タイトル: | 公開特許公報(A)_ノルボルネン又はノルボルナン構造を有するカルボン酸無水物の分離方法、エポキシ樹脂組成物および光学部材 |
出願番号: | 2009165436 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | C07D 307/89,C08G 59/42 |
吉田 明弘 鈴木 実 椎名 大 JP 2011020932 公開特許公報(A) 20110203 2009165436 20090714 ノルボルネン又はノルボルナン構造を有するカルボン酸無水物の分離方法、エポキシ樹脂組成物および光学部材 日立化成工業株式会社 000004455 三好 秀和 100083806 岩▲崎▼ 幸邦 100100712 川又 澄雄 100100929 伊藤 正和 100095500 高橋 俊一 100101247 高松 俊雄 100098327 吉田 明弘 鈴木 実 椎名 大 C07D 307/89 20060101AFI20110107BHJP C08G 59/42 20060101ALI20110107BHJP JPC07D307/89 DC08G59/42 10 OL 16 4C037 4J036 4C037RC10 4J036DB21 4J036HA12 4J036JA06 4J036JA07 4J036JA08 4J036JA15 本発明は、ノルボルネン又はノルボルナン構造を有するカルボン酸無水物のエンド体とエキソ体とを分離する方法に関する。また、本発明は、上記方法によって得られる、異性体純度の高いノルボルネン又はノルボルナン構造を有するジカルボン酸無水物を用いたエポキシ樹脂組成物および光学部材に関する。 ノルボルネン又はノルボルナン構造を有するカルボン酸無水物は、農薬の原料や各種工業製品の原料として有用である。これらの構造を有するカルボン酸無水物は、立体異性体として、融点、反応性等の物性の異なるエンド体とエキソ体の存在が知られている。 例えば、ノルボルネン構造を有するジカルボン酸無水物に関し、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物をアミンと反応させた後、開環重合させて得られるイミド化合物の重合物は、高ガラス転移温度、低誘電率等の特徴を有し、電子材料として有用である。しかし、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物の立体構造によって、重合反応時の反応性や得られる重合物の性質が異なることが知られている(非特許文献1)。また、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物のイミド誘導体を、オレフィン部分で付加重合させることによって、低誘電率の重合物を得ることができる。この場合にも、重合反応時の反応性は、エンド体よりもエキソ体の方が優れることが知られている(特許文献1〜3)。さらに、エキソ体の誘導体であるテトラカルボン酸は、可溶性ポリイミドの重要な原料として知られている(特許文献4)。 上述のように、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物およびその誘導体は、そのエンド体とエキソ体との立体構造における相違に起因して、反応性等の物性が異なる。それらの有用性は用途によって異なるが、通常、エキソ体がより有益となる場合が多い。しかし、一般に、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物は、無水マレイン酸とシクロペンタジエンとのディールズ・アルダー反応によって合成され、生成物の殆どがエンド体として得られる。そのため、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物におけるエキソ体の割合を高める様々な方法が検討されている。 例えば、前述のディールズ・アルダー反応によって得た、エンド体を主成分とする5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物を、単独または高沸点溶剤中で加熱することにより、エンド体をエキソ体に加熱異性化させる方法が知られている(非特許文献2)。しかし、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物は、140℃から150℃の温度でエンド体/エキソ体の比が約54/46の平衡状態となる。そのため、上述の加熱異性化の方法を適用しても、それのみでは、エキソ体を高純度で取り出すことは困難である。 別法として、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物が常温で固体であることを利用し、再結晶を繰り返すことによって、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物におけるエキソ体の純度を高める方法が知られている(非特許文献3)。しかし、この再結晶の方法は、特に結晶化しやすい酸無水物に限り有効であり、常温で液体である酸無水物には適用できない。 また、別法として、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物の光異性化反応を行うことによって、エキソ体の純度を高める方法がある。この方法は、実験的に、エチルアルコールを溶媒とし、トリエチルアミンを触媒として用い、波長300nmの光を照射することによって実施される(非特許文献4)。