生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_添加剤の濃度管理方法
出願番号:2009200426
年次:2011
IPC分類:G01N 27/48


特許情報キャッシュ

山口 洋平 青木 英和 JP 2011053017 公開特許公報(A) 20110317 2009200426 20090831 添加剤の濃度管理方法 住友金属鉱山株式会社 000183303 小池 晃 100067736 伊賀 誠司 100096677 藤井 稔也 100106781 野口 信博 100113424 祐成 篤哉 100150898 山口 洋平 青木 英和 G01N 27/48 20060101AFI20110218BHJP JPG01N27/48 311 4 3 OL 12 本発明は、銅電解精製の電解液に含まれる添加剤の濃度管理方法に関する。 従来、電解精製の電解液組成を管理する方法として、主要成分である銅、ニッケルなどの金属成分濃度、硫酸、塩酸などの酸濃度について化学分析する方法が実施されている。 また、チオ尿素、ニカワなどの添加剤濃度についても化学分析することが可能であるが、一般に化学分析は時間が掛かってしまう。また、添加剤の分解生成物が電着状態に影響を与えることがあり、化学分析による添加剤濃度の測定が、必ずしも有効ではないことがある。 よって、従来、電解液に含まれる添加剤の濃度評価には、ハルセル試験や分極測定が用いられる。ハルセル試験は、カソードとアノードを斜めに対面させて通電し、カソード上の電流分布に偏りを生じさせ、電着状態を観察するものであり、チオ尿素濃度やニカワ濃度の評価が可能である(例えば、特許文献1参照。)。また、分極測定については、分極曲線の形状を他の分極曲線と比較することにより、電解液の評価が可能である。 しかし、ハルセル試験は、通電後のカソードの乾燥などに時間や手間が掛かってしまい、添加剤濃度を操業現場で簡便に評価することはできない。また、分極測定は、添加剤量について定性的な評価に留まっており、どの添加剤をどの程度電解液に補充するべきかという定量的な評価を得ることは困難である。特開平6−264278号公報 本発明は、上記実情に鑑みて提案されたものであり、銅の電解精製において電解液中の添加剤量を定量的に評価し得るとともに添加剤量を操業現場で簡便に管理し得る添加剤の濃度管理方法を提供する。 本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、分極曲線の所定の電位範囲の形状を線形近似により数値化することにより、電解液に含まれる添加剤量を定量的に評価可能であることを見出した。 すなわち、本発明に係る添加剤の濃度管理方法は、銅電解精製の電解液に含まれる添加剤の濃度管理方法において、電解液中に、作用電極、対向電極、及び参照電極を浸漬し、作用電極と対向電極の間に電圧を掃引印加し、分極曲線を測定する分極測定工程と、分極曲線において、ニカワ量の増加に伴い下方に湾曲する第1の湾曲部、チオ尿素の増加に伴い下方に湾曲する第2の湾曲部、及び第1の湾曲部と第2の湾曲部の間に位置する上方に湾曲する第3の湾曲部をそれぞれ2本の直線により線形近似し、2本の直線の交点をそれぞれ電位が貴な方から第1の交点、第2の交点、及び第3の交点とする解析工程と、第1の交点の電位に基づいてニカワ量の適否を判別するニカワ量判別工程と、第2の交点の電流値と第3の交点の電流値の差分に基づいてチオ尿素量の適否を判別するチオ尿素量判別工程とを有することを特徴とする。 本発明によれば、分極曲線の所定の電位範囲の形状に基づいてチオ尿素量及びニカワ量を定量的に評価することができるため、チオ尿素量及びニカワ量を操業現場で簡便に管理することができる。銅の電解精製装置の構成例を示すブロック図である。濃度管理装置の構成例を示すブロック図である。添加剤の濃度変化に伴う分極曲線の変化を説明するための図である。分極曲線の形状を表す評価値の決定方法を説明するための図である。作用電極及び対向電極を示す模式図である。測定用セルを示す模式図である。ハルセル試験片の電着表面を示す模式図である。ニカワ濃度について、ハルセル試験の評価結果と本手法の評価結果の関係を示すグラフである。チオ尿素濃度について、ハルセル試験の評価結果と本手法の評価結果の関係を示すグラフである。電気銅の不良率と、その電気銅の製造に用いられた電解液のニカワ量の評価結果の関係を示すグラフである。