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タイトル:公開特許公報(A)_サーチュイン1活性化剤、サーチュイン1活性化組成物、並びにそのサーチュイン1活性化剤若しくは活性化組成物を配合した皮膚外用剤、化粧料、食品
出願番号:2009121047
年次:2010
IPC分類:A61K 36/48,A61P 43/00,A61P 17/16,A61K 8/97,A61Q 19/08,A23L 1/30


特許情報キャッシュ

古元 義 情野 治良 藤原 茂久 濱田 和彦 JP 2010270012 公開特許公報(A) 20101202 2009121047 20090519 サーチュイン1活性化剤、サーチュイン1活性化組成物、並びにそのサーチュイン1活性化剤若しくは活性化組成物を配合した皮膚外用剤、化粧料、食品 ピアス株式会社 000112266 藤本 昇 100074332 薬丸 誠一 100114421 中谷 寛昭 100114432 小山 雄一 100134452 古元 義 情野 治良 藤原 茂久 濱田 和彦 A61K 36/48 20060101AFI20101105BHJP A61P 43/00 20060101ALI20101105BHJP A61P 17/16 20060101ALI20101105BHJP A61K 8/97 20060101ALI20101105BHJP A61Q 19/08 20060101ALI20101105BHJP A23L 1/30 20060101ALI20101105BHJP JPA61K35/78 JA61P43/00 111A61P17/16A61K8/97A61Q19/08A23L1/30 B 11 OL 14 4B018 4C083 4C088 4B018MD48 4B018ME14 4B018MF01 4C083AA111 4C083AA112 4C083AC012 4C083AC022 4C083AC072 4C083AC102 4C083AC122 4C083AC172 4C083AC182 4C083AC302 4C083AC352 4C083AC422 4C083AC432 4C083AC472 4C083AC482 4C083AC612 4C083AC692 4C083AC842 4C083AD042 4C083AD322 4C083AD532 4C083AD662 4C088AB59 4C088AC11 4C088BA10 4C088BA37 4C088CA06 4C088MA02 4C088MA07 4C088MA08 4C088MA17 4C088MA23 4C088MA28 4C088MA35 4C088MA37 4C088MA41 4C088MA43 4C088MA52 4C088MA63 4C088NA14 4C088ZA89 4C088ZC19 本発明は、自然老化の抑制や寿命延長作用に関与するサーチュイン1(以下、SIRT1ともいう)活性化剤と活性化組成物、並びにそのようなサーチュイン1活性化能を有することにより、自然老化の抑制作用を発揮する皮膚外用剤、化粧料、食品に関するものである。 自然老化のスピードを調節することができることは、様々なモデル生物を通して証明されている。古くから、老化の抑制はカロリー制限によって引き起こされることが知られていた。しかし、近年では酵母、線虫、ハエ、げっ歯類など、様々な種で寿命を延長するための遺伝子が同定されている。これらの遺伝子は、悪化する環境条件(カロリー制限など)に応答して、生存率を高めるように進化してきた、進化上保存された経路の一つと考えられている。 酵母は寿命に関する研究をする上で、有用なモデルであることが立証されている。酵母において、寿命は個々の細胞の分裂回数で定義されている。酵母のサーチュイン2(Silent Information Regulator 2:以下、SIRT2ともいう)遺伝子は寿命延長に関与しており、この遺伝子を酵母に付加的に導入すると、寿命が30〜70%程度延びると認められている。SIRT2遺伝子は酵母のカロリー制限による寿命延長効果にも必要であることが証明されている。 酵母SIRT2のヒトホモログはSIRT1−7(SIR Two ortholog-1-7)と名付けられている。