しかし、この方法では、アミンとアルコールを用いることから、アルコールと酸無水物との間で反応が進行してしまう問題がある。また、上述の方法を工業化するためには、特殊光を装備した設備が別途必要となるため、経済的に困難である。 さらに、別法として、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物を塩基性化合物で処理し、エンド体とエキソ体とを分離する方法が知られている(特許文献5)。開示された方法は、常温で液状であるカルボン酸無水物に対しても有用であることが示されている。しかし、この方法は、劇物で強アルカリ性の化学薬品を使用するため、その取扱に注意を要するだけでなく、酸による中和処理等の後処理が必要となるため工程が煩雑になるといった課題がある。 一方、ノルボルナン構造を有するカルボン酸無水物を調製する一般的な方法として、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物を水素化する方法が知られている。ノルボルナン構造を有する酸無水物におけるエンド体とエキソ体との分離は、ノルボルネン構造を有するカルボン酸無水物の場合と同様に実施可能であるが、同様の課題がある。 また、メチルノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物を合成する方法として、メチルノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物に酸を加えてメチレンノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物へ異性化し、引き続き、水素化する方法が知られている(特許文献6)。この方法によって得られるメチルノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物は、エキソ体を約70%の割合で含む。しかし、この方法によれば、ノルボルネンの二重結合の転移を伴うため、ノルボルネンのエンド体とエキソ体との分離は困難であること、また合成時に酸を使用するため、特殊な製造設備が必要なこと、さらに生成するカルボン酸無水物のエキソ体の量を任意に調整できない等の課題がある。特開2002−30115号公報特開2002−88120号公報特開2002−284812号公報特開昭63−57589号公報国際公開第2005/023746号特許第3069178号公報Maclomolecules,25, 5150, 1992J. A. C. S., 115, 1963J. A. C. S., 69, 6896, 1967Chem. Lett., 1173,1991 上述のように、ノルボルネン又はノルボルナン構造を有するカルボン酸無水物の調製において、エンド体とエキソ体とを分離する様々な方法が知られている。しかし、いずれも簡便かつ効率的な方法であるとは言い難く、さらなる改善が望まれている。したがって、本発明は、上記課題を解決し、エンド体とエキソ体とを含むカルボン酸無水物から、簡便かつ効率的にエンド体とエキソ体とを分離し、各々、高い異性体純度で取り出す方法を提供することを目的とする。 本発明者らは、鋭意検討の結果、ノルボルネン又はノルボルナン構造を有するカルボン酸無水物のエンド体およびエキソ体の溶解度差を利用した分離精製を行うことによって、いずれか一方の立体異性体の純度を選択的に高めることが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の特徴は、以下に記載の事項に関する。 本発明による分離方法は、カルボン酸無水物のエンド体とエキソ体とを分離する方法に関し、 (A)各々、エンド体およびエキソ体が共存する、下記一般式(1)で示されるノルボルネン構造を有するカルボン酸無水物および下記一般式(2)で示されるノルボルナン構造を有するカルボン酸無水物の少なくとも一方を含む混合物を準備する工程、(B)上記混合物と、水との水和反応によって、上記エンド体の水和物および上記エキソ体の水和物を形成する工程、(C)上記エンド体の水和物および上記エキソ体の水和物に、抽出溶媒として、有機溶媒および無機塩水溶液の少なくとも一方を加える工程、(D)上記抽出溶媒からの析出物として上記エキソ体の水和物を分離する工程、および(E)上記工程(D)で分離した上記エキソ体の水和物、および上記エキソ体の水和物を分離した後の抽出溶媒から得られる上記エンド体の水和物を、それぞれ閉環する工程を含むことを特徴とする。 ここで、上記分離方法において、上記工程(A)は、上記混合物における上記一般式(1)および(2)で示されるカルボン酸無水物の少なくとも一方に対して、0.6モル当量以上10モル当量以下となる量の水を用いて実施されることが好ましい。 また、上記工程(B)は、上記工程(A)における上記水和反応の前又は後に実施されることが好ましい。上記工程(B)において使用される有機溶媒は、トルエン、キシレン、n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロペンタン、およびシクロヘキサンからなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。上記工程(B)において使用される上記無機塩水溶液は、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム、および硫酸ナトリウムからなる群から選ばれる1種以上の無機塩を含有することが好ましい。 