電気銅の不良率と、その電気銅の製造に用いられた電解液のチオ尿素量の評価結果の関係を示すグラフである。 以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら下記順序で詳細に説明する。 1.銅の電解精製装置 (図1) 2.濃度管理装置 (図2) 3.分極曲線に基づく添加剤量の評価方法 (図3、図4) 4.実施例1 (図5〜図9) 5.実施例2 (図10、図11) 6.まとめ 1.銅の電解精製装置 図1は、銅の電解精製装置10の構成例を示すブロック図である。電解精製装置10は、電解液を入れるための電解槽11と、電解槽11から排液された電解液に含まれる添加剤の濃度を管理する濃度管理装置20と、濃度管理装置20の添加指示に応じて添加剤を供給する添加剤供給部30とを備える。また、電解精製装置10は、電解槽11の排液を貯蔵する第1の貯蔵槽14と、塩酸、硫酸、スチームが供給される第2の貯蔵槽15と、電解液を循環させるポンプ16と、電解槽11に電解液を供給する供給槽17とを備える。 電解槽11からの一部の排液は、濃度管理装置20にて定期的にサンプリングされ、残りの排液は、第1の貯蔵槽14に排出される。第1の貯蔵槽14の排液は、第2の貯蔵槽15に排出され、塩酸や硫酸と混合され、スチームにより液温が所定温度となる。第2の貯蔵槽15の電解液は、ポンプ16により供給槽17に供給され、供給槽17を介して電解槽11に供給される。 電解槽11の電解液中には、カソード12とアノード13が交互に浸漬される。カソード12には、例えば、ステンレスなどの母板上に0.5〜1mm程度の厚さになるように銅を電着し、これを剥ぎ取ったものが使用され、アノード13には、精製粗銅が使用される。電解液は、銅、塩酸、硫酸等を含んでおり、さらに均一電着性の向上や結晶の微細化のための添加剤として、ニカワとチオ尿素を含む。 濃度管理装置20は、後述するように電解槽11から排液された電解液を分極測定し、所定の電位範囲の分極曲線の形状に基づいてニカワ量及びチオ尿素量の適否を判別する。また、濃度管理装置20は、判別結果に応じてニカワ及びチオ尿素の添加の可否を決定し、添加剤供給部30に添加指示を行う。 添加剤供給部30は、ニカワの貯蔵槽とチオ尿素の貯蔵槽とを有し、濃度管理装置20の添加指示に応じてニカワ又はチオ尿素を電解槽11中の電解液に所定量添加する。 このように電解液を循環させ、濃度管理装置20が、電解槽11の排液の分極曲線の形状に基づいて添加剤量を評価し、添加剤の不足分を補充することにより、電解槽11中の電解液の添加剤量が一定範囲に保たれる。 2.添加剤の濃度管理方法 次に、上述した濃度管理装置20における添加剤の濃度管理方法について説明する。 図2は、濃度管理装置20の構成例を示すブロック図である。濃度管理装置20は、浴槽21と、浴槽21に注入された電解液22中に浸漬する作用電極23と、対向電極24と、参照電極25とを備える。 浴槽21には、酸やアルカリに耐食性を有するものが用いられ、例えば、ビーカなどの耐薬品性ガラス、ポリカーボネートなどのエンジニアリングプラスチック、ステンレス、チタンなどの金属などが用いられる。作用電極23及び対向電極24には、銅、ステンレス、白金などの金属が用いられ、実操業の銅電解液を測定する場合には、銅が最適である。参照電極25には、銀−塩化銀電極(SSE:Silver/Silver Chloride Electrode)、飽和カンコウ電極(SCE:Saturated Calomel Electrode)などの汎用のものを用いることができる。 また、濃度管理装置20は、作用電極23と対向電極24との間に電圧を掃引印加するための電源部41と、参照電極25に対する作用電極23の電位及び作用電極23と対向電極24の間に生じる電流を測定する測定部42と、電源部41及び測定部42を制御する制御部43と、参照電極25に対する作用電極23の電位及び作用電極23と対向電極24の間に生じる電流から分極曲線を描く演算部44と、演算結果等を記憶する記憶部45とを備える。 電源部41は、作用電極23と対向電極24との間に電圧を掃引印加するものであり、制御部43によって制御される。測定部42は、参照電極25に対する作用電極23の電位差、及び作用電極23と対向電極24との間に生じる電流を測定する。この測定結果は、演算部44に送られ、後述するように分極曲線が解析される。