タイトル: | 特許公報(B2)_燃料用石炭の選定又は管理方法 |
出願番号: | 2009101699 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | G01N 33/22 |
今井敏夫 山本泰史 JP 5290036 特許公報(B2) 20130614 2009101699 20090420 燃料用石炭の選定又は管理方法 太平洋セメント株式会社 000000240 曾我 道治 100110423 古川 秀利 100084010 鈴木 憲七 100094695 梶並 順 100111648 大宅 一宏 100122437 今井敏夫 山本泰史 20130918 G01N 33/22 20060101AFI20130829BHJP JPG01N33/22 A G01N 33/22 特開2004−317260(JP,A) 特開2009−202079(JP,A) 特開平8−285801(JP,A) 特開2001−159629(JP,A) 2 2010248047 20101104 11 20120410 加々美 一恵本発明は、燃料用石炭の選定又は管理方法に関し、特にセメント工場等での石炭の保管、配管内流通、配管内の滞留、サイクロンバッグでの流通、滞留等を安全に行える安全管理方法に関する。従来、セメント工場で燃料として使用される石炭は、瀝青炭、無煙炭のような高品位炭が主流であった。ところが、これらの高品位炭は可採埋蔵量に限りがあるため、その価格は年々上昇している。従来の高品位炭に替えて埋蔵量の豊富な亜瀝青炭および褐炭などを利用することができれば、資源の保全上意義が大きい。しかしながら、亜瀝青炭および褐炭などは炭化度が低く、揮発分が高く、貯炭中に自然発火を起こしやすいという問題がある。燃料用石炭は、発熱量、価格、ハンドリング性(主に含水率)、組成(主に揮発分)などを指標にして、総合的に使用の可否判断がなされる。上記のうち、特に自然発火性の判断指標とされるのは揮発分であるが、その目安となる数値は長年の経験に基づいて決定されている。ところが、この目安値のみで使用の可否判断を行なうと、使用できる石炭の種類が著しく限られてしまっていた。特開平7−166159号そこで、揮発分に代わる指標として新たな燃料石炭の選定指標および安全に管理するための酸素濃度管理値を提供し、特に、石炭のセメント工場等での保管、配管滞留、サイクロンバッグ滞留等を安全に行える管理方法を実現することを課題とした。揮発分に代わる指標を探索し、燃料石炭の酸素吸収速度を尺度として見出し、これで安全に高揮発分含有石炭の管理することができることが判明した。即ち、石炭の自然発火性と低温酸化の関係を追及して、石炭の酸素吸収速度と自然発火性について、鋭意検討し、本方法を見出したものである。即ち、燃料用石炭の選定方法であって、所定温度に保ちつつ、空気中で所定量の二酸化炭素吸収剤とともに、石炭粉末を容器に収納して密閉し、石炭と酸素の反応によって生じた二酸化炭素の吸収による容器内圧力を計測して、圧力低下量を酸素吸収量に換算し、酸素吸収量の経時変化から酸素吸収速度を計算し、安全の確認された代替される石炭粉末について同様に求めた酸素吸収速度以下の石炭種を燃料とすることを特徴とする選定方法、を提供する。更に、燃料用石炭の管理方法であって、所定温度に保ちつつ、空気中で所定量の二酸化炭素吸収剤とともに、石炭粉末を容器に収納して密閉し、石炭と酸素の反応によって生じた二酸化炭素の吸収による容器内圧力を計測して、圧力低下量を酸素吸収量に換算し、酸素吸収量の経時変化から求めた酸素吸収速度の、安全の確認された代替される石炭粉末について同様に求めた酸素吸収速度に対する比に、空気中の酸素濃度である21%を乗じた酸素濃度以下に保管、滞留又は流通雰囲気を保つことを特徴とする石炭の管理方法、を提供する。例えば、以下の測定手順で酸素吸収速度を計算し、管理酸素濃度=安全の確認された石炭の酸素吸収速度/高揮発分含有石炭の酸素吸収速度*21(%)以下に保つことを特徴とする高揮発分含有石炭の管理方法、を提供する。