上記工程(D)は、上記第1および第2の水和物を加熱処理することによって実施されることが好ましい。 上記一般式(1)で示されるカルボン酸無水物は、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物であることが好ましい。上記一般式(2)で示されるカルボン酸無水物は、メチル−5−ノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物であることが好ましい。 本発明によるエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、上記エポキシ樹脂の硬化剤として、本発明による分離方法によって得られる上記一般式(1)および(2)で示されるカルボン酸無水物の少なくとも一方とを含むことを特徴とする。 本発明による光学部材は、本発明によるエポキシ樹脂組成物を用いて構成されることを特徴とする。 本発明によれば、各々、エンド体とエキソ体とが共存する、ノルボルネン構造又はノルボルナン構造を有するカルボン酸無水物の混合物から、エンド体とエキソ体とを簡便かつ効率良く分離することができる。特に、本発明によれば、農薬および各種工業製品等の原料として有用である5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物およびメチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物といった酸無水物のエキソ体を液体として得ることができ、取扱性に優れる。また、本発明によって分離されたカルボン酸無水物は、着色が少ないため、該酸無水物を硬化剤として用い、良好な色相を有するエポキシ樹脂組成物を実現することができる。そのようなエポキシ樹脂組成物は、透明基板、レンズ、接着剤、光導波路や発光ダイオード(LED)、フォトトランジスタ、フォトダイオード、固体撮像素子等の高い透明性が要求される光学部材の材料に最適である。 本発明は、カルボン酸無水物のエンド体とエキソ体とを分離し、立体異性体純度の高いエンド体又はエキソ体を効率良く取り出す方法に関する。より詳細には、本発明の分離方法は、(A)各々、エンド体およびエキソ体が共存する、下記一般式(1)で示されるノルボルネン構造を有するカルボン酸無水物および下記一般式(2)で示されるノルボルナン構造を有するカルボン酸無水物の少なくとも一方を含む混合物を準備する工程、(B)上記混合物と、水との水和反応によって、上記エンド体の水和物および上記エキソ体の水和物を形成する工程、(C)上記エンド体の水和物および上記エキソ体の水和物に、抽出溶媒として、有機溶媒および無機塩水溶液の少なくとも一方を加える工程、(D)上記抽出溶媒からの析出物として上記エキソ体の水和物を分離する工程、および(E)上記工程(D)で分離した上記エキソ体の水和物、および上記エキソ体の水和物を分離した後の抽出溶媒から得られる上記エンド体の水和物を、それぞれ閉環する工程を含むことを特徴とする。 本発明の分離方法において、工程(A)は、エンド体およびエキソ体が共存するカルボン酸無水物の混合物を準備する工程に関する。工程(A)において準備する混合物は、上述の一般式(1)で示されるノルボルネン構造を有するカルボン酸無水物および一般式(2)で示されるノルボルナン構造を有するカルボン酸無水物の少なくとも一方を含むか、又はそれらの両方を含んでもよい。一般式(1)又は一般式(2)で示される各々のカルボン酸無水物については、1種の化合物のみならず、2種以上の化合物となる場合もあることを意図している。また、工程(A)において準備する混合物は、各々のカルボン無水物を調製する際に使用した各種成分の残渣、およびカルボン酸無水物の位置異性体、構造類似体、ジアステレオ異性体等の各種成分を含んでいてもよい。 上述のように、本発明において、工程(A)で準備する混合物は、エンド体とエキソ体とが共存するカルボン酸無水物を主成分とする混合物であればよく、本発明の分離方法を適用することによって、いかなる混合物であっても、エンド体とエキソ体とを分離して、取り出すことが可能である。本発明において、上記一般式(1)又は(2)で示されるカルボン酸無水物は、特に限定されず、その構造においてエンド体およびエキソ体の立体異性体が共存する周知の化合物であってよい。例えば、上記一般式(1)で示されるカルボン酸無水物は、無水マレイン酸とシクロペンタジエン誘導体とのディールズ・アルダー反応によって得ることができる。この反応よって得られる酸無水物は、その殆どがエンド体として存在する。しかし、そのような酸無水物を加熱し、異性化した場合には、その一部がエキソ体に異性化し、エンド体とエキソ体とが共存する混合物となる。本発明では、上記混合物として、市販の試薬を使用してもよい。この場合、試薬に加熱異性化工程に関する周知の方法を適用することによって、エンド体とエキソ体とが共存する混合物を提供することができる。 一方、上記一般式(2)で示される、ノルボルナン構造を有する酸無水物は、ノルボルネン構造を有する酸無水物を水素化する方法によって得ることができる。この時、ノルボルナン構造を有する酸無水物の異性体であるエンド体とエキソ体の存在比は、ノルボルネン構造を有する酸無水物の異性体の存在比と同じとなる。 