、電極に使用する白金量を低減しつつも、感度の悪化を防止することができる。 また、アノード電極10の白金担持量は0.015mg/cm2以上0.3mg/cm2未満である。ここで、アノード電極10の白金担持量は0.015mg/cm2未満であると検出感度の低下を招き、0.3mg/cm2以上であると白金担持量が多くなり、コスト面等で問題が発生する。よって、アノード電極10の白金担持量を0.015mg/cm2以上0.3mg/cm2未満とすることで、電極に使用する白金量を低減しつつも、感度の悪化を適切に防止することができる。 この電気化学式COセンサによれば、カソード電極20の白金担持量は0.3mg/cm2以上である。ここで、カソード電極20の白金担持量は0.3mg/cm2未満であると検出感度の低下を招いてしまう。よって、カソード電極20の白金担持量は0.3mg/cm2以上とすることで、感度の悪化を適切に防止することができる。 以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。例えば、本実施形態において電気化学式COセンサ1の構成を、材料を挙げて説明したが、材料は特に上記記載のものに限られるものではなく、適宜変更可能である。 また、本実施形態において電気化学式COセンサ1は図2に示した構成に限らず、図1に示す原理的構成を備える範囲で適宜変更可能である。 なお、図3に示した一酸化炭素濃度と電流密度との相関については上記のように作製された電気化学式COセンサ1をアクリルチャンバー内にセットし、一酸化炭素濃度が0%〜4%までのガスを注入して測定した結果である。1…電気化学式COセンサ10…アノード電極20…カソード電極30…固体電解質膜40…電流計測部50…濃度判断部60…ハウジング60a…ガス導入孔70…拡散制御板 一酸化炭素雰囲気に晒されるアノード電極と、 前記アノード電極に対向して設けられたカソード電極と、 前記アノード電極と前記カソード電極とに挟まれた固体電解質膜と、 前記アノード電極が一酸化炭素雰囲気に晒されることにより前記アノード電極及び前記カソード電極間を流れる電流の値を計測する電流計測部と、 前記電流計測部により計測された電流値に基づいて一酸化炭素濃度を判断する濃度判断部と、を備え、 前記アノード電極と前記カソード電極とは白金を担持すると共に、前記アノード電極の白金担持量は前記カソード電極の担持量よりも少なくされている ことを特徴とする電気化学式COセンサ。 前記アノード電極の白金担持量は0.015mg/cm2以上0.3mg/cm2未満である ことを特徴とする請求項1に記載の電気化学式COセンサ。 前記カソード電極の白金担持量は0.3mg/cm2以上である ことを特徴とする請求項2に記載の電気化学式COセンサ。 【課題】電極に使用する白金量を低減しつつも、感度の悪化を防止することが可能な電気化学式COセンサを提供する。【解決手段】電気化学式COセンサ1は、アノード電極10と、カソード電極20と、固体電解質膜30と、電流測定部40とを備え、電流測定部40は、アノード電極10が一酸化炭素雰囲気に晒されることによりアノード電極10及びカソード電極20間を流れる電流の値を計測する。この計測された電流値に基づいて一酸化炭素濃度が判断される。また、アノード電極10とカソード電極20とは白金を担持すると共に、アノード電極10の白金担持量はカソード電極20の担持量よりも少なくされている。【選択図】図1


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