タイトル: | 公開特許公報(A)_仮性近視治療薬 |
出願番号: | 2009154757 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | A61K 31/4409,A61K 45/00,A61P 27/10,A61P 43/00 |
渡辺 直 JP 2011011984 公開特許公報(A) 20110120 2009154757 20090630 仮性近視治療薬 ライオン株式会社 000006769 渡辺 直 A61K 31/4409 20060101AFI20101217BHJP A61K 45/00 20060101ALI20101217BHJP A61P 27/10 20060101ALI20101217BHJP A61P 43/00 20060101ALI20101217BHJP JPA61K31/4409A61K45/00A61P27/10A61P43/00 121A61P43/00 111 4 OL 9 4C084 4C086 4C084AA19 4C084MA02 4C084MA58 4C084NA05 4C084NA14 4C084ZA33 4C084ZC42 4C086AA01 4C086AA02 4C086BC17 4C086MA02 4C086MA04 4C086MA58 4C086NA05 4C086NA14 4C086ZA33 4C086ZC42 本発明は、トロピカミドを含有する仮性近視を予防・治療するための仮性近視治療薬に関するものである。詳しくは、トロピカミドを点眼したときに生ずる副作用を低減し、使用感に優れた仮性近視治療薬に関する。 仮性近視とは、偽近視あるいは調節緊張とも呼ばれており、長時間の近業などによる目の疲労により、一時的に視力を調節している毛様体筋が緊張(持続した収縮)したまま元の状態に戻らなくなり、近視のような状態が続き、ピント調節がうまく出来なくなってしまう症状である。仮性近視が継続的に続くと、真性の近視につながり、もはや点眼剤による治療は期待できなくなり、視力を確保するためのメガネやコンタクトレンズといった視力矯正器具を使わなければならなくなる。このため、毛様体筋の持続した収縮状態を改善し、元の状態に回復することが、仮性近視の治療に有効であると考えられている。 毛様体筋が原因による調節異常には、薬物による治療効果が期待でき、従来の薬物治療法としては毛様体筋の緊張を緩和する薬剤が使用されている。 これまでに、毛様体筋緊張緩和作用のあるメチル硫酸ネオスチグミンの点眼剤への使用(例えば、非特許文献1参照)、トロピカミドとは異なる毛様体筋緊張緩和作用を持つ化合物を活用した近視予防・治療剤(例えば、特許文献1参照)、ムスカリン受容体阻害剤であるアトロピンの目薬、及びその製造方法(例えば、特許文献2参照)、ムスカリン性のコリン阻害薬であるトロピカミド含有の眼科用点眼剤が開示されている(例えば、非特許文献2参照)。一方、毛様体筋緊張緩和剤とは別に、動眼神経を賦活して毛様体筋の機能を高めるシアノコバラミン含有の点眼剤が開示されている(例えば、非特許文献3参照)。また、毛様体筋麻痺剤による瞳孔散大を抑制するために選択的α1拮抗薬であるフェントールアミンを含有する眼科製剤が開示されている(例えば、特許文献3報参照)。 しかしながら、これらの薬物は、効果が十分ではないものや、効果が高くても副作用があるものなど、仮性近視治療薬としては未だ、満足すべきものがないのが現状である。特許第3066561号公報特開2007−308398号公報特表2008−502724号公報医薬品製造基準 点眼剤ミドリンM点眼液0.4%添付文書サンコバ点眼液0.02%添付文書 本発明は、トロピカミドを点眼したときに感じる散瞳作用がほとんどなく、不快な刺激感を改善し、使用感に優れた仮性近視治療薬を提供することを目的とする。 本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、トロピカミドの薬剤濃度を適切な濃度範囲に限定すると共に、αアドレナリン受容体拮抗薬を併用することにより、散瞳作用を抑制し、かつ、毛様体筋弛緩作用により仮性近視改善効果が高められることを見出し、本発明を完成するに至った。 従って、本発明は下記仮性近視治療薬を提供する。[1].(A)トロピカミド又はその塩、及び(B)αアドレナリン受容体拮抗薬を含有し、(A)成分の含有量が0.001W/V%〜0.1W/V%であることを特徴とする仮性近視治療薬。[2].さらに、清涼化剤を含有する[1]記載の仮性近視治療薬。[3].防腐剤無配合である [1]又は[2]記載の仮性近視治療薬。[4].コンタクトレンズ用点眼剤である[1]〜[3]のいずれかに記載の仮性近視治療薬。 本発明によれば、トロピカミドの散瞳作用が抑制され、毛様体筋弛緩作用により仮性近視改善効果の高められたトロピカミド含有仮性近視治療薬が提供できる。 