その中でもSIRT1が酵母SIRT2と機能的に類似していると考えられている。下記非特許文献1には、ヒトの細胞にSIRT1遺伝子を付加的に導入すると、老化の指標であるSenescence Associated-β-galactosidase(SA-β-gal)の量が減少することも記載されている。このことは哺乳類細胞でもSIRT1が老化の抑制に効果があることを示している。 SIRT1は、デアセチラーゼとして知られている。SIRT1はデアセチラーゼの中でも、NAD+を必要とするサーチュインファミリーの1種である。SIRT1のデアセチラーゼとしての酵素活性は、レスベラトロール、ブテイン、ピセアンタンノール、フィセチン、ケルセチンといった、トランススチルベン構造を有するポリフェノールによって活性化することが知られている。 SIRT1を活性化させると、寿命延長作用、細胞死の予防を示すことから、自然老化を抑え、寿命を延長させるアンチエイジング効果を示すことが知られている。 SIRT1を強く活性化させる成分として、レスベラトロールが知られている(下記特許文献1、特許文献2)。 本発明者等は、皮膚の細胞中に存在するSIRT1を活性化することで、皮膚の老化を抑制できると考えた。実際に、皮膚の線維芽細胞にSIRT1活性化物質であるレスベラトロールを加え、老化の指標であるSA−β−galの量を測定すると、減少していることがわかった。そのため、SIRT1活性化物質を含んだ化粧料や食品には、抗老化の効果があることが確認できた。 しかし、レスベラトロールは、熱、酸素及び光により酸化や褐色化され、薬効が低下するという問題点を有していた。従って、レスベラトロールに替わるSIRT1活性化能と安定性に優れる有効成分の開発や組成物の開発が求められている。特開2007−326872号公報特開2006−298876号公報(1) PLOS ONE. 2008 Mar 5;3(3):e1710 本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、上記従来のレスベラトロールのような熱、酸素及び光により酸化や褐色化され、薬効効果が低下するという問題がなく、しかも優れたサーチュイン1活性化能を有するサーチュイン1活性化剤、活性化組成物、皮膚外用剤、化粧料、食品を提供することを課題とする。 本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、カッコンエキスに優れたSIRT1活性化能を有するとともに、安定性も優れることをも見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、カッコンエキスを有効成分とすることを特徴とするサーチュイン1活性化剤を提供するものである。また本発明は、このようなカッコンエキスを含有することを特徴とするサーチュイン1活性化組成物を提供するものである。 このようなサーチュイン1活性化組成物において、カッコンエキスの他に、レスベラトロールを含有させることも可能である。また、カッコンエキスの他に、ブドウつるエキスを含有させることも可能である。さらには、カッコンエキスの他に、ダイゼインを含有させることも可能である。さらには、キトサン又はキトサン誘導体を含有させることもできる。 カッコンエキスは、たとえばエタノールで抽出することが可能である。 さらに、本発明は、上記のようなサーチュイン1活性化剤又はサーチュイン1活性化組成物を含有する、サーチュイン1活性化能を有する皮膚外用剤、化粧料、食品を提供するものである。 本発明によれば、上述のようにカッコンエキスをサーチュイン1活性化剤の有効成分として用い、或いはカッコンエキスをサーチュイン1活性化組成物に含有させたことで、従来のレスベラトロールに替わるサーチュイン1活性化能に優れた活性化剤若しくは活性化組成物を提供しうるに至った。 また、カッコンエキスを用いることで、従来のレスベラトロールに生じていた熱、酸素及び光により酸化や褐色化され、薬効が低下するという問題も解消しうるという効果がある。 本発明のサーチュイン1活性化剤は、上述のようにカッコンエキスを有効成分とするものである。また、本発明のサーチュイン1活性化組成物は、上述のようにカッコンエキスを含有するものである。 