本発明において使用するカルボン酸酸無水物は、特に限定されないが、一般式(1)中のR1〜R6および一般式(2)中のR1〜R8は、それぞれ独立して、水素原子、およびメチル基、エチル基、n−ブチル基、n−プロピル基といった直鎖のアルキル基からなる群から選択される基であることが好ましい。より好ましくは、それらは、全て水素原子であるか、又はそのいずれか1つが上記アルキル基であり、残りが全て水素原子であることが好ましい。上記一般式(1)又は(2)で示されるカルボン酸無水物の具体例として、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、5−ノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−5−ノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物が挙げられる。本発明の一実施形態では、上記一般式(1)で示されるカルボン酸無水物は、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物であることが好ましい。また、上記一般式(2)で示されるカルボン酸無水物は、メチル−5−ノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物であることが好ましい。 本発明の分離方法において、工程(B)は、分離する酸無水物の水和物を形成する工程に関する。上記一般式(1)および(2)で示されるカルボン酸無水物の少なくとも一方を含む混合物と、水との水和反応によって、各々エンド体およびエキソ体の構造に対応する水和物が得られる。一般に、酸無水物のエンド体とエキソ体とは溶解度差が生じ難く、それらの分離は困難である。しかし、酸無水物の水和反応によって得られるエンド体およびエキソ体の水和物は、各々の構造に依存して異なる溶解度を示すことになる。すなわち、本発明では、各々の水和物の溶解度差を利用することによって、エンド体とエキソ体との分離を容易に行うことが可能となる。 工程(B)における水和反応に使用する水の量は、特に限定するものではないが、混合物中の一般式(1)又は(2)で示される酸無水物に対して、0.6モル当量以上、10モル当量以下となる範囲が好ましく、0.7モル当量以上、5モル当量以下の範囲がより好ましく、0.8モル当量以上、3モル当量以下の範囲が最も好ましい。使用する水の量が少なすぎると、水和反応が不十分になる傾向がある。一方、水の量が多すぎると、得られる水和物が水に溶けやすいことから、エンド体とエキソ体との分離が難しくなる傾向がある。 上記水和反応における反応温度は、5℃から100℃が好ましく、5℃から90℃がより好ましい。5℃未満では、粘度の増加により攪拌が困難となり、反応時間も長くなる傾向がある。また、100℃より大きい場合では生成物が着色する傾向がある。さらに、酸無水物の水和反応と水和物の閉環反応とは競合するため、水和物の収率が大きく低下する傾向がある。 本発明における水と攪拌混合し水和物を得る工程おいて、反応時間を短縮するために、必要に応じて水和反応を触媒する酸性物質や塩基性化合物を加えても良い。例えば、酸性物質として、塩酸、硫酸、燐酸等の鉱酸、酢酸等の有機酸を使用することができる。また、塩基性化合物として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を使用することができる。 本発明における水と攪拌混合し水和物を得る工程おいて、反応は、通常水と一般式(1)又は(2)で示す化合物が均一になるまで行う。なお、反応を停止する時間は反応温度や水の当量に大きく依存する。 本発明の分離方法において、工程(C)は、先の工程(B)で得たエンド体およびエキソ体の水和物に、抽出溶媒として、有機溶媒および無機塩水溶液の少なくともいずれか一方を加える工程に関する。より詳細には、工程(C)における水和反応の前、又は水和反応後のカルボン酸無水物の水和物に抽出溶媒を加え、溶解度差を利用して、上記エンド体および上記エキソ体の水和物を分離する工程に関する。さらに工程(D)は、分離された上記エンド体および上記エキソ体をそれぞれ別個に取り出すために、上記エキソ体の水和和物を析出物として取り出す工程に関する。 上記水和反応によって上記エンド体および上記エキソ体の水和物は、上述のカルボン酸無水物の加水分解によって生じるジカルボン酸化合物である。エキソ体のジカルボン酸は、エンド体のジカルボン酸と比較して、有機溶媒に対する溶解度が低い結果となる。そのため、抽出溶媒を適切に選択することによって、エキソ体のジカルボン酸を優先的に析出させることができる。なお、上記エンド体および上記エキソ体の水和物は、未反応のカルボン酸無水物および水に対して溶解しやすい。そのため、有機溶媒および無機塩水溶液を単独で又は併用して加えることによって、エンド体とエキソ体との分離を促進することが可能となる。 この有機溶媒又は無機塩水溶液は、一般式(1)および(2)で示されるカルボン酸無水物を含む混合物100重量部に対し、1重量部以上1000重量部以下となる範囲で用いることが好ましく、10重量部以上700重量部以下となる範囲がより好ましく、50重量部以上500重量部以下となる範囲がさらに好ましい。1重量部未満及び1000重量部以上では水和物が析出しない傾向がある。 有機溶媒としては、エンド体とエキソ体とを分離するため、水和物の溶解性が低くなる有機溶媒を選択することが好ましい。