以下、本発明について詳細に説明する。本発明の仮性近視治療薬は、(A)トロピカミド又はその塩、及び(B)αアドレナリン受容体拮抗薬を含有し、(A)成分の含有量が0.001W/V%〜0.1W/V%(質量/容量%(g/100mL)、以下同様)である仮性近視治療薬である。(A)トロピカミド又はその塩 本発明に用いられるトロピカミドは、化学名が(2RS)−N−エチル−3−ヒドロキシ−2−フェニル−N−(ピリジン−4−イルエチル)プロパナミドであり、分子式C17H20N2O2で表される、分子量284.35の公知の物質である。該化合物は公知の方法により合成される。トロピカミドは、眼科用剤に使用されるグレードであればとくに制限されない。 トロピカミド又はその塩の配合量は、仮性近視治療薬中0.001〜0.1W/V%が好ましく、より好ましくは0.005〜0.05W/V%である。配合量0.001W/V%未満であるとトロピカミドの毛様体筋弛緩効果が不十分であり、0.1W/V%を超えると散動作用が現れてしまうことがある。(B)αアドレナリン受容体拮抗薬 αアドレナリン受容体拮抗薬としては、フェントラミン、フェノキシベンザミン、プラゾシン等があげられる。中でも、フェントラミンが好ましい。αアドレナリン受容体拮抗薬は、眼科用剤に使用されるグレードならば特に制限されない。 αアドレナリン受容体拮抗薬の配合量は、仮性近視治療薬中0.001〜1W/V%の範囲であることが好ましい。0.001W/V%より配合量が少なすぎると散瞳抑制効果が不十分であり、1W/V%を超えると目の充血を引き起こすことがある。 清涼化剤は、(A)成分の刺激感を緩和する効果が高いために配合することが好ましい。清涼化剤としては、例えば、カンフル、クールミントNo.71212、ゲラニオール、ハッカ水、メントール、ボルネオール、ユーカリ油、ウイキョウ油、ベルガモット油、リナロール、N−エチル−p−メンタン−カルボキシアミド(例えば、WS−3、高砂香料工業(株))、エタノール等が挙げられる。 清涼化剤の配合量は、仮性近視治療薬中0.0001〜0.1W/V%の範囲であることが好ましい。0.0001W/V%未満であると刺激感を緩和する効果が不十分であり、0.1W/V%を超えるとかえって清涼感による刺激感を感じてしまうことがある。 防腐剤は本発明の効果を損なわない範囲で配合することもできるが、本発明の仮性近視治療薬は、目刺激の点から防腐剤を含有しない防腐剤無配合とすることが好ましい。防腐剤としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ソルビン酸又はその塩、パラオキシ安息香酸エステル(メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベンなど)、グルコン酸クロルヘキシジン、チロメサール、ポリドロニウム、ポリヘキサニド、フェニルエチルアルコール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、クロロブタノールなどが挙げられる。防腐剤の含有量は、仮性近視治療薬中0.01W/V%以下の範囲であることが好ましい。 防腐剤無配合にした場合の防腐力は、エデト酸ナトリウム、ホウ酸及びトロメタモールから1種以上、好適には2種以上を組み合わせて配合するとよい。また、本発明の仮性近視治療薬をユニットドーズ容器、フィルター付容器に入れることにより、防腐剤無配合とすることができる。 本発明の仮性近視治療薬には、眼科用組成物に用いられる各種成分を、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。好ましい配合成分としては、薬物、緩衝剤、安定化剤、粘稠化剤、等張化剤、溶解補助剤、抗酸化剤等が挙げられる。これらは、それぞれ1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができ、適量を配合することができる。 薬物としては、例えば、充血除去成分、眼筋調節薬成分、抗炎症薬成分又は収斂薬成分、抗ヒスタミン薬成分又は抗アレルギー薬成分、ビタミン類、アミノ酸類、抗菌薬成分又は殺菌薬成分、オリゴ糖類、多糖類又はその誘導体、局所麻酔薬成分、ステロイド成分、緑内障治療成分、白内障治療成分等が挙げられる。具体例を下記に示す。 充血除去成分:α−アドレナリン作動薬、例えば、イミダゾリン誘導体(ナファゾリン、テトラヒドロゾリン等)、β−フェニルエチルアミン誘導体(フェニレフリン、エピネフリン、エフェドリン、メチルエフェドリン等)、及びそれらの薬学上又は生理的に許容される塩(例えば、塩酸ナファゾリン、硝酸ナファゾリン、塩酸テトラヒドロゾリン、硝酸テトラヒドロゾリン、塩酸フェニレフリン、塩酸エピネフリン、塩酸エフェドリン、塩酸メチルエフェドリン等の無機酸塩;酒石酸水素エピネフリン等の有機酸塩等)等。 