生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_分散剤吸着量の測定方法
出願番号:2009202546
年次:2011
IPC分類:G01N 24/08,B41J 2/01,C09D 11/00


特許情報キャッシュ

振角 一平 星 正人 福田 輝幸 JP 2011053094 公開特許公報(A) 20110317 2009202546 20090902 分散剤吸着量の測定方法 花王株式会社 000000918 前田 弘 100077931 竹内 祐二 100113262 振角 一平 星 正人 福田 輝幸 G01N 24/08 20060101AFI20110218BHJP B41J 2/01 20060101ALI20110218BHJP C09D 11/00 20060101ALI20110218BHJP JPG01N24/08 510PB41J3/04 101YC09D11/00 9 2 OL 13 2C056 4J039 2C056EA04 2C056FC01 4J039BE01 4J039BE19 4J039BE22 4J039BE30 4J039BE32 4J039CA03 4J039CA06 4J039DA02 4J039EA44 4J039GA24 本発明は、NMRスペクトルを用いて分散媒中に分散した固体に対する分散剤の吸着量を測定する方法、並びにそれを用いたインクジェット記録用インクの検査方法、製造方法、及び製造されたインクジェット記録用インクに関する。 インクジェット用顔料に代表されるような分散剤によって水性媒体中に分散した固体における分散剤の吸着量を定量する方法として、遠心分離を用いた方法が一般に広く知られている(例えば、特許文献1)。特開2007−254516号公報 しかしながら、遠心分離を用いた方法では、未吸着の分散剤が沈降したり、或いは、遠心時の機械的作用により顔料に吸着した分散剤が脱離する可能性がある。 本発明の課題は、分散剤吸着量の測定方法において、未吸着の分散剤の沈降や固体に吸着した分散剤の脱離といった問題が生じないようにすることである。 本発明の分散剤吸着量の測定方法は、NMRスペクトルを用いて分散媒中に分散した固体に対する分散剤の吸着量を測定する方法であって、固体と共に一定の実含有濃度で分散剤を含有する測定対象物について、分散媒のNMRシグナルと重複しない分散剤由来の所定のNMRシグナルの強度から分散剤の測定濃度を求め、また、固体を含有せず且つ分散剤を含有するレファレンスについて、分散剤由来の前記所定のNMRシグナルの強度から求められる測定濃度が前記測定対象物の測定濃度に一致するときの分散剤の実含有濃度を求め、そして、前記測定対象物の実含有濃度と前記レファレンスの実含有濃度との差に基づいて、前記測定対象物における固体に対する分散剤の吸着量を定量する。 本発明のインクジェット記録用インクの検査方法は、上記分散剤吸着量の測定方法を用いて、インクジェット記録用インク中の未吸着分散剤量を定量する工程を有する。 本発明のインクジェット記録用インクの製造方法は、上記分散剤吸着量の測定方法を用いて、インクジェット記録用インク中の未吸着分散剤量を定量する工程を有する。 本発明のインクジェット記録用インクは、上記製造方法を用いて得られるものである。 本発明によれば、測定対象物の前処理が不要であり、従って、従来の遠心分離を用いた方法のような未吸着の分散剤の沈降や固体に吸着した分散剤の脱離といった問題が生じない。二重管の断面図である。実含有濃度と測定濃度との関係を示すグラフである。 以下、実施形態について詳細に説明する。 本実施形態に係る分散剤吸着量の測定方法では、NMRスペクトルを用いて分散媒中に分散した固体に対する分散剤の吸着量を測定する。 ここで、本実施形態で用いるNMRスペクトルは、1H−NMRスペクトルであってもよく、また、13C−NMRスペクトルであってもよい。なお、以下では、主として1H−NMRスペクトルを用いた場合について説明する。 本実施形態に係る分散剤吸着量の測定対象物は、分散剤を含有し且つ固体が分散した分散液である。