例えば、トルエン、キシレン、n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサン、酢酸エチル、2−ブタノン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。これらの中でも、トルエン、キシレン、n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロペンタン及びシクロヘキサンは、析出物の収量が高くなる点で好ましい。なお、これらの有機溶媒は、一種又は二種以上を混合して使用することができる。 無機塩水溶液としては、エンド体とエキソ体とを分離するため、水和物に対して水溶性の、すなわち塩を形成し得る、無機塩を溶解した水溶液を加えることが好ましい。例えば、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、塩化セリウム、ケイ酸ナトリウム等の水溶液が挙げられる。これらの中でも、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム及び硫酸マグネシウムの水溶液は、取扱が容易であるため、特に好ましい。なお、無機塩水溶液中の無機塩は、上述の無機塩を一種又は二種以上併用して使用しても良い。 工程(D)におけるエキソ体の水和物の析出は、例えば、エンド体およびエキソ体の各水和物に有機溶媒及び/又は無機塩水溶液を加えた後、−50℃から50℃の範囲で放置することによって達成することができる。このように、エキソ体の水和物を優先的に析出させ、その析出物を取り出すことによって、エンド体とエキソ体との分離が可能となる。溶液からエキソ体の結晶を析出させるための放置温度は、−40℃から40℃の範囲がより好ましく、−30℃から30℃の範囲が最も好ましい。−50℃未満の温度では、溶液が凍り、水和物の析出が困難になる傾向がある。また、放置時間は、水和物の析出し易さに依存して大きく異なるが、通常、1時間〜10日間の範囲であることが好ましい。 本発明によれば、析出する結晶は、主に、エキソ体の立体構造を有するジカルボン酸化合物である。一方、エンド体の立体構造を有するジカルボン酸化合物は、抽出溶媒中に溶解したままの状態となる。したがって、析出した結晶を取り出すことによって、エキソ体の立体異性体純度の高いカルボン酸化合物を得ることが可能となる。結晶の回収方法は特に限定されず、周知の方法を適用することができる。例えば、ガラスフィルターを用いて吸引ろ過を行った後、ろ別した固体をスパチュラで収集する方法が挙げられる。 本発明の分離方法において、工程(D)は、分離したエキソ体又はエンド体の水和物を閉環する工程に関する。析出した水和物の結晶を加熱処理することによって閉環させ、エキソ体の酸無水物を得ることができる。一方、析出物を除去した後の抽出溶媒から溶媒を除去し、さらに加熱処理を行うことによって、エンド体の酸無水物を得ることができる。ジカルボン酸の閉環反応によって、酸無水物を形成するための加熱温度は、40℃以上200℃以下の範囲であることが好ましく、50℃以上170℃以下の範囲がより好ましく、50℃以上150℃以下の範囲が最も好ましい。加熱温度が40℃未満では閉環反応が進行しない傾向があり、200℃を超えると反応生成物が着色しやすくなる傾向がある。なお、加熱閉環する際には、無水酢酸等の脱水剤を併用しても良い。 本発明では、本方法による分離で得られる酸無水物の特性をさらに向上させる目的で、必要に応じて、その他の各種酸無水物を添加しても良い。例えば、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、5−ノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、およびメチル−5−ノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物を含む少なくとも1種のノルボルネンおよび/又はノルボルナン系カルボン酸無水物に、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、3−メチルテトラヒドロフタル酸無水物、又は4−メチルテトラヒドロフタル酸無水物等のその他の酸無水物を添加してもよい。添加する化合物は、シス体およびトランス体が混在するものであってよく、さらにそれら化合物を一種または二種以上を組合せて添加してもよい。本発明の一実施形態では、ノルボルネンおよび/又はノルボルナン系カルボン酸無水物に、3−メチルテトラヒドロフタル酸無水物および4−メチルテトラヒドロフタル酸無水物の混合物を添加することが好ましい。 このような酸無水物は、エポキシ樹脂の硬化剤として好適である。 本発明では、一般式(1)から得られる酸無水物を水素化して一般式(2)で示される酸無水物を合成しても良い。また、水素化の前後で、先に説明した各種酸無水物を添加しても良い。 本発明による分離方法によって得られるカルボン酸無水物は、高い立体異性体純度を有する。そのため、本発明による分離方法を適用することによって、特定の立体構造を有する化合物が有益となる各種用途に向けて、所望の立体構造を有する化合物を簡便かつ効率よく提供することができる。例えば、一般式(1)および(2)で示されるカルボン酸無水物のエキソ体は、エポキシ樹脂の好適な硬化剤として使用することができる。 本発明のエポキシ樹脂組成物は、良好な色相を示すため、透明基板、レンズ、接着剤、光導波路や発光ダイオード(LED)、フォトトランジスタ、フォトダイオード、固体撮像素子等の高い透明性が要求される光学部材の材料として好適に使用することができる。