カッコンエキスは、多年生のつる草の一種であるクズ(Pueraria lobata Ohwi)の根の抽出物である。カッコンエキスの抽出法は、特に限定されるものではないが、クズ(Pueraria lobata Ohwi)の根をそのままあるいは粉砕後、溶媒で、常温乃至溶媒の沸点の温度にて抽出することができる。 利用可能な溶媒は、水、アルコール類(例えば、エタノール、ブタノール、メタノール等の低級アルコール、1、3−ブチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール)、アセトン等のケトン類、エチルエーテル、ジオキサン、アセトニトリル、酢酸エチル等のエステル類、キシレン、ベンゼン等の有機溶媒を単独又は2種以上任意に組み合わせて使用することができる。さらに用途目的に応じて希釈又は溶媒を留去してペースト状としたり、乾燥末等に加工してもよい。 また、カッコンエキスは、エタノール抽出物を使用するのが好ましい。エタノールによる抽出物が高いSIRT1活性化能を示すからである。エタノール抽出物として、たとえば、プエラリン抽出液B(商品名:池田糖化工業製)を使用することができる。 本発明のサーチュイン1活性化組成物には、上記のようなカッコンエキスの他に、レスベラトロールを含有させることができる。レスベラトロールはブドウの葉、新芽に存在するポリフェノールの一種であり、trans−レスベラトロール、cis−レスベラトロールおよびそれらの混合物の総称である。またレスベラトロールを含有する成分を用いることも可能である。 レスベラトロールを含有する成分としては、レスベラトロールが0.1重量%以上含有されている成分を用いるのが好ましい。レスベラトロールを含有する成分としては、たとえばブドウつるエキスが挙げられる。ブドウつるエキスとしては、たとえばレスベラトロールが1.0〜3.0重量%含有されるブドウつるエキスであるResveratrox(商品名:サンブライト社製)を用いることが可能である。また、レスベラトロール以外にレスベラトロールの二量体であるビニフェリンを用いることもできる。このようなビニフェリンを含有するブドウつるエキスとして、たとえばViniferol(商品名:サンブライト社製)等が挙げられる。 また本発明のサーチュイン1活性化組成物には、ダイゼインを含有させることができる。ダイゼインは、大豆に多く含まれるイソフラボンアグリコンである。ダイゼインを含むエキスとしてダイズエキスなどがある。 さらに、本発明のサーチュイン1活性化組成物には、キチン・キトサン、若しくはこれらの誘導体を含有させることができる。このようなキチン・キトサン若しくはその誘導体を含有させることによって、本発明のSIRT1活性化剤の安定性を高めることができる。キチン・キトサンやそれらの誘導体の種類は特に限定されないが、たとえばカルボキシメチルキチン、カルボキシメチルキトサン、キトサンのグリコール酸塩やピロリドンカルボン酸塩や乳酸塩やアスコルビン酸塩等の塩類、部分ミリストイル化キトサンピロリドンカルボン酸(たとえばPM−キトサン(商品名:ピアス株式会社製)、部分ミリストイル化カルボキシメチルキトサン等が挙げられる。 その他、その形態に応じて、化粧料、外用剤、食品で一般的に用いられる成分を本発明の効果や機能性を阻害しない範囲で配合できる。例えば、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類、セタノール、 ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、流動パラフィン、スクワラン等の非極性油剤類、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル等のエステル系油剤類、小麦胚芽油やオリーブ油等の植物油類、トリメチルシロキシケイ酸、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコン化合物類、パーフルオロポリエーテル等のフッ素化合物類等の液状油剤が挙げられる。また、水溶性高分子、保湿柔軟化剤、抗酸化剤、収斂剤、美白剤、抗菌剤、抗炎症剤、紫外線吸収剤類、紫外線散乱剤、水溶性ビタミン類、油溶性ビタミン類、酵素等の医薬部外品原料規格、化粧品種別配合成分規格、化粧品原料基準、日本薬局方、食品添加物公定書規格等の成分等が挙げられる。 