酸素吸収速度の測定手順の概要は以下のとおりとした。1. 石炭試料を水酸化ナトリウムを仕込んだ酸素封入の密閉容器内に収納すると石炭の酸化により二酸化炭素が発生する。2. 二酸化炭素を水酸化ナトリウムで吸収させ炭酸化固定される。3. 容器内では圧力低下が起こる。4. 容器内の気圧を圧力センサーで感知し、記録計で記録する。5. 圧力低下量を酸素吸収量に換算する。6. 酸素吸収量の経時変化(一次微分)から酸素吸収速度を計算する。内圧低下量から酸素吸収量への換算は、理想気体の状態方程式で近似計算が可能である。測定酸素吸収量の時間変化の曲線の傾きが酸素吸収速度である。酸素吸収速度も時間とともに変化しているため、所定時間経過後、例えば、50hr.後の酸素吸収量の経時変化を酸素吸収速度として算出する。亜瀝青炭や褐炭など、酸素吸収速度の大きい石炭の場合、吸収速度の時間変化が大きく測定精度が低下するので、試料重量、粒度範囲、測定温度の測定条件と測定精度の関係について考慮した。測定時の温度が酸素吸収速度に及ぼす影響について検討し、測定時の温度が高いほど酸素吸収速度も高くなり、両者にはアレニウス式が成立した。測定温度は、できるだけ管理が容易な温度が好ましく、例えば、常温に近い20℃程度が望ましい。以上の標準化実験の結果を踏まえて、本法による酸素吸収速度測定の測定条件を選定することが好ましい。例えば、内容積325mlの試料容器に対して石炭重量30g、粒度範囲100μm〜1mm、測定温度20℃と決定すると、本法による測定誤差は3%となる。さらに、本法による酸素吸収速度測定の測定にあっては酸素濃度の影響を考慮することが好ましい。雰囲気中の酸素濃度と石炭の酸素吸収速度との関係を把握することは、後述するように、セメント製造設備における石炭ミル以降の配管、バグフィルター、端末ビン内の酸素濃度管理値を決定する上で極めて重要である。そこで、測定容器内の酸素濃度を変化させて、酸素濃度ごとの酸素吸収速度を測定したところ、両者には正の相関が成立した。石炭の低温酸化による発熱速度は酸素吸収速度に比例するため、石炭の自然発火は雰囲気中の酸素濃度を管理することで可能であることが示された。石炭の酸素吸収速度が、雰囲気中の酸素濃度に比例するので、石炭ミル以降、キルンバーナーまでの区間の雰囲気の酸素濃度を管理することで、石炭ミル以降での自然発火を防止することができる。但し、石炭ミル以降では、石炭が微粉となっているために石炭自身がより酸化されやすい状態にある。また、石炭ミルには石炭乾燥のために熱風が導入されているため石炭の酸素吸収速度がより高い状態となっている。ところが、亜瀝青炭などの高揮発分の石炭も通常使用されている瀝青炭の場合も、石炭ミル以降での粒度条件、温度条件は共通である。したがって、通常の使用で自然発火に至ることがない瀝青炭の酸素吸収速度が分かれば、次式で亜瀝青炭を使用する場合の酸素濃度管理値を決定し、この管理値を基準に石炭の選定、管理をすることができる。酸素濃度管理値=安全の確認された石炭の酸素吸収速度/高揮発分炭の酸素吸収速度*21(%)揮発分に代わる指標として新たな燃料石炭の選定指標および安全に管理するための酸素濃度管理値を提供し、特に、石炭のセメント工場等での保管、配管滞留、サイクロンバッグ滞留等を安全に行える管理方法が実現できる。具体的には、セメント工場では、石炭ミルでの乾燥用空気として酸素濃度がほぼ大気と同一のクーラー排気が使用されているが、管理酸素濃度を満足するように、酸素濃度の低いタワー排ガスを石炭ミル中に送入することで、自然発火の懸念なく亜瀝青炭を使用することが可能となる。酸素吸収速度の測定原理を説明する図である。異なる石炭の酸素吸収量の測定結果を示す図である。同一試料による測定誤差を示す図である。雰囲気中の酸素濃度ごとの酸素吸収曲線を示す図である。雰囲気中の酸素濃度と酸素吸収速度との関係を示す図である。燃料一般炭および亜瀝青炭の酸素吸収曲線(凡例の( )内数値は揮発分)を示す図である。