また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、例えば、色相に優れるだけでなく、適切な酸無水物を適切に組合せることによって成形性および耐熱性等の各種特性を向上することができるため、光学材料として好適に使用することが可能である。したがって、本発明によれば、様々な光学部材を、簡便かつ効率よく製造することができる。 以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。(原料の合成) 以下に示す方法に従って、各実施例および比較例で原料として使用する、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物を合成した。 最初に、3Lフラスコに、メチルシクロペンタジエンダイマー(東京化成製)1000gを入れた後、精留器を装着し、加熱処理することによって、沸点73℃のメチルシクロペンタジエン800gを得た。 次に、温度計、還流冷却器及び攪拌器を備えた2Lフラスコに、無水マレイン酸490g(和光純薬製)及びトルエン500mlを入れた。発熱を防ぐために、ウォーターバスによってフラスコを冷却しながら、先に調製したメチルシクロペンタジエン400gをフラスコ内に数時間かけて導入し、メチルシクロペンタジエンを添加後、一時間攪拌した。次いで、反応液中のトルエン等の溶媒を蒸留によって除いた後に、減圧蒸留を行うことによって、透明な液体を800g得た。得られた液体のプロトンNMRを測定したところ、液体は、5−メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、1−メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物及び5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物を含み、さらに各々エンド体とエキソ体の立体異性体が共存しており、主成分の5−メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物におけるエンド体:エキソ体の割合は、89:11であることがわかった。 次に、温度計、還流冷却器及び攪拌器を備えた2Lのフラスコに、先の調製によって得た透明な液体800gを入れ、190℃で5時間にわたって加熱処理することにより、エンド体からエキソ体への加熱異性化を行った。上記加熱処理に次いで、減圧蒸留を行うことによって、透明な液体を700g得た。得られた液体のプロトンNMR測定を行ったところ、上記液体は、5−メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、1−メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物および5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物を含み、さらに、各々エンド体とエキソ体の立体異性体が共存しており、主成分の5−メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物におけるエンド体:エキソ体の割合は、54:46であることがわかった。以上のようにして得たメチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物を、以下の実施例および比較例において原料として用いた。<1.ノルボルネン構造を有するカルボン酸無水物(エキソ体)の分離>(実施例1) スクリュー管に、先に合成したメチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物20g、蒸留水2.02g及び攪拌用チップを入れ、フタを閉めた。ついで、そのスクリュー管を70℃に加温した後、マグネチックスターラーを設置したオイルバス(70℃)の中に入れ、攪拌することによって水和反応を開始した。攪拌を開始して2時間後、蒸留水の相が消えて、均一な反応液が得られた。その後、スクリュー管をオイルバスから取り出し、室温になるまで放置し、引き続き、反応液にトルエンを20g加え、25℃(室温)で48時間放置した。その結果、スクリュー管の壁面及び底面に白い結晶が析出した。析出した結晶をガラスフィルターで吸引ろ過し、ろ別した固体をスパチュラで集めた。結晶を100℃のオーブン中で2時間にわたって加熱することによって、分離を終了し、エキソ体の存在比の高い酸無水物を無色透明の液体として得た。 以上のようにして得た酸無水物のプロトンNMR測定を行い、立体異性体比を算出したところ、エンド体:エキソ体の割合が5:95であることが分かった。 なお、得られた酸無水物におけるエンド体とエキソ体の割合は、核磁気共鳴装置(BRUKER社製)でプロトンNMRスペクトルを測定し、主成分である5−メチル−5−ノルボルネン−2、3−ジカルボン酸無水物又は5−メチル−5−ノルボルナン−2、3−ジカルボン酸無水物のプロトンのケミカルシフト値が、エンド体とエキソ体とで異なることを利用し、その積分値から立体異性体比を決定した。(実施例2) 水和反応によって得た反応液にトルエンを加えた後の放置温度を25℃から5℃に変えた以外、全て実施例1と同様の方法によって分離を行うことによって、エキソ体の存在比の高い酸無水物を無色透明の液体として得た。