かかる分散液としては、例えば、ポリマーの分散剤を含有すると共に顔料が分散したインクジェット記録用色材、或いはその色材を水性媒体で希釈したインクジェット記録用インクが挙げられる。 分散媒としては、水性媒体及び非水溶性有機溶媒が挙げられる。 水性媒体としては、例えば、水及び水溶性有機溶媒が挙げられる。水溶液有機溶媒としては、例えば、各々、20℃での水に対する溶解度が10質量%以上であるアルコール系溶媒、ケトン系溶媒、及びエーテル系溶媒等が挙げられる。かかるアルコール系溶媒としては、例えば、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール(重量平均分子量2000以下のもの)、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ペンタエリスリトール等が挙げられる。ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等が挙げられる。エーテル系溶媒としては、例えば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。エステル系溶剤としては、例えば、酢酸エチル、プロピレンカーボネート等が挙げられる。含窒素化合物系溶剤としては、例えば、尿素、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジン等が挙げられる。水性媒体は、単一種で構成されていてもよく、また、複数種が混合されて構成されていてもよい。なお、分散媒は、20℃での水に対する溶解度が10質量%未満である非水溶性有機溶剤を分散に影響のない範囲において含有してもよい。 非水溶性有機溶媒としては、例えば、20℃での水に対する溶解度が10質量%未満であるヘキサン、トルエン等が挙げられる。非水溶性有機溶媒は、単一種で構成されていてもよく、また、複数種が混合されて構成されていてもよい。なお、分散媒は、20℃での水に対する溶解度が10質量%以上である水溶性有機溶剤を分散に影響のない範囲において含有してもよい。 分散剤としてのポリマーとしては、例えば、ビニルポリマー分散剤、エステル系ポリマー分散剤、ウレタン系ポリマー分散剤等が挙げられる。なお、本出願において、「ポリマー」とは重量平均分子量が5000以上のものをいう。ポリマー以外の分散剤としては、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤性、両性界面活性等が挙げられる。分散剤は、単一種で構成されていてもよく、また、複数種で構成されていてもよい。測定対象物又はレファレンスとしての分散液中の分散剤の実含有濃度は0.01〜15質量%であり、好ましくは0.05〜10質量%である。なお、本出願では、分散液に実際に含まれる分散剤の濃度を「実含有濃度」という。 固体としての顔料としては、例えば、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、アントラキノン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、キノフラノン顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどの有機顔料;カーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物などの無機顔料が挙げられる。金属酸化物としては、酸化チタン、アルミナ、ジルコニア等が挙げられる。顔料以外の固体としてはシリカ等が挙げられる。固体は、単一種で構成されていてもよく、また、複数種で構成されていてもよい。測定対象物としての分散液中の固体の含有量は例えば0.5〜30質量%である。 分散液には、その他に殺菌剤、防黴剤、抗酸化剤、pH調整剤、キレート剤等が含まれていてもよい。 本実施形態に係る分散剤吸着量の測定方法では、測定対象物について、分散媒のNMRシグナルと重複しない分散剤由来の所定のNMRシグナルの強度から分散剤の測定濃度を求める。なお、本出願では、NMRシグナルの強度から求められる濃度を「測定濃度」という。 