化粧料としては、たとえば、1)局所又は全身用の皮膚洗浄料又は皮膚化粧料類、2)頭皮・頭髪に適用する薬用及び/又は化粧用の製剤類、3)浴湯に投じて使用する浴用剤、4)人体用の消臭・防臭剤、5)洗口剤等の口腔用剤、6)皮膚貼付用シート、化粧用シート、化粧用コットン、ウエットティッシュなどを意味し、固形、溶液、ゲル、エマルジョン、シート、スプレー、アンプル、カプセル、粉末(パウダー)など利用上の適当な形態とすることができる。 具体的には、ローション、乳液、クリーム、軟膏、ジェル、美容液、顔面用含浸シート、オイル、パック、ミストなどの基礎化粧料、洗顔料、クレンジングなどの皮膚洗浄料、シャンプー、リンス、ヘアートリートメント、ヘアートニック、育毛・養毛料などの頭髪化粧料、ファンデーション、口紅、アイシャドウ、アイライナー、マスカラなどのメークアップ化粧料などが挙げられる。 乳化化粧料としては、液状油剤を乳化させて調製することが可能である。具体的な例としては、流動パラフィン、スクワラン、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、エチルヘキサン酸セチル、トリ-エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、パルミチン酸セチル、イソステアリン酸−2−ヘキシルデシル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸イソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジイソステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸プロピレングリコール等のエステル系液状油剤やコメ油、コメヌカ油、月見草油、リノール酸、コムギ胚芽油、オリーブ油、ホホバ油、ブドウ種子油、カミツレ油、ローズマリ−油、ウイキョウ油等の植物系液状油や、ホホバ油、卵黄油などの動物系液状油が挙げられる。 この場合、乳化剤としては、脂肪酸モノグリセリド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等の非イオン系界面活性剤、塩化ベンザルコニウム等のカチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、アニオン界面活性剤等を使用することができる。 さらに、本発明のサーチュイン1活性化組成物には、水溶性高分子を含有させることができる。水溶性高分子としては、アラビアゴム、クインシード、寒天、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、ペクチン、デンプン、カラギーナン、アルギン酸又はその塩、ヒアルロン酸又はその塩、コンドロイチン硫酸又はその塩、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ニトロセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメタアクリレート、ポリアクリル酸塩、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレンイミン等が例示される。 本発明の食品には、美容食品も含まれる。ここで美容食品とは、美容や健康志向の食品、飲料、内服製剤全般を意味し、形態としては、アンプル、カプセル、錠剤(ペレット)、粉末、顆粒、固形、液体、ゼリー(ゲル)等とすることができる。具体的には、栄養補給、滋養強壮、疲労回復、体質改善、美白、美肌、養毛・育毛、痩身、精神安定等の美容・健康志向食品や飲料の他、ガム、キャンディ、ヨーグルト、清涼飲料水等の嗜好食品又は飲料が挙げられる。 美容食品に使用される色素・着色剤として、ブドウ果汁色素、赤キャベツ色素、赤米色素、アナトー色素、イカスミ色素、ウコン色素、オキアミ色素、柿色素、クチナシ色素、タマネギ色素、スピルリナ色素、ハイビスカス色素、紫イモ色素、紫ヤマイモ色素、ルチン等が挙げられる。 