得られた酸無水物におけるエンド体:エキソ体の割合は3:97であった。(実施例3) 水和反応によって得た反応液に加えるトルエン20gを、トルエン10gとヘキサン10gに変えた以外、全て実施例2と同様の方法によって分離を行うことによって、エキソ体の存在比の高い酸無水物を無色透明の液体として得た。得られた酸無水物におけるエンド体:エキソ体の割合は3:97であった。(実施例4) 水和反応によって得た反応液に加えるトルエン20gを、トルエン10gおよび飽和食塩水10gに変えた以外、全て実施例1と同様の方法によって分離を行うことによって、エキソ体の存在比の高い酸無水物を無色透明の液体として得た。得られた酸無水物におけるエンド体:エキソ体の割合は37:63であった。(実施例5) 水和反応によって得た反応液に加えるトルエン20gを、飽和食塩水20gに変えた以外、全て実施例1と同様の方法によって分離を行うことによって、エキソ体の存在比の高い酸無水物を無色透明の液体として得た。得られた酸無水物におけるエンド体:エキソ体の割合は41:59であった。(実施例6) 水和反応によって得た反応液に加えるトルエン20gを、飽和食塩水10gおよび水10gに変えた以外、全て実施例1と同様の方法によって分離を行うことによって、エキソ体の存在比の高い酸無水物を無色透明の液体として得た。得られた酸無水物におけるエンド体:エキソ体の割合は43:57であった。(実施例7) 水和反応の前に、トルエン20gを加えた以外、全て実施例2と同様の方法によって分離を行うことによって、エキソ体の存在比の高い酸無水物を無色透明の液体として得た。得られた酸無水物におけるエンド体:エキソ体の割合は3:97であった。 (実施例8) 水和反応における温度を25℃とした以外、全て実施例2と同様の方法によって分離を行うことによって、エキソ体の存在比の高い酸無水物を無色透明の液体として得た。得られた酸無水物におけるエンド体:エキソ体の割合は4:96であった。(実施例9) 水和反応における温度を90℃とした以外、全て実施例2と同様の方法によって分離精製を行うことによって、エキソ体の存在比の高い酸無水物を無色透明の液体として得た。得られた酸無水物におけるエンド体:エキソ体の割合は5:95であった。(比較例1) 水和反応の終了後、反応液にトルエン20gを加えずに放置したこと以外、全て実施例2と同様の方法によって分離を試みたが、析出物は得られなかった。(比較例2) 水和反応時に蒸留水を加えなかった以外は、全て実施例2と同様の方法によって分離を試みたが、析出物は得られなかった。 上記実施例1〜9と比較例1、2の水和物を得るための配合等をまとめ、表1に示す。 上記実施例1〜9と比較例1、2の有機溶媒及び/無機塩を加える際の配合と、加熱閉環後の酸無水物の異性体比をまとめ、表2に示す。 以上の結果から、実施例1〜9によって例示される本発明の分離方法によれば、エンド体とエキソ体とが共存するノルボルネン構造を有するカルボン酸無水物から、エキソ体の酸無水物をより高い立体異性体純度で分離可能であり、一方、比較例1および2では、高い立体異性体純度での分離が困難であることが分かる。<2.ノルボルナン構造を有するカルボン酸無水物(エキソ体)の分離>(実施例10) オートクレーブ釜(0.5L)に、実施例2で得た酸無水物150gと、5%Pd−Cを0.75g入れ、6MPaおよび85℃の条件下で水素化反応を行い、水素の吸収が飽和に達したところで反応を終了した。得られた反応生成物を減圧蒸留によって精製したところ、無色透明であり液状の酸無水物が得られた。以上のようにして得たノルボルナン構造を有するカルボン酸無水物のプロトンNMR測定を行い、立体異性体比を算出したところ、エンド体:エキソ体の割合が3:97であることが分かった。(実施例11) 実施例2で得た酸無水物150gを70gに変え、さらにメチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物82gを加えて、合計152gの酸無水物を使用した以外、全て実施例10と同様の方法に従って、水素化反応、減圧蒸留を行ったところ、(無色透明であり、液状の酸無水物が得られた)。得られたノルボルナン構造を有するカルボン酸無水物のプロトンNMR測定を行い、立体異性体比を算出したところ、エンド体:エキソ体の割合が30:70であることが分かった。(比較例3) 実施例2で得た酸無水物に変えて、原料として調製した、未分離のメチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物を使用した以外、全て実施例10の方法によって水素化を行った。得られたノルボルナン構造を有するカルボン酸無水物は、固体であり、扱い難かった。また、上記カルボン酸無水物のプロトンNMR測定を行い、立体異性体比を算出したところ、エンド体:エキソ体の割合が54:46であることが分かった。 上記実施例10,11とおよび比較例3における配合と異性体比をまとめ、表3に示す。 実施例2において、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物のエキソ体は、液体として得られるため、取扱性に優れている。したがって、実施例10および11から明らかなように、水素化によって、液体のメチル−5−ノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物のエキソ体を、簡便かつ効率よく提供することができる。