眼筋調節薬成分:アセチルコリンと類似した活性中心を有するコリンエステラーゼ阻害剤、例えばメチル硫酸ネオスチグミン等の第4級アンモニウム化合物及びそれらの塩等。 抗炎症薬成分又は収斂薬成分:プラノプロフェン、セレコキシブ、ロフェコキシブ、インドメタシン、ジクロフェナク、ジクロフェナクナトリウム、ピロキシカム、メロキシカム、アスピリン、メフェナム酸、インドメタシンファルネシル、アセメタシン、イブプロフェン、チアプロフェン酸、ロキソプロフェンナトリウム、塩酸チアラミド、亜鉛塩(例えば、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、等)、リゾチーム、塩化リゾチーム、サリチル酸メチル、アラントイン、グリチルリチン酸及び薬理学的に許容される塩(例えば、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸アンモニウム等)等。 抗ヒスタミン薬成分又は抗アレルギー薬成分:例えば、ケトチフェン、アシタザノラスト、クロルフェニラミン、レボカバスチン、クロモグリク酸、トラニラスト、イブジラスト、アンレキサノクス、ペミロラスト及びそれらの薬学上又は生理的に許容される塩等。 ビタミン類:例えば、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム(活性型ビタミンB2)、シアノコバラミン(ビタミンB12)、塩酸ピリドキシン(ビタミンB6)、ビタミンEアセテート、パンテノール、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール(ビタミンAパルミテート)等 アミノ酸類:例えば、ロイシン、イソイロイシン、バリン、メチオニン、トレオニン、アラニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リジン、グリシン、セリン、プロリン、チロシン、システイン、ヒスチジン、オルニチン、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、グリシルグリシン、アミノエチルスルホン酸(タウリン)又はその塩(例えば塩酸システイン等)等。 抗菌薬成分又は殺菌薬成分:スルホンアミド類(例えば、スルファメトキサゾール、スルフイソキサゾール、スルフイソミジン及び薬理学的に許容される塩(スルファメトキサゾールナトリウム、スルフイソミジンナトリウム等)、アクリノール、アルキルポリアミノエチルグリシン、ニューキノロン剤(ロメフロキサシン、レボフロキサシン、シプロフロキサシン、オフロキサシン、ノルフロキサシン、塩酸シプロフロキサシン等)、ベルベリン又はその塩(例えば、硫酸ベルベリン等)、βラクタム系抗菌薬(スルベニシリン、セフメノキシム等)、アミノグリコシド系抗菌薬(カナマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、シソマイシン、ジベカシン、ベカナマイシン、ミクロノマイシン等)、テトラサイクリン系抗菌薬(オシテトラサイクリン等)、マクロライド系抗菌薬(エリスロマイシン等)、クロラムフェニコール系抗菌薬(クロラムフェニコール等)、ポリペプチド系抗菌薬(コリスチン等)等。また、抗ウイルス薬(ドクスウリジン、アシクロビル、アデニンアラビノシド、ガンシクロビル、ホスカルネット、バラシクロビル、トリフルオロチミジン、シドフォビア、カルボサイクリック・オキセタノシンG等)、抗真菌薬(ピマリシン、フルコナゾール、イトラコナゾール、ミコナゾール、フルシトシン、アムホテリシンB等)等。 オリゴ糖類:ラクツロース、ラフィノース、プルラン等。 多糖類又はその誘導体:アラビアゴム、カラヤガム、キサンタンガム、キャロブガム、グアーガム、グアヤク脂、クインスシード、ダルマンガム、トラガント、ベンゾインゴム、ローカストビーンガム、カゼイン、寒天、アルギン酸、デキストリン、デキストラン、カラギーナン、ゼラチン、コラーゲン、ペクチン、デンプン、ポリガラクツロン酸(アルギン酸)、キチン及びその誘導体、キトサン及びその誘導体、エラスチン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸又はその塩(アルギン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム等)等。 局所麻酔薬成分:リドカイン、オキシブプロカイン、ジプカイン、プロカイン、アミノ安息香酸エチル、メプリルカイン、メピバカイン、ブピバカイン、コカイン及びそれらの塩(塩酸リドカイン、塩酸オキシブプロカイン等)等。 