その他、甘味料や栄養強化剤として、砂糖、果糖、アラビノース、キシロビオース、ガラクトース、グルコサミン、コラーゲン、キシロース、トレハロース、アセチルグルコサミン、プロリンやアルギニン等のアミノ酸類、フラクトオリゴ糖、ステビア、マンノース、麦芽糖、蜂蜜、ブドウ糖、ミラクリン、モネリン、甘草抽出物、貝殻焼成カルシウム、酵母、小麦胚芽、ヘミセルロース、ヘム鉄等を使用することができる。 化粧料や美容食品に使用される水溶性ビタミン類として、ビタミンB群であるチアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩、リボフラビン、ピリドキシンシアノコバラミン、葉酸類、ニコチン酸類、パントテン酸類、ビオチン類、コリン、イノシトール類等を使用することができ、ビタミンC群であるアスコルビン酸又はその誘導体、カルニチン、フェルラ酸等を使用することができ、さらにビタミンP類であるルチン、エリオシトリン、ヘスペリジン等を使用することができる。 また、化粧料や美容食品に利用される油溶性ビタミン類として、ビタミンA群であるレチノール、レチナール、デヒドロレチナール、β-カロチン、リコピン、アスタキサンチン、パルミチン酸レチノール等を使用することができ、ビタミンD群であるエルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、ジヒドロタキステロール等を使用することができ、さらにビタミンE群であるトコフェロール又はその誘導体等を使用することができ、その他、ビタミンFやγ−オリザノール等を使用することができる。 以下、本発明の実施例について説明する。(参考例) ヒトの皮膚の細胞では加齢と共に細胞中のSA−β−ガラクトシダーゼ量が増加することが知られている。そのため、SA−β−ガラクトシダーゼは細胞老化のマーカーとして用いられている。継代培養を4ヶ月処理したヒト皮膚由来の線維芽細胞を用いて、一般にSIRT1活性化剤として使用されているレスベラロトール(Sigma社)の老化抑制について、SA−β−ガラクトシダーゼ染色による試験を行った。 細胞密度を一定にした後、レスベラロトール(10−30μM)を含有した培地中で4日間暴露した。SA−β−ガラクトシダーゼ染色には、Cell Senescence detection kit(コスモバイオ社製)を用いた。SA−β−ガラクトシダーゼ染色量を測定するとともに、レスベラロトールを含有しないものをコントロールとして同様に測定し、コントロールのSA−β−ガラクトシダーゼ染色量を100として、コントロールに対するSA−β−ガラクトシダーゼ染色量の比を求めた。測定結果を表1に示す。表1からも明らかなように、レスベラロトールを添加することにより、SA−β−ガラクトシダーゼ染色性が有意に抑制されることが示唆された。更に染色像を二値化し、SA−β−ガラクトシダーゼ量を定量化した結果、レスベラロトールを添加することにより、SA−β−ガラクトシダーゼ量が18〜23%低下していることが分かった。このようにSIRT1を活性化するレスベラロトールに、加齢による皮膚老化を抑えるために有効であることが確認された。このことより、SIRT1活性化剤は加齢による皮膚老化を抑制するために有効であることが示唆された。(実施例1) 本実施例では、本発明のSIRT1活性化剤であるカッコンエキスのSIRT1活性について試験した。試験には、SIRT1 Fluorescent Activity Assay / Drug Discovery Kit(BIOMOL社)を用いた。このキットでは、p53のアミノ酸配列の中で、SIRT1によって脱アセチル化される382番目のリジンを含む配列を元にした蛍光原性ペプチドを基質としており、このペプチドはSIRT1によって脱アセチル化されることで蛍光を発するようになることから、SIRT1の酵素活性を測定することができる。 そして、この反応系に様々な物質を加えることで、SIRT1阻害剤や、SIRT1活性化剤をスクリーニングに用いることができる。250種以上の成分をスクリーニングした結果、カッコンエキスにSIRT1活性能を有することが分かった。カッコンエキス(池田糖化工業製、製品名:プエラリン抽出液B)を終濃度0.25重量%、0.05重量%、0.025重量%になるように調製し、SIRT1 Fluorescent Activity Assay / Drug Discovery KitでSIRT1活性を測定するとともに、精製水をコントロールとして同様に測定し、コントロールのSIRT1活性を100として、コントロールに対するSIRT1活性の比を求めた。