一方、比較例3では、水素化後のカルボン酸無水物が固形であるため、取扱性に劣る結果となった。<3.エポキシ樹脂組成物>(実施例12) 実施例10で得たノルボルナン構造を有するカルボン酸無水物12g、エポキシモノマ(ダイセル化学工業(株)製、商品名「セロキサイドCEL2021P」)10g、および硬化促進剤(日本化学(株)製、商品名「PX−4ET」)0.04gをスクリュー管に入れ、混合物が均一になるまで攪拌混合を続けた。次いで、均一な混合物10gをアルミカップに計量し、120℃で1時間、引き続き150℃で4時間にわたって加熱することによって、エポキシ樹脂組成物を調製し、黄色度を測定するための試料として使用した。この試料について、黄色度計(日本電色工業株式会社製、商品名「COH−300」)を用いて、黄色度を測定した。その結果を表4に示す。(比較例4) 実施例10で得られた酸無水物を、原料として調製した、未分離のメチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物に変えた以外、全て実施例12と同様の方法を適用することによって、エポキシ樹脂組成物を調製し、黄色度測定用の試料として使用し、その黄色度を測定した。その結果を表4に示す。 実施例12および比較例4におけるエポキシ樹脂樹脂組成物の配合と、その黄色度(YI:Yellowing Index)を表4に示す。 表4に示した結果から明らかなように、実施例12によって例示される本発明によるエポキシ樹脂組成物は、比較例4と比較して、YI値が低く、色相が良好である。そのため、透明性が要求される様々な光学部材の材料として好適であることが分かる。 カルボン酸無水物のエンド体とエキソ体とを分離する方法であって、(A)各々、エンド体およびエキソ体が共存する、下記一般式(1)で示されるノルボルネン構造を有するカルボン酸無水物および下記一般式(2)で示されるノルボルナン構造を有するカルボン酸無水物の少なくとも一方を含む混合物を準備する工程、(B)前記混合物と、水との水和反応によって、前記エンド体の水和物および前記エキソ体の水和物を形成する工程、(C)前記エンド体の水和物および前記エキソ体の水和物に、抽出溶媒として、有機溶媒および無機塩水溶液の少なくとも一方を加える工程、(D)前記抽出溶媒からの析出物として前記エキソ体の水和物を分離する工程、および(E)前記工程(D)で分離した前記エキソ体の水和物、および前記エキソ体の水和物を分離した後の抽出溶媒から得られる前記エンド体の水和物を、それぞれ閉環する工程を含むことを特徴とする分離方法。 上記工程(A)が、上記混合物における上記一般式(1)および(2)で示されるカルボン酸無水物の少なくとも一方に対して、0.6モル当量以上10モル当量以下となる量の水を用いて実施される、請求項1記載の分離方法。 上記工程(B)が、上記工程(A)における上記水和反応の前又は後に実施される請求項1又は2に記載の分離方法。 上記工程(B)において使用される有機溶媒が、トルエン、キシレン、n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロペンタン、およびシクロヘキサンからなる群から選ばれる1種以上である請求項1から3のいずれかに記載の分離方法。 上記工程(B)において使用される上記無機塩水溶液が、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム、および硫酸ナトリウムからなる群から選ばれる1種以上の無機塩を含有する請求項1から4のいずれかに記載の分離方法。 上記工程(D)が、上記第1および第2の水和物を加熱処理することによって実施される、請求項1から5のいずれかに記載の分離方法。 上記一般式(1)で示されるカルボン酸無水物が、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物である、請求項1から6のいずれかに記載の分離方法。 上記一般式(2)で示されるカルボン酸無水物が、メチル−5−ノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物である、請求項1から7のいずれかに記載の分離方法。 エポキシ樹脂と、上記エポキシ樹脂の硬化剤として、請求項1から8のいずれかに記載の分離方法によって得られる上記一般式(1)および(2)で示されるカルボン酸無水物の少なくとも一方を含む、エポキシ樹脂組成物。 請求項9に記載のエポキシ樹脂組成物を用いて構成される光学部材。 【課題】ノルボルネン構造又はノルボルナン構造を有するカルボン酸無水物のエンド体およびエキソ体を含む混合物から、簡便かつ効率的にエンド体とエキソ体とを分離し、各々を高い異性体純度で取り出す方法の提供。【解決手段】(A)エンド体およびエキソ体が共存する、ノルボルネン構造を有するカルボン酸無水物およびノルボルナン構造を有するカルボン酸無水物の少なくとも一方を含む混合物を準備する工程、(B)上記混合物と、水との水和反応によって、エンド体およびエキソ体の水和物を形成する工程、(C)上記水和物に、有機溶媒および無機塩水溶液の少なくとも一方を加える工程、(D)抽出溶媒からの析出物としてエキソ体の水和物を分離する工程、および(E)上記工程(D)で分離したエキソ体の水和物、およびエキソ体の水和物を分離した後の抽出溶媒から得られるエンド体の水和物を、それぞれ閉環する工程を含むことを特徴とする。【選択図】なし