ステロイド成分:ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、コルチゾール、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、パラメタゾン、ベタメタゾン及びそれらの塩等。 緑内障治療成分:臭化ジスチグミン、マレイン酸チモロール、塩酸カルテオロール、塩酸ベタキソロール、ラタノプロスト、イソプロピルウノプロストン、塩酸ジピベフリン、塩酸アプラクロニジン、塩酸ピロカルピン、カルバコール、塩酸ドルゾラミド、アセタゾラミド、メタゾラミド及びそれらの塩等。 白内障治療成分:ピレノキシン、グルタチオン、唾液腺ホルモン、チオプロニン、Dihydro azapentacene disulfonate及びそれらの塩(例えばSodium5,12−dihydro azapentacene disulfonate等)等。 薬物の含有量は、各薬物の有効な適性量を選択することができるが、眼への刺激性、組成物の安定性等の点から、仮性近視治療薬中0.001〜5W/V%の範囲であることが好ましい。 緩衝剤としては、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ砂、リン酸、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、氷酢酸、トロメタモール、炭酸水素ナトリウムを使用することが好ましい。このなかでも、ホウ酸、ホウ砂、トロメタモールが好ましい。トロメタモールを配合すると、低刺激でかつ組成物の防腐効果を得られるため好ましい。さらに、ホウ酸、ホウ砂を併用すると、特に高い防腐効果が得られるため、好ましい。緩衝剤の含有量は、仮性近視治療薬中0.003〜5W/V%の範囲であることが好ましい。 安定化剤としては、例えばエデト酸ナトリウム、エデト酸、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン等が挙げられる。エデト酸類は系の安定性を維持する効果を奏し、シクロデキストリン類は、ソフトコンタクトレンズに吸着し易い成分(例えば塩化ベンザルコニウム等)の吸着抑制効果を有する。安定化剤の含有量は、仮性近視治療薬中0.003〜2W/V%の範囲であることが好ましい。 粘稠化剤としては、例えば、メチルセルロース、ヒプロメロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系高分子化合物、ポビドン、ポリビニルアルコール等のポリビニル系高分子化合物、流動パラフィン、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレングリコール等が挙げられる。粘稠化剤の含有量は、仮性近視治療薬中0.003〜3W/V%の範囲であることが好ましい。 等張化剤としては、例えば塩化カリウム、塩化ナトリウム、グリセリン、マンニトール等が挙げられる。等張化剤の含有量は、仮性近視治療薬中0.001〜3W/V%の範囲であることが好ましい。 溶解補助剤としては、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール等の多価アルコール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、プロクサマー類等の界面活性剤が挙げられる。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60以外にも、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油5、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油20、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油100等を使用することができる。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート80)以外にも、モノラウリル酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(ポリソルベート60)、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート(ポリソルベート65)等を使用することができる。溶解補助剤の含有量は、仮性近視治療薬中0.001〜3W/V%の範囲であることが好ましい。 抗酸化剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ヒドロキノン、没食子酸プロピル、亜硫酸水素ナトリウム等が挙げられる。抗酸化剤の含有量は、仮性近視治療薬中0.001〜1W/V%の範囲であることが好ましい。