測定結果を表2に示す。 表2からも明らかなように、カッコンエキスのSIRT1活性は、それぞれコントロールの7.3倍、2.25倍、1.8倍の活性を示した。また、終濃度が高いものほど、SIRT1活性が高いことがわかった。この結果から、カッコンエキスはSIRT1の脱アセチル化活性を顕著に上昇させることが明らかになった。 レスベラトロールについても同様に測定を行い、カッコンエキスのSIRT1活性は、SIRT1の優れた活性化剤として知られているレスベラトロールに匹敵するものであることがわかった。(比較例1) カッコンエキス以外の他の植物エキスであるダイズエキス、ローズマリーエキス、チョウジエキス、ボタンビエキス、リョクチャエキス、ピクノジェノール、ウコンエキス、アスパラガスエキス、オウレンエキス、オウバクエキス、キナエキス、ジュウヤクエキス、ハトムギエキス、紅茶エキスを終濃度0.25重量%になるように調製し、実施例2と同様にSIRT1 Fluorescent Activity Assay / Drug Discovery KitでSIRT1活性を測定するとともに、精製水をコントロールとして同様に測定し、コントロールのSIRT1活性を100として、コントロールに対するSIRT1活性の比を求めた。測定結果を表3に示す。表3からも明らかなように、それぞれコントロールとの差は認められないことから、SIRT1の脱アセチル化活性を上昇させる効果はないことが示された。(実施例2) 本実施例では、カッコンエキスを含有する本発明のSIRT1活性化組成物のSIRT1活性について試験した。レスベラトロールを含有する成分として、レスベラトロールが1.0〜3.0重量%含有されるブドウつるエキス(サンブライト製、製品名:Resveratrox)を終濃度0.05重量%になるように調製し、SIRT1 Fluorescent Activity Assay / Drug Discovery KitでSIRT1活性を測定するとともに、精製水をコントロールとして同様に測定し、コントロールのSIRT1活性を100として、コントロールに対するSIRT1活性の比を求めた。測定試験結果を表4に示す。表4からも明らかなように、ブドウつるエキスは、コントロールの1.35倍の活性を示した。 コントロールの2.25倍のSIRT1活性化能を有するカッコンエキス(池田糖化工業社製、商品名:プエラリン抽出液B)の0.05重量%とコントロールの1.35倍の活性能を有するブドウつるエキス(サンブライト社製、製品名:Resveratrox)の0.05重量%を共存させてSIRT1活性化組成物とし、そのSIRT1活性化組成物のSIRT1活性を測定した。測定の結果、コントロールの3.25倍の活性を示した。この結果から、カッコンエキスと、レスベラトロールを含有するブドウつるエキスとを共存させることにより、SIRT1の活性を相乗的に上昇させることが明らかになった。 また、コントロールの2.25倍のSIRT1活性化能を有する0.05重量%カッコンエキス(池田糖化工業製、製品名:プエラリン抽出液B)と、コントロールの3.1倍の活性化能を有するレスベラトロール(0.025mM)とを共存させてSIRT1活性化組成物とし、そのSIRT1活性化組成物のSIRT1活性を測定した。測定の結果、コントロールの5.15倍の活性を示した。また、0.025重量%カッコンエキスと、レスベラトロール(0.025mM)とを共存させてSIRT1活性化組成物とし、同様にSIRT1活性を測定したところ、コントロールの4.3倍の活性を示した。これらの結果から、カッコンエキスとレスベラトロールとを共存させることにより、SIRT1の活性を相乗的に上昇させることが明らかになった。 さらに、コントロールの2.25倍のSIRT1活性化能を有するカッコンエキス(池田糖化工業製、製品名:プエラリン抽出液B)の0.05%と、コントロールの2.7倍の活性化能を有するダイゼイン(0.025mM)とを共存させてSIRT1活性化組成物とし、そのSIRT1活性化組成物のSIRT1活性を測定した。測定の結果、コントロールの4.95倍の活性を示した。この結果から、カッコンエキスとダイゼインとを共存させることにより、SIRT1の活性を相乗的に上昇させることが明らかになった。 