ここで、分散剤由来の所定のNMRシグナルは、分散剤に含まれる特定の官能基により化学シフトしたNMRシグナルであり、分散媒のNMRシグナルと重複しないものであることが必要である。分散媒が水を含む場合、上記官能基としては、例えば、フェニル基、アルデヒド基、エーテル基等が挙げられる。分散媒がアルコール系溶媒を含む場合、上記官能基としては、例えば、フェニル基、アルデヒド基、アルケン等が挙げられる。分散媒がケトン系溶媒を含む場合、上記官能基としては、例えば、フェニル基、エーテル基、アルケン等が挙げられる。分散媒がエーテル系溶媒を含む場合、上記官能基としては、例えば、フェニル基、アルデヒド基、アルケン等が挙げられる。分散媒が非水溶性有機溶剤を含む場合、上記官能基としては、例えば、ヒドロキシル基、フェニル基、エーテル基等が挙げられる。 測定においては、具体的には、実含有濃度が既知の測定対象物と濃度既知の標準物質溶液のNMRスペクトルをともに測定する。このとき、NMR試料管として単一管に測定対象物と標準物質溶液との両方を入れてもよいが、図1に示すような二重管10を用い、標準物質溶液及び実含有濃度既知の測定対象物のうち一方を内管11に及び他方を内管11と外管12との間にそれぞれ入れて封緘し、それらの混合の影響を排除することが好ましい。また、この場合、標準物質溶液を内管11に及び測定対象物を内管11と外管12との間にそれぞれ入れることがより好ましい。 二重管を使用する場合、あらかじめ使用する二重管固有の補正係数を算出しておく必要がある。具体的には、例えば、内管11に濃度既知の標準物質溶液を封緘し、また内管11と外管12との間に内管11に封緘した標準物質とは異なる化学シフトを与える濃度既知の参照物質溶液を入れてNMRスペクトルを測定する。そして、得られたNMRスペクトルにおいて、それぞれのNMRシグナルの面積(強度)を測定し、下記式(1)に基づいて二重管固有の補正係数を算出する。 また、内管の内径(直径)をa、内管の外形(直径)をb、及び外管の内径(直径)をcとするとき、実測によらず二重管固有の補係数をa2/(c2−b2)としてもよい。 分散剤の測定濃度は、二重管の内管に標準物質溶液及び内管と外管との間に実含有濃度既知の測定対象物をそれぞれ入れて封緘して測定する。得られたNMRスペクトルにおいて、測定対象物の分散剤由来の所定のNMRシグナルの面積(強度)と標準物質のNMRシグナルの面積(強度)とを測定し、下記式(2)又は(3)に基づいて測定対象物の分散液の測定濃度を算出する。 本実施形態に係る分散剤吸着量の測定方法では、固体を含有せず且つ分散剤を含有するレファレンスについて、分散剤由来の前記所定のNMRシグナルの強度から求められる測定濃度が、測定対象物の測定濃度に一致するときの分散剤の実含有濃度を求め、測定対象物の実含有濃度とレファレンスの実含有濃度との差に基づいて、測定対象物における固体に対する分散剤の吸着量を定量する。 つまり、この測定方法においては、測定対象物に含まれる分散剤から固体に吸着された分散剤を除いた部分がレファレンスに含まれる分散剤と等価であると考える。すなわち、レファレンスの分散剤由来の所定のNMRシグナルの強度から求められる測定濃度が測定対象物の測定濃度に一致するのは、レファレンスに含まれる分散剤が測定対象物に含まれる分散剤から固体に吸着された分散剤を除いた部分と等価となる場合である。 また、一般に、分散液中の分散剤には運動性の大きいものと小さいものとが含まれ、前者はNMR分析によって検出されるものの、後者は検出されない。そのため、NMR分析によって定量される分散剤の測定濃度は分散剤の実含有濃度とは一致しない。そこで、この測定方法においては、分散剤のうち固体に吸着していないものの測定濃度と実含有濃度とを1対1で対応付ける。そうすると、上記の場合のレファレンスの分散剤の実含有濃度は、測定対象物に含まれる分散剤から固体に吸着された分散剤を除いた部分の実含有濃度に一致する。従って、測定対象物の実含有濃度とレファレンスの実含有濃度、すなわち、測定対象物に含まれる分散剤から固体に吸着された分散剤を除いた部分の実含有濃度との差は固体に吸着された分散剤の濃度ということになる。 