酸素濃度ごとの亜瀝青炭の酸素吸収速度を示す図である。以下に本発明の形態について、詳細に説明する。現実の石炭の低温酸化のメカニズムは複雑であるが、実用上以下の式のように単純化しても差し支えない。すなわち、密閉容器内で石炭と酸素を含有する気体とを接触させると、石炭の酸化反応により、二酸化炭素、一酸化炭素および熱を生成する。1モルの酸素の吸収により、同じく1モルの二酸化炭素が生成するので、この二酸化炭素を炭酸化固定すれば、酸素の吸収量を求めることができる。石炭+O2→CO2+0.1CO+熱この測定を実施するにあたり、例えば、市販のBOD簡易測定器がこの機能を備えている。その測定原理を図1に示した。二酸化炭素吸収剤40の収納ホルダー10は、ガラス製容器20、内部圧力センサー付ヘッド30(密栓)を含み、石炭試料を入れたガラス製容器内圧力を前記センサーで感知、計測することができる。その計測値を連続的に記録できる記録計を備えることが好ましい。図1のBOD簡易測定器を用いて、性状の異なる複数の石炭の酸素吸収速度を測定した。酸素吸収速度の測定手順の概要は以下のとおりとした。1. 石炭試料を密閉容器内に収納すると石炭の酸化により二酸化炭素が発生する。2. 二酸化炭素は水酸化ナトリウムで吸収させ炭酸化固定される。3. 容器内では圧力低下が起こる。4. 容器内の気圧を圧力センサーで感知し、記録計で記録する。5. 圧力低下量を酸素吸収量に換算する。6. 酸素吸収量の経時変化(一次微分)から酸素吸収速度を計算する。具体的には、平均直径1mm以下の石炭試料50gを内容積325mlのガラス製測定容器10に入れ、二酸化炭素吸収剤である水酸化ナトリウム粒子を専用ホルダー20に収納し、ガラス容器10にセットし、圧力センサー付のヘッド40で密栓し直ちに測定を開始した。容器の内圧が経時的に記録されるため、この内圧の変化量を酸素吸収量に換算し、その経時変化から、酸素吸収速度を求めた。測定容器の内部の気圧の変化量から酸素吸収量への換算は以下の数式によった。A:酸素吸収量 [m・mol-O2/g-coal]P:内圧減少量 [hPa]V:容器内容積 [cm3]Wd:石炭の乾燥重量 [g]d:石炭の真密度 [g/cm3]W:石炭の重量 [g]測定結果に基づいて算出された酸素吸収量の経時変化を図2に示す。図2の凡例の( )内数値は、石炭の酸素元素と炭素元素のモル比(以下、(O/C)比)である。各曲線の傾きが酸素吸収速度である。酸素吸収速度も時間とともに変化しているため、例えば、50時間経過後の酸素吸収量の経時変化を酸素吸収速度として算出した。図2の測定例のなかで、最も酸素吸収速度が高い石炭はOB炭の0.001062[m mol−O2/g−coal]、最も酸素吸収速度が低い石炭はST炭の0.000075[m mol−O2/g−coal]であった。(O/C)比)はそれぞれ0.18および0.05であった。また、最も(O/C)比の高いAD炭(0.22)、最も(O/C)比の低いHG炭(0.01)の酸素吸収速度は、それぞれ0.000856[m mol−O2/g−coal]および0.0001 [m mol−O2/g−coal]であった。無煙炭の酸素吸収速度は低く亜瀝青炭の酸素吸収速度の高いという傾向はあるものの、必ずしも(O/C)比の順位に一致しなかった。しかし、評価した11種類の石炭は(O/C)比が0.12のSH炭と(O/C)比が0.15のCV炭を境界として2大別された。図2は、内容積325mlの試料容器に対して石炭の重量を50gとした場合である。酸素吸収速度の高い石炭の場合、吸収速度の時間変化が大きく、測定精度が低下することが懸念された。そこで、試料重量をはじめとして、粒度範囲、測定温度など測定条件が酸素吸収速度の算出結果に及ぼす影響を把握するための試験を行い、測定条件を標準化する作業を行なった。まず、同一石炭、同一測定条件下での測定誤差について検討した。各測定には瀝青のNC炭を用いたが、粉砕後ふるい分け操作により直径1mm以下とし、20gずつ5試料を作製し、20℃、7200分の条件で測定した。