これらの結果から、カッコンエキスと、レスベラトロール、ブドウつるエキス、又はダイゼインとを共存させたSIRT1活性化組成物は、SIRT1を活性化するのに有効な組成物であることがわかった。このことにより、皮膚の加齢による老化を抑える抗老化作用の機能を有する化粧料、外用剤、美容食品に有用であることがわかった。(実施例4) 本実施例では、SIRT1の活性化能の安定性について試験した。SIRT1の活性化能を測定した後、2ヶ月後に40℃で測定した。その測定結果を表5に示す。表5からも明らかなように、レスベラトロールは、SIRT1の活性化能が減少したのに対して、カッコンエキスには活性化能の低下はほとんど認められず、薬剤安定性に優れる有効成分であることが分かった。(処方例1)(アンチエイジング用エッセンス) 本処方例は、一例として白濁状で低分子界面活性剤を含まない美容液の処方例であり、組成および配合比は次のとおりである。 組成 配合比(重量%)ミネラルオイル 1.0%スクワラン 1.0%部分ミリストイル化カルボキシメチルキトサン 0.2%ブチレングリコール 2.5%ジプロピレングリコール 5.5%メチルパラベン 0.1%カッコンエキス(池田糖化製、プエラリン抽出液B-2、溶液タイプ) 5.0%カッコンエキス(粉末タイプ) 0.03%精製水 残量 計 100.0% 白濁のアンチエイジング用エッセンスの調製は次のようにして行った。すなわち、油相であるミネラルオイルとスクワランを70℃で加熱溶解後、部分ミリストイル化カルボキシメチルキトサンやブチレングリコール等から構成される水相に徐々に添加させ、ホモミキサー(8000rpm、5分処理)で均一に分散させた。脱気下で40℃まで冷却し、SIRT1活性化成分であるカッコンエキス等を添加し、ホモミキサー(3000rpm、1分処理)で均一に分散させた。脱気、濾過することにより、白濁の水系エッセンスを得た。(処方例2)(アンチエイジング用エッセンス) 本処方例は、処方例1と同様に、白濁状で低分子界面活性剤を含まない美容液の処方例であり、組成および配合比は次のとおりである。組成 配合比(重量%)ミネラルオイル 1.0%ミリスチン酸プロピル 1.0%部分ミリストイル化カルボキシメチルキトサン 0.2%ブチレングリコール 5.5%プロピレングリコール 5.5%メチルパラベン 0.1%カッコンエキス(池田糖化製、プエラリン抽出液B−2、溶液タイプ) 5.5%ブドウつるエキス(サンブライト製、製品名:Resveratrox、粉末タイプ) 0.3%ダイゼイン 0.05%精製水 残量 計 100.0% 白濁のアンチエイジング用エッセンスの調製は次のようにして行った。すなわち、油相であるミネラルオイルとミリスチン酸プロピルを70℃で加熱溶解後、部分ミリストイル化カルボキシメチルキトサンやブチレングリコール等から構成される水相に徐々に添加させ、ホモミキサー(8000rpm、5分処理)で均一に分散させた。脱気下で40℃まで冷却し、SIRT1活性化成分であるカッコンエキス等を添加し、ホモミキサー(3000rpm、1分処理)で均一に分散させた。脱気、濾過することにより、白濁の水系エッセンスを得た。(処方例3)親水クリーム(シワ予防クリーム) 本処方例は、シワ予防用の親水クリームの処方例であり、組成および配合比は次のとおりである。 組成 配合比(重量%)ステアリン酸グリセリル 1.0%POE(20)セチルエーテル 0.3%トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル 1.0%ベヘニルアルコール 4.0%ミリスチン酸プロピル 2.5%酢酸トコフェロール 0.3%ワセリン 1.0%ブチレングリコール 1.5%フェノキシエタノール 0.2%部分ミリストイル化キトサン・ピロリドンカルボン酸塩 0.3%キトサン・グリコール酸塩 0.1%カッコンエキス(エタノール抽出、粉末タイプ) 0.05%レスベラトロール 0.01%ブドウつるエキス(粉末タイプ) 0.2%精製水 残量 計 100.0% シワ予防用の親水クリームの調製は次のようにして行った。