以上のような手順で分散剤の吸着量を測定するには、レファレンスについて、分散剤の実含有濃度と分散剤由来の前記所定のNMRシグナルの強度から求められる分散剤の測定濃度との対応関係を予め求めておくことが好ましい。 この対応関係は、固体を含有せず且つ分散剤を含有するレファレンスについて実含有濃度を変量して標準物質に基づいてNMR分析し、得られたNMRスペクトルからそれぞれの測定濃度を求め、図2に示すように、横軸を実含有濃度及び縦軸を測定濃度としたグラフに結果をプロットし、それらを近似して描いた検量線により構成することができる。 例えば、分散剤の実含有濃度がAである測定対象物について分散剤の吸着量を測定する場合、それをNMR分析して得られた測定濃度がBであったとすると、測定濃度がBであるレファレンスの実含有濃度はA’であるということから、(A−A’)が固体に吸着された分散剤の濃度ということを容易に知ることができる。 なお、式(2)及び式(3)において、どのNMRシグナルを用いて分散剤の測定濃度を算出するかは、分散媒のNMRシグナルと重複しない分散剤由来のNMRシグナルである限り任意であり限定されない。測定対象物とレファレンスとで異なる化学シフトを持つNMRシグナルを用いることも分散媒のNMRシグナルと重複しない分散剤由来のNMRシグナルである限り可能である。ただし、同一の官能基に由来するNMRシグナルを用いるのが好ましい。 また、測定対象物とレファレンスとで同一の官能基に由来するNMRシグナルを用いる場合、二重管を用い、標準物質溶液及び前記測定対象物について、一方を内管に及び他方を内管と外管との間にそれぞれ入れ、標準物質及び分散剤の所定の官能基に由来するNMRシグナルを測定し、標準物質に対する分散剤のシグナルの強度比を求め、また、同じ標準物質溶液及び前記レファレンスについて、一方を内管に及び他方を内管と外管との間にそれぞれ入れ、標準物質及び分散剤の同じ官能基に由来するNMRシグナルを測定し、標準物質に対する分散剤のシグナルの強度比を求め、それらの差を前記測定対象物の実含有濃度と前記レファレンスの実含有濃度との差に見立てればよい。この場合、式(2)或いは式(3)において算出される測定濃度の代わりに、下記式(4)を用いることが可能である。つまり、測定対象物の実含有濃度と、測定対象物と一致する面積比を与えるレファレンスの実含有濃度との差が測定対象物の固体に吸着された分散剤濃度となる。 以上の本実施形態に係る分散剤吸着量の測定方法によれば、測定対象物の前処理が不要であり、従って、従来の遠心分離を用いた方法のような未吸着の分散剤の沈降や固体に吸着した分散剤の脱離といった問題が生じず、精度の高い分散剤吸着量の定量を行うことができる。 本実施形態に係る分散剤吸着量の測定方法は、例えば、インクジェット記録用インクの製造における検査工程において、インクジェット記録用インク中の未吸着分散剤量を定量する際の検査方法として用いることができる。そして、製造されるインクジェット記録用インクとして、精度の高い分散剤吸着量の定量検査が行われるので、均一な品質のものを得ることができる (測定対象物の分散液及びレファレンスのエマルジョンの調整) <ポリマー(分散剤)の合成> 反応容器内に、メチルエチルケトン20部、重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.03部、並びにモノマーとして、(a)メタクリル酸(三菱瓦斯化学社製、商品名:GE−110(MAA))15部、(b)スチレンマクロマー(東亜合成社製、商品名:AS−6S、数平均分子量6000)10部、(c)2−エチルヘキシルメタクリレート(三菱レイヨン社製、商品名:アクリエステルEH)30部、(d)スチレンモノマー(新日鉄化学社製 商品名:スチレンモノマー)30部、及び(e)メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(CH2=C(CH3)COO(CH2CH2O)9CH3 、新中村化学社製、商品名:NKエステルM−90G)15部のそれぞれのモノマーの10%の割合で入れ、窒素ガス置換を十分に行いながらそれらを混合して混合溶液を得た。 