本発明の仮性近視治療薬は、そのまま液剤としてもよく、懸濁剤、ゲル剤等に調製してもよい。仮性近視治療薬としては、点眼剤が挙げられ、コンタクトレンズ用として好適である。なお、「コンタクトレンズ用」とは、コンタクトレンズ装用中に使用するものをいう。より具体的には、点眼剤(コンタクトレンズ装用中に点眼可能なコンタクトレンズ用点眼剤を含む)が挙げられ、コンタクトレンズ用点眼剤が好ましい。コンタクトレンズとしては特に制限されず、ハードコンタクトレンズ、酸素透過性ハードコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズ、使い捨てコンタクトレンズ、シリコンハイドロゲルコンタクトレンズ等が挙げられる。本発明の仮性近視治療薬は、特にコンタクトレンズ装用時の毛様体筋の緊張緩和に効果的であり、刺激も抑制され、コンタクトレンズ装着中の使用に好適である。 本発明の仮性近視治療薬のpH(20℃)は、特に限定されないが、生体に許容される範囲のpHに調整されることが望ましい。好ましくは4.0〜9.0であり、より好ましくは、5.0〜8.0である。pHが低すぎても、高すぎても、刺激感が強くなる可能性がある。なお、pHの測定は、20℃でpH浸透圧計(HSMO−1、東亜ディーケーケー(株))を用いて行う。pH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、塩酸等が好ましい。 本発明の仮性近視治療薬は、例えば、残部を水とし、公知の製造方法で製造することができる。例えば上記各成分を滅菌精製水、イオン交換水等の水、あるいはエタノール等のアルコールとの混合溶媒等に溶解させた後、pHを調整し、さらに必要に応じて浸透圧等を等張化剤により適宜調整することによって得ることができる。 好ましい製造方法は、例えば、トロピカミドに精製水を加えて溶解し、その後、よく撹拌しながらフェントラミンを加え、金属封鎖剤、緩衝剤、トロメタモールを加えて溶解し、さらに必要に応じて各種薬物、水溶性高分子、等張化剤、などを加えて溶解後、塩酸または水酸化ナトリウム水溶液でpHを調整し、本発明の仮性近視治療薬とすることができる。 以下、実施例及び比較例を示し、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。 [実施例1〜5、比較例1〜3] 表1に示すように(配合単位W/V%)表中の各配合成分を定法に準じて滅菌精製水に溶解した後、各溶液を無菌ろ過して、仮性近視治療薬を調製した。得られた各製剤について、下記試験及び評価を実施した。また下記方法で点眼後の眼刺激感を評価した。結果を表中に併記した。[散瞳抑制試験] ウサギ(NZW)5匹に対し、表に記載の製剤を点眼した。点眼前と点眼15分後の瞳孔をデジタルカメラで撮影し、点眼前後での撮影画像の瞳孔直径を測定し、比較した。製剤点眼後、瞳孔の直径が変化しない(大きくならない)、あるいは、変化してもごく小さい変化の場合が好ましい。以下の評価基準で判定した。◎:不変〜3%未満変化○:3%以上〜5%未満変化△:5%以上〜10%未満変化×:10%以上変化[仮性近視改善試験] 仮性近視パネラー5名に対し、表に示した製剤を就寝前に2滴点眼し、一ヶ月間継続した。一ヶ月経過した後、点眼開始前と一ヶ月点眼後の調節力を測定し、点眼開始前の調節力と比較した。調節力の測定:オートレフラクトメーターを使用し、屈折値(単位D:ジオプトリー)を測定した。仮性近視は調節力が低下している状態であり、製剤を点眼することにより調節力が改善することが好ましい。以下の評価基準により、△を含む調節力に改善が認められたものをよいと判定した。◎:1.0D以上改善○:0.5D以上〜1.0D未満改善△:0<0.5D未満改善×:変化無し、低下[目刺激感の評価] パネラー5名に対し、製剤を1滴点眼し、点眼3分後の目刺激感を下記評価基準に基づいて評価した。◎:刺激感がない○:わずかに刺激感がある△:やや刺激感がある×:刺激感がある (A)トロピカミド又はその塩、及び(B)αアドレナリン受容体拮抗薬を含有し、(A)成分の含有量が0.001W/V%〜0.1W/V%であることを特徴とする仮性近視治療薬。 さらに、清涼化剤を含有する請求項1記載の仮性近視治療薬。 防腐剤無配合である請求項1又は2記載の仮性近視治療薬。 コンタクトレンズ用点眼剤である請求項1、2又は3記載の仮性近視治療薬。 【課題】トロピカミドを点眼したときに感じる散瞳作用がほとんどなく、不快な刺激感を改善し、使用感に優れたトロピカミドを含有する仮性近視治療薬を提供することを課題とする。【解決手段】(A)トロピカミド又はその塩、及び(B)αアドレナリン受容体拮抗薬を含有し、(A)成分の含有量が0.001W/V%〜0.1W/V%である仮性近視治療薬。【選択図】なし