分極曲線は、チャート紙に描画されるか、あるいはデータ化され記憶部45に格納される。 また、制御部43には、電圧を掃引印加し、得られた分極曲線を記憶部45に記憶させるプログラム、記憶部45に記憶された分極曲線に基づき添加剤量を評価するのを演算部44で計算させるプログラム、添加剤量の評価結果を添加剤供給部30に通知するプログラム等が収められている。 3.分極曲線に基づく添加剤量の評価方法 続いて、上述した濃度管理装置20により測定された分極曲線に基づいて添加剤量を評価する方法について説明する。 図3は、添加剤濃度の変化に伴う分極曲線の変化の様子を示すグラフである。分極曲線は、電位・電流曲線の形の変化として得られ、図中点線の分極曲線は、ニカワ及びチオ尿素の濃度が低く、図中実線の分極曲線は、ニカワ及びチオ尿素の濃度が高い。 図3に示すように、ニカワの濃度が増加すると、30〜140mV(vs.SSE)の範囲のA部において、分極曲線が下方に湾曲し、矢印の方向に移行する。すなわち、ニカワ濃度は、分解電圧に影響し、ニカワ量が多くなるほどカソード電位は卑になり、分極して分解電圧が高くなる。 また、チオ尿素が増加すると、180〜290mV(vs.SSE)の範囲のB部において、分極曲線が下方に湾曲し、矢印の方向に移行する。すなわち、チオ尿素濃度は、電流密度が停滞する形状に影響し、チオ尿素量が多くなるほど電流密度が停滞する電位の幅は広がり、電流密度の値は低下する。 よって、本手法では、ニカワ濃度は、A部の分極曲線の形状で評価し、チオ尿素濃度は、B部の分極曲線の形状で評価する。具体的には、A部における湾曲部の矢印方向の移行を表す評価値として電位を用い、B部における湾曲部の矢印方向の移行を表す評価値として電流を用いる。 図4は、A部及びB部における評価値の決定方法の一例を説明するための図である。この例では、30〜140mV(vs.SSE)の範囲のA部における下方湾曲部と、180〜290mV(vs.SSE)の範囲のB部における下方湾曲部と、110〜210mV(vs.SSE)の範囲の上方湾曲部とを用いて評価値を求める。 A部においては、下方湾曲部を2本の接線により線形近似し、2本の接線の交点A1のx座標により、評価値aである電位を求める。 B部においては、110〜210mV(vs.SSE)の範囲の上方湾曲部を2本の接線により線形近似し、2本の接線の交点B1を求め、180〜290mV(vs.SSE)の範囲の下方湾曲部を2本の接線により線形近似し、2本の接線の交点B2を求める。そして、交点B1と交点B2のy座標の差分を求め、評価値bとする。ここで、交点B1と交点B2の差分としたのは、ニカワ及びチオ尿素の濃度の増加に伴い、110〜210mV(vs.SSE)の範囲の電流密度が低下したとしても、電流密度が停滞する形状を正しく表すためである。 このように評価値a及び評価値bを求めることにより、ニカワ及びチオ尿素の濃度の増加に伴うA部及びB部における湾曲部の矢印方向の移行を表すことができる。 なお、分極曲線の湾曲部の線形近似は、接線に限られるものではなく、近似直線を用いても構わない。例えば、図4に示す分極曲線の30〜60mV(vs.SSE)の範囲及び110〜140mV(vs.SSE)の範囲を最小二乗法により直線近似し、この2本の直線の交点から評価値の電位を求めてもよい。同様に、図4に示す分極曲線の110〜140mV(vs.SSE)の範囲及び180〜210mV(vs.SSE)の範囲を最小二乗法により直線近似し、この2本の直線の交点を求め、図4に示す分極曲線の180〜210mV(vs.SSE)の範囲及び260〜290mV(vs.SSE)の範囲を最小二乗法により直線近似し、この2本の直線の交点を求め、これら2つの交点のy座標の差分により評価値を求めてもよい。 すなわち、図2に示す濃度管理装置20において、演算部44は、ニカワ量の増加に伴い下方に湾曲した30〜140mV(vs.SSE)の範囲(A部)の下方湾曲部、チオ尿素の増加に伴い下方に湾曲した180〜290mV(vs.SSE)の範囲(B部)の下方湾曲部、及びA部の下方湾曲部とB部の下方湾曲部の間に位置し、上方に湾曲した110〜210mV(vs.SSE)の範囲の上方湾曲部をそれぞれ2本の直線により線形近似し、2本の直線の交点を、電位が貴な方から交点A1、交点B1、及び交点B2とする。そして、演算部44は、交点A1の電位と、予め適量のニカワが含まれた電解液を用いて求められた交点A1の電位とを比較し、ニカワ量の適否を判別する。