すなわち、油相であるステアリン酸グリセリル、POE(20)セチルエーテル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、ベヘニルアルコール、ミリスチン酸プロピル、酢酸トコフェロール、ワセリンを70℃で加熱溶解後、部分ミリストイル化キトサンやブチレングリコール等から構成される水相に徐々に添加させ、ホモミキサー(8000rpm、1分処理)で均一に分散させた。脱気下で40℃まで冷却し、SIRT1活性化成分であるカッコンエキスやレスベラトロール等を添加し、ホモミキサー(2000rpm、1分処理)で均一に分散させた。脱気、濾過することにより、白濁の親水クリームを得た。(処方例4)ヘアケアリキッド(育毛用) 本処方例は、育毛用のヘアケアリキッドの処方例であり、組成および配合比は次のとおりである。 組成 配合比(重量%)エタノール 30.0%塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.8%POE(20)硬化ヒマシ油 0.2%部分ミリストイル化カルボキシメチルキトサン 0.3%プロピレングリコール 7.0%グリコール酸 0.3%酢酸トコフェロール 0.5%カッコンエキス(エタノール抽出、溶液タイプ) 7.8%ブドウつるエキス(粉末タイプ、2.5%レスベラトロール含有) 0.2% 精製水 残量 計 100.0%(処方例5)美容サプリメント(錠剤) 本処方例は、美容サプリメントの処方例であり、組成および配合比は次のとおりである。そして、次の組成の組成物を打錠し、錠剤としたものである。 組成 配合比(重量%)グルコサミン 0.5%コラーゲン末 3.0%アルギニン 3.0%フラクトオリゴ糖、 5.0%カッコンエキス(エタノール抽出、粉末タイプ) 1.0%ブドウつるエキス(粉末タイプ、2.5%レスベラトロール含有) 1.5%キトサン・グルタミン酸塩 1.0%キチン粉末 0.5%トウモロコシデンプン 30%ヒドロキシプロピルセルロース 3.0%ステアリン酸マグネシウム 1.5%アスコルビン酸 1.0%乳糖 残量計 100%(処方例6)美容・健康向けドリンク 本処方例は、美容・健康向けドリンクの処方例であり、組成および配合比は次のとおりである。 組成 配合比(重量%)フラクトオリゴ糖 5.0%カッコンエキス(エタノール抽出、粉末タイプ) 0.1%ブドウつるエキス(粉末タイプ、2.5%レスベラトロール含有) 0.1%アスコルビン酸 0.1%クエン酸 0.2%ソルビトール 0.8%アセチルグルコサミン 0.5%精製水 残量計 100.0% カッコンエキスを有効成分とすることを特徴とするサーチュイン1活性化剤。 カッコンエキスがエタノールで抽出されたものである請求項1記載のサーチュイン1活性化剤。 カッコンエキスを含有することを特徴とするサーチュイン1活性化組成物。 レスベラトロールをさらに含有する請求項3記載のサーチュイン1活性化組成物。 ブドウつるエキスをさらに含有する請求項3又は4記載のサーチュイン1活性化組成物。 ダイゼインをさらに含有する請求項3乃至5のいずれかに記載のサーチュイン1活性化組成物。 カッコンエキスがエタノールで抽出されたものである、請求項3乃至6記載のサーチュイン1活性化組成物。 キトサン又はキトサン誘導体をさらに含有する請求項3乃至7のいずれかに記載のサーチュイン1活性化組成物。 請求項1若しくは2記載のサーチュイン1活性化剤、又は請求項3乃至8のいずれかに記載のサーチュイン1活性化組成物を配合したことを特徴とするサーチュイン1活性化能を有する皮膚外用剤。 請求項1若しくは2記載のサーチュイン1活性化剤、又は請求項3乃至8のいずれかに記載のサーチュイン1活性化組成物を配合したことを特徴とするサーチュイン1活性化能を有する化粧料。 請求項1若しくは2記載のサーチュイン1活性化剤、又は請求項3乃至8のいずれかに記載のサーチュイン1活性化組成物を配合したことを特徴とするサーチュイン1活性化能を有する食品。 【課題】従来のレスベラトロールのような熱、酸素及び光により酸化や褐色化され、薬効効果が低下するという問題がなく、しかも優れたサーチュイン1活性化能を有するサーチュイン1活性化剤、活性化組成物、皮膚外用剤、化粧料、食品を提供することを課題とする。 【解決手段】カッコンエキスをサーチュイン1活性化剤の有効成分とすることを特徴とする。【選択図】なし


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