一方、滴下ロート中に、上記各モノマーの残りの90%ずつを仕込んだ後、そこに重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.27部、メチルエチルケトン60部、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.2部をそれぞれの割合で入れ、十分に窒素ガス置換を行いながらそれらを混合して混合溶液を得た。 そして、窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら75℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を反応容器内に3時間かけて徐々に滴下した。 滴下終了後、反応容器内の混合溶液の液温を75℃で2時間維持した後、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.3部をメチルエチルケトン5部に溶解した溶液を加え、さらに75℃で2時間及びその後85℃で2時間熟成させて反応終了とし、ポリマー溶液を得た。 得られたポリマー溶液の一部を、減圧下、105℃で2時間乾燥させて溶媒を除去することによってポリマーを単離した。単離したポリマーの重量平均分子量は196000であった。 <顔料(固体)の合成> −ジアゾ化液の調製− イオン交換水959gに35質量%塩酸432g(4.14 モル)を加え、常温で10分間攪拌した後、m−ニトロ−o−アニシジン254g(1.51モル)と下記構造式で表される化合物62g(0.14モル)とを加えて撹拌することにより分散させた。 そして、この分散液に、イオン交換水から製造した氷822gを加えて冷却し、さらにイオン交換水137gに亜硝酸ソーダ119g(1.73モル)を溶解した液を加え、10℃以下に冷却しつつ1時間撹拌し、スルファミン酸で過剰の亜硝酸を消失させた後、濾過を行ってジアゾ化液とした。 −カップラー液の調製− イオン交換水12020gに酢酸ソーダ135g(1.00モル)を加え、常温で10分間攪拌して溶解させた後、さらにアセトアセチル−o−アニシダイド347g(1.67モル)と30%水酸化ナトリウム水溶液250g(1.88モル)とを加えて溶解させた。 そして、この溶液に、80%酢酸149g(1.98モル)を滴下してpH6とし、温度25℃に調温してカップラー液とした。 −アゾ系顔料混合物の合成− 上記カップラー液を攪拌しながら、上記ジアゾ化液を120分かけて室温(20℃、以下同じ)で滴下してカップリング反応させた後、反応液を70℃に昇温して60分間熟成させた。 次いで、濾過及びイオン交換水による洗浄を行って副生塩等を除去し、1時間あたりの質量変化が1%以下になるまで70℃に調温した乾燥機で2時間乾燥させた。 そして、乾燥顔料混合物を粉砕してアゾ系顔料混合物642gを得た。 <分散液の調整> 上記で得られたポリマー溶液を減圧乾燥させて得たポリマー25部を分散剤としてメチルエチルケトン70部にそれぞれの割合で溶かし、その中に中和剤(5N水酸化ナトリウム水溶液)4.1部(中和度75%)、及びイオン交換水230部をそれぞれの割合で加えて塩生成基を中和し、それを、浅田鉄工社製のウルトラディスパーを用いてディスパー翼を2000rpmの回転数で10分間回転させることにより分散させた後、さらに上記で得られたアゾ系顔料混合物を75部の割合で加え、15℃以下に調温し、ディスパー翼を9000rpmの回転数で1時間回転させることにより分散させた。 次いで、得られた分散液を浅田鉄工社製のピコミル(分散メディア:ジルコニア、温度:20℃、分散メディア/分散液質量比:8/2)を用いて周速15m/sで2時間処理し、得られた混合物をマイクロフルイダイザー(Microfluidics社製、商品名)で200MPaの圧力で10パスさせて分散処理を施した。 