また、演算部44は、交点B1の電流密度と交点B2の電流密度の差分と、予め適量のチオ尿素が含まれた電解液を用いて求められた交点B1の電流値と交点B2の電流値の差分とを比較し、チオ尿素量の適否を判別する。ニカワ量の判別結果及びチオ尿素量の判別結果は、添加剤供給部30に通知される。 このように分極測定結果に基づいて電解液中の添加剤量を評価することにより、銅の電解精製工程の添加剤の濃度を操業現場で簡便に管理することができる。 4.実施例1:本手法による評価結果とハルセル試験による評価結果の比較 本手法の有用性を確認するために、添加剤量について分極測定による定量評価とハルセル試験による定量評価の比較を行った。電解液には、おおよそ銅濃度が45g/l、硫酸濃度が185g/l、液温が60℃である実操業のものを使用した。 4−1.分極測定 分極測定には、図5(A)に示す作用電極231及び図5(B)に示す対向電極241を使用した。作用電極231には、圧延銅板233を使用し、電極面積(Wd×Wd)が20mm×20mmとなるようにテープ232でマスキングした。同様に、作用電極241にも、圧延銅板243を使用し、電極面積(Wd×Wd)が20mm×20mmとなるようにテープ242でマスキングした。そして、作用電極231の電極面と対向電極241の電極面を、図6に示す測定用セルにより平行に対向させた。 図6(A)に示すように対向電極241側の圧延銅板243と、圧延銅板243の両端及び下端に配置される薄板状のシート52Aとを、透明なアクリル板51A、51Bによって挟み、アクリル板51A、51B両端のシート52A上の部分を長ネジボルトとナット54、55、56により固定し、同様に、作用電極231側の圧延銅板233と、圧延銅板233の両端及び下端に配置される薄板状のシート52B、53とを、透明なアクリル板51C、51Dによって挟み、アクリル板51C、51D両端のシート52B上の部分を長ネジボルトとナット54、55、56により固定し、測定用セルを作製した。そして、図6(B)に示すようにアクリル板51A、51B、51C、51Dの両端6箇所において、長ネジボルトとナット54A、54B、55A、55B、56A、56Bを調整し、作用電極と対向電極の距離Dを40mmとした。また、ルギン管251の先端が、作用電極231の近くになるように配置した。ルギン管251に接続する参照電極には、Ag−AgCl電極を用いた。 図6に示す測定用セルを500mlビーカ内の実操業の電解液に浸漬し、ポテンシオスタットを用いて、電位0mVから卑方向に10mV/secの掃引速度で分極させ、分極曲線を作成した。そして、上述した接線による線形近似により評価値a及び評価値bを求めた。 4−2.ハルセル試験 ハルセル試験は、特開平6−264278号公報に記載された方法により行った。実操業の電解液を容量267mlのハルセル電解槽に入れ、電流を2Aとして1時間通電した。ハルセル試験片としてステンレス板を用いた。電解終了後、ハルセル試験片の電着面を観察し、ニカワ及びチオ尿素の濃度を評価した。 図7は、特開平6−264278号公報の図1に示すハルセル試験片の電着面である。ニカワ及びチオ尿素の濃度評価は、図7に示すハルセル試験片の電着面において、ニカワの濃度と相関があるノビ(F部)の長さLFと、チオ尿素の濃度と相関があるヒゲ(C部)の長さを測定した。 4−3.比較結果 図8は、実操業の電解液に含まれるニカワ濃度について、ハルセル試験の評価結果と本手法の評価結果の関係を示すグラフである。ハルセル試験によるノビ(F部)の長さLFと本手法による読み値(評価値)aの相関係数(R2)は、0.8538であり、高い相関を示すことが分かる。 また、図9は、実操業の電解液に含まれるチオ尿素濃度について、ハルセル試験の評価結果と本手法の評価結果の関係を示すグラフである。ハルセル試験によるヒゲ(C部)の長さと本手法による読み値(評価値)bの相関係数(R2)は、0.8456であり、高い相関を示すことが分かる。 すなわち、本手法による評価結果は、ニカワ濃度、チオ尿素濃度のいずれにおいてもハルセル試験結果と高い相関を示し、従来行われているハルセル試験結果の定量評価方法と同等の信頼性が得られることが分かる。 5.実施例2:本手法による評価結果と電気銅の不良率との関係 本手法の実操業への適用を確認するため、分極測定による定量評価と電気銅の不良率の関係を調査した。