測定温度は、測定容器をインキュベータに置くことで一定に保った。容器中の圧力減少曲線の測定結果を図3に示した。縦軸は、圧力減少量である。この結果より、酸素吸収速度は0.00020[m mol−O2/g−coal/hr.]と算出され、同一試料の測定誤差は3%程度であり、本酸素吸収速度の測定法は、多種の石炭に対して十分な精度を有するものであった。次に、測定時の試料重量が酸素吸収速度に及ぼす影響について検討した。粉砕後ふるい分け操作により直径1mm以下とした瀝青炭のNC炭から、5g、10g、20g、30g、40gおよび50gを秤量し、20℃、7200分の条件で測定した。その結果、酸素吸収速度の算出結果のばらつきが小さくなる試料重量の適切範囲は、内容積325mlの試料容器に対して25g〜40gであった。続いて、瀝青炭のNC炭を用い、測定時の試料粒度が酸素吸収速度に及ぼす影響について検討した。その結果、試料粒度の増加にともない酸素吸収速度は低くなることが示された。酸素吸収速度の測定には、算出結果のばらつきが小さくなる直径100μm〜1mmの粒群を選別することが好ましいことが判明した。更に、瀝青炭のNC炭を用い、測定時の温度が酸素吸収速度に及ぼす影響について検討した。その結果、測定時の温度が高いほど酸素吸収速度も高くなり、温度と酸素吸収速度とはアレニウスの関係が成立することが示された。測定温度としては、常温に近い20℃が好ましいと判断された。以上の標準化試験の結果、本法による酸素吸収速度測定の標準測定条件は、内容積325mlの試料容器に対して石炭重量30g、粒度範囲100μm〜1mm、測定温度20℃と決定した。本法による測定誤差は3%である。雰囲気中の酸素濃度と石炭の酸素吸収速度との関係を把握することは、セメント製造設備における石炭ミル以降の配管、バグフィルター、端末ビン内において、その酸素濃度管理値を決定する上で極めて重要である。そこで、測定容器中の酸素濃度が酸素吸収速度に及ぼす影響について検討した。粉砕後ふるい分け操作により1mmアンダーとした亜瀝青炭のGB炭30gを、異なる酸素濃度(0%、5%、10%、15%、20%および25%)条件下20℃、7200分の条件で測定した。酸素濃度の異なる雰囲気ガスは窒素および酸素との混合ガスとし、シリンジとテドラバッグを用いて容量比で調製した。測定には側壁に開口のある容器を用い、石炭試料を充填し、圧力センサーをセットした後、開口の一端から混合ガスを導入する方法で容器内のガス置換を行い、直ちに両端開口を閉じた。測定終了時には、容器内の酸素濃度をガスクロマトグラフにより測定することで、外気のリークの有無を確認した。ガスクロマトグラフの測定条件は、測定装置:島津社製GC−14Aを用いた。キャリアーガス:He 流量:30ml/min、インジェクション温度:70℃、カラム温度:50℃、検出器電流:70mA、インジェクション量:0.2mlで測定した。各圧力減少曲線から算出した酸素吸収曲線を図4に示す。同図より、雰囲気中の酸素濃度が高いほど石炭の酸素吸収速度が大きくなることが確認された。測定開始直後に急激な酸素吸収が起こっているかのように図示されているが、測定開始直後にはガス種を問わず物理吸着が起こるための圧力低下である。酸素吸収速度はプロットの傾きであるから、初期の急激な圧力低下は酸素吸収速度の算出値に影響しない。設定した酸素濃度が0%の場合には、本来酸素吸収がないわけであるから横軸(X軸)に平行にプロットされるはずである。ところが、測定結果は他の水準と同様に右下がりのプロットとなった。これは、測定終了時の容器内の酸素濃度が上昇していたことから、測定期間中に試料容器内に外気が流入したことによる。雰囲気中の酸素濃度と酸素吸収速度との関係を図5に示すが、雰囲気中の酸素濃度6.5%の水準(設定酸素濃度は0%であったが、外気の流入が起こった水準)のみを除外すると、正の相関が成立した。石炭の低温酸化による発熱速度は酸素吸収速度に比例するため、この結果より石炭の自然発火は雰囲気中の酸素濃度を管理できることが示された。