続いて、得られた分散液にイオン交換水を250部の割合で加えて攪拌した後、60℃の水浴に浸けて減圧下でメチルエチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去し、それを70℃に調温して攪拌しながら3時間の密閉加熱処理を施した後、5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士写真フイルム社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ(テルモ社製)で濾過して粗大粒子を除去し、固形分濃度を20質量%に調整したアゾ系顔料混合物含有ポリマー粒子の水分散体を得た。 そして、得られた水分散体に水を加えて、ポリマーの実含有濃度が2.60質量%である測定対象物の分散液を調整した。この分散液のポリマーの顔料に対する質量比(ポリマー/顔料)は0.33である。 同様に、ポリマーの顔料に対する質量比(ポリマー/顔料)が0.25、0.42、及び0.66である、それぞれポリマーの実含有濃度が2.00質量%、3.40質量%、及び5.30質量%の測定対象物の分散液も調整した。 <レファレンスの調整> 上記で得られたポリマー溶液を減圧乾燥させて得たポリマー25部をメチルエチルケトン70部にそれぞれの割合で溶かし、その中に中和剤(5N水酸化ナトリウム水溶液)4.1部(中和度75%)、及びイオン交換水230部をそれぞれの割合で加えて塩生成基を中和し、それを、浅田鉄工社製のウルトラディスパーを用いてディスパー翼を2000rpmの回転数で10分間回転させることにより分散させた。 次いで、得られた混合物をマイクロフルイダイザー(Microfluidics社製、商品名)で200MPaの圧力で10パスさせて分散処理を施した。 続いて、60℃の水浴に浸けて減圧下でメチルエチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去し、5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士写真フイルム社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ(テルモ社製)で濾過して粗大粒子を除去して、固形分濃度を20質量%に調整したエマルジョンを得た。 そして、得られたエマルジョンに水を加えて、ポリマーの実含有濃度が1質量%、2質量%、4質量%、及び6質量%である4つのレファレンスのエマルジョンを調整した。 (分散剤吸着量の測定) <二重管固有の補正係数の決定> 標準物質としてのトリメチルシリルプロピオン酸ナトリウム(TSP)0.05gに重水(D2O)を加えてトータル5gとしたものを標準物質溶液とした。NMR試料管として二重管を用い、その内管に標準物質溶液及び内管と外管との間に参照物質溶液をそれぞれ入れて封緘してNMR分析を行った。なお、プリサチュレーンョン法により水のシグナル低減を行った。NMR分析では、装置としてVarian社製のUnity INOVA500(500MHz)を用いた。分析条件は、観測核:1H、パルス幅:6μs(45°パルス)、パルス遅延時間:20s、及び測定積算回数:32回とした(以下同じ)。 得られたNMRスペクトルにおいて、内管の標準物質と内管と外管との間の参照物質との両者のシグナルの面積比から補正係数を式(1)から47.8とした。 <検量線の作成> ポリマーの実含有濃度の異なる4つのレファレンスのそれぞれについてNMR分析を行い、得られたNMRスペクトルからそれぞれのポリマーの測定濃度を求め、図2に示すのと同様に、横軸を実含有濃度及び縦軸を測定濃度としたグラフに結果をプロットし、それらを近似して検量線を描いた。 <分散液の分散剤吸着量の測定> ポリマーの実含有濃度(A)の異なる4つの測定対象物の分散液のそれぞれについてNMR分析を行い、得られたNMRスペクトルからそれぞれのポリマーの測定濃度(B)を求め、それに対応するレファレンスのポリマーの実含有濃度(A’)を検量線から読み取り、A−A’を顔料に吸着されたポリマーの濃度として算出した。 測定結果を表1に示す。 NMRを用いたポリマー(分散剤)吸着量の測定方法では、実含有濃度(A)が2.00質量%のときの測定濃度(B)に対応するレファレンスのポリマーの実含有濃度(A’)が0.06質量%であり、従って、顔料に吸着されたポリマーの濃度は1.94質量%である。