電気銅は、2004年4月から2006年5月までの期間に実操業の電解槽から引き揚げられたものを使用し、その電気銅の製造に用いられた電解液を分極測定した分極曲線により評価した。 分極測定は、4−1にて述べた方法と同様に行った。また、電気銅の良・不良の判断は、電気銅表面に10mm以上の粒が表面全体の30%以上見られるものを不良とし、それ以外を良とした。 図10は、電気銅の不良率と、その電気銅の製造に用いられた電解液のニカワ量の評価結果の関係を示すグラフである。このグラフより、電気銅の不良が少なくなるニカワの読み値(評価値)aの最適範囲は、80〜100mVであることが分かる。 また、図11は、電気銅の不良率と、その電気銅の製造に用いられた電解液のチオ尿素量の評価結果の関係を示すグラフである。このグラフより、電気銅の不良が少なくなるチオ尿素の読み値(評価値)bの最適範囲は、1000〜1500A/m2であることが分かる。 すなわち、ニカワ量を評価する評価値a及びチオ尿素量を評価する評価値bを上述した最適な数値範囲で管理することにより、実操業において電気銅不良率を低減することができる。 6.まとめ 以上説明したように本手法による評価結果は、適量の添加剤が含まれた電解液の評価結果と比較することにより、実操業を行う上での添加剤量の過多を判断する指標とすることができる。また、本手法の評価結果を用いて添加剤量を最適な状態に維持することにより、電気銅の品質を良好な状態で且つ安定的に維持することができる。 10 電解精製装置、 11 電解槽、 12 カソード、 13 アノード、 14第1の貯蔵槽、 15 第2の貯蔵槽、 16 ポンプ、 17 供給槽、 20 濃度管理装置、 21 浴槽、 22 電解液、 23 作用電極、 24 対向電極、 25 参照電極、 30 添加剤供給部、 41 電源部、 42 測定部、 43 制御部、 44 演算部、 45 記憶部 銅電解精製の電解液に含まれる添加剤の濃度管理方法において、 上記電解液中に、作用電極、対向電極、及び参照電極を浸漬し、該作用電極と該対向電極の間に電圧を掃引印加し、分極曲線を測定する分極測定工程と、 上記分極曲線において、ニカワ量の増加に伴い下方に湾曲する第1の湾曲部、チオ尿素の増加に伴い下方に湾曲する第2の湾曲部、及び該第1の湾曲部と該第2の湾曲部の間に位置し、上方に湾曲する第3の湾曲部をそれぞれ2本の直線により線形近似し、2本の直線の交点を、電位が貴な方から第1の交点、第2の交点、及び第3の交点とする解析工程と、 上記第1の交点の電位に基づいてニカワ量の適否を判別するニカワ量判別工程と、 上記第2の交点の電流値と上記第3の交点の電流値の差分に基づいてチオ尿素量の適否を判別するチオ尿素量判別工程と を有することを特徴とする添加剤の濃度管理方法。 上記ニカワ量判別工程では、上記第1の交点の電位と、予め適量のニカワが含まれた電解液を用いて求められた第1の交点の電位とを比較し、ニカワ量の適否を判別し、 上記チオ尿素量判別工程では、上記第2の交点の電流値と上記第3の交点の電流値の差分と、予め適量のチオ尿素が含まれた電解液を用いて求められた第2の交点の電流値と第3の交点の電流値の差分とを比較し、チオ尿素量の適否を判別する ことを特徴とする請求項1記載の添加剤の濃度管理方法。 上記解析工程では、上記第1の湾曲部、上記第2の湾曲部、及び上記第3の湾曲部を、それぞれ2本の接線により線形近似することを特徴とする請求項2記載の添加剤の濃度管理方法。 上記第1の湾曲部、上記第2の湾曲部、及び上記第3の湾曲部は、それぞれ上記参照電極として銀−塩化銀電極を用いたときの分極曲線の30〜140mVの電位範囲、180〜290mVの電位範囲、及び110〜210mVの電位範囲であることを特徴とする請求項3記載の添加剤の濃度管理方法。 【課題】銅の電解精製において電解液中の添加剤量を定量的に評価し得るとともに添加剤量を操業現場で簡便に管理し得る添加剤の濃度管理方法を提供する。【解決手段】ニカワ濃度は、30〜140mV(vs.SSE)の範囲(A部)の分極曲線の形状で評価し、チオ尿素濃度は、180〜290mV(vs.SSE)の範囲(B部)の分極曲線の形状で評価する。具体的には、A部における湾曲部の矢印方向の移行を表す評価値として電位を用い、B部における湾曲部の矢印方向の移行を表す評価値として電流を用いる。【選択図】図3


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