本発明に至る過程で、分析に用いた石炭の工業分析値および元素分析値を、それぞれ表1( 評価した石炭の工業分析値および発熱量)および表2(評価した石炭の元素分析値)に示す。灰分および揮発分の測定はJIS M 8812、発熱量の測定はJIS M 8814に準拠した。上記表のうち、普段セメント工場で使用されている燃料一般炭および亜瀝青炭(KT炭からRS炭)の酸素吸収速度を本法により測定した。測定条件は石炭重量30g、粒度範囲100μm〜1mm、測定温度20℃、測定時間120時間とした。測定結果の酸素吸収量の経時変化を図6に示す。図6より、大略、揮発分の高い石炭ほど酸素吸収速度も高いことが示された。特に揮発分率が40%を超える亜瀝青炭2種(GB炭およびRS炭)の酸素吸収速度が最も高いことが示された。石炭の酸素吸収速度が、雰囲気中の酸素濃度に比例することは図5示した。したがって、石炭ミル以降、キルンバーナーまでの区間の雰囲気の酸素濃度を管理することで、石炭ミル以降での自然発火を防止することができる。但し、石炭ミル以降では、石炭が微粉となっているために石炭自身がより酸化されやすい状態にあり、石炭ミルには石炭乾燥のために熱風が導入されているため石炭の酸素吸収速度がより高い状態となっている。ところが、亜瀝青炭などの高揮発分の石炭も通常使用されている瀝青炭の場合も、石炭ミル以降での粒度条件、温度条件は共通である。したがって、通常の使用で自然発火に至ることがない瀝青炭の酸素吸収速度から、次式で亜瀝青炭を使用する場合の酸素濃度管理値の上限値を決定することができる。酸素濃度管理値(%)=安全の確認された石炭の酸素吸収速度/高揮発分炭の酸素吸収速度*21(%)図7には、通常の使用で自然発火に至らない石炭としてSB炭、亜瀝青炭としてGB炭を選び、それぞれの酸素吸収曲線をプロットした。また、雰囲気中の酸素濃度を15%、10%および5%としたときのGB炭の酸素吸収曲線を実線で図示した。この結果が示すように、石炭ミル以降の酸素濃度を14%未満とすれば、亜瀝青炭の酸素吸収速度を通常自然発火に至らない瀝青炭相当の酸素吸収速度とすることが可能であることが、実験的に確認された。多くのセメント工場では、石炭ミルでの乾燥用空気として酸素濃度がほぼ大気と同一のクーラー排気が使用されている。そこで酸素濃度の低いタワー排ガスを石炭ミル中に送入して、石炭ミル内の酸素濃度をおおよそ12〜14%とすることで、自然発火の懸念なく亜瀝青炭を使用することが可能となる。本発明を実施すれば、揮発分含有量の多い石炭のセメント工場での使用の可能性が判定でき、これを選定する指標となり、併せて、セメント工場での保管、使用時の管理指標、管理方法、特に石炭ミル以降の配管、バグフィルター、端末ビン内の酸素濃度管理値を決定することができ、従来自然発火の危険性が懸念されて使用することができなかった亜瀝青炭および褐炭などの揮発分の高い石炭の利用が実現する。10:二酸化炭素吸収剤収納ホルダー20:ガラス製容器30:内部圧力センサ内臓ヘッド40:二酸化炭素吸収剤燃料用石炭の選定方法であって、所定温度に保ちつつ、空気中で所定量の二酸化炭素吸収剤とともに、石炭粉末を容器に収納して密閉し、石炭と酸素の反応によって生じた二酸化炭素の吸収による容器内圧力を計測して、圧力低下量を酸素吸収量に換算し、酸素吸収量の経時変化から酸素吸収速度を計算し、安全の確認された代替される石炭粉末について同様に求めた酸素吸収速度以下の石炭種を燃料とすることを特徴とする選定方法。燃料用石炭の管理方法であって、所定温度に保ちつつ、空気中で所定量の二酸化炭素吸収剤とともに、石炭粉末を容器に収納して密閉し、石炭と酸素の反応によって生じた二酸化炭素の吸収による容器内圧力を計測して、圧力低下量を酸素吸収量に換算し、酸素吸収量の経時変化から求めた酸素吸収速度の、安全の確認された代替される石炭粉末について同様に求めた酸素吸収速度に対する比に、空気中の酸素濃度である21%を乗じた酸素濃度以下に保管、滞留又は流通雰囲気を保つことを特徴とする石炭の管理方法。