実含有濃度(A)が2.60質量%のときの測定濃度(B)に対応するレファレンスのポリマーの実含有濃度(A’)が0.30質量%であり、従って、顔料に吸着されたポリマーの濃度は2.30質量%である。実含有濃度(A)が3.40質量%のときの測定濃度(B)に対応するレファレンスのポリマーの実含有濃度(A’)が0.80質量%であり、従って、顔料に吸着されたポリマーの濃度は2.60質量%である。実含有濃度(A)が5.30質量%のときの測定濃度(B)に対応するレファレンスのポリマーの実含有濃度(A’)が2.25質量%であり、従って、顔料に吸着されたポリマーの濃度は3.05質量%である。 本発明は、NMRスペクトルを用いて分散媒中に分散した固体に対する分散剤の吸着量を測定する方法、並びにそれを用いたインクジェット記録用インクの検査方法、製造方法、及び製造されたインクジェット記録用インクについて有用である。10 二重管11 内管12 外管 NMRスペクトルを用いて分散媒中に分散した固体に対する分散剤の吸着量を測定する方法であって、 固体と共に一定の実含有濃度で分散剤を含有する測定対象物について、分散媒のNMRシグナルと重複しない分散剤由来の所定のNMRシグナルの強度から分散剤の測定濃度を求め、また、固体を含有せず且つ分散剤を含有するレファレンスについて、分散剤由来の前記所定のNMRシグナルの強度から求められる測定濃度が前記測定対象物の測定濃度に一致するときの分散剤の実含有濃度を求め、そして、前記測定対象物の実含有濃度と前記レファレンスの実含有濃度との差に基づいて、前記測定対象物における固体に対する分散剤の吸着量を定量する、分散剤吸着量の測定方法。 二重管を用い、標準物質溶液及び前記測定対象物について、一方を内管に及び他方を内管と外管との間にそれぞれ入れ、標準物質及び分散剤の所定の官能基に由来するNMRシグナルを測定し、標準物質に対する分散剤のシグナルの強度比を求め、また、同じ標準物質溶液及び前記レファレンスについて、一方を内管に及び他方を内管と外管との間にそれぞれ入れ、標準物質及び分散剤の同じ官能基に由来するNMRシグナルを測定し、標準物質に対する分散剤のシグナルの強度比を求め、それらの差を前記測定対象物の実含有濃度と前記レファレンスの実含有濃度との差に見立てる、請求項1に記載の分散剤吸着量の測定方法。 前記レファレンスについて、分散剤の実含有濃度と、分散剤由来の前記所定のNMRシグナルの強度から換算される分散剤の測定濃度と、の対応関係を予め求めておく、請求項1又は2に記載の分散剤吸着量の測定方法。 固体が顔料である、請求項1乃至3のいずれかに記載の分散剤吸着量の測定方法。 分散剤がポリマーである、請求項1乃至4のいずれかに記載の分散剤吸着量の測定方法。 分散媒が水又は水溶性有機溶媒を含む、請求項1乃至5のいずれかに記載の分散剤吸着量の測定方法。 請求項1乃至6のいずれかに記載の分散剤吸着量の測定方法を用いて、インクジェット記録用インク中の未吸着分散剤量を定量する工程を有する、インクジェット記録用インクの検査方法。 請求項1乃至6のいずれかに記載の分散剤吸着量の測定方法を用いて、インクジェット記録用インク中の未吸着分散剤量を定量する工程を有する、インクジェット記録用インクの製造方法。 請求項8に記載の製造方法を用いて得られるインクジェット記録用インク。 【課題】分散剤吸着量の測定方法において、未吸着の分散剤の沈降や固体に吸着した分散剤の脱離といった問題が生じないようにする。【解決手段】分散剤吸着量の測定方法では、NMRスペクトルを用いて分散媒中に分散した固体に対する分散剤の吸着量を測定する。測定対象物について、分散媒のNMRシグナルと重複しない分散剤由来の所定のNMRシグナルの強度から分散剤の測定濃度を求める。レファレンスについて、分散剤由来の前記所定のNMRシグナルの強度から求められる測定濃度が前記測定対象物の測定濃度に一致するときの分散剤の実含有濃度を求める。測定対象物の実含有濃度とレファレンスの実含有濃度との差に基づいて、測定対象物における固体に対する分散剤の吸着量を定量する。【選択図】図2


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る